2019年 3月
感想・ご意見は→ shinya◇shin223.com
メールをくださる方は、上記アドレスの◇を@に変えて送ってください。(スパムメール対策)
2019.3.2
CP+
CAMERA & PHOTO IMAGING SHOW 2019
「CP+」というのは、数年前から
パシフィコ横浜で開催されている、
カメラと写真の総合イベント。
製品展示やセミナーやイベント、
中古カメラの販売など、おそらく
日本最大のカメラ・写真イベントだろう。
事前登録さえすれば、入場は無料なので、
2,3年前から毎年登録しては、
予定が入って行けなくなったり、
当日なんとなく行く気にならなくて
やめたりしていたが、今年は行ってきた。
各社、撮影コーナーを作り、
撮影体験を出来るのだが、
人気のメーカーは、かなり列が出来ており
中には30分待ちというものもあった。
やはり、SONY、Nikon、Canon の
ブースが人が多かったね。
量販店でも実際にカメラに触れるし
撮影もできるけど、このイベントでは
撮影のための被写体色々が用意されていたり、
モデルを撮影出来たりする。
また、各ブースにいるかわいいコンパニオンにも
カメラを向けることが出来る。
Nikon の撮影コーナー
SONY のブースでは、なんと矢野沙織(sax)が、
ギターとデュオをしていたよ。
もちろん撮影 OK。
曲は、"Isn't She Lovely?" でした。
私は展示会場にしか行かなかったけど、
まあ、凄いイベントです。
あちこちのブースで、セミナーを
やっていて、私はニコンのブースで、
少し聴いただけだけど、
それらを聴くだけでも
かなり学ぶことがあると感じた。
今日は2時間ほどしかいなかったけど
来年は、朝から行ってもいいな。
ウェブサイトに登録来場者数が発表されていた。
2月28日(木)13,055人
3月1日(金)17,961人
3月2日(土)23,730人
凄い人出やな。
開催は明日まで。
明日は、予定があって行けないけど、
2日、3日と通う人もいるようだ。
アヴィシャイ・コーエン・トリオ
AVISHAI COHEN TRIO
いやぁ〜良かった〜。
予想を超えて良かった。
一度は観たいと思っていた、
イスラエル出身のベーシスト、
アヴィシャイ・コーエンのライヴ。
アヴィシャイが良かったというより、
トリオ3人が良かった。
つまり、音楽が素晴らしかった。
ブルーノートの紹介文には、
「雄大な音楽性、比類のない創造力を誇る
アヴィシャイ・ミュージック」と
書かれていたけど、
美しく、躍動的で、新しい。
土曜日ということもあるのかもしれないけど、
4日間8公演あるのに
結構お客さんが入っていた。
人気の高さも納得。
女性が見るとどうなのか分からないけど、
プレイするアヴィシャイはとてもセクシー。
ピアノは、アゼルバイジャン出身の
エルチン・シリノフ。
ベースは、イスラエル・エルサレム出身の
ノーム・ダヴィド。
アンコールで "Besame Mucho" を
演ったのだけど、もう別の曲やね。
思わずスタンディング・オベイション。
ホントに素晴らしいライヴでした。
アヴィシャイ・コーエン。
1970年生まれだから、今年49歳。
ヴォーカルもののアルバム("1970")も
あるし、エレキ・ベースを弾く写真も見た。
かなり、幅広し。
[ MEMBERS ]
Avishai Cohen/アヴィシャイ・コーエン (b,vo)
Elchin Shirinov/エルチン・シリノフ (p)
Noam David/ノーム・ダヴィド (ds)
@ Blue Note Tokyo
2nd show
2019.3.3
LEO GENOVESE & TOM RAINEY
マスタークラス
友人 A ちゃんに誘われて、
ピアニストのレオ・ジェノヴ、
ドラマーのトム・レイニーによる
マスタークラスというのに参加してきた。
レオとトム2人は、須川崇志トリオの
CDリリースツアーで来日中。
須川崇志 さんのことは、
この度に知ったベーシスト。
1982年生まれのようなので、まだ若いね。
席について、ツアーのチラシを見ると
「アヴァンギャルド・ジャズトリオ」という
言葉が目に入った。
アヴァンギャルド(前衛)か、
あまり得意ではないなぁと思いながら、
まずは、1曲演奏が始まった。
う〜む、アヴァンギャルドだ。
フリー・ジャズというのか、
インプロビゼーション(即興)だ。
正直、あんまり好きではない部類の音楽だが、
聴いていると、メチャクチャ演っているようで
妙な統一感もある。
不思議だ。
1曲(15分位演ったかな)終わって、
質疑応答に入った。
参加者は、30人弱くらいかな。
思わず一番に手を上げて訊いた。
「今のは、即興だと思いますが、
何か決めごとがありましたか?」
須川さんが通訳をしてくださり、
ドラマーのトムが答えた。
答えは「ノー」だ。
何も決めずに演奏を始めたようだ。
「では、3人がバラバラなことをやっている
かと思うと、一つにまとまったりするのは、
どういうわけですか?」
トム「私たちは音楽で会話(conversation)しています。
言葉で話すのと同じです。
会話が終わると曲が終わります。」
ああ、理解できそうでできない世界。
しかし、他の人のいくつかの質問のトムの答えは、
明快で痛快だった。(一部私の意訳あり。)
Q.「即興と既にある曲を演奏する時、
心構えや何か違うことがありますか?」
トム「同じです。」
Q.「即興のためにどんな練習をすれば良いですか?」
トム「即興は、即興なので練習のしようがありません。
即興のために普段できることは
『今(present)にいる』ことです。
そして、もし練習といえるものがあるならば
それは、即興することです。
それを演り続けることです
それが練習です。Just Do It.」
ええ答えやなぁ。
全くその通りやろうな。
やってみる以外、やり続ける以外、道はないのだ。
面白かったのは、ピアニストのレオへの質問。
Q.「即興中に音階にない(半音の間のような)音が
欲しくなることはありませんか?
その時はどうしますか?」
レオ「僕の家のピアノは、8〜9年調律してないんだ。
だから、音程はメチャクチャだけど、それで練習をしている。
ピアノは、半音の間の音は出せないけど、
それを楽器のせいにしてはいけない。
それは、キミのマインドの問題だ。」
お〜、これもええ答えや。
すると、彼女(質問者)は、
「どうして、調律しないんですか?」と訊いた。
レオは「Why・・・」と呟いてしばらく考えた後、
「I don't know.
調律師には、調律したくなったら電話するよって
約束してるんだけどね。
思っている音と違う音が出るのが好きなんだ。」
Q.「毎日、ルーティンにしてる練習がありますか?」
レオ「練習? 音楽(Music)さ。
毎朝、マテ茶を飲んで、そして作曲する」
そんな Q&A が、2時間近く続き、
最後にもう1曲演奏があった。
こちらは、須川さんの曲ということで
5拍子のテーマらしきものと
キメらしきものもあったが、
インプロビゼーションに入ると、
拍子も調性もどこかに消え、
アヴァンギャルドの世界へと突入するのであった。
音楽は、あまり得意ではなかったけど、
質疑応答は、とても興味深く、刺激的でした。
英語は、アルゼンチン出身のレオの方が
聞き取れたね。ゆっくりだし。
ネイティヴ(トムは米国人と思われる)の
英語は聴くの難しい。
参加者の中には、英語で質問しだす人も
数名いて、現代の東京の英語度(?)の
高さも感じたのでした。
[ MEMBERS ]
須川崇志 (b)
LEO GENOVESE (pf)
TOM RAINEY (dr)
@ BODY AND SOUL (港区南青山)
開演前
2019.3.5
David T. Walker
featuring Jeff Colella, Byron Miller
and James Gadson
昨年1月以来のデイヴィッド・T・ウォーカーの
ライヴに行ってきた。
昨年の公演では、ドラムの
レオン・ンドゥグ・チャンクラーの
激痩せぶりと今までと違う笑顔の少なさに
不安を感じたが、ライヴを観て
ひと月も経たないうちにチャンクラーは、
逝ってしまった。 享年65歳。
チャンクラーに替わってドラムは、
なんとキング・オブ・グルーブ、
レジェンド、ジェイムス・ギャドソン!
