LAGUNA MOON MELLOW FLAVOR  LIVE GUITAR  LINK LYRICS



落語 2019年
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2019.1.5

立川談春独演会 2019

今年、初めての落語会。
一昨年の独演会で「天災」「居残り佐平次」を
聴いてすっかりファンになった、
立川談春の独演会に行ってきた。
チケットを取るのが結構大変で、
昨年も一度だけ独演会に行った。
昨年の演目は「鰻の幇間」「文違い」。

先日、談春も出演する『下町ロケット』の
新春ドラマ特別編が放映されたばかりと
いうこともあって、マクラでは、
『下町ロケット』の裏話もたっぷり。

落語は「短命」と「明烏」。
前座なしでたっぷり、談春ワールドを
堪能できた。
やっぱり上手いし、おもろいわ。

2月にある武道館で落語公演があるのは
知っていたけど、「武道館で落語なんて」と
興味がなかったのに談春(メイン出演者の一人)の
話を聞いたら行きたくなってしもたよ。
どうしようかなぁ〜。


[ 演 目 ]
「短命」 立川談春
〜 仲入り 〜
「明烏」 立川談春

@千葉市民会館 大ホール







2019.2.24

還暦&噺家生活四十周年記念
桂米團治独演会


1月から7月まで九州から北海道まで
全国30カ所で開催される、桂米團治の
「還暦&噺家生活四十周年記念 独演会」。
東京は新橋演舞場での公演だった。
以前にも2度、桂米團治の独演会に
行ったけど、2度とも会場は、
銀座ブロッサム中央会館だった。
銀座や新橋演舞場で演るあたりが、
もうやはり若旦那って感じだなぁ。

さて、本日の公演、まずは、
米團治と彼の兄弟子にあたる、桂千朝、
桂米二、3人による口上。
続いて、予定では桂南天だったけど、
インフルエンザにかかったとかで、
代役で桂米左(米團治の弟弟子)による
「道具屋」。
東京から親友だという林家正蔵の
渋めの人情噺「蜆売り」。
一昨年、脳梗塞になったというが、
完全復帰した桂ざこば(兄弟子)の
「上燗屋」。
そして、米團治ご本人の「丁稚蔵」と
30分の仲入りを挟んで「地獄八景亡者戯」。
30分も休憩があるのは、
新橋演舞場だからか。
観客の皆さん、お弁当食べている方が多かった。

米團治の高座は、数えるほどしか
観ていないのだけど「地獄八景亡者戯」は、
なんとこれで4度目。
父、米朝師匠の十八番だったということもあるのか、
東京ではあんまり演る人がいないということも
あるのか、とにかく独演会の度に観ている。
ストーリーはどんどん膨らんで行っていて
新しいネタがいくつもあった。

今日は特別で、途中高座の後ろにスクリーンが
降りてきて、一部分を米朝師匠のビデオが
流れ、親子共演という趣向だった。
誰でも演れることではなく、
米團治だからこそ許される企画かなと思う。

ところで。
チケットを買おうとしたら、
A席(3階)しかなかったので、
しかたなくA席を買った。
行ってみると舞台に向かって
右側壁沿いの席で、席から舞台を見ると、
3分の1が隠れて見えない。
落語は、噺家が舞台中央に座って
じっとしているので良いけど、
お芝居だったら、見えないシーンが
あるだろうな。
そして、ずっと右向いて観ることに
なるので首が痛い。
ちなみにS席は6,000円で、
A席は4,000円でした。


[ 演 目 ]
口 上 (米團治、千朝、米二)
「道具屋」 桂米左
「蜆売り」 林家正蔵
「上燗屋」 桂ざこば
「蔵丁稚」 桂米團治
〜 仲入り 〜
「地獄八景亡者戯」 桂米團治

@ 新橋演舞場








2019.2.25

らくごカフェ10周年記念
平成最後の武道館落語公演




「武道館で落語を演る」と聞いた時、
「観たい」と思わなかった。
落語は、200〜300人位の会場が
一番合っている芸能だと思っているからだ。
武道館の2階席の後ろから、
豆粒のような、噺家を見ても
表情も分からないだろうし、
仮にスクリーンがあったとしても、
スクリーンを通して観るのも
どうなんだろうと思っていた。
チケットも落語会としては、
S席 \9,720 と高いし。

ところが、正月に立川談春の独演会に行き、
談春の口から「武道館落語」のその背景などを
聴いたら、急に観ておかないと
後悔するような気になってしもた。
まあ談春の話が上手いんだな。

