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海外旅行 4 [PARIS]
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2019.10.30

PARIS REPORTS その1
現行犯逮捕 編


4泊6日でパリに行ってきた。
初めてのフランス旅行だ。
昨年7月に妻が『超解釈 サルトルの教え』
という本を出版した。
それでサルトルの墓参り旅行の企画が
持ち上がったのだった。
妻の仕事関係の仲間11人と私たち夫婦、
そして、ガイドに昨年のキューバ旅行でも
お世話になった W さん、合わせて14人の旅だった。

私は、写真が撮りたくて付いて行ったのだが、
妻の目的は、サルトルの墓参りの他に、
ゴッホの墓参りとオルセー美術館
(ゴッホの絵の鑑賞)など だった。
それらのレポートは、また後日にするとして、
記憶が薄れないうちに書いておきたいことがある。

パリ旅行に行く3週間ほど前に
偶然入った喫茶店でのこと。
お店を経営するのは、ママさんと
イラストレーターの娘さんだった。
店内には、その娘さんの書いたイラストが
飾られていた。
一角に何やら小物が並べられていた。
ママさんが、「パリで買ってきたモノを
売っていますので良かったら見てください」と
声をかけてきたので、私は
「そうですか、今月パリに行くんですよ」と
答えた。
すると、それを聞いた娘さんが、
「初日に全財産をすられた」と話し出した。
パリの横断歩道で信号待ちしている間に
背中に背負ったリュックから、
財布をすられたらしい。
財布には、全財産が入っており、
いきなり無一文になったらしいが、
お母さんと二人の旅行だったので、
なんとかなったという話だった。
「リュックは、背中に背負ってはダメですよ」と
娘さんは、教えてくれた。

私は、日本にいてもリュックに財布を
入れることはないし、
ショルダーバッグでも前に持つほど、
その辺には気を付けている。
日本にいても、駅などで
リュックのチャックが開いている人に
注意したことも何度かある。
パリでも財布を入れたウエストポーチを
けっして後ろに持つことはなく、
前に持っていたので、スリ対策は
十分だと思っていた。
ところが。

旅行3日目のこと。
ルーブル美術館へ行った後、
オペラ座の見学に行った。
オペラ座は、公演やリハーサルのない時に
見学が出来るのだ。
(残念ながら、その日はホール内の見学は
出来なくて、劇場内のロビーや階段、
ホワイエのみの見学だったけど。)
オペラ座を出た後、一行の数人は、
ベルサイユ宮殿見学に行くというので、
2つに別れた。
ベルサイユ宮殿に行かない私たち7人は、
いったんホテルに戻ることにし、
地下鉄の駅に向かった。
事件は、その "Opera駅" で起きた。



ホームに着いてから、電車が来るまで数分待った。
ガイドの W さんが、
「(電車が)混んでいたら、一本待ちましょう」と
言ったのだが、来る電車が混んでいたなら
待っても次も混んでいるんじゃないかと思った。
ちなみにその日の朝乗った地下鉄は、
それほど混んではいなかった。

電車がやってきた。
結構、混んでいた。
ドアが開いた。
一瞬、降りる人と乗る人の人ごみにもまれた。
後ろから来た見知らぬ乗客に押されたようにも感じた。
後ろから W さんの
「白い服の女の子に気を付けて!」という
声が聞こえたが、私に向かって言っているとは
思わなかったし、どの女の子のことか
分からなかった。
人ごみにもまれながら、ウエストポーチの辺りに
何か異変を感じた。
ウエストポーチに手を当てると、
財布がなくなっていることが分かった。
目の前の女と目が合った。
「こいつだ!」
私はその女に手を伸ばし、捕まえようとした。
女は、横にいた仲間(女)に財布をパスした。
(あ、仲間がいる、ダメだ)と思った。
財布を仲間から仲間にパスされてしまったら、
誰が持っているのか分からなくなる。