これは、嬉しい組み合わせだ。
昨年は、デイヴィッドのプレイを
まろやかと書いたけど、
今日はまた違う印象を持った。
なんか違う次元へ行ったというのかな。
一音一音への魂の入れ方が強烈だった。
人間世界遺産です。
今年で78歳。
演奏中に左手をギターから放して
握ったり開いたりする仕草を数回観た。
思うように動かないのだろうか。
あと何回来日してくれるか分からないけど、
次回も観に行くよ。
ギターは、昨年同様、ジョン・カラザース。
曲は、1曲目に "Smile" をソロで演ったほか
"I Want You"、"Love's Theme"、
"Lovin' You"、"What's Going On" など。
全曲、デイヴィッドのイントロ付き。
カウントで始まったのは1曲もなし。
アンコールは、"Soul Food Cafe"。
素晴らしかったです。
ジェイムス・ギャドソンは、今年80歳。
ちょっと歩くのも辛そうだったけど、
グルーヴは、サイコ―。
"Love's Theme" プレイ中 何やら
アクシデントがあったようで、
一瞬ドラムが止まった。
どうやら椅子が故障したようで、
叩き辛そうにも見えたけど、
それでも全くリズムは乱れず。
さすが。
[ MEMBERS ]
David T. Walker(g)
Jeff Colella (p,key)
Byron Miller(b)
James Gadson(ds)
@ Billboard LIVE Tokyo
2nd show
アカデミー賞
ちょっとアカデミー賞にも触れておこう。
まず、アメリカ。
作品賞『グリーンブック』も監督賞『ROMA』の
アルフォンソ・キュアロン監督についても
作品をまだ観ていないので何も書けないのだけど、
主演男優賞のラミ・マレックについては、
『ボヘミアン・ラプソディ』を2度観た
観客の一人としては、
「良かった。おめでとう」と言いたいね。
もう、ホンマにフレディやったもんね。
まあ、主演男優賞の他のノミネートのうち、
『アリー スター誕生』の
ブラッドリー・クーパーしか
観ていないから、なんとも
言えない部分もあるんだけど。
主演女優賞はノミネート作品で
観たのは、レディ・ガガだけ。
ガガは良かったけど、作品自体は
私には物足りなかった。
監督賞に至っては、まだ1本も観ていない。
考えてみれば、米国アカデミー賞に
関しては、毎年、受賞後に観る作品が多いんだな。
ただ、劇場公開作品だけではなく、
ネット配信の作品(『ROMA』)が、
賞を獲った(監督賞・他)ということは、
新しい時代の到来を表していると思う。
このアルフォンソ・キュアロン監督、
2013年にも『ゼロ・グラビティ』で
監督賞を獲ってるんやね。
作品賞の『グリーンブック』は、
受賞発表の後、スパイク・リーが
怒っちゃったり、他にも批判があるようやけど、
作品は良さそうなのでぜひ観ようと思う。
外国語映画賞でノミネートされていた
『万引き家族』と長編アニメーション賞で
ノミネートされていた『未来の未来』が、
受賞を逃したのは、日本人としては
残念だけど、仕方ないな。
ノミネートされただけで、素晴らしいんやから。
日本アカデミー賞はというと、
これまた今回は、ノミネート作品の
多くを観ていないので、何とも言いがたいが、
是枝監督の『万引き家族』が、
8部門も受賞したことに対して、
『万引き家族』と張り合えるほどの
優れた作品が少ないんじゃないかと
日本の映画界を憂えてしまうのは、
私だけだろうかね。
まあ、もうちょっとノミネート作品を
観てからコメントした方が
良いんだろうけど。
2019.3.6
ナンシー・ウィルソン
Nancy Wilson
昨日知ったんだけど、
ナンシー・ウィルソンが、
昨年12月13日に亡くなっていた。
ロックバンド「HEART」の
ナンシー・ウィルソンではなく、
ジャズ・シンガーの方のナンシー。
享年81歳。
2011年には、一線から退き、
長く患っていたようだ。
一度だけ、ナンシー・ウィルソンのライヴを
ブルーノート東京で観たことがある。
今から20年ほど前のこと。
J-phone(今のソフトバンク)の抽選で
ナンシーのライヴに当選した。
たぶん、J-phone の貸切だったんじゃないかな。
バレンタイン・デイに合わせたイベントで
ペアで招待だったように記憶している。
ブルーノート東京には、
もう70〜80回は通ったと思うけど、
そのライヴが私のブルーノート初体験だった。
今ほど自由に使えるお金がなかった時代、
初めてのブルーノートで、
ナンシー・ウィルソンなんてと
当選して、とても嬉しかった覚えがある。
その時、もしかしたら歌うかなと
密かに期待していた曲があった。
結局、歌いはしなかったのだけどね。
その曲は、山下達郎の『Your Eyes』。
1983年、彼女はヤマタツの『Your Eyes』を
カバーし、12インチシングル(アナログ・レコードね)を
リリースした。
おそらく、日本だけの限定企画盤だったんやないかと思う。
まだ、日本人の曲を外国人アーティストが
カヴァーするのは珍しかった時代だ。
私は、そのレコードを買った。
今も実家にあるはずだ。
3曲入りで、他の2曲については覚えていない。
調べてみたが、どうやらCD化はされていないようだ。
この機会にCD化されるといいなぁ。
配信だけでもいいから、関係者の皆様お願いします。
このカヴァー・ヴァージョン、
意外と知らない人多いんちゃうかな。
YouTube にあったので、聴いてください。
↓
Nancy Wilson ― Your Eyes
合掌。
2019.3.7
Allen Hinds & L.A. Super Soul
私は、年間 数十回ライヴやコンサートに行くが、
稀にあまりに素晴らし過ぎる演奏を聴いた時、
もう人前で演奏(ギター)するのを
やめようかなと、思うことがある。
別に落ち込んでそう思うのではない。
ギターをやめようとは思わないけど、
その素晴らしい演奏こそが、
人に聴かせる音楽であって、
私の演奏は、人前で演奏するほどの
価値がないように思うのだ。
でも、やめないのだけどね。
一方で、ライヴを聴いて、
凄くギターを弾きたくなる、
「よし!練習するぞ!」と
思わせてくれるライヴもある。
人前で演奏することをやめようかと
思ってしまうライヴと、
ギターを弾きたくなるライヴと、
何が違うのか、その違いは
まだ発見していないけど、
どちらも素晴らしい演奏には違いない。
つまらない演奏を聴いても
そんな風には思わないから。
さて、今日 観てきたライヴは、
ギターが弾きたくなるライヴだった。
もう、聴いているうちから
自分の演奏で試してみたいことや
次回のライヴのアイディアが浮かぶ、
そんなライヴだった。
そのライヴは、
"Allen Hinds & L.A. Super Soul"。
アレン・ハインズは、米国LAのギタリスト。
今までに ナタリー・コール、ロバータ・フラック、
ランディ・クロフォード、パティ・オースティン、
ジェームス・イングラム、ザ・クルセイダーズ、
ボビー・コールドウェル などのライヴや
レコーディングのサポートをしてきた。
実は、アレンのことをよく知らなかった。
この度の来日を知って、ライヴに行きたいな
と思ったのだが、一昨日の Motion Blue
での公演は、David T. Walker(@BBL)と
重なっていた。
調べてみると、汐留の BLUE MOOD という
ハコでもう一日、ライヴがあることを発見。
これは、観ておこうと思い 行ってきた。
なんというか、東京に「the Baked Potato」
(LA の老舗ライヴハウス)が、
やってきたような感じのライヴだった。
アレンが、「毎月、Baked Potato に
出てるんだけど〜」と言ったように聞こえた。
Baked Potato のサイトをチェックしてみると、
ホントに今月も29日に
ライヴがブッキングされている。
しかも今日と同じメンバーだ。
(ちなみに Baked Potato の彼らの
ミュージックチャージは、25ドルやけど。
今日は¥8500 でした。)
アレンのギターは、エスクワイヤータイプ。
どうも Fender には見えなかったので、
ライヴ後ステージの前まで見に行ったけど、
暗くてロゴは読めず。
ちょっとヘッドの形状が微妙に Fender では
ないような気がするんやけど、
アレンのウェブサイトの Gear コーナーには、
1952年の Fender Esquire の写真があるので、
これだったのかもな。
ものその凄くええ音やった。
もう1本、数曲で Xotic の青い
ストラト・タイプを使用。
ギター・プレイは、めちゃくちゃなめらか、
スムーズ、そして、指弾き!
