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 つつみしんやのひとりごと 
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過去ログ

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不思議な妻

告白と笑える話
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LIVE&MUSIC
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MOVIE&PLAY
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ESSAY
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Camera & Photo
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6  7  8  9  10
11 12 13 14

写真展 1 2 3 4

BOOK 1 2 3 4

ENGLISH 1 2

Shop & Restaurant

1  2
  3 4

音楽活動とギター
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21 22 23 24-25

落語  13-14  15
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Art 1 2 3
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イタリア旅行 '14
フィリピン旅行 '14
キューバ/メキシコ'18
パリ旅行 ’19
アメリカ旅行’23
カレー 1 2 3
ハンバーグ 1
その他 1 2 3 4

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100km WALK 2023
富山マラソン 2024
写真展出展記録

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2025.5.19

福井の旅-2

福井の旅、二日目の午前中は妻の講演会に参加。
福井県勝山の人が妻を呼んでくれて実現した会。
初めて来た方も数人おられたが、
皆さん熱心な参加だった。

スタッフ達と昼食の後、解散。
泊まっていたホテルの近くに立派なお寺が
見えたので行ってみると「越前大仏」という
立派な大仏様のお寺だった。



このお寺、大仏は、勝山出身の実業家多田清
(相互タクシーの創業者)という人が
観光目的の寺院として建立。
その後に宗教法人化したらしい。
事業で成功したからと言って、こんなに大きな
(境内の敷地 22ヘクタール)ものを造ることに驚きだ。



大仏は、像高が 17メートルあり、奈良の大仏より
2メートル余りも大きく、坐像としては日本一。
(茨城県の牛久大仏は、立っている大仏で
120mあり世界一らしい。)



大仏の左右と後の三方の壁には石仏、
金仏を合せて1,281体が安置されており結構な迫力。



こんなに立派なのにあんまり有名でないのは
やはり歴史がないためだろうか。
最初からお寺だったわけではなく、最初は観光施設として
作られたということも関係があるのかも知れない。
(1987年に観光施設として創建、2002年に宗教法人認可。)


五重塔の上から大仏殿を臨む

福井旅行の後、越前大仏の話をしていたら、
たまたま兵庫県香美町出身の人がいて、
その日から聞いたのだけど、
この大仏を作った多田さんという人、
名前が名前だけにただ者ではなく、
奥様の郷里の兵庫県の北西部、香美町にも
「但馬(たじま)大仏」なるものを作られたんだ。
ビックリ。

これがまたでかい。
しかしこちらは、観光施設ではなく、
元々あったお寺を拡充したとのこと。
こちらには、15メートル超えの大仏が三体。
勝山と但馬、合わせていったいいくらのお金を投じたのだろう。
機会があれば、但馬大仏にも訪れてみたい。





2025.5.19

福井の旅-1

もう一週間以上経ってしまったのだけど、
先日2泊3日で福井に行ってきた。
妻が仕事で行くのに私も便乗したんだ。
北陸は、石川県と富山県には行ったことがあったけど
福井県は初めてだった。
2020年のゴールデン・ウィークに
福井旅行を企画し予約もしていたのだけど、
コロナのためにキャンセルしたことがあった。

福井へは北陸新幹線で行ったけど、
富山を過ぎ、金沢を過ぎ、その先が福井なので
東京から3時間以上かかるんだ。
思ったより遠い。

まず1日目。
福井駅近くの「越前ふくい美術館」。
小さな美術館で企画展示は、
「東山魁夷 京洛四季」と
「蔦屋重三郎 浮世絵黄金期を築いた人たち」を
開催中だった。

東山魁夷の作品は、川端康成に
「今のうちに京都を描いておかないと
なくなりますよ」と促され描いたという作品数点のほかに
ヨーロッパや信州で描いたものも展示されていた。
有名な「緑響く」と同じ長野県の御射鹿池
(みしゃかいけ)を描いた「緑の詩」も
展示されていおり、緑色の鮮やかさが際立っていた。
同じように池に映る木々を描いた「静映」や
比叡山を描いた「曙」も良かった。
浮世絵の方は、あまり興味が湧かないなぁ。

緑の詩


静映



美術館の後は、13世紀に道元禅師によって
開かれた有名な禅の道場「永平寺」へ。
今も多くの僧侶が修行を重ねているお寺だが、
内部を見物することができる。
予備知識なしで行ったのだが、
とても大きな立派なお寺で驚いた。
ちょっと高野山を思い起こさせる感じ。









昼食は福井駅前の「くずし割烹 ぼんた ハピリン店」で
福井の贅沢二色丼(甘エビとイカ)2,750円+酢メシ110円
ぼんた御膳(ソースかつ丼とおろし蕎麦)1,320円

ソースかつ丼のかつは、薄切のポークで
甘辛いソースに染み込んだごはんの進む味。
今まで食べたことのあるソースかつ丼とは違っていた。

夕食は勝山の「割烹 峰」。
目当ての食堂が貸し切りだったため、
急遽調べて飛び込んだ店だったのだが、
これが大当たり。

甘エビ 1,100円


ソースかつ丼(中)1,000円



東京では味わえない価格でとても満足。
近所ならリピ確定の店。
昼も夜も甘エビにソースかつ丼というチョイスに
なってしまったが、その他、エビフライや、
エビクリームコロッケも大変美味しかった。
エビ三昧の日でした。





2025.5.18

STILL ON THE RUN
THE JEFF BECK STORY




2023年に死んでしまったジェフ・ベック。
そのジェフのドキュメンタリー、
『STILL ON THE RUN ― THE JEFF BECK STORY』
2018年の DVD 発売と同時に買って観たけど、
もう内容も忘れていたので、もう一度観直した。

登場するのは、ジェフ本人はもちろん、
エリック・クラプトン、ジミー・ペイジ、
ロッド・スチュワート、ロニー・ウッド、
デヴィッド・ギルモア、スラッシュ、
ジョー・ペリー、ヤン・ハマー、ヴィニー・カリウタ、
ロンダ・スミス、タル・ウィルケンフェルドなどなど超豪華。
全員が、ジェフをべた褒め。
しかし、ビデオを観終えると、
そのべた褒めにも納得してしまう。
それだけ、ロック界、エレキギター界にジェフが
与えた影響は大きい。

ジェフは、何歳になっても永遠のロック小僧だった。
そして、孤高の人。イノベーター。
ストラトキャスターの可能性を広げた人。
ビデオを観ながら、ジェフの功績を改めて確認したよ。

興味深かったのがロッド・スチュワート。
1960年代後半、ジェフ・ベック・グループの時代。
レコーディング・スタジオらしき場所で
ロッドが マネージャーのミッキー・モストに
「どんな風に歌えばいい?」と訊くシーンがある。
私にすれば「あのロッドが?」である。
ミッキーは「好きなように」と答える。
それに対しロッドが
「そうしてみるけどイマイチなら止めてくれ」という。
なんて謙虚なんだ。
ロッドにそんな時代があったことに驚く。

90年代だったと思うが、チャゲ&飛鳥の本か
インタビューで読んだことがある。
チャゲ&飛鳥が MTV(?) のイベントか
何かの収録で確かロンドン(だったと思うがこれも怪しい)に
行った際、ロッドも出演したらしい。
その時、ロッドはリハーサルには登場せず、
リハでは代わりのシンガー(ロッドのリハ用?)が唄い、
ご本人は本番だけ唄ってさっと帰って行った。
そんな風に読んで、さすがはスーパースターは、
リハなんかしないんだ、と感心した覚えがあった。
そんなイメージだったので、若いころのロッドが
「どんな風に唄えばいい?」なんて訊くことに
驚いたんだ。

それだけじゃない。
ジェフ・ベック・グループが、フィルモアイースト
(ニューヨークのコンサート会場)に出演した際には、
ロッドが出てこなかった。
ジェフは、その日のことを「ロッドが出てこなかった
伝説の夜」と言った。
ロッドは「アンプの陰に隠れていた」と明かす。
「本当の話(absolute true story)」だと。
その理由がまた驚き。
アメリカで黒人シンガーのように唄うことに
ビビッていただんだ。
本物がたくさんいるのに、物を投げつけられるかも知れない。
「インチキ!(fake)」ってやじられるかも知れないと。
あのロッドが、そんなに弱気なことがあったのか、と
これまた新鮮な驚きだった。
(その夜のギグがどうなったのか知りたいけど、
その部分には触れられていない。)
英語で何と言っているのか分からないので、
この字幕の訳がどこまで本人の話したニュアンスを
表現しているかどうかは分からないのだけどね。

