Top Pageへ  Laguna Moon  Live記録  Live記録  Guitars  LINK lyrics


つつみしんやのひとりごと 2015年 3月
    感想・ご意見はshinya◇shin223.com
    メールをくださる方は、上記アドレスの◇を@に変えて送ってください。(スパムメール対策)   


2015.3.1

Jess Lewis

以前、タル・ウィルケンフェルド、

エスペランザ・スポルディング、ニック・ウェストなど、

女性ベーシストを紹介したことがあったが、

今日は、女性ギタリストを。

YouTube 上には、ホンマに大勢の女性ギタリストの

動画が上がっている。

もちろん全部観たわけではないのだけど、

私のイチオシはこの娘。

1994年生まれのジェス・ルイス (Jess Lewis)。



最初に見つけたのは、この動画やったけど、

こん時、17〜18歳や。

演奏も素晴らしいし、なんというか・・・。

こういうの、「萌え」 っていうのかしら。

おじさん、初 (恥?) めての感覚。

ギターの上部のカーブは、このためだったのか。


で、このギターのこと調べたら、

イギリスの Eternal Guitars っていうブランドの

ジェスちゃんモデルのようやねんけど、

欲しいなぁ。


ジェス、16歳のプレイ。

ラリー・カールトンの名曲を弾くジェス。





2015.3.3

大家といえば・・・

落語を聴いていると

「大家といえば親も同然、

店子 (たなこ) といえば子も同然」

なんてセリフが ちょくちょく出てくるが、

江戸時代、特に長屋の大家さんと店子は、

そんな親密な関係だったのだろうな。

『井戸の茶碗』 のように もめ事の間に

大家さんが入って解決する噺もあれば、

『らくだ』 のように嫌われている大家さんが

登場する噺もある。

また、『長屋の花見』 に登場する大家さんのように

お金はないけど、長屋の皆を花見に連れて行こうと

する大家さんもいる。

そして、落語に登場する大家さんは、大体 優しい。

何年も店賃 (たなちん) を払っていない店子が

登場するけど、あんまりガミガミ言う大家さんはいない。

『妾馬 (八五郎出世)』 の八五郎だって、

店賃を滞納しているようだが、大家さんは

八五郎に着物を貸してあげたりと優しい。


私は、一応 (?) 不動産業に従事している。

会社は、いくつかの不動産物件を所有している。

つまり、大家さんなのだ。

で、いくつかの賃貸借契約をしていると、

どうしても、賃料の支払いのルーズな

店子が現れてくる。

今までに、家賃滞納で提訴したこともあるし、

内容証明で解約通告し、出て行ってもらったもの、

夜逃げ同然でいなくなったものなど、様々だ。


こんなぶっ飛びな店子もいる。

その人は、ある商売 (物販) でわが社の物件を

借りているのだが、結構、滞納賃料が

溜まっている。

私としては、これ以上、滞納金を増やしたくないので、

度々、催促の電話をかけることになる。

「○ 日までに ○ 万円入れてください。

そうしないと、今月末で出て行ってもらいます」

なんて言葉は、何十回 その人に言ったか分からない。

そうすると、こちらが

(もうちょっと様子を見ようか) と思えるほどの

金額を入金してくる。

こんなことを繰り返していても、

溜まった滞納金を取り戻せるとは思えないが、

これ以上、滞納を増やすことは、

許容できないので、催促は厳しくやる。

そういう人は、どんどん滞納が増えていく傾向に

あるからだ。


2月末、約束した金額を振り込んで来なかった、

その店子 (Aさんとする) に 今日、電話をした。

私 「明日、賃料を入れられないのだったら、解約です」

A 「週末にお客さんがきます。月曜日まで待って下さい」

私 「今まで何度も待ったじゃないですか。もう終わりです」

A 「そう言わずに一度、お店に来てください!」

(私は、そのお店に行ったことがなく、

そのAさんと電話でしか話したことがない。)

私 「お店に行ったって何も変わりません。
   賃料払ってください」

A 「お店に来ていただければ、理解してもらえます」

私 「理解って?お店に行ったら、家賃払わないことが
   理解できるんですか?」

A 「いえ、お金だけ (が全て) じゃないということが分かります」


すごいなぁ、この会話。

コントみたいでしょ。

実際の会話やで。

店賃 滞納している店子が、大家に向かって、

「金じゃない」 って・・・。

笑えるなぁ。

やたらと 「お店に来てくれたら分かる」 と

言うところを見ると、どうも、Aさんは

売っているモノには 自信があるようやね。

でも、家賃 払えなかったら、

場外乱闘なんですけどね。

それとも、お店に行ったら、

「あなた、家賃払わなくても良いですよ」 って

言うとでも思ってるんやろか。

そうやとしたら、この人、ホンマもんやで。


で、優しい大家さんは結局、来週の月曜日まで

待ってあげることにしたのだった。




ハバネロ+2

横浜の KAMOME で 「habanero 」 の

ライブを観てきた。

「habanero 」 は、サックス、フルートの

羽根渕さんと ギターの馬場さんのデュオで、

ライヴを観るのは、一昨年の12月以来で

5回目だ。

いつもは、完全なデュオだが、

今日は、ベースとドラムを加えたクァルテット。

ドラムとベースが加わったことで、

デュオで何度か聴いたハバネロの曲が、

力強く、ちょっとラウドに生まれ変わった。

これ、また演って欲しいなぁ、

ジャズっていいなぁ、と改めて思えるライブでした。

ベースは、エリクトリックのフレットレスで、

子供用の (バイオリン用だろうか) 弓を使って

アルコするわ、ドラムは 100円ショップで買った

菜箸をスティック代わりに使うわで、

ジャズが何でもあり、自由な音楽であること

そのものな演奏でした。

今日は、羽根渕さんの43歳の誕生日ということで、

曲中、突然、馬場さんがハッピーバースデーを

歌い出すやら、楽しいライブでした。


馬場さんのギターは、渋谷ウォーキンの

オリジナル、Westville Guitars の

あの Kurt Rosenwinkel も使ってるやつ。

[ MEMBERS ]
habanero " +2 "
羽根渕道広 (Ts, Fl)
馬場孝喜 (G)
織原良次 (B)
橋本学 (Ds, Perc)

[ Set List ]
― 1st set ―
1. 4℃
2. Where Are You
3. Keep In Touch
4. Snoopy's Siesta
5. Brazilian Kiss

― 2nd set ―
1. My Ideal
2. Vanity
3. Flavour
4. Premonition Of Love
5. I Ask You a Question
En. Have You Met Miss Jones ?