まだ、電車の扉は閉まっていない。
その時だった。
私の背後から、背の高い(180cm以上)
黒い服の男性(以下、イケメンと呼ぶ)が現われ、
その女たちを捕まえて、ホームに引きずり下ろした。
私の同行者数人は、電車の中だったが、
一旦閉まりかけたドアが開き、全員降りることが出来た。

犯人は、3人組の女だった。
(最初は、4〜5人いたように思ったが、
逃げたのかも知れない。)
3人のうち1人は、まだ若い妊婦(たぶん)だった。
あとの2人は、どう見ても子供(10代)だった。

電車を降りたあと、財布を持っていた犯人(子供)は、
私に財布を投げ返した。
捕まったので観念したのかもしれない。

イケメンは、当初、警官かと思ったのだが、
結局は保安員か警備員か何かのようだった。

返された財布を検めると
被害はないようだったので一安心。
ユーロの全財産、日本円のほかに
クレジットカードや免許証も入っていたので
取られたら、大変 面倒なことになっていた。

イケメンが「IDを見せて」というので、
パスポートを見せ、被害はないことを伝えた。
「被害がなかったので、もう行くよ」と
言うと、「警察が来るまでいてくれ」と言う。

そのうち、イケメンがちょっと変なことを言い出した。
取り返した私の財布を「貸してくれ、
10分で戻ってきて返すから」と言うのだ。
それは、ちょっと気持ち悪い。
たとえ警察官であっても、気持ち悪い。
その時の犯人トリオの反応が面白かった。
私に向かって「絶対渡しちゃだめだ」
「こいつ(イケメンのこと)はマフィアだ」
「警察官も皆マフィアだ」というのだ。
イケメンは、苦笑い。
「この人がマフィアだったら、お前らは何だ?」
と言うと
「私たちもマフィア。あなただけがマフィアじゃない。」
と言うので、思わず
「俺はジャパニーズ・マフィアだ」と言い返したら、
「オ〜、ヤクザ!」だと。

イケメンは、ID まで提示したが、
財布を貸すことは断った。

同行者に元英語教師の N さんがいたので
英語通訳をしてくれたが、
イケメンの英語が大したことがないので
結構、会話は難しかった。

犯人の一人は、しきりに私に
「もう行け」「ここにいるな」と
さも、ここにいると私に不利益があるかのように
目くばせをしてくるが、イケメンは、
「お願いだから、警察署に行ってくれ」と、
頼んでくる。
「わかったよ。行くよ」と言うと、
「ありがとう〜」と握手までしてきた。

考えてみれば、被害者がいなくなったら、
警察が来ても犯人たちが
「イケメンが嘘をついている。
私たちは何もしていない」と言えば、
警察としても証拠がないので
どうしようもなくなるもんな。
せっかく捕まえた犯人を釈放するような
羽目にならないためにも
イケメンは私にいて欲しかったわけだ(たぶん)。
実際、イケメンに捕まった直後、犯人は、
「彼が、財布を落としたので、
拾って返してあげただけ」だと のたもうてたもんな。

それから、しばらくして制服警官3人が到着。
犯人2人に手錠をかけた。
初めて目撃する、現行犯逮捕の瞬間!
妊婦の犯人は、捕まってしばらくしてから
具合が悪そうにしゃがみこんだままだった。

その警官にイケメンと私たちで、
一通りの事情を説明。
話しているうちにこの人たちは、
地下鉄内の警官(鉄道警察?)であって、
パリ警察ではないことが分かる。
地下鉄内の警官と言えども、見た目は
普通の警察と同様に制服に防弾チョッキ、
そしてピストルを装備していた。

警察署へは、妻も一緒に行きたがったが、
パトカーに乗れないだろうということで、
通訳として N さんだけに残ってもらい、
他のメンバーには、ホテルへ帰ってもらった。

