2012年 映画・演劇・舞台 etc
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2012.1.4
年末年始に映画を3本鑑賞した。
大晦日に
『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』。
2日に
『ワイルド7』 と 『聯合艦隊司令長官 山本五十六』 の
合計 3本だ。
『山本五十六』 以外は、特に観たかったわけではないが、
時間の都合で選んだものだ。
そういう選び方をしても、希に素晴らしい作品に
当たることもあるが、今回はどうっだったのか、
以下をお読みください。
ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル
トム・クルーズ主演の 『ミッション:インポッシブル』 シリーズ。
前作 (2006年) も映画館で鑑賞したのだが、
最近は年を取ったのか、あんまりこの手の作品に
興味がなくなった。
大晦日、時間が空いてちょうど観られる作品が
本作だったので観ることに。
感想は、それなりにドキドキハラハラ面白かったけど、
テンポが速すぎて、内容がよく分からなかった。
悪者は、なんでミサイルを飛ばしたいのか、
悪者の誰と誰がどういう関係なのか、など。
それにしても、トム・クルーズは、よくやるなあ。
ドバイの高層ビルでのシーンは、
本人がスタントを行っている (らしい)。
とても私と同じ年 (49歳) とは思えない。
CG が発達した今となっては、どんなシーンを
見せられても、あんまりビックリしなくなったけど、
実写と言われると、「へぇ〜」 って感じ。
最後に トム・クルーズ の妻役の ミシェル・モナハン が
チラリと登場する。
先日観た 『ミッション:8ミニッツ』 (おお!ミッションつながり) で、
彼女のにわかファンになってしまった私は、ちょっとうれしかった。
(MI 前作にも ミシェル・モナハン が出演していたのだが、
あまり印象に残っていない。)
★★★▲☆
ワイルド7
原作は、望月三起也作の漫画。
1969年から10年間、少年キングに連載された。
小学生のときに何度か目にしたことは
覚えているが、真剣に読んだことはない。
今まで、テレビ・ドラマやアニメになった上、
今回の映画化なので、根強い人気があるということなのだろう。
主演は、瑛太。
他に 中井貴一、椎名桔平、宇梶剛士、深田恭子らが出演。
漫画で読んだら 面白かったのかも知れないが、
実写で観ると あまりに荒唐無稽で、突っ込みどころ満載。
★★▲☆☆
聯合艦隊司令長官 山本五十六
日本の歴史をもっと知らなあかんなぁ、と思った。
山本五十六の存在はもちろん、有名な山本五十六語録のひとつ、
「やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば
人は動かじ」 は、若い頃、誰かに教えられ、知っていた。
今回、改めて調べてみると、この言葉は、
上杉鷹山の 「してみせて 言って聞かせて させてみる」 から
影響を受けているとされている。
それは さておき (上記の言葉は映画に関係ありません)、
本作、出演者が、
役所広司、柄本明、柳葉敏郎、吉田栄作、阿部寛、
椎名桔平、伊武雅刀、玉木宏、香川照之、五十嵐隼士
田中麗奈、原田美枝子、宮本信子 等々、超豪華。
軍艦や飛行機も、昔の日本映画のようにちゃちではなく、
迫力がある。
しかし、作品全体の感想は、やや淡白な印象を受けた。
山本五十六の司令官、リーダーとしての魅力は、
描かれているように思う。
だが、大人物であっただけに、人間 五十六の
苦悩が、あまり表現されていないからかもしれない。
いや、表現されていないわけではない。
家族との食事の場面、妻に明治天皇からの贈り物を
手渡す場面、作戦遂行中に黙々と将棋を打つ場面などに、
彼の苦悩は、非常に控えめに描かれている。
冒頭に 「日本の歴史をもっと知らなあかんなぁ、と思った」 と
書いたのは、五十六が戦争に反対であったこと、
そして彼は、戦争を早期に終わらせることだけを考え、
戦争をしていたことを、今回初めて知ったからだ。
あの真珠湾攻撃でさえ、そのための作戦だった。
(そのまま全部信じるのは危険だが。)
これは、偏った見方かもしれないが、
戦死する前夜、飲めない酒を飲んだり、
護衛を増やすという部下の進言を拒んだりしたのを見ると、
自分の戦死を知っていたんじゃないか、
自分の力では、この戦争を終わらせることができないと、
思ってたんじゃないか、と思った。
本作は、反戦映画という感じがしないのは、
たぶん、五十六に焦点を当てて描かれたからだろう。
だが、現代人が学ぶべきことは随所に見られる。
残念だったのは、五十六の死を いささか美化しているように
感じだことだ。
★★★★☆
2012.1.6
永遠の僕たち
予告編を観て気になっていた映画 『永遠の僕たち』 を
観てきた。
エンドロールで "Memory of Dennis Hopper" と出てきたので、
(なんでかな?) と思っていたら、
主演の青年 (ヘンリー・ホッパー) は、デニス・ホッパーの息子だった。
(デニスは、一昨年74歳で死去。)
物語は、イーノック (ヘンリー・ホッパー) が、
癌で余命3ヶ月のアナベル (ミア・ワシコウスカ) に
出会うところから始まる。
イーノックが他人の葬式に参列する訳も、
高校に通っていない訳も徐々に明かされていく。
前半、驚いたのは2人の 「死」 への向き合い方だった。
あまりにも、死ぬことをさらりと日常的に描いているように
感じたからだ。
死が近づいてくることを、ただ、受け入れているかのように
見えるアナベル。
そのことを打ち明けられても、ショックを受けた風でもなく、
「準備を手伝うよ」 と言うイーノック。
悲観的でもなく、深刻でもなく、お涙頂戴風でもなく、
淡々と物語は進んでいく。
でも、本当にその日が近づいてくると、
やはり、イーノックの心は乱れる。
しかし、ラストはさわやかに締めくくられる。
ちょっと、物足りない感じがしたが、
鑑賞後、人のレビューを読んでみて、(なるほどそういうことか) と
自分の理解力と想像力のなさを 感じたしだい。
加瀬亮が、イーノックにしか見えない、神風特攻隊の
幽霊役で出演している。
これが良い。
英語も結構、上手い。
途中、(死期が近い病人が、そんなに元気に
遊びまわれるのか) と、突っ込みたくなったシーンがあったが、
本作は 幽霊 も出てくるし、ある意味、ファンタジーだから
いいのかな。
監督は 『ミルク』 のガス・ヴァン・サント。
原題 『RESTLESS』 (落ち着かない) に反して、
落ち着いた静かな、文学的作品。
死を扱っているが、暗くも重くもない。
★★★▲☆
2012.1.8
2011年のベスト
年末に余裕がなかったので、今さらだが、
2011年の映画とライヴを振り返りたい。
まず、映画。
昨年は、43本を映画館で鑑賞。
私のベスト5は、これだ。(順位は付けがたいので観た順)
1.『阪急電車 片道15分の奇跡』
2.『127時間』
3.『人生、ここにあり!』
4.『英国王のスピーチ』
5.『マネーボール』
この5本、並べてみるとあることに気付く。
『阪急電車 〜 』 を除く4本が、
実話に基づいている映画なのだ。
「事実は小説より奇なり」 というが正に。
そして、その4本には、人間の素晴らしさである 「勇気」 「希望」
「尊厳」 「気高さ」 「信念」 「コミットメント」 「愛」 などが、
散りばめられている。
ご覧でない方には、是非お薦めしたい。
次点は、『ミッション:8ミニッツ』、
残念賞 (ワースト) は、『手塚治虫のブッダ』 だな。
これは、製作陣に 「ほんまにこれでええと思てんの?」 と
訊いてみたい1本だった。
今年は、うれしいことがある。
あと7ヶ月ほどで、私は50歳になるのだが、
そうなると、「夫婦50割引」 が利用できるのだ。
「夫婦50割引」 は、夫婦のどちらかが50才以上なら、
映画の料金が夫婦で 2000円になるというもの。
2004年からの3年間のキャンペーンだったが、好評だったので、
今では 多くの劇場で恒常的なサービスとして実施されている。
夫婦で観に行った時だけに限られるが、
昨年でいえば、43本中 約半分は、妻と観に行ったので、
それらが、2人で2000円で観られるようになるというわけだ。
さて、次はライヴ、コンサートのベスト5。
観に行ったのは35本。
こちらは、強く印象に残っている順に。
1.上原ひろみ ソロ・ピアノ
4月13日 @Cotton Club
地震から約ひと月後、急遽決まったライヴ。
魂を揺さぶられるような演奏だった。
2.上原ひろみ The Trio Project (feat. Anthony Jackson & Simon Phillips)
9月3日 東京JAZZ @東京国際フォーラム・ホールA
12月3日 @東京国際フォーラム・ホールA
12月4日 @東京国際フォーラム・ホールA
贅沢にも3度も鑑賞。
こんなに聴きたいと思ったピアニストは初めてだ。
3.ギラ・ジルカ (vo) 矢幅歩 (vo) 竹中俊二 (gt) 北村嘉一郎 (vo per.)
7月2日 @BODY&SOUL
「こんなに楽しいライヴも珍しい」 と思うぐらい、楽しかった。
4.Janis Ian
1月29日 @Billboard Live東京
ファンというわけでもないのだが、感動してしまった。
5.Kurt Rosenwinkl Trio
2月6日 @PIT INN
カートは、9月29日にも観たのだが、2月の方が、
断然良かった。
まだまだ良かったライヴあるのに、ベスト5まで いってしもた。
他に良かったのは、Lee Ritenour & Mike Stern、EAGLES、
Martin Taylor & Ulf Wakenius、DMS (featuring George Duke,
Marcus Miller, David Sanborn)、高中正義、Johnny A.、
井上銘、渡辺香津美&大西順子、Michel Camilo & Tomatito、
Jaco Pastorius Big Band、Oz Noy,Will Lee & Keith Carlock、など。
ところで、昨年は、複数回 観たアーティストが多かった。
Lee Ritenour & Mike Stern が3回、
DMS、Char、高中正義、Kurt Rosenwinkl が、それぞれ2回。
そして、上原ひろみを4回も観ているので、
一番多く観たアーティストは、上原かというと実はそうではない。
一番多く観たアーティストは、ドラマーのサイモン・フィリップス。
上原ひろみ The Trio Project での 3回のほかに、
2月に Lee Ritenour & Mike Stern のライヴで 2回、
9月に TOTO で1回、と合計6回も彼のドラムを生で体験したのだ。
その 3組の音楽性の違いも面白い。
今年もいっぱい良い映画と音楽に出会えますように!
2012.1.8
ステキな金縛り
三谷幸喜監督・脚本の映画 『ステキな金縛り』 を観てきた。
三谷作品は、3年前の前作 『ザ・マジックアワー』 が、
結構面白かったので、本作も観たいと思っていたのだが、
昨年10月29日封切なので、公開からもうふた月以上
経ってしまった。
抱腹絶倒とまでは、いかないがそこそこ面白かった。
「笑い」 という意味では 『ザ・マジックアワー』 の方が、
笑ったかな。
主演は、深津絵里、西田敏行。
脇に中井貴一、阿部寛。
彼らは物語の中心人物だが、チョイ役で
唐沢寿明、佐藤浩市、生瀬勝久、小日向文世、
市村正親、草なぎ剛、竹内結子、浅野忠信、
戸田恵子、深田恭子、篠原涼子らが出演している。
なんとまあ贅沢な。
大泉洋 にいたっては、エンドロールの時の写真だけの登場だ。
「なぜ有名な俳優たちを集め、撮影できるのですか?」 との質問に
三谷監督は、「僕が頼んでいるわけでなく、皆さんが 『出たい、
出たい』 と言っているから仕方なく出してあげています (笑)」 と
冗談で答えていた記事を読んだが、実際、どうやって
こんな人たちを集めるのだろうか。
まあ、役者が豪華なら良い映画を撮れるわけではないので、
作品の質とは関係ないかもしれないが、話題性はあるよな。
物語は、深津絵里演じる弁護士が、殺人事件の証人に、
落ち武者の幽霊 (西田敏行) を召喚するという、
法廷もののコメディ。
コメディとしてだけではなく、法廷ものの面白さも楽しめる。
140分を長く感じさせないテンポの良さは素晴らしい。
中井貴一が良かった。
★★★★☆
2012.1.9
映画について
年間40〜50本、劇場で映画を観るので、
映画は私の趣味の1つだと言える。
だからというわけではないが、公開されている映画は、
大体知っているつもりでいる。
ところが、全然聞いたこともない作品も中にはある。
例えば 今日観てきた 『大鹿村騒動記』 と
『デンデラ』 の2本だ。
『大鹿村騒動記』 は、昨年7月16日の封切、
『デンデラ』 は、昨年6月25日の封切で、ともに日本映画だ。
4、5日前、この連休中に観る映画を探していて、
発見したのだが、(どうして 知らなかったのだろうか) と思うほど、
2本とも メジャーな役者さんたちが出演している。
考えてみると、私の映画の主な情報源は、
劇場で観る予告編だ。
それ以外は、テレビCM、たまに 雑誌、ポスターからというのもある。
劇場に置かれているチラシで知ることもあるが、
あまりに数が多いので、全部は覚えていられなくて、
やはり予告編を観たものが印象に残ることになる。
というわけで、この2本も (予告編を観ていないことは、
間違いないけど) 本当にタイトルさえ目にしたことが
ないのかどうかは分からない。
『大鹿村騒動記』 は、原田芳雄の遺作となったので、
彼が亡くなった時にニュースでタイトルを聞いたはずだが、
記憶に残っていなかった。
派手にコマーシャルをしている作品が良いとは限らないので、
これからはもう少し、アンテナを研ぎ澄ましていようと思う。
大鹿村騒動記
先に書いたとおり、原田芳雄の遺作となった。
彼は、この映画の公開 3日後に亡くなった。
主役の原田以外に、岸部一徳、大楠道代、佐藤浩市、
松たか子、石橋蓮司、三國連太郎、 瑛太 ら。
スゴイ、面子やな。
長野県大鹿村で、300年以上前から伝わる村歌舞伎を
題材にした人間ドラマ。
風祭 善 (原田芳雄) のところへ、18年前、駆け落ちした妻・貴子
(大楠道代) と 幼なじみの治 (岸部一徳) が帰ってくる。
貴子が脳の病気で記憶を失い、もう自分では面倒を見切れないので、
返しに来たと、治は言う。
その設定だけで、面白そうだ。
しかも、幼なじみの妻を奪った男が、岸部一徳、
幼なじみに妻を奪われた男が、原田芳雄だ。
面白くないわけがない。
途中、妻の貴子は記憶を取り戻し・・・・、てな 人情喜劇。
結構 笑える。
岸部一徳はいいなぁ。
寝言を言うシーンがあるが、最高だ。
そして、歌舞伎のセリフ 「仇も恨みも、これまでこれまで」 が
印象的。
映画の中で原田芳雄は、癌とは思えぬほど、元気そう。
71歳没は、早すぎるけど、こんな仕事して死ねたら、
幸せだったろうな、と思える作品。
いや、まだまだやりたかったか。
瑛太 が歌舞伎の解説役のように説明をしてくれるのだが、
日本史に疎い私は、あんまりよく分からなかった。
歌舞伎のストーリーが、分かればもっと楽しめたに違いない。
あの役で、佐藤浩市、松たか子、三國連太郎、 瑛太は、
贅沢やな。
ちょっと、三谷幸喜的。
★★★★☆
デンデラ
これまた、出演陣が豪華。
主演・浅丘ルリ子のほかに、草笛光子、賠償美津子、
山本陽子ら。
女性は70歳になると、姥捨て山に捨てられるという
貧しい山村の物語。
斎藤カユ (浅丘ルリ子) も村の掟に則り、捨てられる。
これで、極楽浄土へ行けると信じながら倒れるが、
目が覚めると、先に捨てられた老女たちに助けられていた。
彼女らは、捨てられた後も雪の山中で村を作り、
助け合いながら、生き延びていたのだ。
生きているのは、70歳から100歳の老女たち50人。
ま、フィクションといえばそれまでだが、
ちょっと現実的ではないな。
お婆ちゃんたち元気すぎるし。
何にも持たずに捨てられたのに、色んなもの揃ってるし。
田舎で苦労して捨てられた老婆にしては、浅丘ルリ子など
しわがなさ過ぎるし。
女優さんて、きれいに年取ってるから、こういう物語のとき、
不利やな。
まず、メイクをもっと本格的にしてほしかったな。
草笛光子は、100歳の役やったけど、100歳にしては
若すぎる。
しかも、ややぽっちゃりしてる人もおったからな。
あの環境で、ぽっちゃりはないやろ。
そういう突っ込みは、おいといて、
物語としては、結局、何が言いたかったのか分からんかった。
でも、雪の中 (山形らしい) の撮影は、大変だったろうな。
もしかしたら、原作は深いのかな?