で、そのあとチケットを買おうとしたら、
それまでチケットがまだまだありそうな
雰囲気だったのに、なんとS席もA席も
売切れていた。
しかたなくB席(\5,400)を購入。
きっと見にくい席だろうなと思ったけど。

でも、そのあとまた追加でS席が
売り出されていた。
どんな席か分からないけど。

さて、今日はその
「らくごカフェ10周年記念
平成最後の武道館落語公演」。

神保町の落語ライブハウス、
「らくごカフェ」の10周年記念の落語会。
私は、「らくごカフェ」には一度も
行ったことはないが、小さなハコのようで、
その10周年に武道館公演を演るというのは、
そもそもが、型破り。
そして、平日なのに16時開演という
無謀なプログラムだ。

16時を5分ほど過ぎて開演。
まずは、さだまさしが登場。
さださんは、今日の主催者「らくごカフェ」の
オーナー青木伸広さんの
高校の落研の先輩にあたる。
そう、さださんは落語好きだったのだ。

1部は、らくごカフェの「火曜会メンバー」
(火曜日の会と通う会をかけている)が
次々と登場し、踊りや歌、似顔絵、紙芝居など
落語以外の芸を見せていく。
本当は、落語を演りたいのだろうけど、
人数が多くてそんな時間はない。
その中から代表で、春風亭一之輔が落語。

武道館で落語というのは、
今日が初めてではなく、
22年前(1997年)に春風亭小朝が
独演会を行ったことがあるらしい。

その小朝の武道館独演会に当時大学生だった
一之輔は、観客として客席にいたのだという。
22年後に自分が、その武道館で8千人の観客を
前に落語をするなんて、当時にすれば
想像を遥かに超えることだろうな。

それから、2部はさだまさしショー。
さださんの歌をナマで聴くのは初めてだった。
トークが多いのはなんとなく知っていたけど、
今日も45〜50分位で、歌ったのは5曲。
でも、そのトークがもう漫談のようで大爆笑。

曲は『案山子』『雨やどり』『秋桜』『償い』
そして『関白宣言』を歌いかけて
すぐに止めて『関白失脚』。
『関白宣言』は、今では女性差別の歌に
なってしまうのだという。
ど真ん中の曲ばかりで嬉しかった。
まさか、『雨やどり』で落涙するとは
自分でも意外。
この曲、流行ったのは私が中学生だった時で、
その頃はコミックソングみたいな印象だったけど、
年取ってから聴くと泣けるんやなぁ。
『雨やどり』に限らず、『案山子』や『秋桜』、
『関白宣言』もだけど、さださんの歌は
心に沁みるものがある。
今日のパンフレットには、さださんの
「俺の歌は人情噺のつもりで書いているよ」
という言葉があったが、確かに
落語に出来そうな歌も多い。

さださんは「死ぬまでに観たいアーティスト
リスト」に入っていなかったけど、
今日観て凄く良かった。
今度は、コンサートに行こうと思う。

さださんは、アコースティック・ギターを
3本弾いた。
3本とも「Terry's Terry」。
これがすんごい良い音。
ヤマハにいたテリー中本さんのギターで、
良いものだと中古でも100万円どころか
200万円のものもある。
このギターの音を、マイクで
拾っていたようなのだが、
こういうのを「鈴鳴り」って
いうんやろなというサウンド。

それから、3部は立川談春、
4部は立川志の輔と大御所の落語が続いた。
それぞれの落語の後に、
さださんが落語のアンサーソングを1曲
歌うという趣向。
談春の「紺屋高尾」には、『いのちの理由』。
志の輔師匠の「八五郎出世」には、
『親父の一番長い日』。
妹の歌やからね。
この時は、マイクを立てずに
ギターのピックアップから出力していたようで、
さださんのコーナーの時とギターの音が
明らかに違っていた。
マイクで拾った音の方が当然素晴らしい。

20時終演の予定だったが、
志の輔師匠の登場がすでに20時。
終わったのは、21:05。
16:05に始まったのでちょうど5時間!
凄い落語会やった。
休憩が3回あったけど、
長いとは感じなかったので、
充実した内容だったと思う。

私の偏見かも知れないけど、
落語と音楽とか、今回の企画のように
何かと何かを組み合わせたイベントは、
あまり上手くいかないような気がして
好きではない。
一緒に催す意味が感じられず、
それぞれを別々にに観た方が良いと思うからだ。
でも今日は良かったなぁ。
コレは、さださんが主催者に呼ばれて
仕事で歌っただけの歌手ではなく、
主催者の青木さんと懇意であるのはもちろん、
ご本人が落研にいたという落語愛のある人だと
いうことが、非常に大きな要因ではないかと思う。
また主催者の青木さんという方が、
皆さんに愛されている人であるということも
この会の成功のカギだろう。

