2026年10月
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2026.10.1
ハート・オブ・ビースト
Heart of the Beast
ブラッド・ピット演じる陸軍特殊部隊の退役軍人
ジェームズと元軍用偵察犬のオーディアン。
この一人と一匹は、アラスカ上空を飛行中
アクシデントに見舞われ墜落する。
命は助かったが、そこはアラスカの奥地。
そこから命懸けで家に帰ろうとする物語。
こういう映画って、助かると分かっていても、
怖いし、痛いし、ハラハラドキドキで、
もうスクリーンを直視できないほどだった。
若い時はこういう刺激的なのがよかったけど、
だんだんしんどくなってきたよ。
年取るとメンタル弱くなっていくのかな。
ブラピって、私より大分若いと思っていたけど、
1963年生まれだから、1年しか違わない。
もう62歳やん。
そのブラピの体当たりの演技も凄いが、
オーディアン(犬)が素晴らしい。
もう目で演技してる。
助演賞ものです。
(もしかしたら、今どきなので VFX かも知れないけど。)
話しはそれるが、映画『落下の解剖学』(2023)で
犬が誤って薬を飲んで嘔吐するシーンがあった。
あまりにリアルだったので、本当に薬を飲ませたのでは
ないかと思うほどで、記憶に残った。
数カ月前、過去にハリウッドで動物の演技の
調教をしていた人(日本人)と話す機会が
あったので、その人に質問してみた。
「あんなことできるのか?」と。
そうすると「犬なら、訓練すれば演技で吐かせる
ことはできる」との答えで驚いた覚えがある。
閑話休題。
監督は、ブラピとは戦車の映画『フューリー』で
タッグを組んだデヴィッド・エアー。
タイトルの「Heart of the Beast」は、直訳すると
「獣の心」だけど、オフィシャルサイトには、
彼らが墜落したアラスカ奥地が、「魔の領域
(ハート・オブ・ビースト)」と呼ばれる地域であったようで、
オーディアンの心とかけているのだと思う。
さて、ここからはネタバレなのでご覧になる予定の方は
読まないでいただきたい。
とにかくアラスカの自然が凄い。
自然は容赦ない。
人間なんて、相手じゃない。
熊に襲われるし、川に落ちるし、
骨は折れるわ、オオカミに噛まれるわ、
道なき道を進むのは もう大変です。
ジェームズが元軍人でなかったら、とっくに死んでる。
「助かると分かっていても、怖いし、痛いし、
ハラハラドキドキ」と書いた。
最後には助かって、ハッピーエンドだろうと思って
観ていたら、まさかの助からないパターン。
「諦めなかったら叶うよ!」みたいな、
薄っぺらい映画で終わっていない。
それが結局、この作品にとても深みを与えている。
「この20年間で3千頭の軍用犬が使われた」と
最後にテロップが出る。
兵士を救った犬もいるだろうが、
戦死した犬もきっといただろうと思う。
犬の能力と彼らの人間に対する忠誠を
戦争などというくだらない人間のエゴのために
利用していると思うと、なんだかやりきれない。
ジェームズの「彼らは人間の一番素晴らしい面と
一番醜い面を知っている」というセリフに
深い意味があるように思う。
★★★★★
2026年製作/101分/G/アメリカ
原題:Heart of the Beast
劇場公開日:2026年9月25日
映画ちいかわ 人魚の島のひみつ
「ちいかわ」とは、「小さくてかわいいやつ」の略らしい。
私には全くかわいいとは思えないけど。
何も知らなければ、観ようとは思わなかっただろうが、
ある人から「大人が観ても面白い、深い」と聞いた。
調べてみると、結構深い考察をしている人たちも
多く、「哲学的」という文字まで飛び交っていた。
「傑作」という人までいる。
ならば観てみようと思った。
99分の映画で、前半・中盤・後半に分けるなら
前半は完全に幼児向けの映画のようで
「これは失敗したか」と思った。
中盤は、時々笑えるシーンがあるのはよいが
やや冗長に感じてきた。
早く「面白くならないかな」と退屈気味に鑑賞。
そして後半、ストーリーが展開し、伏線の回収に
「ああそういうことだったのか」と思うも、
ラストはモヤモヤしたままエンドロールへ。
これって、観客に解釈を委ねるってこと?
と、考えていると、エンドロールのあと、
本当のラストシーンが流れる。
うわっ! こわ!