★★☆☆☆
2012.1.18
猿の惑星 創世記 (ジェネシス)
子供の頃、テレビで観た映画 『猿の惑星』 のラストの
インパクトの強さは、今でもはっきりと覚えているぐらい、
強烈だった。
チャールトン・へストンの驚きは、そのまま子供心の
私の驚きで、もう、どうしてよいか分からなくなったほど、
衝撃的だった。
『猿の惑星 創世記 (ジェネシス)』 は、その 『猿の惑星』 の
起源を描いた作品。
なるほど、こうして人間社会は滅び、猿が地球を
支配することになるのか、と納得。
人類への警告と皮肉と言われるのもよく分かる内容。
人間の果てしない欲望は、いつか人類を滅ぼすのかも
知れない。
猿の表情や動きが素晴らしく、気持ちがめちゃくちゃ良く分かる。
まず、その映画製作の技術の進歩に感心させられる。
そして、不覚にも、後半のあるシーンでは、うるっと来てしまった。
主演は、『127時間』 のジェームズ・フランコ。
続編が、あるのだろうか。
★★★★☆
2012.1.22
今日は、三軒茶屋中央劇場にて、
シリアスな2本の映画を鑑賞。
未来を生きる君たちへ
哲学的な映画だった。
デンマーク&スウェーデンの合作。
「暴力と報復」 をテーマにしているが、
「報復は結局 自分を傷つける」 というそんな分かりきった
テーマだけには収まらない、とても考えさせられる作品。
暴力は憎しみを生み、憎しみは暴力を生む。
だから、どこかでその連鎖を断ち切らなければならない。
しかし、こんな場面に遭遇したら、あなたならどうする?
そんな問いかけの連続。
暴力は、暴力で制するしかないのか?
暴力を振るわれても、何もせず黙っていることができるのか?
暴力を振るう悪人が助けを求めてきたら救うのか?
復讐する人を止めることができるのか?
などなど。
原題 「HAEVNEN」 は、「復讐」 という意味らしい。
邦題の 「未来を生きる君たちへ」 というのは、どうなんだろう。
子供に託す前に大人が考えなあかんやろな。
昨年、アカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞で
外国語映画賞をダブル受賞。
日本では、2011年8月13日公開。
少年役の2人が素晴らしかった。
★★★★☆
ミラル
こちらは、フランス・イスラエル・イタリア・インド合作。
やはり、昨年の8月公開。
パレスチナ人ジャーナリストの実話を基にした作品。
実話と聞くと、重みが増す。
イスラエルとパレスチナの歴史を良く分かっていない
私でも充分理解できた。
個人で、“ダール・エッティフル (=孤児の家)” という学校を
創設し、3000人を超える孤児たちを引き取って
育てた人がいたということが、スゴイ。
最後にダール・エッティフルの創立者 ヒンドゥ・ホセイニ が、
ミラル (ダール・エッティフルで育った17歳) に
イタリアへ留学するように薦めるシーンが、印象的。
ヒンドゥが、ミラルに言う。
「You’re my hope」
★★★★☆
2012.1.26
ロボジー
『スウィングガールズ』 『ハッピーフライト』 などを
撮った矢口史靖監督作品 『ロボジー』 を観てきた。
ある家電メーカーがロボットの開発をするが、
うまくいかず、発表の日に間に合わない。
開発部の3人は、ロボットの中に爺さんを入れて、
その場をしのごうとする。
なんで爺さんかというと、その爺さんがロボットのサイズに
ピッタリだったから。
ロボットの中にジイさんが入っていて、「ロボジー」。
ちなみに劇中でのロボットの名前は、「ニュー潮風」。
もちろん、喜劇で、難しいこと考えずに楽しめる映画だ。
大爆笑とまでは行かないが、結構笑えた。
そして、ラストも良い。
爺さんに扮するは、ミッキー・カーチス。
お笑いのチャンカワイ (川合正悟、 「惚れてまうやろー!」 の人) が、
結構良かった。
その他、濱田岳、 吉高由里子 らが出演。
そうそう、和久井映見 も出てた。
結構、おばちゃんになってたなぁ。
(高校生くらいの子供のいる母親役)
ひとつ苦言を呈するなら、予告編。
ロボットが公衆トイレで小便をする姿を
酔っ払いの竹中直人がもの凄い顔で見るシーンが、
予告編に使われている。
このシーンは、断じて予告編で使うべきではない。
もし、知らずにこのシーンを観たなら、こここそ、
大爆笑だったかも知れないところなのに、
予告編でばらしているから、全く笑えなかった。
もったいないな。
確かにあのシーンを見れば、多くの人が 「面白そう」 と
思うだろうが、そのために本当にお金を払って観る人が
がっかりするようじゃ、なんのための予告編か分からへんやんか。
時々、こういう予告編の作り方をしている映画に出会うが、
業界の方々は、真剣に考えて欲しいもんだ。
★★★★☆
2012.1.29
しあわせのパン
以前、ここでも紹介した映画 『しあわせのパン』 が
昨日、いよいよ公開されたので、早速観てきた。
原田知世と大泉洋が夫婦で、
東京から北海道に移り住み、パン・カフェを開いた。
そこにやって来る数組のお客さんとの交流の物語。
好きなところで、好きな人と、好きなことをやる。
誰もが憧れそうな生き方だが、作品にリアリティはない。
パン屋の仕事にも関わっている私は、
(一体、そのパンやコーヒー、いくらなの?)
って、何度も思ってしまった。
お勘定するシーンが一度もないのね。
客が注文していないパンや料理を出したりするから、
ますます、(どうするつもり? それ、お金もらうの?) って
思ってしまった。
まあ、ファンタジーだと思えば いいんだけど。
大泉洋は良かった。
『探偵はBARにいる』 とは、大違い。
この人、こんな静かな人も演じられるんやね。
あ、夏のエピソードに登場する東京から来た女性役の
女優さんの演技がちょっと微妙だったな。
失敗したのは、満腹で観てしまったこと。
この映画は、絶対空腹で観た方がいい。
パンや料理は、すごく美味しそうだし、
北海道の景色は美しい。
四季による違いも見所だ。
だが、ストーリーがゆるい。
観る人のコンディションによっては、
心に染みてくる作品かも知れないけど、
残念ながら、今日の私には、物足りなかった。
腹ペコで観たら、鑑賞後きっとパンを食べたくなるよ。
★★★☆☆
2012.2.1
50/50
映画の日。
数々の映画評価協会の脚本賞にノミネート、または、
最優秀賞を受賞した 『50/50 (フィフティ・フィフティ)』 を
観てきた。
27歳の、タバコも吸わない、お酒も飲まない青年アダムが、
癌になる。
青天の霹靂って感じ。
調べてみると5年後の生存率は、50%。
さて、どうする? というお話。
ガンを克服した脚本家の実話を基にしたらしいが、
「難病もの」 という重さはない。
シリアスなのだが、適度に軽く、笑えるシーンも多い。
テンポも良く、あっという間の100分だった。
脚本賞を取るのも分かる、上手い作りだ。
印象的なのは、アダムの親友。
人生に こんな友達がいたら素晴らしいと思う。
そして、ラストが良い。
余計なことせずに、そこで終わっているのが素晴らしい。
そのシーンで流れてくるギターが、また良い!
生きてるって素晴らしいと思う。
それは、死と隣り合わせだからこそ。
私たちは、いつも、死につつあることを
忘れてはいけないと思った。
そう、癌でなくても明日の命は、50/50なのだ。
地方ではこれから公開されるが、
首都圏では、ほとんどの劇場が上映を終了している。
観に行った日比谷の映画館も明後日 2月3日までだ。
観れて良かった。
昨年8月に観た 「英国王のスピーチ」 以来、
久しぶりの★5つです。
★★★★★
2012.2.5
ALWAYS 三丁目の夕日’64
『ALWAYS 三丁目の夕日』 シリーズの第3弾を
観てきた。
1作目は映画館で、2作目はDVDで観たが、
いずれも楽しめた上、時代はいよいよ私が生まれた1962年の後に
突入したので、是非観たかったのだ。
舞台は、1964年、東京オリンピックの年。
冒頭の東京タワーのCGにまず感動。
「下町人情ドラマ」 とどこかに書いてあったが、
今では失われてしまった (?) あの頃の良き日本人の姿が
描かれている。
田舎から出てきて、鈴木オートで働く 星野六子 (堀北真希) が
嫁ぐことになるが、その嫁ぐ日、鈴木夫妻 (堤真一、
薬師丸ひろ子) に挨拶するシーンが一番泣ける。
セリフは、「ありがとうございました」 だけなのに
なんで、あんなに泣けるんだろうね。
登場人物に悪人はいないけど、吉岡秀隆 演じる茶川竜之介だけは、
好きになれないなぁ。
144分を長く感じず、楽しめます。
★★★★☆
2012.2.10
麒麟の翼
阿部寛主演、ほかに 新垣結衣、山崎努、中井貴一、
黒木メイサ、田中麗奈、溝端淳平らが出演している
映画 『麒麟の翼』 を観てきた。
東野圭吾 原作なので、期待してしまった。
前半、全く犯人が誰か分からず、ミステリーとしては、
かなり面白いと思う。
全く退屈することもなく、後半まで突き進んだが 、
クライマックスとなる、阿部寛演じる加賀刑事の謎解きが、
どういうわけか、説教に聞こえてしまい、冷めてしまった。
一番、グッとくるべきところで白けた感じ。
たぶん、原作は素晴らしいんだろうな。
阿部寛のせいではなく、これは脚本の問題かな。
私の感性の問題かな。
もっと良く作れたんちゃうかと、思ってしまった。
でもラストに、持ち直して終わるし、やっぱり、
中井貴一は良かったので ★ は、4つ。
劇団ひとりが教師役で登場するが、やっぱり、芸人が
出てくると冷めるなぁ。
いや、芸人が映画に出るのが嫌なのではない。
最初から、芸人が出ていることを知っていれば、
どうもないのだが、知らずに観てると、出てきたときに、
現実に引き戻されてしまうねんな。
(あ、劇団ひとりや) って。
不思議なことに役者さんだとこの反応は起きない。
ところで、本作は、ある出来事で中学教師のとった行動が、
3年後に悲劇を生む原因になっている。
その時、教師は生徒の将来を思い、その行動に出た。
しかし、結果的にそれは、生徒の将来を奪うことになる。
彼の 「良かれ」 と思う行動の落とし穴が、私には興味深かった。
★★★★☆
2012.2.17
はやぶさ 遥かなる帰還
私は、特に宇宙に興味があるわけでもないし、
はやぶさのファンでもない。
そんな私でも 昨年10月に観た映画 『はやぶさ/HAYABUSA』
(主演:竹内結子、西田敏行) にはとても感動した。
その小惑星探査機 “はやぶさ” は、日本で3本の映画になる。
『はやぶさ 遥かなる帰還』 は、その2つめ、渡辺謙 主演で、
江口洋介、夏川結衣、吉岡秀隆、藤竜也、山崎努らの出演だ。
言ってしまえば、結末の分かっている話なのだが、
前作同様、はやぶさの帰還シーンは感動的だ。
そして、本作では、スタッフのぶつかり合いや、
神経が参ってしまいそうな、作業の連続などが、
ドキュメンタリーのように描かれている。
それにしても、どんな困難にもけっしてあきらめない、
ミッションを全うすることに全てをかける JAXAの人たちの姿には、
心を打たれる。
山口教授 (渡辺謙) のこんなセリフがある。
「どんな批判にも耐えられます。
でも、リスクを避けたことは、一生後悔する。」
これは、一か八かの勝負に出るしかない、という場面での
言葉で、その後に、
「全責任は、私が取ります」 と続く。
映画の宣伝コピーに
“「絶対にあきらめない」 日本の技術力・人間力が世界を変える。”
とある。
一度通信が途絶えて、行方不明になった機体が見つかった例は、
それまでなかったとのこと、本当に世界を変えたのだ。
前半、神頼みに批判的な山口教授が、やれることを全てやった後、
飛不動尊へ、祈祷に行くあたりも切実というか、本気度が
伝わってくる。
また、本作では、NASA との関係も描かれており、