そういうわけで、当初、武道館で落語なんて
観たくない、と思った私は、
大変に楽しんで、また感動して会場を
あとにしたのでした。
食わず嫌いはいけませんな。

開演前にパンフレットの青木さんの長い挨拶を
読んで、もうそれで感動してしまったので、
今日の成功は決まっていたんだろうな。

一之輔は(武道館での落語を)「また演りたい」と
言っていたけど、確かに「あり」だと思った。
まあ、演者は限られるやろけどね。

落語の演目も良かった。
一之輔のちょっとやり過ぎ感のある
「堀之内」は、8千人の客を掴むには、
あれくらいでちょうど良いだろうし、
談春の「紺屋高尾」、志の輔師匠の
「八五郎出世」もクライマックスでは、
あの大きな会場をシーンとさせる口演で
素晴らしかった。
志の輔師匠の「八五郎出世」は、
何度聴いても素晴らしい。
久しぶりに聴けて良かった。

席は、2階席の最後列だったけど、
スクリーンのおかげで全く問題なく、
楽しめた。
行く前は、スクリーンで落語は
ちょっと抵抗あったのだけど、
考えてみたら、コンサートでは、
しょっちゅう見てるしね。
(凄い変わりよう。現金なもんです。)


[ 演 目 ]
らくごカフェに火曜会メンバーによる余興
「堀の内」 春風亭一之輔
「うた」 さだまさし
「紺屋高尾」 立川談春
「八五郎出世」 立川志の輔

(らくごカフェに火曜会メンバー)
蜃気楼龍玉 柳家小せん 古今亭志ん陽
古今亭文菊 三遊亭天どん 金原亭馬玉
林家たけ平 柳亭こみち 柳家わさび
春風亭正太郎 春風亭一蔵 柳亭市弥
入船亭小辰 三遊亭わん丈 橘家文吾

@ 日本武道館








2019.3.22

立川談春 独演会

新宿(というか代々木の方が近い)の
紀伊國屋サザンシアターでの、
談春の独演会6日間公演、
今日はその5日目に行ってきた。

今回のメインの演目は、
「双蝶々(ふたつちょうちょう)」。
初めて聴く噺だ。
六代目 三遊亭圓生が得意としていた
人情噺らしく、現代ではほとんど
演る人がいないらしい。
大ネタと言われる長い噺で、
今日もマクラを入れて90分弱あった。
残念ながら、急激な睡魔で
途中で20〜30分気を失ってしまったら、
気が付いた時には、ストーリーが
進んでいて何がどうなったのか、
分からなくなっていた。
帰ってきてから、ググってストーリーの
おさらいをしたした次第。
落語といってもこれは笑える話ではなく、
お芝居を観ているような感じだった。
それにしても、90分は凄い。
90分も演ったので、
今日はこれ1本かと思ったら、
休憩後に「陽気な噺を」と「大工調べ」。
これがまた面白かった。
昨日までの4日間、「双蝶々」は
決まっていたけど、もう一席は
3席の中からリクエストの多い演目を
選んだらしいのだが、4日とも同じ
演目になってしまったらしい。
それが「大工調べ」だった。
それで、今日と明日の残り2日間も
同じ演目にすることにしたらしい。

談春の高座は、6度目で今年はすでに3度目。
最近は、一之輔よりも聴いている。
なぜか分からないのだけど、
私は談春の噺を聴くと、
この人の奥深い優しさを感じてしまう。
優しいことを言うわけではない。
今日も今の日本をぼやいていたよ。
芸に厳しい人であることに疑いはないが、
本質的にこの人は、優しい人だと思えてならない。


[ 演 目 ]
「双蝶々」 立川談春
〜 仲入り 〜
「大工調べ」 立川談春

@ 紀伊國屋サザンシアター(新宿)







2019.4.18

粋歌の新作コレクション2019春

女流噺家の中で唯一、
何度も聴きに行っている、三遊亭粋歌。
新作コレクションは、これで5度目だ。

開口一番は、橘家門朗(たちばなやもんろう)。
今日のゲストの橘家文蔵の弟子。
中々笑える前座さんがいない中、
この人は面白かった。
「道灌」なんて面白いと思ったことなかったのに。
将来有望なんじゃないかな。

さて、粋歌。
「新作コレクション」というタイトルの通り、
新作落語ばかりの会だ。
というか、この人の古典は聴いたことがないので
やるのかどうかも知らないのだけど。
今日の演目は、この時期ならではの
「働き方改革」をネタにしたシュールな噺。