その意味は、子供には理解できないかも知れないし、
子供の間は理解しなくてよいのかも知れない。
大人になってから観直して「こんなに怖い映画だったのか」
と思い直すのがよいように思う。
「ホラー」だという人がいるのも分かる。
ひとことで言うと「不条理」ということになるのだろうけど
人間の欲望や倫理について、色んな解釈が
可能なテーマが散りばめられており、
そういう風に観ると確かに深い。
この絵、このキャラクターで、このエンディングというのが
よけいに効いているんだろうな。
そういう意味ではよくできていると思う。
こんな風に表向きは子供向けの映画なのに
大人の間で評判を呼ぶのも想定済みで
製作されたとしたら、凄すぎる。
ところで、前半から「討伐」という言葉が出てきて、
子供に分かるのかな なんて思っていた。
桃太郎なら「退治」というもんね。
でも、それも仕掛けのようにも思えてきた。
★★★▲☆
2026年製作/99分/G/日本
劇場公開日:2026年7月24日
オデュッセイア
The Odyssey
本日は、ずいぶん久しぶりに映画を3本ハシゴ。
3本目はこれも話題の『オデュッセイア』。
『オッペンハイマー』に続く、
クリストファー・ノーラン監督作品。
172分を長いと感じさせないのは、さすがはノーラン。
比べなくても良いけど『ちいかわ』は99分でも
途中退屈に感じたから余計にそう思った。
原作は、古代ギリシャの詩人ホメロス作の
叙事詩『オデュッセイア』。
そういう古代人の物語って、あんまり興味が
湧かないのだけど、クリストファー・ノーランなので
一度は観ておこうかと思い鑑賞。
出演は、王オデュッセウスに マット・デイモン、
その妻ペネロペに アン・ハサウェイ、
息子テレマコスに トム・ホランド(スパイダーマンの人)。
今回も観るからにお金がかかっております。
オデュッセウスの、戦争に出てから
故郷へ戻るまでの20年間の物語。
戦争が 10年間で、故郷に戻るのに 10年かかっている。
ギリシャ神話に出てくるアテナ、ゼウス、
ポセイドンなどの神々が登場する壮大なスケールの物語。
途中『ちいかわ』にも登場していた「セイレーン」
(ギリシャ神話に登場する美しい歌声で船乗りを
惑わす人魚/スタバのロゴになっている)も登場したよ。
こっちが本家やけど。
ノーラン監督作品ということで、あいかわらず
一度の鑑賞では、人間関係など全てを
理解することはできなかったが、「これぞ映画!」という
感じで、本作は劇場の大きなスクリーンで観るべきだ。
大迫力です。
そして、戦争や正しさについても
十分なメッセージを感じました。
ちょっと復習してから、もう一度観ようかなと思う。
今度は IMAX で。
★★★★▲
2026年製作/172分/G/アメリカ
原題:The Odyssey
劇場公開日:2026年9月11日
2026.10.2
ハート・オブ・ビースト
(感想 続き)
昨日観た映画『ハート・オブ・ビースト』の
感想の追加。
これは完全にネタバレなので、
ご覧になりたい方は、ご注意を。
アラスカの奥地からの脱出を試みた
ジェームズとオーディアン(犬)。
途中、川に落ちるわ、オオカミに襲われるわで
ジェームズは満身創痍。
人里まであともう少しというところまで来て、
ジェームズはもう動けなくなる。
ジェームズは、オーディアンに「道を探せ。
お前ならできる」と伝え、何やら書いた手紙を
オーディアンのボディのポケットに入れる。
私は、オーディアンが助けを呼びに行くものと
思っていた。
ところが、オーディアンは動かない。
ジェームズに寄り添い、一晩を明かすんだ。
夜が明けて、ようやくオーディアンは、
走り出す。
ジェームズは、眠ったままだ。
実は、映画の冒頭は、オーディアンが道路の
真ん中で車を止めるシーンから始まる。
ああ、やっとあのシーンに繋がるんだ。
ここから救助に向かうのだ、と思う。
オーディアンを見つけた女性は、
ジェームズの手紙を読む。
そこには、「誰だかわからないけど、この手紙を
読んでいるということは、私はもう生きていない」
「亡骸は自然に返すので探さないでくれ」
「オーディアンのことを頼む」
と書いてあったのだ。(ほかにも色々)
それでも、まだ私はオーディアンが、
ジェームズの居場所に彼女を連れて行くと
思って観ている。
まだ助かると思っていたんだな。
が、オーディアンが女性の車に乗り、
走り出したところで映画は終わる。
ああ、ホンマに死んでしもたんやと
やっと気が付く。
そこで、なぜオーディアンは「道を探せ」と
言われたのにすぐに助けを呼びにいかなかったのかと
疑問が湧いた。
あんな添い寝なんてせずにすぐに走り出せば
間に合ったかもしれないやないか、と思った。
その疑問は、昨夜 解けないままだった。
今日、夕方歩いている時に突然謎が解けた。
ジェームズは自分は助からない、と知っていたのだ。
だから「道を探せ」というのは「助けを呼んできてくれ」
という意味ではなく、「新しい飼い主を探せ。
お前は生きろ」という意味だったんだ。
それはジェームズの手紙の文面から分かる。
そして、夜が明けてからオーディアンが走り出したのは、
ジェームズの息がすでに絶えていたからなんだ。
オーディアンは、最後まで主人のそばを離れず、
最後を看取った。
そして、次の任務(ジェームズは Last mission と
言った)である道を探すために走り出したんだね。
嗚呼、HEART OF THEBEAST(涙)
今日の洞察(おおげさ)の最大のポイントは、
オーディアンは、ジェームズの意図を全部、
理解していたんだ、というところ。
うわぁ、そういうことかぁ!と、
タイトルも一周まわって繋がったのでありました。
そんなことは、現実を注意深く観ていれば
分かりそうなものだけど、とにかく、最後には
ジェームズも助かるものだという思い込みが、
見えなくさせるんだな。
無意識の先入観の怖さよ。
おかげで二度感動できたけど。