時々、ピックを持っているようにも
見えるので何度も右手を凝視したけど、
ピックは持っていない。
素晴らしい。
私も数年前にピックで弾くことを
やめたけど、あんな風に指で弾けるのを
目の前で見ると、もっと練習しよう!と
思ったのでした。
ほんで、アレンは見た目もカッコいい。
たぶん、年齢は私と大して変わらないと
思うのだが、男前で、禿げてないし、
お腹も出てないねん。
メンバーは全員、強者ぞろいで、
素晴らしい演奏だった。
ドラムのドナルド・バレットの
スリップ・ビートは凄かったな。
ヴォーカルの マキサーン・ルイス は、
とてもパワフル。
見た目のせいか、ロバータ・フラックを
イメージした。
トラヴィスはちょっと太り過ぎやな。
1部は2曲インストの後、2曲歌モノ。
4曲で約50分。
2部もインスト(3曲かな)の後、
歌モノ。
"And I Love Her"(ビートルズ)、
"Satisfuction"(ローリング・ストーンズ)。
アンコールでもう1曲。
楽しかった〜。
[ MEMBERS ]
Allen Hinds (g)
Travis Carlton (b)
Matt Rohde (key)
Donald Burrett (dr)
Maxayn Lewis (guest: vo)
@ BLUE MOOD(東京都中央区築地)
メンバーについては、Motion Blue の紹介文を借りる。
↓
マット・ローデ (key)は、人気音楽番組
「アメリカン・アイドル」の音楽監督を務め、
アレンジャー/演奏家としても
プリンス、アラニス・モリセット、
宇多田ヒカルなどをサポートしてきた凄腕だ。
さらに、父のラリー・カールトンをはじめ、
ロベン・フォード、マイケル・ランドウなど
大御所ギタリスト達のバンドで活躍する
若手 トラヴィス・カールトン (b)、
P!NKやジョージ・ベンソン等のサポートも
務める名手ドナルド・バレット (ds)、
そしてマイケル・ジャクソン、マドンナ、
ダイアナ・ロス、セリーヌ・ディオン等の
レコーディングでその美声を聴かせてきた
マキサーン・ルイス (vo)という、
いずれも米音楽シーンの最前線でトップ・
ミュージシャン達を支えてきた“超級”プレイヤー
2019.3.8
JOAO GILBERTO
ジョアン・ジルベルト
今年で、88歳になるジョアン・ジルベルトは、
アントニオ・カルロス・ジョビンとともに
ボサノヴァの生みの親と言われている巨匠だ。
そのジョアンの、2006年11月8日・9日に
東京国際フォーラム ホール A で行われた公演が、
世界初、唯一の公式ライブ映像として
今日、劇場で公開された。
東京、名古屋、大阪のそれぞれ一つの劇場で、
3/8 (金)〜3/14 (木) 一週間限定、
一日一回だけの上映だ。
このライヴ映像は、Blu-ray で発売
(限定5000セット)されるのだが、
大きなスクリーンで観てみたいので、
明日、観に行こうと思っている。
実は、私はこの2006年11月9日の東京公演を
ナマで観ている。
当時、ジョアン・ジルベルトのことは
良く知らなくて、ファンというわけではなかったが、
大阪時代のバンド仲間の一人が、
わざわざ東京まで観に来るというので、
そんなにスゴイ人なら観ておこうと思ったのだ。
彼は、奇人と言われるような完璧主義者で、
会場に準備されたマイクロフォンが
約束したものと違うと言って激怒して、
帰ろうとしたり、様々な理由で遅刻も多く、
コンサートが時間通りに始まらないのは、
珍しくなかったようだ。
私が観たコンサートでも、
(もう13年前のことであまり覚えていないけど、
覚えているのは)すでにお客さんが皆席につき、
開演時間を過ぎた頃に
「ただ今、ジョアンさんがホテルを出られました」
という場内アナウンスが流れ、
会場がどよめいたこと。
そして、それから10分か20分経ち、
「ただ今、ジョアンさんが会場に到着されました」
というアナウンスが流れると、
会場に拍手が起こったこと。
もう、本当に来てくれるかどうか分からない、
という状況なので、遅れてきたことを
怒る人なんて一人もいない。
歌ってくれるだけで、奇跡!みたいな雰囲気だった。
ちなみにバンドはいません。
ジョアン、一人のギター弾き語りです。
それから、有名なジョアンの「フリーズ」。
2003年の来日公演で、すでに伝説化していた話。
コンサート中にジョアンが動かなくなるのだ。
20分ぐらい。
歌いもせず、話しもせず、ただじっとしている。
その年の大阪公演では、45分動かなかったという話もある。
私が観た日も何分間か、その時間が訪れた。
その間、観客はずっと、拍手(手拍子)をし続けるのだ。
客席から見ていると、
具合が悪いんじゃないか、
寝ているんじゃないか、
瞑想してるんじゃないか、
と 色んな風に見えるのだが、
ジョアンは、その拍手を聴いている、と
当時、何かで読んだ覚えがある。
ブラジルでは、観客がじっと座って
音楽を聴くなんてことはないらしいけど、
日本人は真剣にじっと耳を傾けてくれる。
そのことにジョアンは、感動したらしく、
初来日の時、「こんな観客を探していた」と
言ったという話があるほど。
ジョアンにとっては、日本のオーディエンスが
嬉しかったんだろう。
それが、70代になってからにも関わらず、
2003年、2004年、2006年と続けて
来日した背景にあるのかも知れない。
当時の携帯電話のしょぼいカメラで撮った写真だが、
当日、会場に貼り出されていた案内。
(前略)
2003年の横浜公演と東京の最終公演で
ジョアン本人が感激のあまり20分余にわたって
没我の状態になったことをご存知のお客さまも
多いことと思います。これはひとえにお客さまに
対するジョアンの感激、感謝の気持ちの表明
だったのですが、2004年の公演でも温かい
お客さまからの拍手にステージ上で、一時、
瞑想状態が現出いたしました。
ステージに上がる前に精神を高め、
そのピークで演奏をスタートするジョアンは
そのためもあり、しばしば開演時間が
遅れてしまいます。演奏中の瞑想状態も
いわば客席と一体化がもたらすジョアン
ならではのハプニングといえます。
今回の公演でもお客さまの反応次第では
そのような状態になることが想像されます。
お客さまにおかれましてはそのような状態も
含めコンサートの一部とお考えいただき、
ぜひジョアン・ジルベルトとともに
彼の音楽世界をお楽しみいただきたく思います。
はなはだ奇妙なお願いで恐縮ではございますが
お客さまにはこうした点をご理解の上ご入場
いただきますようお願い申し上げます。
----------------------------------------
こんな「お願い」が貼り出されるコンサートは
ほかにはないだろう。
私は確か2階席で、オペラグラスも
持っておらず、豆粒のようなジョアン
(しかもじっと座っての演奏)しか観ていない。
何年も前に海賊版の DVD (海外のコンサート)を
買ったら、それも2階席から豆粒のような
ジョアンを撮影しているもので、
がっかりした覚えがある。
大画面で観るとまた違うものを感じられんじゃないかと
いう期待もあって、この劇場公開を観ることにした。
感想は、また明日ね。
[ Official Site ]
ジョアン・ジルベルト ライブ・イン・トーキョー
2019.3.10
JOAO GILBERTO LIVE IN TOKYO
ジョアン・ジルベルト ライブ・イン・トーキョー
一昨日、長々と背景を書いたが、
「ジョアン・ジルベルト ライブ・イン・
トーキョー」のライヴ映像を昨日、観てきた。
@ ル・シネマ(渋谷 Bunkamura)。
3日前にチケットを買っていたので、
見やすい席で観られたが、
1日1回の上映の上、土曜日と
いうこともあって売切れだった。
事前にチケット買わずに来て、
入れなかったお客さんいただろうな。
さて、映像のライヴは2006年11月8日、
9日なので、ジョアンが75歳の時のライヴ。
2006年は、東京で4公演あったのだが、
その後半2日間の演奏から編集されたもの。
それ以降は来日していないので、
今のところ、最後の日本公演だ。
ボサノヴァというと、ちょっと爽やかで
軽快な音楽をイメージするが、
ジョアンの歌は、ボソボソと、
淡々と歌う感じで
元気いっぱいという感じではない。
その、ボソボソとした、どちらかといえば
地味な歌声が何とも言えず
不思議な心地良さで、
5千人の観客の耳が惹きつけられるのだ。
さすがに映像にはジョアンのフリーズ状態の
シーンはなかったのだが、
それでも通常のライブより明らかに長い、
曲終わりの拍手の時のジョアンの表情を
見られたのは貴重だと思った。
2階席からは全く見えなかったジョアンの表情、
それは確かには拍手を「聴いて」いた。
恍惚の表情というと大げさかもしれないけど、
拍手を浴びるジョアンは、
とても満足で嬉しそうに見えた。
映画館のロビーには、コンサートで
実際に本人が使用した、テーブル、
時計、イス、踏み台が展示されていた。
それ以外のものは類似品のディスプレイ。
まさか、ご本人のギターを
借りてくるわけにはいかんもんね。
[ Official Site ]
ジョアン・ジルベルト ライブ・イン・トーキョー
Blu-ray 買おうかなぁ。
[ ル・シネマ(映画館)の紹介文 ]
ボサノヴァの法王が贈る《伝説の日本公演》
世界初!唯一の公式ライブ映像
奇跡のパフォーマンスが今、スクリーンに甦る!!
「イパネマの娘(The Girl From Ipanema)」や
「デサフィナード(Desafinado)」など、
“ボサノヴァ”の名で呼ばれる音楽の表現を、
その声とギターを通じて生み出した創造者、
ジョアン・ジルベルト。
2006年11月に東京国際フォーラム ホールAで開催された
日本公演が、ジョアンの長いキャリアの中でも世界初、
唯一の公式ライブ映像となります。
これまで世に出ることが無かった、
この伝説のライブの模様を選りすぐりの約90分の映像に凝縮。
13年の特を経た今、世界初の限定上映が決定しました。
監督 三室雄太郎
音楽プロデューサー 宮田茂樹
プロデューサー 遠山豊、高橋信彦
キャスト ジョアン・ジルベルト
作品情報 収録時期:2006年11月8日(水)・9日(木)
2019年/日本/90分
配給 ライブ・ビューイング・ジャパン
[ 曲目 ] Blu-ray BOX のサイトより転記
01. Ligia(Antonio Carlos Jobim)
02. Pra Que Discutir com Madame?(Janet de Almeida - Haroldo Barbosa)
03. Morena Boca de Ouro(Ary Barroso)
04. Doralice(Antonio Almeida - Dorival Caymmi)
05. Da Cor do Pecado(Bororo)
06. Tim Tim Por Tim Tim(Geraldo Jaques - Haroldo Barbosa)
07. Retrato em Branco e Preto(Antonio Carlos Jobim - Chico Buarque)
08. Samba de Uma Nota So(Antonio Carlos Jobim - Newton Mendoca)
09. Estate(Bruno Martino - Bruno Brighetti)
10. Samba da Minha Terra(Dorival Caymmi)
11. O Pato (Jayme Silva - Neuza Teixeira)
12. Corcovado(Antonio Carlos Jobim)
13. Aguas de Marco(Antonio Carlos Jobim)
14. Treze de Ouro (Heriverto Martins ? Marino Pinto)
15. Desafinado (Antonio Carlos Jobim - Newton Mendoca)
16. Pica-Pau (Ary Barroso)
17. Meditacao (Antonio Carlos Jobim - Newton Mendoca)
18. Aos Pes da Cruz (Marino Pinto - Ze da Zilda)
19. Bim Bom (Joao Gilberto)
20. Chega de Saudade(Antonio Carlos Jobim - Vinicius de Moraes)
21. Garota de lpanema(Antonio Carlos Jobim - Vinicius de Moraes)
あなたはまだ帰ってこない
LA DOULEUR/MEMOIR OF PAIN
マルグリット・デュラスの自伝的小説「苦悩」を
映画化した『あなたはまだ帰ってこない』。
原題仏語の「LA DOULEUR」は
「痛み」という意味のようだ。
英語題「MEMOIR OF PAIN」は「痛みの記憶」か。
1944年、ナチス占領下のフランスで、
レジスタンス活動していた、
マルグリットと夫のロベール。
そのロベールが、ドイツの警察に
逮捕されてしまう。
なんとか夫を救い出そうと、
マルグリットは、ドイツの刑事ラビエと
何度も会い、情報を聞き出そうとする。
一方 ラビエは、マルグリットから
レジスタンスの情報を探ろうとしてくる。
この辺は、心理的駆け引きがあり、
ちょっとサスペンス的要素もあり、
どうなるんだろうと思って観ていたが、
始まって1時間ほど過ぎてから、
どうしようもない睡魔に襲われた。
気が付くと、あんなにダンナを心配し
帰りを待ちわびていたマルグリットの態度が
一変し「ダンナと会いたくない」と言っている。
私が気を失っている(寝てた)間に
何かがあったのだ!