そのうち、救急隊員が到着。
具合が悪そうにしていた、妊婦犯人が
車いすに乗せられ連れて行かれた。
当初、具合が悪そうにしているのは、
どうせ逃げるための演技だろうと
思って見ていたが、本当に具合が
悪かったのかもしれない。

事件発生から、1時間以上経って、
ようやくパリ警察が到着。

駅を出て、地上に上がると
パトカーが待機していた。
N さんがホームで、警官に
「犯人とは違う車ですよね?」と尋ねたとき、
「違う車だ」と答えていたけど、
結局、犯人と同じ車で、警察署へ移動。
(8人乗り。警官3人、イケメン、犯人2人、
N さんと私)

人生で初めて乗るパトカーが、パリ警察!
また、パトの運ちゃんの運転が荒い!
絶対日本では、あり得ないような運転。
犯人を追いかけているならともかく、
犯人は捕まえて、移送中なのに。
しかも被害者も乗っているというのに!

なんで警察が現場に来るまで1時間以上も
かかったのかというと、道が混んどる。
その渋滞の中をサイレンを鳴らしながら、
ギリギリの隙間さえもビュンビュンと飛ばしていく。
まさか、パトカーでパリ観光が出来るとは
思ってもみなかった。

到着したのは、バスティーユ広場近くの
外壁に「HOTEL DE POLICE」と書かれた警察署。
犯人2人は、手錠をかけられたまま、
奥の部屋に連れて行かれた。



私と N さんは、ロビーで待つように言われた。
警官がやってきて、パスポートを見せろという。
現場で、イケメン、地下鉄警察官、警察官に
見せたので、これで4回目の提示。
たぶん、コピーを取ったんだろうな。

それから、大分待たされた。
時計を見ていないのでハッキリした時間は
分からないけど、30分は待ったな。
その間に、また女性がひとり、
手錠をかけられて連れてこられたよ。
あの人もスリだろうかね。

そのうち、なんか分からんままに、
「帰ってええよ」ってなことに。
事情聴取もなく。
これやったら、警察署まで来んで
よかったやん的な終わり方だが、
来た結果、そうなったんだから、仕方がない。

で、待っている間にどうやってホテルまで
帰るか N さんと相談していた。
私は地下鉄でも良かったけど、
乗り換えして30分ほどかかる。
スリにあった日にもう一度、地下鉄に
乗るのは、あまり気持ちの良いものでもない。
じゃあタクシーで帰ろうということになり、
警察官に「タクシーを呼んでくれ」と頼んだ。
警官は、日本語(カタカナ)で「〇×△タクシー」
と書かれたスマホの画面を見せてくれた。
が、10分15分経っても
一向にタクシーが来る気配がない。
そもそも、警察署の入り口は、
施錠されていて、中から開けない限り、
入ってこれない。
タクシードライバーが、車を置いて、
警察署の中まで呼びに来るようには思えない。
受付にいる警官に
「タクシーが来たときに、ここで待っていてもいいのか?」と
訊くと、その警官も英語がほとんどしゃべれない人で
スマホの翻訳機能を使って見せてきた画面には
「お気に召すままに」と書かれていた。

これは、あかんで。
たぶん、タクシー呼んでない。
あの見せてくれたスマホの
「〇×△タクシー」という画面は、
「このタクシー会社に連絡しなさい」と
いう意味だったのかもしれない。

外に出て、タクシーを拾おうとしたが、
これまた走っていない。
タクシーは、流しているのではなく、
タクシー乗り場で乗った方が良いと、
ガイドさんに聞いていたが、
タクシー乗り場がどこにあるのかも分からない。
少し歩いていると、大きな交差点に出て、
地下鉄の駅もあった。
最悪、地下鉄で帰るしかないと思いつつ、
ショッピングモールらしき建物が見えたので、
あそこならタクシー乗り場もありそうだと
近くまで行くと、ありました、タクシー乗り場。