ウッド・ストックのコンサートへの出演が決まっていたのに、
ジェフとロッドがうまく行かなくなっていた時期で、
これまたジェフは、直前に出演をキャンセルしてしまう。
(ヤードバーズ時代にもツアー中にやめて帰ってしまった。)
そのことを、ジェフもロッドも「出演しなくて正解だった」と
振り返っているのも興味深い。
それだけウッドストックのコンサートに
大きな意味があったということでもあるのだけど、
出演していたらしていたで、きっと伝説のステージに
なっただろうな。

ジェフベック・グループのあとに組んだ BBA
(Beck, Bogert & Appice)が行き詰まり、
これまた解散したあと、アルバム『Blow by Blow』の
ヒントを得るのが、ラジオから流れてきた
マイルス・デイヴィスのアルバム『JACK JOHNSON』での
マイルスとジョン・マクラフリンの共演だった。
シンガーを求めて、どのバンドも長続きしなかったジェフが
シンガーはもう必要ない、と気付く瞬間の話だ。
BBA の解散で「みじめな人生に逆戻り」と感じていた
ジェフは「扉が開いたのを感じた」と言う。

アルバム名を『Blow by Blow』と名付けたのは、
プロデューサーのジョージ・マーティンで、
ジャズでは即興のことを「Blow」と呼ぶことから
付けたらしい。
発売当時、邦題は『ギター殺人者の凱旋』。
意味不明や。
高校生の時に LP レコードのオビに
大きくそう書かれていたのを買った覚えがあるよ。

DVD はジェフの言葉で終わる。
「家のあちこちにギターを置いている。
弾くのを忘れないように。
ギターは絶え間ない挑戦だ。
手に取るたびに覚えたてのふりをする。
効果あるよ」

ボーナス・ディスクのライヴ映像(2007年の
モントルー・ジャズ・フェスティヴァル)は、
演奏は素晴らしいのだけど、音質があまり
良くなくて、迫力が伝わってこないのは残念。
ベースがタル・ウィルケンフェルドなのは嬉しいけど
ベースの音が物足りないねん。


私がジェフの演奏で大好きな
『Cause We've Ended As Lovers』は、
邦題を「哀しみの恋人たち」という。
粋な訳だと思う。
私なりの意訳は「うちら、別れたんやから」。
スティーヴィ-・ワンダーが、
元奥さんのシリータに書いた曲。
シリータの唄う歌詞の意味は分からないのだけど、
私には原曲よりジェフの演奏の方が、
哀しみ度が高く、エモーショナルに感じる。
この曲を録音した時、ジェフは30歳だった。

Syreeta - Cause We've Ended As Lovers

Jeff Beck - Cause We've Ended as Lovers
Composer : Stevie Wonder
Producer : George Martin
Drums : Richard Bailey
Keyboards : Max Middleton
Bass : Phil Chen





2025.5.7

教皇選挙
CONCLAVE




奇しくも今日5月7日(日本時間)の夜から
実際に次のローマ教皇を決める選挙が始まったのだが、
その「教皇選挙」を題材にした映画を観てきた。
タイトルはそのものずばり『教皇選挙』。
アカデミー賞の8部門でノミネート、
「脚色賞」を受賞した作品だ。

映画の公開時期と、ローマ教皇の死が
重なったこともあってか、映画はヒットしており
今日も平日にも関わらず、13:45からの回が
ほぼ満席だった。
TOHO シネマズで観たので、TOHOウェンズデイ
(水曜日は1300円)ということも手伝ったかも
知れないが、実際に満席の回もあるらしい。

監督は、エドワード・ベルガー(ドイツ出身)。
「『西部戦線異状なし』の……」とあったので
さぞかし高齢の監督かと思ったら、1970年生まれと
いうから、まだ55歳だった。
『西部戦線異状なし』は、ずい分古い映画なので、
そう思ったのだけど、エドワード・ベルガーが
監督したのは 2022年で、この映画は、
1930年公開の映画、1979年放送の映画に次ぐ
三度目のリメイクだったようだ。
(一度目、二度目の監督はすでに他界している。)

さて、『教皇選挙』。
「制作に4年費やした」と監督は述べたらしいから、
まさかローマ教皇の死に合わせて作ったわけではあるまい。
私のようなローマ教皇やバチカンにさして興味のない人間には、
ローマ教皇の死去がなくても、十分に面白い映画だと思う。

映画は、ローマ教皇が死んだところから始まる。
教皇が亡くなると、次の教皇を選挙で決めるのだが、
その選挙のことを「コンクラーベ(CONCLAVE)」といい、
映画の原題にもなっているし、セリフにも出て来る。
このコンクラーベは、枢機卿(すうききょう)の投票に
よって決まるのだが、投票総数の3分の2以上を
得る人物が出るまで、投票が繰り返される。

映画では、108人の枢機卿による投票で、
何日にもわたって、何度も投票が繰り返され、
「コンクラーベ」って「根競べ(こんくらべ)」みたいと
思ったが、もちろん「根競べ」とは関係ない。

映画の公式サイトには、用語解説があり
語源も含めこう書かれている。

【教皇選挙/コンクラーベ】
「新教皇を選出する選挙。
名称の由来はラテン語のCUM(共に)
+CLAVIS(鍵)=「鍵と共に」で、「秘密の場所」を指す。
数日に渡る選挙期間中、枢機卿(投票者であり
候補者でもある)は隔離され、外部との接触や
電子機器の使用を禁じられる。」

(ちなみに、今日から始まったという、
現実のコンクラーベには、教皇庁の発表によると、
133人の枢機卿が参加、89票以上を得た人が
次の教皇に選ばれるらしい。)

ローマ教皇になるような人は、どんな人格者かと
思うのだが、映画で描かれている枢機卿達は、
ごくごく普通の「人間」。
ローマ教皇になりたい野心家は、票を金で買う。
他候補の足を引っ張る。
政治でも教会でも人間の考えることは同じだ。
「教会」と「信仰」は違うのだ。
主人公のローレンス枢機卿は、
選挙の管理人であり、自らも候補者で投票者。
自身は、教皇になりたいとは思っていないが、
誰がなっても良いとは思っていない。

数人の候補者をめぐって物語は進んでいくが、
途中まで先が読めない、エンターテイメント・
ミステリーに仕上がっている。
さて、誰が教皇に選ばれるのか。

面白い映画だったが、前半、人の名前が覚えられず
よく意味が分からなかった。
これから見ようと思う人は、公式サイト
せめて登場人物の相関関係図を予習してから
見ることをお勧めする。
あと「枢機卿」。
これも漢字が読めなくて「〇▽◇きょう」と
ごまかしながら見ていたが、前述の通り
「すうききょう」と読む。
教皇に次ぐ高位聖職者のこと。

公式サイトには、期間限定OPENとして
「キーワード徹底解説」もある。
ネタバレなので「本編鑑賞後にご覧ください」と
なっているが、これは復習としてとても親切。
全く気付かなかったことも書かれており、
大変理解が深まります。

出演は、主人公のローレンス枢機卿に
『シンドラーのリスト』『イングリッシュ・ペイシェント』の
レイフ・ファインズ。
ベリーニ枢機卿に『プラダを着た悪魔』のスタンリー・トゥッチ
ジャン・レノかと思ったテデスコ枢機卿は、
イタリアのセルジョ・カステリットという俳優だった。


★★★★☆


2024年製作/120分/G/アメリカ・イギリス合作
劇場公開日:2025年3月20日





2025.5.6

アルトラ 買いました

当たり前のことだが、歩いたり走ったりするのに、
靴はとても重要なツール。
しかし、スピードや快適さを追い求めるあまりに
現代の靴は、本来の人間の足が持っている力を
奪ってしまっている。
『歩く マジで人生が変わる習慣』 (池田光史著)
読んでそんな風に感じた。
その本で、知ったアルトラ(ALTRA)という
アメリカのシューズ・メーカーがある。
昨年のフルマラソン用に買ったアシックスの
シューズは、ちょっとクッションが良すぎるような
気がしていたのだが、その本を読んで、
俄然 アルトラのシューズに興味が湧いた。
銀座に世界初となるアルトラのフラッグシップ
ストアが、この2月にオープンしていたので、
GW中の一昨日に行ってきた。