その肝心な部分を見落としてしまったので、
なんやよう分からん映画になってしまった。
もう一度観たい気持ちもあるが、
どうかなぁ・・・。
マルグリット・デュラスって、
『愛人/ラマン』の人(原作者)なんや。
映画『愛人/ラマン』(1992年)は、
映画館で観たような気がするけど、
レンタルビデオで観たのかもしれん。
この『愛人/ラマン』も自伝的小説とある。
ドラマチックな人生の人やったんやなあ。
途中で寝たんで ★ 評価は、なし。
2019.3.11
MICHAEL LANDAU LIQUID QUARTET
featuring DAVID FRAZEE,
ANDY HESS & IAN THOMAS
昨日、3年ぶりのマイケル・ランドウの
ライヴに行ってきた。
前回は、2016年3月11日に観ているのだけど、
その年の12月に STEVE GADD BAND でも
マイケル・ランドウを観ているので、
正確には、2年3ヶ月ぶりか。
今回は、「マイケル・ランドウ・リキッド・
カルテット」という名義。
このライヴを予約した後に、昨年出た最新
アルバム『ROCK BOTTOM』を聴いた。
歌入りのアルバムで、
ちょっとダークな大人のロック。
ライヴもアルバムのシンガー、
デヴィッド・フレイジーとの公演。
この人とマイケルは、90年代に
「バーニング・ウォーター」という
バンドをやっていたのだ。
スティーヴ・ガッド・バンドで聴けるような
インストにおける職人芸プレイを
期待してた私は、このアルバムを聴いて、
ライヴにいくことをちょっと迷った。
アルバム『ROCK BOTTOM』は、
あまり好きなタイプの音楽ではなかったんだ。
でも、きっとインストも演るだろうし、
マイケルのプレイを間近に観られるなら、
と思い直し行くことにした。
結果、やはりナマで聴くと音楽の印象も違う。
アルバムの印象より、ナマで聴くと良かった。
でも、お腹いっぱいの上、一杯ひっかけて
行ったので、実は前半眠かった。
一緒に食事をした友人に
「今からライヴに行く」と言うと
「お腹いっぱいで眠くならない?」と訊かれ、
「映画は時々眠いけど、ライヴはないな」
なんて答えたのに、意識朦朧。
後半、立ち直ってちゃんと聴けたけど。
マイケルのギターは、いつもの Fender の
2ハムのストラトキャスター。
アンコールでは、S-S-H の
ストラトキャスターを使用。
たぶん、これも Fender。
相変らず、ギターのボリュームとトーンを
しょっちゅう触り調整しながら弾く。
もの凄く細かいトーンに注意を払っているのだ。
そして弾きながらなので、その動作がめちゃ早い。
いっつもやっているとああいう風に
コントロールできるようになるんやろうな。
目指そう匠の世界。
精進あるのみ。
[ MEMBERS ]
Michael Landau (g)
David Frazee (g,vo)
Andy Hess (b)
Ian Thomas (ds)
@ COTTON CLUB
2nd show
(訂正/ 2019.3.12)
本文中、マイケル・ランドウを見るのは、
「2年3ヶ月ぶり」と書いたけど、
2018.9.6 にも STEVE GADD BAND で
マイケルを観ているので、ほんの半年ぶりでした。
2019.3.12
運び屋
THE MULE
今年5月で、89歳(!)になる、
クリント・イーストウッド監督の
最新作『運び屋』。
原題の「MULE」というのは、麻薬なのどの
運び屋のことを指すスラングのようだ。
この10年以上、クリント・イーストウッド
がらみの作品はほとんど観ているが、
本作も素晴らしかった。
それにしても、88歳にして
作品を撮り続ける、しかも本作は
主演まで務めてしまうという、
そのエネルギーとバイタリティと創作意欲には、
驚きと畏怖の念さえ抱くね。
監督と主演を兼ねるのは、2008年の
『グラン・トリノ』以来。
映画出演は、2012年の『人生の特等席』以来。
物語。
クリント・イーストウッド演じる
アール・ストーンは、商売に失敗し、
自宅を差し押さえられてしまう。
そこで、車を運転するだけでいい金になるという
仕事を紹介される。
予告編を観て、麻薬と知らずに
運んでいたのかと思ったけど、
映画を見る限り最初から分かりそうなくらい、
ヤバそうな人たちが登場する。
以下、ややネタバレです。
3回目だったか、ついに荷物の中身を見て
麻薬であることを知ってしまう。
麻薬だと知ったアールは、運び屋を
やめるのかと思ったら、そのまま続けるねんな。
なにしろ、金が良い。
まあやめられなくなったんだな。
その金で自宅を取り返し、
孫の結婚パーティの金を出し、
友人を救う。
しかし、捜査の手はじわじわとアールに
近づいてくる。
その麻薬捜査官に ブラッドリー・クーパー。
結末は、書かないけど、
なんか意味不明に泣けました。
ええ映画です。
アールは、仕事(花の栽培)人間で
家庭を顧みない男だった。
そのため、妻にも娘にも見放されている。
その娘役にクリント・イーストウッドの
本当の娘アリソン・イーストウッドが出演。
きっと、クリント・イーストウッドも
若い頃、仕事ばかりだったんだろうな。
アールじいさんは、平気で(悪気なく)
黒人に「二グロ」と言い、
メキシコ人に「タコス野郎」と言います。
でも、彼らに優しい。
この辺りには、『グラン・トリノ』に
通ずるもんも感じられ、
クリント・イーストウッドらしくて好きやな。
最後に流れる曲の歌詞に
88歳のクリント・イーストウッドの
メッセージが込められてるようで、
ガツンと来ます。
宣伝コピーに「前代未聞の実話」とあるように
「The New York Times Magazine」に掲載された
実話に着想を得て制作されたとのこと。
★★★★★
2019.3.13
疑問文の特徴
一昨年の初め、「今年は英語学習にも
力を入れようと思う」と書いた。
その後、少しだけ教材に取り組んだものの、
いつものようにフェイドアウト気味に
いつの間にか、英語のことを何もしなくなった。
毎度のことで、もうこの頃は、
英語習得は自分には無理かな、と
半ばあきらめ気味に思っている。
考えてみると、ボチボチでもギターを
練習し続けてるのは、弾けない自分がイヤで
弾けるようになりたい欲求がそれなりに強い。
練習で出来たのに、ライヴ本番でミスすると
痛恨の極みなのだ。
そういう悔しい思いがモチベーションに
繋がっていることは否めない。
が、英語では失敗もないし、恥も書かない。
時折、外人アーティストの言ってることが
聞き取れず悔しい思いをすることがあり、
そのたびに勉強しようと思うが、
結局、行動が伴わない。
だから、強烈な情熱がないと、難しいんだと思う。
何ごとも。
全部、言い訳だけど。
そんな私だが、某英会話教室が毎日 (平日のみ)、
無料で送ってくれるEメール、
「ひとこと英会話!」というのを
もうかれこれ12年以上受取り続けている。
これには、毎日、必ず目を通すようにしている。
もしかしたら、中学生の時に習ったのかも
しれないようなことだけど、
先日のトピックに、「なるほど」と思った。
疑問文には、「Yes/No」で答えられる疑問文と、
答えられない疑問文がある。
「Yes/No」で答えられる質問は、
「疑問詞から始まらない」「語尾が上がる」という
特徴がある。
反対に「Yes/No」で答えられない質問は、
「疑問詞から始まる」「語尾が下がる」という特徴がある、
という旨のことが書いてあった。
例に挙げられてたのは、
Do you know where he went ?
(彼はどこへ行ったのか知ってる?)
と
Where do you think he went ?
(彼はどこへ行ったと思う?)
の2つの疑問文。
なるほど、前者は「Yes/No」で答えられるので
疑問詞でなく「Do」(助動詞)から
始まっており、語尾が上がる文だ。
後者は、答えが「Yes/No」ではないので、
疑問詞から始まっており、語尾が下がる。
Where do you think he went ?
は、
Do you think where he went ?