@ KAMOME





2015.3.4

衝撃の事実

「今から、衝撃の事実を話すから、

そのつもりで聞いて」

朝から、妻がそんなことを言い出した。

世の中の夫は、妻がこんなセリフを

前置きにしたら、どんな心持で、

その話を聞くのだろう。


我が家の場合。

大体、妻のこんな出だしで、

私が衝撃を受けたことはない。

どんな衝撃が来るのだろうと

ワクワクして 聞いていると、妻曰く。

「4月12日の焼津マラソンに申し込もうとしたら、

受付期間が終わってた・・・」


昨年4月、妻は 「焼津みなとマラソン」 の

10キロ部門にエントリーし、

時間切れで失格になりながらも完走した。

その時、一緒に走ったSさんが、静岡在住で、

来年も走ろうと約束していたらしいのだが、

エントリーしようとしたら、

応募期間を過ぎていたという

間抜けな結果に終わってしまったわけだ。


案の定、何の衝撃も受けない私。

一応、落ち込んでいる風な妻を見ると、

彼女には、ショックだったようだ。

ま、それもそうだろう。

つまり 「私が衝撃を受ける話」 なのではなく、

「妻が衝撃を受けた」 話なのだな。

焼津マラソンには、昨年同様、

私も (一泊で) 応援にかり出される予定で、

マラソンの前後には、焼津あたりの旨い魚でも

食そうと思っていたので、その旅行は、

どうなるのかが気になるところだ。

なぁに、マラソンがなくったって、

魚料理は食べに行ける。

なので、「心配することないよ」 と

妻に言ってあげることにしよう。


ところで、年に一回ぐらい、

見るからに落ち込んだ風な妻を見ることがある。

「手帳、なくした・・・」

「財布、なくした・・・」

「○×△からの書類、なくした・・・」

大体、そんな感じ。

で、それらが見つかった時のルンルンな妻は、

マンガのように嬉しそうで

見ていてあきれるほどだ。

そんな時の妻ほど 「おめでたい」 という形容が

似合う人はいないだろう。

今回は、マラソンの応募に間に合わなかったので、

ばん回のしようがないように思うが、

さて、どうなることか。

いや、やつは何かで ばん回してくるぞ。




オール新作!爆笑バトル
新世紀落語の会
第6回 東京公演


「新世紀落語の会」 は、新作落語のみで、

大阪では16年間、60回以上開催されてきた

落語会らしい。

東京では、3年ぶりの6回目。

そんなこと何も知らずに、

なんとなく面白そうだなと観に行ってきた。

安いし (2500円)。

一人目、月亭遊方 (ゆうほう)。

月亭八方の弟子。

ごめんなさい。

強烈な睡魔で聴いてませんでした。

二人目、桂あやめ。

五代目 桂文枝の弟子。

う〜ん、そこそこ面白いねんけど、

ネタがねぇ・・・。

実在の、現在 生きている人物 (松田聖子、

神田沙也加) を使うと、

なんか笑えないとこもあって、微妙。

でも、中々 良いと思える人が少ない

女性の噺家の中では面白いと思った。

結構、ベテランですし。

三人目、桂小春団治。

この人は、見覚えがあるので、

大阪に住んでた頃、テレビで観てるんでしょな。

名前から分かるとおり、春団治師匠の弟子。

さすがはベテランです。

安定してます。

仲入りをはさんで四人目は、

出演者5人中ただ一人の東京の噺家、三遊亭王楽。

五代目 三遊亭圓楽の最後の弟子。

父親は、笑点にも出演している三遊亭好楽で、

父親とは兄弟弟子という関係になる。

CDで聴いたことはあったが、

ナマは初めて。

まだ30代ですが、この人も安定していて良いです。

ほんの少し、甘いところがあるけど

えらそうに言うと、まだ伸びしろを感じるね。

そして、トリ、笑福亭仁智。

この人も顔を知ってたから、

子供のときにテレビで観てるんやろな。

名前から想像のつく通り、笑福亭仁鶴の弟子。

東京に来ると、東京に対抗心があるのか、

「米朝一門会に出ているかのような、

嫁はんの実家に行ってるかのような、

落ち着かなさがある」 と言うてたけど、

一番、面白かった。

野球解説者のマクラも、

大阪のヤクザをネタにした本編も、

爆笑やったけど、この噺、ホンマに笑えるのは、

大阪出身者だけやろな。

その分、得したような感じ。


新作落語は、人間の普遍的な部分を描けば、

古典として残って行くのかも知れんけど、

10年、20年経っても演じられることに

耐えられるネタはホンマに少ないと思う。

時代に応じた、その時だけの演目も

あって良いと思うけど、間違うと薄っぺらい

噺になってしまうことがあるように感じた。

笑える要素は何か、というところに

深みがあるんやと思う。

ホンマもんは、何回も聴けるし、笑えるもんね。


【 演 目 】 (作者は、それぞれの演者)
一、「たとえばこんな誕生日」 月亭遊方
一、「アナと聖子と沙也加」 桂あやめ
一、「断捨離ウォーズ」 桂小春団治
〜 仲入り 〜
一、「恋してコチコチ」 三遊亭王楽
一、「源太と兄貴」 笑福亭仁智

@ 内幸町ホール





2015.3.5

おとなになろっと

先日、30代半ばの若者 (?) と

飲む機会があった。

別に相談されたわけでもないのに、

酒の勢いで ずい分説教じみたことを言った。

イヤなオヤジだ。

翌朝、目覚めた瞬間から、

心に何か引っかかるものがあった。


私は、彼に一つの指針を示した。

求められてもいないのに。

そして、彼は私の言った方法を選択せず、

従来通りの自分のやり方を続けると言った。

(言葉は、そんな風じゃなかったけど。)

そのことから、私はこんな風に感じた。

彼は人生に少々の不満や不安は

あるのかも知れないが、

” 本気で ” それをどうにかしようとは

思っていないんだ、と。

「思っていない」 と 断言はできないが、

「人は、やりたいことはやる」 という

前提に立てば、そういうことになる。

この 「やりたいこと」 の中には、

本人は (やりたくない) と思いながらも

やっていることも含まれる。

それは、本人が選択しているのだから。

そこまで含めての「やりたいこと」 だ。


「心に何か引っかかるものがあった」 と書いたが、

何に引っかかっているのか、自分に問うてみた。

最初は、本気でどうにかしようと

思っていない相手に酒の勢いで、

もっともらしいことを並べ立てた自分への

嫌悪感かと思ったが、ちょっと 違う。

引っかかっていたのは、

全くの大きなお世話で、

勝手な持論を展開しておきながら、相手が、

自分の言う通りにしなかったことへの不満だ。

そして、その不満の裏返しの無力感だ。

そこから見える、自分の傲慢さへの嫌悪だ。

これが翌朝の私の心の違和感だった。


彼に話している最中の私は、酒だけでなく、

もっともらしい持論にも酔って、

「さあ、どうだ、俺の言うとおりだろ」 と

言わんばかりに高揚していた。(恥)

その高揚した分、翌朝、気分が悪いわけやね。

バランスやね、全く。


妻は、人にコーチングしたり、

コンサルティングしたりするのを

仕事にしているが、

彼女はクライアントから

お金を頂いて、ものを言う。

それは、クライアントが、

お金を払ってでも、有効な、価値のある、

アドバイスや意見を聞きたいと思っているから

成り立つビジネスだ。

つまりは、相手は、本気でなんとかしようと

思っている人だから聞く耳があるのだ。

いや、なんとかしたいと、お金を払っていても、

自分のやり方を曲げることは、

ほとんどの人にとって 大変困難なことだ。

だからこそ、高いお金を払わねばならないのだ。

つまりは、求められてもいないのに

あれこれ言うのは、不毛っちゅうことなのだ。

そんなこと、知ってるねんけど、

つい、やってしまうのね。

人って、いや、私って、

なんやかんや、言いたいのだな。

なんか、えらそーに。

自分の言うことが、「その道」 で

あるかのように。


そんな自分にちょっと辟易したな、今回は。

もうちょっと、大人になろっと。





2015.3.6

続 おとなになろっと

昨日は、

「人に意見をして、その人が

自分の言うとおりにしなかったことについての

不満とその背景」 について考察を書いた。

考察なんて、そんな大そうなもんとちゃうけど。

で、続きというわけではないが、

こんな話も読んでくれ。


先日、ある女性 (30歳前後) が、

私に相談ともなくこう言った。

「ベースをやりたいんですけど、

私、もともとバンドでピアノを弾いていて、

友達が 『ベ―スはお前のイメージに合わない』

って言うんです。

でも、私、ベースをやりたいんです!」


私は、

「やればええやん。

友達がなんて言うかなんか関係ないやん。

その友達の 『イメージ』 をぶち壊してこそ

ロックだろ」 と答えた。

我ながら、(ええ答えやな、ふっ) と思った。

「友達にそう言われて、どうしょうかなって

思う程度のことやったら、やめとき。

そんな程度やったら、やらん方がええで」

という、ちょっと厳しい、ネガティヴな言い方も

あるだろうが、ポジティブ・ヴァージョンで

答えたのだった。


さて、彼女がベースをやろうがやるまいが、

それは私に何の影響もなく、

実際、どっちでもええことで、

やってもやらなくても 私は何とも思わない。

相手に何かを意見したという点では、

昨日のエントリーと同じなのに、

私の内面の状態は明らかに違う。

もちろん、トピックが違うということもあるが、

そこじゃない。

「自分の思い通りにしたい」 度合いは、

言い換えれば、執着の度合いなんだ。

執着は、たびたび愛情と混同される。

特に親子・夫婦など、近い人間関係においてね。

友人関係でも、ある程度近くなれば、

同じことが起こるだろう。

「お前のために言うてんねんで」 と、

愛情の押し売りをするのだ。

これ、愛情ではなく、相手を自分の思い通りに

コントロールしたいというエゴやねんな。

つまりは、執着。

なんかあったな、コマーシャルで

「あなたのためだから」 っていうセリフ。

あれ、明らかに 「ちゃうよね」 っていう

メッセージやもんね。


場合によっては、「親切」 と評されることの正体が、

実は 「執着」 「エゴ」 なのだということに

常から目覚めておきたいものだ。


「目覚めておきたい」 も 一歩間違うと執着。

ああ、終着駅のない執着。

人生いろいろパラドクス。





2015.3.7

君が生きた証

俳優 ウィリアム・H・メイシーの

初監督作品 『君が生きた証』 (監督本人も出演)。

この邦題はどうなんでしょね。

原題は 『RUDDERLESS』。

「かじのない」「指導者のいない」 という意味で

映画の中で結成される、バンドの名前でもある。

邦題は微妙やけど、間違いなくええ映画でした。

ここしばらく観た映画の中では、

一番、心を揺さぶられたね。

物語は、こんな風。

広告代理店でバリバリ働くサムは、

息子ジョシュを、大学で起きた銃乱射事件で失う。

それからサムは、仕事も辞め、

すさんだ生活を送ることになるが、

息子の死後から2年、その遺品の中から、

息子ジョシュが作詞作曲した曲が録音された

CDを手にする。

サムは、その歌の1曲をライブバーに飛び入りで

弾き語りで歌う。

たまたまそれを聴いていた クエンティンは、

その曲に魅了され、一緒に演奏しようと

サムに持ちかける。

当初、やりたがらないサムは、

やがてクエンティンの熱意に負け、

バンド結成に至る。

ただ、サムはクエンティンに、それらの曲が

死んだ息子の作品だとは打ち明けていない。

ストーリーはそんな感じ。


ネットのレビューの中に、

同じく最近公開された 『はじまりのうた』 と

比較してるレビューがいくつかあった。

それらは、『はじまりのうた』 の方が

良かったというものだった。

同じ音楽モノ映画で、

同時期に公開されているという点で、

比較は免れないでしょう。

そもそも、比較すること自体、

ナンセンスなのを承知で書くと、

私は、『はじまりのうた』 より、

本作 『君が生きた証』 の方が、

断然良かった。

『君が生きた証』 はただ音楽映画であるだけなく、

ちょっとヘビーなテーマを背負っている。

『はじまりのうた』 には、それがない。

言ってみれば、おとぎ話的要素が強い。

音楽制作の描写についても

ファンタジーっぽかったように。

一方、『君が生きた証』 は、音楽制作の過程も

『はじまりのうた』 に比べてリアルだ。

『君が生きた証』 は、音楽を題材の一つに

しているが、ただの音楽映画でなく、

人間ドラマなのだ。

なので、そもそも比較すべきではない。


サムを演じるビリー・クラダップが良い。

今までいくつかの出演作を観ているが、

意識したことがなかった。

本作は、主役ということもあるが、良いです。


前半、息子を亡くした父親としての

サムの感情表現に疑問があった。

しかし、物語中盤にその意味が解き明かされる。

ああ、これ以上書くとネタバレになるので

やめておくけど、何も知らずに観た方が

絶対良い作品。

劇中の音楽も良いです。


★★★★★


君が生きた証 オフィシャルサイト

映画を観てから読もう。





2015.3.8

TENQ テンキュー
宇宙ミュージアム


東京ドームシティにある、

TENQ 宇宙ミュージアム に行ってきた。

コンセプトは、 「宇宙を感動する」。


宇宙飛行士になったり、



宇宙遊泳したりしたのでした。






桂歌丸 独演会
5回目


一昨年の3月に初めて行って以来、

5回目となる横浜の関内ホールでの

歌丸師匠の独演会。

(歌丸師匠は、横浜の出身だ。)