乗ったタクシーのドライバーは親切で、
私が車内から窓を開けて、
エッフェル塔の撮影をしていると、
車を停めてくれたよ。



ところで、なぜ私が狙われたのか。
首からカメラをぶら下げた、平たい顔族なので
観光客だというのはバレバレだろう。
しかし、振り返ってみると、狙われた理由は、
それだけではなかった。

オペラ駅のホームに着いた私は、
のどが渇いたので自動販売機で水を買おうと
ポーチから財布を出した。
その自動販売機は、クレジットカードが
使えそうだったので、試しにクレジットカードを
使ってみようと、財布からクレジットカードを
取り出し、支払おうとしたが、
カードは使えなかった。
仕方なく、コインを出して水を買った。
そして、財布を腰のあたりのポーチにしまった。
その一連の行動を犯人たちは、見ていたわけだ。
つまり「ここに財布がありますよ」と
犯人たちに教えていたわけだな。
そこに、あの一瞬の混雑。
いや、ガラガラでも奴らはぶつかってきて、
取ろうとしたかもしれないし、
一緒に電車に乗って、どこかで実行できる
スキを窺ったかもしれない。

いずれにしろ、ポーチを前に持っていれば、
スリに遭わないだろうという私の考えは、
いとも簡単に崩れ去った。

不幸中の幸いは、あのイケメンがいてくれたこと。
彼がいなかったら、おそらく
財布は取り返せなかっただろう。

「自分は大丈夫」という自信が
油断のもとだと、身をもって知ったのでした。

ガイドさんに、スリはジプシーだと聞いた。
試しに「パリ ジプシー スリ」で検索すると
結構色んな手口の例がヒットした。
日本では、考えられないことばかりだ。
これらを読むと、いかに自分が
不用心だったかと思う。

それにしても、子供たちが、
(たぶん)物心ついた時から、
犯罪に手を染めて生きるというのは、
一体、どうすればよいのだろう。
パリの地下鉄で「子供がうろついていたら、
間違いなくスリ」という記述まで見つけた。
なんか、悲しくなってくる。
捕まっても、未成年なので
おそらく数日で出てくるんやないやろか。
一回捕まったら、もう二度としません、
という類とは思えない。
彼女たちは、そうやって生きていくしかないのだろうか。

いずれにしろ、パリに行かれるときは、ご注意を。
パリだけでなく、どこでもだけど。



オペラ駅構内のユニクロの広告





2019.11.2

PARIS REPORTS その2
サルトル墓参り 編


今回のパリ旅行は、昨年7月に妻が
『超解釈 サルトルの教え』という著書を
出版したことに始まった。
ジャン・ポール・サルトル(1905−1980)は、
フランスの哲学者、小説家だ。

『超解釈 サルトルの教え』は、今年、
韓国でも出版された。
韓国版のタイトルは、直訳すると
『責任はどのように生活を成長させるか』
という意味のようだ。
韓国の書籍販売サイトの評価を見てみると
驚くことに日本のアマゾンでの評価よりも高い。
本日現在、アマゾンが17人の評価で
☆3.5 (5点満点)に対し、
韓国のそのサイトでは、
24人の評価で 10点満点中 9.2 という評価だ。
もう一つ別のサイトでは、9人のレビューで
なんと10点満点中 9.6!
日本では、否定的なことを
書いている人が数人いるのに対し、
韓国では、否定的な意見・感想はゼロだ。
これは一体どういうことだろうな。
もちろん、高評価を付けたのは、
出版社関係者だとか、色んな推測は
出来るのだけど、非常に面白い現象だ。

今月、妻は韓国の出版社の社長と
推薦文を書いた哲学の先生に会いに
韓国に行くらしい。
なんだか今までと違う流れになってきたな。

それはさておき。
そんなこんなで、サルトルの墓参りが
実現したわけだ。
妻の仕事の仲間たち11人と妻と私、
日本からのガイドさんと現地ガイドさん、
合わせて15人での墓参りとなった。