ショップに到着したのは、午後3時ごろだったと
思うが、入店の人数を制限しており、外に
5~6人が並んでいた。

20~30分ぐらい待っただろうか、
ようやく店内に入れたが、それからもスタッフが
先に来ている客の対応が終わるまで、しばらく待った。

マラソンの初心者であることを伝え、
スタッフの説明を聞いてから、試着してみた。

アルトラの靴は、「ゼロドロップ」といって、
かかととつま先の高低差がないものがある。
それが理想なのだけど、かかとが高い靴に
慣れている者がいきなりゼロドロップの靴で
走ると足を傷めることがあるので、徐々に
慣らしていった方が良いらしい。
そういう初心者向けの靴があるんだ。
4ミリかかとが高い「EXPERIENCE」という
シリーズで、適度なクッションもある。

で、購入した靴「EXPERIENCE FLOW」がこれ。






靴の形が足の形

靴底の厚みを「スタックハイト」というらしい。
この靴のスタックハイトは、つま先側が 28ミリ、
かかとが 32ミリで、ドロップ(厚みの差)が
4ミリというわけだ。

調べてみると、昨年買ったアシックスの
「GEL-KAYANO 31」は、靴底の最大の厚さが
約 40ミリと記載があった。
かかと側のデータが記載されていないので、
ドロップは分からない。
一昨年、100キロウォークのために買った、
ニューバランスのウォーキング・シューズ
「MW880」は、調べてみたけど、
「スタックハイト」は、公表されていないようだ。

ALTRA の店では、靴に値札が付いていなかった。
事前にネットで見た感じでは、2万円台前半という
印象だったが、EXPERIENCE FLOW は、17,600円。
ちなみに、アシックスの GEL-KAYANO 31 は20,900円、
ニューバランスの MW880 は、12,100円。(全て税込)

今年もフルマラソンを走ることにした。
先日、11月の福岡マラソンに応募したが、
人数が多いと抽選になる。
6月の末には結果が出る予定だ。

暖かくなってきて練習を再開していたので、
昨日 新しい靴で走ってみた。
クッションの少ない分、少し足に衝撃があるような
気もするが、5キロ程度のスロージョグでは、
あんまり分からない。
でも、気分が大事だからね。

ところで、アルトラのショップで店員に
「どこで(アルトラを)お知りになりましたか?」と
訊かれた。
お店には前述の本『歩く マジで人生が変わる習慣』が、
置いてあったので「あの本で知りました」と
答えると「そういうお客様、多いです」と言っていた。
そうだろうなと思う。
歩くことに興味があって、実際に歩いている人なら、
本を読めば「その靴、履いてみたい」と思うだろう。
ただ、本では「アルトラの宣伝か」と思うほどの
書き方もされていたのは少し気になった。
著者が、それだけ アルトラに惚れ込んだと
いうことだろうけど。

お店に行ったのが日曜日だったので混んでいたけど、
平日ならそれほどでもないらしい。





2025.5.4

硲伊之助展
@アーティゾン美術館




京橋にあるアーティゾン美術館に行ってきた。
開催中の3つの展覧会(硲伊之助展、
ゾフィー・トイバー=アルプとジャン・アルプ、
石橋財団コレクション選 コレクション・ハイライト)
のうち、硲(はざま)伊之助展に興味があった。
硲伊之助展では、本人の作品とともに
マティスやピカソ、ゴッホなどの作品も展示されていた。

硲伊之助(1895-1977)は、製作活動の傍ら
西洋美術の紹介にも尽力し、マティスの日本での
はじめての展覧会(1951年)の実現のため
作家との交渉に携わるなど、実務家としての
一面もあわせもっていたという。

マティスを師としたのも分かる作品も数点あったが、
私が一番気にったのは、チラシにも使われている、
「燈下」というこの作品。



1941年の作というから太平洋戦争の始まった年の作品。
キャプションには、こうあった。

「アデリアとの関係が破綻した後、硲のミューズと
なったのが、この石塚二味子(ふみこ)であった。
たびたび作品のモデルをつとめた石塚は、
ソプラノ歌手志望であったというが、絵も描いており、
(中略)才能あふれる石塚はのちに30代で亡くなり、
その直後、硲は最愛の人が眠る墓のそばへ
わざわざ引っ越したといわれる。」

「最愛の人」であったことが分かるほど、
この絵の中の女性は、生き生きとしており、
眼差しがリアルで、魂が宿っている。

硲の作品は、風景画も良かったが、
この「燈下」の他にも、「黄八丈のI令嬢」や
「A・K像」(海部公子の像)など、
魅力的な肖像画が数点展示されていた。


黄八丈のI令嬢(1944年)


ボナティ氏像(1947年)


A・K像(1959年)


こちらは、1951年、硲が関わった日本初の
マティス展のポスター。
何と地味な、と思うが、マティスの直筆の
メッセージも書かれている貴重なものだ。





マティスからの直筆の書簡も展示されていた。

硲は晩年、石川県加賀市に移り住み、
九谷焼を創作した。

56・4センチ、7,880グラムもある
「九谷上絵 鳥越村採石場大皿」(1975年)



九谷焼で、描かれているのも日本の風景だと
思うが、不思議となぜか異国情緒も感じる。

硲伊之助のことは、このたび知ったが、
東京での回顧展は初めてだという。





2025.5.3

そんなに重要ですか?

私の母は、今年11月の誕生日で 90歳を迎える。
父も姉も亡くなり、母は今、大阪の老人ホームにいる。
私が誰か分からないほどボケてはいないが、
記憶力はかなり落ちている。

ちょっと前に実家を整理していて、
母の生命保険の証券を発見した。
「個人年金保険証券」と書かれていて、
時期が来ると年金がもらえるようなタイプのようだが、
死亡保険金についても記載があった。
保険に詳しい人が見れば分かるんだろうけど、
この保険が今も生きているのかどうか私には分からなかった。

今も有効な保険なら、父も姉も死んだので、
受取人の名前を変更する必要もあるので、
母に聞いてみたが、母はその保険のことを
全く覚えていなかった。

私は、保険証券に書かれたフリーダイヤルに
電話をし、自分が保険契約者の長男であること、
死亡保険金受取人の一人であること、
母がこの保険について覚えていないことを説明し、
この保険が、今も有効なものなのかどうかを尋ねた。

が、電話口の担当者は、本人でないと教えられないという。
手元に証券があるので、情報は全て分かっていて、
私が保険に疎いものだから、保険が有効かどうかだけで
良いんですと言ってもダメ。
「ご本人に電話してもらうことはできますか?」
「母は、スマホの使い方を理解しておらず、登録していない
番号にかけるのは、難しいです」というと
「少々お待ちください」と上司と相談しているのか待たされる。
(やり取りの中で、2、3回待たされた。)
しかし、やはり教えてもらえなかった。
最終的に「ご本人と一緒に電話できますか?」というので
大阪に帰った時に本人の目の前で電話をかけることにした。

もし、保険が消滅しているなら、それだけ教えてくれたら、
もうその件について、電話する必要もないし、解決なので
なんと融通が利かないんだろうと思ったが、
おそらく規則なのだろう、電話口の担当者に
文句を言っても仕方がない。
でも、私はこらえきれず、
「これで母と電話して、その保険が終わっていたら
爆笑ですね」と言ってしまった。

それから一週間ぐらい後、大阪の老人ホームから
件のフリーコールに電話をし、母に電話を変わった。
母の本人確認の後、息子の私にこの保険のことを
委任しても良いかを尋ねられ、母が「はい」と答えると
ようやく担当者(前に話した人と同一人物かどうか
分からない)は、ようやく教えてくれた。

その保険は「すでに支払い済みで消滅しています」と。

「ねえねえ、保険屋さん、
今電話で話した人が、あんな質問(生年月日と
住所ぐらいだった)だけで、何で本人だって分かるの?」
と、言おうかと思ったけどやめた。

さて、皆さんはどう思う?
この「保険は消滅しています」という情報は、
そんなに大事な、守られなければならないことなんやろか?
私の想像力の欠如かもしれないので
それを私に言うことで、どんな好ましくない事態が
起きうるのか誰か説明して欲しい。

もし母が死んでから保険証券を見つけたとしても、
「ご本人でないと教えられません」と言うんやろか?
それは、あまりに皮肉が過ぎますか?