面白かった。
あと、山崎努がしぶいね。
★★★★☆
はやぶさ映画3つ目は、藤原竜也主演の 『おかえり、はやぶさ』 で
来月公開だ。
2012.2.20
ペントハウス
ベン・スティラーとエディ・マーフィの出演する
映画 『ペントハウス』 を観てきた。
コメディと紹介されているし、2人ともコメディ俳優だが、
あんまりコメディという感じではなく、どちらかというと
痛快アクション・ドラマという印象。
所々笑ったけど、コメディというには物足りない。
物語は、マンハッタンの ザ・タワー という超高級マンションの
ペントハウスに住む大富豪に そのザ・タワーで働く人々が
お金を騙し取られる。
きっと、隠し持っているに違いない大金をそのペントハウスから
盗み出そうというお話。
もちろん、荒唐無稽で、(そんなアホな〜) という話だが、
結構面白かった。
特にザ・タワーの高層階で人が宙ずりになるシーンが怖かった。
めちゃくちゃ、足すくんだもん。
『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』 でも、
高層ビルの外のシーンがあったが、“足すくむ度” では、
絶対本作の方がスゴイ。
高所恐怖所の方は、観られないだろう。
それにしても、あんな高級マンション、本当にあるんかな。
あるんかもな。
★★★▲☆
2012.2.21
おじいさんと草原の小学校
予告編を観て、ぜひ観たいと思っていた映画。
今日は、かなりネタバレです。
タイトルの 『おじいさんと草原の小学校』 という響きからくるほど
のどかな物語ではない。
ケニアの悲しいつらい過去と、人間の欲と醜さと、
勇気と希望と信念の物語だ。
何よりこれが実話だということに心を動かされる。
原題は、『THE FIRST GRADER』 (小学1年生)。
ギネス記録を持つ “世界最年長の小学生”、
ケニアのキマニ・マルゲ (84歳) と彼の良き理解者であった
教師の物語。
2003年、ケニア政府は無償教育制度を導入。
誰でも小学校は無料になったのだ。
おそらく、政府は子供対象にしたのだろうが、
ラジオで 「国民全員が学べる」 と聞いたマルゲは、
小学校入学を申し出る。
当然のように断られるが何度も何度もあきらめずに
小学校の門の前に立つマルゲの熱意に動かされ、
校長のジェーンは、周囲の反対を押し切り入学を認める。
マルゲは、文字を読むことさえ出来なかったのだが、
政府から届いた手紙をどうしても自力で読みたいという
動機があった。
そして、徐々にマルゲの過去が明らかにされていく。
彼は、1950年代、イギリスの植民地支配からの独立を
闘った戦士で、妻と子供を殺され、収容所に入れられ、
ひどい拷問を受けたのだった。
マルゲの小学校入学は、世界的なニュースとなり、
色々な波紋を投げかけていくことになる。
校長ジェーンが、遠くへ転勤させられたとき、
マルゲは、(お金がないので) ヤギを売ってナイロビまで行き、
議長に会う。
そこで彼が議長に 「教師を返せ」 と訴える短いスピーチが
めちゃくちゃ素晴らしく感動的。
あれほど教育の重要性を簡潔に説得力持って話されたら、
誰だって心が動くだろう。
映画は、その政府の手紙を結局、先生に読んでもらって終わる。
なんで本人が読まないのか、彼が他人に心を開いたということの
表現なのか、実は自分でも読めたけど読んでもらったのか、
本当に難しくて読めなかったのか、それは、分からないけど、
本人が苦労して読んだ方がドラマチックなところを、
そのようにしたのは、何か意味があるんだろうと思う。
映画は、そこで終わるが、本物のマルゲは、
その後 (2005年)、ニューヨークの国連まで行って講演をしている。
残念ながら2009年、卒業前に胃がんで死去した。
何かを始めるのに 「年をとったから」 と諦めそうになったら、
この映画を観よう。
日本が海外援助するとき、学校を建てたという話を
よく聞くが、なぜ学校が必要かが良く分かる。
そして、何十年も前から、当たり前のように教育を
受けられる日本は素晴らしい国なのだと改めて思う。
日本版ポスター
外国版ポスター
比べると、文化の違いが出ていて面白い。
マルゲご本人
おじいさんと草原の小学校 公式サイト
★★★★▲
2012.2.26
プール
今日は、目黒シネマへ映画 『東京オアシス』 と 『プール』 の
2本立てを観に行ったのだが、寝不足の上、ランチにワインを
2杯のみ、満腹で観たため、1本目の 『東京オアシス』 は、
半分以上、意識不明。
したがって、コメントなし。
評価もなし。
でも、2本目の 『プール』 は、しっかり目を開けて観たよ。
主演は、小林聡美。
ほかに、もたいまさこ、加瀬亮、伽奈ら。
小林聡美、もたいまさことくれば、『かもめ食堂』 『めがね』 を
思い浮かべるが、本作も監督は違うが、それらの作品の
スタッフが結集しているようだ。
タイのチェンマイ郊外に住む、京子 (小林聡美) を
娘のさよ (伽奈) が、大学の卒業旅行で、ひとりで訪ねてくる。
その6日間を切り取ったようなストーリーで、
特に大きな事件やドラマチックな何かが起こるわけでもない。
ゆるい流れは、『かもめ食堂』 『めがね』 と同様。
私は、『かもめ食堂』 は好きだし、こういうゆるい作品は
嫌いではないが、本作はイマイチ、ピンと来なかった。
一緒に観た妻は、感動したようで、「すごく良かった」 と、
本作の素晴らしさを語りながら、涙を流していたよ。
どうも、私の観点は、俗っぽいようだ。
映画鑑賞後、タイ料理を食べたくなり、夕食は急遽タイ料理に。
★★★▲☆
2012.3.1
TIME タイム
毎月1日は映画の日、本日の鑑賞作品は 『タイム』。
SFだ。
近未来、人間は25歳から、見た目 (身体) は、年を取らなくなるが、
時間が通貨となり、人々は時間を得るために働く。
買い物は、自分の寿命と引き換えに時間を払うのだ。
当然、時間を狙い犯罪も送る。
少数の富裕層の人間が、永遠の命を手に入れるために、
スラムの人たちは、時間を搾取され、早死にするのだ。
設定は、ユニークで面白いと思ったが、映画自体は、
期待したほどでもなく、(えっ?もう終わり?) って感じだった。
109分を短く感じたということは、けっして面白くなかったわけでは
ないのだが、もうちょっとパンチが欲しかったというのが、
正直な感想。
でも、主役の ジャスティン・ティンバーレイク は良かったね。
(『ソーシャル・ネットワーク』 で、19歳で “ナップスター” を作った
ショーン・パーカー役で、出てた人。)
★★★▲☆
2012.3.13
日本アカデミー賞
発表から何日も経ったので、今さらな感があるが、
今日は 日本アカデミー賞 について書こう。
もう、皆さんご存知だと思うが、今年は 『八日目の蝉』 が、
下記 10部門で受賞。
作品賞
監督賞 (成島出)
主演女優賞 (井上真央)
助演女優賞 (永作博美)
脚本賞 (奥寺佐渡子)
音楽賞 (安川午朗)
編集賞 (三條和生)
録音賞 (藤本賢一)
照明賞 (金沢正夫)
撮影賞 (藤澤順一)
『八日目の蝉』 は、昨年の5月に観たので、細かいことは
忘れてしまったが、永作博美、井上真央が良かったのを覚えている。
主演男優賞は、『大鹿村騒動記』 の原田芳雄。
彼の遺作となった。
助演男優賞は、『冷たい熱帯魚』 のでんでんだが、
これは観ていない。
アニメーション作品賞 『コクリコ坂から』 は、
それほど良かったとは、思えなかった作品。
外国作品賞の 『英国王のスピーチ』 は良かったね。
主要部門にノミネートされていた作品は、大方観ていたが、
主演男優賞ノミネート (三浦友和) の 『RAILWAYS
愛を伝えられない大人たちへ〜』 など、
見逃したものもあるので、機会があれば観てみたい。
今年は、すでに20本の映画を映画館で観ており、
このペースで行くと、年100本も射程距離内だ。
まあ、がんばって達成するようなものでもないので、
たぶん 100本は、いかないだろうけど。
8月からは、夫婦で行くと 「夫婦50割引」 が使えるのでうれしい。
2012.3.21
昨日、鑑賞した映画2本のレビュー。
キツツキと雨
どういうわけか、角川映画と聞くとあんまり良い印象がない。
実際、何本の角川映画を観たんだろうと、
角川映画作品を検索してみたところ、80本以上あるうち、
ほんの数本しか観ていなかった。
中には、『蒲田行進曲』 や 『愛を乞うひと』 のような
良い作品もあるのにな。
たぶんその悪い印象を決定付けたのは、
1990年の 『天と地と』 だと思う。
そのあと、たまたま観た数本が、なんとなくイマイチで、
そういう印象を持ってしまったんだろう。
これを機に、そういう過去からの評価をやめよう。
そんな前書きを書かなきゃいけないほど、
角川映画の本作 『キツツキと雨』 は、良かった。
監督は、『南極料理人』 の沖田修一。
あれも良かったもんね。
本作、役所広司 と 小栗旬 の初共演。
役所広司は、60歳の木こり役。
内容を何も知らずに観た私は、最初、
小栗旬が何者なのか、分からなかった。
徐々に明かされる彼の正体は・・・。
まぁ、そんな大そうなもんではないねんけど、
これから観る方のためにそこは控えておこう。
というのも、役所演じる岸克彦も、小栗演じる若者が、
一体何者なのか、最初分かってないのだ。
その同じ目線で始まった方が面白いんとちゃうかなと思て。
だから、観る方は何も調べずに観てね。
本作、「ハート・ウォーミング・ストーリー」 などという
紹介のされ方をしているが、まあ、そんな感じ。
結構、笑った。
クスクスじゃなく、声を上げて笑うところもあった。
そういう意味では、私のツボにはまった。
ちょっと、過剰な演出に感じるところもあったし、
何か感動的とかそういうんではないけど、
ゆる〜く、ええな〜、良かったな〜、と思える作品。
ほんで、役所広司は、やっぱり上手いね。
★★★★▲
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
何やら長ったらしいタイトルだが、
原題 『Extremely Loud and Incredibly Close』 直訳だ。
トム・ハンクス & サンドラ・ブロック の
アカデミー賞コンビ出演だが、主役は彼らの息子
オスカー役のトーマス・ホーン。
ほとんど、トーマス君の映画で、トムやサンドラは、脇役という印象。
このオスカーという少年が、生意気で観ていて
ちょっとイラッとくるキャラ。
アスペルガー症候群なのだがその病気のせいなのかな。
数人のレビューを読むと、本作の理解のためには、
アスペルガー症候群が何か、もっと知る必要がありそうだ。
それにしても、トーマス・ホーンの演技は天才的。
だが、映画自体は私は複雑。
911で父親を失った少年の物語なのだが、
911じゃなければ、もっと入り込めたかも知れない。
または、この少年の話が実話なら、違った感想を持てたかも。
あるいは、911からもっと年数が経っていたら・・・。
私が想像しうる全てを超える悲劇が、
そこにはあっただろう。
あのテロに限らず、事件や事故で愛する人を失うことは、
理不尽で不条理で絶望的なことだ。
本作を観れば、ほとんどの人に涙を流すシーンがあるだろう。
911は、ただの背景だという意見もあるが、
本作は、911から生まれた作品だ。
911でなければと思うが、911でしかない。
そこが私の中で、ちょっと苦しい。
トーマス君以外の出演者では、トム・ハンクスは、
あんまり出番がなかったのだが、サンドラ・ブロックは、
『しあわせの隠れ場所』 に続き、ええお母さん役でした。
それと、本作でアカデミー助演男優賞にノミネートされた、
マックス・フォン・シドーが素晴らしかった。
話せない役で、一言もセリフなしでのノミネート!