サルトルのお墓は、パリ市内の
モンパルナス墓地にある。
墓地の入り口を入ると、有名人の
お墓がどこにあるかの案内板がある。



お墓に番号が振ってあるのだが、
なんとサルトルは、1番だった。



どういうわけか、番号順に書いていないのだけどね。

サルトルの墓は、入り口を入ってすぐ右。
内縁の妻だった、ボーヴォワールと
同じ墓に眠っている。
こんなお墓見たことがない。
ご覧の通り、墓石がキスマークだらけ。





サルトルには女性ファンが多かったのかな。
ボーヴォワールさんは、妬いていないかな。
そんなことを思いながら、皆で記念撮影。



お墓には、花の他になぜか、
メトロ(地下鉄)の切符がいっぱい。



パリのメトロは、駅を出るときに
切符を回収されないので、
皆さんここに置いていくのだろうか。
左奥には、妻の著書も。

まだほんの一週間前のことだけど、
ここに自分がいたなんて、
不思議な感じだなぁ。

この墓地には、今年9月に亡くなった
ジャック・シラク元大統領のお墓も。
アラブ風な人がお祈りを捧げてた。



ギターが模られた墓石を発見。



ローラン・ディアンス(Roland Dyens)という
フランスのクラシックギター奏者のお墓だった。
(1955 - 2016)
ファンだろう、ご覧のように、
お墓には今もお花が絶えないようだ。
知らなかった人だけど、これも何かのご縁。
今、初めてローラン・ディアンスのギターを
聴きながら、これを書いている。
こういう時、Amazon Music ってホントに便利やなぁ。

後で思ったのだけど、せっかくなら、
エディット・ピアフやミシェル・ペトルチアーニ、
ミッシェル・ルグランのお墓にも行けばよかった。
調べてみると、ピアフとペトルチアーニは
同じ ペール ラシェーズ墓地 という
パリ市内の墓地だった。残念。
ミッシェル・ルグランのお墓は
分からなかったけど。

墓参りで思い出した。
1985年のアメリカ横断旅行で、
デュエイン・オールマンのお墓に行こうと、
ジョージア州のメイコンという町まで行ったけど、
めちゃくちゃ広い墓で、デュエインの墓がどこか
人に聞こうにも誰もいなくて、
着いたのが夕方でどんどん暗くなっていくし、
断念したことがあったなぁ。
もうメイコンに行くことなんてないわな・・・。

デュエインの眠るローズ・ヒル墓地の看板。







2019.11.7

PARIS REPORTS その3
ゴッホ 編


サルトルの墓参り後、
パリから車で1時間近く走ったところにある、
オーヴェール・シュール・オワーズという村に向かった。
そこには、ゴッホの墓と、ゴッホが最後の70日間を
過ごした家があるのだ。



写真の左がゴッホ、右が弟のテオドロスのお墓。

墓地の周辺には、のどかな風景が広がる。







有名な『オーヴェルの教会』の現在。



『オーヴェルの教会』は、
オルセー美術館で実物を観てきた。
(って、どっちが実物やねん。)



教会の内部



ステンドグラス



ゴッホが最後に過ごしたという部屋は、
照明具もない、天窓から光を取り入れる
だけの驚くほど狭い部屋。
残念ながら、ここは撮影禁止だったので
写真はない。





彼はここで、人生最後の70日を過ごし、
その間に約80点の作品を描いたという。
フィンセント・ファン・ゴッホ、
享年37歳。
壮絶な人生だったんだろうな。




私がゴッホに魅せられたのは、
ゴッホ好きの妻の影響だ。
2010年にゴッホの『アイリス』が東京に来た時に、
国立新美術館に観に行ったのだが、
絵の前からしばらく動けなくなるほどの
衝撃を受けたのを覚えている。
絵で、あれほど心を揺さぶられたのは、
ゴッホ以外にない。

墓参りの翌々日に、オルセー美術館で、
数枚のゴッホ作品を観てきた。
日本に来た時に観たことのある、
『アルルの部屋』の他、有名な
『医師ガシェの肖像』、『自画像』などなど。