2025.5.2

安野光雅

今年1月に丹後(京都)を旅した。
1月25日のエントリーに私はこう記している。

「丹後に行こうと思いたったのは、昨年10月の中頃だった。
インターネットで偶然、安野光雅という画家を知り、
丹後に安野光雅館があることを知ったら
どうしても 行きたくなったんだ。」

先日、自分の書いたこのひとりごとを
読んでいたら、4年前に安野光雅について
書いているのを発見した。
2021年2月24日のエントリーにこう記している。

「先日、テレビを点けたら、
NHK の日曜美術館という番組で
安野光雅さんという画家の特集を放送していた。
私は、安野さんのことを知らなかったが、
その細かい画風にとても惹かれた。
早速、絵本を買ってみた。
「旅の絵本 VIII」に描かれた日本の風景は、
どこか懐かしく、コミカルな面もあり、
飽きさせない。
ストーリーがあるようで、ないような、
不思議な絵本。」

なんと4年前に安野光雅を知り、
絵本まで買っていたのだ。
その絵本は、翌年の引っ越しの際に
荷物を減らすために、ブックオフで処分した。



もう本当に記憶力が劣って来ていて、
ミュージシャンや画家、写真家など新たに知る
人の名前を覚えられなくなっていてる。

あの絵本の画家の名前は? と訊かれても
全く出てこなかっただろう。
もちろん絵本のことははっきり覚えている。

1月の丹後旅行での安野光雅館の感想を私は
「安野は、たくさんの絵本の挿絵を書いているが、
絵本の挿絵より、ヨーロッパや京都を
描いた絵の方が断然良い」と書いている。
が、そこにあった絵本の挿絵は、
私が買った絵本の絵とは違ったんだ。
挿絵は本当に挿絵だけれど、私が買った
「旅の絵本」は、挿絵という感じではなく、
細かい、圧倒的な絵だった。
あの絵本のような絵があれば、きっと気が付いた
はずなのだけど、そこで観た挿絵は、その絵本と
ちょっと違う画風のものだったので、
全く結び付かなかった。
分かってから見ると、共通点があるんだけどね。


洛中洛外の一枚「鴨川上流」

4年前のエントリーにも
「京都の丹後に安野光雅館、
島根県津和野町に安野光雅美術館がある。
どちらも行ってみたい」と書いている。

ちょっと自分のことなのにびっくりして呆れた。
でも安野光雅が、色んな絵を描いていることが
分かって良かった。
今度は、島根県の安野光雅美術館に行こう。


[ 関連エントリー ]
2021.2.24 安野光雅
2025.1.25 丹後の旅 1





2025.5.1

JOHN SCOFIELD SOLO



昨年の来日公演から、一年も開けずに
ジョン・スコフィールド(略して「ジョンスコ」)が来日。
ジョンスコのライヴは何度か観ているが、
ソロ・ギターのショーは初めて。
確かコロナ禍でセッションができなくて
始めたんじゃなったかな。

ソロ・ギターのアルバムは未聴で、
YouTube では演奏を聴いたことがあった。
ルーパーを使うことも知っていたけれど、
実際に聴くと思っていた以上に素晴らしかった。
最後は、スタンディング・オベイションで
今日が公演最終日だったジョンスコは
「wonderful audience」と何度も言っていた。

ジョンスコは、ルーパーを駆使し、
ディレイやモジュレーション系も使い、
独特の世界を聴かせてくれた。
特にルーパーは、ルーパー音がデクレシェントして
いったり、リバース音が流れたりと、
現代ならではのソロ・ギター演奏だった。

一番印象に残ったの曲が、スタンダードで
聞き覚えのある曲だったけど、タイトルが思い出せない。
スイングやグルーヴは、自分が創り出すものだと
改めて痛感した。

ジョンスコは、1978年、Charles Mingus に
録音に呼ばれてスタジオに行った時の
想い出話をしてくれた。
私の聞き間違いでなければ、要約するとこんな話。
それは20人以上の録音で、録音してからコントロール
ルームでプレイバックを聴こうとしたけど、
コントロールルームが混んでいたので家に帰ったんだ。
チャールズと話さずに。
そしたら、チャールズは死んじゃった、
というような話だった。
そして、チャールズ・ミンガスの
"Goodbye Porkpie Hat" を演奏。
(調べてみると、1977年の録音だったみたい。)

ほかには "Blue In Green"(Miles Davis)、
自分は「Bad singer」だと言って唄った(というか
歌詞を読んだというかラップみたいにも聞こえた)
"There Will Never Be Another You"。
これも良かったなぁ。

本編最後は、"Danny Boy" からのロックっぽい
リフに乗せて、ジョンスコが暴れまくる!
アンコールでは、「my favorite song」と紹介した
"Alfie" をしっとりと聴かせてくれた。

終演後、機材の写真を撮りにステージに近づいたら、
セットリストもあったのだけど、その通りではなかったみたい。
件の曲のタイトルは見当たらず。

ギターは、いつもの黒の Ibanez。
機材は分かる範囲で、ルーパーは、Boomerang。
オーバードライブは、たぶん CENTAUR(ケンタウルス)。
コーラスは、たぶん JAM Pedals の Water Fall。
アンプは、Fender の Deluxe Reverb を2台。

(写真は、暗くてきれいに写らないので無理やり
見えるように編集してます。)








ジョンスコもキャリアは50年を超え、
現在 73歳。
もはや巨匠の貫禄ですわ。


[ MEMBER ]
John Scofield (g)

@ Blue Note Tokyo
2nd show


エリック・クラプトンの8公演を含め、
25日間に15回のライヴ、コンサートに行くという
怒涛のライヴ月間が今日で一段落ついた。
まあ、自分でもよくやるなぁと思うが、
「やりたいことは全部やる」と決めた。
満足です。





2025.4.30

ハコウマに乗って
西川美和 著




映画監督の西川美和さんのエッセイを読んだ。
コロナ禍真っ只中(2021年)に公開された
西川監督作品『すばらしき世界』を
一年ほど前にビデオで観た。
色々考えさせられる作品で、鑑賞後のエントリーには、
「西川作品では『ゆれる』が一番好きだったけど、
『すばらしき世界』が抜いたな」と書いた。
それから間もなくこの本を買った覚えがあるが、
数十ページ読んでほったらかしになっていた。
途中で読むのをやめたしまったせいか、
何となくあまり面白くなかった様な印象があったのだけど、
再度読み始めてみたら、なぜ途中でやめたんだろうと
思うほど面白かった。
こういう時、自分は あてにならないなと思う。

本書は、2018年12月から2023年12月までに
ふたつの雑誌に連載されたエッセイを集めたもの。
その時期、2020年から2022年と言えば、
コロナ禍の真っ只中。
エッセイの性格上、時事的な話題も多い。
読みながら、そんなこともあったたなぁと
遠い昔の様に感じる。
喉元過ぎればなんとやら。
とはいえ、ここに記された言葉は、映画監督としての
心情の吐露であると同時に一国民の心境であり、
国民の代表意見でもある様にも思う。
そして、あのパンデミックにおける、ある側面の記録でもある。

西川監督作品は、『ゆれる』、『ディア・ドクター』、
『夢売るふたり』、『永い言い訳』を劇場で観ており、
日本人監督の中では、是枝監督と並んで、
作品をよく観ている監督だと思う。
西川監督は、是枝監督の弟子なので、
人間を描く根底に何か共通項があるのかも知れない。
『永い言い訳』は原作小説も監督の筆によるもので
小説家でもあるわけだ。
『ゆれる』の方は、映画の後に監督自身により
ノベライズされている。
映画監督だけではなく、文学の才能も発揮されている。
エッセイも面白いはずだ。