続いて、三遊亭白鳥作、
「落語の仮面 第三話 時そば危機一髪」。
「ガラスの仮面」のパロディ。

そして、ゲストの橘家文蔵「千早ふる」。
なんと、粋歌がアマチュア時代に
通った落語教室の講師が、橘家文蔵
(当時は、文左衛門)だったのだという。
ここで、私には睡魔が・・・。

休憩のあと、ラストは最近の作だという
「夏の顔色」。
田舎に帰省する家族とそれを迎える
祖父母のストーリー。
とても現代的で笑えた。


[ 演 目 ]
「道灌」 橘家門朗(前座)
「働き方の改革」 三遊亭粋歌
「落語の仮面 第三話 時そば危機一髪」 三遊亭粋歌
「千早ふる」 橘家文蔵
〜 仲入り 〜
「夏の顔色」 三遊亭粋歌

@ 内幸町ホール







2019.5.11

TBS赤坂ACTシアタープロデュース
恒例 志の輔らくご


毎年恒例の赤坂ACTシアターの
志の輔らくご『大忠臣蔵』と『中村仲蔵』。
2015年9月2017年5月に観ており、
3度目となる。
本多劇場の夏の『恒例 牡丹灯籠』は、
気が付けば 2014年〜2017年まで
4年連続観に行ったので、昨年は行かなかった。
今年はどうしようかな。



さて、大忠臣蔵。
今日は、4日間公演の初日だった。
赤坂ACTシアターの「志の輔らくご」は、
今年で11年目らしい。
4年目からこの『大忠臣蔵』と『中村仲蔵』に
なり、同じ演目で8年目だという。
毎年4日間公演。
ACTシアターのキャパが、1,300ほどなので、
4日間で約5千人。
昨年まで7年間で、のべ3万5千人の人が
観たことになる。
「もうそろそろネタを変えた方が、
いいんじゃないか」と、志の輔師匠が言うと、
「3万5千人なんてジャニーズなら、一晩ですよ」と
TBSのスタッフに言われたと、そんな話から始まった。

『大忠臣蔵』というのは、落語ではなく、
お芝居(一番最初は文楽だったようだ)の
「忠臣蔵」、正式名称「仮名手本忠臣蔵」の
全ストーリーをパネルを使って
約1時間ほどかけて、話すというもの。

休憩のあと、落語の『中村仲蔵』。
この噺をより理解するためには、
「忠臣蔵」のストーリーと、
中村仲蔵が演じる場面のことを
知っておいた方が良い。

そもそも、「赤穂事件」と「忠臣蔵」の
区別がない人が多く、志の輔師匠自身が、
この2つは別ものだと知ったことが、
この公演に繋がっている。

「忠臣蔵」は「赤穂事件」を元にはしているが、
登場人物の名前も違う(変えてある)し、
創作部分も多い。

2年ぶりに聴いた『大忠臣蔵』は、
初めて聴くような話も多く、
3度目だというのに、何よりも
自分が何も覚えていないことに驚く。
まあ、そのおかげで初めて聴くかのように
新しく聴くことができるんだけど。

毎度、志の輔師匠の口演は、
芸術レベルに素晴らしく、
休憩を入れて3時間近く
観客を惹きつけ続けるのでした。

『中村仲蔵』は、
「一流は、逆境で突き抜ける」という
噺なんだと改めて思った。
そのためには「命がけでやる」ということ
なんだけどね。

ところで、志の輔師匠の独演会は、
いつもいつも驚くほどの花が贈られてきており、
他の噺家さんとは一線を画している。
今日も多くの花があったのだが、
中に意外な人からの花が。



山下達郎だ。
へぇ〜、どんな関係なんやろ?と
思っていると。

以前は、公演後のエンディングに流れるのが
スターダストレビューの『シュガーはお年頃』
だったけど、なんと今回は達郎!
(曲は知ってるけどタイトルが分からない。
英語の曲のカバー。)


[ 演 目 ]
第一部 大忠臣蔵〜仮名手本忠臣蔵のすべて〜
第二部 落語 中村仲蔵

@ TBS赤坂ACTシアター




毎回、この公演のあと、
泉岳寺へ赤穂浪士のお墓参りをしようと
書いてるのだけど、この時だけ思い出すので、
まだ実現しておりません・・・。





2019.7.1

柳家喬太郎と道玄坂の夜
〜昭和の噺・平成の噺〜


最近は、TVコマーシャルにも
出演中の柳家喬太郎。
ちょっと久しぶりです。
今日は、「リビング落語」という
お弁当付きの落語会。

開口一番は、春風亭正太郎
(二つ目)の「権助魚」。
この人もう真打になってもよさそうなのにな。

そして、喬太郎の「同棲したい」。
若いころにやり残した夢、
「同棲」を実現するために、離婚して、
安アパートに住む熟年夫婦の話。
大爆笑の傑作話。
でも、若い人には何が面白いか
分からないかも。
50歳以上向けかな。