★★★★☆
2012.3.25
リアル・スティール
昨日は、映画2本立て鑑賞。
1本目は、『リアル・スティール』。
予告編をみたら本編を観なくても、
内容が分かる代表のような作品。
実際観たら、予想通りだった。
なのに、泣いてまうねんな、これが。
★★★★☆
宇宙人ポール
実は、2本立ての本命はこちらのSFコメディ。
ロードショーで観損じてたのをやっと観れた。
「まさかの大物ゲスト」 とあったので、
勝手に 『メン・イン・ブラック』 の トミー・リー・ジョーンズ
あたりが、登場するんやろと思ってたら、
なんと、シガニー・ウィーバー だった。
なるほど、エイリアンつながりだ。
1947年、アメリカ、ワイオミング州のムーアクロフトに
墜落した宇宙船に乗っていた宇宙人ポールは、
60年間、アメリカ政府に捕らえられの身で、
色んな面で協力をさせられてきた。
例えば、映画 『E.T.』 で、E.T.の指先が光るアイディアなど、
ポールが直接、スピルバーグに進言するのだ。
ちなみにそのシーンでの電話越しのスピルバーグの声は、
本人の声らしい。
そして、ポールから色んな知恵を吸収した政府は、
いよいよ、ポールの脳を切り刻もうと企む。
そのことを知ったポールは、逃げ出す。
サンディエゴで開催される “コミコン” に参加し、
アメリカのUFOゆかりの地を周ろうとイギリスからやってきた、
オタク2人組みとポールが出会い、そこから珍道中が始まるのだ。
おそらく、SF映画マニアなら、めちゃくちゃ面白いんだろう。
色んなSF名作映画へのオマージュが散りばめられて
いるようだ。
ただのコメディに収まらず、ヒューマン・ドラマ的な要素もあり、
GOOD。
キリスト教への皮肉も。
★★★★▲
2012.3.28
おとなのけんか
これは、おもしろかった。
登場人物は、2組の夫婦、4人のみ。
原作は舞台用のようで、
いわゆるワンシチュエーション・コメディ。
少しだけ、キッチンに行ったり、トイレに行ったりは、
あるものの基本、ずっと、同じ部屋。
時間も79分と、やや短め。
子供がけんかをし、怪我をしたので
両親同士が話し合うという設定。
ジョン・C・ライリーとジョディ・フォスター演じる
ロングストリート夫妻が、怪我をさせられた方の子供の
両親で、クリストフ・ヴァルツとケイト・ウィンスレット演じる
カウワン夫妻が怪我をさせた方の子供の両親。
最初は、冷静に始まった話し合いが、
だんだんエスカレートしていき、子供のけんかが、
大人のおとな気ないけんかに発展していく。
途中で、誰と誰がけんかしているのかも分からなくなったりする。
4人とも素晴らしいが、特に母親役の2人、
ジョディ・フォスターと、ケイト・ウィンスレットが凄い。
見物。
原題は、「殺りく・虐殺」 という意味の 『CARNAGE』。
話の中に、大量虐殺のことが出てくるので、
もしかしたら、そのことともかけているのかも知れないが、
『おとなのけんか』 という邦題の方が、日本人向けで良い。
内容は、えげつない言い争いだが、これが笑える。
オチも (途中で想像した通りだったけど) 良い。
お薦め作品。
★★★★★
2012.4.4
(500)日のサマー
平日の夜に 映画 2本立て鑑賞は、久しぶりだ。
観たかったのは、ジョゼフ・ゴードン=レヴィット主演の
『(500)日のサマー』。
この映画、2010年1月公開で、公開前から何度も
予告編を観ており、(面白そうだな) とは、思ったものの、
結局、観なかった。
今年に入って観た、ジョゼフ主演の 『50/50』 が、
すごく良かったので、本作も機会があれば観たいと
思っていたのだ。
ストーリーは、恋愛観の違う女性 サマーを
好きになってしまった トムという青年の切ない、
胸が痛い、恋の物語。
途中、アニメを使ったり、ミュージカル仕立てになったりしても、
それらが効果的で、嫌な感じもなく、GOOD。
そして何より、最後のオチがめちゃくちゃ良い!
予想以上に楽しめた、また観たいと思える作品だった。
★★★★★
モテキ
2本目は、日本映画 『モテキ』。
出演は、森山未來、長澤まさみ、麻生久美子、
真木よう子、リリー・フランキー ら。
31歳の彼女なしの男に、突然 “モテキ” が訪れるが、
思い通りにはならないというお話。
原作は、コミック。
本作も、何度も予告編を観ていたが、全く興味が沸かず、
観たいとは思っていなかったが、2本立てだったので鑑賞。
(子供向けだろう) と勝手に思い、期待もなく観たら、
これがどうして、結構面白かった。
『(500)日のサマー』 同様、男の恋の物語で、
これまた同じく、ミュージカル仕立ての演出もあったが、
残念ながら、こちらはややくどい感じがした。
そういうシーンは、もうちょっと短かくていい。
でも、音楽は結構楽しめた。
挿入歌が、(知らない曲が多かったが) 大江千里の
『格好悪いふられ方』、橘いずみ の 『失格』 、
岡村靖幸 の『カルアミルク』 など、個人的には、
「おおぉぉ〜」 な曲がかかり、面白かった。
ラストがよく分からず、あの終わり方でなかったら、
もっと良かったのに、と思った。
あの終わり方って、ハッピー・エンドなんだろうか?
それさえ分からない。
もし、ハッピー・エンドという意味なら、残念。
ハッピー・エンドじゃなく、そして、希望・未来のあるラストに
して欲しかった。
そうすると、『(500)日のサマー』 と同じになってしまうねんけど。
★★★▲☆
2012.4.15
アーティスト
アカデミー賞を5部門受賞した話題の映画
『アーティスト』 を観てきた。
白黒&サイレント、というのが注目の訳だが、
ハリウッドが舞台なのにフランス映画というのも面白い。
サイレントなので、セリフはなし。
時々、字幕でセリフが出るが、実際に登場人物が
しゃべっているであろうセリフの10分の1ぐらいじゃないかな。
観ながら、(こんなに言葉がなくても通じるのか) と、
ちょっと驚いた。
1920年代、映画がサイレントからトーキーに移り変わる時、
スターになっていく新人女優と落ちぶれていくスターの物語。
もし、このストーリーを普通にトーキーで作っていたら、
特に注目されるような作品ではなかったかも知れない。
白黒&サイレントで製作したのは、大成功だ。
現代人にとっては新鮮だし。
脇役の犬が素晴らしかった。
助演賞あげたいぐらい。
★★★★☆
2012.4.21
Black & White / ブラック & ホワイト
東京では、昨日公開の映画、
『Black & White / ブラック & ホワイト』 を観てきた。
アクション・ラブ・コメディ ってやつで、
結構、面白くて笑った。
CIA のコンビ2人が、ひとりの女性を取り合うという
設定だが、そのために職権を乱用し、衛星カメラや、
ハイテク機器を使うという、現実にはありえない話。
98分とやや短めで、退屈することもなく、テンポも
良かったし、娯楽作品としては、かなり楽しめたのだが、
ただ一点、ヒロインが可愛くない。
あのヒロインがもっと美人か可愛いかったら、
もっと良かったのにな。
そのヒロイン役、リース・ウィザースプーンは、
アメリカでは人気があるようだが、日本ではあまり
人気がないようだ。
日本人男性の好みではない、ということか。
一方、その女を取り合う男2人は、2人とも良かっただけに、
あの彼女になんで、そんなに惚れてしまったのかが、
分かりにくいのが残念。
でも、まあ、何も考えず楽しめるので良いよ。
原題は、『THIS MEANS WAR』。
映画を観ると、なるほどねってタイトルだが、
邦題の 『Black & White / ブラック & ホワイト』 は、
「白黒つける」 ってことなんやろか?
なんで、英語と日本語両方ならべてるんやろな。
『ブラック & ホワイト』 という、別の映画があるからかな?
なんとなく、邦題がイマイチ。
★★★★☆
2012.4.23
エンディングノート
昨日、昨年10月に公開され、ずっと気になっていた映画、
『エンディングノート』 を大森の映画館まで行って
やっと観てきた。
エンディングノートというのは、ラフな遺書のようなもので、
自分の思いや希望を家族などに伝えるためのノートのことだ。
本作は、『誰も知らない』 や 『歩いても 歩いても』 などの
監督、是枝裕和の助監督を 務めたことのある砂田麻美監督が、
末期癌を宣告された自分の父親と家族を撮り続けた
ドキュメンタリー作品。
是枝監督は、本作のプロデューサーだ。
この数年、「死」 について考えることが多くなった私は、
どうしても観ておきたくて、妻を誘って観に行って来た。
主人公の 砂田知昭 さんは、67歳で退職後、
第二の人生を歩み始めたとたんの癌の宣告だった。
毎年、検診を受けていたらしいが、そんなの関係なく、
いきなり 「ステージ4」 だ。
ちょうど今読んでいる本が、「死ぬなら癌で死ぬのが良い」
というような内容の本なので、そこに書かれていることとも
照らし合わしながらの鑑賞となった。
亡くなった砂田さんは、幸せな人だったと思う。
癌告知から半年、69歳での幕引きは、
ちょっと早すぎて無念でもあっただろうが、
家族にめぐまれ、愛に包まれての最期だった。
抗がん剤も使ったようなので、本当は苦しんだのかも知れないが、
映画の中には、そのようなシーンはなく、衰弱してきても
ユーモアのある、前向きな砂田さんがいた。
作品中には、砂田さんが癌になるよりも何年も前の
映像もある。
ある日の朝食の姿だったり、定年退職の日のパーティ
だったり。
それらを監督 (娘さん) はずっと撮り続けてきたのだ。
きっと、お父さんのことが大好きだったんだろうな。
ご本人は、そんなに早く逝くとは思っていなかったようだが、
家族の中で、葬式のことや死ぬことについて、
淡々と話し合われるシーンもある。
いや、実際は、「淡々と」 ではなかっただろう。
癌宣告後、大きなショックが家族を襲ったであろう。
それを乗り越えてのあれらのシーンであったに違いない。
だが、癌の宣告を受けずとも私たちは、いつも死と
向き合っている必要があると思う。
それが、「どう生きるか」 につながっているのだ。
「死」 は遠い未来のことではなく、
いつも隣り合わせにいることを 忘れてはならないと思う。
「この数年、『死』 について考えることが多くなった」 と
前述したが、正確には、「死ぬまで どう生きるか」、
また、「家族の死、自分の死とどう向き合うか」 を考えている。
「考えている」 というと、何か考えがあるようだが、
実際は、「どうしよう・・・」 と思っているだけに近いねんけど。
★★★★▲
エンディングノート 公式サイト
こんなん見つけました。
↓
エンディングノート印刷できます。
2012.4.30
昨日は、一昨日 (土曜日) に公開されたばかりの邦画
2本を鑑賞してきた。
HOME 愛しの座敷わらし
水谷豊主演のファミリードラマ。
意外なことに、水谷豊の映画を観るのは初めてだった。
夕方、4時台の上映を観たのだが、
同じ時間帯の 『テルマエ・ロマエ』 が満席で
売り切れだったのに比べ、本作は ガラガラだった。
なんでやろ?
ストーリーは、お父さん (水谷豊) の転勤で、
東京から岩手に引っ越した家族の再生の物語。
その再生に、引越し先の古民家にいる 座敷わらしが
からんでいるのだが、家族の再生というほど、
この家族は壊れていない。
多少、チグハグやギクシャクはあるものの決定的には、
壊れていない。
ファンタジーとしては、いいけど、ちょっとゆるゆるな感じ。
現実は、そんな甘いもんやないもんな。
でも、ちょっとうるっとくるシーンもあるし、
岩手の農村の景色は、美しく、行ってみたいと思わされる。
田舎暮らしもいいよね。
本作のテーマは、「家族が一緒にいられる時間は、あと少し」
というセリフに象徴されていると思った。
★★★★☆
テルマエ・ロマエ
実は、こちらを先に観ようと思って映画館へ行ったのだが、
30分前だったにも関わらず、満席で売り切れだったのは、
前述した通り。
で、チケットだけ購入し、夕食後に鑑賞したが、
その回も ほとんど満席だった。
凄い人気やね。
まあ、予告編とかCM 観ると面白そうやもんな。
原作は、コミックで マンガ大賞2010と、
手塚治虫文化賞短編賞というのを受賞したらしい。
私は、原作は読んでいないが、映画は、まあまあ面白かった。
(めちゃくちゃ面白そう) と期待していたので、
期待していたほどではなかったけどね。
主演は、阿部寛、上戸彩。
古代ローマ人の浴場設計技師 (阿部寛) が、
タイムスリップして、日本の銭湯やら、家の風呂やらに出現。
そこで、見た風呂のしくみを古代ローマで、
再現し、浴場設計技師として成功していく。
古代ローマのシーンでは、日本語を話しているのに、
現代日本のシーンになると、ラテン語を話し、
言葉が通じないということもちゃんと描いている。
まあ、荒唐無稽な物語なのだが、コメディとしては良い。
濃い顔の俳優、阿部寛、北村一輝、市村正親らが、
ローマ人を演じ、上戸彩、笹野高史らが “平たい顔族”、
つまり現代日本人。
上戸彩、良かったなぁ。
残念ながら、後半ちょっと、失速したかな。
★★★★☆
2012.5.3
珈琲とエンピツ
2〜3週間前だったか、偶然 『珈琲とエンピツ』 という
映画のことを知った。
自身も ろう者 である 今村彩子 監督が、約2年間、
静岡県で、サーフショップを経営する ろう者の太田辰郎さんへの
取材を重ね、製作されたドキュメンタリー映画だ。
ぜひ観たいと思ったのだが、残念ながら上映はもう終了していた。
その後、渋谷の映画館で数日間、1日1回午前11時から、
アンコール上映するという情報を発見。
明日、終了するところを、今日なんとか観に行くことが出来た。
今村監督は、太田さんに出会うまで、
手話を知らない聴者とは距離を置いていたという。
聴者には、自分との筆談は面倒だろう思い、
また、耳の聞こえない自分を 「かわいそう」 と
思われたくなかったからだ。
その彼女が、太田さんに出会い、興味を持ち、
彼を撮りつづけるうちに変わっていく。
太田さんは、聴者・ろう者のわけ隔てなく心をオープンにし、
コミュニケーションする、人懐こい笑顔の人だ。
耳が聞こえないことを何の問題にもしていない。
サーフボードを作りたくて、20年勤めた会社を辞め、
長年の夢だったショップをオープンさせた行動力のある人。
ショップをオープンした当時、自分がろう者であることを
客に伝えることができなかったことから、
ハワイのコーヒーでお客を迎え、「私は耳が聞こえません」と
はっきり伝え、紙とエンピツで、筆談することを始める。
タイトルの 「珈琲とエンピツ」 は、そういうことだ。
