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つつみしんやのひとりごと
2014年 映画・演劇・舞台 etc

    
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2014.1.3

2013年のベスト映画

昨年は、劇場にて 62本の映画を鑑賞した。

一昨年は、65本だったので、ちょっと少ない。

できれば100本ぐらい観たいのだが、

ライヴやコンサートも結構行くし、最近は落語も増えてきたので、

これ以上は中々難しい。


さて、昨年も良い映画に出会えたが、

★5つは、14本、★4つ半は、12本と

合わせて26本もあった。

その中から、今振り返っても

印象に残っているものを10本挙げてみよう。

(観た順)
・テッド
・The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛
・舟を編む
・きっと、うまくいく
・奇跡のリンゴ
・終戦のエンペラー
・42 世界を変えた男
・キャプテン・フィリップス
・永遠の0
・武士の献立

実話がらみが、「The Lady〜」 「奇跡のリンゴ」

「終戦のエンペラー」 「42 世界を変えた男」

「キャプテン・フィリップス」 と5本もある。

毎度のことながら、実話はパワフルだ。

「武士の献立」 も実在の人物がモデルだけど、

ストーリーはたぶんほとんど創作だろう。

あと、ドキュメンタリーでは、(これ1本しか観てないけど)

「シュガーマン」。

なんと言っても、3回観に行ったからね。

(2回は途中で寝てしまったため)

残念だった作品は、アニメ 「風立ちぬ」 「かぐや姫の物語」 と

「君と歩く世界」 「ザ・マスター」あたりだな。


今年もたくさん観るぞ!





2014.1.3

利休にたずねよ

今年の映画1本目は、市川海老蔵主演の

「利休にたずねよ」。

私は、千利休のことを名前ぐらいしか知らない。

教科書に出てくるぐらいだから、

偉大な人だったんだろう、という程度の知識。

そんな日本史オンチの私だから、

本作のどの辺が史実に基づいていて、

どの辺が創作なのか分からないのだけれど、

映画の感想は、あんまり面白くなかった。

海老蔵演じる利休の所作は 美しいのかもしれないけど、

背筋がピンと伸びてることぐらいしか感じられず、

これは私の観る目の問題でしょうけど残念。

それから、利休が命懸けで女と走って逃げるシーンが

あるのだけど、浜辺の小屋に入ったら、

お茶の道具を出すのね。

そんなん、持ってなかったやんって、

突っ込みたくなった。

(あの小屋に置いてあったのかな?

いや、そんなことないやろ)

これが、面白い映画だとそんなこと

気にならなかったり、許容できたりすんねんけどな。

つまりは、利休に感情移入できず、

利休に嫉妬する秀吉にも共感できず、

よう分からんということでした。


秀吉は、大森南朋が演じていたのだけど、

先日観た 「清須会議」 の秀吉 (大泉洋) と

あまりにも違いすぎる。

まああっちは、コメディやけどね。

本作では、イヤな奴として描かれている。

ほんまの秀吉ってどんな人やったんやろな。


最後のシーンの利休の妻・宗恩 (中谷美紀) の

横顔は美しいと思った。


★★★▲☆





2014.1.6

鑑定士と顔のない依頼人

ジュゼッペ・トルナトーレ監督というと、

『ニュー・シネマ・パラダイス』 が代表作となっているが、

私は 『ニュー・シネマ・パラダイス』 を

期待しすぎて観たせいか、それほど感動しなかった覚えがある。

それより、『明日を夢見て』 の方が、

切なくて印象に残っている。

『ニュー・シネマ〜』 も 『明日を夢見て』 も

ビデオをレンタルしての鑑賞だったので、

劇場で観たかったなと思う。

そのあとの 『海の上のピアニスト』 『マレーナ』 は、

劇場で鑑賞したが、その次の2本、

『題名のない子守唄』 と 『シチリア!シチリア!』 は、

なぜだか 観ていない。

そのトルナトーレ監督の 『鑑定士と顔のない依頼人』 を

昨日 観てきた。

ミステリーと宣伝されていたが、

ミステリーというより 人間ドラマっぽい。

ジェフリー・ラッシュ演じる ヴァージル・オールドマンは、

一流のオークショニア (競売人)。

その彼のもとへ、クレアという女性から、亡くなった両親が

残した遺品の鑑定をして欲しいという依頼が入る。

しかし、当の依頼人クレア本人が中々姿を現さない。

クレアは、奇妙な病気で人とは会えないという。

壁越しに会話を始めたヴァージルは、どうしても

クレアの姿を見たいと思うようになる・・・。


そんなストーリー。

ミステリーというぐらいだから、謎解きというか、

仕掛けがあり、ネタバレになるので

あんまり詳しく書けないけど、

最後にオチがあるというので、あれこれ推測しながら

観ていたのだが、その推測はことごとく外れ、

思いもよらぬ結末だった。

ちょっとあまりにも悲しい結末。

あぁ、こんなこと書いたら、これから観る人に

要らぬ先入観を与えてしまうことになるけど。


主演のジェフリー・ラッシュがいい。

この人、『シャイン』 が印象的だったけど、

最近では、『英国王のスピーチ』 で、

国王の吃音を治す先生の役をしていた人。

たぶん、イタリアが舞台なんだろうけど、

英語で演っているので、イタリア感はない。

原題は、『La migliore offerta』、

「ベスト・オファー」 という意味らしい。

そう言われると、映画に深みが増す感じがする。

邦題は、イマイチだ。

依頼人には、ちゃんと顔があるもん。


結末を知ってから、もう一度観ると、

違うふうに楽しめそうな作品。

それを狙ってか、

リピーターは1000円という割引サービス付きだ。


★★★★☆





2014.1.10

母の身終い

死の直前の年老いた母と息子の物語、

そんな程度の予備知識で鑑賞した映画 『母の身終い』。

シネスイッチ銀座での最終日、最終回を観てきた。

フランス映画。

主演の ヴァンサン・ランドン は、

観たことがあると思ったら、以前観た

『君を想って海をゆく』 に出ていた人だった。

母親の死と直面する、上手くいっていなかった

母と息子の物語と 勝手に想像していたら、

思っていたのとは、ちょっと違った。

ひと言で言うと、母の死に立ち会う、

息子とその母の話と言えなくもないが、

その逝き方がちょっと予想外。

ネタバレになるが、末期ガンの母は、

苦しんだ末に死ぬことよりも、自らの選択で

死を選ぶ。

映画では、「尊厳死協会」 として登場するが、

つまりは、自殺をさせる施設が登場する。

実際の話なのかどうかはわからないが、

フランスでは、認められていないその最期の死に方が、

スイスでは、法的に認められているという設定。

私は (日本の) 「尊厳死協会」 は、延命治療を拒否し、

人間らしい死に方をするためのものと思っていたので、

まずそこでビックリ。

で、国民性による死生観の違いだろうか、

映画の描き方の違いだろうか、

そのへんに違和感を感じてしまった。


最期の、おかんが死にゆくシーンでは、

さすがに涙を止められなかったものの、

そんなに簡単に母を死なせていいのか、

もっと、お互い色んな (死への) 抵抗が

あるんやないかとか、思ってしまった。


日本の文化・背景でリメイクして欲しい。

その通り作れなくても。

おかん役は、八千草薫、息子役は、役所広司 あたりで。


★★★▲☆





2014.1.13

ジャッジ!

妻夫木聡主演の映画 『ジャッジ!』 を観てきた。

監督は、CMプランナー、ディレクターの永井聡。

脚本は、ソフトバンクのCM 「ホワイト家族」 を

手がけている 澤本嘉光。

面白いと評判だったので、期待して笑いに行った。

抱腹絶倒とまでは、いかないが、

十分 笑わせてもろた。

こういう笑いは、好きやな。

三谷幸喜とは、ちょっと違う笑い。

もっと自然というか、日常にありそうな笑い。

ストーリーは荒唐無稽だが、

コメディなので そんなこと気にならない。

共演は、北川景子、豊川悦司、リリー・フランキー、

鈴木京香、荒川良々。

ちょい役で、風間杜夫、加瀬亮、竹中直人、玉山鉄二、

松本伊代、木村祐一、新井浩文、でんでん 等 豪華。

妻夫木聡は、落ちこぼれの広告マン、という役なのだが、

どうもルックスが良すぎて、落ちこぼれに

見えないのが難点やな。

その妻夫木の、胡散臭い上司役の豊川悦司。

これは、ええね。

思っきり、胡散臭い。

あと、窓際に追いやられている、リリーフランキーも、

ブラジル人役の荒川良々もグッド。

ほんで、笑いだけでなく、

ちょっとグッとくるシーンもあって、

最後は、ハッピーエンドです。

始めはキツく見える 北川景子 が、

最後には可愛く見えるのも良い。


★★★★▲





2014.1.17

トリック劇場版 ラストステージ

『トリック』 の劇場版を 劇場で観るのは

本作が初めて。

過去の作品は、テレビで観たことがあるものの

それとて、最初から最後までちゃんと

観たかどうか自信がない。

なんとなく、面白いだろう という印象で

観に行ったのだが、「ラスト」 とされる

本作は、私にはイマイチだった。

『トリック』 ファンには好評のようだが、

私のように、そうではない人にとっては、

バカバカしいも 度が過ぎると くだらない、

ということか。

バカバカしいは、バカバカしい程度で

収めてこそ、笑えるのかも。

ラストということだが、

仮に次回作があっても劇場では観ないな。


★★★☆☆




大脱出

シルヴェスター・スタローンと

アーノルド・シュワルツェネッガー 出演の

脱獄映画。

最近は観なくなったこの手の映画を

久しぶりに鑑賞。

予備知識なしに観たが、

最後の小さなどんでん返しなど、

それなりに面白かった。

でも、2人と いい年なのに もよくやるよね。

アクション俳優だから、一生アクションなのかも

しれないけど、そろそろ、違うタイプの

作品も観てみたい感じ。

荒唐無稽なのはいいが、

引いてみると、人、殺しすぎ、


★★★★☆





2014.1.24

愛のむきだし

園子温 監督の2008年の作品、

『愛のむきだし』 を目黒シネマで、

「名作チョイス」 と称して上映していたので、

昨日、観てきた。

本作、237分、約4時間という長編映画だ。

(途中で おしっこしたなったらどうしょう) と

思っていたが、2時間あたりで10分間の

休憩がありました。

それやったら、「途中休憩あり」 と

書いといてくれたらええのに。

園子温 監督というと、昨年11月初めての

その監督作品 『地獄でなぜ悪い』 を観た。

その作品のことを考えれば分かりそうなものだが、

私はなぜか この 『愛のむきだし』 の

短い紹介文を読んで、シリアスなドラマだと

思ってしまった。

イヤ、シリアスではないとは言わないが、

なんというか、シリアスとギャグと

コメディとナンセンスとラヴ・ストーリーが

ごちゃ混ぜになった作品だった。

4時間は、長く感じなかった。

ということは、そこそこ面白かったという

ことになるのだが、冒頭に

「実話をもとにしています」 というテロップが

出る。

でも、見終わっての感想は、

(これが実話? まさか全部じゃないでしょ) と

いうものだ。

なんでも、監督の友人の話を基にしたという

ことだが、全部が実話だとは信じがたい。

「ありえない」 と言ってしまうのは、

危険だが、シュールすぎる。

ま、あるシーンでは、

十分ウルウルさせられんだけどね。


主演は、西島隆弘と満島ひかり。

西島は、知らなかったけどシンガーらしい。

坂井真紀主演の 『スープオペラ』 に

出ていたようだが、印象がない。

満島のことは、私は 『悪人』 で認識したのだが、

本作は 『悪人』 の前年の作品。

で、この2人、西島と満島が良い。

ほかの出演者は、渡部篤郎、渡辺真起子、安藤サクラ ら。

監督に言わすと、ラヴ・ストーリーなのだそうだが、

強烈な描き方なので、好き嫌いは分かれるだろうな。

私としては、4時間は長くなかったけど、

また観たいかと問われると、ノーやなぁ。

愛について、描かれているのは分かるが、

愛とエゴの違いが分からなくなる。


★★★★☆





2014.2.1

7番房の奇跡

映画の日、ロードショー作品を2本鑑賞。

1本目は、韓国映画 『7番房の奇跡』 を観てきた。

そんなにたくさん観てないけど、この数年観たものでも

『母なる証明』 『息もできない』 『拝啓、愛しています』

『王になった男』 など、韓国映画はパワフルやね。

本作も。

刑務所に子供が入り込むという、

状況的にはありえない話で、

言ってみれば大人のファンタジーなのだが、

それはただの設定に過ぎず、

全くのヒューマンドラマ。

塀の中ではなく、塀の外、

しかも警察関係者に悪人がいる。

塀の中にいる人々は皆心優しい。

まあ、このお話で泣けない人はいないでしょ、

という言わばずるい設定なのだが、

分かっていても泣けます。

主演のリュ・スンリョンが素晴らしいし、

その娘役カル・ソウォンがこれまた素晴らしい。

韓国の芦田愛菜的な人でしょうか。

他の出演者も皆GOOD。

そして、女優が美しい〜!


★★★★▲


7番房の奇跡 オフィシャルサイト




ラッシュ プライドと友情

2本目は、2月7日が封切りなのだが、先行上映で

『ラッシュ プライドと友情』 を観てきた。

F1レーサー、ジェームス・ハントとニキ・ラウダの

F3時代から、F1の1976年のレースまでの

実話に基づいた物語。

全く対照的な2人がライバルとして、

文字通り命を賭けてしのぎを削る。

カーレースの映画ではなく、ヒューマンドラマとして

描かれているので、F1に詳しくなくても

十分に楽しめる作品だ。

カーレースなんて、

子供がチャリンコで競争していたのが、

大人になって、膨大なお金をかけ、ほんでマジで

やっているという、考えてみれば、

子供じみたゲームだ。

が、そのゲームはある男どもにとっては、

命を賭けるに値する。

命に代えても手に入れたい勝利なのだ。


実は、結構繊細なのだけど、情熱的で、

楽しければええやないかという、破天荒な生き様の

命知らずのジェームス・ハント。

一方、めちゃくちゃ理知的で理性的で、

それでいて素晴らしい勘とテクニックの持ち主、

ニキ・ラウダ。

2人の手に汗握る攻防と人間ドラマが見所。

ここからややネタバレ。

印象的なのは、

結婚生活を潰しても走り続けるジェームスに対し、

雨の富士スピードウェイで、レース中、

妻の姿を見、「危険すぎる」 と、レースを棄権するニキ。

何もかもが美しいほどに対照的なのだ。

結構な迫力です。

ぜひ、劇場で!


★★★★★


RUSH オフィシャルサイト





2014.2.5

ソウルガールズ

実在した、オーストラリアのアボリジニの

女性ボーカルグループ 「サファイアズ」 の物語。

夢と希望と音楽と差別と戦争と恋の物語。

アボリジニの差別の歴史について何も知らなかったが、

白人との間に生まれた肌の白い子供を

政府が誘拐みたいにして連れ去り、白人として

育てようとしたことなど、えげつない差別の

歴史があったようだ。

大昔のことちゃうで。

つい、50年ほど前のことやで。

人間てホンマにひどいことしよる。


時代は、ベトナム戦争時。

1968年、アボリジニの居留地に住んでいた、

姉妹といとこ4人組が、ベトナムにいるアメリカ軍の

慰問のオーディションに受かり、ベトナムへ

行くというのが話の大筋なのだが、

もともと、カントリー・ミュージックを

歌っていた彼女たちに、マネージャーを

買って出たデイヴは、ソウル・ミュージックを

歌わせる。

ベトナムでは、ソウルなのだ。

確かにベトナムにカントリーは似合わんよな。

(そのデイヴは、アイルランド系で、

アイルランドといえば、『コミットメント』 という

ソウル・ミュージックの映画があったよな。)

で、なんでオーストラリアからベトナムへ慰問? と

思っていたら、ベトナム戦争時、オーストラリア兵も

5万人弱派兵されていたらしい。


音楽は、サム&デイヴ、ウィルソン・ピケット、

フォー・トップス、スモーキー・ロビンソンなど、

あの頃のソウル・ミュージックです。


アボリジニ版 『ドリームガールズ』 という

感じもあるが、私はこちらの方が好きだな。

東京では、(現在) 2つの劇場でしか上映していない。

私が観たのは、ヒューマントラストシネマ有楽町で、

60席ほどの小さな劇場だ。

今日は1000円のサービスデイだったこともあってか、

ほぼ満席だった。

良い映画だから、もっと多くの劇場でやればいいいのになぁ。


★★★★▲


ソウルガールズ  オフィシャルサイト





2014.2.6

訃報
フィリップ・シーモア・ホフマン


俳優フィリップ・シーモア・ホフマンが、

遺体で発見されたらしい。

フィリップのことは、1999年の映画 『マグノリア』 で、

トム・クルーズ演じるフランクの父親アールの

付き添い看護士役で知った。

その映画では、そんなに出番が多かったわけではなかったと思うが、

とても優しい看護士を演じていた印象がある。

2005年の『カポーティ』 でアカデミー賞主演男優賞を

受賞したが、残念ながら これは観ていない。

印象に残っているのは、2007年の『その土曜日、7時58分』。

きっつい映画やったなぁ。

昨年は、『ザ・マスター』 で新興宗教のカリスマを演じた。


2日 (現地時間)、友人宅のバスルームで倒れているのを

発見されたらしいが、腕には注射器がささったままだったという。

死因は、ヘロインの過剰摂取という発表もあったようで、

詳しいことは分からないが、どうもドラッグがらみのようだ。

46歳。

ええ役者やったのに残念やなぁ。

合掌。





2014.2.11

ウルフ・オブ・ウォールストリート

アカデミー賞主演男優賞他主要5部門で

ノミネートされている映画、

『ウルフ・オブ・ウォールストリート』 を

観てきた。

主演は、『アビエイター』 『ブラッド・ダイヤモンド』 で

主演男優賞にノミネートされながら、いまだオスカーを

手にしていないレオナルド・ディカプリオ。

監督は、オスカー監督 マーティン・スコセッシ。

ディカプリオとスコセッシ監督は、

5度目のタッグ。

本作、20代で 億万長者に上り詰めた、

実在の株式ブローカー、ジョーダン・ベルフォート の物語。

結局、違法の取引の末、ジョーダンは、

逮捕されるのだが、どうも出所後も、

この映画の原作やセミナー講師などで、

儲けて (?) いるようだ。

ただし、賠償金返済がめちゃくちゃあるようなので、

稼いでも稼いでも足りないのかもしれない。

映画を観れば分かるとおり、何もなしから

成り上がったジョーダンは、カリスマだ。

金儲けに狂った男の話と言ってしまえば

それまでだが、どうもこのジョーダンという男、

憎めないのがミソ。

小市民には理解できない、

金とドラッグとセックスと狂気のお話。

でも、179分は長く感じない。

ちなみに20代で年収4900万ドル(約49億円)を

稼いだジョーダン、私と同じ年 (1962年生まれ) です。


★★★★☆





2014.2.17

小さいおうち

山田洋次 監督の映画。

原作は未読だが、直木賞に輝いた中島京子の

同名ベストセラー小説ということで、

昨年の山田監督の 『東京家族』 が、イマイチだった

私としては、なんとか挽回を願いたいところだった。

う〜ん、なんというか、『東京家族』 ほど

ガッカリはしなかったが、ちょっと微妙やなぁ、

というのが感想。

おそらく、原作は素晴らしいのだろう。

残念だったのは、

昭和10年代が舞台なので、国際情勢や、

戦争のことなど、時代背景の説明が不可欠となり、

どうしても、説明臭いセリフが多くなってしまうこと。

芸術家タイプのええ男・板倉を演じるのが、

吉岡秀隆 で、私としては物足りないこと。

それに、この時代にこんな髪型の男、おったんか?