続いて、ゲストの林家二楽。
紙切りだ。
毎度のことながら、素晴らしい芸です。
なんで、あんなことが出来るんだろう。
最後に、弟子の八楽を高座に上げて
師弟2人で紙切り。
お題は、動物と限定したものの、
お客さんからリクエストを取って
「ネコ」となった。
出来上がりは、師匠がドラえもん、
八楽がドラミちゃん。
並べても全く見劣りしない素晴らしい出来。
入門して2年経ってないとは
とても思えない技術だ。
これは、弟子入り前から
かなりやっていたなと思ったら、
なんと二楽師匠の実の息子さんだった。

お弁当のあとは、もう一席、
喬太郎で「孫、帰る」。
途中まで、笑っていたのに、
ある瞬間にシ〜ンと笑いがなくなる。
これも傑作だと思うな。

久しぶりの喬太郎。
やっぱり面白い。
私より1歳若いのだが、
もう髪の毛は真っ白。
まあ、禿げてる私が言うことでもないが。
少し痩せたように見えた。
そのせいなのか、今日初めて思ったけど
この人、宇津井健に似てるよ。


[ 演 目 ]
春風亭正太郎 「権助魚」
柳家喬太郎 「同棲したい」
林家二楽 紙切り
〜 仲入り(お弁当)
柳家喬太郎 「孫、帰る」

@ eplus リビングルームカフェ&ダイニング(渋谷)








2019.7.2

いちのすけのまくら



春風亭一之輔著の『いちのすけのまくら』。
いつ買ったっけ?と見てみると、
2018年1月30日 第一刷発行とある。
たぶん発売されてすぐに買って、
3分の1ぐらい読んで
ほったらかしになっていた。

そんな感じで、
読もうと思って買った本が
かなり溜まっているのに、
また新しい本を買ってしまったりする。
困ったもんだ。

さて『いちのすけのまくら』。
もうひと月ぐらい前になるかな、
また最初から読み直し始めて、
ようやく読み終えた。
短いエッセイ集のようなものなので、
少しずつ読むにはちょうど良い。

「まくら」というのは、落語の本題に
入る前に話すフリートーク部分のことで、
言っていればイントロだ。
「まくら」でその日の客の反応を
伺いながら、演目を決めたりするそうだ。
つまり落語家は、何を演るか演目を
決めずに高座に上がることも珍しくないのだ。
なぜ「まくら」というのか。
頭に付くから。
落語らしいね。

内容は、2014年〜2017年に週刊朝日に
連載されたものをまとめたもので、
実際に高座やラジオで喋ったりしているようだ。

一之輔の高座は、もう50回近く観ているが、
知らない話が多く、面白かった。
一之輔ファンなら、文句なく楽しめます。

巻末には、落語通の俳優、東出昌大との対談も収録。
東出と一之輔は、NHK(Eテレ)の
『落語ディーパー!』で共演したり、
東出自身がドラマで落語家役を演じたりしている。


★★★★▲





2019.7.6

春風亭一之輔の
ドッサりまわるぜ2019


2015〜2017年あたりは、
月一ペースで高座を観ていた一之輔。
さすがに月一は行き過ぎやなぁ。
最近はちょっとペースが落ちた。
そんな一之輔の、久しぶりの独演会。

この「ドッサりまわるぜ」ツアーは、
毎回、一之輔が私服で登場し、
立ったままのフリートークで始まる。
落語会としては異例だ。
噺家が、着物姿でないことだけで、
ちょっとした違和感があるのも
不思議で面白い。

さてまずは、一番弟子のきいち。
今年の5月、前座から二つ目に昇進し、
名前も「きいち」の「き」が漢字になった。
(七を三つ書く字だが、環境によっては
表示がされない。)
何度も観ているが、やはり二つ目となると
前座とは違う空気を出すもんなんだな。
私は、落語を聴き出してまだ6年なので、
前座から二つ目、真打になるまでの
変化を見続けた噺家はまだいない。
そういう噺家の成長を見るのも
ひとつの楽しみだ。