三遊亭圓朝 作の長い長い 「真景累ヶ淵」

という噺を語るのだが、一昨年3月、

私が初めて聴いたのが、その第2話だった。

今日は、その第6話となり、

7月の独演会が最終話となる。

歌丸師匠といえば、昨年、体調を崩され、

休演が目立ったので、心配だったが、

今日は元気に口演された。

と言っても、昨年同様、歩くことが困難なようで

登場・退場の際には緞帳が下りる。

幕が開いた瞬間の歌丸師匠は、

また一回り小さくなったように見えた。

私は、笑点をほとんど見ないので、

知らなかったのだが、今年は正月早々、

インフルエンザで2週間入院されていたらしい。

噺が始まると、そんなことは微塵も

感じさせない。

さすがだ。

特に2話目の 「真景累ヶ淵」 では、

話すほどに顔の艶が出てきたようにさえ

感じた。

78歳。

プロって、こういう人のことだ。


【 演 目 】
「元 犬」 桂竹のこ
「町内の若い衆」 立川談幸
「壺 算」 桂歌丸
〜 仲入り 〜
(音 曲)  松乃家扇鶴
「三遊亭圓朝 作 真景累ヶ淵 六.
 湯灌場から聖天山」  桂歌丸

@ 関内ホール 大ホール





2015.3.9

ときどき写真展 6
次元上昇




2012.3.3 撮影





2015.3.10

ときどき写真展 7
おもいで



2012.3.3 撮影






2015.3.11

4年目の 311

今日3月11日は、ちょうど4年前、

東日本大震災が発生した日。

この日が近づくと、震災に関する報道が増え、

改めてあの日のことを思い出す。

岩手、宮城、福島の3県では、

計2580人の行方が分からないままで、

手掛かりを求め、今なお捜索が続いているという。

そして、全国で約22万9千人が避難生活を送り、

約8万人がプレハブの仮設住宅で暮らしているという。

東京に住んでいると、

ついつい過去になっていきそうなあの震災だが、

被災地の復興は、まだまだなんだと

改めて思い知らされる。


昨日の警察庁の発表では、

震災の死者は、1万5891人、

行方不明者は2584人。

復興庁によると、震災後の体調悪化や

自殺による震災関連死は3194人になった。


黙とう。





2015.3.11

続 大家といえば

先日、賃料を滞納する店子 (たなこ) のことを

書いた。→ これ。

「週末にお客さんが来る (入金がある) から、

週明けには振込みます」 と 言っていたが、

月曜日に入金はなかった。

まあ、よくあることですが。

(と、こちらが思うぐらい信頼関係は崩壊している。)

本人からの連絡はない。

(払われへんのやったら、電話くらいしてこいよ!)

という自分の内面の反応はあるものの、

そんなことに腹を立てていたのでは、

大家はつとまらない。

常習的に賃料を滞納する店子は、

賃料が遅れることを、

自ら連絡などしてこないし、

ましてや、詫びてはこない。

なので、「『すいません』 の一言もない」 などと

そんなところに引っかかっていては、

仕事にならないのだ。

Aさんからは連絡がないので、

こちらから携帯に電話をかけると、

留守番電話になっている。

このパターンも珍しくない。

で、火曜日になって、連絡がついた。

あい変わらず、「待ってください」 と

「一度、お店に来てください」 の連発。

「のんべんだらり」 とはこのことを言う。

「大家さんに甘えている」 という表現もできるが、

違う表現をすると 「なめられている」 のだ。

おそらく滞納が始まった初期の段階で、

私は対応を誤り、相手に完全に

なめられることになってしまった。

「言えば、待ってくれる」、

「本当には契約解除されない」 と。

うむ、これでは、沽券に関わる。

脱、優しい大家さん。

ということで、

昨日中に ○万円振り込まなければ、

契約解除、待ったなしと通告した。

が、今日、確認したところ、入金はなかった。

以前は内容証明郵便を送るのが、

結構面倒だったが、数年前からネットで

送れるようになった。

これは、非常に便利だ。

で、早速、契約解除通知を送った。

速やかに進むことを祈っていてね。


ところで、

「賃料滞納」 「賃料催告」 などのキーワードで

検索すると、色んなサイトがヒットする。

色んなサイトといっても、滞納者のサイトは

見当たらず、不動産業者や大家さんの記述が多い。

中には、某相談サイトに

「管理会社から督促状が来ています。

△□○◇▽ の事情で家賃が払えません。

先方に正直に話した方が良いでしょうか?」

という困った相談も見受けられる。

正直に話したら、家賃を払わなくて済むとでも

思っているのだろうか。

その質問者への回答は、ほとんど馬鹿にしたような

キツいものから、親切なアドバイスまで様々だった。


また、ある法律事務所のサイトに弁護士が

「26年間の経験の中で、滞納家賃を支払うよう

催告して、全部支払ってきた人はいません」 と

明言していた。

そうやろな、と思う。


さて、賃料滞納者の心理というものは、

いかなるものなのであろうか。

前述したとおり、たっぷり滞納している店子、

毎月、期日を守らない店子は、前もって

「遅れます」 などとは、連絡してこない。

だが、希に 「今月3日ほど遅れます」 と

連絡してくる店子もいる。

毎月、きっちり月末に振り込んでくるような人で、

遅れたことのないようなタイプだ。

今まで遅れたこともないし、

誠実に連絡をしてきてくれたので、

ついつい、甘くなり、

「はいはい、○日の入金ですね。

分かりました」 と愛想よく応じてしまう。

ここが肝心なのだ!

