LAGUNA MOON MELLOW FLAVOR  LIVE GUITAR  LINK LYRICS


 つつみしんやのひとりごと  2019年 9月
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2019.9.1

THE WEIGHT BAND
Featuring members of THE BAND
and THE LEVON HELM BAND
with special guests:
Paul Barrere and Fred Tackett,
the guitarists of LITTLE FEAT


ジム・ウィーダーが来るので、
観に行こうと思った今日のライヴ。

私は、ジム・ウィーダーのアルバムを
2枚持っている。
『Big Foot』というアルバムでは、
"Many Rivers To Cross" を演っているし、
『Remedy』というアルバムでは、
"The Weight" を演っているし、
テレキャスターの骨太なサンドは、
結構私好みだった。

しかし、そのCD2枚を持っているだけで
ジム・ウィーダーについて、何も知らなかった。
今回、ジムの名前があったのと、
"THE WEIGHT BAND" というそれらしいバンド名、
"THE LEVON HELM BAND" のメンバーでも
あった旨の記載が、私をライヴに向かわせた。

まず、ゲストの2人がストラトキャスターでデュオ。
リトル・フィートのポール・バレアとフレッド・タケットだ。
おじさん2人のデュオに、ビルボードライヴが
アメリカの片田舎のバーに化けたよ。
私は、リトル・フィートは詳しくないのだけど、
ファンにすれば、またとない機会だったんだろう。

そして、"THE WEIGHT BAND" の登場だ。
まさに「あの世界」の音だ。
The Band 同様全員が唄い、ハモる。
クラブ公演にしては珍しく、
1時間45分ぐらい演ったんちゃうかな。
アンコールでは、ついに"The Weight"、
そして、"I Shall Be Released"。
もう、カバーの域を超えている演奏。

他にもイントロが始まると客席から歓声が上がる曲が、
数曲あったのだけど、実は The Band のことも
有名曲ぐらいしか知らないし、昨年出た
THE WEIGHT BAND のアルバムも
聴いていないので、勉強不足を痛感。
帰ってきてから、Billboard LIVE の記事
読んでビックリ。

ジム・ウィーダーって The Band の
再結成メンバーだった。
そんなことも知らなかったとは、少々恥ずかしい。

終演後、見知らぬお客さんの
「昨日より良かった」という声が聞こえてきた。
やはり、コアなファンは昨日も来ていたと見える。

やっぱりいいなぁ、アメリカンロック。
バンドやりたくなる。


[ Members ]
Jim Weider (Vo, Gt, Mandolin)
Brian Mitchell (Vo, Key, Or, Accordion)
Matt Zeiner (Vo, Key, Or)
Albert Rogers (Vo, B)
Michael Bram (Vo, Dr)
aul Barrere (Vo, Gt)
Fred Tackett (Vo, Gt)

@ Billboard LIVE Tokyo




LIVE動画
"The Weight" The Weight Band - Live From The Brooklyn Bowl





2019.9.3

CHARLES LLOYD
"Kindred Spirits"


一昨年の1月に初めて観た
チャールズ・ロイドのライヴに
再び行ってきた。
素晴らしいライヴだった。
前回は、チャールズ・ロイドのことは
よく知らなくて、ギターが
ビル・フリゼールだったので聴きに行った。
今回はジュリアン・レイジ!
全くギター目当てで行ったのだけど、
ジュリアンだけでなく、全てが素晴らしかった。

ベースとドラムは、一昨年と同じ、
ルーベン・ロジャース (b) と
エリック・ハーランド (ds)。
一昨年のエントリーを読むと、
ドラムが素晴らしかったと書いていて、
今回も素晴らしかったけど、
ベースのルーベンも良かった。
前回はエレキベースだったけど
今回はウッドベースで、凄くグルーヴを
感じるベースだった。

ピアノにジェラルド・クレイトン。
今年5月にジョン・スコフィールドのバンドでも
観たのだけど、今日の方が、
ジェラルドの良さが表現される場面が
いくつもあった。

そして、チャールズ・ロイド、御年 81歳!
適度に枯れた感じのトーン、
ダンスなのかサインなのか分からない素振り、
そして、ファンキー。
風貌はというと、 まるで、
古い童話の本の挿絵から
飛び出してきたかのよう。
何もかもがファンタスティック。

1曲目は、フリーのような感じで始まり、
そのまま2曲目に突入。
早速ジュリアンのソロが爆発!
バラードでのソロは、まるで他のメンバーが
ジュリアンに見惚れているかのようだった。
これは、圧巻でした。

アンコールは、2回。
終わってみると、1時間55分ぐらい。
これは、ブルーノートでも珍しい。
ほとんど2時間だが、あっという間。
「ジャズは、音楽は、人生は、自由だ!」
そんなメッセージを感じ取ったライヴだった。

ジュリアンは、31歳、
ジェラルドは、35歳。
81歳のチャールズには、全く孫のような年の人達。
音楽という宇宙には年の差なんてない。
聞きあきた言葉だが、目の前にすると強烈だ。

新プロジェクトの名前は “Kindred Spirits” 。
どういう意味だろうとググってみると、
「同族の霊」と出た。
(「s」を取った単数形「Kindred Spirit」だと
「気の合う人」「親族の精神」。)
何やらスピリチュアルな匂いがプンプンするなぁ。



ジュリアンのギターは、フロントに
P-90タイプのピックアップのついた
テレキャスター。
Fender ではなさそうだが詳細不明。
ガンガン、チョーキングもしていたけど、
2時間、一度もチューニングしなかった。
(見逃したのかもしれないけど。)


[ MEMBERS ]
Charles Lloyd (sax)
Gerald Clayton (p)
Julian Lage (g)
Reuben Rogers (b)
Eric Harland (ds)

@ Blue Note Tokyo
2nd show




ブルーノートのこの記事を読むと
チャールズ・ロイドのジャズにおける立ち位置と
大まかな歴史が分かる。

異端から伝説へ、チャールス・ロイドという存在


[ 関連エントリー ]
2017.1.12 CHARLES LLOYD & THE MARVELS
2017.1.31 JULIAN LAGE TRIO
2017.11.11 JULIAN LAGE & CHRIS ELDRIDGE
2018.12.11 JULIAN LAGE TRIO



(2019.9.4 追記)
ブルーノートの LIVE REPORTS より。

[ Set List ] 2019.9.3 2nd Show
1. Dream Weaver
2. Of Course, Of Course
3. The Song My Lady Sings
4. Tone Poem
EC1. How Can I Tell You
EC2. Ay Amor

「1曲目は、フリーのような感じで始まり、
そのまま2曲目に突入」と書いたけど、
「フリーのような感じ」の部分は、
"Dream Weaver" の長〜いイントロでした。
ジュリアンのソロが凄かったバラードは、
"The Song My Lady Sings"。
ラストの "Ay Amor" も印象的だったのだけど
詳しいことは分からず。
Bola de Nieve(ボーラ・デ・ニエベ)という
キューバ人の曲が引っかかってくるのだけど、
この曲だったのかなぁ。
今回のライヴ盤出ないかなぁ。

ブルーノートの Instagram に渡辺貞夫さんと
チャールス・ロイドの2ショットの写真が
アップされたのだけど、その写真で泣けます。
最高。





2019.9.6

そろそろソロ・ギター vol.3
〜 演奏 と 創作 〜


5月に「そろそろソロ・ギター」と称して、
ソロ・ギターにチャレンジするプロジェクトを
始めたが、今日はそのライヴの3回目。

ソロ・ギターというのは、独奏のこと。
一人で、メロディも伴奏もこなさなければ
ならず、結構、難しい。
前回は、歌のゲストにダイアナを迎え、
セットリストの半分を歌モノにするという
安易な方向に行ってしまった反省を踏まえ、
今回は、ゲストを呼ばずに全曲一人で
演ると決めて、レパートリーの拡大を図った。

結果、13曲の演奏のうち、
8曲が初披露となった。
どうしても、ミディアムからスローな
曲が多くなってしまうのは仕方ないとして、
歌謡曲、ロック、ジャズ・スタンダード、
シャンソン、R&B、ポップス、アニソン、と
図らずも 幅広い選曲になったのは
嬉しい結果だ。
(セットリストは後記。)

今回のライヴに向けての練習中に
興味深い体験があった。
それは、「ギターを弾くこと(=演奏)」と
「音楽を創り出すこと(=創作)」の
区別と言っても良い。
そのことは、概念としては知っていたし、
聴衆としては、何度も体験があったけど、
演奏中に区別として体験したのは、
長くギターを弾いていて初めてかも知れない。

一流のアーティストの演奏を聴いたとき、
「この人は、ギターを弾いていない」と
感じることがある。
いや、音が出ているから、弾いているんだけど、
弾いていないレベルなのだ。
これは言葉で説明するのは難しい。
区別のない人には、分からないだろうけど。

先日、漫才コンビ「ナイツ」の 塙(はなわ)の
記事を読んだが、面白いことが書いてあった。
漫才では、ボケと突っ込みのそれぞれが、
予め決められたネタを舞台で演るわけだが、
毎回、初めてボケるかのようにボケ、
ボケの言うことを初めて聞いたかのように
突っ込みは、突っ込む。
へたくそな漫才師は、観ていて、
その「初めて感」が出せない。
なぜなら、練習を積んできているので
相手が何を言うか分かっているからだ。
すると、初めて聞いたのではない「間」で
突っ込んでしまう。
ほんの0点何秒のことだけど、
聴いている客は、敏感に感じ取る。
その0点何秒の違いで、
笑えるものも笑えなくなる。
そんな話だった。
(読んでから大分日が経っているので
かなり私の解釈になっています。)

漫才は、そのコンビがその場で初めて
その話をしているかのように
聞こえるからこそ面白い。
ギターを弾いていないように感じる、
というのは、「練習してきたけど、
その場で初めて生み出す」という意味で、
その感覚に近い。
一流の漫才師は、漫才を「している」のではなく
その場で話していることが、面白くて
漫才に「なっている」という感じかな。
そのためには、漫才も創作である必要がある。