彼の屈託のない笑顔は、人の心を溶かす何かがあるのだろう、
バーベキュー・パーティをすると100人くらいの人が集まる。
私の周りには、ろう者はいない。
なので、耳が聞こえない人がどんな風なのか、
こちらはどんな風に接したら良いのか、分からないし、
機会がなかったので考えたこともなかった。
この映画を観て、ショックだったことは、
太田さんにとって 「耳が聞こえないことは、障害ではない」 と
いうことだ。
事故か何かで、聞こえていた耳が聞こえなくなった場合と違い、
生まれつき聞こえない人は、最初から聞こえないわけだから、
それが当たり前なのだな。
聴者が勝手に、ろう者のことを 「不便だろう」 「大変だろう」 と、
思っている。
そして、そのことに触れてはいけない、と思っている。
作品中、聴者の一人が 監督にそのあたりの 「タブー」 を
質問するシーンがある。
監督は、「何がそのタブーを作り出すのだろう」 と問いかける。
恐れじゃないだろうか。
相手を傷つけるんじゃないか、自分が傷つくんじゃないか、
という恐れ。
それは、「どういう風に接して良いのか分からない」
という混乱と困惑から来ているんじゃないだろうか。
聴者の側にも、ろう者の側にも、その困惑と恐れがある。
そして、その困惑や恐れは、コミュニケーションすることで、
解消される。
太田さんは、そのコミュニケーションの力を見せてくれた。
映画は、監督自身のナレーションで進行していく。
監督は、
「私の不完全な発音でこの映画の良さが損なわれたら・・・」 と
悩んだらしいが、彼女のナレーションがあってこそ、
この映画は、よりリアルに身近なものになっていると感じた。
登場する、ろう者の皆さんが全員明るく、朗らかであることも
私にはある意味ショックだったが、その 「ショックだった」 と
いうこと自体が、私の認識が間違っていたことを示している。
素晴らしい作品だった。
珈琲とエンピツ オフィシャルサイト
特に監督のコメント読んでください。
↓
監督の挨拶
★★★★★
補足
「ろうあ者」 という言葉は知っていたが、「ろう者」 という言葉は、
聞き慣れなかったので調べてみた。
「ろうあ」 の 「あ」 は、しゃべれない事を意味するらしい。
昔は、聞こえないということは、しゃべれないということだったようだが、
今では、手話やその他の方法で訓練すれば、ある程度
しゃべれるようになったので、「あ」 が取れて 「ろう」 という
言い方が一般的になったらしい。
また、「聴覚障害者」 という表現は、
医学的に 「耳が聞こえないということは障害であり、治したり、
少しでも聞こえるようにするもの」 という概念があるため、
本作では、「ろう者」 と表現されているとのこと。
わが母の記
原作は、井上靖。
彼自身と家族との実話をベースにつづった自伝的小説。
主演は、小説家の伊上洪作役に 役所広司。
あい変らず、素晴らしい。
その母親役に樹木希林。
樹木希林、快演&怪演。
座っている姿だけで、凄い。
その他、伊上洪作の娘役に 宮崎あおいらで、
出演陣は皆 素晴らしかった。
観客は、ほとんど中高年だった。
その年頃なら誰もが涙なしでは観られないと思う。
昭和30〜40年代の舞台も良い。
ただ、予告編で内容を見せすぎ。
もっと、何も知らずに観た方が、より感動したと思うな。
色々書きたいけど、書くとネタバレになる。
「予告編で内容見せすぎ」 と書いた私が、
ネタをばらすわけには行かない。
なので、書かないけど、良い映画です。
★★★★★
自分の親を、自分の人生を 「これでよし」 と言えたなら、
それだけで、その人生はもう幸せで素晴らしいものだ。
2012.5.12
幸せパズル
今日は、映画 2本立て。
まず、目当ての作品ではない 『幸せパズル』 から。
本作、予告編を観たこともないし、予備知識なしで鑑賞した。
50歳になった、母であり妻である女性が、
ジグソーパズルの面白さに目覚める。
たぶん、それまで趣味も何もなかったんだろう。
家族に内緒で、金持ちの男性とペアを組み、
パズルの大会に出場する。
いや、大会に出場することは、家族にも言うのだが、
男性とペアというのは、内緒。
大会で優勝し、世界大会の出場権を獲得する。
世界大会は、ドイツで開催される。
いくらなんでも、男性と2人でドイツへは行けない・・・。
そんなお話。
映画が始まったとき、舞台の国がどこか分からなかった。
登場人物が白人だし、どうもヨーロッパのようだが、
フランス、イギリス、ではない。
「ドイツへいく」 というのだから、もちろんドイツでもない。
言葉の感じから、スペインかポルトガルだろうかと
思いながら見ていた。
鑑賞後、調べてみると、アルゼンチンのお話でした。
そらぁ、ドイツまで行けんよな。
(アルゼンチンは、スペイン語)
本作、起承転結の 「結」 が、ないような感じ。
でも、これは、これでいいのだろう。
なんというか、ある主婦の数日間を切り取ったような映画。
印象的だったのは、夫婦の力関係の描き方。
主人公マリアが夫に 「パズルの大会に出たい」 と話す。
夫は、パズルのことをバカにしており、笑い出す。
マリアは機嫌を損ねる。
口もきかない。
すると、夫は一生懸命、マリアの機嫌を取り戻そうとし、
笑ったことを謝り、大会に出場することを許す。
観ていて、マリアは全部計算ずくなんじゃないか、と思った。
★★★▲☆
灼熱の魂
2本目は、『灼熱の魂』。
昨年12月に公開され、予告編も観たことがある。
ネット上での評価も高かったので、凄く気になっていた作品。
これは、強烈。
衝撃的。
サスペンス的だが、ただのサスペンスではない。
えげつない人間ドラマだ。
国際情勢や歴史に疎い私でも分かるので、
予習なし、予備知識なしで、是非観て欲しい。
細かい背景は分からなくても、
本作のテーマは、ズドンと胸ぐらをつかんでくる。
ただ、知っておいて欲しいのは、
ハッピーな映画ではないということ。
重いです。
この結末、どーすんねん、って感じです。
ま、このタイトルから、楽しい映画は連想出来ひんよな。
カナダでもっとも権威のあるジニー賞の8部門を受賞。
ヴェネチア国際映画祭最優秀作品賞。
アカデミー賞外国語賞ノミネート。
★★★★★
2012.5.15
灼熱の魂 2回目鑑賞
土曜日に観た映画 『灼熱の魂』 があまりにも
衝撃的だったので、妻にも観るように勧め、
日曜日に一緒に観に行くことになった。
ヘビーな映画なので、観に行くことになってから、
(これ、2日続けて観る映画ちゃうな) と思ったけどね。
結果、ストーリーは全部分かっているので、
1回目ほどの衝撃はなく、結構淡々と観ることができた。
そして、当然かも知れないが、2回観ると理解が深まる。
(ああ、この表情はこういうことだったのか)
(この時、気付くこともできたんだ)
(そういう声を出してたんや) などなど。
そして何よりも本作のテーマというか、メッセージが、
ズドンと深く響いてきた。
これは、反戦映画だと思うが、
ある意味、人間への戒めでもあるのだと思った。
そして、ちょっと無理があるなぁというところも
見えてきたが、ストーリーがスゴイことには、変わりない。
2012.5.18
ポテチ
東日本大震災で被災後の宮城県仙台で、
オールロケを行い製作された映画 『ポテチ』 を
観てきた。
原作は、伊坂幸太郎、監督は、中村義洋。
伊坂の作品の映画化はこれで8本目で、
そのうち、中村監督作品は、4本。
チェックしてみると、『アヒルと鴨のコインロッカー』 (2007年) 、
『フィッシュストーリー』 (2009年)、『ゴールデンスランバー』
(2010年)、そして本作 と、伊坂&中村タッグの作品は、
意識していたわけではないのだが、全部 観ていた。
ちなみに監督は違うが、『重力ピエロ』 (2009年) も
伊坂の原作。
さて、本作、68分 と短い映画だが、
しっかりと作られており、物足りなさは感じない。
主演は、濱田岳。
その他、大森南朋、木村文乃、石田えりなど。
大森南朋って、今まであんまり 良いと思ったことなかったけど、
初めて 良いと思った。
それから、知らない女優さんだったけど、木村文乃も良い。
石田えりも自然で良い。
音楽は、斎藤和義。
主題歌がまたよろしい!
予告編を観て、濱田岳主演だし、ゆる〜い青春映画だろうと
勝手に想像していたら、見事にやられてしまった。
最後は、ベタベタな展開なのだが、泣かされる。
そのベタな展開に泣かされるのではなく、
何かが、涙腺に訴えてくるのだ。
切ないけど、幸せな、素晴らしい映画だ。
原作、読みたくなった。
★★★★▲
ポテチ 公式サイト
68分と短い映画なので、一般1300円です。
私は、前売り券1000円で観ました。
なお、観られる方は、最後まで席を立たないように。
2012.5.23
幸せの教室
トム・ハンクスが、監督、脚本、主演を務め、
ヒロインには ジュリア・ロバーツ・・・。
なんとなく、イヤな予感もしつつ、鑑賞した映画 『幸せの教室』。
なんでしょう? この不完全燃焼感。
今回チェックしてみて気付いたのだが、
私は、ジュリア・ロバーツの作品をほとんど観ていない。
なんと、前作 『食べて、祈って、恋をして』 が初めて観た
作品だったのだ。
イヤな予感と書いたのは、一昨年の 『食べて、祈って、
恋をして』 が、イマイチだったせいで、ジュリア・ロバーツに
良い印象がないせいもある。
なにしろ 『プリティ・ウーマン』 も 『エリン・ブロコビッチ』 も
観ていないのだから。
さて、今日はネタバレなので、観ようと思っている方は、
読まないように。
ストーリーは、大学を出ていないという理由で
会社 (スーパーマーケット) を クビになったラリー・クラウン
(トム・ハンクス) が大学に通いだす。
そこで、スピーチの授業の教師、メルセデス・テイノー
(ジュリア・ロバーツ) に出会う。
で、最後には、2人はめでたく結ばれて、ちゃんちゃん、
という話なのだが、まず、ラリーが、テイノー先生のどこに
惹かれたのかが、分からん。
テイノー先生が、ラリーに惹かれるところは、少し描かれているが、
それも 「その程度で?」 って 感じ。
つまり、2人ともに共感できないのだ。
最悪は、2人のキス・シーン。
テイノー先生が、ベロベロに酔っ払って、ラリーにキスを迫る。
観ていて、みっともないこと この上ない。
当然、ラリーは拒否するものと思ってたら、
やっちゃうんですわ、これが。
ラリーがマジメな人に描かれているだけに、
このシーンは、全く理解できなかった。
2人とも酔っ払っていたなら分かるけど、
ラリーはしらふやで。
普通、引くでしょ、あの感じだったら。
たぶん、テレビドラマで20話ぐらいあったら、
面白いのができるかも知れないが、99分やからね。
無理があるわな。
トム・ハンクスは、役者としては素晴らしいけど、
監督としては、どうなのかな?って思ってしまった。
原題は、主人公の名前そのまま 『LARRY CROWNE』。
邦題にも無理があるよな。
★★▲☆☆
2012.5.28
ファミリー・ツリー
アカデミー賞の作品賞、監督賞、主演男優賞、編集賞で
ノミネート、脚色賞を受賞した、ジョージ・クルーニー主演の
『ファミリー・ツリー』 を 昨夜、鑑賞した。
事故で妻が意識不明になった後、妻の浮気を知る、
夫であり 父である男の心の葛藤と、家族の再生の物語。
シリアスなテーマであるにも関わらず、
あまり深刻でないのは、多分に音楽の効果だと思う。
舞台がハワイということで、全編にハワイアン・ミュージックが
流れているのだ。
ハワイのゆる〜い ギター奏法を スラック・キー・ギターと呼ぶのだが、
そんなゆる〜い音楽のおかげで、本作は、深刻さから
解放されていると思う。
それは賛否両論だろうけど。
ちょっと私が期待していた作品とは違ったのだが、
鑑賞後、ネットで人のレビューを読んでいて、
深い映画だったのね、と気付かされた。
ジョージ・クルーニーは、もちろん良かったが、
2人の娘役達が素晴らしい。
原題は、「THE DESCENDANTS」、「子孫」 という意味だ。
映画を観ると、(なるほどね) と思うタイトルだ。
★★★★☆
2012.6.4
宇宙兄弟
一昨日、鑑賞した 小栗旬 と 岡田将生 が主演の
『宇宙兄弟』。
週刊コミック誌なんて 読まなくなって30年ぐらい経つので、
全然知らなかったけど、本作、原作は累計発行部数800万部
というから、大ヒットのコミックやねんね。
でもこれは、原作読んでなくて正解。
映画館出て、すぐ前を歩いていた兄ちゃんが、
彼女と思われる女性に
「はしょりすぎ!」 って言っているのが聞こえた。
長く連載している原作を2時間そこそこにまとめやな
あかんねんから、そら はしょるわな。
「見たかったエピソードが削られていて残念」 という
レビューもネットで読んだし、原作ファンには評価も
イマイチなので、(ああ、これは原作知らなくて良かった) と
思ったのだ。
私としては、何も知らなかったおかげで、
期待以上に満足のいく作品だった。
舞台は、未来。
子供の頃に 宇宙飛行士になろうと約束した兄弟の物語。
細かいことを言うと、疑問がないわけではないし、
後半、駆け足にストーリーが進んでしまう感もあるけど、
(そんなことええやないか) と思わせてくれるパワーのある作品。
夢と希望、それをあきらめないこと、約束を守ること、
そんなテーマが、50歳を目前にしたおじさんには、
グッと来たよ。
あきらめへんかったら、なんでも夢がかなうほど
人生甘ないのも知ってるけど、
誰かが言った、
「星に手が届かなかったことは、恥ずかしいことじゃない。
恥ずかしいのは、星に手を伸ばさなかったことだ」 っていう
言葉を思い出した。
NASA の協力もあってか、ロケットの発射シーンは、
迫力があるし、月面のシーンも 昔の日本映画のように
ちゃちじゃない。
そして、アポロ11号で人類最初に月面に降り立った一人である、
エドウィン・バズ・オルドリンが本人役で出演している。
舞台は、2025年なので、1930年生まれの彼が、
あの役で出演できるのも、ギリギリな感じ。
小栗旬 演じる ムッちゃんが、彼に出会い、
「あんたは誰だ?」 と訊くシーンがある。
「私は、かつて月に行った男だよ」 と バズは答えるが、
ムッちゃんは、本気にしない。
そのシーンでは、バズの座るディレクターチェアの
背もたれにタオルがかけられていて、
バズの名前が見えないのだが、後々に映るときは、
しっかりと 「Buzz Aldrin」 と読み取れるあたりが、
憎らしい演出だ。
そして、そのバズの
「ロケットが宇宙に飛んでいくのは、なぜか分かるか?」
質問の答えが素晴らしい。
ぜひ劇場でお確かめください!