一之輔は、「南瓜や」、「意地くらべ」、
仲入りをはさんで「柳田格之進」の三席。
独演会だからと言って、三席演る噺家は
そう多くない。
これは、独演会に足を運んでくれる
観客への一之輔のエンタテイメント性の
現われに他ならないと思う。


[ 演 目 ]
春風亭一之輔 挨拶(オープニング・トーク)
春風亭きいち 「寄合酒」
春風亭一之輔 「南瓜や」
春風亭一之輔 「意地くらべ」
〜 仲入り 〜
春風亭一之輔 「柳田格之進」

@ 有楽町よみうりホール


「ドッサりまわるぜ2019」ツアーは
6月1日浜松に始まり、
9月16日の福岡まで全国26か所。
今日は、14公演目でソールドアウト。








2019.7.15

本多劇場プロデュース
恒例 牡丹灯籠
志の輔らくご in 下北沢 2019


2年ぶりの5回目の「牡丹灯籠」。
2014年から17年まで、4年連続で
観に行ったのだけど、
昨年は行かなかったので、2年ぶりだ。
「牡丹灯籠」の公演は、12年目だそうだ。
毎年同じ演目を同じ会場で
演り続けるというのは、落語に限らず、
芝居でも中々ないようだが、
毎年、ソールドアウトなのも凄い。

年によって、公演日数は違うようだが、
今年は、7日間公演。
今日はその最終日だった。

志の輔師匠によると
今年は一度も3時間を切らなかったらしく、
今日が一番長くて、終わってみると
(休憩20分ぐらい入れて)3時間15分。
私が観に行った中でも、2時50分という日が
あったのだけど、この25分もの差は
なんなんだろうな。

内容は、毎回思うが本当に素晴らしい。
そして、ちょっとずつ感じることが違っていたりする。
これは、志の輔師匠にしか出来ないだろうな。

三遊亭圓朝(原作者)は、牡丹灯籠以外にも
たくさん作品を残しているが、
今日は改めて原作の凄さも感じた。
圓朝って、神様とか言われているけど、
ホントに凄い人だったんだと思う。


【 演 目 】
「牡丹灯籠」 立川志の輔

@ 本多劇場(下北沢)




[ 関連エントリー ]
2014.7.28 恒例 牡丹灯籠 志の輔らくご 2014
2015.7.23 恒例 牡丹灯籠 志の輔らくご 2015
2016.8.28 恒例 牡丹灯籠 志の輔らくご 2016
2017.7.29 恒例 牡丹灯籠 志の輔らくご 2017





2019.8.12

春風亭一之輔のドッサりまわるぜ2019

2014年4月19日に
初めて一之輔の高座を観た。
その時、初めて聴いた「雛鍔(ひなつば)」に
ノックアウトされ、一之輔のファンになった。
それから、5年あまり。
一時は、月一ペースで高座を観ていたが、
最近はペースが落ちた。
それでも、今年3度目。
今日は、私にとっては記念すべき(?)
一之輔、50回目の高座だった。
我ながらよく通ったもんだと思う。
高座で聴いた演目数は、今日の2席を入れて
ちょうど100席となった。

今年7年目だという、
「ドッサりまわるぜ」全国ツアー。
今年は26公演あるのだが、
今日はその22公演目。
横浜の関内ホール大ホールでの公演。
関内ホールでは、何度も横浜出身の
歌丸師匠を観たが、昨年秋に
リニューアルオープンしてからは初めてだった。
座席がちょっとゆったりし、
椅子がふっくらしたのは嬉しい。

「ドッサりまわるぜ」では、毎回冒頭に、
一之輔が私服で登場し、立ったまま
ハンドマイクでトークする。
内容は落語のマクラのようなものだが、
話すスタイルが違うと、印象も変わるもので
これはこれで、面白い。

そして、開口一番。
一之輔の弟弟子で、来年3月に
真打昇進が決まっているという
春風亭一左(いっさ)。
初めて聴いた人だった。
一之輔曰く大正時代のような語り口。
なるほど、そんな感じもする。

一之輔は、長めのマクラで、
相変わらずの大爆笑。
1席目は「青菜」、休憩をはさんで
2席目は「唐茄子屋政談」。
どちらも聴いたことのある噺だが、
一之輔流の新しいくすぐりが
追加されており、進化を感じた。
素晴らしいね。
一之輔は、独演会では3席演じることが
多いが、今日は2席。
それでも、終わったら、
2時間半が過ぎていた。


[ 演 目 ]
春風亭一之輔 トーク
春風亭一左 「手紙無筆」
春風亭一之輔 「青菜」
〜 仲入り 〜
春風亭一之輔 「唐茄子屋政談」

@ 関内ホール 大ホール(横浜)