オルセー美術館には、有名な絵画が
たくさん(ゴーギャンとかルノワールとか)
あるわけだが、それほど興味がなく
ほとんどチラ見程度。
でも、マネの『笛を吹く少年』は、
見つけたとき、なぜかうれしかった。
これ、美術の教科書に載ってたんじゃないだろうか。



さて、ゴッホ。
写真やポスターで観たことがあっても
実物は、全く別物なのは、
『アイリス』で体験済みだ。
芸術は、実物を見なければ何も分からない。
今回、超強烈だったのは、
『The Starry Night』。
1888年に、南フランスのアルルを流れる
ローヌ川の岸辺で描いた夜の風景だ。



『ローヌ川の星月夜』とか『星降る夜』とか
いくつかの日本語タイトルがあるようだが、
『アイリス』同様、しばらく絵の前から
動けなくなった。
私にとっては、この日観たゴッホの作品の
中でも特別な1枚だった。
なんだろう、言葉では表現できない何かが、
宿っている。
観ているだけで、泣けてくる絵って、
人生でそんなに出会えないだろう。
そんな1枚だった。



オルセー美術館の入場券。
デザインは、何種類かあったのだが、
私には『The Starry Night』が当たったよ。


ドン・マクレーン が、ゴッホに捧げた美しい曲、
『Vincent』は、「Starry Starry night〜」
という歌詞で始まる。
ゴッホの人生少しでも知って、
ゴッホの絵の実物を見てから、聴くと、
この曲の意味と ドン・マクレーンの
気持ちが、少し分かった気がする。

Vincent / Don McLean (日本語訳付)


パリの土産物屋で見つけたミニ・ゴッホ






2019.11.10

PARIS REPORTS その4
ルーブル美術館 編


パリの観光スポットと言えば、
エッフェル塔、凱旋門、ノートルダム大聖堂
(残念ながら今は火災のため見られない)、
オルセー美術館、オペラ座などと並んで、
ルーヴル美術館は、はずせないだろう。

一緒に行った人たちの中には、
ヴェルサイユ宮殿へ行った人たちもいたのだが、
私はヴェルサイユ宮殿は、パスした。
5年前のイタリア旅行でカゼルタ宮殿
(世界遺産)へ行ったのだが、でかすぎて
広すぎて、同じような部屋が延々と続き、
途中で飽きてしまった。
ああいう、文化や装飾が好きでないと、
行っても楽しめないと思ったのだ。
まあ、見もせずに楽しめないと判断するのも
いかがなものかと思うのだが、
旅行は日程が限られているので、
おのずと行先は限られてしまうのは仕方がない。
長期滞在で時間があるなら、もちろん
ヴェルサイユ宮殿も観てみたい。

それはさておき、ルーヴル美術館。
こちらもかなりでかい。
「全部見るには5日はかかる」とか、
「一週間いても飽きない」と
言われるほどの大きさだ。

どこに何があるかも分からないので、
ここは現地の日本人ガイドさん付きの
2時間ほどのツアーで周った。
これは、大正解。
自分たちだけで行ったら、
お目当ての作品にたどり着けず
ただ歩き疲れて終わってしまったかもしれない。
まあ、日本語の案内パンフレットもあったので、
そんなことはないかもしれないけど。

2時間のガイドツアーは、
「ルーブルなら、ここは見ておくべき!」という
作品巡りだったので、短時間で
とても効率よく周ることが出来た。

まず、外観。



もともとは、要塞だった建物がその後、
宮殿になったらしい。
上の写真は、全体の10分の1にも
満たないだろうな。
その大きさが分かろうというものだ。

敷地に入ると、カルーゼル凱旋門が
見えてきた。
その先には有名なピラミッドが見える。





館内に入ると逆さのピラミッドが目を引く。



イヤホンを付けて、日本語ガイドさんの
話を聞きながら進んでいく。
ピラミッドは、1989年に設置されたので
今年で30年だという。
作られた当時は、古典的な建物に
近未来的なガラスのピラミッドは
合わないと、否定的な意見もあったらしい。
私は、映画『ダ・ヴィンチ・コード』の印象が強い。
映画の内容は忘れてしまったけどね。