濱田 岳が、ちょっとやんちゃな関西人役で出演しているが、
東京出身なのに 関西弁もかなり上手い上、
今までにない新しいキャラで ◎。
兄弟のおかん役は、森下愛子。
すんごい、久しぶりに見た。
子供の頃、割と好きやったんよね。
★★★★★
2012.6.16
SOUL SURFER
映画 『ソウル・サーファー』 を観てきた。
先日観た、『ファミリー・ツリー』 と同じく、ハワイが舞台。
ただし、こちらは実話だ。
天性のサーフィンの才能を持ちながら、
13歳のときに左手をサメに奪われた
ベサニー・ハミルトンの実話。
いやぁ〜、この映画観ると何一つ、
人生で言い訳なんか出来ません。
左手が肩からサメに食いちぎられたのに、
なんでその数週間後に海に入って、
サーフィンしようと思うの?
退院後、一番したいことが海に入ることやで。
その時点で、この人は特別でしょう。
でも、当然、挫折があるのね。
片腕のサーフィンは、大変。
それでも、彼女はそのハンディを克服し、
プロ・サーファーになってしまう。
何かをあきらめる前に、または、
今の自分の人生を受け入れがたい人は
観ておく作品。
CG も限りなく素晴らしいが、
後半ちょっと気になるシーンもあったのが残念。
まあ、それは本作の本質には関係ないけどね。
宗教的な解釈には100%同意はできないものの
人生で大切なのは、希望と愛だと思うね。
★★★★★
ソウル・サーファー オフィシャルサイト
四肢が無いニックさんのご本人へのインタビュー
2012.6.23
メン・イン・ブラック 3
『MIB』 が 1997年、『MIB 2』 が 2002年。
前作から10年も経ってたんやね。
2作とも映画館で鑑賞したので、本作も一応観ておこうと、
予備知識なし、期待なしで観に行ったら、最後に泣いてしもた。
まさか、このシリーズで泣かされるとは、
思ってなかったので、うれしい裏切りだった。
きっと、予備知識なしだったのが良かったんだと思う。
映画はやっぱり、何も知らずに観た方が、ええな。
特撮 (最近はそう呼ばんのかな) や特殊メイクの技術も
進化し続けているので異星人の中には、気持ち悪いのも
いっぱいおるけど、基本的にコメディなので、笑えます。
遊びネタも色々あり。
2D でも十分面白かったけど、3D なら 別の面白さも
味わえるのかな。
それにしても、ウィル・スミスは、いつまでも若い!
★★★★★
2012.6.27
幸せへのキセキ
マット・デイモン主演の 『幸せへのキセキ』 を観てきた。
妻を亡くした夫と 母親を失くした子供たち、
その家族の再生の物語。
新しい生活を始めるため、閉鎖中の動物園付きの
家を買い、その動物園を開園させるまでの物語。
『幸せへのキセキ』 というタイトルが微妙だと思ったが、
原題は、『WE BOUGHT A ZOO』。
こっちも味気ないほど めちゃくちゃストレート。
邦題の 「キセキ」 は、「奇跡」と「軌跡」 をかけてるのかな?
「動物園付きの家」 とは、ありえない話かと思ってしまうが、
本作、実話を基にしている。
ストーリー自体は、予想通りの展開で 目新しくもないのに
良いんだなぁ、これが。
お父さんのがんばり具合とか、息子の変化とか、
逝ってしまった妻 (母) との関係の整理とか、
新しい未来のにおいとか、チャレンジすることとか、
そんな色々を感じることができて、くさいけど、良い。
昨年 『SOMEWHERE』 で、大好きになった エル・ファニングが、
田舎娘の役で出ていたが、やっぱり良かったねぇ。
ちゃんと、田舎もんに見えるところが凄い。
それから、マット・デイモン扮する主人公の娘役 (4歳?) で、
マギー・エリザベス・ジョーンズ という子役が、
出演しているのだが、この子がまた最高。
これまた天才子役の登場だ。
動物園の飼育係のスカーレット・ヨハンソンも魅力的。
(この人、何に出てたっけ?) と帰ってから調べてみたけど、
どうも出演作を観た覚えがない。
誰か他の人と混乱してるのかなぁ。
予告編を何度か観たのだが、
その中で、「どうして、この動物園を買ったの?」 という質問に
「(妻と) 約束したんだ・・・」 って答えるベンジャミンのセリフがあった。
で、その場面になったのだが、
ベンジャミンの答えは、予告編のそれとは違っていた。
(なんでかな?) と、気になるので予告編を観てみた。
すると、ベンジャミンのセリフは、本編と同じだった。
違ったのは、字幕の訳。
これから観る方のために、何と言うセリフだったかは
書かないけど、
「約束したんだ」 っていう訳はないやろ。
でも、そのおかげで、本編でのインパクトが倍増。
その時の、ベンジャミンのセリフは、
とっても、意味のある言葉だったから、
私としては、「やられた」 って感じだった。
★★★★★
2012.7.1
それでも、愛してる
ジョディ・フォスターとメル・ギブソン主演の映画
『それでも、愛してる』。
ジョディ・フォスターは、監督も務めている。
会社経営者であり、夫であり、2人の男の子の父親である、
ウォルター (メル・ギブソン) は、長くうつ病を患っている。
ビーバーのパペット (腹話術に使う人形) を使うと、
話ができるが、それなしでは話せなくなってしまう。
そして、だんだん、ビーバーへの依存度が高くなり、
人格が分裂していく・・・。
ハートフルなファミリーものだと思っていたら、
後半、ちょっと ホラー映画みたいになった。
でも、一番怖かったのは、映画館に 「パペットセラピー」 の
パンフレットが置いてあったこと。
この映画を観た後に 「パペットセラピー」 は、
薦められないでしょ。
昨年の邦画 『ツレがうつになりまして。』 に続き、
夫がうつ病になる映画。
世の中にそれだけ うつの人が増えているということだろうか。
原題は、「THE BEAVER」。
なんとなく、原題のままの方が、怖くて、
映画のイメージに合っている。
★★★★☆
2012.7.4
ディア・ハンター
「午前十時の映画祭」 と銘打って、映画ファンが選んだ
1950年〜1970年代の名作50本を全国25の映画館で
上映している。
今やっているのは、その第三回で、
有楽町のみゆき座で、『ディア・ハンター』 を
上映しているので、観てきた。
映画館で観られるのは、めったにない機会だからね。
『ディア・ハンター』 は、1978年のアメリカ映画。
ロバート・デ・ニーロ主演で、クリストファー・ウォーケン、
メリル・ストリープなど出演している。
当時のアカデミー賞の作品賞、監督賞、
助演男優賞 (クリストファー・ウォーケン)、音響賞、編集賞を
受賞し、主演男優賞 (ロバート・デ・ニーロ)、助演女優賞
(メリル・ストリープ)、脚本賞、撮影賞 でノミネートという
作品だ。
私は、ずい分前に観たのだが、あのロシアン・ルーレットの
シーンだけを覚えていて、ほかの事は印象になく、
始めから最後までちゃんと観たような気がしなかったので、
もしかしたら、テレビで放映された時にそこだけ観たのかも
知れない。
いずれにしろ、名作なので今回映画館で鑑賞することができて
良かった。
物語は、1960年代後半のアメリカ。
仲良しグループの3人がベトナム戦争に出征する。
そして、3人とも敵の捕虜になってしまう。
捕虜にロシアン・ルーレットをさせ、金を賭けるという
異常な世界で、人が変わってしまうという、
青春と戦争と狂気と友情の悲痛な物語。
今回観るまで、「Dear Hunter」 だと勘違いしていたが、
原題は、「The Deer Hunter 」 。
鹿のハンターのことだった。
本作、3時間以上あるのだが、今作ったら もっと短い作品に
なるだろうと思った。
現代は、それだけ、70年代より 先を急いでいるというか、
ゆっくりできなくなってきているように感じた。
テーマ音楽は、スタンリー・マイヤーズ作曲の 「カヴァティーナ」。
この曲、元々はピアノ用に書かれたものを、
ジョン・ウィリアムズがギター用にアレンジしたらしい。
ホントに美しく哀しいメロディだ。
ロバート・デ・ニーロは、若いときから渋い。
★★★★▲
2012.7.12
ミッドナイト・イン・パリ
昨夜、ウディ・アレン監督の 『ミッドナイト・イン・パリ』 を観た。
ウディ・アレンの作品って、観ているようで 実は観ていない。
改めて調べてみると、過去に観た ウディ・アレン作品は、
ショーン・ペン主演だった 『ギター弾きの恋』 だけだった。
さて、『ミッドナイト・イン・パリ』。
主役のギル (オーウェン・ウィルソン) は、
婚約者と一緒にアメリカからパリに旅行に来た。
そして、夜中に一人で 1920年代のパリに迷い込んでしまう、
という、ファンタジー。
1920年代のパリでは、コール・ポーター、ヘミングウェイ、
ピカソ、ダリなどと逢う。
もっと、色んな人出てきたけど、知らん人やった。
この映画、パリの歴史と それら登場人物のことを
知っていたら、かなり面白い作品なんだろうと思った。
作品の中では 知識人のことを皮肉っていたけど、
知識人向けの映画ってことやろか。
以下、ちょっとネタバレになるけど、
2000年代に 1920年代のパリに憧れていた主人公が、
1920年代に行くと、その時代の人たちは、
1890年代に憧れている。
1890年代に行くと、その時代の人たちは、
ルネッサンスの時代が最高だという。
そこで、主人公が決断することとは・・・。
ラストは、ありがちだが好き。
2012年アカデミー賞
最優秀脚本賞受賞
作品賞/監督賞/美術賞ノミネート
★★★★☆
2012.8.15
約1ヵ月ぶりに映画鑑賞。
初めて 「夫婦50割引 (夫婦どちらかが50歳以上だと2人で
2000円)」 を使って観た。(2本立て)
これからは、夫婦一緒ならほとんどの映画館で (2人で)
2000円で観られるのだ。
ヤング≒アダルト
シャーリーズ・セロン主演のイタ〜イ女の物語。
37歳でバツイチのメイビス (シャーリーズ・セロン) が、
故郷に戻り、高校時代の元カレとよりを戻そうとするのだが、
このメイビス、確かに美人だが、とにかくイタイ キャラで、
同情の余地はなし。
なんか、可哀相な女の物語でした。
★★★☆☆
ヘルプ 心がつなぐストーリー
1960年代のアメリカ南部 ミシシッピー州を舞台にした
黒人メイドのことを書いた、キャスリン・ストケットという人の
小説を映画化。
南部といえば、人種差別が激しかったことで有名だ。
トイレも白人と黒人用が分けられ、バスも黒人の
席が決まっていた。
ひとつ間違うと理不尽に黒人は、命さえ落としかねない
危険な時代だ。
そんな時代、一人の白人女性が、黒人メイドの
真実を世の中に知ってもらおうと、取材を始める。
初めは、取材を断る黒人メイドたちも やがて、
取材に応じ始める。
白人のライター、スキーター役にエマ・ストーン。
この人いいね〜。
一発でファンになったよ。
黒人メイド、エイビリーン役の ヴィオラ・デイヴィス と
ミニー役の オクタヴィア・スペンサー の2人が
重要な役を担っている。
オクタヴィア・スペンサーは、本作で
アカデミー賞 助演女優賞 受賞。
確かに素晴らしい。
黒人を所有物のように扱い、差別することが
当たり前のようだった時代にも、良心と勇気のある
白人がいたことに救われる。
黒人メイドの勇気にも心を揺さぶられる。
★★★★▲
2012.8.26
プロメテウス
リドリー・スコット 監督の 『エイリアン』 は、1979年の作品。
そうそう、高2の時、当時の彼女と観たよなぁ。
エイリアン・シリーズで一番面白かったのは、
『エイリアン2』 (1986年、監督は ジェームズ・キャメロン)。
『エイリアン3』 (1992年) も観たけど、何も覚えてない。
『エイリアン4』 (1998年) は、かなりグロテスクで、
趣味が悪いと思ったことしか覚えてない。
で、本作 『プロメテウス』。
“人類最大の謎 「人類の起源」 ” とかってテレビでも
CM してるし、映画館での予告編も何度も観た。
映画は あんまり予備知識なしで、観るようにしてるので
CM と予告編と 「リドリー・スコット監督」 というだけで
なんとなく 『エイリアン』 っぽい映画なんやろうと思って、
昨夜 レイトショーで鑑賞。
感想は、ひとことで言うと
「もう、こういう映画は観んでええな」。
そういう反応って、年とったということでも
あるのかも知れへんけど。
確かに映像は、迫力ある。
ドキドキ、ヒヤヒヤもある。
けど、い〜っぱい 「?」 「?」 「?」 の連続だった。
ほんでね、「人類の起源」 なんか、解明されへん。
なんか、「おおぉぉ!」 っていうの期待してたのに。
がっかり。
2D で観たけど、3D なら映像はもっと面白かったかも
知れない。
でも、やっぱり、内容がね。
アホみたいなことがいっぱいあるし、
わけわからんの。
それと、やっぱりグロいシーンが多くて、
あんまり気持ちの良いもんでもない。
★★▲☆☆
2012.9.23
デンジャラス・ラン
約1ヵ月ぶりという、私には ちょっと久しぶりな感じの
映画鑑賞。
デンゼル・ワシントン&ライアン・レイノルズ主演の
サスペンス・アクション、『デンジャラス・ラン』 を観てきた。
『デンジャラス・ラン』 は邦題。
原題は 『SAFE HOUSE』 で、作品中に出てくる 「隠れ家」 のこと。
(なんか、邦題イマイチやな。)
映画は何がなんだか分からん状態で始まり、
徐々に意味が分かってくる。
デンゼル・ワシントン演じる トビン・フロスト は、
元CIAの凄腕エージェントだったが、国を裏切って (?)