音楽でも、練習や準備は大事だが、
本番で「練習で上手く弾けたことの再現」を
すると、聴いている側には感動はなく、
「技術はあるけど、面白くない」音楽に
なってしまうように思う。

一番大切なのは、「上手く弾こう」
「失敗しないように弾こう」「練習通り弾こう」と
するのではなく、その場で「音楽を生み出す」こと、
つまりは「創作」なのだと思う。
「創作」しているときは、
欲がないので「無」の状態だ。
「夢中」ともいえる。
(「無」も「夢」も「む」というのは面白い。)
しかし、私はまだまだ精進が足りない。
練習で「創作」といえる演奏が出来たとしても
本番になると、途端にプレッシャーに
囚われ、欲が出てしまうのだった。

それでも、本番中に短い時間だが、
「創作」の瞬間が訪れることもある。
心は、「創作」と「演奏」の間を
行ったり来たりだ。
そのうち、行きっぱなしになれるんだろうかね。
精進あるのみ。



[ SETLIST ]
-- 1st show --
1. La Vie En Rose
2. The Dock of the Bay
3. Can't Help Fallin' In Love
4. Time After Time
5. Change The World
6. My One And Only Love
-- 2nd show --
1. If
2. Thank You, Reggie (おおきに。レジやん) (オリジナル)
3. 上を向いて歩こう
4. Surfer Girl
5. Bridge Over Troubled Water
6. やつらの足音のバラード
7. What A Wonderful World
-- Extra Live --
1. 真夏の果実(vo:屋代さん)
2. Killing Me Softly With His Song(vo:Diana)

@ MAT COFFEE





2019.9.7

痛風物語35
<高尿酸値症卒業への道>


6月下旬から、フェブリクという
尿酸値を下げる薬を2週間ほど飲んだら、
12年間平均「8.2」だった尿酸値が
「6.0」に下がった。

喜びもつかの間、フェブリク服用開始から
3週間以上経って、薬の副作用と
思われる発疹が出たため、
やむなく服用を中止した。

発疹が治まった後、アロプリノールという
薬に替えて服用を再開した。
アロプリノールを1カ月服用し、
8月29日に採決した結果を
昨日聞いて来た。
尿酸値は「6.9」。

う〜む、微妙だ。
「6.9」は、正常値(7.0未満で正常値)だが、
医者が言うには、
長年高尿酸値だった人間には、
「6.9」では治療としては不十分らしい。
というのも関節に結晶として
溜まっている尿酸を溶かし、
体外へ出すには、尿酸値「6.0」前後が
望ましいとのことだった。

フェブリクなら、2週間で「6.0」まで
下がったのにな〜。
でも、体に合わなかったのだから
仕方がない。

アロプリノールは、現在1錠(100mg)
服用中だが、あと2か月続けてみて、
尿酸値があまり下がらないようだったら、
量を増やしましょうということになった。

高尿酸値症卒業への道は険しい。


<ここ数カ月の経緯>
6月17日 痛風発症(2年半ぶり6回目)
6月27日 尿酸値を下げる薬 フェブリク 服用開始
7月8日 軽い痛風発症 ― 薬の影響と思われる(想定内)
7月9日 血液検査 ― 尿酸値 6.0
7月20日 発疹が出る ― 薬の副作用? フェブリク服用中止
7月22日〜 アレルギーの薬を数日服用
7月29日 尿酸値を下げる薬 アロプリノール 服用開始
8月29日 血液検査 ― 尿酸値 6.9


ところで、脂質の方はというと。
3年間異常だった中性脂肪が、
5月の健康診断で正常値になった。
尿酸値に効くとテレビで観た甘酒の
効果かと思って続けているが、
7月、8月の血液検査では再び
異常値を示している。
7月は、総コレステロールとLDLコレステロールが、
正常値になるも、8月は再びアウト。
こちらも中々に手ごわい。
最近は、トマトジュースも飲んでるんだけどなぁ。

幸い私は血圧が全く正常であるため、
それほど深刻ではないらしい。
(この数年間の私の平均血圧は、上が104、下が66。)
これで、血圧が高ければかなりのリスクのようだ。
とはいえ、脂質異常といわれると、
やはり気持ちの良いもんではない。





2019.9.7

来月のライヴのお知らせ

昨日は「そろそろソロ・ギター」ライヴだったが、
早速次回を決めてきた。
10月18日(金)だ。
こちらは、ご予約もいらないし、
ミュージック・チャージもないので、
お気軽にコーヒーやビールを飲みに来てください。
お店で焼いているケーキ屋やスコーンも美味しいです。

そして。
10月14日には、ジャズ・シンガー和田明との
「AS IT HAPPENS」の8回目となる
ライヴも控えている。
明は、7月29日に ジャズ・ギタリスト
布川俊樹さんとのユニット「Blue Journey」
アルバムが発売になり、8月には
発売記念DUOツアーで西日本を周ってきた。
また、パワーアップした歌を聴かせてくれることだろう。
楽しみだ。


---[ LIVE INFORMATION ]---

10月14日(月・祝)
AS IT HAPPENS LIVE vol.8

Open 18:00
1st show 18:30〜 / 2nd show 19:30ごろ〜
入替なし。MC 無料。チップ制。
シートチャージ700円。要ドリンクオーダー。
at bar dAZE(原宿)
〜 Members 〜
vo&gt:和田 明
gt:つつみしんや

こちらは、毎回 満席ですので
ご予約を頂いております。
今のところ、まだお席に余裕がありますが、
ご希望の方はお早めにご連絡下さい。
(私宛にメールをください。)


10月18日(金)
つつみしんや/そろそろソロ・ギター vol.4

1st show 19:30〜 / 2nd show 20:30〜
at MAT COFFEE(渋谷区東2-21-8)
カフェでのBGM的演奏です。
ミュージックチャージなし。要ドリンクオーダー
〜 Member 〜
gt:つつみしんや





2019.9.8

愛と追憶の日々
Terms of Endearment


少し前に映画『愛と追憶の日々』の
話を聞いた。
アカデミー賞作品賞、監督賞、脚色賞、
主演女優賞(シャーリー・マクレーン)、
助演男優賞(ジャック・ニコルソン)を
受賞した1983年の作品だが、
親子関係を興味深く描いているという話だった。

私は観たことがなかった上に
タイトルからメリル・ストリープ、
ロバート・レッドフォード主演の
『愛と哀しみの果て』と混乱していた。
こちらも、アカデミー賞作品賞を
受賞しているので、余計に間違いやすい。

それはさておき、『愛と追憶の日々』。
気になっていたので、ようやく鑑賞した。
Amzon プライムビデオで、199円。

シャーリー・マクレーン、
デブラ・ウィンガーが主演。
そのほか、ジャック・ニコルソン、
ジェフ・ダニエルズらが出演している。

シャーリー・マクレーンは、撮影当時
58〜59歳だと思うが、美しいね。

娘役のデブラ・ウィンガーは、
これまた『愛と〜』シリーズ
『愛と青春の旅だち』で、
アカデミー賞主演女優賞にノミネートされた人。
『愛と青春の旅だち』の次の作品が
『愛と追憶の日々』だ。

彼女達の隣の家に住む
元宇宙飛行士を演じるのが、
ジャック・ニコルソン。
やはり、クセが強い男を演じております。

あと、子役が素晴らしかったね。

この映画の話をしてくれた人は、
きっともう何年も前に観たんだろう。
聞いた話とちょっと違っていたけど、
人それぞれ心に残るポイントも
違うもんなんだろうな。
そして、時間が経つほどにそのポイントが
強調される記憶になっていくんやないやろか。
そんな気がした。

原題の "Terms of Endearment" は、
「愛情の言葉」「愛情の表現」という意味のようだ。

そして、1996年にこの映画の
続編『夕べの星』が作られている。
もちろん、シャーリー マクレーン、
ジャック ニコルソンが出演している。
こちらも観てみたい。


★★★☆☆





2019.9.9

CAMILA MEZA
& THE NECTAR ORCHESTRA


カミラ・メサ。
チリ出身で、現在は NY 在住。
シンガー・ソング・ライターであり、
ジャズ・ギタリストでもある。

カミラのことは全く知らなかったけど、
この度の来日で知り、これはナマで
聴きたいな、とライヴに行ってきた。

メンバーは、NYで活躍するイスラエル人2人と
日本人ドラマーというレアな組合せ。
そこに日本人の弦楽四重奏。
カミラは、「Blue Note Strings Quartet」と
紹介していたよ。

まず、Strings Quartet 抜きで1曲。
カミラ、カッコ良くておまけにキュート。
まるで SF映画に出てくる、よその星から来た
平和の戦士のように見えた。
ちょっと立て気味に構えるギターが、
見たことのない武器に見えたね。
その武器を使うと、世界が平和になるという。

Strings Quartet が入ってからは、
今年発売されたアルバム『アンバー』からの選曲。
カミラは、チリ出身なので、スペイン語が
母国語なわけだが、曲によって
英語とスペイン語と歌い分けていた。
Strings Quartet に コントラバスが加わった
Strings Quintet 状態にスペイン語の
歌が乗ると、昨年5月に観た
シルビア・ペレス・クルスを思い出さずには
いられなかった。
あの時も弦楽五重奏だったからね。
でも、今日はそこにピアノやドラムが
入ってくると違う世界になっていくのだけど。

カミラの音楽を聴くと、もうジャズとかジャンルを
言うのが、時代遅れな感じがしてくる。
どんな音楽か、誤解を恐れず表現するなら、
ベッカ・スティーブンスと
エスペランサ・スポルディングと
シルビア・ペレス・クルスを混ぜて、
ちょっとパット・メセニー・エッセンスを
2〜3滴垂らした感じです。

ギターは、Sadowsky。
Thinline のフルアコです。
ちらっとパット・メセニーを感じたのだけど、
「ジャズに興味が芽生えたのは、
高校時代にパット・メセニーやジョージ・ベンソンを
聴いたことがきっかけ」という記述を見つけたので
まんざら外れてはいないだろう。