とは、ならないところが英語のポイントだろうな。
と、今は納得するものの、
こういうこともすぐに忘れてしまうねん・・・。
2019.3.14
哲学のテーブルにつく
「哲学」といえば思い出すことがある。
小学生だったか中学生だったかは覚えていないが、
私が子供の頃に母に言われた言葉だ。
どんな文脈でその言葉を聞いたのかは
記憶にないが、もしかしたらテレビか何かで
「哲学」という言葉を聞き、私が
「哲学って何?」と母に尋ねたのかもしれない。
「哲学は、自分はどうして生きているのか、
どうして生まれてきたのか、
そういうことを考える学問。
そんなことを考え過ぎて死んだ人もいる」
そんな内容だった。
「死んだ人」は「自殺した人」だったかもしれない。
今考えると母は、哲学者と精神的な問題から
自殺を図る人、もしくは太宰治、川端康成、
三島由紀夫など自殺した文学界の人たちとを
ごちゃ混ぜにしていたのかもしれない。
いずれにしろ私は、哲学は難しいこと、
そして、考えすぎると命をも落とす、
という 誤った認識を持つことになった。
「自分は何のために生まれてきたのか」とか
「自分の生きていく使命は何か」とか
子供の頃に考えたという人(妻もその一人)に
たまに出会うが、私はそんなこと考えもしなかった。
というか、今も深く考えていない。
そんな、ある意味浅いとも言える人間に
成長したのには、母の言葉が幾分なりとも
影響がないとは言えない。
いや待てよ。
おそらく、その言葉を聞く以前から、
そんなこと考えもしなかった子供なので、
生まれつき考えない人だと解釈する方が妥当かな。
そんな哲学とは縁のなかった私が
哲学好きで サルトルに関係する本まで出す
妻と結婚するとは、人生は面白いもんだ。
もちろん、20年前 妻と結婚するときは、
そんな人だとは知らなかったんだけどね。
ちなみに私は哲学書と呼ばれるものは、
読んでいない。
若いころ、1冊だけ、それらしいものを
タイトルから選び読んだ記憶があるが、
何が書いてあるか、さっぱい分からないまま、
途中で投げ出さないことだけを目標に
頑張って最後まで読み切った覚えがある。
本のタイトルも著者(日本人だった)も忘れたけど。
何年か前、ハバード大学のマイケル・サンデル教授の
「正義(Justice)」の講義を NHK で観て
哲学ってこういうことか、面白いなと思った覚えは
あるが、それ以上深く探求することはなかった。
妻の影響もあって、最近、「哲学」という言葉を
よく耳にするし口にするようにもなった。
昨日、妻たちの主催する
「哲学のテーブルにつく会」というものに
参加してきた。
「答えのない問いを問い続ける」というのが、
哲学の一つの側面。
「哲学のテーブルにつく会」は、
「答えのない問いを問い続ける」会でもある。
昨日は、第1回で主催者側も
どんな会にになるかやってみないと分からない
感じだったようだが、中々面白かった。
参加者は、15名ほど。
参加者の発言に(心の中で)反応する
自分を観察するに、自分の考えこそが
「正しい」というところから
相手を説き伏せたいと思う自分に気付いたりね。
ゲストのような形で、K氏(私のボス)も
参加したのだが、彼はとてもユニークな
考えの持ち主で、非常に珍しい、
今までに会ったことのない人種。
彼への質問の回答は、普通(?)の人は
言いそうもないことばかり。
私は、もう14年間そばにいるので、
だいぶん慣れてきており、それほど驚きはしないが、
初めての人には、かなりのインパクトだ。
「驚きはしない」とは書いたが、
その答えは予想はつかないものばかり。
昨日も「そんなこと思いもしませんでした」
「初めての考えです」というような
感想が聞かれた。
これだけでも、脳を柔軟にすることに
なるんではないだろうか。
彼は、おそらく多くの人からは「自由に」見えるが
本人言わせると「身勝手」なだけだそうで、
「自由」と「身勝手」は、同じことを
違う表現で言っているんだとも言える。
2時間強の会だったが、
普段、話さないようなテーマについて
自由にディスカッションする場は、
貴重な機会だと思った。
この会、しばらく続くようだ。
2019.3.15
判決、ふたつの希望
L'INSULTE/THE INSULT
昨年9月に劇場で観た映画
『判決、ふたつの希望』を
もう一度観たくなり、DVDで鑑賞した。
やはり、とても良い映画で
再び感動した。
争い・復讐とともに
人間であることの希望を描いている。
その希望は、理解と赦し。
過去の敵だというだけで反応し、
罵倒の言葉を吐いてしまう人間。
冷静であれば、その敵でさえ
困っていれば助けることが出来る人間。
どちらも同じ人間。
さて、どちらの人間として、
人類は未来を築きますか?
あなたは生きますか?
そんな問いかけを本作から感じ取った。
「未来のことを考えたら、
いま、やるべきことはわかっている。
でも、過去がそれを許さない。
この人類普遍の問題に心を痛める人々に、
この映画は希望をもたらすか ――」
凄く難しい問題だけど、
間違いなく希望はある。
それでこそ、人間だと思う。
★★★★★
2019.3.16
グリーンブック
GREEN BOOK
トロント国際映画祭で観客賞を受賞し、
ゴールデン・グローブ賞では、
作品賞を含む最多3部門を受賞、そして、
本年度アカデミー賞で作品賞、脚本賞、
助演男優賞(マハーシャラ・アリ)を
受賞した『グリーンブック』。
舞台は、1962年のアメリカ。
黒人ピアニスト、ドクター・ドン・
シャーリー(マハーシャラ・アリ) と、
その運転手兼ボディガードに雇われた
イタリア系アメリカ人のトニー・
バレロンガ (ヴィゴ・モーテンセン) は、
人種差別が根強い南部へ演奏ツアーに出る。
タイトルの「グリーンブック」は、
黒人が泊まれるホテルなどを紹介した
当時の黒人用旅行ガイドのこと。
映画は軽いタッチで、描かれているが、
当時の黒人差別は酷いもんだ。
おそらく、実際は映画で描かれているより
もっと酷かったんだと思う。
明らかに黒人を差別していたトニーが、
南部を周る間に、シャーリーと
人間関係を築き、シャーリーの
影響で人として成長していく姿に、
感動したね。
この映画に対し、一部で、
「結局、白人が "上から" 黒人を救ったという
話だ」という批判的な意見もあるようだが、
私はそんな風には感じられなかった。
それは、日本人には分からない世界で、
差別を受けた、黒人が感じることなのかもしれない。
もちろんこれで、差別がなくなったわけではないが、
少なくとも、シャーリーとバレロンガは、
友情を築き、互いに理解しあったようだから、
素直にええ話やと思う。
シャーリーもバレロンガ も自在の人物で、
この南部ツアーも実話を基にしている。
ドクター・シャーリーというピアニストの
名前は、聞いたことがなかった。
黒人というだけで、私は観る前から無意識に
ジャズ・ピアニストだと決めつけていたのだが、
シャーリーは、元々はクラシックの
ピアニストだった。
劇中で演奏される音楽は、ピアノと
チェロとコントラバスのトリオで、
クラシックとジャズの中間のような音楽。
なぜ、そのような音楽を演奏するのかも、
映画の中で語られる。
トニー・バレロンガは、その後、
俳優デビューを果たし、
『ゴッドファーザー』『グッドフェローズ』
『フェイク』などに出演したというのも興味深い。
ところで、マハーシャラ・アリは、
本当にピアノを弾いているように
見えるんだけど、どうなんだろう。
本作同様、アカデミー賞助演男優賞を
受賞した『ムーンライト』の時より
断然、本作の方がいい。
★★★★★
グリーンブック(GREEN BOOK)
LEE RITENOUR's
SIX STRING THEORY COMPETITION
- Winners' Circle -
リー・リトナーのライヴには、
10回以上足を運んだと思うのだが、
2016年9月以来約2年半ぶりだ。
昨年、11月にデイヴ・グルーシンの
ビッグ・バンド で来日することは、
知っていたけど、 "ウエスト・サイド物語" の
楽曲を演るということもあって、
あまり興味がわかず、観に行かなかった。
最近になって知ったのだが、
この公演にリーは、来日しなかった。
健康上の理由により来日をキャンセルしたのだ。
病名は分からないけど、手術をする必要が
あったようだ。
そして、その同じ頃、山火事の被害で
リーは、家とスタジオを失ったのだという。
今回は、二重の困難からのカムバック来日だ。
リー・リトナーが、2010年にリリースした
アルバム『SIX STRING THEORY』は、
ジョージ・ベンソン、BBキング、スティーヴ・ルカサー、
スラッシュ、ジョン・スコフィールド、
パット・マルティーノ、マイク・スターン、
ロバート・クレイなど、20人のギタリストが
参加する豪華なアルバムだった。
同年にスタートした、
「SIX STRING THEORY COMPETITION」。
プロ・アマ問わず世界中の若き才能を
発掘しようというこのコンペの2018年の
最優秀賞受賞者たち(9人のうち8人が参加)と
リーとの特別公演を観てきた。
全く予想のつかないライヴだったが、
期待を超えて素晴らしく、そして
楽しいライヴだった。
まず、リーと ホルガー・マルヤマー (key)
ペタール・クルスタイッチ (b)
ユアン・レスリー (ds) が、リーの "The Village"。
お〜素晴らしい。
このバックの3人も昨年の
「SIX STRING THEORY COMPETITION」の
それぞれの楽器部門の最優秀賞受賞者。
この3人がリーの新しバンドのメンバーだと
言われても疑わないレベル。
さすがは、世界から選ばれた人たちだ。
3人ともスゴイ。
もう、たぶんすでにプロだったでしょうな。
ギターは、Jazz Guitar、Rock Guitar、
Blues Guitar、Acoustic Guitar、
Classical Guitar、Rhythm Guitarと
6部門あるのだが、そのうち
Jazz Guitar部門の最優秀賞受賞者以外が出演。
5人とも素晴らしかったけど、
特に私が気に入ったのは、
Rhythm Guitar 部門の Kaspar Jalily (France)、
Blues Guitar 部門の Hayden Fogle (USA)。
ブルースのヘイデンは、なんと18歳!