松たか子は、ええねんけど、この役なら、

もうちょっと いやらしく演じて欲しかったな。

それから、倍賞千恵子演じるタキの回想が

終わったあとのシーンは、果たして

必要だったのだろうか、とも思った。

奥様と旦那さんが防空壕で云々、というところで

終わっても良かったんちゃうか、と。

若い頃のタキを演じる黒木華は、いいね。

田舎から出てきた、素朴で真面目な娘を

好演している。


ひとことで言ってしまうと 不倫の映画。

妻が自分の部下と姦通しているのに、

旦那が気がつかないところなどは、

落語の 「紙入れ」 を思い出してしまった。

一番 間抜けなのは、旦那さん。


残念と書いたが、物語としては、面白い。

そして、2つの謎が残っている。

まず、(私の勘違いでなければ)

板倉が好きだったのは、

タキでは、なかったのか?

板倉のスケッチブックに書かれていたのは、

タキだったように見えたのだが・・・。

だから、奥様は嫉妬で火が付いたのか?

もう一つ、年老いたタキの部屋の壁に

掛けられていた赤い屋根の家の絵画は、

板倉が書いたものではないのか?

前半のタキの遺品を整理するシーンで、

小林稔侍が、よく見もせずに

「要らない (捨てる)」 と言うのだが。

この2つは、確認したいけど、

もう一度劇場で観るほどではないので、

そのうち、DVDで。


★★★★☆




(追記)

「若い頃のタキを演じる黒木華は、いいね」 と書いたが、

深夜のニュースで、黒木が ベルリン国際映画祭 の

最優秀女優賞 (銀熊賞) を受賞したと報じていた。

日本人では、4人目で最年少 (23歳) 受賞とのこと。





2014.2.19

光にふれる

予告編を観たときには、

さほど食指が動かなかったが、

なんとなく観たくなって観てきた、

映画 『光にふれる』。

「台湾出身の盲目のピアニスト、

ホアン・ユィシアンの実話を基に描く感動作」 との

触れ込みだが、たっぷり泣く準備をしていくと、

肩すかしをくらうかも。

いや、良くなかったわけではない。

ただ、全盲ピアニストの感動のサクセス・ストーリーの

ような、映画ではない。

確かに主人公ユィシアンは、あるトラウマに

捕われており、それを乗り越えていく展開に

なっている。

主人公が全盲なので、

このストーリー展開になるのだと思うが、

なんだろう、ピュアなラブ・ストーリーという感じ。

そのラブ・ストーリーに 「光にふれる」 という

テーマを重ね合わせている。

「光とは何か」 は、映画を鑑賞して

ゆっくりと自分自身で探ることなのだろう。


主役のユィシアンを演じるのは、

実際にプロのピアニストとして活躍している、

ホアン・ユィシアン ご本人。

素朴な演技が良い。

ヒロインを演じるのは、台湾の女優、

サンドリーナ・ピンナ。

フランス人の父と台湾人の母とのハーフらしいのだが、

この人が美しい。

ダンサーを目指す役だが、そのダンスシーンは、

いつまでも観ていたい程、美しい。

そのダンスの講師に ファンイー・シュウという、

ダンサーが登場するが、その人のダンスにも目を奪われる。

台北とニューヨークを拠点に活躍する国際的ダンサーらしい。


めちゃくちゃ感動するような、ドラマティックな

作品ではないが、私は好きだな。

じわ〜っとくる感じ。

印象的なシーンがいくつもあった。

例えば、ユィシアンのお母さんが、

ユィシアンを一人、大学に残して去るシーンなどは、

涙なしでは観られない。


ちょっと、気になったのは、

サンドリーナ・ピンナ演じるシャオジエが、

ドリンク・ショップでアルバイトしているのだが、

お店に彼氏が来た時と、母親が来た時の2回、

お客さんを ほったらかしにするシーンがある。

日本では、考えられないことだが、

台湾では、あれが日常なのだろうか。

お客さんは、怒らないのだろうか。

映画の内容とは、直接関係ないが。


台湾・香港・中国 制作。

邦題の 「光にふれる」 は、微妙だが、

言いたいことは分かる。

原題は 「逆光飛翔」、

英語のタイトルは 「Touch Of The Light」。


何事も、最初の一歩を踏み出すのに一番勇気がいる、

でもその一歩を踏み出すことこそが、

自分を生きることなのだな。


光にふれる 公式サイ


★★★★☆





2014.2.23

大統領の執事の涙

実在したホワイトハウスの黒人執事ユージン・アレンの

人生をモデルに、公民権運動など

アメリカの現代史重ね合わせた映画。

フォレスト・ウィテカー演じる、主人公セシル・ゲインズは、

綿花畑で働く奴隷の息子として生まれた。

奴隷の暮らしを飛び出し、その後、

苦労して真面目に働いて、ホワイトハウスの

執事にまでなり、約30年にわたり、

7人の大統領に仕えた。

本作は、大統領の執事セシルの物語であると同時に

彼の家族の物語でもある。

セシルの長男は、白人に仕える父親のことを

誇りに思えず、公民権運動に身を投じる。

その父と息子の確執と葛藤とともに

ストーリーは展開される。


映画 「42」 (黒人初のメジャーリーガー、

ジャッキー・ロビンソンの物語) でも、

アメリカの黒人差別の酷さが描かれていたが、

本作でも然り。

アメリカでは、つい、50年ほど前まで、

レストランやバスで、白人と黒人と席が分けられていた。

人権を奪われながら、ベトナムでは、その国のためにと

命を落とす。

実際の黒人差別は、

映画で観る以上に想像を絶するほど、

ひどいことがなされて来たのだろう。

黒人が大統領になるまでには、

たくさんの人の犠牲があったのだ。

オバマが大統領になったことの凄さを

改めて感じ入った。


本作には大統領が何人も登場するが、それも面白い。

アイゼンハワー大統領は、ロビン・ウィリアムス、

ケネディ大統領は、ジェームズ・マーティン、

ジョンソン大統領は、リーヴ・シュレイバー、

ニクソン大統領は、ジョン・キューザック、

レーガン大統領は、アラン・リックマン、

ナンシー・レーガンに、ジェーン・フォンダ。


エンドロールで、レニー・クラヴィッツ、

マライア・キャリーの名前を発見。

(えっ?どこに出てたん?) と思ったが、

レニーは、ホワイトハウスの執事仲間で、

マライアは、セシルの母親として。

映画を観ているときは、気がつかんかったけど、

確かにそうやわ。


音楽は、たっぷりソウル・ミュージックが聴ける上、

James Brown のモノマネがあったり、

SOUL TRAIN の映像も登場して楽しめる。


映画は、オバマが大統領になり、

ハッピーエンドの様に終わるが、

実際は終わりなどない。

私たち人間には、あらがうことの出来ないような、

優劣の心がある。

優劣は、差別を生む。

肌の色によって、トイレを分けるような

時代に逆行することは、ないだろうけども、

私たちの心の中には、闇があることを

忘れてはいけないと思った。


★★★★☆


大統領の執事の涙 公式サイト





2014.3.7

魔女の宅急便

宮崎駿監督のアニメ版は、観ていないので、

全くストーリーも何も知らず実写版 「魔女の宅急便」 を

観てきた。

ファンタジーやということぐらいは、分かって観たのだが、

これは、大人の観るもんちゃうなぁという感じだった。

観たあとで調べてみたら、これって、

原作は児童文学やってんね。

小学生ぐらいの子供なら十分楽しめそうだが、

50過ぎたおっさんには少々退屈でした。


13歳の魔女の修行のお話。

その主役の魔女キキを演じるのが、

全国オーディションで選ばれたらしい、小芝風花。

ちょっと未完成な感じがしたけど、

大人になったら、ええ女にになりそうな女優さん。

完全にエロじじい目線ですが。


宮沢りえが、ちょっとだけ出てる。

尾野真千子は、最近よう出るようになったなぁ。


★★▲☆☆





2014.3.8

日本アカデミー賞

昨日は、第37回日本アカデミー賞の授賞式だった。

気になるのは、作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、

助演男優賞、助演女優賞あたりだが、

それらの優勝賞受賞作は、下記の中の5〜6作品だった。

「凶悪」
「少年H」
「そして父になる」
「東京家族」
「舟を編む」
「利休にたずねよ」
「清須会議」
「許されざる者」
「武士の献立」
「さよなら渓谷」
「探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点」

その中から、それぞれ最優秀○○賞が決まる。

結果はこの通り。

最優秀作品賞:「舟を編む」

最優秀監督賞:石井裕也(「舟を編む」)

最優秀主演男優賞:松田龍平(「舟を編む」)

最優秀主演女優賞:真木よう子(「さよなら渓谷」)

最優秀助演男優賞:リリー・フランキー(「そして父になる」)

最優秀助演女優賞:真木よう子(「そして父になる」)


「舟を編む」 は、作品賞、監督賞、主演男優賞、

脚本賞、録音賞、編集賞の6部門で受賞。

確かにええ映画でした。

真木よう子は、主演・助演のダブル受賞。

ええよなぁ、真木よう子、好きやなぁ。

主演・助演のダブル受賞は、1979年の大竹しのぶ以来

35年ぶりらしい。

助演男優賞も 「そして父になる」 のリリー・フランキー。

真木よう子とリリー・フランキーは、

映画の中で夫婦役を演じていた。

夫婦で受賞というのも珍しいのではないかな。

リリー・フランキーは、「凶悪」 でも優秀助演男優賞を

受賞していて、最優秀は 「そして父になる」 で受賞。

「そして父になる」 のリリーも良かったが、

「凶悪」 の方が、インパクト大やったな。


今年は、上に書いた優秀賞作品は全て鑑賞済み。





2013.3.10

昨年も今頃、勝手に 「アカデミー賞祭り」 と称して、

アメリカのアカデミー賞受賞作、ノミネート作を

1日にハシゴして観た覚えがあるが、

今年もやってきました 「アカデミー賞祭り」。

というわけで、昨日、「ダラス・バイヤーズクラブ」 と

「それでも夜は明ける」 の2本を観てきた。




ダラス・バイヤーズクラブ

アカデミー賞6部門にノミネート、

マシュー・マコノヒーが主演男優賞、

ジャレッド・レトが助演男優賞 を受賞。

1985年、HIV 陽性で余命30日と医師から

宣告された実在した男の物語。

当時は、HIV に感染するのは、同性愛者だけだと

間違った認識をされていた時代だ。

「エイズ」 という言葉が日本でも

一般的になったのは、ちょうどその頃だったと思う。

主役のロン・ウッドルーフを演じたのが、

21キロもの減量をして、エイズ患者になりきった

マシュー・マコノヒー。

同じく、エイズで同性愛者のレイヨンを演じるのが、

これまた激やせした ジャレッド・レト (18キロ減量)。

この2人が、主演&助演のダブル受賞を果たした。

(ここから ネタバレ注意)

HIV の宣告を受けるまでは、結構、ふしだらな

ええかげんな生活をしていたロンは、

「生きたい」 との思いから、

メキシコまで薬を手に入れに行く。

そして、アメリカでは未承認だが

効果のある薬を国内に持ち込み、会員を募り、

その薬を 会員=患者たち にさばき始める。

アメリカの病院では、毒性の強い薬 AZT が

使われ始めていた頃のことだ。

あまり効き目がなく副作用が強いことを

知っていて、処方する医者や、

金儲け主義の製薬会社の倫理観も疑ってしまうが、

患者が求めているにもかかわらず、

その薬品を承認しようとしない政府も困ったものだ。

結局、ロンがやっていたことは、違法だったので、

取り締まられてしまう。

そしてロンは、奴らと戦うことになる。

ロンが裁判に負けて、オフィスに戻ると、

大勢の仲間たちが彼を拍手で迎えるシーンがいい。


「生きる」 「生きる権利」 というものを強烈に描いた作品で、

「死なないことに必死で、生きてる気がしない」 という

セリフが印象的。

ロンは結局、余命30日と宣告されてから、

7年生きたらしい。


オフィシャルサイト には、

こんなことが書いてあった。

 1992年、脚本家のボーテンは、
 ロン・ウッドルーフに実際に会い、
 いつか自分の話が映画になったらどう思うか訊ねた。
 「もしそうなったら、ぜひ観てみたいね。
 あらゆる人に知ってもらいたいし、
 独自に学んできた政府のこと、
 医薬機関のこと、エイズのことを学んでほしい。
 やってきたことに意味があったんだと思えるといいな」と
 ロンは答えた。
 それが20年を経てようやく実現したのだ。



★★★★▲




それでも夜は明ける

アカデミー賞9部門にノミネート、

作品賞、助演女優賞、脚色賞の3部門を受賞。

監督は、スティーブ・マックイーンで、

「大脱走」 「パピヨン」 のあのマックイーンと

同名だが、もちろん別人で、アメリカ人ではなく、

黒人のイギリス人。

まだ44歳と若い。

黒人監督による作品賞は、初めてらしい。


これは、ヘビーな映画だった。

1841年、アメリカで奴隷制度が合法だった時代、

奴隷ではない 「自由黒人」 のソロモンが、

ある白人にだまされ、奴隷として売られてしまう。

当時、自由証明書というもので、自由が認められていた、

「自由黒人」 という制度があったことも

知らなかったが、多くの白人にしてみれば、

黒人は黒人でしかなかったのだろう。

いくら、自分は自由黒人だと主張しても、

ただ殴られるだけだった。

ソロモンは、それから12年間、

差別と暴力に苦しめられながら、

奴隷として生きることになる。

それでも、妻や子供に会いたいと、

けっして希望を捨てなかった彼は、

ついに信用できる白人にめぐり会う。


この映画を観ると、当時の奴隷制度が

どんなに酷かったかが分かる。

奴隷は人間ではなく、主人の家畜・所有物として

扱われ、仕事が不十分だとムチを打たれるのは、

神の意思なのだという。

全ての白人がそんな風ではなくて、

中には奴隷を大切にするご主人様もいるし、

えげつないのは、一部の人たちなのだけど、

例え暴力をふるわなくても奴隷は奴隷で、

自由などない。


原作は、自由を取り戻したあとの、

ソロモン・ノーサップが1853年に発表した

「Twelve Years a Slave」。

映画の原題も同じく。

「Slave」 は 「奴隷」 の意味。

なんで 「それでも夜は明ける」 なんて、

あまっちょろいタイトルにするんやろ。

映画の中で、ソロモンは解放されたけど、

いっこも夜は明けとれへんで。


それにしても、人間っちゅうのは、

ホンマにえげつない生き物やなぁと思う。


この映画について、ウィキペディアに

こんなことが書いてあった。

 俳優のサミュエル・L・ジャクソンは
 「『それでも夜は明ける』こそ、アメリカの映画界が
 人種差別に真摯に向き合おうとしていないことを
 証明している。」と述べた。
 その根拠として 「もし、アフリカ系アメリカ人の
 監督が本作を監督したいといっても、
 アメリカの負の歴史を描くことに
 スタジオが難色を示すであろうこと」を挙げた。