曲は、"This is Not America"、
"Olha Maria"、"Kallfu" など。
たぶん、チリの曲だと思われる
スペイン語の弾き語りも良かったなぁ。
MCが比較的分かりやすい英語だったのだけど、
途中まで分かっても肝心の部分が
何言ってるか分からないという場面が何度もあった。
毎度のことながら、悔しい。

ドラムは、スナーキー・パピーのメンバーでもある
NY を拠点に活動している 小川慶太。
彼を観るのは、初めてだと思っていたら、
2015年、SHANTI のライヴ(@六本木 Alfie)
TOKU (vo, f.hr) と シットインした
パーカッションの人が小川慶太だった。
彼のドラムは、初めてだったけど、
良いドラムだったなぁ。
なんというか、柔らかいドラミング。
表現が難しいけど、私は好きなタイプ。
特にアンコールのドラムソロが素晴らしかった。

アンコール入れて、90分近く演ったよ。

ところで、
ライヴでは残念ながら聴けなかったのだけど、
アルバム『アンバー』の最後に
『Cucurrucucu Paloma(ククルクク・パロマ)』
というスペイン語の美しい曲が収録されている。
なんとも懐かしい感じとちょっと寂しい感じが
込み上げてきて、何度聴いても
泣きたくなるようなメロディーだ。

初めて聴いたような気がしなかったので
調べてみると、『ククルクク・パロマ』は、
1954年のメキシコのトマス・メンデスという
人の曲だった。
「ククルクク」というのは、ハトの鳴き声で、
愛する女性を失った男の哀しみの歌だった。

曲調から、シルビア・ペレス・クルスが
唄っていてもおかしくないな、と思って
ググってみたら、
シルビアが唄っている動画があったよ。

Cucurrucucu Paloma | Silvia Perez Cruz

16年も前になるが、2003年に
『トーク・トゥ・ハー』というスペインの映画を観た。
タイトルどころか観たことさえ覚えていられない
映画が多い中で、しっかりと記憶に残る作品だった。
映画も良かったのだが、もう一つこの映画が
印象に残っているのには、わけがある。
劇中、素晴らしい歌声を
聴かせてくれるシンガーのライヴ・シーンがある。
それが、カエターノ・ヴェローゾだった。
一発で、カエターノの歌に魅せられた私は、
すぐに彼の CD を買ったほどだ。
この映画の中で、カエターノが
歌っていたのが、『ククルクク・パロマ』だったのだ。

Caetano Veloso Cucurrucucu Paloma (Hable Con Ella)

なるほど、歌い手は違えど、16年前と同じメロディに
私の心は反応していたのだな。

カミラの歌は、英語よりスペイン語の方が
絶対良いように感じた。
スペイン語の方が英語以上に意味は
分からんのだけどね。
意味なんか分からんでもなんかグッとくるもんが
あるっちゅうことね。
スペイン語の響きってなんかいい。
ここ最近は、キューバものも結構聴いたし、
耳がスペイン語慣れしてきたのかな。
意味は全く分からんねんけど。

ちなみにシルビア・ペレス・クルスは、来月来日。
これまた楽しみ。
カミラ・メサも、次回来日時もぜひまた観たい。


[ MEMBERS ]
Camila Meza (g,vo)
Eden Ladin (key,p)
Noam Wiesenberg (b)
小川慶太(per,ds)
松本裕香(ヴァイオリン)
鈴木絵由子(ヴァイオリン)
惠藤あゆ(ヴィオラ)
橋本歩(チェロ)

@ Blue Note Tokyo
2nd Show




Camila Meza - Kallfu (Official Video)


(2019.9.10 追記)
ブルーノートの LIVE REPOTS にセットリストが
アップされた。

1st show では、聴きたかった
"Cucurrucucu Paloma" を演っているではないか。
そして、2nd show と3曲しか被っていない。
ああ、これなら通しで観たかったなぁ。
1st show、2nd show でアルバムの12曲を
全曲演奏したわけだ。
でも、1st show がアンコールを入れて
8曲なのに対し、2nd show では、
10曲も聴けたから、それはラッキーだったな。

9曲目が終わったあと、一旦、ステージ後ろの
スクリーンが降り始めて、モニターも点いて、
「アンコールはありません」的な空気が流れた。
9曲(すでに80分近く)演ったので
アンコールはなしの予定だったのかもしれない。
9曲目の "Kallfu" は、1st show の
アンコール曲だし。
だけど、結構拍手が大きくて、
鳴りやまなそうだったので、すぐにカミラは、
ステージに戻ってくれた。
彼女にとっては(来日は初めてではないけど)、
ブルーノート東京の初日ということもあって、
とても、楽しそうで、喜んでいるように見えた。
観客の熱い拍手に応えずにはいられなかったんだろうな。

[ SETLIST ] 2019 9.9 MON.
1st
1. WALTZ
2. MILAGRE DOS PEIXES
3. OLHA MARIA
4. AWAKEN
5. CUCURRUCUCU PALOMA
6. INTERLUDE〜AMBAR
7. PARA VOLAR
EC. KALLFU
 
2nd
1. AMAZON FAREWELL
2. ALL YOUR COLORS
3. ATARDECER
4. OLHA MARIA
5. FALL
6. TRACES
7. THIS IS NOT AMERICA
8. LUCHIN
9. KALLFU
EC. AWAKEN

アルバム『アンバー』収録 以外の、
1st の "PARA VOLAR"、
2nd の "AMAZON FAREWELL" 、"TRACES"、
「スペイン語の弾き語りも良かったなぁ」と
書いた曲、"LUCHIN" は、アルバム『Traces』収録曲。

"LUCHIN" のガットギターでの弾語りを発見。
Camila Meza "Luchin" (Traces)

これもいい。
Camila Meza "Little Person" Live (Traces, 2016)





2019.9.11

創作 と 処理

最近、妻の仕事の関係で
デザインの仕事を引き受けている。
仕事といっても、私は専門的な教育を
受けていないし、その手の仕事に
就いたこともない。
音楽と同じくアマチュアなのだけど。

子供の頃、レタリングのようなことが好きで、
授業中にノートや教科書にしょっちゅう
落書きをしていた覚えがある。
中学生の修学旅行のしおりの表紙なども
私が書いた覚えがあるし、
若い頃は、バンドのロゴを手書きで作って、
おそろいのジャンパーにプリントしたこともある。
デザインという風に認識していなかったけど、
そういうことが好きだったのは間違いがない。

小学生の高学年の頃には、
興味の一番が音楽になってしまったけれど、
音楽をやらなけば、美術関係のことを
やっていただろうと思う。
それが仕事になったかどうかは別として。
小さいころから絵を描いたり、
粘土細工やプラモデルを作るのも好きだったしね。

そういうわけで、妻の仕事の手伝いが
きっかけで始まったデザインだけど、
もともと自分の中にやりたいこととして
あったことには、自覚がある。

ところで、ギターを弾いていると
時間の経つのを忘れるのと同じように、
デザインのことをしていても集中して、
次々とアイディアが浮かんでくると
時を忘れてしまうことが多い。
写真を撮っている時や、
写真の編集作業で作品に
仕上げようとしている時も同じような感じだ。
これは、好きなことをやっているのだから、
当然のことだろう。

一方で、好きでやっているわけではなく、
仕事だからやっていること、頼まれて
引き受けたからやっていることでも、
集中しているとあっという間に時間が過ぎてしまう。

一見この2つは同じことのように見えるけど、
大きく違うことがある。
それは、終わったあとの疲れ方、
気持ちに現れてくる。
どちらちもやり終えたあとの満足や達成感はある。
仕事であれば、やっと終わったという解放感もある。
が、好きでやっていることには、
そういう解放感は感じないのだ。
例えば、ライブが終わったあとに
解放感がないわけではないが、
それは、「もうこの仕事は終わった」
「これでもうやらんでええ」という解放感ではない。
ライブの場合は解放感というより、充足感に近い。

何が違うのだろうと観察するに
ギターを弾くことも、
デザインを創り出すことも、
写真を撮ることも、
頭を使っていないということに気付いた。

頭を使っていないというより、厳密には、
右脳による作業なのではないかと思うのだけど、
これは、どういうわけかあまり疲れない。

書類を作成するような作業では、左脳を使う。
右脳を使う仕事より、左脳を使う仕事の方が
疲れるんやないか、そう思ったのだ。

右脳を使って何かを創り出す、
つまり「クリエイション(創作・創造)」は、
疲れるよりも逆にエレルギーが湧いてくる感じがする。
もちろん全く疲れないわけではないけどね。
クリエイティヴな仕事をしているアーティストに
年をとっても若々しい人が多いのは、
そんな理由もあると思う。

クリエイションという行為が右脳を媒体に、
脳の外側にある何か(宇宙とか無意識とか)と
コンタクトし、「創作」物をこの世に
現していくのに比して、もう一方の作業は、
脳の中にある知識を駆使して、
「処理」していく行為なのではないか。

クリエイトがエネルギーが湧きだす行為に対し、
そうでない処理作業は、エネルギーの消耗では
ないかと思うのだ。

どちらも人間には必要なことであり、
優劣はないのだけどね。

では、左脳を使ってする作業が、
クリエイティヴに出来ないのかと問われれば、
けっしてそんなことはないだろうが、
そちらの作業をクリエイティヴに行う人は
あまりいないんじゃないだろうか。
その作業のコンテクストを創作することは
出来るだろうから、全体としては
クリエイティヴな行為と見ることも出来るけど、
「処理」していかなければならない(消耗する)
作業は必ず付いて回る。
例えば、私にとってギターを弾くのは
創造的行為だが、その準備や記録として
楽譜を書くことは左脳を使う処理的行為だ。

あとは、そのバランスで、創造的な部分が
大きければ、消耗する処理も苦ではないだろう。
例えば、一度書いた楽譜は、
繰り返し使うことができるが、
演奏するたびに楽譜を
準備しなければならないとしたら、
あるいは、一度の演奏のために何度も
楽譜を書かなければならないとしたら、
演奏したくなくなるような気がする。
(楽譜を書くこと自体が好きな人は、
そんなことないやろうけど。)

