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落語 2020年
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2020.2.10

志の輔らくご
〜PARCO劇場こけら落とし〜




渋谷のPARCO劇場が建替えのために
休館したのは、2016年8月7日だというから、
3年半も前だったのだな。
時の流れの速さに、毎度のことながらびっくり。
そのPARCO劇場が新しくなり、
1月24日にこけら落としとして
「志の輔らくご」が始まった。
1月24日 〜 2月20日の全20公演。
PARCO劇場公演を毎年開催していた
志の輔師匠が選ばれたのは、
当然な事かもしれないが、
芝居のための劇場のこけら落としが
舞台に一人きりの落語というのも面白い。
と、思っていたら志の輔師匠は、
そのわけを、いきなり大勢の劇団が出ると
何が起こるか分からないから、
一番被害の少ない落語にしたんだろうと
冗談を言っていたけど、そういう面も
無きにしも非ずかもな。

何度公演カレンダーを見ると、
今日は14日目だと思うのだが、
志の輔師匠は、13日目と言っていたのが
気になるなぁ。

劇場の客席数は、458席から636席に
増えたので、劇場自体がひと回り
大きくなったということだろう。
客席がゆったりめで、後ろから3列目
だったけど、とても観易かった。
良い劇場だと思う。



オープニングは、「こけら落とし」には
付きものだというお祝いの舞を
師匠自らが踊られた。

そして、プログラムに「こけら落としの一席」と
書かれていたのは「ぞろぞろ」。
神様が登場する古典落語だ。
劇場の新しい神棚のマクラから、
流れるように入っていった。

「ぞろぞろ」が終わると、
一旦、暗転しビデオが流れる。
師匠の20年間のパルコ公演のハイライトが流れ、
高座に上がった51(52だったかな?)席が、
テロップで流れた。

そして、2席目は「メルシーひな祭り」。
これは、以前に「メルシー!おもてなし」
として、中井貴一の主演の舞台を
観たこともあるが、演劇向きな噺だ。

休憩を挟んで「おめでたい一席」として
「新・八五郎出世」。
私は、この噺は4回目だったが、
なんとパルコ劇場では一度も高座に
上げたことがなかったのだという。

終わってみると(休憩を入れて)
2時間45分ほど。
完全なる「志の輔ワールド」で、
もう落語を超えたと思うね。
素晴らしくてとっても満足です。


[ 演 目 ]
「ぞろぞろ」 立川志の輔
「メルシーひな祭り」 立川志の輔
〜 仲入り 〜
「新・八五郎出世」 立川志の輔

@ PARCO劇場


 





2020.2.29

桂文珍 芸歴50周年記念
国立劇場20日間独演会




桂文珍を初めて見たのは、子供の頃、
日曜の夕方にテレビ放映されていた
「ヤングおー!おー!」だった。
オール阪神・巨人や あのねのね も
「ヤングおー!おー!」で知った覚えがある。
(今と違って、テレビが大きな情報源だった。)
私がはまだ小学低学年だった。
文珍は、林家小染、桂きん枝、月亭八方と
4人で「ザ・パンダ」というグループとして
出演していた。

その文珍が、芸歴50周年である。
気が付けば、小学生だった私も今年58歳。
見た目は、ええ感じに衰えてきているが、
中身は58歳にはなっていない。
思うに19歳ぐらいで止まっているような気がする。
困ったものだ。

それはさておき、今日はその、
芸歴50周年記念の20日間独演会、
その2日目に行ってきた。
会場は、大きなお祝いにふさわしい、
国立劇場の大劇場だ。

しかし、このお祝いの会が、なんとも
微妙な時期に当たってしまった。
コロナウイルスのせいで、たくさんのイベントが
中止になっている。
国立劇場の主催公演も、
3月15日までの公演中止が発表されたが、
主催公演以外の公演は主催者の判断に
ゆだねられており、本公演は、
27日(初日前日)に
予定通り開催することが決まったようだ。

公式サイトには、
「新型コロナウイルス感染拡大の状況も踏まえ、
前期(2月28日〜3月8日)の公演につきましては、
残念ながらご来場が難しいお客様におかれましては
払い戻しの対応をさせていただきます」と
公演はするものの払い戻しにも応じるという
特別な対応に出たためか、やはり行かない選択を
する人も多かったようで、見た感じ、
客席は半分ぐらい空席となっていた。