「42」 や 「大統領の執事の涙」 など、黒人差別を

描いている作品はあるけど、奴隷制度のことを

描くことにアメリカは抵抗があるということか。

でも、本作はアメリカ映画。

アフリカ系アメリカ人監督作品ではないけれど、

歴史上の恥部を世界に発信できる、アメリカの良心と勇気、

表現する自由は素晴らしいと思う。

と、同時に、

「Twelve Years a Slave」 を出版したあと、

ソロモン・ノーサップが、奴隷解放のための

活動をしていたらしいが、

その彼が、いつ、どこで、どういう状況で死んだのかが、

分からないというのは、何か不気味だ。


★★★★▲





2014.3.15

バックコーラスの歌姫 (ディーバ) たち

昨年春、「シュガーマン」 というドキュメンタリー映画を

3度観に行った。

3度も観に行くほど良かったからではなく、

1度目2度目は、どうしようもない睡魔に襲われ、

まともに観ることができなかったからで、

3度目にして、ようやく眠らずに全編を鑑賞できたのだ。

それからは、映画館で起きていられないような、

激しい睡魔に襲われることはなかったのだが、

先日、久しぶりにやってきよった。

「バックコーラスの歌姫 (ディーバ) たち」 という

これまた音楽関連のドキュメンタリー映画を

観に行ったのだが、始まって10〜15分ぐらいで

これまた、キョーレツな睡魔に襲われた。

寝不足ではなかったし、夕食も軽く済ませてから

1時間半ほど過ぎていたが、

映画が始まる前に売店で飲んだビール (小瓶) が

いけなかったのか、どうにもこうにも、

目を開けていられない、えげつない睡魔だ。

結局、90分の映画なのに30〜40分、

気絶状態だった。

ドキュメンタリー映画って、

眠たくなる何かがあるんやろか。


さて、この映画は、東京では昨年12月に公開され、

すでに上映を終了していた。

私は、本作のことを知らなかったのだが、

アカデミー長編ドキュメンタリー賞を受賞し、

都内いくつかの劇場で 再上映しているのを知り、

ぜひ観てみたいと思って、渋谷の映画館まで観に行ったのだ。

なのに寝てしまった。

こうなると、どうしてもちゃんと観たい。

それで、今日もう一度、今度は六本木まで観に行ってきた。

今度は、全く眠くなることもなく、集中して真剣に鑑賞。


前書きが長くなった。

本作は、バック・シンガーにスポットを当てた

ドキュメンタリー。

バック・シンガーとは、スターの後ろで歌ってる、

コーラスの人たちのこと。

出演するバック・シンガーは、

ダーレン・ラヴ、メリー・クレイトン、リサ・フィッシャー、

タタ・ヴェガ、クラウディア・リニア、ジュディス・ヒル 等。

正直、名前を聞いても知らない人たち。

見覚えがあったのは、マイケル・ジャクソンの

「This Is It」 で マイケルとデュエットしていた

ジュディス・ヒルぐらい。

(この人、東洋系っぽいと思てたら、日本人のクォーター。)

映画は、彼女たちへのインタビュー、歌唱シーン、

そして、彼女たちを起用したプロデューサーや

アーティストのインタビューで構成される。

インタビューに登場するアーティストは、

スティーヴィー・ワンダー、ブルース・スプリングスティーン、

ミック・ジャガー、スティング、ベッド・ミドラー、

パティ・オースティン、シェリル・クロウ 等。


1960年代、白人がバック・シンガーだった時代から、

黒人のバック・シンガーの時代がやってくる。

白人は、お上品に楽譜を読むかのように歌うのに対し、

黒人のそれには、躍動感があった。

とはいえ、誰かのバックで歌うときは、

バック・シンガーは自分の個性を主張してはならなかった。

有名なプロデューサー、フィル・スペクターは、

ダーレン・ラヴが歌った曲を別のグループの曲として

発表、それが全米ナンバー1となる。

当時、そういう話は珍しいことではなかったようで、

バック・シンガーは、悔しい思いすることも

多かったようだ。

ダーレン・ラヴは、3度もそういう目に遭い、

一時期、音楽業界を離れるが、後に戻っている。

これは、ある意味、業界の暴露映画でもあるなと思った。

これを見る限り、フィル・スペクターって

ひどい奴やもん。

ビジネス的には、それで成功なのかもしれんけど。


そのうち、イギリスのロック・アーティストたちが、

彼女らをバック・シンガーとして積極的に起用し出す。

ローリング・ストーンズ、ジョー・コッカー、

デビッド・ボウイ、ジョージ・ハリスン等だ。

(私は今日まで、ジョー・コッカーのことを

アメリカ人だと思っていたら、イギリス人だった。)

彼らは、バック・シンガーたちに、

「そのままで良い」 と自由に歌わせたのだ。

そういう中、ソロを目指すバックシンガーもいた。

ソロ・デビューできたとしても、そのポジションを

キープし続けるのは、並大抵のことではない。


バック・シンガーとセンターで歌うソロ・シンガーとは、

ステージでの距離こそ近いが、その音楽への向き合い方や

生き方には、大きな隔たりがある。

ソロでやっていけるかどうかは、

「才能より運だ」 とスティングは言う。

そうなんだろうな。

歌が上手い人なんていっぱいいるんやろな。

その中で、第一線でやるのは、何かを掴んだ人、

あるいは神に選ばれた人なんだと思う。

一方で、バック・シンガーの彼女たちを観ていると、

ソロとしてスポットを浴びていなくても、

音楽的には大変優れていて、才能もあるのが

よくわかる。


今まで、バック・シンガーについて

こんな風に描かれたことは なかったんだろう。

アカデミー賞受賞も頷ける、素晴らしい内容だった。

音楽業界の裏話や、ライヴやレコーディングの

エピソードなど貴重な話も満載。

やっぱり、2回目に観に行って良かった。


「あなたが授かったあなたの才能は、『あなた』 です」 という

言葉が、心に残った。


★★★★▲


バックコーラスの歌姫 (ディーバ) たち オフィシャルサイト





2014.3.16

オール・イズ・ロスト
最後の手紙


ロバート・レッドフォード 主演の映画、

「オール・イズ・ロスト」 を観てきた。

(ネタバレです。)

主演と書いたが、この映画、ロバート以外

誰も出てこない。

インド洋を単独で航海中、ヨットが漂流していた

コンテナにぶつかり、故障する。

無線やラップ・トップは水浸しでダメになる。

それから、嵐に巻き込まれ、

ヨットは大きなダメージを受け、沈没。

救命ボートでの漂流が始まる。


この手の映画でありがちな、

主人公の過去の回想など一切なし。

状況は、船上のみ。

観客は、ロバート演じる男が、一体何者なのか

知らされずに、物語は進んでいく。

名前さえ分からない。

ヨットに乗って、航海するぐらいだから、

お金持ちなんだろうとか思うが、

その程度の推測のみ。

おまけに、余計な (説明のための) 独り言もなし。

冒頭、誰かに宛てて書いた手紙を読む声があったが、

そのあと ずっとセリフなし。

彼が声を出すのは、無線で SOS を言う時と

「Fuck!」 と 「Help me!」 ぐらい。


こんなにストイックに作られた映画は、

なかったんちゃうやろか。

ここまでくると、潔くて良い。

最後は、助からないのかと思ったが、

やはり、そこは、アメリカ映画。

あれで、助かれへんかったら、

めちゃ後味悪いもんな。


漂流という意味では、最近観た 「ゼログラビティ」 や

「ライフ・オブ・パイ」、サバイバルという意味では、

「キャスト・アウェイ」 とも 違う描き方。

淡々と描いており、どちらかというと、娯楽性は低い。

登場人物が少ないという点では、

「ゼログラビティ」 に近いけど。

ロバート・レッドフォードは、今年8月で78歳。

おそらく撮影時には、76歳だったのでしょうが、

かなりハードな役を体当たりで演じている。

なんとなく、顔つきが変わったように感じたが

気のせいか。

目つきが、何度も ウィレム・デフォー に見えたよ。


彼は 「全てを失った」 けど、

何かを獲得したように感じた。


★★★★☆


オール・イズ・ロスト オフィシャルサイト





2014.3.22

LIFE!

予告編を観て、(これは観よう) と思っていた、

ベン・スティラー監督&主演の映画、

LIFE!」 を観てきた。

面白かったし、とても ええ映画でした。

音楽もいいし、景色も美しいし、

ストーリーも良かった。


「ほんの少し、勇気を持てば人生は変えられる。

あなたが探している、その大切なものは、

すでにあなたの手中にあるんだよ」 という

メッセージが、ストレートに入ってくる。

ベン・スティラーは、もちろん良かったが、

カメラマン役でちょびっとしか出てこない

ショーン・ペン が、めちゃくちゃ渋くてカッコええ。

これは、私的には久々の大ヒットだ。

原題は、” THE SECRET LIFE OF WALTER MITTY ”


★★★★★




ジョバンニの島

今日は、ロードショー作品を2本鑑賞。

2本目は、(観なきゃ) と思っていたアニメ、

ジョバンニの島」。

北方四島のひとつ、色丹島に住んでいた少年の

終戦間近から戦後数年間の物語。

実話を基にしているとのこと。

ちょっと 「火垂るの墓」 を思い出すような物語。

「北方四島は日本の領土」 という静かなメッセージを

感じるが、過度な政治色はなく、

本当にあったであろうことを 淡々と描いている。

戦争に翻弄される人々を淡々と描くことで、

戦争の無意味さが浮き上がってくる。

終戦後、突然やってきたソ連兵とその家族。

子供達に戦争は関係なく、ソ連の子供と日本の子供が

仲良くなるくだりは、大人たちは何のために、

戦争をするのか、領土を奪い合うのかと

考えさせられる。


実際には、かなり酷いことがあったと何かで読んだことがある。

もちろん、家を奪い、島を奪ったことは言語道断だが、

ソ連兵は、さほど非道には描かれていない。

そのことで、世界に何かを訴えることが可能になるのかもしれない。


エンドロールを見てびっくりしたが声優が豪華。

市村正親、仲間由紀恵、柳原可奈子、北島三郎、

ユースケ・サンタマリア、八千草薫、仲代達矢 ら。

最近観たアニメの中では一番だな。


★★★★▲





2014.3.26

偉大なる、しゅららぼん

濱田岳、岡田将生の出演する映画、

「偉大なる、しゅららぼん」 を観てきた。

原作は、漫画かと思ったら、

万城目学という人の同名小説らしい。

予告編を観て、おもろいんちゃうかと思っていたが、

期待したほど、笑わしては くれんかった。

ファンタジーなので、荒唐無稽なのも奇想天外なのも

もちろんOKなのだけど、何か物足りないねんな。

背景がよう分からんというか。

前半、ちょっと退屈してしもたし。

濱田岳 (25歳)、岡田将生 (24歳)、渡辺大 (29歳) が、

高校1年生という設定もちょっと無理があるなぁ。

一番笑ったのは、通りすがりの人の役で 浜村淳が出てきて、

「ありがとう」 って言うた時。

でも、これ、大阪の人しか分からへんのちゃうか?

その他の出演は、深田恭子、笹野高史、貫地谷しほり、

佐野史郎ら。


★★★▲☆





2014.3.30

アジョシ

ちょっと前に深夜のテレビで 「アジョシ」 という

韓国映画の紹介をしていた。

2010年に韓国で大ヒットした作品で、

日本公開は、2011年。

面白そうなので、先日、DVD をレンタルして観た。

一人の孤独な男と少女の物語なので、

そのテレビ番組の中では 「『レオン』 のような」 という

言葉が出ていたが、「レオン」 より、

生々しく痛々しい シーンが多い。


主演は、「母なる証明」 の ウォンビン。

臓器売買組織、麻薬組織、警察と3つの組織が

出てくるが、ウォンビンが演じるのは、

そのどれにも属さない、テシクという男。

テシクの隣に住んでいた、少女が組織に拉致される。

テシクは、その少女を助け出そうと、命を縣ける。

また、このテシクが強い!(元特殊部隊員なのだ)

タイトルの 「アジョシ」 は、「おじさん」 の意味。

少女がテシクのことをそう呼ぶのだ。

原題は、「THE MAN FROM NOWHERE」。

外国映画に中々 ええ邦題が付かないが、

これは、「アジョシ」 で良いと思う。

邦題と言うてええんかどうか分からんけど。


「アジョシ」、「ヨ」は、ちっちゃい「ョ」 ね。

でないと、大衆食堂みたいになってしまうから。


★★★★☆





2014.4.5

白ゆき姫殺人事件

井上真央、綾野剛 主演の映画、

「白ゆき姫殺人事件」 を観てきた。

原作は、「告白」 「北のカナリアたち」 の湊かなえ。

監督は、「ゴールデンスランバー」 「奇跡のリンゴ」 の

中村義洋。


美人OLが殺害される。

被害者と同期入社の地味な女性社員・城野 (井上真央) が、

事件のあと失踪する。

彼女は、テレビのワイドショーとインターネットで

その犯人にされてしまう。

本当に彼女は、犯人なのか?

というミステリーで、警察は登場せず、

ワイドショーのディレクター・赤星 (綾野剛)の

取材によって、物語は進んでいく。


前半は、赤星が、関係者を取材していくシーンが中心。

赤星は、関係者や城野の同級生などの無責任な発言により、

城野が犯人だと思い込んでいく。

そして、自分だけがその核心に近づいているという

感覚に酔っていく。


本作からはいくつかのメッセージが受けて取れる。

(ネタバレになります。)

まず、「彼らが言っていることは本当なのか?」 という

セリフに象徴される、真実は何かということ。

「記憶は捏造される」 という言葉もあった。

記憶は捏造され、人は自分の都合の良いように話す。

同じ場面を 話す人が変わると、違う話になるというのは、

黒沢映画の 「羅生門」 を思い起こさせた。


そして、次にマスコミとネットへの批判と警告。

ディレクターは、取材した相手の言葉を安易に信じ、

番組を制作する。

ディレクターがツイッターに無責任に

つぶやいたことで、情報が広がっていく。

次にその報道・ネットを見た、一般人への警告。

彼ら (私たち) は、その情報に踊らされ、

これまた 無責任な発言をネット上で繰り返す。

彼女が犯人だといえば、彼女を攻撃し、

犯人ではなかったと言えば、犯人に仕立てた

テレビ局やディレクターを攻撃するといった具合に。


それから、城野の父親が、テレビカメラに向かって

「娘を許してください」 と土下座するシーンがある。

しかし、娘は真犯人ではなかった。

ここは 「あなた (親) が、信じなくてどうするの?」

という風に感じた。

お婆ちゃんだけが 「彼女は犯人じゃない」 と言うのね。


最後に もう一つ。

人生は、心無い人たちに簡単に踏み荒らされるけど、

どんな時にも味方はいるよ、

だから、自棄になったらあかんよ、

という救いのメッセージ。

そこは、感動的。


ワイドショー中心の前半は、

取材を受ける人たちの発言のくだらなさに

ちょっと辟易する面もあり、(これ観るの、

失敗したかぁ?) とまで思ったが、

謎解きが始まってからは、面白くなっていった。


城野役の井上真央が良かったが、

欲を言えば、この役に井上は、可愛すぎる。

あと、タイトル どうよ、って感じ。


★★★★☆





2014.4.10

ONE CHANCE

イギリスのアマチュアが出る国民的オーディション番組

「Britain's Got Talent」 で優勝し、携帯電話ショップの

販売員から一転、プロの歌手になった、

ポール・ポッツの映画 「ワン・チャンス」 を観てきた。

ポールのことは、数年前に ここ でも紹介した。

ストーリーが分かっているので、予告編を観ても

それほど観たいと 思わなかったのだが、

なんとなく観てみようという気になってね。


いやぁ、結末 分かっていても泣くね。

ただ、さえない男が、歌が上手かったので、

栄光を掴んだぐらいに思っていたら、

その背景には、やっぱり色々あるんやね。

人間だもの。(相田みつお風)

でないと、映画にならんわな。


冒頭、子供の時にいじめられながら、成長していく

描き方が、まるで 「フォレスト・ガンプ」 の

パクリのようで、(なんじゃこれは) と思ったが、

大人になってから、「Britain's Got Talent」 に

出場するまでが、結構ていねいに描かれていて、

物語に引き込まれた。

何より、ポールを信じ、ポールを激励し、

ポールのケツを叩き続けた奥さんが素晴しい。

奥さんに ★5つやで。

それにしても、こんなに運の悪い男が、

優勝するというのも、人生 分からんもんやな。

実話がベースやけど、次から次へと災難におうて、

これ全部ホンマかぁ?って思ったよ。


作品中 「Britain's Got Talent」 は、

予選のシーンだけだが、実際の通りに再現されている。

審査員のコメントは、実際の映像を使ったのかな?

この機会に、もう一度、実際の映像の

リンクを貼り付けておこう。

予選編
準決勝編
決勝編
発表編


監督は、「プラダを着た悪魔」 の David Frankell。

映画のタイトル 「ONE CHANCE」 は、

37歳の彼のデビュー・アルバムのタイトルでもある。


★★★★★


ポール・ポッツ、9月に来日するようです。





2014.4.11

ONE CHANCE と
消費税改正の余波


昨日観た 「ワン・チャンス」 に関してだが、

YouTube で、こんなん見つけた。
   ↓
ポールポッツ 感動秘話 No.1

ポールポッツ 感動秘話 No.2

ポールポッツ 感動秘話 No.3


映画のストリートとは、大分 違うねんけどなぁ・・・。

特に、結婚式で妻に歌った曲が違う!

そこは、変えたら あかんのんちゃう?

