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落語 2015年
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2015.1.4

志の輔・宗久
風流らくご問答


立川志の輔師匠の落語のファンであることは、

何度か書いたが、その志の輔師匠と、

玄侑宗久 (げんゆうそうきゅう) という

お坊さんの対談を読んだ。

宗久さんのことは、知らなかったが、

写真を見ると顔には見覚えがあったので、

テレビか何かで見たことがあったのだろう。


さて、この本、古典落語の10の演目について、

師匠と和尚の2人がそれぞれの解釈や考えを

対談するというもので、落語ファンには

かなり興味深い内容となっている。

10の演目のうち、聞いたことがなかったのは、

1つだけだったので、かなり面白く、

ほとんど一気に読み終えた。


誰もがご存知だと思う演目 「寿限無」。

「寿限無 寿限無 五劫の擦り切れ

海砂利水魚の水行末 雲来末 風来末

食う寝る処に住む処・ ・ ・(まだまだ続く)」

というのは、父親が子供の名前をつけるのに、

長生きする名前を付けてくれと、

寺の和尚に頼み、教えてもらった言葉を

全部つなげて子供に名付けてしまった名前。

面白かったのは、「三菱東京UFJ」 は、

「寿限無」 だというくだり。

確かに 「三菱」 と 「東京」 と 「UFJ」 を

つなげただけやもんね。

もしかして、「三井住友銀行」 と

合併したら・・・。





2015.1.12

桂文枝 新春特選落語会

今年の初落語は、文枝師匠。

文枝師匠といえば、「新婚さんいらっしゃい」 の

印象が強いが、なんと今年で45年目だという。

同じ司会者で続いている番組としては、

最長になったと、今日ご本人が言っていた。


文枝師匠の落語は、普段CDで聴くことは、

少ないのだが、昨年4月に独演会に行って、

爆笑だったので、今日は妻を連れて行ってきた。


前座で登場したのが、桂三度。

「3の倍数と3が付く数字のときだけ

アホになります」 というネタをやっていた、

世界のナベアツだ。

噺家になったというのは、

何かで聞いたような覚えがあったが、

ナマで観るのは初めて。

噺家としては、まだ4年目なので

これからですな。(えらそうに)

文枝師匠は、古典落語は (たぶん) しない人で

創作落語は、220以上あるという。

今日の2席も創作落語。

1席目の 「喫茶店の片隅で」 は、

今では少なくなった街の喫茶店を舞台にした物語。

2席目の 「淡路島 戀 (こい) の七福神」 は、

今回の落語会でネタおろし (初演) だったらしいが、

今日はその3日目で、3日間昼夜2回公演が

あったため、ご本人曰く、

「6回目なので大分固まってきました」 とのこと。

文枝師匠が、淡路島名誉大使なので、

演目に 「淡路島」 と付いているけど、

淡路島はマクラでちょこっと触れただけで、

本編には関係なかったよ。

ネタとしては、「喫茶店の片隅で」 の方が

面白かったな。


【 演 目 】
一、「寝てる間に」 桂三度
一、「生まれ変わり」 桂三若
一、「喫茶店の片隅で」 桂文枝
〜 仲入り 〜
一、「看板の一 (ピン)」 桂三四郎
一、「淡路島 戀の七福神」 桂文枝

@ 有楽町朝日ホール


桂三若の 「生まれ変わり」 は、

文枝師匠、三枝時代の作。





2015.1.17

初春に春風が吹く !!
春風亭 小朝・昇太・一之輔


小朝・昇太・一之輔の三人会。

うん、いいラインナップやなぁ。

3人とも良かったけど、

やっぱり一之輔、ええなぁ。

「初天神」。

子供の描写も おとっつぁんの描写も

なんかこの人独特で良い。

特におとっつぁんが、団子の蜜を

舐めてすするくだりは、絶品です。

小朝師匠は、噺は上手いしおもろいねんけど、

マクラがいつも同じというのが

ちょっと不満。

ナマで聴くの4回目やけど、

4回ともマクラのネタが同じでした。

まあ、8ヶ月の間に4回やから、

私が行き過ぎなんやろけど。


仲入りのあと、当然、小朝師匠の登場と

思ってたら、三遊亭萬橘 (まんきつ) と

いう人が登場。

ご本人も言うてたけど、

めっちゃやりにくい出番。

でも、その悪条件を全て味方にして

笑いをとってた。

真打2年目の若手だが、

遠目には尾形イッセーのようで、

なんか、好感持てたね。


席が前から11列目やったけど、

一番端の席で、スピーカーから

直接音が届かない位置のため、

非常に聞きづらかったのは不満。

古い会場やから、仕方ない面も

あるんかもしれんけど、

あれはなんとかせなあかんなぁ。

噺家の言葉は、聞きづらいと言いながらも

なんとか聞き取れたけど、

話すのが専門やない、曲芸師さんの

言葉は、半分以上何言うてるか

分からんかった。

曲芸なんで、言葉なくても楽しめたけど。


【演目】
「牛ほめ」 春風亭昇吾
「初天神」 春風亭一之輔
「猿後家」 春風亭昇太
〜 仲入り 〜
「味味噌」 三遊亭萬橘 (まんきつ)
太神楽曲芸 翁家勝丸 (おきなやかつまる)
「代書屋」 春風亭小朝

@ サンパール荒川 大ホール


明日は、志の輔だ!





2015.1.18

志の輔らくご
in PARCO 2015




10年目となる、「志の輔らくご in PARCO」。

毎年恒例となった、志の輔師匠の

渋谷パルコでの1ヶ月公演だ。

先月、そのチケットを取ろうと試みるも、

発売と同時にネットが混みあい、

2分経たずにその22公演がソールドアウトという、

異常なチケット争奪戦に負け、

結局、ネット・オークションでチケットを入手した。

10年目と書いたが、パルコに出演するように

なってからは20年、1ヶ月公演になってから

10年だという。

今日は、22日公演の11日目だ。

このパルコ公演は、ホントのホントの独演会。

前座やゲストなしで、志の輔師匠が

みっちり3席演じるもので、

落語会のスタイルとしては、珍しい。


さて、今日の公演。

期待通りに素晴らしかった。

全くもって大満足。

嬉しかったのは、

3席とも知らない演目だったこと。

もしかしたら、3席とも新作だろうか。

師匠の話から察すると、

1席目の 「スマチュウ」 と

3席目の 「先用後利」 は、

このパルコ公演がネタおろしと見たが。


落語会では、公演後ロビーや出口に

演目が貼り出される。

今日もこのように。



「先用後利」 は 「せんようこうり」 と読む。

知らない言葉だったので、志の輔師匠の造語かと

調べたら、歴とした日本語だった。(勉強不足)

今年、師匠の故郷、富山に新幹線が

開通することを記念に何か富山にちなんだ

噺を作ろうと、富山の薬売りをネタにしたらしい。

「先用後利」 の意味は、

先に商品を使用してもらい、

後からその料金をもらうこと 。

薬箱をおいて行き、数ヵ月後に来訪した際に、

使った分の薬代だけもらうという、

富山の薬売りの販売方法のことだ。

江戸時代、日本全国に薬売りはいたのに、

なぜ富山の薬売りだけが 有名になったのかが

分かる噺で、笑えるだけではなく、

勉強になったね。

「せんようこうり」、

打ち込んでも 「専用小売」 と

変換されてしまうねんけど。

PC も勉強不足。


3席終演後、もう一度幕が開き、

師匠の挨拶と三本締め。

そのあと、エンディング・テーマのように

流れた曲が スターダストレビューの

『シュガーはお年頃』。

昨年の牡丹灯籠の時は、

憂歌団の 『胸が痛い』 が流れ、

その組み合わせの秀逸さに舌を巻いたが、

『シュガーはお年頃』 も意表をつかれたね。


ロビーには たくさんの芸能人からの花や

鉢植えが 飾られていた。

サンドウィッチマン


戸田恵子


お正月らしいな。

そんな中、一番目を引いたのは 立派なこれ。



「六人の会より」 と書かれた6つの酒樽。

「六人の会」 の六人とは、

春風亭小朝、笑福亭鶴瓶、林家正蔵、

春風亭昇太、柳家花緑、そして、立川志の輔。


【演目】
「スマチュウ」 立川志の輔
「三方一両損」 立川志の輔
〜 仲入り 〜
「先用後利」 立川志の輔

@ PARCO 劇場 (渋谷)





2015.1.21

染弥改メ
三代目林家菊丸

襲名披露公演


林家染弥 という上方の噺家が、

昨年9月に菊丸を襲名した。

その襲名披露公演に行ってきた。

私は、染弥という名も菊丸という名も

知らなかったのだが、この公演 の

ゲスト (桂文珍・笑福亭鶴瓶) に惹かれて

チケットを取った。


菊丸という名は、明治時代から

約115年ぶりに復活するということで、

林家一門や上方落語会にとっては、

大きな慶事のようだった。

一之輔の真打昇進時の口上は、

CD で聴いたことがあったが、

襲名披露公演の口上は、

これが 初めて。

知らなかったが、菊丸の師匠の染丸は、

2012年に脳梗塞になり、現在も

リハビリ中とのこと。

その染丸師匠も口上の時には、

舞台にあがり短い挨拶をされた。

紋付袴の噺家6人が舞台にキリリと

並んで座る様、涙を拭く染丸師匠を

見ていると、何か特別な歴史的な

イベントに同席している感じがしてきた。

鶴瓶師匠にしろ、文珍師匠にしろ、

感動するような話はこれっぽっちも

してないんやけど、なんか感動してしまった。

菊丸のこと、初めてで、なんにも知らんのに。


落語が6席に口上、太神楽と濃いいプログラムで

休憩を入れて、2時間35分ぐらいかな。

1席1席は短めだったけど、

大変満足な落語会だった。

東京からは、林家正蔵が参加。

上方の林家は、江戸の林家の

分家だそうで、本家からの参加ということだろう。

菊丸ご本人は、「幸助餅」 という

上方の人情噺。

これも、ええ噺で、襲名と相まって

これまたうるうるしてしもた。


【 演 目 】
一、「つる」 林家染左
一、「いらち俥」 林家染二
一、「長屋の傘」 笑福亭鶴瓶
一、「花見酒」 桂文珍
〜 仲入り 〜
口上 (林家菊丸・桂文珍・笑福亭鶴瓶
    林家正蔵・林家染丸・林家染二)
一、太神楽 柳貴家小雪
一、「鼓ヶ滝」 林家正蔵
一、「幸助餅」 林家菊丸

@ 国立劇場小劇場








2015.1.31

よってたかって新春らくご ’15
21世紀スペシャル寄席ONEDAY

昼の部

落語を聴くようになって2年。

どんどんお気に入りの噺家は、

増え続けている。

例えば、三遊亭兼好、

柳家喜多八あたりが、

最近聴くようになった噺家だ。

今日は、そんな最近にお気に入りになった

噺家の一人、三遊亭兼好の出演する

落語会に行ってきた。

兼好の落語をナマで聴くのは2度目。

兼好の演目、『熊の皮』 は、初めて聴いた

演目だったが、おもしろかったね。

ところで、この兼好、

妻子持ちにも関わらず、28歳で

三遊亭好楽師匠に弟子入りしたという、

変わり者。

っていうか、すごいよね。

その決断。

現在45歳。


【 演 目 】
「平林」 柳家なな子
「熊の皮」 三遊亭兼好
「禁酒番屋」 柳家喬太郎
〜 仲入り 〜
「生徒の作文」 春風亭百栄
「宿屋の富」 桃月庵白酒

@ よみうりホール





今日も笑いました。





2015.2.8

新宿 末廣亭

落語会には、よく行くようになったが、

寄席には、ほとんど行っていない。

というのも、落語をたっぷり聴くためには、

落語会の方が断然良く、寄席だと

大して面白くない漫才などに当たってしまう

こともあるし、そもそも噺家一人当たりの

時間が短い。

でも、私が好きな噺家の一人、春風亭一之輔は、

高校生の頃、寄席に行って落語に目覚めた人。

今でも 「寄席は良いですよ」 と言う。

で、たまには寄席も良かろうと、

その一之輔が出ている、新宿末廣亭へ

行ってきた。(昼の部)

プログラムには、一之輔のほかに

桃月庵白酒の名前もあったが、

2人とも休演。

寄席では出演者の変更は、

珍しくないことは知っていたが、残念。

でも、初めて観る噺家さんが何人もいたし、

普段観ないゆるい手品なんかも面白かった。

思っていたより、楽しめたので、

また、行きたい。


【 演 目 】
「 ? 」 柳家わさび
ギター漫談 ペペ桜井
「寄合酒」 柳家喬之助
「元犬」  隅田川馬石
奇術    アサダ二世
「芸住所」 入船亭扇治
「つる」  古今亭志ん弥
漫才    ロケット団
「 ? 」 古今亭志ん輔
「柳家小さんの生涯」 柳家さん八
奇術    マギー隆司
「人形買い」 柳家権太楼


「 ? 」 は演目不明。

2時間45分ぐらいで12組って

凄いよなぁ。

それで3千円は安いよな。

ギター漫談のペペさんは、今年80歳!