★★★★☆




珠玉の東京富士美術館コレクション
西洋絵画の400年
名古屋市美術館




昨日は、アサド兄弟のコンサートで名古屋に行った。
コンサートは、15時半ごろに終わったので、
すぐに帰るのはもったいないなと思っていたら、
会場のすぐ近くに名古屋市美術館があり
「西洋絵画の400年」なんて展覧会を開催中
だったので、観に行ってきた。
「東京富士美術館コレクション」なので
名古屋で観んでもええのかも知れんけど。
(東京富士美術館は八王子にある。)

その東京富士美術館のコレクションから
83点が展示されていた。
「400年の歴史」ということで、16世紀から18世紀の
作品も多く、その時代の作品、宗教的な作品や
貴族(?)の肖像画などには、興味がないので
その辺はすっ飛ばして、19世紀後半あたりに
期待していたけれど、残念ながら、
新しい出会いと呼べるものはなかった。
展覧会の楽しみの一つは、今まで知らなかった
(自分が好きな)作品に出会えることだけど。

ゴッホも1枚「鋤仕事をする農婦のいる家」が
展示されていたけれど、あんまり好きじゃない、
暗い絵の時代のだったし、
モネの「睡蓮」が目玉なのかも知れないけど、
展示されていたものは、「睡蓮」にしては
あまり大きくなく迫力に欠ける。(チラシの画像の作品)
「睡蓮」自体をそんなに好きでもないし。

そんな中でもジョアン・ミロというスペインの
画家の「改革」は印象に残った。



これは、確かミロの出身地であるカタルーニャ地方を
描いたとキャプションにあたように思う。
真ん中のヤシの木、乾いたビルの感じが好きだな
手前には人と犬が描かれている。

調べてみると、ピカソっぽかったり、
なんだか子供の絵みたいな作品が多い
この絵は、他のとちょっとタッチが違う。
そして、何と東京都美術館で ミロ展を開催中だ。
これは観に行かなきゃ。





2025.4.29

アサド兄弟



22年ぶりの来日のアサド兄弟。
結成60周年のブラジル出身の兄弟ギターデュオだ。
兄のセルジオは現在ニューヨーク在住。
弟のオダイルはベルギー在住。
25日の東京公演は、行けなかったので、
勢いで名古屋のチケットを買った。
アサド兄弟を観るのは初。
たぶんもう機会がないかも知れないので、
観ておきたいとは思ったのだけれど、
彼らの大ファンという訳でもないので、
果たして名古屋まで行ってどうだろうと
やや不安もあり、睡魔の襲来で
聴きたいのに爆睡で終わるという最悪の事態も
想定の上、名古屋まで行ってきた。

結果、往復約5時間と交通費を
かけてでも行って良かった。
素晴らしい演奏で、大満足し最後には
感動をもらって終わった。
途中、数曲うとうとしてしまったのは、
もったいなかったけど。

会場は、電気文化会館 ザ・コンサートホール。
キャパ400人弱のホールで、前から8列目
(真ん中より前)という良い席だった。
PAなしの生音のみね。


開演前

前述の通り、この兄弟デュオは、今年結成60年!
ご本人たちも「今年はスペシャルな年」と言っていたよ。

兄弟という血の繋がりの上に60年という年月が
そうさせたのか、はたまた結成当初から
そうだったのかは分からないけど、
私にはふたりの演奏とは思えなかった。
ひとつの魂が、ふたりの肉体を使って
演奏している、とでも言えば良いかな。
通常の演奏では「相手を良く聴いて」なんてことを
言われるけど、聴こうが、聴くまいが、
ひとつの魂が演奏しているので、合わない訳はないのだ。
ふたつのギターが、完全にひとつの音楽を
奏でているという感じだった。

一応、弟のオダイルがメロディを、兄のセルジオが伴奏を
弾く場面が多かったけど、ゴンチチの様に明確な
役割分担ということでもなく、時には入れ替わったり
しながら演奏は進んだ。
指板を見ながらなので、やや俯き加減なオダイルに対し、
セルジオは、時折り視線を上げて宙を見つめる。
さながら音楽の妖精を探しているのか、
追いかけているのか、見つめているのか、
何とも言えぬ表情で宙を見ていた。

曲は、オリジナルから、ピアソラやブラジルの
作曲家の音楽。
一応、彼らはクラシックにジャンル分けされて
いるようだけど、私にはクラシックというより南米音楽。
あ、これ何かに似てると思ったら、アルゼンチン出身の
Guillermo Rizzotto(ギジェルモ・リソット)だったり。

予定のプログラムを終了し、一旦舞台袖にはけると、
鳴り止まぬ拍手に応えて登場。
ギターを持たずに出てきたので、
あゝアンコールはないのか と思った。
が、それでも鳴り止まない拍手に応えて
今度はギターを持って登場しアンコール。
その曲が終わると、一旦舞台袖に下がった後、
再び拍手に応えて ギターを持たずに登場。
が、それでも鳴り止まない拍手に
またギターを持って登場し、2度目のアンコールを演奏。
その曲が終わると、またもやギターを持たずに登場。
さすがにもう終わりだろうと思った客が
パラパラと立ち始めるも、三たびギターを持って登場。
なんと、3度目のアンコール!
最後は、日本の映画のために書いた
「組曲『夏の庭』より さようなら」 。
きっと疲れているだろうに「明日、家に帰るんだ」と
言いながら、3度ものアンコールに応えてくれた。
それだけ、拍手喝采が大きかったということでもある。
彼らも観客にあれだけ熱烈に拍手されて
本当に満足だっただろうな。

プログラムは後述するが、本編の後半2曲以降は、
アンコールも含めて楽譜なしね。
今年、73歳のセルジオと69歳のオダイル。
こういう音楽は、何歳ぐらいまで演奏できるんだろうか。
ジャズやロックなら、80歳を超えても曲を選べば
演れるだろうが、技術的に衰えたら、
もう演奏できない音楽だと思う。
これは、本当に観られて良かったよ。


[ プログラム ]
1. ピアソラ:《トロイロ》組曲より バンドネオン、シータ
2. セルジオ・アサド:3つのブラジルの情景
(1) カランゴのご紹介
(2) オウロ・プレット
(3) チコ・レイのコンガーダ
3. ニャターリ:ワルツとコルタ・ジャカ
4. セルジオ・アサド:組曲《リオの1週間》
(1) 月曜日のチャカラ・ド・セウ
(2) 火曜日のコルコバード
(3) 水曜日の現代美術館 (MAM)
(4) 木曜日のフォホー
(5) 金曜日のラージェ公園
(6) 土曜日のセメンテ
(7) 日曜日のマラカナン
5. ヴィラ=ロボス:ブラジルの魂
6. セルジオ・アサド:ディアンスと3つの時
(1) 北のローラン
(2) シャンソンとローラン
(3) 南のローラン
7. ジスモンチ:パラーソ、やくざなバイヨン
8. セルジオ・アサド:タヒヤ・リ・オーソリナ
(アンコール)
9. セルジオ・アサド:メニーノ (MENINO)
10. アントニオ・ラウロ:ナターリア (NATALIA)
11. セルジオ・アサド:組曲「夏の庭」より さようなら

@ 電気文化会館 ザ・コンサートホール(名古屋)







2025.4.28

版画家が刻んだ昭和の彩り
―館蔵版画集を中心に―
@昭和館




昨日、クラプトンのコンサートの前に
九段下にある昭和館に行ってきた。
昭和館は、その名の通り昭和に焦点をあてた
様々な展示をしているところ。

大好きな川瀬巴水の作品も展示されて
いるようなので、覗いてみたんだ。
この特別企画展は入場無料だし、
美術館ほどたくさんの展示ではなかったけど、
こんなにたくさんの版画家いたんだと思った。

川瀬巴水の作品は、その中でもやはり
際立っていたと川瀬好きの私には映った。
それ以外では、ノエル・ヌエットというフラン人
版画家の「隅田川」という作品が、
とても繊細で気に入った。
川瀬にも通じるものがある。
他の作品も見てみたい。

他の版画家の作品を観て気付いたのだけど、
私が川瀬やノエル・ヌエットの作品に魅かれるのは
版画なのに版画っぽくない所かも知れない。
例えば、棟方志功のように「THE 版画」というのも
それはそれで魅力があるのは間違いない。
今回展示されている多くの版画が、
一目で版画と分かる作品なのだけど、
川瀬やノエル・ヌエットの作品は、
その版画っぽさがあまりない。
絵画のようでもあるけど、ちょっと違う。
そのタッチが魅力的なのかなと思った。