なんで18歳であんなギター弾けるんやろな。
そのブルースの後にロック部門の
Johannes Persson (Sweden) の演奏が
あったんやけど、凄いテクニックなのは
分かるけど、18歳のブルースの方が、
なんというか心にグッときたもんな。
まあ、好みもあるけど、
音楽がテクニックのための音楽に聞こえて
しまうと残念やな。
Acoustic Guitar 部門の Eric Jayne (USA)、
Classical Guitar 部門の Hedvika Svendova
(Czech, France) は、それぞれ、
ソロ・ギターで1曲ずつ。
この2人も素晴らしかった。
最後にリーの "Lay It Down"。
アンコールは、ギター4人並んで
(Jeff Beckの) "Freeway Jam"!
おもろいライヴでした。
この人達、将来楽しみです。
[ MEMBERS ]
Lee Ritenour /リー・リトナー (g)
Johannes Persson /ヨハネス・ペルソン (g)
Kaspar Jalily /キャスパー・ジャリリ (g)
Hayden Fogle /ヘイデン・フォーグル (g)
Hedvika Svendova /ヘドヴィカ・スヴェンドヴァ (g)
Eric Jayne /エリック・ジェイン (g)
Holger Marjamaa /ホルガー・マルヤマー (p)
Petar Krstajic /ペタール・クルスタイッチ (b)
Euan Leslie /ユアン・レスリー (ds)
@ Blue Note Tokyo
2nd show
来日直前! リー・リトナーにインタビュー
SIX STRING THEORY COMPETITION
【2018 Grand Prize Winners】
Jazz Guitar: Cecil Alexander (USA)
Rock Guitar: Johannes Persson (Sweden)
Blues Guitar: Hayden Fogle (USA)
Acoustic Guitar: Eric Jayne (USA)
Classical Guitar: Hedvika Svendova (Czech, France)
Rhythm Guitar: Kaspar Jalily (France)
Piano: Holger Marjamaa (Estonia, USA)
Bass: Petar Pera Krstajic (Serbia, USA)
Drums: Euan Leslie (Scotland, USA)
(2019.3.30追記)
ブルーノートの 「LIVE REPORTS」に
セットリストがアップされたので転記しておく。
[ SETLIST ] 2019 3.16 SAT. 1st & 2nd
1. THE VILLAGE
2. IN A SENTIMENTAL MOOD
3. NIGHT JAM 〜 LA
4. FOUR WALLS
5. THE BLACK WOODS - ERIC’S SOLO
6. ROSSINIANA NO.6 - HEDVICA’S SOLO
7. BLUES AT SUNRISE
8. FIVES
9. LAY IT DOWN
10. FREEWAY JAM
2019.3.18
ロケンローラー逝く
昨日、内田裕也氏が亡くなった。
享年79歳。
肺炎だったらしい。
昨年9月、樹木希林さんが
亡くなった時の報道で見た内田氏は、
妻を亡くしたショックからか
かなり弱っているような印象を受けた。
体調も良くなかったんだろう。
妻を亡くした男は、
妻を追いかけるように死んでしまうが、
夫を亡くした女は、
それから生き生きして何年も生きる、
というような話を聞いたことがある。
内田氏の場合も、
結局、半年ほどで希林さんを
追いかけるように逝ってしまった。
合掌。
*****
本木雅弘のコメントに「岳父(がくふ)」という
言葉が使われていた。
「岳父」とは、妻の父のことで、
「岳翁(がくおう)」、「岳丈(がくじょう)」とも
言うらしい。
妻の母のことは、「岳母(がくぼ)」。
機会があったら、これから使おう。
あ、でも、
明日になったら、忘れそう。
2019.3.19
エリオット・アーウィット
Elliott Erwitt
数年前から、少しずつ色んな写真家の
作品を観るようになった。
まだ数えるほどしか、写真家の名前も
知らない程度だけど。
良い写真を撮るには、良い写真を
たくさん観ることだと何かで読んだが、
写真を撮るためではなく、
観ること自体が楽しみになってきた。
でも、本当に良いなぁと思える写真は、
意外に少ない。
「PHOTOFILE」という
新書サイズより少し大きい写真集
(洋書)のシリーズがある。
アマゾンで、1,000〜3,000円と
モノによってずい分値段に開きがあるのが
不思議だが、入手しやすいので
以前に Saul Leiter と Ernst Haas を
購入していた。
写真集としては小さいし解説文も英語なので
よく分からないけど、大型の写真集を
買う前の入門としてはちょうど良い。
先日、Elliott Erwitt という写真家を知り、
Elliott の「PHOTOFILE」を購入してみた。
Elliott Erwitt は、1928年生まれの
フランス出身の写真家。
ちょっとユーモアのある写真が多く、
気に入った。
偶然の瞬間を撮れたものなのか
演出なのか見当がつかない写真が多い。
被写体が人間なら演出もありえるが、
飛び上がった犬や止まっている鳥の
写真は、本物なんだろうな。
例えばこの写真。
1977年に日本(京都)で撮られたもの。
おばちゃんと犬が同時に
脇腹を掻いている。
中々撮れる写真ではない。
ほかにも ここ で、
結構見られるので興味のある人は
チェックして欲しい。
ポートレイトには、ケネディ大統領や
チェ・ゲバラの写真もある。
2019.3.20
MADELEINE PEYROUX
マデリン・ペルー
一度はナマで聴きたいと思っていた
マデリン・ペルーのライヴに行ってきた。
この人、一応ジャズ・シンガーという
カテゴリーに入るのかもしれないけど、
フォークだったり、ブルースだったり、
カントリーだったり、シャンソンだったり、
音楽はごちゃ混ぜだ。
米国ジョージア州生まれだが、
10代の頃にフランスに移住し、
15歳でパリの街角でバスキング(大道芸)を
始め、ヨーロッパを旅して周ったという。
18歳でアトランティック・レコードに見出され、
その後 デビューという経歴の持ち主。
ご本人はジャケットの写真で見るより
ふくよかで、飾らない人柄を感じた。
歌い出すと、不思議なほど自然。
「不思議なほど自然」って変な表現だが、
目の前で歌っていることが、
全く特別なことではなく、
あまりにもナチュラルに感じられ、
それが不思議な感じがしたのだ。
歌うこと、音楽を創ることが
ご本人にも自然なことなんだろうな。
バンドもとても良い。
オジサンばかりだったが、
皆さんベテランなんだろう。
ギターのジョン・ヘリントンは、
Steely Dan のツアーやレコーディングに
参加していた人だ。
使用ギターは、ギブソンの小ぶりの
セミアコ(ES-339?)。
マデリンは、マーティンのアコギと
6弦のウクレレを弾きながら歌った。
曲は、
"La Javanaise"(フランス語で)
"Don’t Wait Too Long"
"Honey Party"
"If The Sea Was Whiskey"
"On A Sunday Afternoon"
"Careless Love" など。
65分位。
珍しく、アンコールがなかったよ。
聴きたかった(クラプトンも歌ってる)
"Got You On My Mind"、
(レイ・チャールズも歌ってる)
"Take These Chains From My Heart" は、
歌わず。
[ MEMBERS ]
Madeleine Peyroux / マデリン・ペルー (vo,g,uke)
Andy Ezrin / アンディ・エズリン (key)
Jon Herington / ジョン・ヘリントン (g)
Paul Frazier / ポール・フレイザー (b)
Graham Hawthorne / グラハム・ホーソーン(ds)
@ Blue Note Tokyo
2nd show
Jam Session会員優待で半額で鑑賞。
2019.3.22
立川談春 独演会
新宿(というか代々木の方が近い)の
紀伊國屋サザンシアターでの、
談春の独演会6日間公演、
今日はその5日目に行ってきた。
今回のメインの演目は、
「双蝶々(ふたつちょうちょう)」。
初めて聴く噺だ。
六代目 三遊亭圓生が得意としていた
人情噺らしく、現代ではほとんど
演る人がいないらしい。
大ネタと言われる長い噺で、
今日もマクラを入れて90分弱あった。
残念ながら、急激な睡魔で
途中で20〜30分気を失ってしまったら、
気が付いた時には、ストーリーが
進んでいて何がどうなったのか、
分からなくなっていた。
帰ってきてから、ググってストーリーの
おさらいをしたした次第。
落語といってもこれは笑える話ではなく、
お芝居を観ているような感じだった。