元クラシック・ギタリストからお笑いに

転身という変わり者だと。








2015.2.9

新宿 末廣亭 追記

昨日、末廣亭のこと、

「2時間45分ぐらいで12組って
 凄いよなぁ。
 それで3千円は安いよな。」

と書いたが、考えてみれば 仲入りで帰ったので、

そのあとも居れば、あと6組、落語や漫才を

観ることができたのだ。

つまり、12時から4時半まで、

4時間半観て3千円。

いやいや、それだけではない。

私が観に行ったのは昼の部で、

当然、夜の部 (5時から9時) もあるのだが、

これがなんと、昼夜入れ替えなしなのだ。

つまり、昼の12時に入ったら

夜の9時まで3千円で観られるということ。

寄席、恐るべしコスパ・・・。





2015.2.16

らくだ

落語を聴きだして間もない頃、

笑福亭松鶴師匠の 『らくだ』 を YouTube で聴いた。

松鶴師匠の 『らくだ』 が評判が高いのを

何かで読んでのことだった。

この 『らくだ』 という演目。

けっして、気持ちの良い話ではない。

らくだというあだ名の町内の嫌われ者が

フグに当たって死んだ。

そのアニキ分の熊五郎が、らくだの葬儀を

出してやろうとするが、嫌われ者のらくだが

死んだことに長屋の皆は、喜びはするものの、

はじめは香典を出そうともしない。

大家さんは、一度も家賃をもらったことが

ないので、熊五郎の酒と料理の申し出を

断った。

そこで、熊五郎はくず屋と2人で

らくだの死体に 「かんかん踊り」 を

踊らせる。

話は、そのあとも続くのだが、

初めて聴いた時、死体に踊りを踊らせるくだりが

どうもイヤで、この噺は、あんまり好きには

なれなかった。

その後、米朝、松喬、文珍、一之輔、

志の輔などの 『らくだ』 を聴いていくうちに

噺の印象がどんどん変わって行った。

初めて聴いたときは、

どんなストーリーか知らずに聴いたので、

死体を踊らせることに抵抗があったのだが、

違う噺家の口演をいくつか聴いていくうちに、

だんだんと この噺の面白さが分かってきて、

今ではそのシーンにも全く抵抗がなくなった。


また、全く面白くないと思っていた噺が

演じ手によっては、面白くなったり、

その逆があったりする。

そんなところも落語の面白さだ。





2015.2.20

春風亭一之輔 独演会

一之輔の独演会は、今日で5回目だ。

それ以外にも観ているので、

私は 1年足らずの間に7回目という

ヘビー・オーディエンスなのだ。

何がそんなに私を魅了するのか、

一之輔の噺には、華と色気があるのだな。

そして、登場人物のピュアな部分が、

より表現されているように感じる。

ご隠居ならご隠居の、子供なら子供の、

おかみさんならおかみさんの、

通常表現されないような本音の部分とでも

言おうか、そんなピュアさが

表現されているように感じるのだった。

それと、時々 はさんでくるボケがまた絶品。

今のところ、私の中では

志の輔師匠と並んでのトップ2だ。


【 演 目 】
「時そば」 立川志獅丸
「新聞記事」 春風亭一之輔
「長屋の花見」 春風亭一之輔
〜 仲入り 〜
「寝床」 春風亭一之輔

@ 赤坂区民センター





2015.3.4

オール新作!爆笑バトル
新世紀落語の会
第6回 東京公演


「新世紀落語の会」 は、新作落語のみで、

大阪では16年間、60回以上開催されてきた

落語会らしい。

東京では、3年ぶりの6回目。

そんなこと何も知らずに、

なんとなく面白そうだなと観に行ってきた。

安いし (2500円)。

一人目、月亭遊方 (ゆうほう)。

月亭八方の弟子。

ごめんなさい。

強烈な睡魔で聴いてませんでした。

二人目、桂あやめ。

五代目 桂文枝の弟子。

う〜ん、そこそこ面白いねんけど、

ネタがねぇ・・・。

実在の、現在 生きている人物 (松田聖子、

神田沙也加) を使うと、

なんか笑えないとこもあって、微妙。

でも、中々 良いと思える人が少ない

女性の噺家の中では面白いと思った。

結構、ベテランですし。

三人目、桂小春団治。

この人は、見覚えがあるので、

大阪に住んでた頃、テレビで観てるんでしょな。

名前から分かるとおり、春団治師匠の弟子。

さすがはベテランです。

安定してます。

仲入りをはさんで四人目は、

出演者5人中ただ一人の東京の噺家、三遊亭王楽。

五代目 三遊亭圓楽の最後の弟子。

父親は、笑点にも出演している三遊亭好楽で、

父親とは兄弟弟子という関係になる。

CDで聴いたことはあったが、

ナマは初めて。

まだ30代ですが、この人も安定していて良いです。

ほんの少し、甘いところがあるけど

えらそうに言うと、まだ伸びしろを感じるね。

そして、トリ、笑福亭仁智。

この人も顔を知ってたから、

子供のときにテレビで観てるんやろな。

名前から想像のつく通り、笑福亭仁鶴の弟子。

東京に来ると、東京に対抗心があるのか、

「米朝一門会に出ているかのような、

嫁はんの実家に行ってるかのような、

落ち着かなさがある」 と言うてたけど、

一番、面白かった。

野球解説者のマクラも、

大阪のヤクザをネタにした本編も、

爆笑やったけど、この噺、ホンマに笑えるのは、

大阪出身者だけやろな。

その分、得したような感じ。


新作落語は、人間の普遍的な部分を描けば、

古典として残って行くのかも知れんけど、

10年、20年経っても演じられることに

耐えられるネタはホンマに少ないと思う。

時代に応じた、その時だけの演目も

あって良いと思うけど、間違うと薄っぺらい

噺になってしまうことがあるように感じた。

笑える要素は何か、というところに

深みがあるんやと思う。

ホンマもんは、何回も聴けるし、笑えるもんね。


【 演 目 】 (作者は、それぞれの演者)
一、「たとえばこんな誕生日」 月亭遊方
一、「アナと聖子と沙也加」 桂あやめ
一、「断捨離ウォーズ」 桂小春団治
〜 仲入り 〜
一、「恋してコチコチ」 三遊亭王楽
一、「源太と兄貴」 笑福亭仁智

@ 内幸町ホール





2015.3.8

桂歌丸 独演会
5回目


一昨年の3月に初めて行って以来、

5回目となる横浜の関内ホールでの

歌丸師匠の独演会。

(歌丸師匠は、横浜の出身だ。)

三遊亭圓朝 作の長い長い 「真景累ヶ淵」

という噺を語るのだが、一昨年3月、

私が初めて聴いたのが、その第2話だった。

今日は、その第6話となり、

7月の独演会が最終話となる。

歌丸師匠といえば、昨年、体調を崩され、

休演が目立ったので、心配だったが、

今日は元気に口演された。

と言っても、昨年同様、歩くことが困難なようで

登場・退場の際には緞帳が下りる。

幕が開いた瞬間の歌丸師匠は、

また一回り小さくなったように見えた。

私は、笑点をほとんど見ないので、

知らなかったのだが、今年は正月早々、

インフルエンザで2週間入院されていたらしい。

噺が始まると、そんなことは微塵も

感じさせない。

さすがだ。

特に2話目の 「真景累ヶ淵」 では、

話すほどに顔の艶が出てきたようにさえ

感じた。

78歳。

プロって、こういう人のことだ。


【 演 目 】
「元 犬」 桂竹のこ
「町内の若い衆」 立川談幸
「壺 算」 桂歌丸
〜 仲入り 〜
(音 曲)  松乃家扇鶴
「三遊亭圓朝 作 真景累ヶ淵 六.
 湯灌場から聖天山」  桂歌丸

@ 関内ホール 大ホール





2015.3.19

人間国宝 桂米朝 死去

本日 午後7時41分、肺炎のためという報道だ。

享年89歳。

昨年6月、米朝師匠の息子、5代目 米團治の独演会に

行ったが、米朝師匠の奥様、つまり米團治の母が、

その2日前に亡くなった直後の独演会だった。

享年88歳。

米團治は、1年足らずのうちに

両親を失ったことになる。


奥さんが亡くなると旦那は、

あとを追うように亡くなるけど、

旦那が死んでも、女はそれから30年くらい生きる、

なんて噺が、落語のマクラに出てくるが、

師匠も奥さん追いかけたのかな。


これで、「地獄八景亡者戯」 で、とうとう

「近日来演」 ではなく、出演できることに

なったわけやね。


合掌。





2015.3.20

地獄八景亡者戯

昨日の米朝師匠 逝去のエントリーにこう書いた。

これで、「地獄八景亡者戯」 で、とうとう
「近日来演」 ではなく、出演できることに
なったわけやね。


昨夜は、(分かる人だけが分かったらええ) と

思って、何の説明も書かなかったが、

読み返してみてあまりに不親切だし、

(この 「ひとりごと」 の読者で、

これの意味分かる人いてるんやろか?) と思うと

(誰もおれへんのちゃうか) と

不安になってきたので、解説を書いておく。


『地獄八景亡者戯 (じごくはっけいもうじゃのたわむれ)』

というのは、上方落語の演目で、

死者があの世へ逝って、地獄を巡るという噺。

昨日亡くなった米朝師匠が、復活させた古い噺だ。

地獄の噺といっても怪談ではなく、お笑いだ。

全部演ると1時間以上あるので、部分的に

演じられることも多い。

数人の上方の噺家の口演を聴いたが、

東京の噺家のはまだ聴いたことがない。

江戸落語では 『地獄巡り』 と呼ばれるようだが、

あまり演る人がいないのかも知れない。


さて、その 『地獄八景亡者戯』 の中に

御堂筋をもじって 「冥途筋」 という

地獄の目抜き通りが出てくる。

そこには、亡くなった役者や噺家が出演している

芝居小屋や寄席などがあるのだ。

米朝師匠は、

「寄席の看板に 桂米朝、近日来演と書いてある」 と

笑いを取っていた。

昨年聴いた、桂米團治 (米朝師匠の息子) も

同じように言っていたが、本人が言うより、

息子や弟子が言う方が、ブラックで面白い。

それで、昨日、私なりの弔いのつもりで、

「『近日来演』 ではなく、出演できることに

なったわけやね」 と書いたのだ。


これから、冥途筋の寄席で高座に上がられることでしょう。

合掌。





2015.4.13

立川志の輔 独演会

1月の 「志の輔らくご in PARCO」 以来の

志の輔師匠の落語会。

まずは二つ目の志のぽん (志の輔師匠の弟子)。

う〜ん、おもろなさ過ぎ。

ちょっと前の私だったら、あまりの

おもろなささに怒っていただろうが、

ここまで、白けると (一体、この噺の

何がここまで面白くないのだろうか) と

研究・探求の対象になってしまう。

もちろん、ご本人は一生懸命なので、

こんなこと書くのは、多少気が引けるのだが。

師匠の独演会。

しかも、観客は、1000人。

言わば大舞台だ。

もともと落語は、1000人を前にして

演るには適していない芸だ。

そんな いろんな要素を考えると、

あの実力で、あの舞台に立つのは、

気の毒な気さえする。

が、こういう機会が芸人を育てるであろう

ことも想像に難くない。

いつの日か、彼が真打になって

笑わせてくれる日が来ることを願おう。


さて、志の輔師匠の方はというと、

一席目、志のぽん のあとに登場し、

志のぽん が受けなかったことに対して

「私のミスです」

「弟子の分まで演らせていただきます」 と

言ったからだろうか、

(志のぽんが受けなかったことをネタに

爆笑をとるのもスゴイが)

「たっぷり」 という言葉が

本当にふさわしいほどの二席だった。

当初、20時45分終演の予定が、

終わってみると21時20分。

18時30分開演だったので、

途中、休憩を挟んでだが2時間50分だ。

一席目の 「みどりの窓口」 は、

当分演らないようなことを言っていたので

今日、聴けて良かった。

何度聴いても新たに笑わせてもらえるのは、

流石としか言い様がない。

二席目 「江戸の夢」 は、初めての噺。

ちょっとミステリーな要素もある人情噺。

あい変わらず、天才的な話芸だった。


【 演 目 】
「粗忽長屋」 立川l志のぽん
「みどりの窓口」 立川志の輔
〜 仲入り 〜
長唄三味線 松永鉄九郎
「江戸の夢」 立川志の輔

@きゅりあん 大ホール (品川区立総合区民会館)





2015.4.19

落語教育委員会

落語教育委員会というのは、

柳家喜多八・三遊亭歌武蔵・

柳家喬太郎の三人会のこと。


幕が開くといきなり、Dean Martin の

" Everybody Loves Somebody Sometimes " が

流れる。

落語会にしては、珍しい BGM だなと思ったら、

喜多八がマイクを片手になんとタキシードで登場。

しかも歌っている。

中々ええ声やないか。

せやけど、なんや、これは!