そういうわけで、同じ時間、働いても、
クリエイティヴに仕事をしている人は、
過労で追い詰められることがないんだと思う。
もし、どんな種類の仕事でも、
クリエイティヴに出来るとしたら、
過労で追い詰められて自殺する人なんて
この世からいなくなるのにな。




CAMILA MEZA その2


一昨日のカミラ・メサのライヴが
素晴らしかったので、
彼女のことを色々調べてみている。
昨日、ブルーノートの LIVE REPOTS に
アップされたセットリストと感想を
追記したが、今日も少し書き加えたい。

「たぶん、チリの曲だと思われる
スペイン語の弾き語りも良かったなぁ」
と書いた "Luchin" という曲は、
やはり、ビクトル・ハラ(Victor Jara)
(1932.9.23〜1973.9.16)という
チリのフォルクローレ(ラテン・アメリカの
民族音楽)のシンガー・ソングライターの
曲のカバーだった。
調べてみると、ビクトル・ハラは、
1973年のチリの軍事クーデターの際、
虐殺されたらしい。
40歳だった。

カミラは、インタビューでビクトル・ハラの
曲をカバーしていることについて、
こう答えている。

ビクトル・ハラの音楽は
私に母国のチリを思い出させてくれます。
また一方で、彼の歌には強い説得力があると
いう誰もが知る真実も思い出させてくれます。
彼の音楽は正義と平和が大きなテーマでした。
それと同時に、彼の作品はチリの伝統に
深く根ざした音楽的な洞察[explorative]なのです。
彼はビオレータ・パラの歩む道に続き、
今日ではどちらも、チリのミュージシャンが
伝統を追求する上で欠くことのできない
リファレンスになっています。


※ ビオレータ・パラもチリのフォルクローレの音楽家

この曲が何か特別なように聞こえたのは、
そういう背景があったのだな。





2019.9.12

JOYCE MORENO
sings "Bossa Nova Songbook"
with special guest ZE RENATO


気に入ってしまうと、来日の度に
これが最後になるかもしれないと思い
観に行かずにはいられない
アーティストが増え続けてる。
困ったもんだ。

そんなアーティストの一人、
ジョイス・モレーノのライヴに行ってきた。
4年連続、4回目だ。

今回のライヴには、
「sings "Bossa Nova Songbook"」と
タイトルが付いている。
ジョイスは毎回、ゲストとともに来日するが、
今年は、ZE RENATO(ゼ・ヘナート)というおじさん。
この人のことは知らなかったけど、
とても優しそうなイイ男で、日本は2度目だけど、
96年以来、23年ぶりだと言っていた。
彼は、4〜5曲ぐらい歌った。
ゼ・ヘナート以外のピアノ、ベース、
ドラムスは、この4年間同じメンバー。

ジョイスは、"Aguas De Marco(3月の水)"、
"One Note Samba"、"Favela"、
"Feminina" など。
"Favela"、"Feminina" あたりの疾走感は
やっぱり、たまらない。

アンコールは、ゼ・ヘナートを含めたメンバーで
震災を受けた日本に捧げる
(と言っていたと思う...自信なし)と言って
始めた曲から、"Chega De Saudade" へ。

やはり素晴らしいです。
ブルーノート東京以外に先週、金曜日土曜日と
コットンクラブに出演し、日曜日に横浜
モーションブルーに出演したためか、
今日はちょっとお客さんが少な目だったのは残念。


[ MEMBERS ]
Joyce Moreno / ジョイス・モレーノ (vo,g)
Ze Renato / ゼ・ヘナート (vo,g)
Tutty Moreno/ トゥチ・モレーノ (ds)
Helio Alves / エリオ・アルヴェス (p)
Rodolfo Stroeter / ロドルフォ・ストロエテール (b)

@Blue Note Tokyo




[ 関連エントリー ]
2016.8.28 JOYCE MORENO & IVAN LINS
2017.9.11 JOYCE MORENO with special guest PEDRO MIRANDA
2018.10.4 JOYCE MORENO with special guest CHICO PINHEIRO



ところで。
先日は、チリ出身の Camila Meza、
8月は、コロンビア出身の Edmar Castaneda と
ブラジル出身の Yamandu Costa、
キューバ出身の Gonzalo Rubalcaba と
Aymee Nuviola、7月は、
アルゼンチン出身の Guillermo Rizzotto、
そして、今日は、ブラジルの Joyce Moreno と
気が付くと ここのところ、
中南米のアーティストのライヴが多い。
ブラジル以外はスペイン語だというのも
興味深い。(ブラジルはポルトガル語)

そして、10月は
LA FAMILIA LOPEZ-NUSSA
(キューバの音楽一家)、
11月は、Ivan Lins(ブラジル)
と中南米音楽の旅は続くのだった。


(2019.9.26追記)
ブルーノートの LIVE REPOTS にセットリストが
アップされたので記しておこう。

[ SETLIST ] 2019 9.12 THU.
2nd show
1. Ceu E Mar
2. Voce E Eu
3. Chovendo Na Roseira
4. Quero Ouvir Joao
5. Samba De Verao
6. Samba De Uma Nota So
7. Caminhos Cruzados
8. Pra Voce Gostar De Mim
9. Diz Que Fui Por Ai
10. O Amor Em Paz
11. Noite
12. Toada
13. Agogo
14. Feminina
15. O Morro Nao Tem Vez
EC. Um Abraco No Japao 〜 Chega De Saudade


本文中に書いた "One Note Samba" は、
6曲目 "Samba de Uma Nota So"、
"Favela" は、15曲目 "O Morro Nao Tem Vez"。
ポルトガル語です。
"Aguas De Marco(3月の水)" が、
ないのはなぜだろう。
私の思い違いかなぁ。





2019.9.13

ブルーノート・レコード
ジャズを超えて

BLUE NOTE RECORDS: BEYOND THE NOTES


ジャズの名門「ブルーノート・レコード」の
ドキュメンタリー映画を観てきた。
思っていたより、結構お客さんが
入っていたけど、ほとんどおっさんでした。
若者と女性はちらほら。

ブルーノート・レコードの作品は、
今までにたくさん聴いてきたけど、
会社を誰が作ったのか、
どんなストーリーがあったのかは、
全く知らなかった。

1939年、ブルーノート・レコードを
設立したのは、アルフレッド・ライオンと
フランシス・ウルフという2人の
ドイツ系ユダ人だった。
今でいうインディーズ・レコードのようなもので、
けっして資本があったわけではなかった。

ナチスの迫害から逃れたユダヤ人が、
アメリカであからさまに人種差別を
受けていた黒人(アーティスト)と組んで
自由と解放を表現したというのは、
それだけで、物語になりそうな話や。

アルフレッドは、根っからのジャズ・ファンで、
もともとは自分の趣味(鑑賞)のために
録音をしたかったのだという。
それが、発展してレコード会社に
なったのだけど、録音時には、
アーティストに完全な自由を提供したという。
唯一、新しい音楽(曲)を
求めたようだが、世の中に受けいられるよう、
つまり、売れるようなモノを作れというような
要求は一切なかったという。
アルフレッドとフランシスは、
アーティストから、絶大な信頼を得ていたようだ。

当時でも、大手のレコード会社は、
セールスを念頭に置いて音楽を
作っていたようだが、
ブルーノート・レコードは違った。
アルフレッドは、セールスなど気にせず、
レコードを作り続けたのだ。
それこそが、ブルーノートが
ブルーノートである所以だと思った。
アーティストは、セールスのことなど
考えなくてよい。
それはビジネスマンの仕事だろう。

そして、結果、ブルーノートは
1966年にリー・モーガンの
『ザ・サイドワインダー』と
ホレス・シルヴァーの
『ソング・フォー・マイ・ファーザー』という
2作のビッグヒットを生み出す。
それが、ブルーノートの運命を変えてゆく。
販売業者からの「もっとヒット作を作れ」と
いう圧力が始まったのだという。

映画は、ハービー・ハンコック、
ウェイン・ショーター、ルー・ドナルドソン、
ノラ・ジョーンズ、ロバート・グラスパーなどの
インタビューとブルーノートに残された
名曲、名演で進んでゆく。

邦題で「ジャズを超えて」と訳された
「BEYOND THE NOTES」は、
リオーネル・ルエケ(Gt)が、
ハービー・ハンコックのことを
「彼は音符を超えている」と言った
言葉から取られている。

私が驚いたのは、その写真。
50〜60年代、スタジオでの演奏風景を
撮影したのは、フランシス・ウルフで
あったらしいいのだが、
これは、プロのカメラマンだろうという
写真ばかりで、実際、その多くが
レコードのジャケットに使われている。
調べてみると、フランシスはすでに
ドイツでカメラマンとして仕事をしていた後に
アメリカに渡ったようだ。納得。

それにしても、暗い録音スタジオの中で、
どうしてあんなにきれいに写真が撮れたのだろう。
今のようなデジタル・カメラなんてない時代だ。
映画の中で、「(フランシスが)
16分の1秒で撮った」と誰かが言う
シーンがあったけど、
16分の1秒のシャッタースピードで、
あんな写真は絶対に撮れないよ。
その秘密が知りたい。

フランシスが撮った、ブルーノートの
アーティストの写真集ってないんだろうかと
ググってみたら、日本版は出ていないが、
Amzon.com で何冊も発見。
中古だけど、「Blue Note」というタイトルの
Francis Wolff の写真集を注文した。
49.94ドル。(新品は、814.98ドルもするぜ。)


★★★★☆





今年6月の TEDESCHI TRUCKS BAND の
ライヴのアンコールで、
"Statesboro Blues" にゲスト参加した
ドン・ウォズ(B)って、今の
「ブルーノート・レコード」の社長だったのね。
知らなかった。
あの時は、本作のジャパン・プレミアがあって
来日していたみたい。