ま、どっちにしても、ええラヴ・ストーリーに

なっておりますが。


ところで、先日、妻と品川プリンスシネマで 映画を観たら、

夫婦50割 (夫婦のどちらかが50歳以上なら、

ふたりで2000円) の料金が、2200円に値上がりしていた。

消費税分だけの料金改定なら、計算すると

2057円になるのだが、200円の値上げはひどいなぁ。

一般の料金1800円は、値上げをしなかったようなので、

夫婦50割などの割引料金にそのしわ寄せが来たと思われる。

いくつかの映画館をチェックしてみたら、

この4月1日の料金改定は、映画館よって様々なようだ。

毎月1日のサービスデイや、レディースデイの料金を

1000円から1100円に値上げしたところが多いようだが、

夫婦50割や毎月1日の映画サービスデー料金は、

据え置きで、レイトショー料金を値上げしたところもある。

また、「60歳以上はいつでも1000円じゃ」 と

言っていたシルバー料金も1100円になったところが

多いようだが、年齢を55歳以上1100円に

見直した映画館もあるようだ。

増税で 料金体制が複雑になった映画界なのでした。





2014.4.17

サンブンノイチ

品川ヒロシの監督 第3作 「サンブンノイチ」 を観てきた。

1作目 「ドロップ」 は、観ていない。

2作目 「漫才ギャング」 は、先日、テレビで放映していたので、

チラッと観たけど、ちゃんとは観ていない。

さて本作、出演は、藤原竜也、田中聖 (元KAT-TUN)、

小杉竜一 (ブラックマヨネーズ)、中島美嘉、窪塚洋介、

池畑慎之介ら。

藤原竜也は、良い意味でも悪い意味でも藤原竜也。

田中聖のことは、知らんかったが、中々アクションが良い。

小杉竜一は、ほとんど漫才の時と変わらずやね。

品川の映画なので、もっと笑わせてくれるんかと

思ったら、笑いは クスッていう程度。

たぶん、作り手はもっと受けると思てたかもしれんけど、

そないおもろない。

笑いは少なかったけど、2時間退屈することもなく、

スピードのある展開で面白かった。

途中で見抜けてしまった、オチもあったけど。

騙し騙されのある、凝ったストーリーなのだが、

残念ながら観終えて、例えば 「スティング」 や

「ユージュアル・サスペクツ」 のような、

爽快感とか、やられた感は なかったな。

もう一歩というところでしょうか。

上から目線ですが。


★★★★☆





2014.4.20

アナと雪の女王

私に最も似合わないディズニーのファンタジー映画

「アナと雪の女王」 を観てきた。

本当は、メリル・ストリープ、ジュリア・ロバーツの

「8月の家族たち」 を観に行ったのだが、

1時間前に劇場 (TOHOシネマズシャンテ) に行ったら、

既に売り切れていた。

ネットで予約しておけばよかったが もう遅い。

で、シネスイッチ銀座で、「世界の果ての通学路」 を

観ようと思って行ったら、1時間半も前なのに

立ち見のみという状況。

で、予定を変更し、「アナと雪の女王」 を観たのだ。

評判が良いのは知っていたので、

気になっていたしね。


公開からひと月以上経つが、結構混んでいた。

アメリカでは、「アバター」 「タイタニック」 に次ぐ

歴代3位の興行成績だという。

アカデミー長編アニメーション賞、主題歌賞を

受賞したミュージカル仕立ての作品だ。

アンデルセン童話の 「雪の女王」 をモチーフにした、

自分の意志に反して触れるものを

全て凍らせてしまうという魔術を持って生まれたエルサと、

その妹アナの物語。

全ては、「True Love」 のみが解決しうるという、

ディズニーらしいラストだった。

異様に目が大きくて、最初、変な顔に見えたアナが、

最後には可愛く見えるから、ディズニーの魔法は凄いね。

ミュージカル・ナンバーも中々のもの。

子供向けだと侮ることなかれ。

今日は観たのは字幕版だったが、

吹替版も観てみたくなった。

同時上映で、短編の 「ミッキーのミニー救出大作戦」。

これは3Dで観たい作品やな。


★★★★▲





2014.4.25

が〜まるちょば

久しぶりに 「が〜まるちょば」 を観てきた。

2007年12月に初めて観てから、

2009年に2回、2011年に2回と、

数えてみると6回目になる。

今回のツアーは、1月31日の神奈川に始まり、

今日から3日間の東京公演 (目黒のパーシモンホール)

で幕を閉じる。

毎回、笑って、楽しみ、感心し、感動する彼らの舞台。

今日は、前から2列目という良い席。

どういうわけか、が〜まるちょばに関しては、

2列目だの4列目だの、いつもええ席が取れる。

不思議なことにね。

さて、パーシモンホール、

3日間5公演ということもあってか、

残念ながら、満席ではなかったものの、

以前より、観客の参加度が増しているような公演で、

大盛り上がり。

普段、コンサートで 「イェ〜!」 と言うのを

アーティストに強制されることに、ちょっと抵抗のある

私でも頑張って声を出したくなるような、

そんな公演だった。

言葉なしで、たっぷり 2時間引き込まれる。

凄いね、彼らは。

素直に認めざるを得ないね、ホント。

が〜まるちょばは、世界で認められている、

日本人のサイレント・コメディのコンビ。

言葉なしで、こんなに伝わるのを観ていると、

「言葉ってなんだろう」 などという哲学的な

問いかけさえ生まれてくる。

一度も 観たことのない人には、

ぜひ 「ライヴ」 で体験することをお勧めする。




ロビーには、最近一番のお気に入りの噺家、
志の輔からのお花が。







2014.4.26

イタリア映画祭 その1
マフィアは夏にしか殺らない


毎年、この時期に東京で開催される イタリア映画祭

日本で未公開の最新のイタリア映画を上映する

フェスティバルだ。

今年で14回目ということなのだが、

昨年、初めて知り、2本を鑑賞した。

今年は14本公開されるのだが、

スケジュールが合いつつ、面白そうな3本をチョイス。

といっても、短い紹介文から選ぶので、

ほとんど勘やな。

今日は、その1本目 「マフィアは夏にしか殺らない」 を

観てきた。

1970年代のシチリアを舞台に、

小学生のラブストーリーとマフィアの殺人とを

絡めた物語。

どうも映画の中でマフィアに殺された政治家や警官などは、

実在の人物のようで、史実とも上手く絡ませた

作品のようだ。

トリノ映画祭で観客賞を受賞したということだから、

おそらく、その歴史を知るイタリア人が観れば、

私などが観るより 数倍面白いのだろうな。


★★★★☆





2014.4.28

昨日は、有楽町よみうりホールで桂文枝の独演会を

聴いたあと、同じく有楽町の朝日ホールで開催されている、

イタリア映画祭2014で、映画を2本鑑賞。

一昨日の上映では なかったが、

昨日は2本とも上映に前に監督の挨拶があり、

上映後に監督への質疑応答の時間が設けられていた。

こういう機会があるのは、映画祭ならではやね。

それと、上映後に拍手があるのも。



イタリア映画祭 その2
サルヴォ


これまたシチリアを舞台にした、マフィア絡みの作品。

マフィアのヒットマン、サルヴォが、

自分の命を狙った男を殺しに行く。

男は、目の見えない妹リタと暮していた。

サルヴォは、男は殺すが、リタは殺さずに連れ去る。

兄を殺されたショックでリタの視覚に

異変が生じる。(視覚が戻り始める)

サルヴォは、連れ去ったリタを監禁するが、

やがて組織を裏切ってリタを逃がそうとする。

リタにとって、サルヴォは兄の仇。

その2人に特別な感情が芽生え始める・・・。


エンドロールは、ラストシーンに合わせた波の音だけで、

音楽は なしという、静かな終わり方。

もしかしたら、劇中も、登場人物がかける音楽以外、

BGM はなかったんちゃうかな。(自信ない)

おまけにセリフが少ない。

説明的なシーンはほとんどなく、

始めのうちは、よくわけが分からない。

でも、なんかええ。


終演後の質疑応答で、監督が

「アンチ・マフィアな映画でないのはなぜか」 という質問に

「マフィアが悪なのは、誰でも分かっていることです。

アンチ・マフィアの映画を撮りたかったわけではないのです。

私たちが撮りたかったのは、物語なのです」 と言っていた。



また、次のようにも言っていた。

「ある意味、2人とも見えていなかったのです。

サルヴォにはモラルが、リタは実際の視覚的に。

リタが視力を取り戻していくに連れ、

サルヴォの心にも変化が起こり、

彼も何かを取り戻していったという風にも

観ることができます」

なるほど、そう観ると深いな。

リタ役の女優 (美人) は、最初本当に目の見えない

俳優さんかと思ったよ。


原題:Salvo
監督:ファビオ・グラッサドニア、アントニオ・ピアッツァ
2013年/104分




★★★★☆




イタリア映画祭 その3
自由に乾杯


上映前に監督が、

「希望がない時代なので、映画で希望を創り出した」 と

言っていた作品。



支持率の低下した政治家 オリヴィエーリが、

うつになり失踪する。

党としてはとても大事な時なので、秘書は、

外部に対して入院していると嘘で取り繕うのだが、

本人からは連絡もなく、困り果てる。

そんな時、オリヴィエーリの双子の兄弟、

ジョヴァンニと知り合う。

秘書自身も見間違うほどそっくりな彼に

オリヴィエーリの代わりをやらせるアイディアを

思いつく。

なり代わったジョヴァンニは、

オリヴィエーリだったら、言いそうにもない演説で、

支持率を回復していく・・・。

そんな、大人のファンタジー。

いやぁ〜、面白かった。

一人二役を演じるトニ・セルヴィッロが最高。

かなり笑えるし、風刺も効いている。

原題の直訳っぽい、邦題がイマイチなので、

もし、日本での公開が決まったら、考え直してほしいな。


原題:Viva la liberta
監督:ロベルト・アンドー
2013年/94分




★★★★▲





2014.5.1

テルマエ・ロマエ II

一昨年、公開され大ヒットした 「テルマエロマエ」 の

続編 「テルマエ・ロマエ II」 を観てきた。

公開して間がないし、今日は映画の日なので、

混んでいるだろうとふんでいたが、18:55からの

上映で、お客さんの入りは 7割ぐらいかな。

主演は、前作に続き、阿部寛、上戸彩。

市村正親、北村一輝、宍戸開 など、

前作からの濃い顔の人たちもそのまま。

平たい顔族は、笹野高史、竹内力は、

前作に引き続き。

そのほか、熊と仲良くする 松島トモ子や、

曙、琴欧洲も出演。

登場した時に一番びっくりしたのは、

ラーメン屋の店主役の 白木みのる!

何かが、強烈!

浪越徳治郎 (指圧の心は母心、押せば命の泉わく〜の人) が、

出てきて、(この人、まだ生きてはったんや) と思ってたら、

菅登未男 という役者さんだった。

なんか、浪越徳治郎が年取ったら、

こんな感じちゃうのって人。

(ちなみに浪越徳治郎は、2000年9月に94歳で永眠。)

監督は、前作と同じ、武内英樹。

前作は、まあまあ面白かった という感じだったが、

本作もぶっ飛びに面白いわけではないが、充分楽しめる。

残念なのは、予告編やCM で、見せすぎていること。

あのおならのシーンや、温水プールの滑り台シーンなど、

劇場で初めて見たなら、もっと笑えただろうに。

最後の最後は、なんとなく落語のオチのような終わり方でした。


★★★★☆


ところで、阿部寛って、映画に出ていると、

全く違和感がないのだが、銀行の CM やポスターを観ると、

どういうわけか、落ち着かないのは私だけだろうか?

何というか、「誰か分からない」 とでも言おうか。

今、テレビでやっている、「テルマエロマエ」 と絡めた

シャンプーの CM もどうもないねんけど、

銀行のCM と ATM コーナーに貼ってあるポスターは、

何度見ても、何かが変で気持ち悪い。

皆さんはどうもない?





2014.5.14

8月の家族たち

メリル・ストリープ、ジュリア・ロバーツ らの

出演する映画 「8月の家族たち」 を観てきた。

先月、一度観に行ったけど、満席で観られなかった作品だ。

元々は、舞台で演じられていた物語のようで、

舞台は、ピュリッツァー賞とトニー賞を受賞している。

映画を観ると、確かに舞台で演じられそうな話だった。

メリル・ストリープ、ジュリア・ロバーツは、

本作でそれぞれアカデミー賞の主演女優賞、助演女優賞に

ノミネートされており、そういう面 (演技面) でも

確かに見応え充分。

3姉妹と母とその妹 (叔母)、5人の女の物語。

結構、盛りだくさんのストーリーで、

121分、全く退屈するヒマなし。

男も数名登場するが、本作にあっては、

ただの小道具でしかない。

(ただし、皆、演技は素晴らしい。)

ネットのレビューを少し読んで、「深くて重い」 とか

「救いがない」 とか書いてあったので、覚悟して

観に行ったが、救いがないとは思わなかった。

途中まで、罵り合う親子が滑稽でさえあったが、

後半に行くに連れ、あんまり笑えなくなった。

観ようによっては、どうしようもない親子だが、

人間は大なり小なり、彼らのように問題を抱えて生きている。

そして、家族というのは面倒くさいものであることは、

間違いない。

そういう観点で言うと、本作は、

「これが、人間ぞ」 「これが家族っちゅうもんぞ」 と

言っているようで、「救い」 云々の話ではないように

思った。

生きるということは、こういう、ややこしい、

面倒くさいことなのかも知れない。


★★★★▲





2014.5.19

世界の果ての通学路

昨夜は、ポール・マッカートニーの公演が

中止になったので、映画を観にった。

「世界の果ての通学路」 というドキュメンタリー映画。

予告編を観たことがあって、興味があった作品だ。

いくつかのドキュメンタリー賞を受賞している、

フランス製作の作品で、ケニア、アルゼンチン、

モロッコ、インドの何時間もかけて、

学校へ通う子供たちのドキュメンタリーだ。


ケニアのジャクソンは11歳。

妹と2人で、毎日片道15キロの道のりを

2時間かけて通学する。

家を出るのは、5時半だ。

途中、野生動物が生息するサバンナを通る。

毎年、象に襲われ命を落とす子供がいるという。

いつ、動物に襲われるか分からないからか、

ずっと小走りだ。

文字通り、命懸けで学校に通っているのだ。


アルゼンチンのカルロスも11歳。

こちらは、18キロの道のりを妹と2人、

馬に乗って、1時間半かけての通学。


モロッコの少女、ザヒラは、12歳

ザヒラが通うのは全寮制の学校だが、週末は家に帰るので、

毎週月曜日には、友達と3人で22キロの道のりを

4時間かけて歩く。


インドのサミュエルは、13歳。

足に障害があって、歩けない彼は、

ボロボロの車椅子に載せられ、

2人の弟がそれぞれ、押し、引っ張り、

4キロの道のりを1時間15分かけて

毎日通学する。


この4人の通学路に共通しているのは、

道ではないようなところを通るということだ。

冒頭に、「学校に行けることに感謝を」 というような

テロップが出る。

日本では、当たり前のように教育を受けることができ、

蛇口をひねれば当たり前のように水が出る。

道路が整備されていることも当たり前のように

なっているが、それらはけっして、

当たり前ではないことを改めて突きつけられる。

そして、4人の子供たちが素晴らしい。

前半は、学校に向かって歩く彼らを

淡々とカメラが追うだけだが、後半、彼らが

インタビューに答える。

なぜ、学校に通うのか、将来の夢は何か。

その目は、希望に満ち溢れている。


私には、彼らはその年齢よりも、

ずっとずっと、大人に見えた。

日本の子供たちにも観て欲しい作品。

インドの3人の兄弟愛は泣けるよ。


原題 「SUR LE CHEMIN DE L'ECOLE」 は、

翻訳サイトで調べたところ、「学校へ通う道で」 と

いうような意味だった。

邦題は、「世界の果ての通学路」。

ふと思ったのだが、世界に 「果て」 などあるのだろうか。

これらの地域は、果たして 「世界の果て」 なのだろうか。

向こうからすれば、こちらが果てなのでは ないだろうか。


世界の果ての通学路 オフィシャルサイト


★★★★☆





2014.5.22

相棒 劇場版 III
巨大密室!特命係 絶海の孤島へ

特に 「相棒」 シリーズのファンでもないのだが、

観たい 映画「プリズナーズ」 が、20:55からで、

その前に観るとちょうど 時間がええ感じになるので、

観てみることに。


社会派エンターテインメントとでも言うのでしょうか。

普段すっかり平和ボケの私でも、

少なからず 「国防」 とうことについて、

考えさせられる作品だった。

ある実業家が所有する孤島に、元自衛隊員が、

民兵組織を作り、訓練をしていた。

そこで、事件が起こり、特命係の二人が

島へ調査に乗り込むというお話。

民兵は、国防を真剣に考えている人たちだが、

ちょっと極端にイッテしまっている。

「攻められたら、守らねば」 というのもよく分かる。

でも、その時のために武器を準備するより、

攻めることも 攻められることもない世界を

作ることにエネルギーを使おうな、って思う。

こういうこと言うと、本作の室司 (伊原剛志) の

ような人に 「甘い」 って言われるんやろけど。

室司の考えは、偏っていると思うけど、

あれはあれで、国を憂いているのだと思う。

是非はともかく。

でもやっぱり、「核兵器を担保にした平和」 は、

危なかしくってあかんな。

脅しの上の平和って、平和なんかな。


そんなことを考える作品ではあったけど、

映画としては、何かが物足りないし、

突っ込みどころ満載。

男ばっかりの島に、釈由美子みたいな女が一人だけ

おったら、ただでは済まんでしょ!とか、

そんな方法で、そのやばいものを隠すのは、

あまりにも危険すぎるでしょ!とか、

もうその時点で、この組織は解散っちゅうか、

この島から退去でしょ!とか。

ねえ。


★★★▲☆




プリズナーズ

この数年間観た映画の中で 一番強烈だった作品はと

訊かれれば、答えは迷わず 2012年に観た、

「灼熱の魂」 だ。 (2日続けて観た!)

その 「灼熱の魂」のカナダ人監督、ドゥニ・ヴィルヌーヴの

最新作とあって、期待の高まる 「プリズナーズ」 を観てきた。

2時間半を全く長く感じさせない、

気が抜けないスリリングな展開はさすが。

愛する娘を誘拐される父親役にヒュー・ジャックマン。

スゴイ迫力です。

刑事役にジェイク・ギレンホール。

「ムーンライト・マイル」 で知った、割と好きな役者。

出演作は結構 観ているが、本作では、ちょっとお腹が

ポチャっとしてきたように見えて残念。

(人のことは言えません。)


さて、本作、ただのサスペンスではなく、

正義とか倫理とかヒューマニズムを考えさせられる

ヒューマン・サスペンスとなっている。

娘を誘拐された父親が、証拠不十分で釈放された

容疑者を拉致し、娘の居場所を吐かせようと

リンチする。

この行為は、果たして子を思う親の愛なのか、

許される行為なのか?

もちろん許されるわけがない。

だが、早く発見しないと娘の命が危ない。

警察は、頼りにならない (ように見える)。

父親は、やるしかないと行動に出る。

一緒に娘を誘拐された友人は、その容疑者が、

真犯人かどうか分からないから 「やり過ぎだ」 と

止めようとするが、娘のことを思うと、

やっぱり 容疑者を逃がしてやることができない。

そんな行き場のない、切迫したシーンが続く。


「それでも夜は明ける」 でイヤなヤツを演じていた

ポール・ダノが、この容疑者を好演。

(もう7年も前に観た 「リトル・ミス・サンシャイン」 の

車の中で自分の色盲を知り、パイロットの夢が壊れる

ポール・ダノも、とても印象に残っている。)


後半、真犯人かと思う男が登場する。

彼が真犯人なのか。

リンチされている容疑者と共犯なのか。

娘は生きているのか。

ここから先は、劇場で!