ノエル・ヌエット『隅田川』



Wikipedia より。
ノエル・ヌエット
(Noel Nouet、1885年3月30日 - 1969年10月2日)は、
フランス、ブルターニュ出身の詩人、画家、版画家。
40歳から75歳までの約36年間、日本で
フランス語教師として方々の学校で教える傍ら、
詩集の出版をはじめとして様々な執筆活動を行った。
晩年はフランスに戻り生涯を終えた。84歳没。

日本にとても縁のあった人でした。





2025.4.27

ERIC CLAPTON
エリック・クラプトン 第八夜(追加公演2)
< 最終公演 !>



エリック・クラプトン来日公演の第八夜。
ついに最終公演が終わってしまった。

昨日のグッズ売り場は、開演40分ぐらい前だったと
思うけど、Tシャツや小物は売り切れており、
パンフレットとボストンバッグしか売っていなかった。
今日は、やはり開演40分ぐらい前だけど、
もうパンフレットしか売ってなかったわ。
追加公演だから仕方ないのかも知れないけど、
Tシャツとか欲しかった人は、残念だったろうな。
私は、初日と2日目にTシャツとマグカップを買ったよ。
年を取ってきて、もうこういうモノは、要らんように
なったと思いながらも、なんか欲しいねんな。
大分買わなくなったけど。

さて、今日の席は、S席 スタンド1階 南A列 13番。
南というのは、ステージの正面なのだ。
その1階1列目。


開演前



確か TOTO や QUEEN をこの南1階最前列で
観たことがあるが、ステージまではそれなりの
距離があるものの、個人的には武道館で
一番見やすい良い席だと思う。
最終日がこの席だというのもなんだか嬉しい。

さてライヴはどうだったかというと、
セットリストは昨日と全く同じ。
最終日ということで私が気持ちが入って
いたのかも知れないけれど、1曲目
『White Room』のイントロのイントロからして
エリックの気合を感じた。
明らかに前7回とは違うフレイズを弾いていたよ。
その流れなので、ソロも初日しか観なかった人が
気の毒なほど、良かった。
総じて、この3公演は、甲乙つけがたい出来だが、
今日は最終公演ということもあってか、
観客のテンションは、一番高かったように思う。

エリックは、8日間通して紺色のジャケットに
黒っぽいパンツ。
シャツは、白の日や青い日があったけれど。

『Sunshine of Your Love』のリフは、
いつもより歪んでいなかったのは、意図的なのかな。

『Winderful Tonight』では今日は、イントロの
あのメロディは、ドイルに弾かせ、エリックは
アルペジオにまわった。

本編最後の『Cocaine』でドイルは、EBOW を使用。
これも もしかしたらレアなことかも。

終演後、深々とお辞儀をするエリックに
なんだか意味不明に恐縮し、感動してしまった。

この2週間に8公演、1回1時間45分として
合計にすると約14時間、エリックと同じ空間で過ごし、
ステージを観て、ギターを聴き、声を聴いた。
ギタープレイには、全盛期に比べて衰えを
否定できないものの、歌に関しては、
80歳とは思えない声だった。
もちろん、それでも40代50代と比べると
本人的にはしんどいのだろうけどね。
それが『Layla』を演らないひとつの理由かも
知れないし。
でも、そんなことは関係ないメッセージを
日本のファンは受け取ったと思う。

25,000円×8公演は安くないけれど、
ロンドンに行くより安いと思って思い切った。
でも、8公演14時間も観るなど、
ロンドンまで行ってもそんなことは出来ない。
エリックが、日本に来てくれたおかげだ。
それは、昨日も書いたけど、ウドーさんという
日本人との関係があってのことでもある。
そんなことは、表面では分からない。
この世界は、知らないところで、知らないことが、
複雑に絡み合って成り立っているんだ。
知らないところで。
知らないことが。


エリック、ありがとう。
たくさんの想い出をありがとう。
素晴らしい音楽をありがとう。
あなたのおかげで、あなたの影響で、
私はとても良い青春を、良い人生を送れたよ。


[ MEMBERS ]
Eric Clapton (g,vo)
Nathan East (b, vo)
Sonny Emory (dr)
Doyle Bramhall II (g,vo)
Chris Stainton (key)
Tim Carmon (key)
Katie Kissoon (vo)
Sharon White (vo)

@ 武道館

[ SETLIST ]
( Electric set )
01. White Room
02. Key to the Highway
03. I'm Your Hoochie Coochie Man
04. Sunshine of Your Love
( Acoustic set )
05. Kind Hearted Woman Blues
06. Golden Ring
07. Nobody Knows You When You’re Down and Out
08. Can't Find My Way Home
09. Tears in Heaven
( Electric set )
10. Badge
11. Old Love
12. Winderful Tonight
13. Cross Road Blues
14. Little Queen of Spades
15. Cocaine
( Encore )
16. Before You Accuse Me


エリックがテレビ局のインタビューで
「日本人で注目しているギタリストは?」
という質問に「ソエジマトシキ」と答えた話は
先日 書いたけれど、ソエジマさん、エリックと
会って話せたんだね。
本当に凄いことです。
こんなことは普通ではないです。

人生本当に何があるかわかりません





2025.4.26

ERIC CLAPTON
エリック・クラプトン 第七夜(追加公演1)




エリック・クラプトン来日公演の第七夜。
いよいよ追加公演のスケジュールに入った。

本日の席は、アリーナ B-6 の106番。
Bブロックの最後列だが、ど真ん中で、
前から数えて 21列目。
真正面にエリックが立っている。


開演前



隣のおにいちゃんが『Wonderful Tonight』を
大声で唄うのは、やめて欲しかったな。
これ、合唱する曲ちゃうしな。

セットリストは、一昨日と全く同じ 16曲だった。
今回は、毎回少し違っていたので、
同じセットリストは、初めて。

一昨日、6公演の中で一番良かったと書いたが、
今日もそれに引けを取らない出来だった。
後半ややミスが目立ったのだけど、
そのミスも含めて今日は良かったと思うね。
『Badge』、『Old Love』のソロは
今日も素晴らしかった。

今日のエリックは、7日間で一番多く
「アリガトウ」「Thank you」を言ったような気がする。
ネイザンは「原宿」と漢字で書かれたTシャツ。

やはり、もう『Layla』は聴けないのだろうな。

来日中のエリックをテレビ局がインタビューし、
先週、放送されたけれど 私は知らなかった。
ここにも書いたけど「日本人ギタリストで
注目している人は?」と聞かれ、
「ソエジマトシキ」と応えたというインタビューだ。
(厳密には名前を思い出せなくて
あとから連絡したようだ。)
そのことを知ってすぐに、番組が YouTube に
アップされていないか検索したのだけど、見つからなかった。
そのインタビューが今日、YouTube にアップされた。

「若さの秘訣は?」と訊かれ、
「たくさん歩く」「ウドーさんが教えてくれた深呼吸」
「瞑想」と答えている。
やっぱり歩かなあかんな。
また「今回の来日は、ウドーさんの追悼のため」
というほど、ウドー氏との関係は深いものであったようだ。
エリックの日本好きは、ウドー氏の存在が
大きいんだろうなと思った。
また、日本の侍映画のオタクぶりも伺えるなど、
興味深い話が満載だ。
  ↓
【情報7daysニュースキャスター】
ギターの神様!エリック・クラプトンを直撃


インタビュアーの質問の内容に批判もあるのだけど、
テレビ局のインタビューだから、
あまりマニアックになるわけにもいかず、
ある程度は仕方がないと思う。
確かにビートルズ関連の質問は私も多すぎると思うけど。
いずれにせよ、雑誌の活字ではなく、生で喋る
エリックのインタビューは、とても貴重だと思う。


ところでステージの上の楽器を見るとこんな感じだ。
ギター/Fender、Gibson、Martin
ベース/Yamaha
ドラム/Yamaha
エレピ/Yamaha
オルガンは、ハモンドかな。
シンセサイザーは、クリスとティムと1台ずつだが
詳しくないので分からない。
それにしても、こう見ると ヤマハはスゴイな。



(2025.4.30 追記)
クリス・ステイントンのシンセサイザーは、
YAMAHA の MOTIF XF6 でした。
ティム・カーモンのシンセサイザーは、
おそらくだけど nord だと思う。
オルガンは赤くなかったので nord では
ないと思うが、いずれも未確認。