Official Site
ブルーノート・レコード ジャズを超えて




トーク・トゥ・ハー
HABLE CON ELLA / TALK TO HER


先日、チリ出身の カミラ・メサ の
CD に収録されている、
『Cucurrucucu Paloma(ククルクク・パロマ)』
という曲について調べていたところ、
『トーク・トゥ・ハー』というスペイン映画の中の
ライヴ・シーンで カエターノ・ヴェローゾ が
歌っていた曲だということが分かった。

『トーク・トゥ・ハー』は、2003年に
日本で公開されており、私は
ロードショーで観たのだが、
カエターノ・ヴェローゾ を知った映画である
こともあって、記憶に残っている作品だった。

『ククルクク・パロマ』のことが、きっかけで
急にもう一度観たくなったので、
先日、DVDで鑑賞した。

交通事故に遭い昏睡状態の美人女性と、
その看護をする男性看護師の物語で、
途中、ショッキングな事件が起こる。
それぐらいのことしか覚えていなくて、
結末がどうだったかなど、
さっぱり覚えていなかった。
16年も経つと、
もう、初めて観るのと変わらない。

見終えてから、「そういえばそうだった」とは、
言えるけど、もう一度も観なければ、
絶対結末を思い出せなかったと思う。

昏睡状態の女性が、本当に美しい。



写真の手前の人ね。
レオノール・ワトリングというスペインの女優。

彼女に恋をする看護師ベニグノの
気持ちも分からなくはないが、
その愛情は、偏狭というか異常。
そうなった背景も描かれており、
哀しい男の話と言ってしまえば
それまでだが、やはり、独りよがりでしかない。
恋心は今や、ある線を超えた瞬間に
「ストーカー」という犯罪になってしまう。
本作では、彼の異常さが、
結果的に彼女を救うという辺りが、
脚本の妙である。
アカデミー賞脚本賞を受賞。
監督・脚本は、ペドロ・アルモドバル。

ベニグノに、共感は出来ないし、
ハッピーになれる映画ではないが、
良い作品だと思う。


★★★★☆





2019.9.14

夏海と歌の妖精たち vol.1

ピアニストでシンガーソングライターの
夏海ちゃんと数人の歌姫による
ライヴに行ってきた。
@ bar dAZE(原宿)

ウェブサイトには、
「act / 夏海・Mayu ・Diana」と
あったけどもう一人、若い女性シンガーが
登場したな。
名前を覚えてないのだけど。
Diana は、私のライヴにもゲストで
出てもらったシンガー。

bar dAZE には、ちょっと前から、
アップライト・ピアノが置いてある。
やっぱり、生ピアノはいいよね。

夏海ちゃんの伴奏で、妖精たちが唄う。
夏海ちゃんも唄う。
私の横にいたシンガー和田明が、
それに合わせてハモる。ハモる。
歌えるっていいなぁ。

私もギターを担いで行ったので、
ラストは、夏海ちゃん(vo,pf)、
明(cho)、あそうちゃん(b)と
私(gt)で、懐かしい "Contry Road" を
やりました。





2019.9.15

ロケットマン
ROCKETMAN


最近は、ホントにミュージシャンを描いた映画が
増えたような気がするけど、気のせいかね。
以前もあっただろうけど、この数年、
特に増えたような気がするな。
さて、今日はそんな映画の一本、
「ボヘミアン・ラプソディ」の大ヒットも新しいが、
またもやイギリスのアーティスト、
エルトン・ジョンの半生を描いた映画を観てきた。

私は特にエルトン・ジョンのファンというわけではなく、
彼の曲も数えるほどしか知らないけど、
「Your Song」は、何度も演奏したことがあるし、
好きな曲の1曲だ。
熱烈なファンでなくても成功したミュージシャンの
半生を描いたと言われれば興味がある。

地味でシャイな少年、レジナルド・ドワイトが、
どうやって、エルトン・ジョンになっていったのか。
エルトン・ジョンという名前は、
どうやって生まれたのか。
そして、そのエルトンの苦悩が描かれている。

レジナルドは、両親が不仲で、
父親にハグをされたことさえない、
愛に飢えた環境で育った。
言い古されたことではあるが、
どんなにお金を得ても、名声を得ても
人は幸福にはなれない。
いつも愛されることに渇望している。
それが、芸術を生み出す一つの
原動力でもあるのだけど。

レノン&マッカートニーのように、
キャロル・キングとジェリー・ゴフィンのように
エルトンには、バーニー・トーピンという
相棒(作詞家)の存在があった。
結局、バーニーが一番の親友で、
エルトンの理解者だったんではないかと思った。
いまだにコンビを組んでいて、
50年間一度もけんかをしたことがないと、
エンドロールに出るけれど、劇中、
「どう見たってそれけんかでしょ」
というシーンがあったよ。

「ボヘミアン・ラプソディ」が、
レコーディングシーンや、
曲の誕生秘話のようなシーンが多く、
楽しめたのに対して、本作では、
そういうシーンは、ほとんどない。
唯一「Your Song」が生まれるシーンが
あるくらいだ。

両親との関係、バーニーとの関係、
ジョン(マネージャー)との恋愛と
その苦悩など、ヒューマンドラマとして、
見所はあるが、エルトン・ジョン自身が
本作の製作総指揮にあたっているところを
思うと、どうも壮大な「俺なんか」を
見せられた気がしないでもない。

「俺なんか」というのは、
誰かの、こんなひどい目に遭ったよという話を
聴いた別の人が「それやったら、
俺なんかなぁ〜」と、自分の方が
もっとひどい目にあった、
こんなに苦しかった、と自慢するかのように
語ることを言う。
いや、たぶん世間では言わないけど、
私が若いころ、仲間内で誰かが
そんなことを言い出した時に
「始まったで。俺なんかコーナー」と
冷やかしたものだ。

エルトンが、不遇な家庭環境に育ち、
同性愛者であったことでも苦労したのは、
よくわかったけど、どうも
延々「俺なんかなぁ〜」を見せられたように
思う私は、屈折しているだろうか。
これが、エルトンの死後、作られた映画だったら、
印象も変わったかも知れない。

素晴らしいのは、エルトンを演じた
タロン・エジャトン(Egerton:日本では
エガートンと表記されているが、
エジャトンと発音するようだ)。
劇中、吹替えなしで歌っているのだ。
ミュージカル仕立てなので、
他の俳優たちも歌うけど、皆さん上手い。

先月、プロモーションで来日した
デクスター・フレッチャー監督と
タロン・エジャトンが、朝のテレビ番組
「スッキリ」に生出演していたのを偶然観た。
その時、春菜が「エルトンじゃねーよ!」って
言っていたのを、映画の途中で思い出し、
しばらくエルトン(タロン)が春菜に
見えて困ったよ。

映画の中では、エルトン・ジョンという名は、
バンド仲間だったエルトン・ディーンと
ジョン・レノンから取って付けたように
描かれているけど、
Wikipedia には、エルトン・ディーンと
「ロング・ジョン・ボルドリーの2人の
名前から取った」と書かれている。
どっちが本当なんだろう。
(ロング・ジョン・ボルドリーは、
イギリスの60年代のブルース・マン。
エルトンはデビュー前、バックバンドにいた。)

彼は、アル中でヤク中でもあったけど
エンドロールで「禁酒して28年」と
テロップが流れる。
薬物のことには、触れていなかったのが
気になった。


★★★▲☆







プライベート・ウォー
A PRIVATE WAR


本作のことを知るまで
メリー・コルヴィンのことは、知らなかった。
メリー・コルヴィンは、戦地を
取材する戦場記者。
そのメリーを描いた映画『プライベート・ウォー』。
メリーを演じるのは、ロザムンド・パイクだ。

イギリスの The Sunday Times の
特派員としてスリランカの内戦を
取材していた 2001年、メリーは
負傷し左目を失明する。
その後、PTSD に苦しみながらも、
イラク、アフガニスタン、リビア、シリア
など戦場の取材を重ねていくのだが、
その姿は、私には異常にしか映らない。

『ハート・ロッカー』や『アメリカン・
スナイパー』で、戦場中毒のような
症状が描かれていたような
覚えがあるが、メリーの場合も
危険であればあるほど、そこに行って
現実を報道しなければならないという
使命感に駆られているかのように見えた。

と同時に、多くの民間人が巻き込まれ、
何年間にも渡り、何十万人も人々が
犠牲になり続けている、その戦いは
一体誰が、何のために、どこに向かうために
続けているのだろうと、改めて
その無意味さと人類の愚かさを思った。

2012年、メリーはシリアのホムスで
BBCやCNNなどに生放送出演し、
その数時間後に死亡する。
享年56歳。

映画には描かれていないが、今年1月、
シリア政府がメリー暗殺の罪を認め、
彼女の家族に約3億ドルの損害賠償が
支払われることになったらしい。
暗殺・・・、
これまた凄い話や。

黒い眼帯姿が、カッコイイと
思ってしまうのは不謹慎か。


★★★★☆








2019.9.16

記憶にございません!