冒頭、ネクタイ姿の上に白衣を着て
「ケーシー高峰です」と登場した文珍。
結構な空席で、心中複雑だろうなと思ったが、
文珍はこの状況を
「国からの要請で、混雑は避けるように
言われているので、ええ感じで
隙間があいて、願ったり叶ったり」と言っていた。
どんな状況になろうとも、笑いに替えるのがプロなのだ。
「今日この場に来た皆さんの勇気を讃えます」
そして「今日は皆さんに免疫力を上げて帰って頂く」と
普段にはない、目的の提示も。
「明日は『くしゃみ講釈』なのでどうなることやら」と
何もかもを楽しんでいるようにさえ見える。
これぞ「芸人」の姿だと思ったね。

開口一番は、米團治の弟子、米輝の「天災」。
「ある筋では師匠より上手いと言われている」という
文珍の紹介の通り、ええ感じだった。
2011年入門だから、東京で言えば
まだ二つ目だろうが、これからも楽しみな人。

続いて、文珍の「七度狐」。
上方の噺で、東京の噺家が演るのは聴いたことがない。
江戸の噺に比べて、上方の噺は、
この噺や「地獄八景亡者戯」「愛宕山」などのように、
観客の方に豊かな想像力を求められる噺が
多いように思うがどうだろう。
それだけ、展開が現実離れしているということだが。

この20日間公演は、日替わりのゲストがあるのだが、
今日のゲストは、桂南光。
演目は「火焔太鼓」。
これは、江戸の噺なので上方の噺家が演るのは
初めて聴いたように思う。
道具屋が仕入れた汚い太鼓が、
300両で売れるという物語だが、
江戸落語では、武士(お殿様)が気に入って
買ってくれることになるのに対し、
今日の噺では、商人(三井)が買うというのも
江戸と上方の違いを表わしていて興味深い。

休憩の後、文珍の登場かと思っていたら、
幕が開くと 内海英華(うつみえいか)の登場。
この20日間公演のお囃子、鳴り物を担当している
三味線のお姉さんで、裏方だけではなく、
ご自身も芸人としてステージに上がられる。
ご自身の芸を「女道楽」と紹介していたが、
「女道楽」ってなんか響きがスゴイ。
東京では、「三味線漫談」と
呼ばれることが多いように思う。
たまに聴くと、三味線も都々逸も良いなぁと思う。
勉強したいけど、やりたいことが多すぎて、
今生では無理だ。

最後は、文珍の「けんげしゃ茶屋」。
確か 米朝師匠のを CD で聴いたことはあったが、
これも珍しい演目だ。
ナマでは初めて聴いたが、上方らしい噺。
やはり東京の噺家が演るのは聴いたことがない。
今日は「上方らしさを」と言っていたので、
こういう演目になったのだろう。
ゲストも上方からだし。

今年で72歳になる文珍師匠。
まだまだ面白い噺を聴かせてもらいたい。


[ 演 目 ]
トーク 桂文珍
「天災」 桂米輝
「新版・七度狐」 桂文珍
「火焔太鼓」 桂南光
〜 仲入り 〜
女道楽 内海英華
「けんげしゃ茶屋」 桂文珍

@ 国立劇場大劇場





【20日間独演会の文珍の演目とゲスト】(予定)
日程 文珍 演目 ゲスト
2月28日(金) らくだ / 新版・豊竹屋 笑福亭鶴瓶
2月29日(土)  けんげしゃ茶屋 / 新版・七度狐 桂南光
3月1日(日) はてなの茶碗 / くっしゃみ講釈  林家木久扇
3月2日(月) 寝床 / 老楽風呂 柳家喬太郎
3月3日(火)   帯久 / お血脈 桂文枝
3月4日(水) 不動坊 / 憧れの養老院 林家正蔵
3月5日(木) 三十石夢之通路 / 天狗裁き 柳家花緑
3月6日(金) 庖丁間男 / 商社殺油地獄 立川志の輔
3月7日(土) 猫の忠信 / セレモニーホール旅立ち 春風亭小朝
3月8日(日) たちきれ線香 / ヘイ・マスター 三遊亭小遊三
3月15日(日) 地獄八景亡者戯 / 風呂敷間男 柳亭市馬
3月16日(月) 算段の平兵衛 / 稽古屋 立川談春
3月17日(火) 三枚起請 / 心中恋電脳 柳家三三
3月18日(水) 胴乱の幸助 / 星野屋 春風亭昇太
3月19日(木) 愛宕山 / 不思議の五圓 林家たい平
3月20日(金・祝) 饅頭こわい / そこつ長屋 桃月庵白酒
3月21日(土) 天神山 / 老婆の休日 柳家権太楼
3月22日(日)  船弁慶 / 新版・世帯念仏 神田松之丞
3月23日(月) へっつい幽霊 / 花見酒 春風亭一之輔
3月24日(火) 百年目 / スマホでイタコ 三遊亭円楽