歌い終わると、一言も話すことなく、

引っ込み、続いて 加山雄三の 『お嫁においで』。

今度は、歌武蔵だ。

これまた、一言も話すことなく、引っ込み、

次は、堺正章の 『さらば恋人』 を

喬太郎が歌う。

完全に歌謡ショー。

なんでも、この 『落語教育委員会』 では、

いつも最初にコントをやるらしいが、

今回は、喜多八師匠の 「歌いたい」 という

希望でこうなったそうだ。

喬太郎のみ、2番を替え歌にして、

「携帯電話の電源を切ってください」 という

メッセージだったが、あとの2人は、

マジで歌ってました。

コアな落語ファンなら、

怒り出しかねない演出やったね。

「歌いたい」 と 言い出した喜多八は、

わざわざ事前に歌を録音して、

それを流しての 「口パク」。

本人曰く、「ジャニーズ方式」 だそうな。


落語の方はというと、まず、志の輔師匠の弟子、

志の八の 「悋気 (りんき) の独楽」。

この人、観るの2回目やったけど、

今日は凄く、師匠の影が見えたね。

特に丁稚を演じるときに、感じた。

喬太郎は、長い長いマクラ。

またこれが面白い。

「あと6分しかありません」 と言って

落語に突入。

残り時間僅かで、よくあんな風に

まとめられるもんだと感心。

仲入りをはさんで、喜多八。

この人は、CD を数枚聴いていて、

ナマで聴きたいと思ってた人で、

今日が初めて。

最後の歌武蔵も今日が初やったけど、

どういうわけか、始まってすぐの睡魔。

先日亡くなった米朝師匠作の噺だというので

聴きたいのに眠たい。

ほとんど、聴けませんでした。


【 演 目 】
「悋気の独楽」 立川志の八
「天保水滸伝より『出世キャバクラ』」 柳家喬太郎
〜 仲入り 〜
「寝床」 柳家喜多八
「一門笛」 三遊亭歌武蔵

@ 横浜にぎわい座








2015.4.22

鶴瓶噺 2015

笑福亭鶴瓶師匠の独演会は、4度目だが、

この 「鶴瓶噺」 は初めてだった。

落語ではなく、休憩もなく2時間ノンストップで、

鶴瓶師匠が喋るというのが 「鶴瓶噺」 だ。

着物で座布団に座って話すのではなく、

今日は半ズボンのスーツで、

ハンドマイクを持ち、立ったままのトークだ。


前半、いつもながらの師匠の笑える話。

漫談と違うのは、全部本当にあったことだということ。

そして、後半は 「おやっさん」 松鶴師匠の

エピソード。

鶴瓶師匠は、そのエピソードを落語にしているほどだが、

今日は本当に松鶴師匠への想い・愛・感謝の

あふれる話で、笑いに行ったののに

最後には泣かされてしまった。

そして、松鶴師匠の偉大さも改めて

知ることができた。

噺家の師弟関係の厳しさと可笑しさ、

一生、頭の上がらない人がいることの

素晴らしさ、そんな色々だった。


それにしても。

この笑福亭鶴瓶という人は、

人を笑わせ、幸せにする人だ。

タモリに言われたという、「自開症」 だと。

自開症というのは、自閉症の逆で

自分をオープンにさらけ出し、

何でも受け入れる人のことらしい。


鶴瓶師匠の話ではないが、

先日、89歳で米朝師匠が亡くなった時のこと、

どうしてもその葬儀に出席できない予定が

あった鶴瓶師匠は、南光に電話で

その非礼を詫びたらしい。

すると南光は、こう言った。

「かめへん、かめへん。

そんなん出席せんかてかめへん。

師匠 (米朝) は、いつも言うてはった。

『生まれるも日常、死ぬも日常、

せやから、死んだからいうて、

特別なことせんでええのや』 と。」


「生まれるも日常、死ぬも日常」

ええ言葉やなぁ。


@ 世田谷パブリックシアター (三軒茶屋)








2015.4.25

桂文珍 大東京独演会 Vol.8

一年ぶりの独演会。

昨年の4月にも行った

「桂文珍 大東京独演会」。

「ネタのオートクチュール  リクエスト寄せ」 と

いうことで、当日のお客さんからリクエストで

演目を選ぶという趣向の落語会だ。

今日は、3日間公演の2日目。

お客さんからリクエストの声が上がると

「ああ、それは昨日演りましたわ」

なんていうやりとりの末、今日の三席が決まった。

昨年は、その場では発表しなかったように

記憶しているが、今日は最初に登場した時に

三席を決めてしまった。

落語は四席のうち、文珍師匠の一席

「心中恋電脳」と、弟子の楽珍の

「蒟蒻 (こんにゃく) 問答」 の二席が、

昨年と同じだったのは残念。

どうせなら、聴いたことのない演目を

聴きたかったな。

ゲストは、インパルス。

これは、嬉しかったね。

彼らのコントは、面白いからね。

文珍師匠は、インパルスの板倉に

落語家になって欲しいようでした。

確かに今日のコントなんかは、

落語にしても成り立ちそうやった。


【 演目 】 (4月25日 昼の部)
一、「玄海集落」 桂 文珍
一、「蒟蒻問答」 桂 楽珍
一、「心中恋電脳」 桂 文珍
〜 仲入り 〜
一、「ピクニック」 インパルス(コント)
一、「百年目」 桂 文珍

@ 国立劇場 小劇場







2015.5.8

講談から生まれた
オモシロ落語競演


ゴールデンウィーク明けだからだろうか、

金曜日だというのに今日のにぎわい座は、

驚く程に がら空きだった。

今日は、「講談から生まれた落語」 ということで

一人、ホンマもんの講談も入った。

まずは、開口一番、前座のさん坊による

「金明竹」。

使いで来た上方の人が長い口上を述べるのだが、

江戸の人には何言うてるか分からん、という話。

長い大阪弁の口上が聴かせどころなのだが、

どうもその部分が 「練習しました!」 的に聞こえ、

その話している人物が見えてこないのが残念。

上手い人が話すと、ちゃんとその人物像が

浮かび上がってくるねんな。

例え短いセリフであっても。


今日は、一之輔と兼好 目当てだったが、

この二人には、大変満足。

講談は、なぜか睡魔が・・・。

聞きたかったんやけどな。


「浜野矩随 (はまののりゆき)」 の

三遊亭全楽は初めて聴いた噺家。

この人、1991年に立川談志に入門し、

そのあと、2000年に5代目三遊亭円楽に

弟子入りしている変わり者。

うまいんやけど、惜しいことに4〜5回かんだ。

それでどうしても流れが止まってしまうんや。

「浜野矩随」 は演じる人によっては、

泣いてしまう噺やけど、

そこまではいかず、残念。





【 演 目 】
「金明竹」 柳家さん坊
「阿武松」 春風亭一之輔
講談 「国定忠治」  宝井琴柳
〜 仲入り 〜
「三方一両損」 三遊亭兼好
「浜野矩随」 三遊亭全楽

@ 横浜にぎわい座





2015.5.10

桂米團治 独演会
米團治の吟醸噺


今年3月に他界した桂米朝師匠は、

上方落語界では、初の重要無形文化財保持者

(人間国宝) に認定された人だが、

死後、日本政府は、その功績を讃え、

没日にさかのぼって、従三位 (じゅさんみ) を

追叙 (ついじょ) した。

従三位というのが、何のことかよくわからんけど、

とにかく、国から認められた、

えらい人しかもらえない位のようだ。

その米朝の息子、弟子である米團治の独演会。

昨年の6月以来、2回目である。

ご本人のウェブサイトを覗くと、

今日の公演について、こう書かれていた。

 
父が亡くなってから初めての東京公演です。
 いろんな思いを胸に高座を勤めさせていただきます。



奇しくも昨年は、母親の死後2日目の独演会だったが、

今回は、父親であり師匠である米朝の死後

52日目の独演会。

確かに、私など想像もつかない色んな思いが

あるのだろう。


さて、開口一番は、米二の弟子、二乗。

「癪の合薬」 という演目は、初めて聴いたが、

やかん舐めたら、癪が治るという噺。

上方の落語には、なんでこんなバカバカしいのが

多いんやろね。

米團治の一席目は、「桃太郎」。

マクラでたっぷり、放送ではけっして聞けないような

父・米朝の死の前後を語ってくれた。

何をしても、最後には笑いになるのは、

さすがとしか言い様がない。

三番目は、亡き吉朝の弟子、しん吉の

「金明竹」。

上方人の使いが、丁稚と女将さんに

早口の大阪弁で こと付けを言うのだが、

何を言っているのか、丁稚と女将さんには、

全く分からないという噺。

これは、舞台が江戸だからこそ成り立つ、

江戸の噺だと思っていたら、

上方でも演るんやね。

上方版は、初めて聴いた。

大阪人が聞いても、同様に何言うてるか

分からんという噺でした。

このあと、米團治の 「猫の忠信」 と

仲入りをはさんで 「住吉駕籠」。

今日の演目は、半年も前に決まっており、

チラシにも印刷されていた。

もちろん、その時点では、師匠米朝は、

まだ生きていたわけで、今日は特別に、

追加でもう一席、「地獄八景亡者戯」

(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)。

亡くなった人が、あの世に行き、

地獄をめぐる噺で、米朝の十八番でもあった。

昨年の独演会でも演ったが、あの時は、

最後に、亡くなったばかりの母親を

登場させた。

いつもは、地獄の寄席の看板に

「桂米朝、近日来演と書いてある」 と

言うのだが、いよいよ 「近日来演」 では

なくなったわけだ。

今日は、看板に 「桂米朝、本日来演」 と

書かれており、枝雀の高座を舞台袖で見る

米朝が 「マクラが長すぎる」 などと

ぼやいたりする。

米團治が挨拶に行くと。

「あきら (米團治の本名)、お前こんなとこで

何してんねん。」

「いや、成り行きでここまで来てしまいました。

師匠、とうとう生きている間に

一度も米團治と呼んでくれはりませんでした。

どうぞ、米團治と呼んでください。」

「あほか、先代の米團治に失礼じゃ。

お前なんか、100年早いわ。

シャバでもっと修行してこい!」

というサゲでした。

師匠愛、親子愛にあふれるサゲで

ちょっと、うるっときてしもた。


休憩を入れて、2時間45分。

まさにたっぷり聴かせていただきました。





【 演 目 】
「癪の合薬」 桂二乗
「桃太郎」 桂米團治
「金明竹」 桂しん吉
「猫の忠信」 桂米團治
〜 仲入り 〜
「住吉駕籠」 桂米團治
「地獄八景亡者戯」 桂米團治