三谷幸喜監督作品といえば、
私は『ザ・マジックアワー』が今までで
一番面白く、次いで『清須会議』、
『ステキな金縛り』が、まあまあ面白かった
覚えがあるのだが、前作『ギャラクシー街道』
(2015年)は、ホントにくだらなくて
面白くなかった覚えがある。

最新作『記憶にございません!』は、
中井貴一演じる総理大臣が
記憶喪失になるという喜劇で、
予告編を観た時から面白そうだと
期待していたが、本作で
『ギャラクシー街道』の汚名は返上できただろう。
そう思えるほど、面白くて楽しめた。かなり。

毎度、出演陣は豪華で、中井貴一のほか、
ディーン・フジオカ、石田ゆり子、草刈正雄、
佐藤浩市、小池栄子、斉藤由貴、寺島進、
木村佳乃、吉田羊、田中圭らが脇を固める。
総理大臣の義理の兄役の人が
ガットギターを弾くシーンがあって、
この人かなり弾けるぞ、と思っていたら
ROLLYだった。
全然気づけなかった。

ただ、面白いだけでなく、
「人は生まれ変われるんだ」
「違う自分になれるんだ」という
真面目なメッセージも感じたよ。


★★★★▲







台風家族


今年6月に公開予定でだった映画『台風家族』。
新井浩文が2月に逮捕・起訴されたため、
6月の公開は延期となった。
公開を望む声と、関係者の熟考の末、
今月、3週間だけの期間限定上映となった。
このあたりのいきさつと公開に向けてのメッセージは、
オフィシャルサイトに書かれているので、
ご興味のある方は、ご一読いただきたい。

台風家族 オフィシャルサイト

映画は当初の予定通りで
新井浩文の登場シーンも再編集なしということだ。
さすがにポスターに彼の写真と名前はないけどね。

さて、本作の感想だが、途中というか
後半のあるシーンまで、凄く良かった。
ストーリーの展開も先が読めず、
中だるみすることもなく、
まあ演出に好き嫌いは、多少あるし、
突っ込み所もあるけど、それでも
"それが出てくるシーン" までは良かった。
ネタバレになるので書かないけど、
そのシーンで一気に冷めてしまった。
それから先は、笑えない面白くもない
コントのようだった。
なんで、あんなことにしてしまったかね。
ネットのレビューを読むとやはり同様の
感想を持っている人がいるので
そう感じたのは私だけじゃなさそうだ。

コメディなら、最初からコメディらしく
やれば違ったのに、変にシリアスだから
コメディにもなりきれず、
惜しいというか、残念。

このちょっとした不満は、
市井昌秀監督の『箱入り息子の恋』でも
感じたので、何かが共通しているのかな。

主演の草なぎ剛の演技を絶賛しているレビューが
いくつか見られたけど、特に良いと思えないな。
『凪待ち』の香取慎吾には全然及ばない。

その他の出演は、新井浩文、MEGUMI、
中村倫也、藤竜也、榊原るみ、尾野真千子、
若葉竜也など。

新井浩文はねぇ。
気にせずに観れると思ったけど、
ダメだったね。
彼が登場して、しばらくは、
顔が映るたびに事件のことが頭に浮かんで、
映画に入り込めなかった。
それにしても、こんな役までもらえる
ようになったというのに、
ホントに馬鹿なことをしてしもたもんや。


★★★☆☆







ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
ONCE UPON A TIME IN HOLLYWOOD


IMAX で鑑賞。
レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピット、
そして監督は、クエンティン・タランティーノ。

不思議なことにクエンティン・タランティーノの
作品を私は1本も観ていない。
『パルプ・フィクション』はもしかしたら、
ビデオを借りて観たような気もするけど、
記憶が曖昧で観ていいないような気もする。

舞台は、1969年のロサンゼルス、ハリウッド。
ディカプリオが演じるのは、ちょっと人気の
落ちてきたドラマ俳優、リック・ダルトン。
そのリックの友人でもあり、
スタント・マン兼身の回りの世話をする
クリフ・ブースにブラッド・ピット。
役柄もあるかも知れないけど、
ディカプリオは、ちょっと中年のおっさんに
なってきたけど、ブラピはホンマにカッコええ。
こういう人をスターっていうねんなと思う。

ハリウッドを描いているということで、
スティーブ・マックイーン(似てる!)や
ブルース・リー、シャロン・テートが登場します。
ほかにも実在の人がいるんだろう。

2人の主演のほか、
マーゴット・ロビー(シャロン・テート役)
アル・パチーノ、ダコタ・ファニングらが出演。

詳しいこの時代の背景と映画界のことを
知らないと本当の意味で本作を
理解することは、難しいのだろう。
でも、160分の長い映画にもかかわらず、
一度も中だるみすることなく、
集中して観られた。
後半は、ちょっとバイオレンス爆発で
痛いけど。

60〜70年代のポップな音楽、
ファッション、デザインが好きな人は、
それだけでも楽しめると思う。


★★★★☆





追記。
映画のネタバレ含む。

ディカプリオ演じるリック・ダルトンの
隣の家に ロマン・ポランスキー監督と
シャロン・テート夫妻が引っ越してくる。
最後の最後まで、リックと隣人夫妻は、
接点がなく、ラストシーンで初めて
リックとシャロンは挨拶する。
でも、映画では前半から、夫妻が
登場するので、どういう関連が
あるんだろうと思っていた。

エントリーを全部書いた後で、
色々ググっていると、分かったことがある。

1969年8月9日、シャロンは自宅で
友人らと自宅でパーティ中に
チャールズ・マンソン率いるカルト教団に
襲われ惨殺された。
シャロンは、妊娠8カ月だった。

映画では、牧場に暮らす「ファミリー」と
呼ばれる数十人からなる集団が登場する。
その指導者が、チャールズと呼ばれているが、
映画の中には登場しない。

そのファミリーの3人が、チャールズの指示で
ポランスキー監督夫妻の家を
襲うつもりでやってくるのだが、
映画では、リック・ダルトンに出会い、
リックの家に押し入るという展開だった。

つまり、ポランスキー監督夫妻の家は
襲われず、シャロンも無事なのだ。
映画の中では、シャロンを救い、
リックとクリフにカルト教団を退治
(しかもかなり強烈な)させたのだな。
ちょっと理解が深まった。





2019.9.17

ゲット・アウト
GET OUT


日本では、2017年に公開された映画
『ゲット・アウト』。
公開当時、興味があったけど、
見損ねていたので先日、ビデオで鑑賞した。

観終えると荒唐無稽なストーリーで
リアリティなんてないし、
重要なシーンで突っ込み所もあるけど、
スリラーというよりは、サスペンスとして
まあまあ楽しめた。

黒人の青年が、白人の彼女の
実家に行って、過剰な歓迎を受ける中、
なんか違和感を感じ始める。
黒人の使用人が2人いるけど
明らかに気持ち悪い。
その辺りは、引き込まれていったけど、
最後は、ちょっとぶっ飛びすぎな
展開でした。

主役のクリスを演じる、
ダニエル・カルーヤがいい。


★★★▲☆








2019.9.19

43年ぶり−4
初体験編


大阪に住んでいた中学1年生の時、
1年間だけ仲が良くて、学校が分離した為、
その後一度も会ったことのなかった
旧友に会ってきた。
人生初の体験だ。

元はと言えば、ちょうどひと月程前、
彼が私のことを思い出して検索してくれて
このサイトにたどり着き、
メールをくれたのが始まりだった。
ついに今日、彼の東京出張に合わせて、
再会を果たした。
なんと43年6ヶ月ぶり。
同窓会で再会したのとは、ちょっと質が違う。
こんなことは、今までの人生で初めてだ。

会う前は、どうなるんやろと
ちょっと不安もありつつ、
でも会うまでの数回のメールのやり取りで
楽しくないわけがないという
根拠のない自信もあった。

中学1年の互いのわずかな記憶しかないので、
言ってみれば、ほぼほぼ初対面状態なのだが、
あの1年間を共にしたという、共通の認識は
最初から強力な人間関係を提供してくれる。
まずそれが凄いよね。
道ですれ違っていても互いに気づかないほど
変わり果てているのに。

あっという間の4時間半。
お互いの43年分の人生を共有し合うには、
4時間半で足りるわけはなく、
また、会おうと別れた。

57歳まで生きてきたからこその
感動一杯の夜だった。
Thanx a lot.
OKAKI.





2019.9.22

石田長生展 2019
SONGS Of Ishiyan


ギタリスト石田長生、石やんが
あっちに行って早4年。
石やんが書いた曲を色んな人が歌い、
演奏する「石田長生トリビュート・アルバム
『SONGS OF Ishiyan』」が7月に発売された。

21曲入りで、20組のアーティストが
参加している。
この人は、はずせないやろという人から、
私には意外だった人まで豪華。
金子マリの『Mothre’s Song』、
中村耕一の『最後の本音』、
有山じゅんじの『Boat Club Road』、
上田正樹の『Brothers & Sisters』、
Charの『ラジカセ』などなど。
大塚まさじが唄う『カナリア』では、
石やんが若いころにJAZZ Guitar を
習った竹田一彦さんがギターを弾いている。
(私も一時、YAMAHAで習ったことがある。)

今日は、そのアルバムの曲を
ライヴで演るという
「石田長生展 2019
SONGS Of Ishiyan」に行ってきた。

16:30という早い開演。
トップバッターは、キー坊(上田正樹)の
『Brothers & Sisters』。
いきなりグッときます。
メンバーは、清水興(b)、
ロジャー高橋(dr)、堺敦生(key)、
Yoshie.N(cho)。

それから、一杯出てきて、
結局アルバム参加のの20組のうち、
大塚まさじ、仲井戸麗市、甲本ヒロト、
三代目魚武濱田成夫の4人を除く、
16人が出演。
あ、アルバムでは山岸さんと渡辺香津美
名義やけど、今日は山岸さんと有山さん。

ハウスバンド的な役割で、
ベースの清水興さんとドラムのロジャー高橋が
多くのセットで出演したのだが、
このリズム隊が良い。
Charさんとの相性も悪くなく、
『ラジカセ』の時には、今後もこのトリオでも
いいんじゃないかと思ったほどだった。

アンコールは、キー坊を除く全員で
『ハピネス』と『ウェイト』。
そういえば、石やんの還暦ライヴの時も
アンコール時にキー坊はいなかったなぁ。
なんか、ああいう全員で出るのとか
嫌いなのかな。
次の仕事の都合かな。

終わってみると、3時間!
休憩はなかったけど、1曲ごとに
ステージのセッティングと出演者の
入替えがあるので、その度に、
流れが断ち切れる感じでちょっと
そこは不満だったけど、仕方がない。
内容は、石やんへの想いに溢れるもので
石やんもきっと喜んでいるだろうと思う。


大阪では、なにわブルースフェスティバルを兼ねて
9月14-15日の2日間で行われたようで
今日は出なかった、大塚まさじ、竹田一彦
仲井戸麗市、ウルフルケイスケなども
出演していたようだ。