世界中で指名手配されているワル。
そして ライアン・レイノルズ は、新米エージェントで、
隠れ家の管理人。
その2人が、一緒に逃げることになるのだが、
カーチェイスが中々迫力があってよろしい。
途中で誰が黒幕か、大体見当がついてしまうし、
他にも予想がつくところがあり、サスペンス的には、
もう一歩な感じだが、まあまあ面白かった。
ただ、ラストは、微妙だ。
どうせなら、はっきり、ハッピーエンドにしてくれた方が、
私は好きだな。
または、その部分は要らんな。
ライアン・レイノルズ という役者の作品は初めて観たが、
ストーリーが進むにつれて、どんどんたくましく、強くなって
いくように見えた。
デンゼル・ワシントンは、最初から凄み&渋さあり。
なお私は、絶対 CIA にはなれません。(当たり前)
★★★▲☆
2012.9.26
天地明察
岡田准一、宮崎あおい 主演の映画 『天地明察』 を
昨日、観てきた。
私は、ジャニーズのアイドルの出ている映画は、
(全部観ているわけではないけど) あんまり良いと思わない。
でも岡田准一は、3年前に観た 『おと・な・り』 が良かったので、
好印象だった。
(昨年観た 『SP 野望篇』 は、よく分からんかったけど。)
さて、本作、岡田が演じるのは、安井算哲という
江戸時代前期に実在した人物。
当時の暦は、中国・唐時代のものを800年も
使っており、ずれてきていた。
その暦の誤りを正す仕事を、
星の観測と算術の問いを解くことが大好きな
安井算哲が任される、というお話。
宮崎あおいはその妻。
他に 中井貴一、佐藤隆太、笹野高史、岸部一徳、
松本幸四郎、市川猿之助、市川染五郎 らが
出ており豪華。
監督は、『おくりびと』 の滝田洋二郎。
となると、期待してしまいそうだが、
『おくりびと』 ほどの感動はなかったな。
でも、良い作品でした。
印象的だったのは、前半、算哲が星を眺めたり、
算数の問題を解いたりする時の表情。
本当に楽しそうでうれしそうで、微笑ましい。
算哲は実在の人物だが、映画にはかなり創作が
入っている模様。
それは構わないが、ちょっと残念だったのは、
横山裕が、お坊さんの役で出ているのだが、
スキンヘッドが ズラ なのだ。
頭部が不自然に盛り上がって見える。
(映画に出るんやったら、剃れよな) って感じ。
それをごまかすためか、額から下のアップが多いのも
逆に気になった。
あと、もう一つ、物語は10年どころじゃないぐらい年月が
経っているはずなのに、岡田准一&宮崎あおいが
全然年を取らない。
ちょっとぐらい老けさせようよ。
原作は、ベストセラーだったようだが、
あんまり本を読まない私は、知らなかった。
★★★★☆
2012.10.1
最強のふたり
映画の日。
フランスで 3人に1人が観たというヒット映画
『最強のふたり』 を観てきた。
文句なしの5つ★。
原題は仏語の 『Intouchables』 で、
英語の 「Untouchable」 とは似ているようで
ちょっと違うようだ。
「Intouchables」 は、「話の合わない、触れ合わない二つ」 と
いうような意味らしい。
観るまで知らなかったが、本作、実話が基になっている。
事故にあって首から下が麻痺した大富豪フィリップと、
その介護者として雇われた黒人青年ドリスの物語。
素晴らしい作品なので是非観ていただきたいので、
詳しく書くことは控えるが、つまり、触れ合わない2人が
触れ合ったという話なのだ。
相変らず、邦題付けには苦労のあとが感じられるが、
『最強のふたり』 というのも分からないではない。
確かに、この2人なら “最強” だ。
それは、冒頭のシーンで証明される。
その2人が 2人とも素晴らしく、彼らのようにありたいと
思ったし、人間って素晴らしいな、と改めて思わせてもらえる作品。
E,W&F など音楽も GOOD。
ユーモアもたっぷりで、かなり笑える。
ドリス役のオマール・シーは、コメディアンと聞くと
さもあらん。
そんなにたくさんフランス映画を知ってるわけじゃないけど、
いわゆるフランス映画っぽくない。
あ、予告編は、観ない方がいいよ。
本編と訳が違いすぎるので。
★★★★★
2012.10.9
夢売るふたり
昨日、鑑賞の映画 『夢売るふたり』。
阿部サダヲと松たか子が夫婦で結婚詐欺をする話。
と、聞いただけで 面白そうだ。
監督は、西川美和。
『ゆれる』 『ディア・ドクター』 に続いて彼女の作品を
観るのは、3作目だ。
感想はというと、
「悪くはないねんけど、なんやようわからんかった」
っちゅう感じ。
主役の2人以外にも、田中麗奈、木村多江、鈴木砂羽、
香川照之、笑福亭鶴瓶と 出演陣も豪華なのだが、
137分が、ちょっと長く感じたことも事実。
と、ここまで書いてから、ネットでレビューを読んでビックリ。
(そ、そんな映画だったのか?) と、
自分の読みの浅さ、感性の鈍さを恥じずには いられない、
レビューがいくつもあった。
なるほど、そういうことだったのか・・・と。
賛否両論あり、
私は、「?」 が多かったので どちらかというと、
「否」 の方だったのだが、「賛」 の解釈を読んで、
簡単に納得してしまった。
だが、映画を観ただけでは 分かりにくいのは否めない。
そんな風に 「賛」 の解釈できる人は、残念ながら少ないやろ。
たぶん、だけど、
女性の方が、色々理解できるんだろうと思う。
監督も女性だし。
例えば、松たか子のあるセリフについて、
嫉妬だと書いていた人がいたのだが、
そんなこと思いもしなかったのは、私が男だからか、
単に鈍いだけか。
でも、嫉妬だと言われると、なるほどと思うセリフだった。
前後の描写ともつじつまが合う。
極めつけは、松たか子の自慰シーン。
私は、人のレビューを読むまで、彼女はお腹が痛いんだと
思っていた。
ただ、ちょっと艶めかしいな、とは感じていたんやけど。
自慰をお腹が痛くてさすっていると思うなんて、
あまりにも子供じみた解釈で、自分にがっかり。
私の鈍さはさておき、賛否両論あるっちゅうのは、
ある意味ええことや。
そうと分かって観ると、全然違う作品として
観れるような気がしてきた。
主役の2人は良かったし、もう一度観たらおもろいかも。
★★★▲☆
2012.10.12
鍵泥棒のメソッド
堺雅人、香川照之、広末涼子出演の映画 『鍵泥棒のメソッド』、
昨夜レイトショーで鑑賞。
『アフタースクール』 の内田けんじ監督の4年ぶりの作品。
『アフタースクール』 は、もう内容は忘れてしもたけど、
ここ には、「エンディングがすごく好きだなあ」 と
書いているので良かったんだろうな。
その 『アフタースクール』 にも堺雅人は、出演していた。
さて、本作。
香川照之が、記憶喪失になるのだが、
記憶を失くす前、失くした後、取り戻した後、と全然違う人間に
なるのが見物。
やっぱり上手いね。
堺雅人は、割と好きな俳優で、全部ではないけど、
結構出演作を観ている。
本作でも、ダメな男を好演。
広末涼子って、あんまり良いと思た記憶がないねんけど、
これは良いと思った。
地味でマジメで几帳面な女性役で、こういう役をやれば良いんだと
新発見。
結構、笑えるし、展開が読めないので楽しめる。
★★★★☆
2012.10.13
あなたへ
高倉健主演の映画 『あなたへ』 をやっと観てきた。
「やっと」 と書いたのは、この映画はこの数週間、
午前中や午後の早い時間しかやっておらず、
中々観に行けなかったからだ。
今日、14:35からの回を観たが、
比較的高齢の方で 入りは80%以上と、混んでた。
8月25日公開でこれだけ混んでいるのは、
ご存知の通り、大滝秀治の遺作となったせいも
あるのかもしれない。
さて、映画の方は、健さん演じる倉島英二の妻
(田中裕子) の 「故郷の海に散骨して欲しい」 という
遺言を実行するべく、英二が富山から長崎へ車で旅する間に
出会う人々とのふれあいを中心に描かれている。
妻の死後、遺言を受け取った英二は、
(なんで生きている間に言わなかったのか) と不思議に思う。
映画の中で、その遺言の意味が明かされるが、
一度の鑑賞では、私には全く意味が分からなかった。
と言っても、映画はとても良い。
じわ〜っと何かが心に染みてくる作品だ。
変な言い方だが、とても日本人的。
冒頭数分で、タイトルが出るのだが、
その時点で、(あ、これは、ええ映画や) と確信した。
旅の道中出会う人々が、
ビートたけし、佐藤浩市、浅野忠信、草なぎ剛、
余貴美子、綾瀬はるか、岡村隆史、大滝秀治と
豪華。
そのほか、長塚京三、原田美枝子も出演。
一つ、難を言うならば、健さんが病床の妻に
「お願いだから、早く良くなってくれよ〜」 というような
セリフがあるのだが、これは健さんには似合わないな。
もっと違う表現をして欲しかったな。
それにしても、81歳の健さん (私の父と同級生)、すごいです。
渋いです。
田中裕子もかわいい。
そして、イカ飯を食いたくなるし、
あの長崎の小さな港町を訪れてみたくなります。
★★★★▲
2012.10.28
終の信託
昨日、公開初日の映画 『終の信託』 を観てきた。
草刈民代&役所広司主演、周防正行監督。
重度の喘息患者、江木 (役所広司) は、
「最期の時が来たら、延命せず楽にして欲しい」 と
担当医の折井 (草刈民代) に頼む。
そして、その時が来て、折井は約束を決行することを決断する。
その後、江木の家族に訴えられる、という物語だ。
同じく周防監督の 『それでもボクはやってない』 同様、
観終わった後、すっきりする映画ではない。
考えさせられる、そして答えのない問題提議の作品だ。
被疑者となった折井と検事 (大沢たかお) のやり取りが
見物だが、理不尽で不条理な検事の言い方に
腹が立ってしまう。
起訴することが仕事なのは分かるが、
検事の取調べって、ホンマにあんなんなのだろうか。
主演の2人、草刈民代と役所広司はもちろん良かったが、
イヤな検事を演じた大沢たかおも良かった。
残念なのは、折井と江木の、精神的な関係が
築かれていく様がちょっと物足りない気がしたこと。
江木の家族が、なぜ訴えることになったのかが、
充分描かれていなかったこと。
まあ、推測できないこともないので、
そこは、観客の想像力に任されているんかも知れない。
(原作を読めば詳しく書かれてるんやろう。)
あと、決定的にやばいのは、折井が江木の死体に
泣きつき、謝り、子守唄を歌うシーン。
その場にいる家族が描かれていない。
普通、医者が急に子守唄歌いだしたら、
絶対おかしいと思うで。
それと、144分は、ちょっと長く感じたね。
終末医療に関しては、めちゃくちゃ難しいテーマだが、
安楽死や尊厳死のことは、元気なうちに
家族としっかり話し合い、同意を取り、
文書にしておいた方が良さそうだ。
★★★☆☆
東京セレソンデラックス 『笑う巨塔』
2〜3ヶ月前、深夜のテレビで 『笑う巨塔』 という舞台を
紹介していた。
それに出演している役者さんが出ていたのだが、
あんまり有名な人ではなく、誰だったか覚えていない。
私は、面白そうだと思い、その場でネットで
チケットを申し込んだ。
昨日は、池袋のサンシャイン劇場で、
その公演だった。
実は、そのテレビを観た時、私は酔っ払っており、
内容を何も覚えていない。
何が面白そうだと思ったのかも。
昨日、劇場まで行って、ポスターを観た妻が、
「えっ?これ、観るの?」 とちょっとイヤそうな顔をした。
確かにあまり (観たい!) と思わせてくれる
ポスターではない。
これは、失敗かと、なんとなく不安になってしまった。
おまけに、始まる前から舞台に役者が出てきて、
ゲームをしたり、観客に振り付けを教えたりする。
見ていると、熱狂的なファンもいるようだが、
出演者の名前を見て 私が知っているのは、松本明子ぐらい。
コメディということだが、面白くないコメディを
2時間も見せられたら、たまったもんやないな、と
不安なまま、舞台は始まった。
最初の10〜15分ぐらいは、全く笑えず、
(やばいな〜) と思ったが、ストーリーが展開していくにつれ、
面白くなっていった。
2時間20分、暗転なしのぶっ続け。
設定は病院で、軽い病気の人が 末期癌だと勘違いするなど、
ありがちなネタなのだが、脚本も役者も良く、結構、笑えました。
充分、満足。
名前を見ても分からなかったけど、顔を見れば
知ってる役者さんもいた。
でも、この東京セレソンデラックスという劇団、
本公演で解散ということだ。
2012.10.31
ツナグ
松坂桃李、樹木希林 主演の映画 『ツナグ』 を観てきた。
「ツナグ」 とは、死者と生きている人をつなぐ、
特殊な能力を持った人のこと。
樹木希林演じるアイ子がそのツナグで、
松坂桃李演じる孫の歩美 (あゆみ) が、その見習い。
大人向けのファンタジーだ。
歩美自身の物語も含めると、4つの物語がある。
1つ目は、母に会いたい中年息子の話。
2つ目は、事故で死んだ親友に会いたい女子高生の話。
3つ目は、失踪した婚約者を忘れられないサラリーマンの
話。
そして、歩美自身の話だ。
原作は、素晴らしいようだが、
途中から冷めたというか、白けてしまった。
1つ目の話は、ちょっとウルウルくる感じで良かったのだが、
2つ目あたりから、なんか違和感があって、
3つ目は、全く感情移入ができずじまい。
周りですすり泣く声が聞こえてくるが、
(えっ?これで泣くの?) っていう感じだった。
映画を観ると割と涙もろい私としては、自分でも意外で、
よほど周波数が合わなかったということかな。
それでも、あい変らず樹木希林は良いねぇ。
『わが母の記』 とはまた違う かわいい老婆を
素晴らしく演じてます。
あと、橋本愛 って子がまだ17歳やけど、
迫真の演技で良かった。
今後に注目。
★★★▲☆
2012.11.1
最上のわざ
昨日観た映画 『ツナグ』 の中で、
ヘルマン・ホイヴェルスという人の
「最上のわざ」 という詩が使われていた。