愛想よく応じることは構わないだろう。

不機嫌に応じるよりは、よっぽど良い。

だが、一言を付け加える必要があるのだ。

その一言とは、

「今回だけは、特別に認めますが、

次回からは 必ず 月末までに入れてください」

という、厳しい言葉だ。

これは、実際にあったことなのだが、

そうやって、3、4日遅れることを

2、3回容易に受け入れたところ、

遅れることを自ら連絡してきていたその店子は、

やがて、連絡なしで遅れるようになった。

つまり、当たり前になってしまったのね。

人間の順応力というのは、恐ろしいね。

ま、なめられたわけですな。

電気料や電話料金は、支払わないと

止められてしまうので支払うけど、

家賃はどんどん優先順位が下がっていくわけですな。

電気や電話を止めるのは簡単やけど、

賃貸借契約を解除し、明け渡しまでもっていくのは、

時間がかかるし、大家としてもすぐに追い出すのは、

人として気が引ける部分もある。

店子は、そこにつけ込むわけやな。

で、一度、そういう癖がついてしまうと、

正常な状態 (月末に入金) に戻すのは、

大変難しいのだった。


新宿歌舞伎町に物件を持つ大家さんに聞いた話だが、

店賃 (飲み屋) を滞納しては、物件を転々とする

あくどいヤツもいる。

契約者名を替えて、次の契約をするので、

新しい店に 以前の未払賃料を請求に行っても、

自分には関係がないと、

言い逃れられてしまうという。


対策としては、滞納が始まっても、

貸主側に被害が出る前に契約解除・明け渡しまで

持っていけるよう、半年分とか1年分とか、

十分な敷金を預かるか、

保証会社を付けるしかない。

そして、保証会社の審査が通らない人には、

貸さないことが賢明だということになる。


う〜ん、「大家といえば親も同然、

店子といえば子も同然」 の時代から、

100年ぐらだろうか。

大家と店子の関係は、

すっかり世知辛いものになってしもうた。





2015.3.12

妻への家路

中国のチャン・イーモウ監督の映画、

『妻への家路』。

中国語の原題は、『帰来』、

英語タイトルは、『COMING HOME』。


ちょっとネタバレ注意です。

「この世で最も切なく愛し合う夫婦の愛の物語」

という謳い文句なのだが、

まあ、なんと哀しい映画だろう。

おそらく、中国の文化大革命のことを

詳しく知っていれば、もっとこの物語の

背景を理解でき、作品の見方も

変わってくるのだろうが、

歴史に疎い私にも多くの民が、

その歴史に翻弄されたのであろうことは、

十分に理解できた。


1977年、文化大革命終結後、

捕らわれの身だったルー・イエンシーは、

解放され、20年ぶりに妻のもとに帰る。

ところが、妻のフォン・ワンイーは、

心労のあまり、記憶障害になっており、

夫のことが分からなくなっていた。

ルーと会っても、この人は夫ではないと言い、

戻らぬ夫を待ち続けるのだ。

ルーは、他人として向かいの家に住み、

娘の助けも借りながら、なんとか妻の記憶を

取り戻そうと奮闘する。

フォンは、目の前に夫がいるのに、

ひたすら夫の帰りを待ち続けるのだった。

・・・そんなストーリー。

ルーが妻の記憶を取り戻そうと

ピアノを弾くシーンは、涙なしには観られません。


戦争が、家族を引き離すという物語は、

たくさんあるやろけど、再会できたのに、

再会していないという理不尽。

直接的ではないが、文化大革命という背景に

夫がいない間に、妻が記憶障害を起こすほどの

何かがあったことを臭わせている。

さて、妻は記憶を取り戻すのでしょうか。

続きは、劇場で。


夫、ルー・イエンシーに、チェン・ダオミン。

妻、フォン・ワンイーにコン・リー。

娘、タンタンにチャン・ホエウェン 。

タンタンのバレエが素晴らしいです。


★★★★▲


妻への家路 公式サイト





2015.3.13

JACKSON BROWNE
ジャクソン・ブラウン


いやぁ〜予想をはるかに超えて良かった、

ジャクソン・ブラウン。

7年ぶりの来日ということだが、

私は観に行くのが初めて。

80年ごろの来日時、コンサートのあった日、

大阪ミナミのアメリカ村のサーフショップは、

軒並み閉店していたという伝説がある。

ジャクソン・ブラウンは、当時の

サーファー御用達ミュージックだったのだ。

そんなジャクソンのコンサートに

元サーファー (?) の私も行ってきた。


ジャクソンのようなウェスト・コースト・ロックの

サウンドは大好きだが、実は、ファンといえるほど

そんなにたくさんは聴いてないねん。

知ってる曲は何曲かあっても、

曲名を言えない程度と言えば、

そのファン度合いが分かってもらえるだろうか。

もちろん 『Stay』 とか曲名を言えるのもあるけど。

『Stay』 と言えば、80年頃、桑名正博が日本語で

カバーしていたのを聞いた覚えもあるなぁ。

あれ、ジャクソンの曲ちゃうねんけどね。

私が唯一買ったジャクソンのLPレコードが、

ジャクソンの横顔がジャケットの80年の 『Hold Out』。

(その後、大人になってからCD数枚を買ってるけど。)

そんな熱狂的ファンとは言えない程度の私だが、

今日のコンサートは、すごくスゴク良かった。

ジャクソンは、客のリクエストに応えるというのは、

何かで読んだことがあったが、

あんなホール規模のコンサートで、

客が気軽に自分の聴きたい曲目を大声で言い、

アーティストがそれに応えていくというのは

初めての経験だった。

ジャクソンは、ほとんど曲ごとにギターを

持ち替えるのだが、一旦ギターを抱えてから、

客のリクエストに応じるため、

ギターを持ち替えるシーンが数回あった。

そのサービス精神も感動したが、

昨年発売されたニューアルバムからの曲が

結構多かったのにも驚いた。

比べるのも変やけど、エリック・クラプトンは、

新しいアルバムの曲をコンサートで演奏しない。

古いヒット曲ばかりでも2時間では足りないと

いうこともあるかも知れんけど。

今日、ジャクソンの歌を聴いていて思ったのは、

この人は 「今」 の人だ、ということ。

古いヒット曲を歌っても、

ニューアルバムの曲を歌っても

「今」 の人なんです。

66歳やけど。

だからといって、エリックが過去の人だと

言うてるわけではないので、

誤解せんといて欲しいねん。

うまいこと、書かれへんけどね。


ジャクソンが歌の出だしをミスり、

客席から 「Take It Easy!」 と

声がかかる場面も。

(イーグルスのヒット曲 『Take It Easy』 は、

グレン・フライとジャクソン・ブラウンの共作。)

そして、この人の歌は、琴線に響くね。

なんでしょ、心の底からの歌とでも言おうか。

何回もうるうるしてしもたよ。

途中、休憩を挟んで、アンコール2回入れて3時間近く。

正味、2時間半は演ったね。

ジャクソンがインタビューで

「ヴァル・マッカラムとグレッグ・リーズとの

掛け合いは相当の見物だよ」 と

語っていた通り、2人のギタリストは

ホント素晴らしかった。

テレキャスター、買おかなと思うほど。

そして、PA も素晴らしく、

サウンドも大変聴きやすかった。

ジャクソンは、ギブソン、マーティンのアコギから、

マーティンらしきフルアコ、テレキャス、

ストラト、ドブロ、見たことないエレキ・ギターなど、

何本のギターを弾いたか分からない。

ヴァル・マッカラムは、テレキャスター数本、

ジャズマスター、SG、ダンエレクトロ (?)

など、これまた数え切れない。

グレッグ・リーズも同様。

ギター好きにはたまらない、

すごい数のギターでした。


2011年にはイーグルスで、

今年はジャクソン・ブラウンで、

『Take It Easy』 をナマで聴けました。

幸せです。


[ MEMBERS ] (たぶん合ってると思う)
ジャクソン・ブラウン (Vo, G, Pf)
ヴァル・マッカラム(G)
マウリシオ・リワーク(Ds)
ジェフ・ヤング(Key)
ボブ・グラウブ(B)
グレッグ・リーズ(G, Lap steel, Pedal steel)
他に女性コーラスが2人。

@ Bunkamura オーチャードホール



今日の写真ですぜ


― 今回の来日公演 ー
3月 9日 名古屋 愛知県芸術劇場 大ホール
3月11、12、13日 東京公演 Bunkamura オーチャードホール
3月16日 大阪 フェスティバルホール
3月17日 広島 広島文化学園HBGホール
3月19日 大阪追加公演 フェスティバルホール





2015.3.14

青山から渋谷へ

今日のランチは、妻と青山椿で 魚の定食。

妻は、鯛のかぶと煮。



私は、鱒の西京焼き。




どちらも旨い!

普段は、なるべくご飯 (米) を

食べないようにしてるが、

椿に行ったときは、別。

今日もおかわりしてしもた。


食後、散歩がてら、渋谷までブラブラ歩き、

今月22日で、49年の歴史に終わりを告げる

東急プラザ渋谷へ。

閉店と聞いて、あらためて店内を見渡すと、

そこここに昭和の名残の感じられ、

時代に乗り遅れた感を否めない。

Everything must change なのだ。





2015.3.15

FOXCATCHER
フォックスキャッチャー


カンヌ国際映画祭では、監督賞を受賞したが、

アカデミー賞では 5部門ノミネートされるも、

受賞を逃した作品 『フォックスキャッチャー』。

実際にあった、オリンピックの

金メダリスト射殺事件を描いた作品。

実際にあった事件なので、私のただの無知なのだが、

実は誰が誰に殺されるか知らずに観た。


一言でいうと、哀しいほどの

さびしいさびしいお金持ちの物語。

どんなにお金があっても、

人は幸福ではないんやとつくづく思うね。

そして、人の欲望には限りがなく、

権力、名声、名誉、賞賛、承認、

そして実は、愛が欲しいんやね。


デュポン社って、聞いたことあるような名前やけど、

アメリカでは、三大財閥の一つらしい。

(あと2つは、ロックフェラー、メロン)

世界90ヵ国に7万人の従業員というから、スゴイ。

調理器具のテフロンもデュポン社の商標らしい。

その御曹司、ジョン・デュポン役に

スティーヴ・カレル。

ちょっと偏った人間性を見事に演じてた。


レスリング金メダリスト、

デイヴィッド・シュルツ役にマーク・ラファロ。

彼は、アカデミー賞助演男優賞にノミネート。

映画を観ても、全く気が付かなかったのだが、

このマーク・ラファロ、先日観た

『はじまりのうた』 で音楽プロデューサーを

演じていたあのおっさんだった!

言われれば、確かにそうやねんけど、

別人のようでした。


そのデイヴィッド・シュルツの弟、

マーク・シュルツ役にチャニング・テイタム。

この人、初めて観たような気がするけど、

ホンマにレスリングやってたんかなと

思うようなレスリングぶり。


実在のマークご本人は、当初、本作を支持していたらしいが、

マークとデュポンとの関係に同性愛を示唆させる

描写があるとの批評を知り、怒っちゃたらしい。

(確かに、直接的ではないけど、

そんな風に感じたシーンはあった。)

その後、監督がオスカーにノミネートされると

マークは批判を取り消し、監督に謝罪したらしい。

これはこれで、イタイなぁ。

まあ、批判を取り消した理由とオスカー候補の件は、

事実かどうか分からんけど。

いずれにせよ、自分のことが映画になって、

世界中の人に観られるのって、複雑やろなぁ。

特にマークの場合、弱い部分もモロに描かれてるからなぁ。

そんなことも考えさせられるドラマでした。


【 アカデミー賞 5部門ノミネート 】
監督賞 ベネット・ミラー
主演男優賞 スティーブ・カレル (ジョン・デュポン役)
助演男優賞 マーク・ラファロ (デイヴ・シュルツ役)
脚本賞
メイクアップ&ヘアスタイリング賞