それにしても、90分は凄い。
90分も演ったので、
今日はこれ1本かと思ったら、
休憩後に「陽気な噺を」と「大工調べ」。
これがまた面白かった。
昨日までの4日間、「双蝶々」は
決まっていたけど、もう一席は
3席の中からリクエストの多い演目を
選んだらしいのだが、4日とも同じ
演目になってしまったらしい。
それが「大工調べ」だった。
それで、今日と明日の残り2日間も
同じ演目にすることにしたらしい。
談春の高座は、6度目で今年はすでに3度目。
最近は、一之輔よりも聴いている。
なぜか分からないのだけど、
私は談春の噺を聴くと、
この人の奥深い優しさを感じてしまう。
優しいことを言うわけではない。
今日も今の日本をぼやいていたよ。
芸に厳しい人であることに疑いはないが、
本質的にこの人は、優しい人だと思えてならない。
[ 演 目 ]
「双蝶々」 立川談春
〜 仲入り 〜
「大工調べ」 立川談春
@ 紀伊國屋サザンシアター(新宿)
2019.3.23
ニッコール・フォトセミナー in 東京
"Z" ワールドへようこそ
「ニッコール」というのは、
ニコンのカメラ用レンズの名称で、
ニコン製品ユーザーのための
「ニッコールクラブ」というクラブもある。
ニコールクラブは、創立から
60年以上になる歴史のある会だ。
私もニコン・ユーザーだが、
入会金や年会費がかかるので、
入会はしていない。
今日は、そのニッコールクラブ主催の
「ニッコール・フォトセミナー in 東京」が
有楽町の朝日ホールで開催された。
会員向けのイベントだが、
会員でなくても 2千円で入場できるので
参加してきた。
先日の「CP+」で、色んな人の話を
聴いてみたいと思ったのだ。
13時に始まって17時前まで4時間弱、
盛り沢山な内容だった。
今日のイベントは、タイトルに
「"Z" ワールドへようこそ」と
あるようにニコンの新しい、
フルサイズ・ミラーレス・カメラ、
Z6とZ7の紹介が主な目的だ。
まず最初に「Z 7・アラスカ紀行」。
1年のうち半年をアラスカで過ごすと
いう生活を20年続けているという、
松本紀生氏、47歳のトークと写真。
アラスカで過ごす、といっても街中に
いるわけではなく、テントを張って、
一人っきりで何十日も過ごすのだ。
冬は、オーロラの撮影のために、
雪原にテントを張り、
マイナス40度になる地に
50日滞在するのだという。
命がけの撮影だ。
今年は、50日のうちオーロラが
現れたのが2日だけだったという。
極寒の地で Z7で撮影してきた風景や
オーロラをプロジェクターで
大きく映し出し、見せてくれた。
続いて、「Zとともに行く二人旅」。
ニッコールクラブ顧問の佐藤倫子氏と
写真家・山口規子氏が、ニコン「Z」を
持って、沖縄撮ってきた旅写真とトーク。
同じところに行ってきたのに、
2人の撮る写真が全く違うのは、
とても興味深く、私はどちらの写真も
いいなと思った。
2人とも「Z」の使いやすさ、
性能の良さを力説。
休憩を挟んで、
「フォトキッチン 広がる表現!組写真コース」。
ニッコールクラブの会員さんの写真複数枚から、
実際に組写真を選び、そのコツなどのレクチャー。
これも参考になった。
組写真を選ぶ機会はないけど、
そのうちチャレンジしてみたい。
最後に
「Zシリーズ対談 この場面、Zでどう撮る?」。
ニッコールクラブ顧問の大西みつぐ氏、
小林紀晴氏、ハナブサ・リュウ氏、
三好和義氏と写真家の阿部秀之氏による
「Z」の作例を見ながらの、
その機能や画質などについてのレクチャー。
これも撮影した4人の個性が
違うので面白かった。
最後にプレゼントが当たるお楽しみ抽選会。
私は何も当たらず。
全体を通して聴いてみて、
かなり「Z」の性能の高さを感じたね。
私が今使っているニコンの一眼レフ
(D7000)は、フルサイズより小さい
APS-C サイズと呼ばれるもの。
それでも十分な写真が撮れるので、
フルサイズなんて要らないと思ってきた。
なにしろフルサイズ一眼レフになると、
カメラが大きく重く、そして高くなるのだ。
しかし、ミラーレスなら、かなり
軽量でフルサイズが作られる。
ここにきて、ニコンやキャノンも
フルサイズ・ミラーレスに進出し、
カメラ界が、グッとに方向転換を始めた。
実際、店頭で触ってみると、小さい&軽い。
そして、私に魅力があるのは、
サイレント撮影と連写性能。
一眼レフは、機械的にシャッターが
下りるのでどうしてもシャッター音が
出てしまう。
静かな場面での撮影は、目立つ上に
そのシャッター音が邪魔でもある。
しかし、ミラーレスなら、
音を出さずに撮影できる。
これはかなり大きなポイントだ。
そして、私のD7000は、連写が
1秒に6枚となっているが、
実際には、RAW と J-PEG 同時に
記録しようとすると3秒も撮れない。
SD カードに書き込むために
カメラが止まってしまう。
先日、ソニーの α7 III で
店頭で連写をしたところ、
RAW と J-PEG 同時記録でも
60枚位撮影出来た。
しかも、1秒10枚の性能だ。
子供の運動会撮影にこれは欲しい機能だ。
そんなこんなで、フルサイズ・ ミラーレス・
カメラに乗換えたいと思っているのだが、
ニコンにするか、ソニーにするか迷っている。
ソニーの方が、レンズが多いこと、
いく分本体価格が安いこと、
ミラーレスはすでに第3世代に入ったこと
などから、ソニーがいいかな、と
思っていたが、今日のイベントで、もう一度
ニコンもよくよく検討しようと思った。
ニコンの方が高いんですけど。
ニコンにしてもソニーにしても、
今持っているレンズを
使えないわけではないのだが、
制限付きになるため、
ゆくゆくレンズも全部替えることに
なるだろうな。
結構な出費になりそうで悩ましい。
ねことじいちゃん
立川志の輔師匠主演なので観たいと
思っていた映画『ねことじいちゃん』。
監督は、動物写真家の岩合光昭。
映画は初監督作となる。
出演は、志の輔師匠のほか、
柴咲コウ、小林薫、田中裕子、柄本佑ら。
まあこの映画は、猫の映画だな。
猫好きには、たまらないんじゃないだろうか。
猫が、ちゃんと演技しているように
見えるのも不思議な感じ。
でも、猫を差し引いて、
映画としてどうかと問われると、
私にはちょっと物足りない。
舞台は島なのだが、その風景は美しく、
猫はかわいい。
映画では、どこの島か明確に
描かれておらず、私は瀬戸内海の
どこかか、長崎・佐賀あたりかと
思っていたら、愛知県の
佐久島という島だった。
佐久島は実際に猫が多い島として、
猫好きには有名な島らしい。
一度行ってみたい。
★★★☆☆
ちいさな独裁者
DER HAUPTMANN/THE CAPTAIN
実話を元にしていると知らずに観た、
映画『ちいさな独裁者』。
ちょっと恐ろしい狂気の映画でした。
戦争映画でもあるけど、敵が出てこない。
チラッと敵の戦闘機が出てくるだけで、
登場人物は、ドイツ軍兵士、
ドイツ軍の脱走兵、ドイツの田舎の民間人。
1945年4月。
もうドイツが戦争に負けそうになっている中、
たくさんの脱走兵で、ドイツ軍は
困っていたようだ。
士気の低下もあるだろうし、
脱走兵が民間人から略奪することも
軍にとっては、問題だったんだろう。
以下、ややネタバレ含む。
部隊から脱走したヴィリー・ヘロルドは、
逃走の途中で偶然発見した、
将校の軍服を着て、大尉に成りすました。
その軍服の権威を利用し、
それから出会う兵士を次々とだまし、
やがては、脱走兵の収容所で
90人以上の処刑を行う。
何の権限もないのに、
秩序を守るためと言い、
総統(ヒトラー)から任されていると言い、
自身が脱走兵なのに、
同じ脱走兵を虐殺する狂気に至るのは、
ただただ、一着の軍服を着たからに過ぎない。
そして、自分が生き延びるために、
特別な任務を受けている大尉を演じ続けた。
映画のオフィシャルサイトには、
映画には描かれていない、
ヴィリー・ヘロルドによる虐殺も
記されている。
結局、ヘロルドは捕まるのだが、
捕まった時、21歳だったという。
21歳の若者に大勢の大人が騙され、
犯罪に加担したとも言える現実が恐ろしい。
これは、戦争中の異常な状態で
起こったことだと考えたが、
ロヴェルト・シュヴェンケ監督の
「彼らは私たちで、私たちは彼らだ。
過去は現在なのだ」という言葉を
読んで、現代社会も変わらないことが
起こっていると気が付いた。
さすがに日本では殺しはないが、
役職や地位といったものが、
この映画の軍服に代わって
狂気を生んで時折「パワハラ」事件に
なっているのは、周知のとおり。
この「軍服」に象徴される「権威」に
ついて、よくよく考える必要があると思った。
エンドロールでは、現代のドイツの街中に
ヘロルド達が現れ、街行く人に検閲を
する姿が映し出される。
もちろん、仕込だろうけど、
これを私は、監督のユーモアかと思ったが、
前述の監督の「彼らは私たちで、私たちは彼らだ。
過去は現在なのだ」という言葉を
思い浮かべると、ユーモアなんかではない。
ちょっと深いです。
ヘロルドを演じる、
マックス・フーバッヒャーという
役者が良いです。
★★★★▲
2019.3.24
彼らは私たち
映画『ちいさな独裁者』について
昨日こう書いた。
--------------------------------