@ 銀座ブロッサム中央会館





2015.5.12

歓喜の歌

立川志の輔師匠の新作落語を映画化した

『歓喜の歌』。

映画になっているのは、知っていたが、

ずっと見そびれていた。

(公開は、2008年。)

やっと DVDをレンタルして観た。


公民館の大晦日の予約に、2つの似たような

名前のママさんコーラスグループが、

ダブルブッキングされていることが、

その前日に発覚するというストーリー。

落語版より、時間が長い分、なんやかんやと

話を膨れませていて、面白かった。

落語が原作だと知っていれば、

(それはないやろ〜) ということも

なんとなく許せてしまう。

出演は、公民館の職員に

小林薫、伊藤淳史、田中哲司。

ママさんコーラスのメンバーに

安田成美、由紀さおり、ほか。

志の輔ご本人と 談志師匠も ちらっと出演。

偶然、前日に見た 『寝ずの番』 にも出演していた

2人 (笹野高史、土屋久美子) も出ていた。

これは落語良し、映画良しの作品だ。

監督は、

『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜』、

『深夜食堂』 の 松岡錠司 (まつおかじょうじ)。


★★★★☆





2015.5.20

林家木久蔵
噺家生活20周年記念
落語会 春


笑点の黄色い着物と言えば、

独特のおとぼけキャラの林家木久扇。

その木久扇の息子であり、弟子である、

木久蔵の噺家生活20周年記念公演。



この人の落語は、全く初めてだったが、

父、木久扇も一席CDで聴いただけで、

生で聴く機会がなかったし、

こういう記念イベントは、滅多にないので

痛風で痛い足を引きずりながら

聴きに行ってきた。

ゲストも春風亭小朝、林家たい平と豪華。


まずは、林家きく姫 (木久扇の弟子)。

挨拶と短い小噺 (竹の子医者)。

続いてゲスト、林家たい平、春風亭小朝と続く。

小朝は、「荒大名の茶の湯」。

う〜ん、他の演目にして欲しかった。

今日で小朝は5回目なのだが、

そのうち3回がこの演目やねん。

独演会では、他の演目も聴いてるけど。


そして、本日の主役の木久蔵 登場。

噺家生活20周年の木久蔵は、

今年の9月で真打になってまる8年。

今年40歳。

時々、お父さんソックリの表情を見せる。

演目は、「天狗裁き」。

う〜ん、これ (演る人によっては) もっと

面白い噺やねんけど、あんまり笑われへんなぁ。

本人曰く、木久扇の息子っていうだけで、

スタートからハードルが低く、

最後まで演じただけで、

「よく全部覚えたね」 と褒められたという。

話を聴いてると、父・木久扇のほんわかした

人柄のおかげで鷹揚に育ったように聞こえる。

おまけに、辛口評論家に電話して、

「褒めてください」 と言うような

ポジティブ・タイプのようだ。


仲入りをはさんで、親子三代口上。

木久扇、木久蔵、そして木久蔵の息子

林家コタ (7歳)、三代による口上。

コタは、「ワニが出たよ〜。

こわいわに〜。」 とお祖父ちゃん譲りの

小噺を披露。

なんとも幸せな図である。

木久扇師匠は、昨年、喉頭ガンを

患われたので、こうやって復帰して、

孫も一緒に息子の20周年をお祝いできるのは、

喜びも一入 (ひとしお) であろう。

続いて、そのお祖父ちゃん、

師匠の木久扇は 「彦六伝」。

彦六というのは、木久扇の師匠、林家彦六のこと。

師匠の思い出を綴った噺だ。

「彦六師匠は、350もの演目を覚えていたけど、

私は5つしか覚えてない」 と言ってたけど、

本当かもと 思わせるのがスゴイ。


そしてトリにもう一度、木久蔵。

京都まで行って、愛宕山に登ってきた

レポートのスライドが出て、その後 「愛宕山」。

米朝師匠が、落語の世界と現実の山が

あまりに違うので、

「あんなもん行かん方がええ」 と

言うてたんやけど、その感想は、なかった。

比べたらあかんけど、私の中では

志ん朝の 「愛宕山」 が強烈で、

先の 「天狗裁き」 同様、何かが足らん。

ひと言でいうと、あんまり面白くないのだ。

でも、なんとなく許せてしまうような

気になるのが、木久蔵の魅力なんだろう。


ちなみに会場では、木久蔵ラーメンの他、

木久蔵つけ麺、木久蔵ナポリタンも

売ってたよ。





【 演 目 】
「竹の子医者」 林家きく姫
「湯屋番」 林家たい平
「荒大名の茶の湯」 春風亭小朝
「天狗裁き」 林家木久蔵
〜 仲入り 〜
親子三代口上
「彦六伝」 林家木久扇
「愛宕山」 林家木久蔵

@ 日本橋公会堂





2015.5.25

一之輔、高座に粗忽の釘を打つ

落語を聴くようになって、2年が過ぎた。

この2年間は音楽より落語を

聴いた時間の方が、長い。

落語会に行きだした頃は、

落語に詳しくなく、

ほかのお客さんが笑っているのに

何が面白いのか分からず、

軽い疎外感みたいなものを

感じることが時々あった。

分かる人だけが、笑っているのである。

噺家の方も、分かる人だけ笑ってください、

という体 (てい) なのだ。

さすがに今では、大体分かるようになり、

マニアックなくすぐりにも

笑えるようになってきた。


ところで、聞き出した頃は、

好きな噺家がころころと

変わって行ったものだったが、

最近は落ち着いている。

今、一番好きな噺家は誰かと

訊かれれば、答えに困るが、

好きな噺家 3人と言われれば、

迷わずに答えられる。

三代目 古今亭志ん朝、

立川志の輔、

そして、春風亭一之輔。

この3人だ。

5人と言われると、また困る。

この3人に次いで好きな噺家が

たくさんいるからだ。

そして、ベスト3に上方の

噺家が入っていないことには、

我ながら驚く結果だ。


さて、その3人のひとり、

一之輔の本を読んだ。

一之輔、高座に粗忽の釘を打つ』。

一之輔は、2012年、21人抜きで

真打に昇進した。

本書には、真打昇進にまつわる色々や

五十日真打披露興行で演じられた、

全演目の解説、また、彼がいかにして、

落語に魅せられ、噺家を目指すように

なったかが書かれている、

ファンとしては、必読の書だ。

彼が世話になった数人の師匠方の

名前も登場するのだが、中には、

私がまだ聞いていない師匠もあった。

そんな師匠方の噺も

読んでいるうちに聞いてみたくなる。

真打披露興行にまつわる数々の

エピソードも素晴らしいし、

春風亭一門の空気、一之輔の師匠、

一朝師匠の人柄や大きさも素晴らしい。

ますます一之輔を好きになった。


★★★★▲





2015.5.29

にっかん飛切落語会 第357夜

「にっかん飛切落語会」 は、 若手2人と

ベテラン真打2人が出演する、

1974年に始まった落語会で、

途中数年間の中断はあったものの

今年の7月で41年の歴史を持つ。

今夜はその第357夜だったが、

なんでも、しばらくお休みするらしく、

再開の詳細は、決まっていないようだ。

今回は、いつものプログラムではなく、

二つ目1人と、ベテラン真打3人が登場。

41年前、その第1回に前座で出演したのが、

当時の楽太郎、現六代目三遊亭圓楽だったらしい。

そういうわけで、区切りの会の本日のトリは、

圓楽だった。

目当ての志の輔は、「みどりの窓口」。

ナマで聴くの3回目。

何回聴いても面白いとはいうものの

できれば、違う演目を聴きたかったなぁ。


【 演 目 】
「短命」 立川志の春
「みどりの窓口」 立川志の輔
〜 仲入り 〜
「代り目」 三遊亭小遊三
「お化け長屋」 三遊亭円楽

@ イイノホール





2015.6.13

春風亭一之輔の
ドッサりまわるぜ 2015


一之輔の独演会。
「ドッサりまわるぜ」という全国ツアーで
5月31日の仙台を皮切りに、
7月12日の北海道まで、
全国10都市を周る。
今日は、その3公演目だった。
「ドッサりまわるぜ」というタイトルには、
「ドサ回り」の裏意味があるようだ。

全国ツアーをやる落語家は、たぶん
少ないだろうと思うが、このツアーは、
「vol.3」とあり、3年目であることからも、
一之輔の全国レベルの人気がうかがえる。

オープニング・トーク。
落語会には珍しく、着物ではなく、
ジーンズ姿(普段着?)で一之輔が登場し、挨拶。
このトークでお客さんの様子を見て、
演目を決めるんだろう。

いったん引っ込んで、前座の登場。
一之輔の挨拶は、ハンドマイクでオン
(マイクとの距離が近い)だったため
聞きやすかったが、前座が話し出すと、
高座では、マイクがオフ目(距離が遠い)に
なるので、その差が激しく、慣れるまでの
しばらくは聞きづらかった。

もうちょっと、ボリュームを上げてくれると
いいのだが、そういう調整をマネージする
人は、落語会にはいないのだろう。
前座のあと、一之輔が登場する頃には、
その音にも慣れた頃で、問題なかったが。

さて、一之輔。
落語を聴きに行くようになって約2年。
今のところ、一番ナマで聴いた回数が多い。
昨年の4月に初めて観てから、
1年2ヶ月の間に 9回といえば、
その惚れ込みようも分かってもらえるだろう。
来週も、(今回の全国ツアーではない)
独演会に行くのだ。
ほとんど中毒のようだ。

今日の演目は、「がまの油」、
「妾馬(めかうま)」、「不動坊」。
一之輔の「妾馬」「不動坊」は、
初めてだったので嬉しかった。

「がまの油」は、長い口上が聴かせどころだが、
一度もかむことなく、淀みなく流れるように
述べるのは、ホントに素晴らしい。
他の噺家でも聴いたことがあるが、
ちょっと引っかかってしまったりするのね。
それだけ、難しいということだと思う。

「妾馬」は、面白くてちょっと泣ける噺。
噺家によって、登場人物のキャラクターが
少しずつ違うのは、あい変わらず興味深い。
一之輔の場合、八五郎が
「三太夫、下がっておれ」と言うの好きやなぁ。

「不動坊」はドタバタ喜劇的な噺。
これは、元々は上方落語ということやけど、
こんなバカバカしい噺は上方やろなと思う。


【 演 目 】
オープニング・トーク 春風亭一之輔
「子ほめ」 春風亭朝太郎
「がまの油」 春風亭一之輔
「妾馬」 春風亭一之輔
〜 仲入り 〜
「不動坊」 春風亭一之輔

@ 神奈川県民ホール 小ホール


らくごDE全国ツアー vol.3
春風亭一之輔のドッサりまわるぜ2015








2015.6.18

J亭落語会 月替り独演会
春風亭一之輔 独演会

「J亭落語会 月替り独演会」というのは、
数人の噺家が月替わりで独演会をするという企画。
会場は、虎ノ門の JTアートホール アフィニス。

2012年からは、桃月庵白酒・柳家三三・
春風亭一之輔 の3人が月替わりで出演しており、
昨年、9月にも 一之輔の会を観に行った。
その時は、「喜怒愛楽シリーズ・怒」という
テーマだったが、今日は「起笑転結シリーズ・起」
というテーマだった。

う〜ん、「怒」の話ならいくつか思い浮かぶが、
「起」って何やろう、と思っていたら、
一之輔の演目は、「酢豆腐」「麻のれん」
「粗忽(そこつ)の釘」。
ま、あんまり関係ないのかな。
強いて言えば、「粗忽の釘」は、
引越しの話なので、「起」と言えなくもないが。

一之輔の高座は、10回目だったのだが、
今日の3席は、いずれも(一之輔で聴くのは)
初めてだったというのが嬉しい。

「麻のれん」は、目の見えない按摩の噺。
CD では聴いていたが、結構、仕草が多く
ビジュアル的な噺だった。
枝豆を食べる仕草が素晴らしく、
豆が2つしか入ってなかったり、
カラの枝豆を食べようとしたり、
細かい描写が上手い。
これは、ナマで見ないと。