原題の 「Prisoners」 は、捕虜とか囚人とか、

囚われの身のこと。

出演者は、皆、(何か・誰かに) 囚われている人たちだ。

ちゃんと複数形になってるね。


アカデミー賞を含め、いくつかの映画賞で撮影賞に

ノミネートされているが、そう言われると、

なんかそんな風に見えるなぁ。


プリズナーズ オフィシャルサイト


★★★★▲





2014.5.31

ビッグ・フェラー

三軒茶屋のキャロットタワーにある,

世田谷パブリックシアターで

内野聖陽 (うちのせいよう) 主演の

お芝居 「ビッグ・フェラー」 を観てきた。

私は、1998年から2005年まで、

三軒茶屋に住んでいたのだが、

パブリックシアターに行ったのは、今日が初めて。

芝居は、そんなに観に行かないので、

行く機会がなかったのだが、とても良い劇場で、

3階席だったが、大変 見やすかった。

内野聖陽のファンやろか、お客さんは 95% 女性。

「ビッグ・フェラー」 は、1972年から2001年までの

ニューヨークで活動する IRA (アイルランド共和軍) の物語。

結構、下品なセリフや 放送禁止用語も多かった。

アイルランドの歴史や IRA について、ほとんど何も知らないので

残念ながら よく理解できたとは、言い難いな。

休憩15分をはさんで3時間と結構 長編。





2014.6.8

熱海五郎一座
天然女房のスパイ大作戦


三宅裕司率いる「熱海五郎一座」 の

新橋演舞場進出記念公演、

「天然女房のスパイ大作戦」 を観てきた。

「天然女房」 とは けっして人ごととは

思えぬタイトルだ。

夫の浮気を疑った妻が、スパイになるというお話。

端っこの方だったが、前から3列目だったので、

割とよく見えた。

出演は、三宅裕司、小倉久寛、渡辺正行、

ラサール石井、春風亭昇太、深沢邦之、

そしてゲストに 沢口靖子、朝海ひかると

豪華キャスト。

「三宅裕司率いる〜」 という時点で

お分かりいただける通り、もちろん喜劇。

大掛かりな舞台セットをふんだんに使ったコメディで、

ただのドタバタにならないあたりは、

脚本の良さと、今回のヒロイン 沢口靖子 のキャラに

依るところが大きいとみた。

沢口靖子ってテレビで観るより、若々しく

可愛くてビックリ。

終わってからの挨拶で、セリフを間違えたと

言っていたが、天然の役柄なので、

その間違ったセリフにも違和感がなく、

またその間違ったセリフへの三宅裕司の

返しも自然だったので、おそらく観客は、

誰ひとりとして、間違っているとは気がつかなかっただろう。

もう一人、宝塚出身の朝海ひかると合わせて

そのほかのおっさんばかり出演の舞台に

華麗な華を添えていたね。

先週観た 「ビッグフェラー」 が

ちょっとシリアスで難しかったのに比べ、

分かりやすくて笑って観られる、

こういう芝居の方が、自分には合っていると思った。

劇団としては、由緒ある新橋演舞場に

進出したこと自体、大きな飛躍のようだった。

面白かった。








2014.6.12

青天の霹靂

劇団ひとりが初めて監督した映画 「青天の霹靂」。

原作も劇団ひとり。

「晴天の〜」 とくると 「霹靂」 は、たぶん

「へきれき」 だと読めるけど、「霹靂」 だけ見たら

きっと読まれへんな。

大泉洋演じる人生あんまり上手くいっていない男が、

雷に打たれて40年前にタイムスリップし、

自分の両親 (柴咲コウと劇団ひとり) の

若い頃に出会う。

自分の人生がイマイチなのを

自分を捨てた母親と、ダメな父親のせいに

生きてきたのに、若い頃の両親は、

自分が思っていた 二人ではなかった。

そんなストーリー。


よくあるタイムスリップものなのだが、

ストーリーも脚本も よくできた映画だと思う。

大泉洋が上手い!

彼の演技に、何度も泣かされた。

マジシャンの役で、マジックのシーンが

何度もあるのだが、4ヶ月練習して

ノースタントで撮ったらしい。

さすがは、プロ。

あまりに上手くて、合成か?と疑ったほど。

今でも半分疑ってるけど。

(それだけ鮮やかだったということね。)

柴咲コウ、劇団ひとり、風間杜夫も ハマり役。

映画のキャッチフレーズが、

「人生は奇劇だ。」

「喜劇」 ではなくて、「奇劇」。

なるほど。


青天の霹靂 オフィシャル・サイ


★★★★★




WOOD JOB!(ウッジョブ)
神去なあなあ日常


本日2本目は、矢口史靖 (やぐちしのぶ) 監督の

「WOOD JOB!(ウッジョブ) 神去なあなあ日常」。

「神去」 は、舞台となる村の名前で

「かむさり」 と読む。

原作は、三浦しをん著 「神去なあなあ日常」。

矢口監督といえば、「スウィングガールズ」

「ロボジー」 など面白い作品を撮ってきた監督だ。


大学受験に落ちた 都会育ちの青年 (染谷将太) が、

パンフレットに載っていた女の子 (長澤まさみ) 目当てに

1年間の林業研修に臨む。

今にも逃げ出しそうなひ弱な青年が、

1年かけて山の男に成長していくというストーリー。


染谷将太は、数本出演作を観ているが、

本作が一番良かった。

チャラチャラした感じから、少しずつ林業に目覚め、

逞しくなっていく様子を見事に演じている。

長澤まさみは、田舎の気の強い女の役で、

あんまり化粧気もないのだが、やはり可愛い。

それから、伊藤英明が山の男役で出ているが、

これが野性的で良い。

「海猿」 は観ていないのだが、

「海猿より、山猿の方が合っている」 という

声もあるほどのハマり役。

その他、優香、西田尚美、マキタスポーツ、

近藤芳正、柄本明 ら。

マキタスポーツは、テレビドラマにも出てるし、

なんかええ役者になってきたなぁ。


コミカルな物語の中に、林業の厳しさとその魅力、

自然の雄大さ、神秘さを描いていて楽しめます。


WOOD JOB!神去なあなあ日常  オフィシャル・サイ


★★★★☆





2014.6.14

ルパン三世

先日、映画館で8月に公開予定の映画、

「ルパン三世」 (実写版) の予告編を観た。

主役のルパン三世役は、小栗旬だ。

先に話だけ聞いていたら、

(小栗旬?微妙やな) と思ったに違いない。

でも、短い予告編の中でも、小栗のルパンは、

私の持つルパンのイメージを壊しておらず、

(おお、中々えーやん) というのが正直な

感想だった。


ルパン三世の実写版といえば、子供の頃、

映画館で観た覚えがある。

ルパンを目黒祐樹が演じていたのは覚えていたが、

他のキャストは記憶になく、いつ頃のことだったかも

覚えてなかった。

調べてみると、1974年8月公開とあるから、

私が小学6年生の時だ。

キャストは、目黒祐樹の他、田中邦衛が次元大介、

江崎英子 (誰か分からん) が峰不二子、

伊東四朗が銭形警部を 演じた。

石川五エ門は登場しなかったようだ。

40年も前のことで、内容は何も覚えていないが、

この機会に (DVD があれば) もう一度観てみようかな。


さて、今年公開の新作の方のキャストも気になるところ。

予告編では、ルパンが小栗旬だと分かるのだが、

そのほかのキャストは、分からなかった。

チラッと映るようにも見えたが、

アップにならないので、誰かは分からないのだ。

オフィシャルサイトを見ると、次元大介には玉山鉄二、

石川五ェ門に綾野剛、銭形警部に浅野忠信、

そして、一番気になる峰不二子には・・・

黒木メイサだ!

次元と五ェ門はええけど、銭形と不二子は、

(う〜ん ちょっとイメージ違うかなぁ) って感じ。

映画では、そんな心配をぜひ吹き飛ばして欲しい。




写真クリックで オフィシャルサイトへ





2014.6.15

フエルサ ブルータ

なんやよう分からんけど、

これ おもろいんちゃうかと思って、

究極の体験型エンタテイメントと謳われている

「フエルサ ブルータ」 を観てきた。

@ 赤坂サカス広場 特設テント。

キーワードは、音 (リズム) と光とダンスと水。

基本的にはダンスショーなのだろうけど、

ステージで踊っているのを観るという従来の

ショーではない。

オールスタンディングで、ステージは前だけでなく、

後ろだったり、壁面だったり、会場内を移動したり、

また、頭上から降りてきたりと、確かに

観たことのない初体験のショーだった。

天井から透明のプール (?) が降りてきて、

その中で女性たちが戯れていたり、

観たことのない光景は、それなりに面白い。

お客さんも声を上げて大喜びで盛り上がっているが、

残念ながら私は終始、冷めていた。

おそらく私が20歳ぐらいで友達グループと

観に来ていたら、はっちゃけて盛り上がっていただろうな。

そういう意味では、自分が 「年取ったなぁ」 と

いうことだけが、浮かび上がったショーだった。

妻も同じような感想。

確かに、周囲を見るとお客さん若いわ。

最近よく行く落語会とは大違い。

(落語会は、白髪とハゲだらけやねん。)


フエルサ ブルータ オフィシャルサイト




春を背負って

松山ケンイチ、蒼井優、豊川悦司ら出演の映画、

「春を背負って」。

監督は、本作が監督第2作となる 木村大作。

元は 日本映画界きっての名カメラマンの方らしい。

前作 「劔岳 点の記」 は観ていない。

予告編を観て、良さそうな映画だと思ったが、

正直、ちょっと物足りなかったな。

山の景色は素晴らしいが、ヒューマンドラマとしては、

なんか、グッとくるもんに欠ける。

登山家が観ると違う印象なのかもしれないけど。

ただ、撮影は、さぞ過酷だっただろうと想像できる。


★★★▲☆





2014.6.20

私の男

浅野忠信&二階堂ふみ 主演の映画。

原作は、桜庭一樹著の直木賞受賞作らしい。

地震で両親を失った少女と、

その少女を引き取る親戚の男の物語。

「禁断の愛の物語」 と紹介されていたけど、

「歪んだ情愛」 って感じで、

観終えて 気持ちの良い話ではない。

男と女って、コワイな。


昨年観た 「地獄でなぜ悪い」 でも印象に残った、

二階堂ふみが良い。

かなり魅力的。

この人は、いくつも顔を持ってるね。

先日、たまたまテレビで見たが、最初、

「地獄でなぜ悪い」 の人だと分からなかった。

本作も 知らずに観たら、同一人物とは

気がつかなかったんちゃうか。

本作の中でも、高校生から大人の女まで

まるで変身するかのように いろんな顔を見せる。

まだ19歳だというのに、本物の匂い。

ただ可愛いだけじゃない、

これからが楽しみな女優。


★★★★☆




MONSTERZ モンスターズ

山田孝之、藤原竜也主演の映画。

地味なスーパーマンみたいなお話。

視界に入った人間を自由に操ることができる男と、

ただ一人、操ることのできない男の物語。

まあ、もともとの設定に無理があるので

しょうがないが、ツッコミどころは満載。

それでも、ドキドキハラハラはあり、

それなりに面白い。

不死身 (?) の男を演じる、山田孝之が良いね。

藤原竜也は、ホント良くも悪くもいつもの

藤原竜也。

何に出ても同じに見えてしまうのが難点かな。

それと、石原さとみ が良い。

めちゃくちゃ 可愛いやん。


★★★▲☆





2014.6.22

ポンペイ

ポンペイは、西暦79年にヴェスヴィオ火山の

噴火により消滅したイタリアの古代都市。

1748年に発掘されるまで、1700年もの間、

その所在さえ知られなかったという。

今から、13〜14年前、ポンペイ展に行ったことがある。

ポンペイ遺跡の遺品が展示されたイベントで、

その頃、初めてポンペイのことを知った。

さて、そのポンペイを舞台にした映画 「ポンペイ」 を

観てきた。(2Dで鑑賞)

いつ、阿部寛が出てくるのかな、と思ってたら、

それは違う映画やった。

それは冗談やけど、観ながら、

この映画を何だと思って観ればよいのか、

迷いが出てきた。

津波に人が飲まれていくシーンは、

ただの娯楽作としては、キツすぎる。

殺し合いを見物して楽しむ古代人の野蛮さも、

自分を嫌っている女を権力で妻にしようとする男も、

理解できない。

つまりは、なんか心から 楽しめないのだ。

まあ、元々楽しい映画ではないねんけど。

そして、自然災害の恐ろしさは、

伝わってくるといえば伝わってくるのだが、

主人公にだけは、火山噴火で飛んでくる岩石が

当たらなかったり、

街中 ガレキだらけだったのに、馬車で走る道には

なぜかガレキがほとんど なかったり、

そんなツッコミどころに失笑さえ漏れる。

そんな感じだった。

ただ、(富士山が噴火したら) と思うと、

ゾッとしたな。

製作は、アメリカ・カナダ・ドイツということだが、

イタリアが舞台やのに、英語というのは、

イタリア人は観てどう思うんやろ?