2019.10.21

2019 落語一之輔 七夜 第一夜

2014年たまたま買った春風亭一之輔の独演会が
「2014 落語一之輔 一夜」という
タイトルだった。
その年は一夜、翌年は二夜、次の年は三夜と
毎年一夜ずつ増えていき、5年目(2018年)には
五夜となり、5年合計で十五夜になるという
乙な企画だった。
2014年の「一夜」に行って、初めてそのことを
知った私は、「よしそれなら5年、十五夜全部
聴いてやる!」と決意した。
そして、その決意の通り 2017年の「四夜」まで、
合計十夜の公演を制覇したのだが、
昨年の「五夜」は、都合が合わなかったり、
チケットが取れなかったりで、
残念ながら、一日も行けなかった。

昨年の「五夜」で終わりだと思っていたら、
なんと今年は「六夜」を飛び越し、「七夜」。
七夜全部は、無理なので
今日、その第一夜に行ってきた。
もちろん、七夜ともソールドアウトの公演だ。

昨年までの合計十五夜では、
毎夜ネタ下ろし(初演)があったのだが、
さすがに七夜連続ネタ下ろしは、無謀だろう。
オープニングのトークで、ご本人曰く、
この七夜では、昨年までの十五夜の
ネタ下ろしの十五席の中から一席と、
仲良くしているお友達(演目)を
演るとのことだった。

開口一番は、一之輔の一番弟子きいち。
私が一之輔を始めて観た時には、
まだ彼には弟子がいなかった。
その後、2014年11月に きいちが弟子になり、
高座に上がるようになった。
私は、一之輔の独演会を
何度も観に行っているので
きいちの高座も何度か観ている。
当然、最初のころは面白くなかった。
今年5月にきいちは、二つ目に昇進。
名前も「きいち」の「き」を漢字
(七が三つ)に変えた。
7月にも二つ目昇進後のきいちの
高座を観たのだが、その時よりも
今日は大きく成長した感があった。
思えば、落語を聴くようになって6年半。
ようやく噺家の前座スタート時からの
変化というか成長を観られるように
なったわけだ。
前座時代には、マクラはない。
どうかするとめくり(高座横にある口演者の
名前を書いた紙)に名前さえないことも
珍しくない。
それが、二つ目に昇進すると、
羽織を着て登場し、マクラも話す。
今日は、きいちの成長に感動さえ覚えたよ。
演目は『親子酒』。

そして、一之輔。
まずは『鈴ヶ森』。
そして、二席目、
「連れて行ったやったらどうだい」と
いう女性のセリフで始まった。

「連れて行ったやったらどうだい」
「イヤだと言ってるだろう」
「そんなこと言わずにさ、連れて行っておやりよ」

ここで会場から、クスクス笑い声が起きる。
『初天神』だ。

「なんで笑っているんだい」と
会場の笑いも即座にネタにする。

私は、一之輔の演目中でも子供と隠居さんが
出てくる噺が好きで、『初天神』も大好きな演目。
しかし、今日は後半まさかの展開が待っていた。
明らかに古典ではなかったパートが付け足され、
しまいには、お奉行様(大岡越前守)まで
登場する始末。
なんとも大胆なアレンジが施されていたのだ。
終演後、ロビーに貼り出された演目表には、
『初天神』ではなく『団子屋政談』と
書かれていた。
(調べてみると『団子屋政談』は
すでに絵本(!)になっていた。


そして、最後は、『ねずみ』。
これにも今まで聴いた『ねずみ』には、
出てこなかった登場人物が付け足されていた。

進化し続ける一之輔に
改めて畏敬の念を抱いたのでした。


[ 演 目 ]
春風亭一之輔 オープニング・トーク
春風亭きいち 「親子酒」
春風亭一之輔 「鈴ヶ森」
春風亭一之輔 「団子屋政談」
〜 仲入り 〜
春風亭一之輔 「ねずみ」

@ よみうり大手町ホール





昨年までの5年十五夜は、DVDになると
聞いていたが、ついに発売が決定したようで、
そのチラシも配られていた。(12月16日発売)
DVD 15枚組(45席)+書籍1冊の
DVD BOOK で 39,900円(税別)!
まあ、十五夜全部行けば、
それぐらいの木戸銭になります。


[ 関連エントリー]
2014 落語一之輔・一夜
2015 落語一之輔・二夜
2016 落語一之輔・三夜
2017 落語一之輔・四夜





2019.11.6

師いわく
春風亭一之輔


落語ファンになってから、あまりの面白さ、
素晴らしさに5年余りで50回、100席 以上の
高座を聴きに行ってしまった、春風亭一之輔。
最近は、回数が減ったものの、
一時期は、月一ペースだった。

さて、その一之輔が悩み相談にこたえる、
『師いわく』。
知らずに購入したが、小学館のウェブマガジン
P+D MAGAZINE で連載中の
「師いわく ~不惑・一之輔の『話だけは聴きます』」
という悩み相談の書籍化だった。
読もうと思えば、無料で ウェブで
読めるのだが、ただで読むより、お金を出して
本で読む方がありがたみを感じるのは、気のせいか?