圧巻は、「粗忽の釘」。
この噺は、上方では「宿替え」という。
粗忽者の噺だが、その粗忽加減が、
強烈で爆笑でした。

開口一番と仲入り後は、女流噺家。
男性噺家が、女性を演じるのは、
違和感がないのに、女性噺家が、
男性を演じると、どうもいけないなぁ。
慣れたら気にならなくなるのかな。


【 演 目 】
「たらちめ」 春風亭一花
「酢豆腐」 春風亭一之輔
「麻のれん」 春風亭一之輔
〜 仲入り 〜
「真田小僧」 立川こはる
「粗忽の釘」 春風亭一之輔

@ JTアートホール アフィニス





2015.6.24

きょん と ちば

「きょん」は、柳家喬太郎(やなぎやきょうたろう)。
1963年生まれの落語家。
好きな噺家のひとりで、何度も高座を観ている。

「ちば」は、千葉雅子(ちばまさこ)。
1962年生まれの、劇団「猫のホテル」を主宰する、
作・演出家&女優。
名前を聞いても分からなかったが、
調べてみると今年の映画「エイプリルフールズ」に
ちょい役で出演していた。

この「落語好きの演劇人と演劇好きの落語家」
2人による1日限りの落語会が「きょんとちば」だ。
昼夜の2回公演で、夜の部に行ってきた。

喬太郎は、本当に演劇好きなようで
マクラではマニアックな話をして、
演劇ファン(らしき人々)の爆笑を取っていた。
私は詳しくないので、あんまり笑えなかったけど。

千葉雅子の落語は、「反対俥(はんたいぐるま)」。
さすがに落語好きの女優だ。
人力車に乗って激しく揺られるさまを
全身で力の限り表現していた。

喬太郎の1本目は、「そば清(せい)」。
そして仲入り後の「サソリのうた」は、
千葉雅子作の書き下ろし新作。
修道院のシスターの物語なのだが、途中で
もうこれは落語ではないな、と思った。
一人芝居という感じ。
喬太郎だからこそ 出来る噺、
という感じで、面白かった。
たった一人であんなにも
色々表現できるということに
改めて噺家の表現力に感動したのでした。


【演 目】
「鷺とり」 柳家小太郎
「そば清」 柳家喬太郎
「反対俥」 千葉雅子
〜 仲入り 〜
「サソリのうた」(作:千葉雅子) 柳家喬太郎

@ 紀伊國屋ホール







2015.7.1

独 演 会 中 止

6月に入って、桂歌丸師匠(78歳)が、
入院したことは報道で知っていた。

7月12日の独演会のチケットを
すでに購入済みだったので、
どうなるのだろうかと思っていたら、
公演の中止が決定し、チケットの払戻しを
しますという旨のメールが、
今日、チケット販売元から届いた。

今年は、3月、5月と入院し、
6月は、1日に入院のあと一度退院したが、
14日に再入院していた。
23日の報道を見ると病名は「腸閉塞」とある。

3日前の笑点には、出演していたが、
6月前半の入院時は、仕事はしていたようなので、
再入院前の収録だったのだろう。

今回チケットを取っていた独演会は、
歌丸師匠の地元、横浜・関内ホールで、
三遊亭圓朝作の「真景累ヶ淵」を
7回に分けて語るというもの。

一昨年の3月にその第2話を聴きに行って以来、
年に2回、毎回聴きに行っており、
この7月12日がいよいよその第7話、
「最終話 お熊の懺悔」 だったのだ。

1話ずつ、独立しても聴けるのだが、
通してどういうストーリーなのか
改めて把握したうえで、最終話を聴きたいと、
少し前に1話から6話までの CD を
レンタルし、聴き終えた矢先だった。

延期ではなく、中止となったということは、
深刻な事態なのかと心配だ。





2015.7.3

独演会 再決定

一昨日、7月12日の桂歌丸師匠の独演会が
体調不良のため中止になったことを書いた。
延期ではなく、中止にしたのは、
深刻な状況ということなのかとも
思っていたのだが、今日、11月14日に
同じ会場(関内ホール)、同じ演目「真景累ヶ淵
最終話 お熊の懺悔」での公演があるとの
情報を得た。
どうやら、復帰の見込みが立ったということだろう。
良かった、良かった。
やっぱり、再終話、聴きに行かねば。





2015.7.4

春風亭一之輔の
ドッサりまわるぜ 2015
2回目


全国10都市を周る一之輔の独演会、
「ドッサりまわるぜ」。
6月13日にツアー3公演目となる、
神奈川公演(神奈川県民ホール小ホール)を
観に行ったのだが、今日はツアー9公演目の
東京公演。
さすがは東京、ゲストは笑福亭鶴瓶。
もちろん、チケットは完売。
ということだったが、チラホラと
空席が見えた。

一之輔を観るのは、今年だけで 6回目となり、
ちょっと、観過ぎちゃうかと自分でも
思っているが、チケットは公演ごとに
別々に買うので、気がついたら
こんなことになっているのだった。

さて、今日も先日(神奈川公演)同様、
まず一之輔が、私服で挨拶に登場。
挨拶のあと、まずは、鶴瓶師匠の弟子、
笑福亭べ瓶(べべ)の登場。

「反対俥(はんたいぐるま)」って、
東京落語の演目かと思っていたら、
どうもオリジナルは上方のようだ。
東京では、人力車で「上野へ行ってくれ」という
噺なのだが、今日は「梅田へ行ってくれ」という
噺で、この上方版は初めて聴いた。

一之輔の一つ目の演目は「鰻の幇間」。
「幇間」というのは、「太鼓持ち」とも言われる
職業で、簡単にいうと、酒の席で客の機嫌をとり、
場を盛り上げる芸人のこと。
落語にはよく登場する。
落語を聴きだした頃は、イマイチ、
この幇間・太鼓持ちのイメージが
よく分からなかったのだが、いくつかの噺に
出てくるのを何度も聴いているうちになんとなく、
分かるようになった。

一之輔の「鰻の幇間」では、
幇間の一八(いっぱち)がする、
鰻屋の女中への説教が一番の盛り上がりに
なっていて、今まで聴いたのとは
違っていて面白かった。

次は、鶴瓶師匠の登場。
高校時代の先生をネタにした「青木先生」という
演目があるのは、知っていたが、
初めて聴くことができた。
これは、かなり面白い。
大爆笑だった。

仲入りをはさんで、
林家小菊の三味線の弾き語り。

そして、最後は再び一之輔で「子別れ」。
酒が原因で離婚した夫婦。
ダンナは離婚後、反省して酒を断つ。
真面目に働き、3年経ったころ、
偶然子供に会い、子供のおかげで復縁するという、
ちょっと泣かされる噺。

一之輔ヴァージョンでは、「初天神」や
「雛鍔」同様、ちょっと生意気な子供が良い。
聴き終えて、なんとも心温まる演目。


【 演 目 】
「反対俥」 笑福亭べ瓶
「鰻の幇間」 春風亭一之輔
「青木先生」 笑福亭鶴瓶
〜仲入り〜
「粋曲」 林家小菊
「子別れ」 春風亭一之輔

@ よみうりホール







2015.7.23

本多劇場プロデュース
志の輔らくご 2015 IN 下北沢

恒例 牡丹灯籠


昨年7月に本多劇場で初めて観た、
志の輔師匠の『牡丹燈籠』。
ここ にも書いたように素晴らしい公演だった。
昨年は、ひとりで観に行ったのだが、
今日は、妻を連れて観に行ってきた。

本多劇場での志の輔師匠の公演は、
今年で19年目。
この「牡丹燈籠」は、2006年に初演で、
夏の恒例公演になっていて
今年で7年目のようだ。
(途中、休演の年があったようだ。)

昨年観たのは、初日の公演だった。
2時間30分の予定のところ、
終わってみると2時間50分も経っており、
師匠は、初日だったので、
時間を上手く配分出来なかったような
ことを言っていた。
聴く方としては、たっぷり聴けて
満足やったんやけど。

今日も最初の方の説明で、三遊亭圓朝が
30時間かけて語ったものを2時間30分で
語りますと言っていた。
が!
終わってみると、なんと3時間を超えていた。
エンディングまで入れると(休憩を含んで)
約3時間10分!
凄いわ〜。
その集中力。
一時も飽きさせることのないその話芸。

今年は、7月13日〜26日にわたる全10回の公演で、
今日は、その7日目だったのだが、
毎回、2時間30分で終わることなんか
ないんちゃうやろか。

1年前にたっぷり聴いたその『牡丹灯籠』。
何人かの噺家で聴いた、『御札はがし』と
『栗橋宿』の部分を除いては、
ほとんど覚えていない自分にも驚き。
おかげで、初めて聴くかのように聴けた。

録音機器のなかった明治時代、
三遊亭圓朝が15日間、30時間をかけて語った口演を、
若林かん蔵、酒井昇造という二人の速記官が、
速記して残したおかげで、平成の今も
この噺を聴くことができるのだが、
なんと、その酒井のひ孫さんが2006年の初演を
聴きに来たのだという。
それだけではない、今年の3日目だかの口演を
そのひ孫さんとお父さん(つまり酒井の孫)が、
聴きに来たらしい。
このエピソードもスゴイよね。

今年は、ちょっと、原作(速記本)も
読んでみようかと興味がわいたほど、
『牡丹灯籠』は面白い噺だ。
調べてみると、アマゾンで Kindle版が
¥0で売っている!
無料なので、売っているとは言わへんのかな。

今年は2週間10回の公演だったけど、
来年の本多劇場公演は、1週間だという。
チケット争奪の競争率が上がるなぁ。









2015.7.31

桂宮治 独演会
宮治本舗 エピソード II


一昨年9月に一度だけ、桂宮治の落語を聴いた。
演目は「妾馬」だった。
それまで宮治のことは知らなかったのだが、
その「妾馬」がとても良かったのと、
客席からの「戸越銀座〜!」という掛け声が
あったので、名前を覚えた。
(現在、私は戸越銀座在住。)

歌舞伎では「中村屋〜!」と屋号が掛け声だが、
噺家は、住んでいる町名を掛け声にしたりするようだ。
しかし、今まで 50回以上落語会に足を運んだが、
「待ってました!」や「たっぷり!」という
掛け声は実際に聞いたことがあるが、
町名は「戸越銀座」以外 聞いたことがないので
あまり一般的ではないのだろう。
っていうか、今時は贔屓の噺家が
どこに住んでいるのかなんて、
ほとんど知らないんとちゃうやろか。
実際、私は好きな志の輔や一之輔が、
どこに住んでいるか知らんもんね。

さて、今日はその宮治の独演会。
彼はまだ二つ目なのだが、キャパ200名弱の
ホールを満席にするほどの人気だ。

今日も登場するなり、「戸越銀座〜!」と
声がかかっていた。
どうも、いつも同じお客さんが
声を出しているようだった。
芸人としては、ありがたいことやろね。

宮治の演目は、「普段の袴」「鰻の幇間」
「蛙茶番(かわずちゃばん)」の3席。
「蛙茶番」は、初めて聴いた滑稽噺。


【 演 目 】
「犬の目」 春風亭昇吾(前座)
「普段の袴」 桂宮治
「鰻の幇間」 桂宮治
〜 仲入り 〜
「蛙茶番」 桂宮治

@ 内幸町ホール







2015.8.1

よってたかってぐんぐんロング
有楽町スペシャル2015真夏


暑いねぇ〜。
「暑い」とか「寒い」とか、
言うてもなんも変われへんので
あんまり言いたくないねんけど、
ホンマ暑いわ〜。

さて、今日は「よってたかって」の落語会。
出演真打は、一之輔、三三、市馬、百栄、
白酒とオール・スターだ。

トップ・バッターは、現在二つ目、
立川談笑の弟子、立川笑二。
なんども聴いたことのある「元犬」だったが、
知っているのとは、ちょっと違う展開で、
オチにはどんでん返しがあり、面白かった。
まだ若い(24歳)が、これから楽しみな噺家だ。