[ MEMBERS ]
Eric Clapton (g,vo)
Nathan East (b, vo)
Sonny Emory (dr)
Doyle Bramhall II (g,vo)
Chris Stainton (key)
Tim Carmon (key)
Katie Kissoon (vo)
Sharon White (vo)

@ 武道館

[ SETLIST ]
( Electric set )
01. White Room
02. Key to the Highway
03. I'm Your Hoochie Coochie Man
04. Sunshine of Your Love
( Acoustic set )
05. Kind Hearted Woman Blues
06. Golden Ring
07. Nobody Knows You When You’re Down and Out
08. Can't Find My Way Home
09. Tears in Heaven
( Electric set )
10. Badge
11. Old Love
12. Winderful Tonight
13. Cross Road Blues
14. Little Queen of Spades
15. Cocaine
( Encore )
16. Before You Accuse Me





2025.4.25

東京フィルハーモニー交響楽団
第169回東京オペラシティ定期シリーズ

指揮:尾高忠明(桂冠指揮者)
ピアノ:舘野 泉




エリック・クラプトンのコンサートに挟まれている今日、
クラシックを聴きに行ってきた。
東京フィルハーモニー交響楽団の
定期演奏会で、ピアノが舘野 泉さん。

昨年11月に東京オペラシティ コンサートホールに
「オーケストラ・プロジェクト 2024」という
コンサ―トを聴きに行った。
その時、会場で配られたチラシの中に
今日のコンサートのものがあった。
それだけなら、聴きに行こうとまで思わなかったかも
知れないけど、その時、ちょっとびっくりするような
ことがあったんだ。
それについては、こちらを。

2024.11.29 舘野さん

で、あれから5か月近く経って今日を迎えた。

今回はS席ではなくC席を買った。
なぜC席にしたのか覚えていないんだけれど、
たぶんエリック・クラプトンにお金をかけ過ぎたので
自粛したのかも知れない。
3階バルコニー席の2列目だったのだけど、
1列目と高低差があり、1列目が視界をふさぎ
ステージの4割ほどが見えない席だった。
下手側だったので、指揮者の出入りは見えず、
ピアノの館野さんも身を乗り出してギリギリ見えるという席。
チケット代はケチるものではないと思った。

まずは、オーケストラで尾高惇忠(あつただ)作曲の
『音の旅』より3曲を演奏。
尾高惇忠(故人)は、今日の指揮者の
尾高さんのお兄さん。
なんとも親しみのあるメロディだったな。

続いて、ラヴェルの『左手のためのピアノ協奏曲』。
この曲は、ラヴェルが第一次世界大戦で右手を
失ったピアニストの依頼を受けて作曲したもの。

舘野さん(88歳)は、65歳の時に脳溢血で倒れ、
右半身に麻痺が残るも、2年後には、
左手だけのピアニストとして復帰を遂げた。
10年前に舘野さんのことを知った衝撃を
ここに書いている。

2015.3.19 左手のピアニスト

舘野さんのピアノを生で聴くのは10年ぶりだったので
楽しみにしていったのだが、ピアノ協奏曲が始まって
しばらくして、眠気で意識が朦朧としてきた。

休憩の後のエルガーの『交響曲第3番』も
半分以上、眠気で聴けなかった。
ここのところ、エリックのコンサートでは
眠くなることなど全くなかったのにな。残念。

エルガーの『交響曲第3番』は、いわくのある曲で
未完成のまま本人が死んでしまった。
現在では、エルガーの死後、60年以上経って、
アンソニー・ペインという作曲家が、
残されたスケッチを元に仕上げたものが演奏される。

オーケストラのアンコールはなかった。
ピアノ協奏曲の後、舘野さんがアンコールを
されたからだろうか。
鳴り止まない拍手に何度目かの登場で、
尾高さんは「疲れた。よくこんな曲書いたと思う」と
言ってたので、エルガーの『交響曲第3番』は、
棒を振るのも大変なんだろう。
尾高さん、77歳だ。




[ 出 演 ]
東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:尾高忠明(桂冠指揮者)
ピアノ:舘野 泉

[ プログラム ]
尾高惇忠/『音の旅』(オーケストラ版)より
第1曲「小さなコラール」
第5曲「シチリアのお姫さま」
第15曲「フィナーレ~青い鳥の住む国へ~」
ラヴェル/左手のためのピアノ協奏曲〈ラヴェル生誕150年〉
エルガー/交響曲第3番(A. ペイン補筆完成版)

@東京オペラシティ コンサートホール





2025.4.24

彼女は頭が悪いから
姫野カオルコ 著




久しぶりに小説を読んだ。
2019年に柴田錬三郎賞を受賞した、
『彼女は頭が悪いから』。
著者は、姫野カオルコ。

2016年に起きた東大生5人による他大学の
女子学生への性暴力事件がモデルになっている。
その性暴力のシーンは、
嫌悪感で読み続けることがイヤになる。
5人は東大生であるがゆえに屈折し、
人の気持ちが分からず、女性をモノのように
扱う様子が描かれている。
非常に東大(生)のイメージが悪い。
しかし、この小説は東大ではない、
架空の大学では、成り立たない。
それだけ日本では「東大」が特別な
ブランドであるということだろう。

読み進める中で感じたのは、
東大生をこんな風に書いたら、
いくらフィクションだとはいえ、
東大から、あるいは東大生から
クレームが付くんじゃないかということだった。
読後、調べてみると、
佐藤知一さんという方が書いた書評に、
本書刊行の数ヶ月後に開催された
東大駒場キャンパスでのブックトークの
シンポジウムで、登壇した東大の教官数名が、
本作にはリアリティがないと、些末な事実誤認を
批判したことが書かれていた。

佐藤さんは、
「姫野さんはシンポの冒頭で、『この小説は
フィクションであり、東大を紹介するために
書いたものではない』と、わざわざ説明している。
だが、なぜ東大の人たちは、教員も学生も
口をそろえて、あんなに怒っていたのか」
と書いている。

あゝやっぱり、東大側は気に入らなかったんだな、と思った。
それはある意味で正常な反応だろう。
東大生男子全員か、この小説の5人のような訳はない。
もっと人間的で、まとも人格の人もいるだろう。
一方で、こんな事件を犯すヤツらは、
東大にも東大でなくてもいるだろうと思う。
が、この小説は東大である必要がある。

しかし、その書評を読み進めると、
ことはそんなに浅くないことに気付いた。
その書評を読んで欲しい。

わたし達は皆、頭が悪いから

私は、大学に行っていない。
最終学歴は専門学校なので「短大卒」扱いらしい。
若い頃は(今もだろうけど)男子が行く短大なんて
なかったので、この「短大卒」という響きが、
何となくカッコ悪いと思っていた。
無理して大卒に近づけようと言ってるみたいに思えて、
高卒といった方が潔いと思っていた。
元々学歴に興味がなく、お勉強もキライで、
良い会社に就職したいなどと思ったこともないので、
たまに目にする真面目な
「学歴で、結婚相手を選びますか?」
というような問いに対し、真意を測りかねていた。
そういう人は、私を結婚相手に選ばないから、
関係ないねんけど、誤解を恐れず書くなら、
アホちゃうかと思う。
向こうは向こうで私のことを「アホちゃうか」と
思っているのかも知れない。

しかし、学歴は私の知らないところで
かなりのパワーを持っているらしい。
例えば会社内で、自分と同じ大学を
出ている後輩を引っ張るとか、あるらしい。

以前、知り合いだった、東大に行きたくて
行けなかったK大学卒の会社の社長さんは、
当時すでに60歳ぐらいだったけど
何十年も東大に行けなかったことを
コンプレックスに思っているようだった。
あんなに社会的に立派に成功しているのに。
つまりその裏側は、東大生はそれだけ優越感を
持っているということでもあるのだろう。

また、別の知り合いは、お父さんが東大卒だった。
お父さんは「東大以外は大学ではない」と
言うような人だったらしい。
その人は、父親に(東大に?)コンプレックスを
抱き続け、父親が年老いて扶養家族になった時に
父親に「勝った」と思ったそうだ。