美術館の内部



絵がでかい。



この手の宗教画が数えられないほど
多く展示されている。
ガイドさんの解説は素晴らしく、
「へぇ〜、そうなのか」とずい分と
感心した覚えはあるけど、内容は
ほとんど覚えていない。

館内の窓から見るピラミッド。



これが、有名なハムラビ法典!



歴史の時間に習ったね〜。
紀元前1792年から1750年にバビロニアを
統治したハムラビ王が発布した法典。
「目には目を、歯には歯を」は、
復讐の法典ではないと、いつだったか、
テレビで観た覚えがある。
例えば「倍返し」のように
やられた以上にやり返すのではなく、
やられたと同等の懲罰にするという、
刑罰の限界を定めたものだったらしい。

くさび形文字の法典。



このあたりに「目には目を、歯には歯を」が
書いてあるらしい。

要塞時代(?)のお堀の底を歩く。



石には、ハートマークが彫られている。





現代人のいたずらかと思ったら、
当時の職人が、自分が切った(積んだ?)
石だと分かるように、サインを残したのだと。

スフィンクス。



写真では大きさが分からないが、
エジプト以外にあるスフィンクスでは、
最大らしい。

ミロのヴィーナス。



古代ギリシア時代の彫刻。
高さは203cmもある。



これは、美しい。
値打ちがあったな。
特に後ろ。



後ろ姿なんてあんまり見られへんもんな。
半ケツです。
そして、前面に比べ、多少仕上げが雑。
もともとは、壁を背中に置かれていたらしく、
背面は見えなかったからとか。

サモトラケのニケ(勝利の女神)。



結構な迫力です。
どんな顔が付いていたんだろう。
レプリカが日本中にあるようです。

男のモナリザと称されるラファエロの
カスティリオーネの肖像。



そして、いよいよモナリザです。
ここからモナリザの列です的な看板。



写真の中心にあるのがモナリザで、
それを見るために並ぶ人の列。



約10〜15分ぐらい並んだかな。
ついにご対面。



しかしこれ、7cmの防弾ガラス越しなのだ。
驚くほど無防備に展示されている作品が
多い中、超厳重なセキュリティ。
以前、盗難にあったことがあるからだろうか。



私は、それほどこの絵の良さが分からないので、
あまり感動も感激もなかったけど、
500年以上も前に描かれたこの1枚を
観るために世界中から人がやってくるのだから
スゴイよな。
そして、この列に並んでいる時でさえ、
「スリがいます。注意してください」という
アナウンスが流れるのもスゴイ。

これも教科書で見たことあるなぁ。



フランス革命を描いた、ドラクロワの
『民衆を導く自由の女神』。

他に特に見たいものがなければ、
2時間ツアーで十分満足できます。
私が観た日本人ガイドさん付きツアーは、
旅行代金に含まれていたので、
いくらか分からないけど、ルーブル美術館の
入場料は、17ユーロ(2,100円ぐらい)。





2019.11.11

PARIS REPORTS その5
エッフェル塔 編


エッフェル塔は、絵になるねぇ。
東京タワーもいいけれど、エッフェル塔の方が、
洒落て見えるのは、塔自身の形もあるし、
周りの建造物のせいだと思うな。
東京に比べて、高いビルがないんだ。

宿泊したホテルが、セーヌ川沿いで、
エッフェル塔からも近かったおかげで、
たくさんのエッフェル等を撮影した。

帰国してから見てみると、
惜しい写真が多い。
もう一度、撮り直したいぐらいだが、
仕方ない。
そんなエッフェル塔の写真たち。






























(2019.11.12 もう一つ追加)









ひとりごと