2人目も二つ目、三遊亭粋歌(すいか)。
東大生が、コンビニで初めてのアルバイトを
するのに母親がついてくるという「コンビニ参観」。
女流噺家は、中々難しいと思っているのだが、
彼女は、良かったな。
たぶんやけど、新作だったことも手伝っていると思う。
古典に出てくる、熊さんや八っつぁん、
ご隠居などを女性が演じると、どうも違和感が
拭えないのだが、初めて聴く新作なら、
そういう先入観もないもんね。

続いて、一之輔。
「堀の内」をナマで聴くのは2回目やけど、
こんなに面白かったっけというほどの大爆笑。
ちょっと、やり過ぎちゃうのと思うほど。

続いて、三三。
大爆笑の次は、やりにくいんちゃうかなと思うも、
いきなり「普通の落語を聴いていただきます」と言って
笑いを取るあたりはさすが。
本編中にも、一之輔の「堀の内」の主人公の
そそっかしさを使うなどして、客をくすぐってくる。

仲入りのあと、市馬。
なんと、生で聴くの初めてだった。
演目は、与太郎ばなしの「かぼちゃ屋」。

続いては、百栄の「露出さん」。
露出狂の性犯罪者が、20年以上毎日同じ時間に
出没し、しまいに町内に溶け込んでしまい、
街の人々から「露出さん」と親しまれ、
露出しても誰も驚かず、犯罪にならないという、
ぶっ飛んだ噺。
発想がスゴイ。

続いては、落語ではなく、
ギター漫談のペペ桜井。
今年80歳!
『禁じられた遊び』を弾きながら、
全く関係のない演歌(曲名失念)を歌うという
離れ業をやっていた。

トリは、白酒の「お化け長屋」。
これまた、今まで聴いたことのある
「お化け長屋」とは、一味違う展開で、
面白かった。

休憩を挟んでたっぷり3時間。
今日は全部面白かったね。
特に「元犬」「堀の内」「お化け長屋」は、
古典だけど新たなアレンジが施されていて、
21世紀の古典落語を観た感じ。


【 演 目 】
「元犬」 立川笑二
「コンビニ参観」 三遊亭粋歌
「堀の内」 春風亭一之輔
「五貫裁き」 柳家三三
〜 仲入り 〜
「かぼちゃ屋」 柳亭市馬
「露出さん」 春風亭百栄
ギター漫談 ぺぺ桜井
「お化け長屋」 桃月庵白酒

@ よみうりホール(有楽町)







2015.8.10

桂雀々独演会
雀々の逸品 Vol.2


昨夜は、昨年8月2日の独演会以来、
一年ぶりの雀々。
とはいうものの、数か月前には、DVD
「桂雀々 十八番」を、上下巻とも購入し
全部で18席、すでに鑑賞済みだ。
ホンマ、好きやなぁと自分でも感心。

東京では、上方の噺家を観る機会が
少ないが、雀々は東京に住まいを構えて
いるようで、独演会も定期的に演っている。

さて、昨日の開口一番は、笑福亭ベ瓶。
笑福亭鶴瓶の弟子で、先月の一之輔の独演会にも
出演していた。(その時の演目は「反対俥」。)
昨日の演目は「時うどん」。
上方のそれは、私には桂枝雀の
「ひっぱりなっちゅうねん」の印象が強いが、
ベ瓶のそれも面白かったね。

雀々の一席目は、「どうらんの幸助」。
言われるまで気がつかなかったが、
「どうらんの幸助」は、東京では
演じられていない、上方の落語だ。
私には、これも枝雀の印象が強いが、
米朝や文珍も CD でも聴いたことがあった。
何の道楽もなく、ただただ、
喧嘩の仲裁だけが楽しみという、
幸助というおっさんの噺。
ちょっとした時に、枝雀師匠の姿が
見え隠れして、師匠と弟子の関係の
深さを感じたね。

仲入りのあと、ゲストは春風亭一之輔。
一之輔は、今年だけで 8回目なので、
毎月観ていることになる。
演目は「粗忽の釘」。
先日観た「堀の内」同様、粗忽者(慌て者)の噺。
時間の関係で、途中で終わったのが
残念やけど、一之輔の粗忽者は面白い。

ラストは、雀々の「鯉船」。
これは、あんまり演る人がいない噺だが、
米朝の落語全集(CD)に収録されているのを
聴いたことがあった。
上方らしい、あほらしいオチです。

昨日、8月9日は雀々の誕生日だったようで、
55歳になったそうだ。



(顔に折り目がついてしもた。)


【 演 目 】
「時うどん」 笑福亭ベ瓶
「どうらんの幸助」 桂雀々
〜 仲入り 〜
「粗忽の釘」 春風亭一之輔
「鯉船」 桂雀々

@ 国立演芸場





2015.8.20

必死のパッチ


「必死のパッチ」って、わかるだろうか?
関西人なら説明不要だと思うが、山形育ちの妻に
訊いてみたところ、全く意味不明のようだった。

試しに「必死のパッチ」と入れて検索すると、
529,000件もヒットし、Yahoo!知恵袋には
「大阪の人が使う『必死のパッチ』って
どういう意味ですか?」という質問まで
見受けられる。
そして、なんと辞書にも載っている。

(Weblio辞書より)
極めて必死であることを意味する表現。
「必死」という語を強調した最上級とされ、
主に関西地方で用いられる表現である。
自分の努力などを誇示する際に使用することが多いが、
単にギャグとして用いられることもある。

(はてなキーワードより)
関西エリアにおける「一所(生)懸命」の最上級語。
自分がいかに精一杯頑張っているかを
アピールするのに使われることが多いが、
単に笑いを誘う事を目的に発せられることもある。
中年男性がよく口にするが、女性・若年層にも意味は通じる。

私には、全くもって普通の言葉だったので、
通じないことにびっくり。
全国的な言葉ではなかってんね。

で、やっと本題。
この「必死のパッチ」の意味をまず分かってもらわんと、
本題に入れなかったのだ。

上方の落語家、桂雀々の自叙伝『必死のパッチ』を読んだ。
読み始めたら、やめられなくなって 一気に読み終えた。

雀々は、昭和35年、大阪生まれ。
小学校6年生で母親に捨てられ、中学1年生で
父親に捨てられ、それから一人で生きてきたという
今の時代では考えられない生い立ちの人。

『必死のパッチ』は、文字通り、
彼の「必死のパッチ」で生き抜いた
小学6年生から、中学で落語に出会うまでの
数年間の壮絶なノンフィクション。

今ではもう ほとんどなくなったであろう、
大阪の下町の近所の暖かいコミュティの存在に
助けられ、人を笑わせることで、自分の
アイデンティティを保つ術を発見した少年の
心情は、涙なしでは読めません。

めちゃくちゃ一生懸命なのに
雀々の芸はなぜか暑苦しくない。
その意味が分かったような気がした。

落語を聴かない人でも読めます。


★★★★★




J亭落語会 月替り独演会
起笑転結シリーズ・笑
柳家三三 独演会


柳家三三(さんざ)の落語は、
2回ナマで聴いたことがあったが、
独演会は初めて。

残念ながら、今日は猛烈睡魔の日で、
前半は、ほとんど気絶状態。
全く起きていられない。

三席目「五目講釈」の終わり頃になって
ようやく起きていられるようになった。
なので、まともに最初から最後まで、
聴いたのは、最後の「質屋庫」だけ。
とほほ。

開口一番は、入船亭小辰の「金明竹」。
上方者の口上が、この噺の聴かせどころだ。
スラスラと一度も詰まることなく、
流れるようにその口上を言うのは、
素晴らしいと思ったが、いかんせん、
その上方者の口上以外の部分のイントネーションが、
全くなっておらず、聴いていて気持ち悪かった。
これ、他の東京の噺家にも
感じることなやねんけど、
なんとかならんのかなぁ。
この噺の終わり頃から、睡魔に襲われた。

三三は、正統派なイメージを持っていたが、
その通りの印象。
さすがは小三治師匠の弟子。
ま、何が正統派か分からんけど。
「五目講釈」の講談部分は素晴らしかった。


【演 目】
「金明竹」 入船亭小辰
「高砂や」 柳家三三
「五目講釈」 柳家三三
〜 仲入り 〜
「質屋庫」 柳家三三

@ JTアートホール アフィニス(虎ノ門)








2015.8.30

桂米朝 追善落語会

大阪では、8月16〜17日と2日間にわたって、
サンケイホールで米朝一門会による
「桂米朝追善落語会」が開かれたが、
東京では、今日、開催された。
@イイノホール(内幸町)

まずは、米朝一門から、ざこば・
南光・米團治・宗助、4人による口上。
米朝には、22人の弟子がいるが、
一人も破門されていないとのこと。
そのことを孫弟子の南光が米朝に
「そりが合わない弟子もいるのと違いますか?
なんで一人も破門にしてないのですか?」と
質問したところ、米朝は、
「私を頼ってきた人をなんで破門にできよう」
と答えたという。
そのあと、米朝は、
「うちの弟子には、アホが3人おる!」と言って、
手洗いに立ったという。
3人て誰やろ?

落語の一番バッターは、桂宗助(そうすけ)。
私は初めて聴く噺家。

続いて、米朝師匠の息子、桂米團治。
演目は、米朝が、まだ先代の米團治に弟子入りする以前、
21歳の時に作ったという新作『淀の鯉』。
上方らしい、バカバカしい噺ながら、
これを21歳で作ったのなら、やっぱり天才やと思た。
そして、さすがはプリンスと呼ばれる米團治。
上方らしくない(?)品の良さがある。

続いて、南光の『義眼』。
これも、上方らしいアホらしい噺。

続いて、ゲストの三遊亭圓歌。
初めて聴く人で、
「圓歌」と聞いてもピンと来なかったのだけど、
「山のあなあな」と聞いて、思い出した。
思い出したと言うても、その「山のあなあな」という
言葉を子供の頃に聞いた覚えがあるだけで、
意味も何も分らない。

調べてみると、自ら吃音者であった、
圓歌師匠(当時は二つ目で歌奴)は、
『授業中』という自作の演目に
吃音者を登場させ、国語の授業で
「山のあなたの空遠く」と読ませるところを
「やや、やまのあなあな」と
吃らせていたのだ。

なんでか分からんけど、
その「やまのあなあな」は、
私の記憶に残っていたのだった。

1970年、圓歌を襲名後は、高座に専念し、
テレビ出演を控えたというから、
私が覚えているのも、
60年代(私が7〜8歳まで)に
テレビで観た記憶なんだろう。

この圓歌師匠が凄かった。
なんというか、その存在が凄くて、
私は噺を聞いているだけで、
わけもなく涙が出てきた。
今日は、圓歌師匠を聴けただけでも
行った甲斐があるほど。

本人は、85歳か86歳か分からないと
言っていたけど、落語協会の紹介には
1932年生まれとあるし、ウィキペディアには、
1929年生まれとあって、何がホンマかわからん。
もう伝説やね、こうなると。

もと国鉄の職員(新大久保の駅員)で、
1985年に日蓮宗本法寺で得度。
つまり、噺家であると同時にお坊さんなのだ。

仲入り後は、米朝師匠にゆかりのある方々
(米團治・柳亭市馬・三遊亭圓歌・矢野誠一
・大西信行・近藤正臣・木の実ナナ)の
トークコーナー。
近藤正臣が関西人(京都出身)だとは
知らなんだ。

続いてゲストの柳亭市馬による
『目黒のさんま』。
やっぱり、上手いね。

そしてトリは、ざこば師匠の『笠碁』。
ざこば師匠は、東京での公演が少なく、
なかなか機会がなかったので、
ナマで聴くのは今日が初めて。
『笠碁』は、私には五代目小さんのイメージが強く、
上方の噺家では聴いたことがなかったが、
なんと、元は上方の演目であったようだ。
ざこば師匠のは、今まで聴いた『笠碁』に比べ、
喧嘩する二人が、とても素直な純粋な
おっさんに感じた。