★★★▲☆




ぼくたちの家族

「ポンペイ」 は、時間調整で観たのだが、

実は観たかったのは、この 「ぼくたちの家族」。

もうそろそろ上映が終了しそうなので、

早く観なければと思っていた作品だ。

映画館で観られて良かった。

監督は、「舟を編む」 の石井裕也。

母親 (原田三枝子) の病気 (脳腫瘍) 発覚を機に

長男 (妻夫木聡)、次男 (池松壮亮) と

父 (長塚京三) が力を合わせ、

絆を取り戻していくという物語。

この家族を演じた役者4人が素晴らしい。

妻夫木聡は、ちょっとダメな普通の男を

演じさせると無敵やね。

「ラストサムライ」 の子役だった池松壮亮は、

現在公開中の 「わたしのハワイの歩きかた」

「春を背負って」 にも出演している最近の注目株。

長塚京三は、これまた普通のちょっとダメなお父さんを好演。

そして、原田美枝子は、もう怪演やね。

後半の彼女のセリフ、

「そんなこと どっちだっていいじゃない」 が

非常に印象的。


前半は、母親の記憶障害の症状になんとなく

違和感を抱いたのだが、話が進むにつれ

それもなくなり、後半では何度も泣かされた。

真面目で一生懸命な兄に対し、最初、

軽くて チャラいように見えた弟が、

その兄の心の支えになっていく辺りに

家族というグループの調和と

それぞれの役目というか

存在意義のようなものを感じた。

自分の家族を振り返ってみても然り。

一人一人、全く違う個性やもんね。

なんかよう分からんけど

うまいこと絡み合ってる感じやもんな。

そして、終わり方がすごく好きやな。

これは、けっしてハッピーエンドではない。

人生が続く限り、問題や苦悩はなくならない。

その問題や苦悩という 「影」 があるおかげで、

愛や絆という 「光」 を体験できるように

人間は作られているのだと思う。

絶妙。

グッジョブ、神様。


★★★★★





2014.6.30

海辺のカフカ

赤坂ACTシアターで、公演中の

「海辺のカフカ」 を観てきた。

原作は 村上春樹で、演出は 蜷川 (にながわ) 幸雄。

キャストに、宮沢りえ、藤木直人ら。

終演後の挨拶には、総勢20人ぐらい並んだ。

主役のカフカには、古畑新之 (ふるはた にいの) という新人。

私は原作を読んでいなかったため、

てっきり宮沢りえが主役だと思っていたら、違ってた。

前から7列目だったので、近くで宮沢りえを

観れたのは、良かった。

先日観た 「ビッグ・フェラー」 も3時間あったけど、

本作も中々の長編。

第1幕 85分、休憩20分、第2幕100分と

ほぼ3時間半でした。

こういう芝居は、それぐらいの長さが

普通なのかな。

舞台の造りがよく考えられていて、

簡単に場面転換ができる仕組みになっている。

可動式の箱のような部屋のようなものを

いくつも舞台に配し、別々の場面を

左右で同時に進行したりもできるのだ。

そのおかげもあって、テンポ良くどんどん

場面が変わり、3時間以上の本編も

全く長くは感じなかった。

お客さんは、8〜9割女性。

ストーリーの方は、村上春樹だから

好き嫌いの分かれるところだろうな。

性的な描写も多かった。

とても哲学的で、深い意味がありそうだが、

原作未読で、一度観たぐらいでは

よく分からないというのが正直なところ。

でも、終わった時には、ゆる〜い感動と

たっぷりと文学的作品を味わったような

満足があった。

「原作読んでみたいか?」 と訊かれれば、

読んでみたいような気がするけど、

たぶん読めへんな、という感じです。


終演後、挨拶時の古畑新之の清々しい笑顔と、

その古畑のおかんのような振る舞いの宮沢りえが

印象的でした。








2014.7.6

チョコレートドーナツ

予告編を観て、気になっていた映画、

「チョコレートドーナツ」 を観てきた。

舞台は1979年のカリフォルニア。

ゲイの男2人が、ダウン症の少年マルコを引き取り、

育てようとする。

マルコの母親は、薬物依存症で逮捕されたのだ。

3人の幸福な生活は、長くは続かなかった。

今から、35年前、今よりももっと同性愛者に

対する偏見はひどかったのだろう。

2人がゲイだということが、明るみに出ると、

世間は、マルコと2人を引き裂くのだ。

そんな、差別と偏見の限りなく理不尽な物語。

1979年というから、そんなに昔ではない。

きっと、人権を守るために法は整備されてきたはずだ。

ところがその法という名の偏見が、

幸福に暮らす 「家族」 をバラバラにする。

途中 「正義なんてない」 というセリフがあるが

まさに、どこに正義や良心があるのだろう。

本作は、70年代に実際にあった話を

モデルに作られたらしい。

それから、40年ほどが過ぎた。

今は、きっとそれほど理不尽なことはないだろうと

信じたい。


本作、確かにマイノリティに対する差別や偏見に対する

メッセージは、感じ取れる。

ネットでの評判も良いし、良い映画だと思う。

が、私には何かが物足りなかった。

たぶん、主人公ルディが、マルコを引き取ろうと

いうことに至る心理描写に物足りなさを

感じたからかもしれない。

もっと、ルディとマルコが親しくなっていく

エピソードがあれば、違ったかも知れない。

それに、ルディを演じるアラン・カミングの歌が

悪くはないけれど、皆さんが言うほど、

グッとこなかったということもあるかも知れない。


原題は、「ANY DAY NOW」。

これは、ラストにルディが熱唱する

ボブ・ディランの 「I Shall Be Released」 の歌詞、

Any day now, any day now
I shall be released

から取ったのだろう。

なら、邦題の 「チョコレートドーナツ」 は、

ちょっと どうかなと思うな。

チョコレートドーナツは、登場するけど、

マルコが好きだと言ったのは、ただのドーナツだし。


でも、安直にハッピーエンドにしなかったことは、

良かったと思う。

そのことで、この映画の持つテーマが、

より重く、シリアスになっている。


ダウン症のマルコを演じるのは、

実際にダウン症で、俳優になる夢を持っていた、

アイザック・レイヴァ。


判事役のおばあちゃんに見覚えがあったので調べてみたら、

フランシス・フィッシャーという人で、

あの 「タイタニック」 で、ローズの憎たらしい母親役を

していた人でした。


チョコレートドーナツ Official Site


★★★★☆





2014.7.6

ゴジラ
60周年記念 デジタルリマスター版


「ゴジラ」 って、1作目が1954年の映画やってんな。

子供の頃、「怪獣島の決戦 ゴジラの息子」 とかを

映画館で観た覚えがあるので、まさか自分より

年上だと思っていなかった。

今年、還暦やん。

調べてみたら、テレビで観た覚えのある、

「キングコング対ゴジラ」 が 私の生まれた年、

1962年の公開で、しかも公開日が

8月11日とあるから、私が生まれた、

4日後に封切りされたっちゅうことや。

そして、ザ・ピーナッツが 「モスラ〜や、モスラ〜」 と

歌う 「モスラ対ゴジラ」 が、1964年、

東京オリンピックの年ですな。


さて、その第1作 「ゴジラ」 のデジタルリマスター版を

観てきた。

7ヶ月もかけて、手作業で1コマ1コマ、

処理がなされたという。

確かに画面はキレイになっていたけど、

ややピントのぼけた絵や、取りきれなかったと

思えるノイズなど、完璧とは言い難かったが、

あれが限界なのかもしれない。

音声は、ノイズも無く聴きやすかった。


舞台は、1954年の日本。

まだ和服を着ている女性が多く見られたり、

ゴジラが現れたら、家から日本刀持ち出してくる

おっさんがいたりと、この60年の日本人の

生活の変化をも感じさせる作品であった。


ゴジラの見た目は、どことなくぎこちなく、

未完成感を否めないし、飛行機や戦車、船舶、ビルなど

ひと目で模型と分かるし、合成もバレバレなので、

どんなにゴジラが暴れても、ビルが破壊されても、

今見ると、迫力に欠ける。

それでも当時、観客動員は961万人というから、

60年前の観客は、この絵に熱狂したのだろう。

これが最先端だったのだからね。


水爆実験の果に海底深く暮らしていゴジラの

環境が変わってしまい、人間の前に現れた。

ゴジラには罪はない。

そのゴジラを今度は 「こんなものがいると災難だ」 と、

人間の都合で殺してしまう。

それも、恐ろしい武器で。

これは、ただの怪獣映画にとどまらず、

原水爆反対など大切なメッセージをも含んでいるのだと思う。


それともう一つ感じたこと。

1954年というと終戦から10年も経っていない。

作品の中にも 「疎開」 や、

「長崎で生き延びたのに」 などというあの戦争を

身近に感じさせる言葉が登場する。

そんな時期に、こんな映画を作った当時の

日本人の創作意欲に感動した。


顔と名前を見て分かった出演者は、

宝田明、志村喬、菅井きんの3人。

当然、皆さん若いです。

宝田明、菅井きんは、クレジットがなければ、

気づかなかったと思う。

監督は本多猪四郎。

特技監督に円谷英二!


もうすぐアメリカ版 「GODZILLA」 が

公開されるが、どうしようかなぁ。

1998年のアメリカ版 「GODZILLA」 には、

ガッカリした覚えがあるからな。

あれは、ゴジラ・ファンには評価が低かったらしい。

まあ、同じ失敗はせえへんと思うねんけど。


ゴジラ 60周年記念 デジタルリマスター版 オフィシャルサイト


★★★★☆





2014.7.15

渇き。

「愛する娘は、バケモノでした。」 という

キャッチフレーズが印象的な映画、「渇き。」 を

観てきた。

主演の父親役に役所広司、娘役は小松菜奈。

そのほか、妻夫木聡、オダギリジョー、中谷美紀、

二階堂ふみ、國村隼、橋本愛ら。

役所広司が、濃すぎて他の出演陣は、

豪華な割にやや印象薄。

妻夫木くんは、ワルな刑事役なのだが、

ちょっと薄っぺらい感じで物足りない。

どうせなら 「レオン」 の

ゲイリー・オールドマンぐらいの貫禄が欲しい。

原作は、深町秋生という人の 「果てしなき渇き」 という

ベストセラーだが、未読。

監督は、「告白」 の中島哲也。

原作を読んだ人に、「後味悪いよ」 って聞いていたが、

確かに映画も気持ちの良いものではない。

一言でいうと、「狂気」 と 「暴力」 のお話。

けして 「親子愛」 の物語ではない。

正直、何が言いたのか分からないという気もするが、

一方で、これはこれで映像作品としてありだろう、

という気もする。

ただ、人には薦めないし、自分も二度と観ない (だろう)。

収穫は、暑苦しい、ダメな、狂ったオヤジを

演じる役所広司と、その娘を演じる小松菜奈。

この娘は、魅力的だ。

本作がスクリーンデビューのようなので、今後にも注目。

二階堂ふみも出演しているので、楽しみにしていたが、

本作ではあんまりインパクトなかったね。

小松菜奈 演じる娘は、確かに異常なのだが、

言うことに時々同意してしまう自分がいたのも事実。

「お前の娘は自由すぎるんだよ」 というセリフが

あったが、何もかも 解放してしまうと、

結局、人間社会では逸脱し、バケモノになるんだな。


暴力シーンが嫌いな人は、観ない方がよいです。


★★★▲☆





2014.7.20

超高速!参勤交代

映画 「超高速!参勤交代」。

江戸時代、福島県いわき市にあった、

湯長谷 (ゆながや) 藩。

参勤が終わり、江戸から藩に戻った途端、再び

「5日以内に参勤せよ」 と幕府から命じられる。

田舎の弱小貧乏藩で、とてもじゃないが、

続けての参勤は無理。

しかも5日で江戸まで行くのは普通でも難しい。

だが、行かなければ、藩が取り潰されてしまう。

この参勤は、幕府の陰謀だ。

藩主・内藤政醇 (ないとうまさあつ) は、

藩の存続をかけて 田舎侍の意地を見せてやろうと、

立ち上がった。

この藩主・内藤に佐々木蔵之介。

知恵を搾り出す家老・相馬に西村雅彦。

その他出演は、寺脇康文、上地雄輔、六角精児、

石橋蓮司、陣内孝則、深田恭子、伊原剛志ら。

コミカルな作品だが、湯長谷藩の家来の藩・殿への

忠誠心には感動してしまった。

ワルは、老中・松平信祝 (陣内孝則) なのだが、

最後に、八大将軍徳川吉宗 (市川猿之助) が、

松平の悪事を暴くために参勤を命じたと言うシーンがある。

将軍様、それはあんまりですぜ。

こちとら、何度も命狙われてんですぜ。


監督は、本木克英 (もときかつひで)。

この人の作品は、初めてだった。


★★★★▲




オール・ユー・ニード・イズ・キル

日本人 (桜坂洋) 原作のハリウッド映画、

「オール・ユー・ニード・イズ・キル」。

映画の原題は、「Edge of Tomorrow」 で、

原作の方のタイトルが、「All You Need Is Kill」 のようだ。

主演は、トム・クルーズ。

私と同じ年だが、本作でも結構なアクションを

演じております。

舞台は、近未来の地球。

侵略してきたエイリアンと地球人が戦争している。

トム演じるケイジは前線へ送り出されるが、

すぐに戦死してしまう。

すると、前日に戻って目が覚める。

また翌日戦死。

すると、やはり前日の同じ時刻に戻って

目が覚める。

というタイムループものだが、

要はゲームのリセットなのだ。

死んだら、最初から。

死んでも、前の記憶があるから、次にはちょっとずつ

上手く強くなっていて、もう少し先へ進めるようになっていく。

で、最初、腰抜けだったケイジは、

敵を倒すべく、どんどん逞しくなっていくのだ。

まあ、細かいこと言うたら、「なんで?」 という

ツッコミどころはあるが、この際、そういうことは

置いておいて、このスピードのあるストーリーを

楽しんだ方が良いだろうな。

女性兵士役のエミリー・ブラントが、

逞しくもセクシーでよろしい。


★★★★☆





2014.7.29

招かれざる客
Guess Who's Coming to Dinner

先日、DVDをレンタルし 鑑賞。

1967年のアメリカ映画。

今よりももっと人種問題が

激しかったであろう時代の物語。

白人の娘と 黒人の男 (医師) が出逢ってすぐに

恋に落ちる。

娘は、自分の両親はリベラリストだから、

肌の色や人種などで結婚の反対はしないと

信じきっている。

超楽観的。

黒人医師は、年も30歳を過ぎており、

結婚歴もあり、娘よりは慎重で現実的。

そんな2人が、突然やってきて、

(娘の) 両親に結婚を告げる。

母親は、驚き戸惑いながらも2人を祝福する。

一方、父親は 「結婚が上手くいくはずがない」 と

娘が不幸になることを心配し、結婚に賛成できない。

しかし、偏見のない娘を育てたリベラリストの父親だ。

理想と現実の狭間で葛藤する。

根ポジで空気を読めない娘は、

父親が反対しているとは、全く気がつかない。

というか、そんなこと有り得ないと信じきっている。

そんな能天気な娘は、黒人医師の両親を

家に招いてしまう。

黒人医師の両親は、息子の相手が白人だとは、

まだ知らされていない・・・。

さあ、どうなる?

二人の行方。


黒人医師に シドニー・ポワチエ、

娘に キャサリン・ホートン、

父親に マット・ドレイトン、

母親に キャサリン・ヘプバーン。

アカデミー賞に 10部門でノミネート、

主演女優賞 (キャサリン・ヘプバーン)、

脚本賞を受賞。


良い映画ですね。

アメリカの良心を感じる1本です。


★★★★☆





2014.8.3

こっぱみじん

“純粋さ” を考えさせられる映画やった。

「好き。ただそれだけ。」

これほど強い言葉はないと思う。

人であれ、仕事であれ、趣味であれ、何であれ、

「好きだから」 と言われれば、他人が口を出す

スキはない。


本作のコピーは、

 憧れの彼は
 私の兄を好きでした


この言葉に集約されているが、

好きになった男はゲイで、

しかも、自分の兄に惚れているという、

正に こっぱみじん な失恋の物語なのに

なぜか、観終えて清々しい。

これは、演出、監督の技だと思うな。


もう一つ、この映画の要のセリフ。

「好きになった人が、好きになってくれて、

一生一緒にいたいなんて、奇跡だよ」


低予算丸出しの作品だが、非常に好感の持てる作品。

主演の我妻三輪子は、今後 楽しみな女優。


★★★★▲


こっぱみじん オフィシャルサイト





2014.8.10

ブラスト!
blast


私は中学時代、吹奏楽部所属で、

高校時代には、アンサンブル部という

バイオリンがいたり、エレキベースがいたりという

10名ほどの中途半端な編成の合奏のクラブに

所属していた。

演奏した楽器は、トロンボーンやトランペットなど

いわゆる金管楽器。

意外 (?) なことに妻も中学時代、吹奏楽部で

クラリネットを吹いていたというのだ。

そんなこととは、何の関係もなく、

「ブラスト!」 というステージを観てきた。

会場は、東京国際フォーラム Cホール。

「ブラスト!」 は、金管楽器とドラム、パーカッションと、

ダンサーのエンターテインメント・ショー。

2001年にブロードウェイに進出し、

日本国内では、2003年から前回2012年の公演までで

621公演、観客動員数95万人以上という。

今年の全国ツアーで100万人を超える予定だ。

それだけの人気も納得のショーだった。

私が中学高校時代には、ブラスバンドは座って演奏するか、

マーチングバンドで歩きながら演奏するか以外、

考えられなかった。

そんな既成概念を軽々と粉砕すべく、

「ブラスト!」 では、踊りながら、また、

複雑なフォーメーションを組みながらの演奏。

どうかするとドラムとダンサーと合わせると

ステージ上に20名以上のパフォーマーが、

動き回りながらぶつかることもなく、

演奏が進んでいく。

私が中学生の時に これを観たなら、

きっと憧れたことだろう。

黒人白人混合の中に日本人メンバーが3人。

世界に通用するパフォーマー・チームに日本人が

入っていることはうれしい。


それにしても。

このショーの一番の凄さは、

演奏力の高さも然ることながら、

その 「チームワーク」 だと感じた。

「チームワーク」 なしには、

あり得ないショーでした。


「ブラスト!」 オフィシャルサイト





2014.8.12

ロビン・ウィリアムズ 死去
Robin Williams

「いまを生きる」、「レナードの朝」、

「ミセス・ダウト」、「グッド・ウィル・ハンティング」、

「奇蹟の輝き」 など、たくさんの記憶に残る作品に

出演したロビン・ウィリアムズが、亡くなった。

死因は、自殺と伝えられている。

最近は、重度の欝状態だったらしい。

享年63歳。

ちょっと若いよなぁ。

合掌。





2014.8.12

ゴジラ
GODZILLA


1998年のアメリカ版 「GODZILLA」 には

ずい分ガッカリした覚えがあるので、

観るのどうしようかな〜と思っていた映画 「ゴジラ」。

どうしようかな〜 とか書いているけど、

先月には “予習として” 、1954年の第1作、

「ゴジラ 60周年記念 デジタルリマスター版」 を

観に行ったぐらいやから、結局、観るねんけどな。

で、21世紀のゴジラは、どうだったかというと、

世界中でヒットしているとかいう話やけど、

私としては、微妙やったなぁ。

頑張ったのは、わかるけど。

まず、鳴き声が違う。

ほんで、見た目も微妙に違う。

なんか不細工。

出てくるの、ゴジラだけかと思っていたら、

違う怪獣もオスメス2匹 (頭?) 出てきてんけど、

そいつらがどう見ても美しくない。

カッコ悪い。

なんやねん、ゴキブリの化物か?