FOXCATCHER Official Site


★★★★☆




The Grand Budapest Hotel
グランド・ブダペスト・ホテル


今年のアカデミー賞では、『バードマン』 と

並んで、最多部門受賞 (4部門) と、

最多部門ノミネート (9部門)。

ノミネートされたうち、受賞したのは、

作曲賞、美術賞、衣裳デザイン賞、

メイクアップ&ヘアスタイリング賞。

そして、ノミネートのみに終わった賞は、

作品賞、監督賞 (ウェス・アンダーソン)、

脚本賞、撮影賞、編集賞。

受賞したのは、全部裏方さんたちだ。

日本では昨年6月の公開で、

すでに終演となっていたが、

アカデミー賞の受賞を受けての再上映を観てきた。

受賞した部門からも分かるとおり、

映像がきれいで面白い。

ストーリー自体は、

それほど どうってことはないが、

1回ではちょっと分かりにくい部分もあった。


仮想国のホテルのコンシェルジュを描いた

ミステリー・コメディ。

時代が行ったり来たりするのだが、

時代によってスクリーンの幅が変わったり、

カメラワークが、正面か真横からだけだったり、

色んなこだわりがあるようだが、

私の場合、気付いていないことも多く、

ストーリーを含め、もう1回観たら、

もっと楽しめるような気がする。


The Grand Budapest Hotel Official Site


★★★★☆





2015.3.16

ときどき写真展 8
にらめっこ



2011.5.4 沼津港





2015.3.17

ANNIE
アニー


もう30年以上前だが、輸入版LPのセール

(3枚1000円) で、Cissy Houston という

黒人女性のレコードを買った。

私は、Cissy のことは知らなかったが、

黒人というだけの理由で、そのレコードを選んだ。

彼女が、Whitney Houston の母親だと知るのは、

Whitney が、デビューし売れてから

しばらくしてからだ。

そのレコードは、アタリだった。

後に知ったことだが、Cissy は、

ゴスペル・シンガーで、そのレコードには、

ゴスペル調にアレンジされた

Elton John の 『Your Song』 が、

入っていたりして、私の愛聴版の1枚になった。

1曲目は、『Tomorrow』 という美しい曲だった。

私は、その曲が大好きになったが、

ミュージカル 『アニー』 の主題歌だと

知るのは、何年もあとのことだ。

ちなみに 『Your Song』 もこのレコードで

知ったので、Elton John の曲だと知るのは、

数年後のことだ。

残念ながら、この Cissy のアルバム

(タイトルも ずばり 『Cissy Houston』) は、

今だにCD化されていないようだ。

『Tomorrow』 も 『Your Song』 も

色んな人が歌っているが、私的には、

Cissy のそれを超えたものはない。


前書きが長くなったが、その 『Tomorrow』 が

主題歌の映画 『アニー』 を観てきた。

1月24日の公開だったので、そろそろ

終演も近い。

私は、どちらかというとミュージカルは苦手。

劇団四季の 『ライオンキング』、『キャッツ』 を

観ても 好きになれなかった人だ。

日本では、舞台の 『アニー』 が毎年、

上演されているようだが、観に行くことはないだろう。

でも、こんなに有名な 『アニー』 について

「少女と金持ちの話」 ぐらいの知識がないのも

どうかと思ったのと、

『Tomorrow』 が好きなのだから

この機会に観ておこうと。


もともとは1930年代が舞台らしいが、

映画では現代の物語にアレンジされていた。

出演は、アニー役にクワベンジャネ・ウォレス。

携帯電話会社の社長で大金持ち、

スタックス役にジェイミー・フォックス。

アニーの里親、ハニガンにキャメロン・ディアス。


前半、人間の醜さ、弱さが描かれていて、

観ててあんまり気持ち良くない。

ところが、嫌な奴だった金持ちスタックスが、

後半、アニーとの暮らしを通して、

変わり始める。

イタイおばはんとして描かれているハニガンも

最後には、良い人になってしまう。

ああ、そういうことかと納得。

前半で人間の醜さを描いておきながら、

最後には良心へと持っていく。

これがロングランの訳なのだな。


アニー役のクワベンジャネ・ウォレスは、

もちろん素晴らしいが、

ジェイミー・フォックスが

あいかわらず歌上手い!

ほんで、キャメロン・ディアス、

イタイなぁ。(褒めてるんやで)


ANNIE Official Site


★★★★☆





2015.3.18

パリよ、永遠に

もしも、「パリ」 がなくなっていたら ―?

そんな謳い文句の映画 『パリよ、永遠に』。

1944年8月、パリを占領していたドイツ軍に、

連合軍の進撃で危機が迫っていた。

ヒトラーは、パリを破壊するよう、

パリにいるコルティッツ将軍に命令を下した。

爆破するのは、市内33本の橋、オペラ座、

ノートルダム大聖堂、ルーヴル美術館、

エッフェル塔など、パリの全てだ。

ヒトラーは、パリに魅了され、ベルリンを

パリのようにしたいとまで思ったようだが、

ベルリンが戦闘で廃墟となったのに

パリだけが、残るのは許せなかった。

つまり、この爆破は、戦争行為ではなく、

単なるヒトラーの嫉妬だったのだ。

その爆破計画を阻止しようと、パリで生まれ育った

スウェーデン総領事ノルドリンクは、

コルティッツに降伏を持ちかける。

スウェーデンは、中立国だ。

当初、ノルドリンクの話に聞く耳を持たない

コルティッツだったが、彼と話すうちに、

少しずつ変わっていく。

そして、(歴史を見れば明らかな通り)

パリは破壊されなかった。

事実を基にした映画ということだが、

計画が実行されなくて、

本当に良かったと思う。

素晴らしい話術で交渉を続けたノルドリンク。

最後の最後に、勇気を持って

ノルドリンクを信じ、

良心に従ったコルティッツ。

あの異常な状況で、

正気でいられたこの2人の大きさに感動です。

原題は、『Diplomatie』。

「外交」 という意味だ。

これは、戦争映画に非ず。


昔、 『パリは燃えているか』 っていう

アロン・ドロンの映画があったけど、

同じ時のパリを描いた映画のようだ。


パリよ、永遠に


★★★★★




反日映画?

太平洋戦争で日本軍の捕虜になった、

元オリンピック選手の映画 『UNBROKEN』 が

昨年12月に全米で公開された。

監督は、アンジェリーナ・ジョリー。

日本では、「反日映画だ」 と

公開を反対する運動があるようだ。

(反対派に数は負けているが、

「公開しよう」 という運動もあるらしい。)