ロビーには、米朝師匠が着用していた着物、
羽織の他、愛用のカバン、古い写真や
ポスターなどが展示されていた。
残念ながら、撮影禁止やった。

おみやげにお客さん全員、
米朝師匠の額入りポートレートを
いただきました。

普段の落語会より、襲名披露や、
真打昇進披露や、今日の追善落語会のように
特別な機会の方が、貴重な話が聴けるな。
行って良かった。


【 番 組 】
ご挨拶(ざこば・南光・米團治・宗助)
「狸の賽」 桂宗助
「淀の鯉」(中川清作) 桂米團治
「義眼」 桂南光
「中沢家の人」 三遊亭圓歌(ゲスト)
〜仲入り〜
トーク(米團治・柳亭市馬・三遊亭圓歌・
矢野誠一・大西信行・近藤正臣・木の実ナナ)
「目黒のさんま」 柳亭市馬(ゲスト)
「笠碁」 桂ざこば

@ イイノホール







2015.9.3

〜六代目三遊亭円楽プロデュース〜
六代目三遊亭圓生 三十七回忌
五代目三遊亭圓楽 七回忌 追善落語会
<夜の部>
圓生ファンの仲間による各派の会
『まってました!!柏木』圓生十八番集


長〜いタイトルの落語会。
円楽プロデュースによる、
六代目 圓生 三十七回忌と
五代目 圓楽 七回忌の追善落語会。

まずは、出演者全員(円楽、歌丸、小朝、
ざこば、志の輔)で、トーク。
豪華な顔ぶれやなぁ〜。
オールスターや。
今日は値打ちあるなぁ〜って感じ。

久しぶりの歌丸師匠(79歳)。
また、ひとまわり小さくなってしもたように
見えたけど、声を聞く限り、お元気そうで一安心。

円楽師匠が司会で、歌丸、小朝、ざこばの
順に、それぞれ圓生師匠の思い出を語ると
最後に志の輔師匠が、
「圓生師匠の何を話そうかなって、
考えてたんですけど、よく考えたら、
私、お会いしたことがないんです。」
すると、円楽師匠。
「あなたを呼ぶと、チケットが売れるから、
呼んだんです。」

圓生師匠のことは、全く知らないのだけど、
すごい人やったんやな、というのは
十分伝わってきたね。

そんなトーク(約25分)のあと、
いよいよ、落語。

今日の出演は、タイトルにあるように
「各派の会」で、円楽一門会、落語芸術協会、
落語協会、立川流、そして上方からは、
米朝一門からとバラエティに富んだラインナップ。

演目は、タイトルのとおり、
圓生師匠の十八番なのだろうけど、
志の輔師匠の「やかん」なんて、
ほとんどオリジナルのように
アレンジされてんちゃうかと思った。

ざこば師匠は、先日の米朝追善落語会で、
初めて観たと書いたが、続けて聴けて
嬉しかったな。

歌丸師匠は、正座ができないらしく、
足を隠すために見台を置いての口演。
春に観た時と同様、歩くのも難しいのだろう、
登場・退場の際には緞帳が下りた。
でも、噺はしっかりしていて、
全く衰えを感じさせなかったのはさすが。
11月の独演会が楽しみだ。

仲入りのあと、円楽師匠。
開口一番、「歌丸の最後の高座を観れて
みなさんは幸せです。」
演目は、「町内の若い衆」。
下げが好きな噺だ。

トリは、小朝師匠。
三遊亭圓朝 作「真景累ヶ淵」から
「豊志賀」。
怪談だ。
この人は、本当に流れるように話す人やと
思うねんけど、今日は珍しく何度かかんだ。
調子悪かったんかな。

興味深かったのは、噺家によって、
客席の明るさが違ったということ。
一番場内を明るくしたのは、ざこば師匠。
もうステージと客席が同じくらい明るい。
一番暗かったのは、小朝師匠。
これは、演じたのが怪談ということもあるし、
途中、演出で舞台までも真っ暗にする
シーンがあったこともあるだろう。
ああいうレベルになると、
自分の好きな(やりやすい?)客席の
明るさというものが、あるのかも知れない。

今日、9月3日は、圓生師匠の命日。
ロビーには、 六代目 圓生、五代目 圓楽の
写真が飾られ、数珠も置かれて、
お参りできるようになっていた。




【 番 組 】
トーク「それぞれの圓生噺」
   (円楽、歌丸、小朝、ざこば、志の輔)
「やかん」 立川志の輔
「肝つぶし」 桂ざこば
「紺屋高尾」 桂歌丸
〜 仲入り 〜
「町内の若い衆」 三遊亭円楽
「豊志賀」 春風亭小朝

@ よみうりホール(有楽町)








2015.9.10

J亭落語会 月替り独演会
起笑転結シリーズ・笑
春風亭一之輔 独演会

今年9回目の一之輔。
追っかけか!
っていうほど、観に行ってるけど、
なんか、笑いのセンスが、
ツボに入るねんなぁ。
ほんで、今日気がついたことやねんけど、
私はこの人の声が好きやな。

それにしても、江戸の落語を
こんなに好きになるなんて、
大阪におった頃には、
ホンマに考えられへんことや。
人生、分かれへんもんやなぁ。
しみじみ・・・。

さて、本日の番組、開口一番は、
一之輔の弟弟子に当たる春風亭朝太郎。
春風亭一朝に弟子入りして、
まだ2年ほどの前座だが、
残念ながら、何を言っているのか、
聞き取れない。
発声だろうか、発音だろうか、
滑舌の問題なのだろうか。
これって、噺家にとっては
致命的ではないだろうか。
音響のせいかとも思ったが、
ほかの出演者ふたりは、
ちゃんと聞き取れたので、
話し手の問題なのだろう。
頑張って欲しいもんや。

一之輔の一席目は「蝦蟇の油」。
相変わらず素晴らしい。
あれだけのセリフをよくも一度も
かまず詰まらずスラスラと流れるがごとく
言えるもんだと感心。

二席目「くしゃみ講釈」は、元々は上方の噺。
私には枝雀の印象が強い。
くしゃみがワザとらしいと興ざめなので
結構 難しいのではないかと思う。
一之輔のは、初めて聴いた。

三席目「明烏」。
この噺は、ひとつ間違うと
退屈になりかねない話だと思うのだが、
さすがは一之輔。
若旦那が適度に品良く、乙な噺に
まとめられていて、中だるみすることなく
最後まで集中させられました。

今年は、あと3回、一之輔の独演会の
チケットを取ってある。
そう、計12回、今年は月一で聴きに行った
ことになるのだった。


【 演目 】
「道灌(どうかん)」 春風亭朝太郎(前座)
「蝦蟇(がま)の油」 春風亭一之輔
「くしゃみ講釈」 春風亭一之輔
〜 仲入り 〜
「鮑のし」 春雨や雷太(二ツ目)
「明烏(あけがらす)」 春風亭一之輔

@JTアートホール アフィニス(虎ノ門)








2015.9.28

赤坂ACTシアタープロデュース
恒例
 志の輔らくご

志の輔師匠は、正月のパルコ公演や
夏の本多劇場公演のように毎年同じ会場で
何年も続けておられる公演がいくつもある。

赤坂ACTシアターの公演も同様で、
今年で 7年目だそうだ。
今年は、9月26日から29日までの 4日間の4公演。
今日は、その3日目だった。

一部は、『大忠臣蔵』。
落語ではなく、スライドを使い、
『仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)』
(通称『忠臣蔵』)の歴史や全十一段のあらすじ説明。

よく分かってなかったけど、『忠臣蔵』というのは、
『赤穂事件』という実際にあった事件を元にした
物語のことで、この2つには明確な区別があると、
初めて知った。

歌舞伎の『忠臣蔵』では、大石内蔵助のことを
大星由良之助(おおぼしゆらのすけ)と呼ぶなど、
名前を変えているのは、知っていたが、
なぜ変えているのかは、知らなかった。

江戸時代、赤穂事件の討ち入りは、
お上がOKとしておらず、芝居で演じることも
浮世絵に書く事も禁じられていたらしい。

そこで、当時の脚本家(?)は、
物語の時代設定を江戸時代から南北朝時代へ、
舞台を江戸から鎌倉へと移し、
登場人物の名前も変えて、
「これは赤穂事件ではない」と役人に言って、
ようやく演じられるようになったのだという。

初演は歌舞伎ではなく、大阪での人形浄瑠璃。
その後、歌舞伎や映画、舞台、ミュージカル、
宝塚、果てはオペラにまで発展し、間違いなく、
日本で一番多く演じられてきた、
物語になったとのだという。

休憩を挟んで、二部は落語で『中村仲蔵』。
江戸時代の実在の歌舞伎役者の噺。

歌丸師匠や先代の円楽師匠の口演は、
CD で聴いたことがあり、ストーリーは、
知っていたが、今日の『中村仲蔵』は、
時間もたっぷりかけ、非常に丁寧で、
また、一部の忠臣蔵の説明が
あったおかげで、今まで分かっていなかった
ディテールについても理解できた。

仲蔵の芝居にかける情熱と
クライマックスの命懸けの演技が
認められた場面では、ウルウルしたね。

休憩15分を挟んで、たっぷり3時間。
と言っても、あっという間に感じさせるのは流石。
歴史の勉強にもなったね。

エンディングは、正月のパルコ公演と同じく
スターダストレビューの『シュガーはお年頃』。

それにしても、志の輔師匠の公演は、花が多いね。
今日は、会場のロビーから廊下、階段に至るまで、
会場が、TBS関係ということもあるだろうけど、
今まで見た中で一番多いんちゃうかというほどの
花が飾られていた。
花は、芸能人や関係各社からのものだが、
中には「上原ひろみより」なんていうのも発見。

そうそう、忠臣蔵の話を聴きながら、
一度、泉岳寺へ赤穂浪士のお墓参りをしようと思いついた。
せっかく近所(地下鉄で3駅)に住んでんねんしな。


【 演 目 】
第一部 「大忠臣蔵 〜仮名手本忠臣蔵のすべて〜」
〜 休憩 〜
第二部 「中村仲蔵」

出演 立川志の輔

@赤坂ACTシアター







2015.10.29

春風亭一之輔 独演会
2015 落語一之輔 二夜
第一夜


昨年の今頃、聴きに行った一之輔の
独演会が「春風亭一之輔 独演会
2014 落語一之輔 一夜」という
タイトルだった。

この独演会は、1年目は一夜、
2年目は二夜、3年目は三夜、と
増えていき 5年目には、五夜の公演を行い、
5年合計で十五夜になるという
乙な企画だったのだ。

そんなこととは知らずにチケットを買ったのだが、
たまたま 1年目に行ってしまった私は、
これは、5年間十五夜、通しで聴いてみたいと
いう衝動にとらわれてしまった。

もちろんスケジュールが合わなければ、
行けないことなので、十五夜達成は
どうなるかわからんのだけど、
今年の二夜は、チケットを入手した。

今日は、その第一夜。
(ややこしいが、二夜の第一夜ね。)
昨年は『文七元結』の初演を聴けたので、
今年も初演が聴けるかもと、
期待して会場よみうり大手町ホールに向かった。

一之輔の演目、まずは「時そば」。
一之輔のそれは、聴いたことがあるようで
初めてだった。
2人目の蕎麦屋のキャラ(日本シリーズを
イヤホンで聴いていた)は、一之輔ならでは。
そばに入っていたのが、チクワではなく、
トローチというのも、すごい。
そら、「ふざけている」と言われても
仕方がないが、発想が好きだな。

二席目は、「笠碁」。
これは、其好きの旦那 2人の喧嘩の話だが、
2人とも微笑ましく可愛い旦那だ。

仲入り、曲芸をはさんで、
三席目は、本日が初演だという「三軒長屋」。
この噺は、全く初めての噺だった。
CD や DVD、ナマの落語会・寄席も合わせると、
この 2年半で のべ1000席以上の落語を聴いたが、
まだまだ聴いたことのない古典があるというのは
うれしいな。
しかも初演というのがいい。
初演というのは、その噺家にも
一度しかないことなので、
聴く方にとっても、希少な体験だからね。


【演 目】
「宮戸川」 春風亭朝也(二つ目)
「時そば」 春風亭一之輔
「笠碁」 春風亭一之輔
〜 仲入り 〜
太神楽曲芸 鏡味仙三郎社中
「三軒長屋」 春風亭一之輔