ネタバレになるが、最後にゴジラは

死んだのかと思ったら、起き上がって海に帰っていく。

続編ありきみたいな終わり方もどうかなぁ。

どうせなら本作で、100%燃焼して欲しかったなぁ。

他にも色々ツッコミどころありな上に

ドキドキハラハラ感もほとんどなく・・・。

渡辺謙も、別に彼でなくても良かった感があるし。

もう、子供の頃に興奮したゴジラには、

会われへんのかな、と思ったら、

ちょっと寂しくなった52歳の夜でした。


★★★▲☆





2014.8.17

ワン・チャンス 2回目
ONE CHANCE


4月に観た映画 「ワン・チャンス」 を再び観てきた。

携帯電話ショップの販売員から一転、

プロの歌手になった、ポール・ポッツの物語だ。

来月のポール・ポッツの来日公演のチケットを

取っており、その予習も兼ねてもう一度観ておこうと

思ったのだ。

もちろん大筋は覚えているのだけど、

4ヶ月も経つと、細かい部分は覚えていないものだな。

おかげで結構楽しめた。

サクセス・ストーリーと、ラヴ・ストーリーが

うまく絡み合った良い脚本だと思う。

オーディションの決勝の部分を あえて描かず、

それまでの道のりを丁寧に描いたことも良かったと思う。

そして、ヒーローとヒロインが、

お世辞にも美男美女でないところが、良い。


★★★★☆





2014.8.31

もういちど

落語ファンとしては、観ないわけにはいかない

林家たい平出演の映画 「もういちど」。

8月23日に公開されたのだが、調べてみると、

神奈川県下では6箇所、埼玉県下では7箇所の映画館で

上映されているのに、東京都内では4箇所だけだ。

しかも、23区内では板橋の映画館だけ。

どういうわけか、イオンシネマという映画館でしか

上映されていないのだ。

事情は、よう分からんけど、

23区内で1劇場はないやろ。

というわけで、仕方なく一番近い、

みなとみらい (横浜) のイオンシネマまで

観に行ってきた。

出演は、林家たい平、富田靖子、ガレッジセールのゴリ、

渡辺正行、小倉久寛、三遊亭金馬 (4代目)、

子役に、福崎那由他、大野百花。

企画・落語指導は、林家たい平。

たい平の落語愛と落語を広めたいという思いが

たっぷり詰まっていて、ストーリーは大したことないのだけど、

泣かされてしまう作品。

結構、稽古したんだろう、たい平に弟子入りする

福崎那由他 演じる貞吉の最後の 「時そば」 は

中々のもの。

沖縄人、ゴリの江戸っ子ぶりも見物。

主題歌は、浜田省吾。


もういちど オフィシャルサイト


★★★★▲




黄金のメロディ
マッスル・ショールズ


昨日、ビルボードライヴに行った時に、

たまたま 「マッスル・ショールズ」 と書いたチラシが

目に入った。

見てみると、マッスル・ショールズの

ドキュメンタリー映画のチラシだ。

7月12日公開と書いてある。

(げっ、こんなマニアックな映画、そんなに長いこと

やってへんぞ) と慌てて調べてみると、

六本木の映画館で、1日1回上映、

なんと!今日が最終日。

というわけで、横浜から六本木に移動。

なんとか、最終上映に間に合うことが出来た。


アメリカ、アラバマ州の田舎街、マッスル・ショールズが

世界的に音楽ファンに有名なのは、60〜70年代、

アレサ・フランクリン、ウィルソンピケット、

パーシースレッジ、キャンディ・ステイトン、

クラレンス・カーターなんかかがこの町の

ミュージシャンを使って、この町のスタジオで録音し

ヒット曲を飛ばしたおかげなのだ。

ウィルソン・ピケットの

「ダンス天国 (Land Of 1,000 Dances)」 や

「ムスタング・サリー」 「ヘイ・ジュード」、

「イン・ザ・ミッドナイト・アワー」、

パーシー・スレッジの

「男が女を愛するとき (When A Man Loves A Woman)」、

クラレンス・カーターの「パッチス」、

ローリング・ストーンズの 「ブラウン・シュガー」 などは、

皆 マッスル・ショールズ・サウンドだったのだ。

おまけに この映画を観て初めて知ったのは、

そのバックを演奏していたのが全員白人だったこと。

スタックスのブッカーT&MG'S には、

ダック・ダンとスティーヴ・クロッパー、

2人の白人が混ざっていたことは知ってたけど、

ウィルソン・ピケットやアレサみたいな、

ディープなソウルの演奏が白人だったとはね。

ボノが、「スーパーの店員みたいな白人」 と

そのミュージシャンのことを言ってたよ。

ウィルソン・ピケットに 「ヘイ・ジュード」 の

カバーをやろうと持ちかけたのは、

オールマン・ブラザーズ結成前、

スタジオで稼いでいたデュアン・オールマンだったとか、

デュアンは、仕事を取るため、

スタジオの前にテントを張って、粘っていたとか、

彼の演奏に使われているスライドバーは、

コリシディンという薬のビンなのだが、

その薬は、弟のグレッグがデュアンにあげたものだったとか、

興味深い話満載だった。

そして、マッスル・ショールズ・サウンドの創始者、

リック・ホールという人のことも

この映画で初めて知った。

ミュージック・ビジネスの厳しさも描かれているし、

映画 「フォレスト・ガンプ」 は、

アラバマが舞台だったので、あの映画と合わせてみると、

アメリカの現代史の勉強にもなる感じ。

印象に残ったのは、人種差別が激しかった時代、

スタジオの中では、黒人と白人が混ざって音楽を

作っていたけど、人種問題に起因するトラブルは

一度も起こらなかったという話。

ミュージシャンの一人が、アレサのことを 「ベイビー」 と

呼んだので、アレサの旦那が怒って もめた話はあったけど。


インタビューに出演するのは、

ミック・ジャガー、キース・リチャード、

アレサ・フランクリン、ボノ、ジミー・クリフ、

スティーヴ・ウィンウッド、ウィルソン・ピケット、

パーシー・スレッジ、アリシア・キーズ、

グレッグ・オールマン、エタ・ジェイムス など


レイナード・スキナードの

「Sweet Home Alabama」 の良さが

よくわかる映画。

原題は、ずばり 「MUSCLE SHOALS」。


オフィシャルサイト


★★★★☆





2014.9.6

マシュー・ボーンの 「白鳥の湖」

バレリーナの名前なんて一人も知らんねんけど、

一度は、観に行きたいと思っていたバレエ。

夜は、東急シアターオーブ で 「白鳥の湖」 を観てきた。

今日と明日は、プレビュー公演ということで、

来週からの本公演より、少し (2000円) 安い。

マシュー・ボーン というのは、演出・振付をした人で

その世界では、きっと有名なのだろう。

何も分からずに観に行ったのだが、

いわゆるクラシックの 「白鳥の湖」 ではなく、

マシュー・ボーンによる、現代版の 「白鳥の湖」 の

ようだった。

携帯電話とか、出てきたからね。

「白鳥の湖」 については、あらすじさえ知らず、

予備知識ゼロだったため、ストーリーが

よく分からなかった。

セリフなしの舞台やからね。

その上、時々訪れる睡魔がひどかった。

いや、観たいねんで。

演技が眠たいんとちゃうのに

どういうわけか、今日は、睡魔の日やったなぁ。

それにしても、あの肉体はスゴイね。

男も女も、美しい。


スタッフ
演出・振付:マシュー・ボーン
美術:レズ・ブラザーストン
音楽:ピョートル・チャイコフスキー

出演 (ニュー・アドベンチャーズ)
ザ・スワン/ザ・ストレンジャー:クリス・トレンフィールド
王子:クリストファー・マーニー
女王:アンジャリ・メーラ
ガールフレンド:キャリー・ジョンソン
ほか
(上記は、本日のキャスト)







2014.9.23

柘榴坂の仇討

ぜひ観たいと思っていた映画 「柘榴坂の仇討」。

「柘榴坂」 は、「ざくろざか」 と読む。

出演は、井伊直弼に中村吉右衛門。

その井伊直弼を守れなかった家来、

志村金吾に中井貴一。

その妻、セツに広末涼子。

金吾の仇、佐橋十兵衛に阿部寛。

そのほか、藤竜也や高嶋政伸、吉田栄作など。

金吾は、大老の警護を務めていたが、

守ることができなかった。

本来なら切腹してお詫びをするところだが、

切腹も許されず、ただただ仇討ちを命じられ、

13年間、敵を探し続けるのだ。

その間に明治維新があり、侍の時代は終わり、

藩は解散し、仕えていたお家さえ無くなるのだが、

金吾は、仇探しを続ける。

その根っこにあるのは、

自分が命をかけても守ると言っていた

主君を守れなかった無念さはもちろんだが、

それ以上に、ただただ、

主君が好きだったという思いと忠誠心なのだ。

こんなことは、今の時代では考えられない。

見方を変えればナンセンスなようにも見えるが、

忠臣蔵同様、日本人の心には響くのだな。

そして、江戸末期から明治へ、

その世の中の大変動の感じが

上手く描かれていたと思う。

西洋文化がどんどん流入してくる中で

ちょん髷を結い、袴をはいて刀を腰に差し、

武士であることを貫いた言わば、

ラストサムライの物語でもある。


仇討という過去に縛られていた男と、

仇討ちされるのを待っているかのように

ひっそりと13年間、生きていた男。

そこに、夫を支える健気な妻の物語もあり、

涙なくしては観られましぇん。

あえて苦言を呈するなら、

金吾のことは十分に描かれていたが、

仇の十兵衛の13年の苦悩ももう少し、

描いて欲しかったな。


映画の終盤の舞台になるのが 「柘榴坂」 で、

どの辺のことだろうと調べてみると、

なんと品川駅から西側に上がる、

品川税務署のある通りのことだ。

ここなら、何度も歩いたことのある坂だ。


★★★★★





2014.9.28

マルティニークからの祈り

テレビから入ってくる映画の情報は、

本当に一部で、良い作品の情報とは限らない。

そんなにたくさんテレビを観るわけではないので、

特に私が目にするような情報は、

お金をかけられる配給会社の宣伝であることが多い。

良い作品を観るためには、積極的に

情報を見ている必要がある。

幸い、今はインターネットのおかげで、

公開中や今後公開される作品の情報は

簡単に手に入れることができる。

さて、昨日観た 「マルティニークからの祈り」 の

ことも公開から3週間以上経っていても

私は知らなかった。

週末に何か映画を観ようと探してみて

見つけた作品 (韓国映画) だ。


フランスで麻薬密輸容疑をかけられ、

2年以上、投獄された平凡な主婦の物語。

映画の冒頭、「実話をもとにしたフィクション」 と

テロップが出る。

2006年に韓国で放送されたドキュメンタリー番組を

もとにしたドラマということで、映画では

そのドキュメンタリーが世論を動かす様も

描かれている。


なぜ、主人公の主婦はそんな容疑をかけられたか。

そもそもは、旦那がと友人の借金の保証人に

なっていたことに始まる。

そこからの貧困のため、「金の原石を運ばないか?」 という

いかにも怪しい仕事を引き受けてしまうのだった。

異国で逮捕された時の恐ろしさは、

言葉の通じなさだ。

犯罪者のためにわざわざ通訳など用意してくれない。

それに加えて、在仏の韓国大使館の怠慢。

韓国では今年、大型フェリー沈没事故で、

企業や役所の酷さが大きく報道されたことも

記憶に新しいが、この事件は2004年に起こっている。

逮捕されたことは、本人のしたことだから

仕方がないとしても、もし韓国外務省が素早い対応を

していれば、彼女は765日も投獄されることもなく、

もっと早くに帰国できたことは間違いない。

どこまでがフィクションなのか分からないけど、

韓国の役人の怠慢さ、無責任さには、

憤りを感じずにはいられない。

同じことが日本人の身に起こった場合、

日本政府は、どんな対応をするのだろう。

投獄されたところが、フランス本国ではなく、

管轄の事情でカリブ海のマルティニーク島で

あったことも長引いたことの一つだろう。

もし、パリだったら、もう少し簡単だったかも知れない。

そして、こういう刑務所が舞台になる映画につきものの、

刑務官の酷さ。

ホンマにこんなヤツがおるんかな、というぐらい悪い。

でも、おるんやろなぁ。


主演のチョン・ドヨンが素晴らしい。

母国の恥部とも言える部分をさらけ出せる、

製作者も素晴しいと思う。


結構、泣きます。


★★★★★


マルティニークからの祈り Official Site




プロミスト・ランド

マット・デイモン主演の社会派映画。

こちらは、フィクション。

天然ガスの会社の社員であるスティーヴ (マット・デイモン) が、

田舎町に、新しいエネルギーとして注目されている、

シェールガスの採掘権を獲得しにやって来る。

当初、うまくいくかのように見える町の人達との交渉だが、

途中で 「採掘をすると土壌や水質が汚染される」 とする

反対派の障害が立ちはだかる。

後半、住民投票を前に、彼は衝撃の真実を知ることになる。

その真実を知った彼の判断を、

「甘い」、「そんなことで曲がる程度の信念なのか」

と批判的に書いているレビューを見たが、

私はそうは思わなかった。

彼は良い人なのだ。

だからこそ、その真実はショックであったはずだ。

もっとワルでしたたかなら違っただろう。

彼が住民の前で演説する中に

こんな内容の言葉があった。

「採掘をしても環境破壊はないと思っている。

でも、もし環境破壊が起こったときどうするか、

私は言葉を持っていない。

どちらに行くべきか、今、私たちは試されている」


善悪ではない、深いメッセージを感じた。


★★★★▲


プロミスト・ランド Official Site





2014.10.3

ルパン三世

8月30日に公開され、「観に行かな」 と

思っていた 「ルパン三世」 をやっと観てきた。

キャストは、ルパン三世に 小栗旬。

結構、ハマっていたと思うな。

そのほか、次元大介に 玉山鉄二、

石川五ェ門に 綾野剛、峰不二子に 黒木メイサ、

銭形警部に 浅野忠信。

ストーリーに全く関係ない飛行機の

客室乗務員に 山田優 (小栗の妻ね)。

彼女を見たルパンがニヤニヤしていたのが、

面白かった。


印象としては、アニメの原作を尊重しつつも、

「アニメとは違うぞ」 という主張も感じたね。

テーマ曲があの曲ではなかったことが、

その最大の表現だと思うし、次元や五エ門以外にも

仲間がいるあたりもそう感じた。

とはいうものの、銭形のとっつぁんは、

ICPOだと言いながら、「埼玉県警」 と書かれた

メガホンを持っていたり、パトカーがやたら

昭和だったりと、何気ないこだわりも感じた。

でも、残念ながら、そんなに言うほど

面白くはなかったなぁ。

アクション・シーンにアップが多いカメラ・ワークは

イマイチ何やってるか分からんし、見にくい。


★★★▲☆


ルパン三世 オフィシャルサイト




フライト・ゲーム

予告編を観て、面白そうやなと

思っていた映画 「フライト・ゲーム」。

ニューヨーク発ロンドン行きの航空機に

乗っていた航空保安官ビルの携帯に

1億5千万ドルを指定口座へ振り込まないと

20分に1人乗客を殺すと脅迫のメールが届く。

乗客146人が容疑者だが、全く手がかりがつかめない。

そのうち、地上ではビルが犯人になってしまう。

その主人公ビルに リーアム・ニーソン。

隣の席に座る乗客に ジュリアン・ムーア。

手に汗握るというほどではないが、107分間、

結構なスピードの展開で、息をつく暇はない。

誰が犯人か、皆目見当がつかない。

しまいには、このビルがおかしいというオチちゃうかと

思ってしまう。

前半のほとんどのシーンが伏線という

脚本も中々よく出来ている。

アメリカらしい娯楽映画で、

結構、楽しめる。


★★★★▲


フライト・ゲーム オフィシャルサイト





2014.10.5

ジャージー・ボーイズ

クリント・イーストウッド監督の最新作、

しかも音楽モノということで、

「これは、観なければ」 と思っていた映画、

「ジャージー・ボーイズ」。

私は、深く考えずに 「Jazzy Boys」 だと

思っていたら、「Jersey Boys」 だった。

「ジャージー」 は、主人公たちの出身地、

ニュージャージー州のことだった。

よく考えたら、「Jazzy」 なら 「ジャジィ」 やもんね。


さて本作、ブロードウェイ・ミュージカルの

映画化ということだったが、セリフを歌うような

ミュージカルではなく、歌は全て、演奏シーンのみ。

出演者が時々、カメラ目線で、

説明をするがそれも違和感なし。

1960年代に大ヒットを飛ばした

フォー・シーズンズというバンドの物語で、

主役は、メイン・ヴォーカルのフランキー・ヴァリ。

よく、こんな歌の上手い役者おったな、

さすがはアメリカやなぁと思っていたら、

フランキー役のジョン・ロイド・ヤングは、

「ジャージー・ボーイズ」 ブロードウェイの

オリジナル・キャストだった。

他にもミュージカルの舞台に立っていた

メンバーもおり、なるほど、それならと

納得のキャストだった。

フォー・シーズンズは、大成功のあと、

バラバラになる。

大成功の裏には、金の問題、家族との問題、

メンバー間の人間関係など、いくつもの

問題があったのだ。

私は、フォー・シーズンズの世代ではないが、

さすがに大ヒット曲 「シェリー」 は知っていた。

「誰の曲?」 と訊かれても答えられへんかったやろけど。

「シェリー」 の発売は1962年なので、

私が生まれた年だ。

そして、「君の瞳に恋してる」。(1967年)

この曲は、フォー・シーズンズではなく、

フランキー・ヴァリのソロとしてリリースされ

大ヒットした。

原題は、「Can'T Take My Eyes Off You」。

「Of」 だと思っていたら、「Off」 だった。

「君から目が離せない」 という意味。

「My Eyes Of You」 って、おかしいわな。

1982年にボーイズ・タウン・ギャングが

カバーして、ディスコで大ヒットした。

ハッキリ覚えてるねんけど、初めて聴いたんが

ディスコで、あまりに何度もかかるもんで、

DJ に 「誰の曲ですか?」 って聞きにいったもんね。

その時は、ボーイズ・タウン・ギャングが

オリジナルやと思てたけど、ずっと後になって、

もっと古い曲のカバーだと知った。

でも、名前までは覚えられへんかった。

この映画のおかげでしっかり頭に入ったわ。

この曲は、名曲やもんなぁ。


マフィアの親分役のクリストファー・ウォーケンが

渋すぎます。


ジャージー・ボーイズ オフィシャル・サイト


★★★★☆





2014.10.12

ふしぎな岬の物語

モントリオール世界映画祭で、

審査員特別賞グランプリと

エキュメニカル審査員賞の2つの受賞をした映画

「ふしぎな岬の物語」。

主演は、吉永小百合と阿部寛。

そのほか、笑福亭鶴瓶、笹野高史、竹内結子、

石橋蓮司、井浦新、吉幾三、米倉斉加年、

春風亭昇太、小池栄子ら。

それに、岬村青年団フォーク愛好会という役で

堀内孝雄、 ばんばひろふみ、杉田二郎、

高山巌、 因幡晃の5人が出演し、歌っていた。

監督は、「孤高のメス」 「八日目の蝉」 の

成島出 (なるしま いずる)。

特にドラマチックなストーリーではないが、

人と人とのつながり、別れについて

静かに語りかけてくるような作品。

他人である近所の人達と、まるで家族や親戚のように

付き合っている、コミュニティの物語でもある。

ああいう人との繋がりは、特に都会では希薄で

ちょっと大人のファンタジーのようでもあるが、

私が知らないだけで、地方に行けば、

実際にあるのかもしれない。


配役は、石橋蓮司のお坊さん役だけ、

なぜか違和感があった。

あの人にお坊さん役は似合わないな。

春風亭昇太は、結婚できなかったけど

やっと結婚できるというハマり (?) 役。

先日の落語会で、映画の裏話というか

ほとんど吉永小百合の話をしていた。

打ち上げで、お酒ついでもらったとかね。

音楽は、村治佳織のギターの音色が美しい。


★★★★☆


ふしぎな岬の物語 オフィシャルサイト




蜩ノ記

今日は、邦画2本を鑑賞。

2本目は、役所広司、岡田准一、原田美枝子、

堀北真希 出演の 「蜩ノ記」。

「蜩」 は、「ひぐらし」 と読む。

セミですね。

原作は、葉室麟という人の直木賞受賞作。

役所広司演じる 戸田秋谷 (とだしゅうこく) は、

事件を起こし、10年後の切腹を命じられる。

なぜ10年後かというと10年かけて、

家譜 (藩の歴史をまとめたもの) を

編纂し完成させることを命じられたのだ。

残り3年というところで、岡田准一演じる

檀野庄三郎 (だんのしょうさぶろう) が、

その見張り役に命じられる。

檀野は、戸田と暮らすうちに、

その人柄に惚れ、やがて、切腹を命じられた

事件の真相を知ることになる。


物語はフィクションだとは思うが、

この時代の武士の生き方には、

感服せざるを得ない。

先日観た 「柘榴坂の仇討」 然り、

やはり役所広司主演の 「最後の忠臣蔵」 然り。

ネットで読んだレビューの中に

藩を会社に置き換えていたものがあったが、

それには無理がある。

そもそも、お家 (藩) というものは、

現代社会の会社に置き換えられるような

ものではなかっただろう。

お家のためなら、殿のためなら、

喜んで命を差し出す、そういう器が

お家 (藩) なのだと思う。

それは、「柘榴坂の仇討」 や

「最後の忠臣蔵」 でも 貫かれている。

明治維新のあと、その 「お家」 が 「お国」 に変わり、

「お国のためなら命を差し出す」 ということに

なるのだが、それはさておき。


本作の 戸田秋谷 も 檀野庄三郎 も

その生き方が美しい。

潔さ、責任の取り方には、あこがれを禁じえない。

戸田は、殿との契り、お役目を全うすることのみが、

最重要で、全くブレない。

何ひとつ、誰かのせいになどしない。

みじんも曇りがない。

そして、切腹を目前にした、

あの清々しさはなんだ。


戸田の息子・郁太郎は、元服前だから、

12〜14歳ぐらいの設定だと思うが、

とんでもない子供だ。

何がとんでもないかは、

ネタバレになるので 控えるけど。

この息子役を演じたのは、吉田晴登 という

200人の中からオーディションで

選ばれたという中学生。

この子の所作だけでも美しいと思った。


この映画は理不尽を描いている。

それを理不尽とせず、

自分の選択としている戸田の生き方に

心を打たれるのだ。

爪の垢でも煎じて飲みたい。

義を見てせざるは勇なきなり、か。

耳が痛いのう。


残念なのは、途中ちょっと分からない点が

あったことやな。

でも、静かに心に染みてくる作品です。


★★★★★


蜩ノ記 オフィシャルサイト





2014.10.15

ミリオンダラー・アーム

映画 「ミリオンダラー・アーム」 を観てきた。

仕事がうまくいっていないスポーツ選手の

エージェントが、クリケット選手のボールの速さに

目をつけ、剛速球のメジャーリーガーになる逸材を

発掘しにインドへ行く。

「ミリオンダラー・アーム」 というコンテストを

各地で開催し、勝ち抜いた2人の若者を

アメリカへ連れて帰るが、彼らはグローブさえ

見たことのない、野球に関しては

全くの素人だった。

コーチについて、トレーニングを始めるが、

スポンサーからは、1年でメジャーリーガーにせよ、

と指令を受けていたのだった。


そもそも、ほとんど野球をしてない国インドへ

剛腕ピッチャーを見つけに行くという企画自体、

奇想天外なのだが、この映画、実話なのだ。

で、2人のインド人青年は、野球を始めて

わずか10ヶ月で、プロの入団テストに合格し、

パイレーツと契約。(2008年)