<出演>
Char/上田正樹/木村充揮/金子マリ/
有山じゅんじ/山岸潤史/桑名晴子/
三宅伸治/リクオ/押尾コータロー/Leyona/
ヨモギ(はせがわかおり&本夛マキ)/
清水興/MAC清水/ロジャー高橋/大西ユカリ/
松永希/中村耕一/山崎まさよし/近藤達郎/
堺敦生/Yoshie.N

@ 恵比寿 ザ・ガーデンホール








2019.9.23

BLUE GIANT NIGHTS 2019
ブルージャイアント・ナイツ 2019


小学館の「ビッグコミック」に連載されていた
漫画『BLUE GIANT』。
サックスで世界一を目指す青年の物語だ。
現在は、その続編『BLUE GIANT
SUPREME』が掲載中らしい。
昨年、その『BLUE GIANT』の第一巻を
友人に借りて読んだ。
面白くなかったわけではないが、
続きを買って読もうと思うほどではなかった。
第一巻しか読んでいないので、
何とも言えないが、
ある程度ストーリーが進んだ方が
続きを読みたくなったかも知れない。

さて、その『BLUE GIANT』による
スペシャルイベント "BLUE GIANT NIGHTS 2019"。
昨年から始まったようだが、今年は
主人公の故郷、仙台でも開催され、
Blue Note Tokyo では3日間6公演となった。
会場になった Blue Note Tokyo は、
漫画の中に登場するライヴハウス
「So Blue」のモデルになっているそうだ。

今日は、その最終日、2ndショーを観てきた。
漫画を読んでいない私が、行こう思ったのは、
出演者に 上原ひろみ の名前があったからだ。

まずは、オーディションを勝ち抜いた
カルテットの演奏。
4人とも10代で、ドラムの片山は、15歳と
紹介されていた。(中3か高1!)
この4人が素晴らしかった。
音だけ聴いたら、とても10代とは思えない演奏。
技術的にも素晴らしいし、
フレッシュで勢いがあり、
100%入魂の演奏だ。
特にサックスの佐々木、ドラムの片山が
エモーショナルで 素晴らしかった。
これから、プロとして頭角を現してくるんだろうな。
ウェイン・ショーターの曲を2曲演奏。
(タイトル失念。)

続いて、ブルーノート・レコード・スペシャル・バンド。
Pf&Key、A.Sax、Gt、Dr というベースレス
カルテット。
Pf&Key の ジェイムズ・フランシーズ が、
左手でベースを弾くのだが、
低音の不足は全く感じない。
曲によっては、エレベの音を出すので、
目を閉じているとエレベがいるかのようだった。
音楽は、新しい今風のジャズというのかな。
ギターのチャールズ・アルトゥラの楽器は、
Westville(日本製)。

2組の出演で、開演から1時間20分ぐらい経過。
いよいよ、上原ひろみ×エドマール・カスタネーダ の登場。
エドマール・カスタネーダは、先月21日、
ヤマンドゥ・コスタとのデュオを観たばかりだが、
ひろみとのデュオは、一昨年の12月以来だ。
曲は、The Elements "AIR"、"EARTH"、
"WATER"、"FERE" の4曲。
4曲で50分ぐらいかな。
素晴らしかった。
エドマールは、先月より良いと思った。

アンコールは、出演者全員がステージに上がった。
皆がセッティングしている間、ピアニスト3人が
1台のピアノで演奏。
そして、全員で "Spain"。

あの、若者4人はとんでもない機会を得たね。




[ MEMBERS ]
【HIROMI × EDMAR CASTANEDA】
Hiromi (p)
Edmar Castaneda (harp)

【BLUE NOTE RECORDS SPECIAL BAND】
James Francies (p,key)
Casey Benjamin (sax)
Charles Altura (g)
Jeremy Dutton (ds)

【Ascension (Audition Winner)】
佐々木諒太(サックス)
菊池冬真(ピアノ)
山本修也(ベース)
片山晴翔(ドラムス)

@ Blue Note Tokyo
2nd show








2019.9.24

PEACE!

最高!




記 事





2019.9.26

筆算に定規?

算数の筆算に定規を使うことが問題になっている。
小学5年生の男児が、夏休みの宿題の筆算の
横棒に定規を使っていなかった(手書きで線を引いた)
ために160問の書き直しを担任教師に命じられたらしい。

私は、筆算に定規を使うよう指導された
覚えがないので、大変驚いた。
別の子供(小5)は、テストで計算が合っているにも
関わらず、筆算の横棒を手書きで書いたために、
横棒1本につき1点、合計11点が
減点され、90点だった試験が、79点になっていた。
繰り返すが、計算の答えは合っているのに
減点されたのだ。

なぜ、筆算に定規を使わせるのか。
いくつか理由があるようだ。

まず、手書きだと雑になり、桁を間違うことがあるので
丁寧に書くことで、計算ミスを防ぐためらしい。

また、面倒くさいことをさせることで、
忍耐力を養うためでもあるらしい。
そして、面倒くさがらずやる子の方が、
学力が伸びるらしい。

そういう背景があるのは分かったが、
疑問を持った子供は、納得してないし、
疑問を持った保護者に
「学校の決まりだから」と答えた教師もいるという。
アホちゃうか、と思う。

もうひとつ理由があるらしい。
定規で線を引く練習だというのだ。

百歩譲って、それらの効果を全部認めたとしよう。

で、筆算で桁を間違えるようなミスをしない、
練習しなくても、定規できれいに線を引ける
子供には、なんの目的があって、
わざわざ時間がかかる非効率なことを
やらせるのだろうか。

まさか「みんなと同じことするため」とか
言うのちゃうやろな。

忍耐力を身に着けるためなら、
算数でやらなくても良いだろう。
算数は、忍耐力を養う教科ではないはずだ。
難しい問題にあきらめず取り組むことで、
忍耐力が養われるのは分かるけど。

もしかして、
世の中は、理不尽で不条理だと教え込むためか。
なるほど、それなら分かる。

そして、教師たちは、子供に向かって、
「キミたちが納得できる答えは持っていないよ」と、
言うのだな。

なんだか今日は、かなり嫌味です。

そもそも、定規を使わないからと言って、
計算が出来ているのに算数の試験の
減点をすることが、教育なのだろうか。

問題を見た瞬間、筆算しなくても
暗算で答えの分かる子供も、
「定規で線を引いていない」という理由で
減点するのだろうか。

筆算に定規、私はナンセンスだと思うのだが、
皆さんはどう思うだろうか。

* * * * *

今月、妻が仕事で推進している、
「SQ教育を学校に導入する」ための
NPO法人が設立された。

「SQ教育」というのは、簡単に言うと
定規を使う理由を訊かれたとき、
「学校の決まりだから」などと答える
アホな教師を創り出さないための教育だ。

もし、筆算に定規を使うとしたなら、
子供たちが自ら使うようになるような教育だ。

定規を使わなかった試験の点数を
減点することを、児童も含めて、
話し合い、決定するような教育だ。

哲学対話で成績が伸びたという
東京都立大山高校の
記事を読んだことがあるが、
定規を使わせるより、
筆算に定規が必要かどうかを、
子供と教師が議論する方が、
よほど学力が伸びるような気がするがどうだろう。
そして、定規を使うとしても、
十分議論した後でもよいだろう。


[ 関連記事 ]
筆算の線、手書きダメ? 小5、160問「書き直し」
割り算の筆算は定規使わないと減点!?





2019.9.27

JAZZ LIFE の記事 と(笑)

今年6月にブルーノート東京で行われた、
ビル・フリゼールのスペシャル・ギター・
クリニックに参加した。
ブルーノート東京の公演を予約した人が、
無料で参加できるクリニックで、
幸運にも抽選に当選したのだった。

その日のことは、ここに詳しく書いた。

2019.6.10 BILL FRISELL Special Guitar Clinic

雑誌 JAZZ LIFE の8月号にそのクリニックの
記事が掲載されていたのだけど、
なぜか見落としていて、先日、何気なく
パラパラ見ていて発見した。

その記事には、私の質問が
「聴講者Q3」として、取り上げられていた。
以下、その部分の抜粋。


聴講者Q3:
2年前に来日されたときもそうでしたが、
今回もアンプの前にたくさんの
ぬいぐるみが置かれてありますよね。
あれはビルさんの音楽に関係しているのではと
勝手に思い込んでいるのですが(笑)。

フリーゼル:
その通り、ベリー・インポータント(笑)。
ジョーイ・バロン (ds) が、以前になぜだか
僕のことをムース(moose=ヘラジカ)という
あだ名を付けて呼んでいたんだ。
で、それを知っていた、今回も一緒に
同行しているサウンド・エンジニアも
やってくれている女性マネージャーが、
あるときアラスカの空港でムースの
ぬいぐるみを見つけてプレゼントしてくれて、
何気なくアンプの前に置き始めたんだけど、
もし置かなかったらアンプが壊れたり、
演奏中に弦が切れたり、良からぬことが
起きたりしそうで、それが習慣になってしまった。
そして、それを見た人がプレゼントして
くれるようになってどんどん増えていったんだ(笑)。
今はもう間に合っているからプレゼントは
お断りさせていただいている(笑)。



別に大したことではないのだけど、
自分が喋ったことがこんな風に
記事なるのは、うれしいもんだ。

面白いな、と思ったのは私の質問の終わりが
「勝手に思い込んでいるのですが(笑)」と
なっている。
はっきり覚えているが、私は超真面目に
質問したので、(笑)とあるように
笑って訊いてなどいない。
私の質問に周りの人たちが笑ったのは
覚えているけど。

ちなみに、私は文章に、(笑)という表現を
あまり使わない。
深刻ではないですよ、冗談ですよ、というために
使ったことがあったかもしれないけど、
基本的に使わない。
このひとりごとにも出てこないでしょ(たぶん)。
それは、(笑)を使うことで、安易な表現に
なることを避け、なるべく文章で伝える工夫を
しているからでもある。
(ずい分慣れて何も思わなくなったけど、
この(笑)が、出現し始めたころは、
「何がおもろいねん」と心の中で
突っ込んでいたものだ。)