悩みの内容は、真面目なものから、
どうでもいいようなものまで様々だが、
一之輔の回答がユニークで素晴らしい。

私の妻も「サルトル塾」と称して
悩みや相談に答える会を催していて、
凡人が思いつかないような、
回答を繰り出してくるのだが、
一之輔もそれと同じような感じ。
やはり、21人抜きで真打に昇進する
ような人は、ちょっと違う。

もっとも一之輔の場合、
噺家というコンテクストだから、
妻のそれとは、違うけどね。

聞き手のキッチンミノル(写真家)の
ゆるさも手伝って、中には実は深いことを
言っているのに、軽〜く読めてしまうあたりも
深刻さがなくて良い。
ただ、読者の中には、その回答の深さに
気付けない人もいるのではないかと
全く大きなお世話な、余計な心配をする私だった。


★★★★☆








2019.12.11

粋歌の新作コレクション 2019冬

最近は、一時ほど落語を聴かなくなった。
今日はちょっと久しぶりの落語会、
三遊亭粋歌(すいか)の
「新作コレクション」に行ってきた。
彼女の落語会は、今年の春以来で、
今日で6回目。
女流噺家の中で何度も聴きに行っているのは、
彼女だけだ。

まず、開口一番、林家やまびこ。
初めて観た前座さんだけど、
やけに落ち着いている感があって、
安定していたね。
将来楽しみ。

そして、粋歌。
誰だったか失念したけど、粋歌が、
他の噺家のために書き下ろした演目
「嫁の話がつまらない」。
新婚なのに、毎日家に帰ると、
延々と嫁のつまらない話を聞かされるのが
ストレスだという旦那の噺。
良くできた噺で、面白く、オチも良い。

続いて、古今亭駒治作の新作落語
「ラジオデイズ」。
インターネット以前、深夜放送(ラジオ)
全盛時の青春物語。

そして、ゲストの柳家花緑登場。
粋歌が、落語に目覚めるきっかけが、
花緑だったという。
粋歌は、大江千里のファンで、
大江が司会を務める NHK の『トップランナー』を
観ていたらしいのだが、そこに出演した
花緑を観て、感銘を受け落語界に
足を運んだのが、この世界への入り口だったという。
人の人生って、何で大きく変わるか
分からんもんやなぁ。
今日の花緑の演目は、「二階ぞめき」。
彼の高座は、5〜6回観ているが、
1年半ぶりだったからか、
なんか今日は今までと印象が違った。
今日の方が以前より、好きだな。

そして、休憩後、再び粋歌で「浮世の床から」。
今年の夏に作った新作ということだが、
30数年引きこもっていた、40代女性を
主人公にしており、ややシリアスで重め。
笑いも控えめ。
ご本人は、一度演じて もうやらなくていいと
思っていたそうだが、主人公の女性が
好きになってきて、もう少し温めたくなったとか。
確かにまだ発展の余地がある噺に感じたね。

それにしても、粋歌は良いなぁ。
噺は面白いし、演じている時の表情も良い。
演じている人によって別人のように
顔つきが変わって見える。
演目は、人の作品を演るより
彼女自身の作品の方が私は好きだな。

花緑師匠が言っていたけど、
男性だと志ん朝みたいになりたいとか、
小さんみたいになりたいとか、
はたまた談志を目指すとか、
ある程度、レールのようなものがあるけど、
女流で名人と言われる人は
まだいないわけで、何をやっても
パイオニアになれると。
なるほど、そうだなと思った。

「粋歌の新作コレクション」は
また行きたいと思う。
これからも楽しみだ。


[ 演 目 ]
「狸の札」 林家やまびこ(前座)
「嫁の話がつまらない」 三遊亭粋歌
「ラジオデイズ」 三遊亭粋歌
「二階ぞめき」 柳家花緑
〜 仲入り 〜
「浮世の床から」 三遊亭粋歌

@ 内幸町ホール







ひとりごと