私は、「学歴に興味がない」と書いた。
そのくせ「短大卒」という響きが、
何となくカッコ悪いと思っていた。
興味がないのなら、どうでも良いはずである。

「学歴」は、学歴に関係なく生きてきた私にさえ
何らかの影響力を持っていたようだ。

そして、この小説は「学歴」というより、
もっともっと根深いことについてである。

姫野カオルコさんの小説は、初めて読んだが、
人間の心理や無意識のえぐり方が上手いと思った。
他の小説も読んでみたい。

一点、本作の中で 2014年に関して
「ジェフ・ベックは東京ドームの公演で
何万人もの観客をスタンディングさせていた」
という文がある。
そのコンサート会場は東京ドームではなく
「東京ドームシティホール」なんだな。
私は、そのコンサートを観ているので間違いない。
「東京ドームシティホール」のキャパは
3千人程度で、ジェフのコンサートは3日間
行われたけど、合計しても1万人に足りず、
「何万人もの観客をスタンディングさせていた」
というのは、事実誤認と言わざるを得ない。
まあ「フィクションですから」と言われれば、
それまでだけど。
ええ、私も些末な事実誤認を
見逃せない質(たち)です。


★★★★☆




ERIC CLAPTON
エリック・クラプトン 第六夜




エリック・クラプトン来日公演の第六夜。
あっという間に6回目が終わってしまった。。
追加公演が決まらなければ、
今日が最終公演だったところだ。
一昨年は、6公演だったしね。
この追加公演というのは、どのあたりで
決定するんだろうか。
もともと予定されていたのだけど、いきなり
8公演売り出すとチケットの売れ行きが
鈍るのであと出しにしているのか、それとも
本当にチケットの売れ行きを見てから
決定しているのか、どうなんだろうな。

そんなことはさておき、本日のエリック。
とても良かった。
今日までの6公演の中では一番良かった。
最後の曲が終わった時の感動は、
今までの5回にはなかったものだった。

席は、アリーナ B-11ブロックの3列目の右端。
ちょっと角度はあるけれど、そんなに見にくくない。


開演前

エリックは、ほとんどMCをしないし、
「アリガトウ」や「Thank you」もあまり言わない。
以前はもっと言っていたような気がするんだけど。
無言で始めることも多いのだが、今日はステージに
登場した際、「コンバンハ!」と元気に挨拶した。

1曲目『White Room』が始まると、
(今日はいいぞ)という予感が走った。
実際、『White Room』のギターソロは、
今日が一番冴えていたと思う。
『Key to the Highway』
『I'm Your Hoochie Coochie Man』
『Sunshine of Your Love』
と続くがやはり今日は冴えている。

アコースティック・セットでは、毎回少しずつ
セットリストが違っていたけど、今日も。
『Tears in Heaven』では今日が初めて、
客席にスマホライトが揺れた。
いつもは『Winderful Tonight』で
そうなるんだけど、この3公演
『Winderful Tonight』を演らなかったので、
誰かが『Tears in Heaven』で仕掛けたのかな。

そして、エレクトリック・セットに戻ってからも
調子が良い。
なんと、初日と2日目には演奏されたが、
そのあと3回は演らなかった
『Winderful Tonight』が復活。
エンディングのソロでは、ドイルとユニゾンし、
最後のフレーズをハモるというアレンジで来たヨ。

そのあとはいつも通りで、前回の15曲から
16曲に増えた。
減ることはあっても増えることはないだろうと
思っていたので、これは嬉しい誤算。

本編最後の『Cocaine』は、今日はアリーナ総立ち。
でも、始まったらばぁっと立つんじゃなくて、
パラパラ、バラバラという感じやけど。
演奏後のエリックの表情が良い。
なんというか、とても若々しい。
その姿になぜかウルウル。
そして、エリックはネイイザンとハグ。
アンコールは、やはり『Before You Accuse Me』。
いやあ、良かったよ。
本日も大満足。

そうそう、キーボードのティム・カーモンは素晴らしいよ。
数曲で長尺のソロがあるけど、今までハズレのソロがない。
たぶん、クリス・ステイントンよりもドイル・ブラムホールII
よりもソロが長い。
エリックがティムを買っている証拠だとも思う。

ギターの話。
エリックのストラトは 一見ブラックだが、
モニター上では 光のあたり方によっては、
初日に書いた通り濃い紺色に見えることもあった。
私はもしかしたら、エリックが以前にも
使ったことのあるメルセデス・ブルーかも
知れないとも思っていたんだ。
しかし、今回のストラトについて触れている
YOUNG GUITAR の記事を発見。
そこには、こう書かれている。

手にしたフェンダー・カスタム・ショップ製の
シグネチュア・ストラトキャスターは一瞬
ブラック・フィニッシュ(ブラッキー)にも見えたが、
エリック所有のフェラーリと同じ ブルー・スコッツィア
というカラーで、2023年の “Crossroads Guitar
Festival” の時にマスター・ビルダーの
トッド・クラウスが製作したものと思われる。


まあ普通の人が見たら、「黒」やけどな。

前回に書いた「アコギはマーティンか?」問題。
ヘッドのインレイが手がかりだと分かったので、確認したよ。
確認の結果。
はい。マーティンでした。
間違いなく「goro’s」のマークでした。
なので、あのギターは OOO-42K Goro's です。
今まで「マーティンではない」などとええ加減な
ことを書いて申し訳ない。
お詫びして訂正します。
でも、スッキリして良かった。
良く考えたら「黒澤楽器店 MARTIN GUITAR Presents」
のコンサートでマーティンを使えへんなんてあり得へんわな。

それから、何度かドイルの剥げ剥げの
ストラトキャスターについても触れてきたが、
ネットで拾ってきた画像ではこんな感じ。





このようにボディの上部の塗装が剥がれて
しまうのは、ドイルのアップピッキングが
激しいからだろうと思う。
同じ個体かどうか分からないのだけど、
こんな写真も見つけた。



ドイルが若いので、何年も前と思われる。
ストラトの塗装はまだ現在ほど
剥がされていないのが分かる。

今日もドイルのメインギターは、
チェリーレッドのギブソンの ES-335。
(ピックガードが下にあるタイプ)
『Hoochie Coochie Man』の時、
ナチュラルの ES-335 でスライドのソロをしたので、
もしかしたらだけど、オープン・チューニングなのかも知れない。
『Can't Find My Way Home』では、
チェリーレッドの ES-335 のピックガードが
上にあるタイプを使用。
『Little Queen of Spades』、『Cocaine』で
前述の剥げ剥げストラトキャスターを使用。


ステージ上に映されるモニターに時々、
ドラムのあたりから、エリックの後ろ姿を映している
映像が出る。
エリックの後ろ姿の向こうに武道館の観客が
映っているんだ。
曲のエンディングでは、振り向いたエリックが
ソニー(Dr)を見つめ、最後の音を合わせる。
私はそのアングルが大好きだ。
絶対にステージからしか見られない光景。
それは、若い頃に夢に見た、
永遠の憧れの光景なんだ。


[ MEMBERS ]
Eric Clapton (g,vo)
Nathan East (b, vo)
Sonny Emory (dr)
Doyle Bramhall II (g,vo)
Chris Stainton (key)
Tim Carmon (key)
Katie Kissoon (vo)
Sharon White (vo)

@ 武道館

[ SETLIST ]
( Electric set )
01. White Room
02. Key to the Highway
03. I'm Your Hoochie Coochie Man
04. Sunshine of Your Love
( Acoustic set )
05. Kind Hearted Woman Blues
06. Golden Ring
07. Nobody Knows You When You’re Down and Out
08. Can't Find My Way Home
09. Tears in Heaven
( Electric set )
10. Badge
11. Old Love
12. Winderful Tonight
13. Cross Road Blues
14. Little Queen of Spades
15. Cocaine
( Encore )
16. Before You Accuse Me


初日のエントリーにこう書いた。

MCでちょっと喋ったんだけどほとんど聞き取れず。
「Mr. Udo」「opportunity」という言葉が
聞き取れたので、たぶんだけど ウドーさんの
おかげでまた来日できた、という話だったのかな。


今回 紹介したYOUNG GUITARの記事に
そのMC について
「2023年に亡くなったウドー音楽事務所の
創業社長、有働誠次郎氏への感謝を述べてから」

とありました。



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