監督のアンジーは、「反日」 を否定し、

「赦しの物語だ」 とコメントしている。

まだ観てもいない映画に過剰な反応をするのは、

動揺丸出しであまりスマートじゃないと思う。

この件に関するネットへの書き込みを少し読んだが、

同じ日本人として情けないものが多く、

品がなく、読んでいて恥ずかしく悲しい。

たぶん、若い人たちが多いのだろうが、

ひと言でいうと、無知でレベル低すぎ。


この件について、冷静に書いている記事が、

あったので、興味のある人はお読みください。


残酷な日本兵を演じるのは、ギタリストの MIYABI.。

いきなりのハリウッドデビューだ。


予告編 公式予告編 非公式字幕


私は、観てみたい。





2015.3.19

左手のピアニスト

先日 偶然、ピアニスト 舘野泉さんの記事 を読んだ。

舘野さんは、2012年のNHK大河ドラマ

『平清盛』 のテーマ曲をピアノで弾かれていたので、

ご存じの方も多いのかも知れないが、

私はクラシックに疎いので彼のことを知らなかった。

舘野さんは、2002年65歳の時、

フィンランドでのリサイタルで、

演奏直後にステージで倒れた。

脳溢血だった。

右半身に麻痺が残るも、2年後には、

左手だけのピアニストとして復帰を遂げた。


もともと世界的なピアニストで、

今までにリリースされたCDは、130枚。

コンサートは、世界各国で3500回以上という。

この数年は、NHKの 『クローズアップ現代』 など

いくつかのTV番組で取り上げられたので、

ご覧になった方もいるかもしれない。


私などは、頭が固いのか片手でピアノを

弾くという発想がない。

いや、ないわけじゃないが、

どこかでそれを、全く無意識に

不十分と決めつけていたようだ。

調べてみると、左手のピアニストというのは、

舘野さんだけじゃなかった。

智内威雄 (ちないたけお) さんや

有馬圭亮 (ありまけいすけ) さんの場合は、

局所性ジストニアという病気で、

右手が不自由になり、左手のピアニストとして

活動されている。


舘野さんの記事に、ブリッジという作曲家が、

第一次世界大戦で右手を失った親友の

ピアニストのために曲を書いた話が出てくる。

いつどこで聞いたか読んだか分からないが、

どういうわけか、その話を私は知っていた。

もしかしたら、舘野さんのことを何かで見たけど、

その時は興味を持たなかったのかも知れない。


私は、前述の舘野さんの記事を読み、

感銘を受け、即、CDと著書を注文し、

6月にあるコンサートのチケットも取った。

著書は数冊出版されているので、

どれを読めば良いか分からなかったが、

『ひまわりの海』 を選んだ。

タイトルと表紙に惹かれただけではなく、

闘病から復帰にかけてのことが

書かれているようだったからだ。

読み終えたら、感想を書こう。

CD もたくさんあるのだが、

2010年から2011年にかけて

フィンランドで録音された、

『シャコタンヌ』 を選んだ。

左手のために書かれたピアノ曲は1曲も知らないが、

『シャコタンヌ』 は、もともとバッハの書いた

ヴァイオリンの曲をブラームスが編曲したもので、

聞き覚えのある曲だった。

演奏は、何も知らずに聴けば、

片手の演奏だとは、気づかなかっただろう。

何かが足りないとか欠けているとか、

そんなことは全く感じない。

左手だけだからといって、

音楽が半分になるわけではない。

そんなこと、考えれば分かることだが、

片手の演奏だと思って聴いて、

そんな感想が出てくるということは、

心の底で、片手では不十分だと

思い込んでいる証拠だろう。

一体、どれだけの気づかない信じ込みに

支配されているのかと、

自分のことながら驚く。


舘野さんについて、インターネット で

『クローズアップ現代』 のダイジェスト版の動画

見つけた。

その中で脳溢血で倒れ、ピアノを弾けなくなった頃のことを

舘野さんは、こう語っている。

「ひもじくて、音楽が欲しくてしたくて、

いくら聴いたって満足することじゃないんだ。

いくら譜面を見たって CDを聴いたって

それでいいということじゃなくて、

自分で弾きたいというたまらない飢えっていう

気持ちがあった」

胸ぐらを掴まれるようだった。


冒頭に書いた、舘野さんの記事を

レコーディング・エンジニアである友人の K彦に

メールで送った。

すると驚く返事が返ってきた。

なんと彼が、某レコード会社のエンジニアだった

1985年、フィンランドで舘野さんの

レコーディングをしたことがあるというのだ。

しかも、自宅にお邪魔し (舘野さんは当時フィンランド在住)、

舘野さんお気に入りの牧場にあるレストランで、

一緒にウォッカを飲んだという。

彼にとっては、それが初の海外録音の仕事で、

舘野さんの人柄も相まっての思い出だという。

その後、日本でも一度レコーディングしたことがあるそうだ。

以前、浜田真理子さんのことでも同じような

ことを書いた (これこれ) けど、ビックリです。


舘野 泉





2015.3.19

人間国宝 桂米朝 死去

本日 午後7時41分、肺炎のためという報道だ。

享年89歳。

昨年6月、米朝師匠の息子、5代目 米團治の独演会に

行ったが、米朝師匠の奥様、つまり米團治の母が、

その2日前に亡くなった直後の独演会だった。

享年88歳。

米團治は、1年足らずのうちに

両親を失ったことになる。


奥さんが亡くなると旦那は、

あとを追うように亡くなるけど、

旦那が死んでも、女はそれから30年くらい生きる、

なんて噺が、落語のマクラに出てくるが、

師匠も奥さん追いかけたのかな。


これで、「地獄八景亡者戯」 で、とうとう

「近日来演」 ではなく、出演できることに

なったわけやね。


合掌。





2015.3.20

BOBBY McFERRIN
ボビー・マクファーリン


2008年1月にそのパフォーマンスを

初めて体験した、ボビー・マクファーリン。

あの時は、「神技」 と書いているが、

「神業」 の間違いやね。

「神技」 は、「かみわざ」 とも読めるけど、

「しんぎ」。

技術のことだが、私が言いたかったのは、

「技術」 ではなく 「業」 のことだった。


その後、2013年に 東京JAZZ での来日が

決まり、チケットも取ったのだが、

残念ながら、ボビーの体調不良により、

直前に来日中止
になった。


そのボビーのライヴにようやく行ってきた。

7年ぶりだ。

今回は、ホールではなくクラブだというのも嬉しい。

チケットは、ちょい高め (12,800円) やけど、

近くであのパフォーマンスに触れられるなら

構わない。

+1,000円 奮発し、アリーナ中央の指定席を

取っていたので、間近で観ることができた。

今日の印象は、「神業」 よりも 「巨匠」。

やっぱり、この人、スゴイ。

メンバー全員が、ボビーとの音楽を

楽しんでおり、ボビーも彼らとの

演奏を楽しんでいる。

ボビーは、ほとんど正面を向くことなく、

メンバーの誰かを見つめながら歌っていた。

さながら、観客のために歌っているというより、

バンドが音楽を創り出している場を、

観せてもらっているような瞬間さえあった。

かと言って、観客をおざなりにしている感は

全くない。

「Thank You 」 を連発し、そのまま即興 (?) で、

「Thank You」 という歌詞で歌ってみたり、

観客皆に歌わせたり、

観客のひとりをステージにあげ、

歌わせたりという場面もあった。

バンドも素晴らしかった。

ドラムのルイス・ケトーは、

2月21日に同じくブルーノートで観た、

マーカス・ミラー・バンドでも来日していた。

彼は、この数年、(たぶん) 毎年 マーカスとともに

来日していて観ているが、マーカス以外の

パフォーマンスで観るのは今回が初めて。

今日は、ドラムだけじゃなく、

ギターも弾いたし、コーラスもした。

ルイスは、ニューヨークでベーシストとしても

活動しているのは知ってたけど、

ギターの腕も中々のもの。

ほんまにマルチ・プレイヤーのようだ。

ギターを弾きながら、ハイハット・シンバルを

踏んで鳴らす技は、ドラマーならでは。

歌も上手く、素晴らしいハーモニーを

聴かせてくれた。

メンバー紹介で、一人ずつソロ・パフォーマンスを

披露するシーンがあったのだが、

ドラムソロではなく、ギターとスキャットで

来たと言えば、ギターの腕前も分かっていただけるだろう。

女性ヴォーカルのマディソン・マクファーリンは、

ボビーの娘。

メンバー紹介時には、ビートルズの 『Oh! Darling』 を

父ボビーの口 (くち) 伴奏とデュオ。

これまた素晴らしかった。


アンコールを入れて、90分は演ったね。

『Can't Find My Way Home』 (Steve Winwood 作) と

『Swing Low, Sweet Chariot』 (作者不明) の

2曲も エリック・クラプトンが歌ってた曲を演ったのも

興味深い。




[ MEMBERS ]
Bobby McFerrin (vo)
Gil Goldstein (music director,arranger,p,ep,accor)
David Mansfield (vln,mandolin,national resonator g, lap steel)
Armand Hirsch (g)
Jeff Carney (b)
Louis Cato (ds,g,vo)
Madison McFerrin (vo)

@ Blue Note Tokyo


若い頃の写真は、ワッキーを思わせます。

Bobby Mcferrin


[ Set List ] 2nd Show (2015.3.28 追記)

1. CIRCLE SONGS
2. IN THE LIGHT
3. CAN'T FIND MY WAY HOME
4. JESUS MAKES IT GOOD
5. SWING LOW
6. JOSHUA
7. THRILL
8. WHOLE WORLD
9. BAND SOLOS
10. WISHFUL THINKING
EC. REST




地獄八景亡者戯

昨日の米朝師匠 逝去のエントリーにこう書いた。

これで、「地獄八景亡者戯」 で、とうとう
「近日来演」 ではなく、出演できることに
なったわけやね。


昨夜は、(分かる人だけが分かったらええ) と

思って、何の説明も書かなかったが、

読み返してみてあまりに不親切だし、

(この 「ひとりごと」 の読者で、

これの意味分かる人いてるんやろか?) と思うと

(誰もおれへんのちゃうか) と

不安になってきたので、解説を書いておく。


『地獄八景亡者戯 (じごくはっけいもうじゃのたわむれ)』

というのは、上方落語の演目で、

死者があの世へ逝って、地獄を巡るという噺。

昨日亡くなった米朝師匠が、復活させた古い噺だ。

地獄の噺といっても怪談ではなく、お笑いだ。

全部演ると1時間以上あるので、部分的に

演じられることも多い。

数人の上方の噺家の口演を聴いたが、

東京の噺家のはまだ聴いたことがない。

江戸落語では 『地獄巡り』 と呼ばれるようだが、

あまり演る人がいないのかも知れない。


さて、その 『地獄八景亡者戯』 の中に

御堂筋をもじって 「冥途筋」 という

地獄の目抜き通りが出てくる。

そこには、亡くなった役者や噺家が出演している

芝居小屋や寄席などがあるのだ。

米朝師匠は、

「寄席の看板に 桂米朝、近日来演と書いてある」 と

笑いを取っていた。

昨年聴いた、桂米團治 (米朝師匠の息子) も

同じように言っていたが、本人が言うより、

息子や弟子が言う方が、ブラックで面白い。

それで、昨日、私なりの弔いのつもりで、

「『近日来演』 ではなく、出演できることに

なったわけやね」 と書いたのだ。


これから、冥途筋の寄席で高座に上がられることでしょう。

合掌。





2015.3.21

沖仁 con 渡辺香津美
SPRING TOUR 2015


フラメンコ・ギタリストの沖仁、

ジャズ・ギタリストの渡辺香津美の

デュオを聴いてきた。

表題の 「con」 は、スペイン語で

「〜と」 という意味。

英語の 「and」 やね。

この2人のデュオを観るのは、

2012年、2013年に続き、3度目。

(2012年は、香津美のソロ・ギター・ライヴに

沖がゲストとして登場し、3曲デュオを演った。

2013年は、デュオとしてのライヴ。)

演奏が始まったとたん、

外国に連れて行かれたように感じ、ゾクッとした。

イメージとしては、地中海。

フラメンコ・ギタリストとジャズ・ギタリストの

デュオだが、フラメンコがギターが入ると

どうしてもそのニオイが強くなる。

1曲目は、このデュオのために

沖が書いたというテーマソング (曲名失念) で、

ギターのかけ合いが楽しい。

曲は、2人のオリジナルのほか、

『リベルタンゴ』 や 『スカボロフェア』 など。

沖が両親の還暦に贈ったという曲 (これまた

曲名失念) が印象的だった。

本編最後は、『マイ・ウェイ』。

『マイ・ウェイ』 といえば、30年前は、

自分で歌が上手いと思ってるヤツの定番曲だった。

悪い言い方をすれば、クサイ曲の代表とでも

言いましょうか。

そんな 『マイ・ウェイ』 を聴いて

不覚にもウルウルしてしまった。

今日で、『マイ・ウェイ』 に対する認識を改めます。

アンコールは、予想通りというか期待通りというか、

『スペイン』。

ギターは沖は、ガットギターを2本、

香津美は、ほとんどスティール弦 (カオルギター?)、

1曲でガットギターを使用。

アンコールでは、2人とも立ち上がって演奏。

香津美は、今日初めてのエレキ、History の Tidewater

(渡辺香津美シグネチャー・モデル) を使用。


[ MEMBERS ]
沖仁 / Jin Oki (Guitar)
渡辺 香津美 / Kazumi Watanabe (Guitar)