良かったので記しておこう。
「最上のわざ」
この世の最上のわざは何か
楽しい心で年をとり
働きたいけれども休み
しゃべりたいけれども黙り
失望しそうなときに希望し
従順に 平静に おのれの十字架をになう
若者が元気いっぱいで神の道をあゆむのを見ても
ねたまず
人のために働くよりも 謙虚に人の世話になり
弱って もはや人のために役だたずとも
親切で柔和であること
老いの重荷は神の賜物
古びた心に これで最後のみがきをかける
まことのふるさとへ行くために
映画では、確かここまでだったと思うが、
調べてみると続きがあった。
おのれをこの世につなぐくさりを少しずつはずしていくのは
まことにえらい仕事
こうして何もできなくなれば
それを謙遜に承諾するのだ
神は最後にいちばんよい仕事を残してくださる
それは祈りだ
手は何もできないけれども最後まで合掌できる
愛するすべての人のうえに
神の恵みを求めるために
すべてをなし終えたら
臨終の床に神の声をきくだろう
「来よ わが友よ われなんじを見捨てじ」 と
くろねこルーシー
映画の日、『くろねこルーシー』 を鑑賞。
芸人が映画に出てくると白けるというようなことを
書いた覚えがあるが、例えば鶴瓶や、
本作の塚地武雅のように最初から芸人主演と
分かっている作品の場合は、その限りではない。
むしろ塚地武雅などは、好きな役者の部類だ。
が、本作はやや期待はずれだった。
まあ、ファンタジーだと思えば良いのかもしれないが、
冬の寒い時に窓を開けっ放しで寝るその神経が
分からない。
しかも、電気ストーブはつけっぱなしで。
出かけるときも窓開けっ放しで、入ってきた猫に
文句言うのも分からない。
おまけに、嫁はんに別居を言い渡され、
1人暮らししているのに、その嫁はんがご飯作りに
来てくれる、その夫婦関係も理解不能。
嫁はん、優しすぎるでしょ。
というわけで、随所でリアリティにかけるのが
残念でした。
おまけに塚地、太りすぎだぜ。
★★★☆☆
2012.11.6
北のカナリアたち
吉永小百合を主演の映画 『北のカナリアたち』 を
観てきた。
雨の日のレイトショー (20:40の回) だったせいか、
公開 3日目なのにガラガラだった (5人くらいかな)。
吉永小百合って、大女優だけど私はあんまりスクリーンで
観ていない。
覚えているのは、『まぼろしの邪馬台国』 と 『おとうと』 ぐらい。
だから、あんまり色々言えないのだが、
本作は、良かった。
吉永小百合って、1945年生まれだから、
今年67歳。
映画の中では、40歳ぐらいと60歳ぐらいを
演じるのだが、ホントに若くてきれい。
素晴らしいと思った。
出てくる若手俳優も、森山未来、満島ひかり、
勝地涼、宮崎あおい、小池栄子、松田龍平、
と実力派揃い。
特に森山が素晴らしかった。
出番は少ないのだが、怪演。
それプラス、柴田恭兵、仲村トオル、里見浩太郎の
ベテラン陣。
里見浩太郎は田舎のおじいちゃんとしては、
見た目、立派過ぎてちょっと場違いな感じもあったけどね。
北海道の離島が舞台で、景色も素晴らしく、
ぜひ、そこを訪れてみたいと思わせられる映像だった。
そして、涙なしでは観られない (大分泣いた) 結末で、
全体として良かったのは、良かったのだが、
★5つとはいかないなぁ。
前半、(どうも説明くさいなぁ) と思ってしまったのと、
仲村トオル演じる警察官と、吉永小百合演じる
小学校教諭の関係が、どうも納得できなかったことが残念。
また、小学校の時にケンカして20年間 口をきいていなかった
相手 (異性) と 話して、いきなりハグするだろうか、
いきなり 「好き」 っていうだろうか、
とか、気になる点があったのも残念。
ハグしたくなる気持ちを抑えているぐらいの描写の方が、
私なら共感できる。
「そんな細かいことはえ〜やん」 と言えるほどには、
ストーリーにパワーがないっちゅう感じ。
あと、あの音楽、ちょっとくどいのも惜しい。
最後のエンドロールには、合ってないように感じたのは、
私だけだろうか。
とまぁ、苦言を並べたが、役者陣 (子役も含めて!) は
良かったし、クライマックスは素晴らしいので、
減点は少しにしておこう (上から目線)。
★★★★☆
(おまけ)
里見浩太郎と吉永小百合って、9歳しか違わないのに
親子役でした。
2012.11.11
ショーシャンクの空に
私は、映画 『ショーシャンクの空に』 が好きで、
数年に一度は DVD で鑑賞している。
『ショーシャンクの空に』 は、スティーヴン・キングの
原作で、監督は、フランク・ダラボン。
『グリーン・マイル』 や 『プライベート・ライアン』 も
撮った監督だ。
『ショーシャンク〜』 は、1994年公開で、
当時、私は何の予備知識もなく観に行き、
ラストに衝撃を受け、映画が終わってもすぐには
立ち上がれなかったほどだ。
後にも先にも、そんな映画はこれだけ。
もう18年も前なんやね。
数日前、1人でワインを飲みながら、久しぶりに観た。
ラストの爽快さ、解放感は何度観ても、たまらないが、
今回は、今までとは違うシーンで泣けた。
屋上で皆でビールを飲むシーン。
これも好きなシーンだ。
観たことのない人は、ぜひご覧ください。
予備知識なしで観た方が良いので、あらすじとか書かないけど、
観て良かったと思える作品です。
出演 : ティム・ロビンス、 モーガン・フリーマン
★★★★★
2012.11.23
アフタースクール
2008年公開で、私は2009年2月に劇場で鑑賞した
映画 『アフタースクール』 。
ふと、もう一度観たいと思い、DVDをレンタル。
3年半ほど前に観たのに、ほとんど覚えてなかった。
最後まで観ると、(ああそうだった) と、
思えたが、4分の3か、5分の4くらいまで、
結末を思い出せず、ほとんど初めて観るように
楽しめた。
その自分の 「覚えていなさ」 に驚いたね。
大泉洋が主演で、 佐々木蔵之介がいい味出してる。
他にも 堺雅人、常盤貴子などが出演。
2009年の鑑賞時には
「エンディングがすごく好きだなあ」 と
ここに書いたけど、確かにこういう終わり方は好きだ。
公開当時のキャッチコピーは、
「甘くみてるとダマされちゃいますよ」 だったらしいが、
確かにいっぱいダマされたよ。
監督は、今年観た 『鍵泥棒のメソッド』 の 内田 けんじ。
★★★★☆
2012.11.25
ラッシュライフ
『アヒルと鴨のコインロッカー』、『フィッシュストーリー』、
『重力ピエロ』、『ゴールデンスランバー』、『ポテチ』 と
伊坂幸太郎原作の映画は、大体観ている。
同じく伊坂幸太郎原作で、堺雅人、寺島しのぶ、板尾創路らが
出演している 『ラッシュライフ』 をDVDをレンタルして観た。
2009年の作品で、原作は未読だが、ずっと気になっていたのだ。
予備知識なしで観たのだが、
始まってすぐ、(なんやこれ?素人が作ったんか?) と
思ってしまった。
冒頭 20〜30分の間に何回観るの止めようと思ったことか。
こんな風に思う映画も珍しい。
で、一回止めて、DVDに収録されている、
予告編を観てみた。
予告編は、面白そうに作ってあるので、
気を取り直して、もう一度、チャレンジしたが、
やはり、つまらない。
(最後まで観ないと分からんぞ) と自分に言い聞かせ、
がんばって観た。
いやぁ、がんばって観るもんちゃうな。
これは、あかんで。
観終わってから、チェックしてみると、
東京芸術大学の映像研究科生たちが映像化したということで、
最初に感じた (素人が作ったんか?) というのは、
あながち、はずれてはいなかった。
4つの話を4人の監督が撮り、つなげてあるのだが、
1番目の話が4つの中でも一番ひどい。
これ、お金払って劇場で観せられたら、
ちょっとたまらんなぁ。
全編通して、音声に適切な処置がされておらず、
声が小さくなると、ボリュームを倍近く大きくしないと
聴き取れない。
で、ボリュームを大きくしていると、突然、大声になったりする。
(せめてDVD化する時に、ちゃんとして欲しいもんや。)
そういう基本的なことも含めて、これはきついな。
辛らつに言うと、大学祭で上映するレベルであって、
世の中に出すレベルではないでしょう。
良い役者を使っているのに、残念。
でも、原作は面白いようなので、読んでみたい。
★☆☆☆☆
2012.11.28
ダークナイトライジング
クリストファー・ノーラン監督のバットマン3部作。
『バットマン・ビギンズ』、『ダークナイト』、2作とも
劇場で観た上、前作 『ダークナイト』 が良かった記憶が
あるので、本作 『ダークナイトライジング』 もぜひ劇場で
観たいと思っていたのだが、中々行かず、やっと観てきた。
やっぱり、劇場で観て正解!
迫力満点!
終わって時計を見てビックリしたけど、
165分もあったのに、全く長く感じなかった。
それぐらい、最初から引き込まれたよ。
もう、原作がコミックというのは関係ない世界やね。
完全に大人の娯楽作品。
ジョセフ・ゴードン=レヴィットが警官役で、
『500日のサマー』、『50/50』 とは全然違う味出してます。
ほんで、アン・ハサウェイ のキャット・ウーマンが
適度なお色気感で、ええね。
この人で、キャット・ウーマンの映画をぜひ撮ってほしい。
ラストは、(なんや、アルマゲドンか) と思ったら、
おまけが付いてて、(なるほどね) って感じ。
そのうち、3部まとめて、DVDで観たい。
★★★★▲
2012.12.1
人生の特等席
毎月 1日は、映画の日。
今日は、クリント・イーストウッド 主演の映画、
『人生の特等席』 を観てきた。
1930年生まれやから、私の父と同じ 82歳。
渋すぎるぜ、クリント・イーストウッド。
観終わるまで、監督も彼が務めたと思っていたら、
違ったのね。
監督は、ロバート・ロレンツという人で、
どうもクリント・イーストウッドの弟子的な人のようだ。
クリント・イーストウッドの役は、
メジャー・リーグの年老いたスカウトマン。
その娘役に 『魔法にかけられて』 『ジュリー&ジュリア』 の
エイミー・アダムス。
そのお相手役に 『ソーシャル・ネットワーク』 『タイム』 の
ジャスティン・ティンバーレイク。
友への信頼と愛情を見せる、ジョン・グッドマン、
ちょっと嫌なヤツのマシュー・リラード など、
脇役陣も良い。
音楽も良い。
結末は、ちょっと うまいこと行き過ぎ感もあるが、
父親と娘の関係、仕事への情熱と出世の関係という
普遍的なテーマは充分に伝わってくる。
クリント・イーストウッドには、まだまだ
仕事をして欲しいな。
原題は、『TROUBLE WITH THE CURVE』。
「カーブに問題あり」 てことかな。
意味は、観れば分かる。
★★★★▲
2012.12.3
カラスの親指
阿部寛と村上ショージが詐欺師を演じる映画、
『カラスの親指』 を観てきた。
先日観た 『ダークナイトライジング』 も長さを
感じさせない作品だったが、本作も終わって
時計を見てビックリ!
なんと 160分 もあったのに、
全く、中だるみすることなく楽しめた。
村上ショージが出ていることもあって、
勝手にコメディだと思っていたら、
なんのなんの、結構ドキドキハラハラさせられたし、
ミステリー的要素も たっぷりある人情物語 (?) だった。
爆笑ではないけど、笑えるところもあったし、
最後のネタばらしは、全く予想できない展開で、
飽きることなく、あっという間の160分だった。
ただ一つの疑問は、
なぜ、村上ショージに関西弁を喋らせなかったのか。
彼の表情は素晴らしいのに、時々、
セリフが台本の棒読みのように聞こえたのが残念。
仙台出身という設定だったが、別に関西出身でも
かめへんのちゃうかな。
関西弁なら、もっと自然な感じやったんちゃうやろか。
表情が良いといえば、脇役の小柳友の表情も良い。
この人、『阪急電車 片道15分の奇跡』 で、
戸田恵梨香に暴力振るう恋人役してた人。
あの時より、太ってたし (この役のために太ったらしい)、
全然、違うキャラ。(当たり前やけど)
あと、能年玲奈 (のうねんれな) も魅力的。
まだ、19歳なので今後に注目。
タイトルの 『カラスの親指』、
「カラス」 の意味も、「親指」 の意味も、
映画を観れば分かるので、ぜひ。
「親指」 は、ええ話。
感動するとか、めっちゃくちゃ面白かった、と
いうほどではないけど、ネタを分かった上で、
もう 1回 観てみたくなる作品。
★★★★☆
2012.12.16
砂漠でサーモン・フィッシング
予告編を観て、面白そうだなと思っていた映画、
『砂漠でサーモン・フィッシング』 を観てきた。
イギリス映画で、主演は、水産学者役に ユアン・マクレガー、
投資コンサルタント役に エミリー・ブラント。
中東イエメンの大富豪が砂漠に川を作って、
鮭を泳がせ、釣りをしたいと言い出す。
イギリスと中東との関係から、そのことが国家プロジェクトに
発展するという物語だが、映画のポイントは、
そのプロジェクトの成功失敗より、主演の2人の
物語となっている。
また、首相広報担当官のマクスウェル (クリスティン・スコット・
トーマス) というおばはんがスゴイ。
政治のためなら何でもやる、という感じ。
これは、イギリスの政治家への風刺でもあるようだが、
(ああ、政治家ってイヤだな) と思ってしまった。
奇しくも、今日は東京都知事選&衆院選で、私も投票を済ませて、
映画鑑賞をしたが、今度はええ政治 (?) をしてほしいもんや。
投票した人は、落ちたけど。
話を映画に戻す。
主演のユアン・マクレガーは、私の中では、スター・ウォーズの
イメージが強いが、本作のような役も良いね。
エミリー・ブラント も良かった。
途中、出てくる大富豪のイギリス (スコットランド?) のお城が、
凄い。
イギリスと中東との関係に詳しければ、もっと楽しめたようだが、
残念ながら、そういうのには疎い。
★★★★☆