しかし、このようなイベントの記事の場合、
現場にいれば、またはビデオであれば、
喋っている人の表情や口調で
言葉以外の情報をキャッチできるが、
文字にした場合、言葉以外に
受け取れるものがない。
脚本の演出にト書きが必要なように
なんらかの補足が必要になるのは当然ともいえる。

私のビルへの質問で言えば、
(笑)がある方が、現場の和やかな
雰囲気が伝わるし、(笑)がないと、
ぬいぐるみと音楽の関係を変に生真面目に
質問している感がして、実際の雰囲気とは
やや違和感があることも否めない。
私は笑っていなかったけど、
周りの人たちは笑っていたわけだし、
ビルも笑顔交じりで答えていたわけだからね。

なるほど、ライターや編集者は、
言葉以外の雰囲気も伝える工夫を
しているわけだな。

話をビルのクリニックに戻すと、
私が失念していた人名などが
この記事には書かれていたので、
そのこともありがたかった。(笑)





2019.9.28

ある船頭の話

オダギリジョー長編初監督作品
『ある船頭の話』を観てきた。
主演は、柄本明。

「柄本明が出ているだけで
その映画の質が上がる」という
レビューを読んだが、
確かにそうかもしれない。
時代劇で侍役の柄本明の
切腹シーンが凄まじくて、
何の映画だったか覚えていないのに、
それだけ覚えているもんね。
(調べてみたら、蒼井優、岡田将生
主演の『雷桜』だった。)

さて本作、始まってすぐに
映像の美しさに魅了された。
ほとんどのシーンが美しい。
景色だけではなく、
人が映っていても美しい。
こんな映画はあんまりない。

これは、誰が撮影したのかと
終わってからチェックしてみたら、
クリストファー・ドイルという
超有名な撮影監督だった。

構図が素晴らしく、
この映画のシーンを集めて
写真集が出来ると思ったほど。
絵になる。
撮影は、新潟県で行われたようだが、
日本人でない人が撮ったので、
あんな風に撮れたのだろうか。

柄本明は、もちろん素晴らしい。
そして、川島鈴遥(りりか)。
始めて観たが、これまた
素晴らしい女優さんだ。
2002年生まれとあるから、
撮影時には、16歳ぐらいか。
本作がデビュー作ではないが、
100人以上の中からオーディションで
選ばれたというのも納得。

それから、伊原剛志、浅野忠信、
笹野高史、細野晴臣、永瀬正敏、
蒼井優、草笛光子、橋爪功など
豪華な脇役が次々出てくる。
しかし、派手な感じはしないのがいい。

監督だけではなく、脚本もオダギリ。
10年も前に書いたということだから、
ずっと温めてきたんだろうな。
オダギリは、ほかの役者さんと
一味違うと思っていたけど、
今後、監督としても期待できると思う。

山間の村の渡し船の船頭の物語で、
時代は、明治の終わりか大正ぐらいか。
橋の工事中で、橋が完成すると、
船頭は職を失うことになる。
新しい便利なものが出来ると、
古い役に立たないものは捨てられていく。

ちょっとファンタジーも交えた、
哀しく美しい話だ。

音楽も良かった。
ティグラン・ハマシアンという
アルメニアのジャズピアニストが担当。

ちょっと残念だったのは、村上虹郎
(UAの息子らしい)が、出番も多く、
重要な役なのだが、柄本明や
川島鈴遥に比べて、どうも良さが
分からなかったこと。
それと、橋が完成した後のある冬の日、
橋を渡る人の数が、ちょっと山間の村にしては、
多すぎるんちゃうかと不自然に感じだことね。

でもこれは、しばらくしたら、
もう一度観たい。


★★★★▲







ラスト・ムービースター
THE LAST MOVIE STAR

時間つなぎのために観た映画
『ラスト・ムービースター』。
予備知識なく、期待もなかったが、
これが良かった。

主演のバート・レイノルズが演じるのは、
ヴィック・エドワーズという
落ち目になった昔の映画スター。
映画が始まって、「あれ、この人
ヴィック・エドワーズっていう
名前やったっけ?」と一瞬、
変な錯覚に陥ってしまった。

ヴィックの所にある国際映画祭から
招待状が届くのだが、クリント・
イーストウッドやロバート・デニーロ、
ジャック・ニコルソンも受賞したと聞いて
LA からナッシュビルに出向く。
が、映画オタクのマイナーな
自主上映会のような映画祭だった。
怒ったヴィックは、LA に帰ろうとするが、
ある所に行くことを思いつく。

老いぼれジジイの人生リセットというと
安っぽく聞こえるが、私には響いたね。
良い映画だと思う。

バート・レイノルズを劇中の
ヴィック・エドワーズと勘違いしたと
書いたけど、イーストウッドやデニーロ、
ニコルソンが演じていたなら、
そんな混乱はなかっただろう。
つまり、ある意味、彼らに比べて
バート・レイノルズの立ち位置は、
ヴィック・エドワーズ的だったとも言える。

先日、観た『ONCE UPON A TIME IN
HOLLYWOOD』で、ディカプリオが
演じていたリック・ダルトンのモデルが、
レイノルズだったと読んで、
なるほどと思ってしまった。
そして、レイノルズは『ONCE 〜』に、
出演の予定もあったらしい。
知らなかったが、本作出演後、
昨年9月6日に亡くなっていた。

映画では、老いぼれてもうダメに
なりそうだった、ヴィックが、
映画祭をきっかけに、
新しく生きようと変わるのに。
でも、これが最後の作品だというのは、
俳優としては、最高にカッコいい。
享年82歳。合掌。


★★★★★







ジョアン・ジルベルトを探して
WHERE ARE YOU, JOAO GILBERTO?


ジョアン・ジルベルトに会おうとする、
ドキュメンタリー映画。
ジョアン・ジルベルトは、
アントニオ・カルロス・ジョビンらとともに
ボサノヴァの生んだ一人といわれる、
ブラジルの伝説的ミュージシャン。

映画の中では、ジョアンが80年代から
姿を消したというような言い方を
されているけど、そんなことはないし、
どこに住んでいるのか
生きているのかも分からないという
ちょっとミステリー仕立てに
なっているのだけど、元奥さんや、
マネージャーは、本人と連絡を
取っているのが分かっているので、
単に取材を断られているだけの
ように見えて、ちょっとなんだかなぁと
いう感も否めない。
ラストシーンも非常に微妙。

でも、ドキュメンタリーならではの、
面白い部分もあった。
例えば、元奥さんのミウシャ(シンガー)が、
「ジョアンは人たらし」だという場面がある。
自分もそれで結婚したと。
それから、『サマー・サンバ』の作曲者である
マルコス・ヴァーリが登場するのだが、
彼の語るジョアンのエピソードが、
まさにジョアンの人たらし具合を
語っていて、面白かった。
(マルコスはジョアンと一度、電話で
話しただけで、会ったことがない。)

ミウシャは、2018年12月27日死去。
そして、ジョアンは、今年7月6日に死去。
合掌。


★★★☆☆





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2019.9.29





写真は、「亜利江汰」と書かれた書。
来年、京都にオープンするの予定の
ホテルの名前が、「ARIETTA」。
ホテルの社長が漢字を考え、
N さんが書を書いた。
オープン後のホテルに飾られる予定だが、
今は会社の会議室に飾ってある。

先日、この書を書いた N さんと
話す機会があった。
N さんとは、以前から面識があったが、
今までは要件会話程度で、
ゆっくり話したことはなかった。

70代前半だと思うが、今も仕事をされており、
書は趣味で書かれている。
見た目はとってもダンディでカッコ良い人だ。

6年ほど前に身体を痛めて、
ゴルフに行けなかったとき、
奥さんに「何かしたら?」と言われ、
思いついたのが書道だったという。
寺原聖山という書道家の字が好きだったのが、
きっかけらしい。

習い始めて6年というから60代半ばで
始められたわけだ。
六十の手習いというわけだが、
筆を持つのは、小学校以来だったという。

6年でこんな字が書けるようになるものかと
思ったのだが、話を聞いて一番驚いたのは、
これを書くのに折り目をつけたり、
鉛筆で線を引いて、目安を付けたり
していないということ。

私も、意外と器用である程度の大きさなら、
線を引かずにバランスよく書く自信があるが、
これは紙の部分が横幅 140cm もあるのだ。
それを線も引かず、折り目も付けず、
いきなり書いて、このバランス。
しかも、この1枚しか書いていないという。
何度も書くと、「上手く書こう」とし出すので
ダメなのだという。
音楽でいえば、1st テイクで決める、ということだ。
やり直しは、しない。
そして、もちろん途中で躊躇したりしては、いけない。
思い切りよく、大胆に書く必要があるだろう。

元々の才能があったのだろうとは思うが、
聞くと毎日3時か4時に起きて、
練習しているという。
練習はたくさん書くけど、
本番は1枚、と決めているんだという。

言うことがいちいちカッコ良くて、
ギターを弾いたり、写真を撮ったりしていることと
共通しているので、全部、腑に落ちることばかり。

すっかり、話が盛り上がり、というか、
次から次へと質問が出てきて、
40分ほどお話を聴かせて頂いた。

そうか、書道もいいなぁと思ったけど、
これ以上、やることを増やしたら、
ますます中途半端になるので、
手を出すのは、やめておこうと思う。
(今のところ。)


(2019.10.16 追記)
N さんとお話しした時の
不思議な偶然を思い出した。
N さんが、宮崎県出身だと分かって、
「宮崎のどちらですか?」と訊いてみた。
私の母が宮崎県児湯郡(こゆぐん)
出身で、私が子供の頃は、まだ祖父母が
住んでいたので、夏休みに何度か
連れて行ってもらったことがあったからだ。
N さんの故郷は高鍋町。
聞き覚えのある町の名だと思ったら、
なんと 児湯郡 だった。
親戚以外、児湯郡出身者に出会ったのは、
人生で、初でした。



ひとりごと