@ ビルボードライブ東京 2nd Show







2015.3.22

今日は、アカデミー賞絡みの2本を鑑賞。

作品賞ほか 5部門でノミネートされ、

エディ・レッドメインが主演男優賞を受賞した

『博士と彼女のセオリー』 と、やはり作品賞ほか

8部門でノミネートされ、脚色賞を受賞した

『イミテーション・ゲーム』 の2本。

奇しくも2本とも、実話を元にした

イギリス人の物語だった。

そして、両方に共通するのは、主人公の男が、

めちゃくちゃ頭が良くて、そして、普通じゃないこと。

事実は、小説より奇なりというが、

誠に興味深い2本でした。



博士と彼女のセオリー

天才物理学者スティーヴン・ホーキング博士の

物語で、原題は 『THE THEORY OF EVERYTHING』。

「博士と彼女だけ」 のセオリーではないのだ。

「彼女」 というのは、博士の (元) 奥さん、

ジェーンのこと。

20代で、難病 ALS (筋萎縮性側索硬化症) を

発症し、余命2年と診断されるも、

闘病を決意し、2人は結婚する。

そして、3人の子も授かる。


身体が不自由になっても、ポジティヴで

ユーモアのあるホーキンス。

献身的に夫を支えた妻ジェーン。

2人のラヴ・ストーリー、夫婦の物語だ。

ホーキンスを演じたエディ・レッドメインは、

主演男優賞を受賞したとおり素晴らしいが、

妻ジェーンを演じた フェリシティ・ジョーンズも

美しく、素晴らしい。(主演女優賞ノミネート)


ホーキング博士は、

余命2年と言われたにも関わらず、

73歳になった今も

研究に打ち込んでいるというのもスゴイ。


博士と彼女のセオリー


★★★★★




イミテーション・ゲーム
エニグマと天才数学者の秘密


第二次大戦中、ドイツ軍の暗号解読の任務に就いた、

天才数学者 アラン・チューリング の物語。

ネタバレになるので詳しく書かないけど、

イギリスが戦後50年間公表しなかった

機密を描いた映画だと言われれば、

そして、戦争終結を早めた秘密だと

聞けば、観たいよね。


予告編の

「私は犯罪者か、それとも英雄か」 の

意味がこんなに重いとは。

ホンマ凄い話です。


今日の2本に共通しているのは、

変わった (普通じゃない) 人の物語。

そういう意味では、妻は力づけられたようです。


イミテーション・ゲーム


★★★★★





2015.3.23

北陸駅弁祭



今月14日、北陸新幹線が開通した。

昨日、有楽町のビックカメラでは、

北陸新幹線開業フェアとして、

北陸のおいしい駅弁を揃えたという

「駅弁祭」 が開催されていた。

駅弁って、おいしそうに見えるのなんでやろね。

特に普段見かけないやつ。

思わず、購入してしもたよ。

色々あって迷ったけど、

番匠本店 (福県福井市) の

「おとなの焼き鯖寿し 山葵 (わさび)」 と

源 (富山県富山市) の 「ぶりかまめし」 を。



「焼き鯖寿し」 の方は、その名の通り、焼いた鯖の

寿司なのだが、しゃりにワサビが混ぜてある珍しいお寿司。

「ぶりかまめし」 は、ぶりのかまを甘辛く煮たものが

すし飯の上に乗っているのだが、骨まで食べられるほど

柔らかく煮込んだ上に香ばしく焼き上げてあるのだ。

山椒を振りかけると、なんとも言えん風味。



どっちも旨かった〜。


新幹線のおかげで、東京・富山間が2時間8分、

東京・金沢間が2時間28分と、

グッと近くなったのだ。

北陸へは、10年前に一度だけ、

(飛行機で) 石川県行ったことがあるが、

また行きたいし、富山県にも行ってみたいな〜。





2015.3.24

風に立つライオン

さだまさし原作の映画 『風に立つライオン』。

アフリカ・ケニアで国際医療活動に従事した

実在の日本人医師にインスパイアされて、

1987年にさだまさしが発表した

『風に立つライオン』 という曲をもとに、

小説化、映画化されたものだ。

この映画の話を最初にテレビで観たときは、

(ぜひ、観たい) と思ったのだが、

映画が公開されてからは、イマイチな評判も

聞き、観ようかどうしようか迷った。

結局、期待せずに観ることにしたのだった。


とても良い話、良い題材なのに

私には、何か物足りない感じというか、

中途半端な感じがするのが残念。

何が足りないのかをうまく説明できないのだけど。


主演は、大沢たかお。

そのほか、真木よう子、石原さとみ、

石橋蓮司、萩原聖人 ら。


予告編で 「僕は9人も殺した」 と言う少年に

「それなら一生をかけて 10人の命を救うんだ」 と

大沢演じる島田医師が言うシーンがある。

このシーンは、本作のいくつかある

ハイライト・シーンの1つだ。

そのセリフを予告編でバラしてしまっている。

もし、知らずに観たらこのシーンで、

もっと感動しただろうにと思う。

こういう、予告編の作り方は

ホンマにやめて欲しい。

観客の楽しみ・感動を奪っているとさえ思う。

とはいえ、十分に泣かされたシーンもあるし、

恐ろしい現実を見せられ、

考えさせられるシーンもある。


アフリカ滞在から何年も経ったあと、

真木よう子演じる貴子と、萩原聖人演じる青木が

誰かにインタビューされているかのように

話すシーンがあるのだが、誰に話しているのか

分からない。

考えられる相手が、一人いるのだが、彼なのか、

それとも、誰がインタビューしているかは、

重要ではなく、観客に向かって聞かせているのか、

そのへんの曖昧さも釈然としない。

印象に残るセリフもいくつかあっただけに

全体的に惜しいのだ。


あと、あの環境で働く看護師に石原さとみは、

似合わんなぁ。

かわいすぎるねん。

もっと強い感じのする、井上真央とかの方が

合ってると思うねんけど、どうでしょうか。

監督は、『藁の楯 わらのたて 』 の三池崇史。


★★★★▲


さんざん書いた割には高評価。


風に立つライオン





2015.3.25

R.I.P.
Mike Porcaro


「TOTO」の元ベーシスト、

マイク・ポーカロが 今月15日に亡くなった。

マイクが病気だというのは知っていたが・・・。

59歳という若さだった。

以下は、3月16日(1:41)、兄のスティーブ・ポーカロが

Facebook に書き込んだもの。

Our brother Mike passed away peacefully in his sleep
at 12:04 AM last night at home surrounded by his family.
Rest in peace, my brother.

僕らのブラザー、マイクが昨夜 12:04 AM、
自宅で家族に見守られる中、眠ったまま安らかに
息を引き取りました。
安らかに、 マイ・ブラザー。



マイクは2007年、ALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症した。

先日観た映画 『博士と彼女のセオリー』 の

スティーヴン・ホーキング博士と同じ病気だ。

TOTO は、マイクの発病のあと、2008年に解散。

2010年7月から、マイクの救済目的で

バンドを再結成し、欧州ツアーを行った。

ベースにはネイザン・イーストが

サポート・メンバーとして参加し、

2011年には来日した。

(震災の影響で5月の予定が9月に延期されたけど。)


私は、TOTOの来日公演を1980年、

1982年、2011年、2014年と4回観たが、

ベーシストは80年が初代 デヴィッド・ハンゲイト。

82年はデヴィッドが抜け、マイクが加入していたので、

その時一度だけマイクを演奏をナマで聴いている。

プレイ云々より、がに股で演奏する姿が

カッコ悪かったことが、印象に残っている。

11年と14年は、ネイザン・イーストだった。

そして、昨年の来日公演の後、

夏には、デヴィッドが復帰したらしい。


一時期は、ジェフ、スティーブ、マイクの

ポーカロ3兄弟がバンドに在籍していた時代もあったが、

兄貴、ジェフ・ポーカロが、1992年に

38歳 (!) で他界。

そして、今回マイクも他界し、スティーヴだけに

なってしもた。

(マイクが闘病に入ってからは、バンドには

スティーヴだけやったけど。)


聴いていたミュージシャンがどんどん死んでいきます。

哀しくて寂しいけど、

それは、あらがいようのない自然なこと。

そんなことを思いながら、

18日に発売された、TOTO の9年ぶりの

アルバムを聴いてみることにした。


合掌。





2015.3.26

春はそこまで

会社の近くで撮影。







2015.3.27

くちびるに歌を

新垣結衣 主演の映画 『くちびるに歌を』。

(なんちゅうくさい展開や) と思いながら、

ずい分 泣いてしもた。


新垣結衣 演じる柏木ユリが、

長崎県の五島列島にある中学校へ

音楽の臨時教員としてやってくる。

彼女もこの中学校の卒業生で、

東京でプロのピアニストとして活動していたのだが、

友人でもある教師が産休に入るための臨時教員だ。

この柏木がいっこも可愛くない。

無愛想で、ニコリともせず、つんつんしている感じ。

美人のはずなのに、笑顔がないだけで、

こんなにブスに見えるんやね。

いくら臨時でも教壇に立つんやから、

もうちょっと何とかならんのか、と思う。

でも、物語が進むにつれ、

なぜ彼女から笑顔が消えたのかが明かされていく。

このワケアリ・ピアニストと中学の合唱部員との

物語なのだが、この中学生達が初々しくて良い。

オフィシャルサイトには、

かつての 『ウォーターボーイズ』 や
『スウィングガールズ』 のように、
本作から次世代のスターが生まれること間違いなし!