@ よみうり大手町ホール







2015.10.30

春風亭一之輔 独演会
2015 落語一之輔 二夜
第二夜


昨日に引き続き、一之輔の独演会、
その第二夜。

開口一番は、来年3月に真打昇進が
決まっているという林家たけ平。
割と好きな軽い芸風やな。
演目は初めて聴いた「袈裟御前」。

さて、一之輔は、まずは「堀の内」。
粗忽者(慌て者)の物語。
サゲを最初に言ってから、落語に入るという
斬新なスタートで、それがまた仕掛けになって
いるという一之輔スタイル。

二席目は、「短命」。
これは粗忽者ではなく、鈍い男の噺。

そして、最後は「百年目」。
昨日の「三軒長屋」に続き、
本日が初演とういことだ。
50分以上かけて、たっぷり丁寧に
演じられた。
主人公は番頭だが、お店(たな)のだんな様が
とても大きな人で、なんというか
勉強になる噺。

数えてみると、一之輔の高座は
今年、11回目だった。
12月も独演会に行くので、
今年は月一で聴きに行ったことになる。
おっかけか。


【演 目】
「袈裟御前」 林家たけ平
「堀の内」 春風亭一之輔
「短命」 春風亭一之輔
〜 仲入り 〜
粋曲 柳家小菊
「百年目」 春風亭一之輔

@ よみうり大手町ホール








2015.11.14

関内寄席
桂歌丸独演会
三遊亭圓朝 作 真景累ヶ淵
最終話 「お熊の懺悔」


当初、7月12日に予定されていた歌丸師匠の独演会は、
師匠の入院のため、中止になった。
今日は、その代替公演だった。
延期ではなく、いったん中止になったのだが、
その後、間もなくこの代替公演が決定したのだった。

この独演会は、 歌丸師匠の地元、
横浜・関内ホールで、 三遊亭圓朝作の
『真景累ヶ淵』を 七回に分けて語るというもの。
一昨年、私が落語にハマるきっかけともなった、
歌丸師匠の独演会で聴いたのが、その第二話だった。
一年に二話ずつなので、あれから足掛け三年で、
毎回聴きに行き、ようやく最終話となったのだ。

中止となった7月の公演前にも第七話を聴く準備として、
第一話から第六話までの CD を、i-Pod に入れ
聴き直したのだが、間が空いてしまったので、
一週間ほど前から、再びこの六話を聴きなおした。
最終話(第七話)も i-Pod に入れてあるのだが、
これは、ナマで聴くための楽しみに取っておいた。
そんな準備万端の体制で臨んだ今日の独演会。

まず、開口一番は、初めて聴く 古今亭今いち。
名前だけで、笑いを取れるのはいいね。
演目は『初天神』で、短めに10分ほどで。

続いて、今年9月に前座から二つ目に
昇進したばかりの 桂竹千代。
前座名は、「竹のこ」だった。
昨年と今年のこの関内ホールの歌丸師匠の
独演会には毎回出演していたので、
今日で観るのが4回目だったのだが、
やはり、前座から二つ目に上がるというのは、
大きなことなんだろう。
なんというか、その嬉しさとエネルギーが
溢れ出ているように感じた高座だった。
そういえば、一之輔だったか、
真打に昇進するより、前座から二つ目に
昇進した時の方が、嬉しかったと
言っていたような覚えがある。

歌丸師匠の一席目は、『紙入れ』。
歩くのが大変というので、登場の際には、
緞帳を降ろしての登場だったが、
話口調は全く元気そうだった。

休憩のあと、瀧川鯉丸 の『寄合酒』。
この鯉丸も、今年4月に 二ツ目に昇進しており、
「鯉〇」から「鯉丸」に改名していた。
一昨年3月、初体験の落語会で、
前座として高座に上がったのが、この鯉○だった。
その時のことは、全く覚えてないけど、
こうして前座が昇進していく様を見るのも
落語の楽しみの一つかもしれない。

太神楽(だいかぐら、曲芸)のあと、いよいよ、
『真景累ヶ淵』の最終話だ。
第六話の終わり方が、続きが聴きたくなるような
終わり方だったし、7月の公演中止から
4ヶ月待ったこともあり、
私には、やっと聴ける最終話だ。

ストーリーは全く想像がつかなかったが、
そういうことだったのか!という謎解きだった。
もともと怪談ということもあり、
ハッピーエンドではないが、
聴き応えのある全七話だった。


【演 目】
「初天神」 古今亭今いち(前座)
「看板の一(ピン)」 桂竹千代(二つ目)
「紙入れ」 桂歌丸
〜 仲入り 〜
「寄合酒」 瀧川鯉丸
太神楽 鏡味初音
「三遊亭圓朝 作 真景累ヶ淵
最終話 お熊の懺悔」 桂歌丸

@ 関内ホール 大ホール





それにしても、この作者、三遊亭圓朝という人は、
凄い人やなぁと思う。
この『真景累ヶ淵』のほかにも、
『芝浜』『文七元結』『死神』も、圓朝の作だし、
『怪談牡丹燈籠』『怪談乳房榎』などは、
歌舞伎や映画にもなっている。
今で言えば、ヒット・メーカーやろな。

三遊亭 圓朝(さんゆうてい えんちょう):
幕末から明治時代の噺家
生年月日 1838年5月13日
没年月日 1900年8月11日(満62歳没)





2015.11.21

落語立川流特別公演
談志まつり2015


昨年の11月にも観に行った、
「談志まつり」に今年も行ってきた。

これは、談志の命日に合わせて開催される
立川流の談志追善落語会。
昨年は、立川流創立30周年の特別公演で、
3日間 5公演だったが、今年は 2日間 3公演。
その 1公演目に行ってきた。
お目当てはもちろん志の輔師匠。

ここに何度か書いたように、
私は家元(立川談志)の落語が好きではない。
落語はうまいと思うのだが、
どうも好きになれない要素があるのだな。
でも、彼の功績・影響力は、大きいし、
志の輔師匠のように立川流にも大好きな噺家は
いるので、この「談志まつり」も楽しみに
していたのだ。

今日、11月21日は談志の命日。
そのこともあってか、仲入りのあとには、
立川小談志の真打昇進&襲名披露の口上が
あった。
なのに、当のご本人の高座がないという
大人の事情満載のプログラムだった。

今回は談志直弟子による落語会ということで、
普段聴く機会がない立川流の皆さんの
落語も聴くことができた。
ちょっと遅れて行ったので、
一人目、立川談吉は聴き逃したけれど。

談四楼が、米朝が復活させたという「一文笛」という
噺を米朝トリビュートで演るわ、龍志は、
志ん朝トリビュートと言って「駒長」を演るわ、
志の輔は、自身の新作を演るわで、
何の会か分からないなんて言っていたけど、
お客さんにとっては楽しめる、自由で楽しい会でした。

何だかんだといっても、弟子たちの談志師匠への
愛あふれる落語会で、いつか、談志の落語にも
真剣に向き合わねばならないかと
何か大層なことのように思ったのでした。


【 演 目 】
「孝行糖」 立川談吉(聴いていない)
「四人癖」 立川志遊
「反対俥」 立川生志
「一文笛」 立川談四楼
〜 仲入り 〜
錦魚改め小談志 真打披露口上
 (談四楼・龍志・小談志・志の輔・生志)
「駒長」 立川龍志
「ディアファミリー」 立川志の輔

@ よみうりホール(有楽町)






新宿末広亭
深夜寄席


映画『恋人たち』の上映まで時間があったので、
世界堂をのぞいたり、楽器屋をのぞいたり、
新宿をブラブラした。

新宿末広亭の前を通ると、21:30 からの
若手の二つ目が出演する「深夜寄席」の
告知が されていた。
(毎週土曜にやっているようだ。)

映画のあと、食事をすると
ええ時間になったので、
昼に落語を聴いたばかりだが、
聴いていくことにした。

90分ほどに4名の二つ目が競演し、
木戸銭は、なんと500円。
そのせいもあってか、ほぼ満席。

やはり真打との差を感じないわけには
いかないが、これから有望な噺家たちだ。

一人目、瀧川鯉津 。
この人は、聴くのが2回目。
昨年、真打昇進ということだが、
結構 固まってきている印象だった。

二人目、春風亭昇吾(昇太の弟子)は、
今年9月に二つ目に昇進したばかり。
まだまだな感じは否めないが、
脱力系の芸風は、嫌いではない。

続いて三人目、笑福亭和光。
あの鶴光の弟子。
鶴光と言っても、ご存知ない方も多いと思うが、
私が小中学生の頃には、大阪・毎日放送(ラジオ)の
「ヤングタウン」や、ニッポン放送の
「オールナイトニッポン」で絶大な人気のあった
落語家なのだ。
落語を聞いたことはなかったが。
で、その鶴光の弟子、和光。
この人が、明らかに大阪人ではないしゃべり。
東京の人が真似る上方落語とも違う、
不思議なイントネーションの落語でした。
始まってしばらくして睡魔がやってきて、
まともに聞けなかったが、オチは「試し酒」だった。
でも、知ってる「試し酒」とは、
始まりが違ったので、違う噺かも。

続いて四人目。
マクラがまるで学生のように感じた、
春風亭昇々(昇太の弟子)は、
本人の作だろうか 新作だったが、
中々好きな芸風で今後が楽しみ。
声が小さくなるとき、
ちょっと小さくしすぎで聞こえないのは難点。

これで 500円ならお得だな。
土曜に夜に新宿にいたら、また行こう。
当たり外れがあるかもしれんけど。


【 演 目 】
「真田小僧」 瀧川鯉津
「犬の目」 春風亭昇吾
「試し酒」(?) 笑福亭和光
「 ? 」 春風亭昇々

@ 新宿末広亭





2015.12.10

J亭落語会
起笑転結シリーズ「転」
春風亭一之輔 独演会


今年12回目(そのうち8回は独演会)となる、
一之輔の落語を聴いてきた。
我ながら、よく行ったもんだ。
覚えてないけど 今日のチケットは発売まもなく
取ったのだろう、前から2列目のど真ん中という
ええ席だった。

開口一番は、林家正蔵(こぶ平)の
弟子(息子)、林家たま平。
初めて聴いた。
小学生の時には、すでに林家こぶたの名前で
高座に上がっていたらしい。
その頃、前座だった一之輔は、
こぶたの出囃子の太鼓を叩いたことがあるらしい。
とんがっていた一之輔は、
「なんで、こんなガキの出囃子を
叩かないといけないんだ!」と思いながら、
叩いていたそうな。

たま平は、2013年4月に父、林家正蔵に入門。
曽祖父は7代目林家正蔵、祖父は初代林家三平、
父は9代目林家正蔵で、落語界初の4代続く
落語家誕生となった。
今日は、「初天神」を10分弱で。
落語の方は、う〜ん、これからでしょうね。

お目当ての一之輔は、「道灌(どうかん)」
「加賀の千代」の2席を続けて。
「加賀の千代」は、ご隠居と甚兵衛さんの噺だが、
このご隠居が好きやなぁ。
ご隠居が、甚兵衛さんのことを好きなんやけど、
その好きさ加減が、ちょっと異常。
甚平さんを「いつまでも見ていたいねえ」とか
「膝に乗るかい?」とか「懐に入るかい?」とか、
言うてしまうねん。
なんかきわどいねんけど おもろい。
一之輔以外で聴いたことがないのだけど、
たぶん他の噺家のご隠居は、あんな風でないと思う。

休憩を挟んで、柳家ろべえ。
柳家喜多八の弟子。
喜多八師匠の、無気力っぽい芸風も好きなのだが、
このろべえも(初めて聴いたけど)好きなタイプ。
名前の「ろべえ」は「やじろべえ」かららしい。
客席から「ヤジ」が飛ぶと、「やじろべえ」になるそうな。
15分マクラしゃべって、本編10分ちょっとやったけど、
もっと聴きたいと思ったね。

一之輔の最後は、先々月その初演を聴いた「三軒長屋」。
これもまだ他の噺家のヴァージョンを聴いたことがない。

一之輔。
今年は、今日が聴き納めになるけど、
来年も引き続き、聴きに行きそうやなぁ。


【 演目 】
「初天神」 林家たま平(前座)
「道灌」 春風亭一之輔
「加賀の千代」 春風亭一之輔
〜 仲入り 〜
「噺家の夢」 柳家ろべえ(二ツ目)
「三軒長屋」 春風亭一之輔

@JTアートホール アフィニス(虎ノ門)









ひとりごと