2020.6.28

桂米朝
『昭和の名演 百噺』


上方落語界、初の人間国宝、
桂米朝が亡くなって5年が経った。

2006年に発売された米朝の CD 10枚組
ボックス 4セットの CD 40枚が、
今年、単体発売された。



CD 40枚に 1970年代の口演100演目を収めたもの。
40代の脂の乗り切った米朝が聴ける。

『其の一』から順番に聴き始めて、
3カ月ぐらいかかって、『其の三十三』まで来たよ。
40代ということで、声に張りがあるし、勢いがある。
米朝の素晴らしさを再確認したよ。
言葉がなく、客席から笑いが起こっている箇所は
表情やしぐさで笑わせているのだろう。
映像がないのは、残念だが、
想像力が膨らませながら聴くのも一興だ。

『けんげしゃ茶屋』なんて、米朝以外では
聴いたことがないし、『次の御用日』、
『算段の平兵衛』、『どうらんの幸助』、
『七度狐』、『阿彌陀池』、『京の茶漬』、
『池田の猪買い』あたりは、
上方落語でしか聴けないんやないやろか。

落語の中には、上方落語を江戸でも演るように
なったものや、その逆もあるが、それぞれの
地域の噺家しか演らない演目もある。
絶対ではないと思うけど、
上方では『芝浜』や『文七元結』は
(たぶん)演らないだろう。

『文七元結』は、娘を吉原に売った
大切な五十両を金に困って死のうとしている
見知らぬ若者にあげてしまう人情噺。
以前、鶴瓶(だったと思う)が、
知らん人にそんな大金をあげるなんて、
恥ずかしいと言っていた。
商人の町、大阪ではそんなん
ありえへんという意味だったのかな。

話を戻そう。
実は、噺家は年を取るほど良いと思っていた。
60、70歳を過ぎた方が 味わいが出てくると
どこかでインプットされたのだな。
しかし、40代の米朝の素晴らしさに触れて、
ちょっと考えが変わった。
そもそも、40代が良いとか60代が良いとか
比べるものでもなかろう。
それぞれに良さがあるのだ。

40代の噺家が勢いがあって良いというと、
東京では、春風亭一之輔、桃月庵白酒、
三遊亭兼好、隅田川馬石 あたり。
一之輔以外は、もう50代だけど
4人とも好き。





2020.7.1

落語で学ぶ古い日本語 2

以前にも「落語で学ぶ古い日本語」という
エントリーを書いた。

「悋気 (りんき)」 は、嫉妬・やきもち、
「へっつい」は、かまど、
「胴乱(どうらん)」「紙入れ」は、財布など、
落語で知った古い日本語は多い。

桂米朝『昭和の名演 百噺』を聴いていることは、
一昨日に書いたが、どちらかというと、
江戸落語より上方落語の方が、
意味の分からない言葉が出てくるような気がする。

例えば『胴乱の幸助』に登場する、
幸助という人は、
「わりきやの親っさん」と呼ばれる。
この「わりきや」の意味が分からない。
もう何年も前から知っている落語だが、
「わりきや」の意味が分からなくても
落語は通じるので、聴いたときには
調べようと思うのだが、いつも忘れてしまい、
そのままになっていた。

ようやく調べてみると、
「わりきや」は「割木屋」と書く。
漢字を見ればなんとなく想像がつくが、
「割木」は、割った木、つまり「薪(まき)」のことで
「割木屋」は「薪を売っている店」のこと。
今では、すっかりなくなったので知らなくても
仕方がないかもしれない。

『牛の丸薬(がんやく)』という落語には
「ほしか」という言葉が登場する。
聴いていると、臭いものだと分かるが、
何か分からない。
知らべてみると、「ほしか」は「干鰯」と書く。
イワシを乾燥させた肥料のことだ。
そら、臭うわな。

また、上方落語には、
「あの人は "すい" なお人や」なんて言葉が出てくる。
江戸では、「粋(いき)」というが、
上方では、「粋(すい)」という。
(上方落語では「いき」も出てくるけど。)

同じ意味のようだが、
江戸の粋(いき)と上方の粋(すい)は
全然違うという記事を読んだ。
これは、興味深い。

江戸の粋(イキ)と上方の粋(スイ)







ひとりごと