と書かれていたけど、確かに。

中心人物となっているナズナ役の 恒松祐里 も悪くないが、

私は、サトル役の 下田翔大 という男子が良いと思った。

まだ中学1年生のようだが、その少年時代の終りかけ感と

弱々しさの中の純粋さがとても良いと思った。

これは、彼であっても 今しか出せない味だろう。

サトルが、15年後の自分に宛てた手紙を書くのだが、

その内容がまた泣かされる。

反則やで。

先生役の 桐谷健太 は、最近テレビCM で、

あんまり賢そうでない浦島太郎を繰り返し観ているため、

その印象が強くて、最初は困った。

途中からちゃんと映画の中の人になってくれたから

良かったけど。

木村多江 (サトルの母役) は、少ない出演シーンでも

存在感ある演技でさすがでした。


2008年の全国学校音楽コンクールの

課題曲となったアンジェラ・アキ作の

『手紙 拝啓 十五の君へ』 という曲がある。

私も何度かTVで聴いたことがあるくらいだから、

有名な曲だろう。

その作者 アンジェラ・アキが、

全国の中学生に会いに行き直接対話をするという

テレビのドキュメンタリーがあったらしく、

その番組から発想を得た小説が原作。

本屋大賞にノミネートされた

ベストセラー青春小説ということだが

知らなかった。


心に大きな傷を持った大人の再生と

思春期の中学生の悩みと前進の物語で、

くさいけど泣けます。

また、五島列島の風景が美しい。

一度は訪れてみたいと思うほど美しい。


中学生でも大人でも、生きるっちゅうのは、

悩むっちゅうことなんや、

悩みながら前進していくことなんやと、

大した悩みのない私は思ったのでした。


くちびるに歌を


★★★★▲





2015.3.28

花 と 女

昨日 乗ったタクシーの話。

私が乗り込み、行き先を告げるなり

運ちゃんがこう言った。

「桜、咲きましたねぇ。男性にとっては良いことですね。」

私は、どういうことやろ と思いながら、

「花見で飲めるからですか?」

と訊いてみた。

「違いますよ。お客さん知らないのですか?」

「ええ、なんで桜が咲くと、男性にとって良いのですか?」

「花を見ると女性が優しくなるんですよ。」

「そうなんですか。知りませんでした。」

「そうですよ。これ、女の人が言ってたんですから、

本当ですよ。

つまり、普段、女は優しくないってことですよ。」


さて、ここで私は、なんと言ったでしょうか?


1番 「私の周りには、優しい女性しかいませんよ。」

2番 「優しい女性なんているんですか?」

3番 「だから、男は女に花を贈るのか!」

4番 「外面如菩薩 内心如夜叉」 ※

※  「げめんにょぼさつないしんにょやしゃ」
女性の顔はいかにも優しい菩薩のように見えるが、
心の中は悪魔のように険悪で恐ろしいところがあるということ。





2015.3.28

ときどき写真展 9

ナポリ港の目覚め



2014.10.24





2015.3.29

みんなの学校

大阪市住吉区にある大阪市立大空小学校の

ドキュメンタリー映画 『みんなの学校』。

こういう小学校が存在することに

驚かされたと同時に、

日本の教育現場に対する大きな希望を感じた。


大空小学校は、不登校ゼロを目指し、

実際に不登校がゼロなのである。

なぜ、そんなことが可能になるのか。

タイトルの 『みんなの学校』 の意味は、

「みんなで作る学校」 の意味。

校長の木村先生は、児童に問う。

「みんなって誰ですか?」

児童が応える。

「自分!」

「自分って誰ですか?

自分だっていう人、手を挙げてください」

「は〜い」 とみんなが手を挙げる。

つまり、「みんなで作る学校」 は、

児童が 「自分で作る学校」 なのだ。


大空小学校では、特別支援の対象となる児童が

30人を超えているが、みんな同じ教室で学ぶ。

そのことで、子供たちは、色んな子がいること、

みんなが一人一人違うこと、彼ら彼女らを

理解し、分かり合うことを学び取っていく。


私が5年生まで通った小学校は、

マンモス校で全校生徒の数が

1000人を超えていた。

当時、養護学級と呼ばれていたクラスに

何人かの児童がいたが、その中に同級生が

いたのかどうかさえ記憶がない。

彼らとは、完全に区別されていたので、

一緒に遊んだり学んだりする機会はなかった。

大人になっても、自閉症やダウン症などの人たちと

どんな風に接して良いのか分からず、

戸惑いがあるのは、自分の身近に

そういう人たちがおらず、

学校でも彼らと 「隔離されていた」 から

かもしれないと思った。

また、クラスに少々問題 (授業中教室を

抜け出すなど) のある子がいても、

それはけっしてクラス (自分) の問題ではなく、

その子の問題として扱われていたように思う。

つまり、自分たちには関係なかったのだ。

映画にこんなシーンがある。

教室に入ることを拒む児童に対し、

「教室に入るよう誘ってあげて」 と

校長先生が クラスメートに頼むのだ。

引き受けた男子 (4年生) は、

その問題の子に拒否されながらも、

根気よく背中をさすりながら、

「教室に入ろう」 と声をかけ続け、

やがて、一緒に校舎に入る。


小学低学年から、障害のある子供、

問題児と言われる子供と一緒に、同じ教室で

学んでいる 大空小学校の子供らは、

誰とも分け隔てることなく、理解し、

関係することのできる大人になることが

できるんじゃないかと思った。

こういう小学6年間を過ごした子供たちは、

中学・高校に進んでもクラスメートを

いじめるようなことはしないんじゃないだろうか。


それだけがこの学校の素晴らしさではない。

大空小学校では、児童と教職員だけでなく、

保護者や地域の人も一緒になって、

誰もが通い続けることができる学校を作ってきた。

多くの人の協力なしには

成し得なかったであろうことは容易に想像できる。


その中でも 校長の木村先生が素晴しい。

信念の人。

どんな時も ブレない。

子供に対する態度、新米教師を叱る態度、

全てが一貫していてブレないのだ。

こんな先生になら、安心して我が子を

預けられると思った。(子供いませんが)

約束を破った児童 (暴力を振るったり、

教室を抜け出したり、子供によって様々)は、

校長室に 「やり直し」 に来る。

その時も、木村校長は、あくまでも

誠実に児童をひとりの人間として扱う。

その 「やり直し」 のたびに

子供らは、自分の人生に責任を取り、

成長しているように見えた。


木村校長だけではなく、

大空小学校で働く全ての先生の

忍耐力、根気、誠実さ、正直さ、

子供たちへの愛と先生たち自身の生命力にも

感動せざるをえない。


テレビ版 「みんなの学校」 の放送後、

全国各地から、支援を必要とする子どもたちが

数多く、校区内へと引っ越しているという。

今後、全国に大空小学校のような学校が

増えていくことを願ってやまない。


みんなの学校


★★★★★





2015.3.30

ときどき写真展 10

親子浜



2014.5.4 宮崎県 石波浜





2015.3.31

続々 大家といえば

大家といえば」、「続 大家といえば」 の続編だ。

3月の中旬、その A さんに対し、

契約解除、月末に明渡しを通告するも、

「待ってください」 だの 「がんばります」 とは

言うものの、結局、A さんは、

店賃 (たなちん) を払ってこなかった。

月末に明渡しなので、今日が期日だ。

先週の土曜日に、現地に行き、直接本人に

「あと3日ですよ」 と念を押しておいたのだが、

電話をかけてみると、なんと今日も平常営業をしている。

ふてぶてしいというのか、

図太いというのか、大胆というのか、

本人は 「眠れない」 だの

「堤さんの顔が頭から離れない」 だの

言うのだが、実際はどんな心境なのだろうか。

全く理解に苦しむ。

これ以上、待つわけにもいかないので、

「退去するのに何日要りますか?

退去しないんだったら、商品に 『差し押さえ』 と

貼り紙しますよ」 と言っても、

「もうちょっと待ってください」 と言う。

「じゃあ、いつ、いくら支払えるのですか?」 と

訊いても明確に答えられない。

なぜなら、支払えるプランなどないからだ。

で、私は、今日明日に 「出てけ」 というのも

可哀想だと思い、15日の猶予を見て

「4月15日に明け渡してください」 と申し出た。

その日になって、今日と同じ会話をしたくないので、

何が何でも A さんに退去を約束してもらわないと、

話を終えるわけにはいかない。

お分かりのように、A さんには選択肢はない。

だが、「分かりました。4月15日で

明け渡します」 と 言わないのだ。

どこまで、図太い人なのだろうかと

あきれるばかりだが、本人は、

「これ以上、迷惑かけたくありません」 と言う。

「十分、迷惑かかってます。

これ以上、迷惑かけたくなかったら、

すぐに出て行ってください」 と言っても

どういうわけか、

「滞納賃料をきれいに払ってから

出ていきます」 と言うのだ。

律儀なのか何なのか分からん。

「滞納賃料をきれいに払ってから」 は、

もちろん、望むところだが、

そんな見通しはないのだ。

挙げ句の果てに A さんはこう言った。

「違う角度から、見て良いですか?」

私は、(この場に及んでどの角度やねん) と

思いながら、「どうぞ」 と言った。

「堤さんに提案なんですけど」

「はい」

「堤さんが個人的に私のスポンサーに

なるというのは、どうですか?」



















あほかぁぁぁ〜!


















と言いたかったが、グッとこらえて 冷静に

「できません。ほかを当たってください」


そこで私が、

「その手があったか、気がつかんかった」

って言うたら、落語やで。


いやぁ〜すごいね。

なんで、私が家賃滞納者に金貸すねん。

考えたら分かるやろ。

この人、ホンマもんやね。



ひとりごと  ひとりごと