実話でなければ、

「そんなうまいこと いくかいな」 と

言いたくなるところだが、実話なのだから、スゴイ。

そして、ただのサクセス・ストーリーなのではなく

主人公であるスポーツエージェント、

JB・バーンスタインの人間としての成長も描いた

ヒューマン・ドラマに仕上がっていて、

途中何度か、私のゆるい涙腺は決壊。

インドの青年2人も良いし、

タダで働かせくれとインドで申し出、

アシスタント&通訳として働く、

アミトの存在も大きい。


夢を見ることさえ知らないインドの村の若者の

人生が大きく変わる物語でもある。

映画のラストに本人たちの写真が出てくるので、

リアリティが増す。

これで、メジャーの1軍でガンガン活躍していたら、

もっと凄いけど、そこまでではない。

(野球始めて10ヶ月でメジャーで通用したら、

子供の頃から一生懸命練習してる人たち

やってられへんやん。)

アメリカの入団テストにパスしただけで

十分、ドラマがある。


主演のJB・バーンスタイン役は、ジョン・ハム。

インド人青年のひとりは、

「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」 の

スラージ・シャルマ。

もうひとりは、「スラムドッグ&ミリオネア」 の

マドゥル・ミッタル。


「マネーボール」、「42 世界を変えた男」 も

良かったし、アメリカの野球関連映画はいいね。

ああ、この2作も実話や。


★★★★★


ミリオンダラーアーム オフィシャルサイト

これ、ディズニー映画です。





2014.11.7

ジョゼと虎と魚たち

昨日、映画 「ジョゼと虎と魚たち」 を観てきた。

これは 犬童一心監督の2003年の作品で、

目黒シネマで、犬童一心監督特集として

「メゾン・ド・ヒミコ」 と2本立てをやっていたのだ。

「メゾン・ド・ヒミコ」 は 2008年に劇場で観たが、

「ジョゼと〜」 は観ていなかったのでこの機会に鑑賞。

(昨日は、「ジョゼ〜」 のみ鑑賞。)


11年前の作品とあって、主役の妻夫木聡が若い。

大学生役だ。

上野樹里、新井浩文も若い。

そして、ヒロインの池脇千鶴が良い。

とても良い。

舞台は、大阪。

原作は未読だが、田辺聖子の小説なので

原作でも大阪が舞台なのだろう。

池脇千鶴は大阪出身なので、大阪弁も問題なし。

これ、非常に重要ですね。

役者の下手くそな大阪弁ほど興ざめするものはない。

上野樹里も、大阪弁が自然だった。

「スウィングガールズ」 のイメージ (東北弁) が

強かったので意外だったが、調べてみると

兵庫県出身で納得。

妻夫木くんは、九州 (かな?) 出身の役なので

大阪弁は話さない。

新井浩文 (青森県出身) の大阪弁は微妙に変。

他にも数人 「やめてくれ〜!」 と

言いたくなるような大阪弁があった。

これは、減点ですわ。


さて、肝心の映画の内容の方だが、

途中まで、というか終わる直前ぐらいまで

すごく良かった。

★5つ確定っぽかったのに、

あの終わり方は、イヤやなぁ。

個人的には・・・。

以下ネタバレ。

恒夫 (妻夫木) は、身体障害者のジョゼ (池脇) を

捨てて、というか逃げるように 家を出ていく。

それはええねん。

若い2人に別れが訪れたのはしゃーない。

嫌やったんは、その後、元カノ・香苗 (上野) と

よりを戻していることが分かること。

そのくせ、恒夫はその香苗の前で、

ジョゼと別れてきたことに、

感極まって泣き出すねん。

香苗なしで、恒夫一人で泣いたら、

私もきっと一緒になって嗚咽を漏らしたと思う。

香苗は、可愛いけど ちょっとイヤな女やったし、

なんか、ジョゼを捨ててあの女のもとに行ったことが

すごくイヤやった。

まあ、非常に評価の高い作品なので

好みの問題なのでしょうけど。


くどいけど、池脇千鶴のジョゼは、ホントに良いです。

切なくて 胸を締め付けられます。


★★★★☆





2014.11.18

健さん

死んでしもたな。

健さん。

83歳。

私の親父と同級生。

(同じ年という意味ね。知り合いじゃないよ。)

昔の彼女が健さんのファンで、

映画 「ブラックレイン」 の撮影が大阪であった時、

ある日、彼女の住んでいたマンションの前の広場に

ロケ隊の車が止まっていた。

もしかしたら、健さんを会えるかもしれないと

2時間だったか3時間だったか、

寒空の下で、健さんが現れるのを待ち続け、

ちらっと見ることができた、と嬉しそうに

話していたのを思い出した。

その 「ブラックレイン」 を最後に松田優作は

逝ってしもた。

そして、健さんも逝ってしもた。


健さんといえば、若い頃 テレビで観た、

「昭和残侠伝 唐獅子牡丹」 が好きやったなぁ。

またひとつ、昭和の火が消えました。

合掌。





2014.11.19

MUSICAL マザー・テレサ
愛のうた


マザー・テレサの生涯を歌で綴った

ミュージカルを観てきた。

@ シアター1010ミニシアター (北千住)

妻の知人が出演しているのだ。

大人と子役合わせて20人ほどが出演し、

セリフは 98% は歌だ。

私は、どちらかというとセリフが歌になっている

ミュージカルは好きではないのだが、

それほど嫌な感じはなく観ることができた。

というのも、普通にセリフを喋っていて、

突然歌い出すのではなく、始めっからずっと

歌なので、ストーリーのあるコンサートのような

感じだったのだ。

演奏は、ヴァイオリン、ピアノ、アコースティック・

ギターというトリオ。

作曲、アレンジも大変だっただろうし、

役者さんたちが歌を覚えるのも大変やったやろな、

という舞台。

特にマザー・テレサ役の土居裕子は、歌も上手く

説得力もあり、マザー・テレサが乗り移っているような

迫力の演技だった。

あの人に面と向かって何か言われたら、

「できません」 とは言えないねって感じ。

内容は、マザー・テレサの人柄を知るには

十分な物語で、非常に強いメッセージがあった。

パンフレットに、脚本・作詞・演出・振付をした

ハマナカトオルのこんな言葉があった。

「(前略) これからの世界には、マザー・テレサが必要だと

考えています。資本主義社会に生きている私たちの

頭のどこかに、マザー・テレサを住まわせた方がいいと

思っています。(後略)」

なるほど、この舞台は 「世の中にマザー・テレサを」 が

コンセプトなんだと納得。

途中、「大丈夫。あとは神様がなんとかなさってくれる」

というマザー・テレサのセリフがある。

その時は、なんとポジな、と笑ってしまったが、

考えてみたら、そこに至るまでに彼女は、いつもいつも、

大変な苦難を乗り越えてきており、そして最後に

「人事を尽くして天命を待つ」 の心境に至っているのだな。

私は鉛筆。

描くのは神様。

そこまで言い切れる、エゴのないマザー・テレサ。

今更ですが、参りました。







2014.12.17

紙の月

映画鑑賞は大好きで、

多い月には7〜8本劇場で観るのだが、

ここんとこ ライヴ (の準備) や旅行で

1ヶ月以上 観に行けてなかった。

今日は、思い切って (?) 2本観てきたぞ。

まず、宮沢りえ主演、「最も美しい横領犯」 という

謳い文句の 「紙の月」。

原作は 「八日目の蝉」 の角田光代。

監督は 「桐島、部活やめるってよ」 の吉田大八。

舞台は1994年。

平凡な銀行員 (宮沢りえ) が

大学生 (池松壮亮) との不倫に走り、

お客さんの預金数千万円を横領するという話。

不倫だけなら良かったのに、

大学生に対し金持ちのふりを続けるために

どんどん深みにハマってくのだった。

宮沢りえを観るには良い映画だと思うが、

作品としては イマイチ物足りんかったな。

2人の恋の落ち方も もうちょっと

描いて欲しかったなぁ。

いきなりホテルやからなぁ。

まぁ、そういうもんやいうのも分からんではないけど。

ラストも ちょっとどうかなぁって感じ。

あれはあれで、もしかしたら

深い意味があるんかもしれんけどね。


こんなこと、続くはずがないと思っているのに

やめられへんねんな。

人間て転がりだしたらコワイっちゅうことや。

そういえば、「八日目の蝉」 も悪いことと知りつつ、

人の子を誘拐して育てる話やったな。


★★★▲☆




寄生獣

2本目は 「寄生獣」。

主演は 「WOOD JOB! (ウッジョブ)

神去なあなあ日常」 でええ味出してた染谷将太。

本作も良かったです。

彼、良いです。


知らんかったけど、原作は80〜90年代の

コミックで、今年はテレビアニメにも

なったようだ 。

過去にはハリウッドでの映画化の話も

あったようだが 実現しなかったそうだ。


人間を食料にするパラサイトが、

人間の脳に寄生し、

人間を食いつくそうという話。

そのパラサイトの1匹が、染谷将太演じる

高校生 泉新一の脳の寄生に失敗し、

彼の右手に寄生する。

その右手が目玉と口を持っていて、

コミカルに描かれているのだが、

人間を食すシーンなどは、ややグロテスク。

そして、新一は人間の身体に住む

寄生獣と戦うことになるのだ。

監督は、「ALWAYS 三丁目の夕日」 シリーズの

山崎貴なので SFX は素晴らしい。

物語は、言わば SF で奇想天外だが 面白い。

そして、考えさせられる要素もある。

母の愛に感動させられたりしてしまう。

ラストは、いかにも 「続編あり」 な終わり方だと

思ったら、エンド・クレジットのあとに

「完結編」 の予告編!

続編があることを知らずに観たのだが、

これは観たくなるねぇ。

面白そうです。


エンド・クレジットで 阿部サダヲ の

名前があって (えっ? どこに出てたん?) と

思ったら、主人公の右手に寄生した、

ミギー の声の出演だった。


★★★★▲





2014.12.27

フューリー

ブラッド・ピット主演の戦争映画、

「フューリー」 を観てきた。

タイトルの 「FURY」 は、主役のピット扮する、

ドン・コリアーが車長として乗る戦車 (米軍の

M4中戦車シャーマン) に付けられた名前で

「激しい怒り」 という意味だ。

1945年4月のドイツ、副操縦士を失ったフューリーに

実戦経験のない、新米兵ノーマンが配属される。

ノーマンの兵士としての成長は、

つまりは 「戦争は人殺し」 「子供でも兵士は殺せ」

「殺らなければ殺られる」 ということを学ぶことだった。

言い換えれば、正気でなくなっていくことが、

戦場で生き残ることの条件なのかもしれない。

戦争の悲惨さ、愚かさ、恐ろしさを描いた

作品であると同時に、

手に汗握る戦闘シーンも多く、

何よりブラッド・ピットがカッコよく、

見どころは満載だ。


ここからネタバレ注意。

ナチスの SS (親衛隊) は、非道に描かれている。

戦うことを拒否したドイツ国民を

見せしめに街の中に吊るしたりするのだ。

アメリカ兵は、その SS を許せず、

降伏してきた SS を撃ち殺す。

だが、ラスト、ノーマンは SS に命乞いし、

見逃してもらうというのは なんとも皮肉な話だ。


それから、あえて苦言を呈するなら、

最後に戦車の中に手榴弾を投げ込まれ、

ドンは死んでしまうのだが、ただ一人

助かったノーマンが戦車に戻ると、

ドンの死体がそのままあるのだ。

戦車の中で、手榴弾が爆発したら、

死体は粉々になるんじゃないだろうか。

それ以外のシーンでは、いろんな場面で

かなりえげつないとも言える、

死体や死体の一部が映るので、

リアリティのある映画を作るなら、

貫き通して欲しかったと思う。

映画としては、ノーマンが戦車に戻って、

ドンの死体にジャンパーをかける、

あのシーンが欲しいのは分かるねんけど。


もう一つ、これは字幕のことだが、

ドイツ軍の戦車を 「ティーガー」 と書いていた。

私は、小学生の頃、戦車のプラモデルを

いくつも作ったが、その戦車は、

「タイガー」 だった。

調べてみると、「ティーガー」 というのは、

「Tiger」 のドイツ語読みだ。

映画の中ではアメリカ兵が 「タイガー」 と

言っているのに、

なぜ 「ティーガー」 にしたんやろ。

ちょっと不自然で気になった。


★★★★▲




ゴーン・ガール

デヴィッド・フィンチャー監督作品。

デヴィッド・フィンチャーと言えば、

「ソーシャル・ネットワーク」 「ベンジャミン・

バトン」 「セブン」 などを作ってきた鬼才。

本作も一筋縄ではいかない、サスペンス・スリラー。

5年目の結婚記念日に妻エイミー (ロザムンド・

パイク) が失踪する。

夫、ニック (ベン・アフレック) はやがて、

妻殺しの犯人として疑われ始める。

そんな物語なのだが、

前半は、エイミーとニックの話が全然違い、

どっちが本当のことを言っているのか

分からない。

やがて、真実は明らかになるのだが、

コワイねぇ、女って。

という映画です。

ラストもスッキリしない終わり方だが、

2時間半を全く長く感じないほど、

物語に引き込まれてしまいます。


★★★★☆





2014.12.31

ゴーン・ガール

先日観てきたサスペンス映画 「ゴーン・ガール」。

妻に話すと、「観たい」 というので、

もう一度観てきた。

彼女は、サイコ・サスペンスが好きなのだ。

ホラーはダメやけど。


2回観るとかなり作品の理解が深まるなぁ。

当たり前やけど、1回目より変なストレスなしに

(1回目はそのストレスが値打ちあるねんけど)

映画を楽しめて、より深く理解出来る上、

1回目の誤解や、気づかなかったことに

気づけたりする。

以前、「字幕ものは3回観ないと理解できない」

と、映画の翻訳家が書いているのを

読んだ覚えがあるが、それも然りだ。

良くできた映画だということも分かったし、

観終えたあとの楽しみ、あの後どうなるかを

考えてみる材料も1回目より増えた。

そういうわけで、1回目は ★ 4つでしたが、

評価もアップ。


★★★★▲




インターステラー

今年最後の映画、本当は、

「バンクーバーの朝日」 を観たかったんやけど、

時間が合わず 「インターステラー」 を鑑賞。

監督は 「ダークナイト」 「インセプション」

などのクリストファー・ノーラン。

主演は、 「ダラス・バイヤーズクラブ」 で

アカデミー主演男優賞を受賞した、

マシュー・マコノヒー。

終わったら、なんと予告編開始から

3時間が過ぎていた。

映画は169分。

でも、一度も中だるみすることなく、

物語に惹きつけられた。

また後半になって 予想した安直な

ラストでもなく、SF なのに SF っぽくなく

どちらかというと、ヒューマン・ドラマに

ニューエイジというか、スピリチュアルな

要素も加わった、見応えのある作品だった。

冒頭、アメリカの田舎が舞台だが、

軍隊もなくなっている近未来というのにも

興味をそそられる。

地球は、異常気象で食糧不足になり、

植物の激減で、酸素も不足し、

人類は滅亡の危機に立たされ、

宇宙に、人類が移住できる別の星がないか

探しに行くという壮大なプロジェクトの話だ。

「相対性理論」 「重力の異次元移動」

「ブラックホール」 「ワームホール」 など

専門的な言葉も多く飛び出すが、

その辺は全くなんのことか分からずとも、

ストーリーにはついて行ける。

オフィシャルサイト のスペシャル映像

(約14分) を観ると、本作が非常に丁寧に

科学的に作られていることが分かる。


いつか、あんな風に宇宙を旅する時代が

来るのかも知れない。

ちょっと考えさせられるテーマでもある。


★★★★☆



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