これは、戦争中の異常な状態で
起こったことだと考えたが、
ロヴェルト・シュヴェンケ監督の
「彼らは私たちで、私たちは彼らだ。
過去は現在なのだ」という言葉を
読んで、現代社会も変わらないことが
起こっていると気が付いた。
さすがに日本では殺しはないが、
役職や地位といったものが、
この映画の軍服に代わって
狂気を生んで時折「パワハラ」事件に
なっているのは、周知のとおり。
---------------------------------
エントリーをアップした後も、
この映画に関する記事をいくつか読んで
監督の言葉
「彼らは私たちで、私たちは彼らだ」を
昨日、私は分かっていなかったことに
気付いた。
私は現代の誰もが、権威のある制服を着ると
ヘロルドのように間違った権力を持ち
狂気に走ってしまう恐れがある、という意味に
取ったのだが、監督は「彼」ではなく
「彼ら」と複数形で語っている。
昨夜は、そのことに違和感がなかったわけでは
ないのだが、深く考えようとしなかった。
「彼ら」は、ヘラルドを指しているのではなく、
ヘラルドの周りの人たちを指しているのだ。
いや、ヘラルドも含まれているのだろうけど。
私は、「ヘラルドが軍服を着て、
権力を持った」と解釈したのだが、
それは事の一面でしかなく、
ヘラルドを独裁者に押し上げたのは
他でもないヘラルド以外の人間たちだ。
そういう背景で、
「彼らは私たちで、私たちは彼らだ。
過去は現在なのだ」
という言葉は語られているのではないか。
ヘラルド一人の責任にしているうちは、
私たちは同じ過ちを繰り返すのかもしれない。
チーズタッカルビ
一度食べてみたいと思っていた、
「チーズタッカルビ」を食べた。
@スンチャン(戸越銀座)
2人前2,580円(税抜)。
写真は加熱前。
甘辛い味付けにチーズが良くあって
美味しかった。
鍋の周囲の黄色いのは、韓国風の
茶碗蒸しと言われたけど、
蒸すんではなく焼くので卵焼きだな。
「カルビ」と付くので、勝手に
牛肉とばかり思っていたら、鶏肉だった。
店員に「なんでカルビなの?」と
訊いてみたが、よく分からないとのこと。
帰ってから、調べてみたら
「タッ」は鶏、「カルビ」はあばら骨の
周りの肉のことで、
「骨のまわりの肉を食べる鶏料理」
という意味だった。
その「タッカルビ」を東京・新大久保の
コリアンタウンにある店が、アレンジし
オリジナルで始めたのが
「チーズタッカルビ」なのだという。
つまり、日本発祥の韓国料理なのだな。
食べ終わったら残ったタレに
ご飯を入れて炒めてチャーハンに
するという食べ方もあるようだ。
間違いなく美味い。
今日は、もうお腹いっぱいで
そこまで行けなかった。
2019.3.26
EXHIBITIONISM
ザ・ローリング・ストーンズ展
3月15日から5月6日まで、東京の
TOC五反田メッセで
ザ・ローリング・ストーンズ展が
開催されている。
ストーンズは、私の生まれた1962年に結成された。
なんと結成57年だ〜。
ザ・ローリング・ストーンズ展は、
その歴史をメンバー自身の
プロデュースで構成した企画展。
2016年4月ロンドンを皮切りに
ニューヨーク、シカゴ、ラスベガス、
ナッシュビル、シドニーで開催されてきた。
アジアでは、東京が唯一の開催となる。
私はストーンズ・ファンというわけではないが、
マーティン・スコセッシ監督が、ライヴ映像を
撮った『SHINE A LIGHT』 は、
2008年公開時に劇場へ観に行ったし、
2014年の来日公演は、東京ドームで観た。
まあ、その程度なのだけど、
このローリング・ストーンズ展、
会場が自宅から歩いて10分ということもあって、
観に行こうと思っていた。
入場料は、平日が3,500円、
土日限定の前売り券が売られていて、
それは、3,700円(当日は4,000円)だ。
で、いつ行こうかなぁと考えていた矢先、
昨日、なんと友人から
「招待券あまってるけど行く?」と
連絡があった。
3月中の平日限定だったのだが、
今日しかい行ける日がないので、
早速行ってきたよ。
エントランス。
バンド結成当時、メンバーがともに
暮らしていたアパートの部屋を再現したセット。
若者たちの部屋です。
当然、汚いです。
これは、写真が残っておらず、
メンバーの記憶を元に再現したのだという。
初期のレコーディングスタジオのセット。
数々のギターたち。
ロニーの Gibson レスポール・スペシャル。
ロニーのゼマティス。
キースの72年製 Fender テレキャスター。
珍しかったのは、キースの60年製 Maton EG240。
ミックの63年製 Gibson ハミングバード。
衣装の数々。
そのほか、ミックの自筆の歌詞のノートや
アートポスター写真、3Dライヴ映像などなど、
500点以上!
面白かったのは、ヘッドホンで再生しながら、
自分でミックスを体験できるというコーナー。
8曲あって、それぞれ90秒ほどなのだが、
ミックの歌を切って、ギターとベースだけで
聴いたり、歌とドラムとベースだけに
してみたりと色々遊べて面白かった。
オリジナルグッズも色々売っていたし、
ストーンズ・ファンはたまらんだろうな。
さすがにベロマークのTシャツは、
私には似合わないので買わなかった。
滞在時間、90分位かな。
ところで、ストーンズ展とは関係ないが、
ピエール瀧の逮捕で、作品の上映や
販売などの自粛が問題になっている。
ドラッグをやるのは悪いことだけど、
そのせいで作品の販売まで自粛するのは、
私は甚だ疑問がある。
電気グルーヴの作品は販売自粛するのに
ドラッグをやってきたと公言している、
キース(たぶん他のメンバーも)の
作品を売ったり、展示会までするのは
どういうわけだろう。
別にストーンズに限った事じゃない。
60〜70年代のロックやジャズの
ミュージシャンの多くが、
ドラッグに手を出していたのは、
誰もが知る話。
映画『ボヘミアン・ラプソディ』では、
フレディもドラッグやってなかったっけ?
でも、彼らの作品は自粛の対象にならない。
結局、自粛は一時的なことで
ほとぼり冷めたらまた売るんだろう。
ASKA の時だってそうだった。
販売再開に3〜4年かかってるけど。
そして、自粛だなんだと言っているのに、
毎日のように容疑者の顔写真や映像を
テレビで流すワイドショーは、
批判の的にならないのか、
報道という大義名分のおかげか
容疑者の顔を映し続ける。
なんか、変な感じ。
2019.3.28
またも落選
「死ぬまでに観ておきたいアーティスト」と
称して今まで結構な数の色んな人のライヴや
コンサートを観てきた。
「死ぬまでに」は私のことであり、
アーティストのことでもある。
人気のあるアーティストは、
抽選方式をとっていることが多い。
山下達郎のコンサートも抽選式だが、
1回目の当選までに15回ぐらい外れた。
(その後、また5回ほど申込んで2回目の
当選をした。)
この2年ほど時々申し込むが、
外れ続けているアーティストがいる。
その人は、吉田拓郎。
申込んだ回数は、まだ5回ほどなのだが、
先日申込んだ6月4日の
東京国際フォーラム公演にもまた外れた。
「また」と書いたのは同じコンサートの
2月の先行抽選にも外れたのだ。
一度は、観ておきたいよ。
人生で最初にギターを弾いた曲が拓郎の『落陽』、
人生で初めて買った LP レコードが
拓郎の『元気です』なのだから。
6月4日のコンサートは、もう一度チャンスがあるが、
それは早いもの順で、売切れたら終わり。
おそらく数分で売切れる。
これは、ネットにつながるかどうかの運次第だ。
先月の「らくごカフェ10周年記念
平成最後の武道館落語公演」で初めて観て
興味を持った、さだまさし。
同じく東京国際フォーラムでの6月27日の
公演に申込んでいたのだが、
こちらは、一発でめでたく当選。
井上陽水も、一昨年一発で当選し、
観ることが出来た。
あと、日本人アーティストで観ておきたい人、
誰かなぁ〜。
2019.3.29
ショーケン死す
マカロニ刑事(太陽のほえろ!)も
アニキ(傷だらけの天使)も好きだったなぁ。
歌は上手いと思ったことないのだけど、
独特の歌いまわしで、
その世界観はオンリーワンだった。
『大阪で生まれた女』『Ah!Ha!』
『ぐでんぐでん』『ラストダンスは私に』など、
20歳の頃にバイトしていた喫茶店で
よく聞いた覚えがある。
ちょっと危ない匂いのする大人の
ロックという印象だったなぁ。
昨年だったか一昨年だったか、
ビルボードライブ東京で
ライヴがあるのを知って、
行きたいなと思ったのだけど、
ミュージックチャージ(15,000円)を見て、
断念した。
行けばよかったな。
やっぱり、生きているうちに観ておかないと。
2011年から消化管間質腫瘍という病だったけど
公表していなかったとのこと。
享年68歳。
若い・・・。
合掌。
ショーケンと言えば。
20代前半の時にやっていたバンドのヴォーカルが
ショーケンに似た声と歌い方だった。
別に真似をしていたわけでもなく、
影響を受けたわけでもなく、
ただ似ていたんだと思う。
本人は、「ショーケンに似てる」と
言われるのがイヤで、
影響受けるとイヤなので
「ショーケンは聞かない」と言ってたっけ。
私より3〜4歳年上だった。
この人は、歌がうまくてコンテストに出ると
たいてい賞を獲ったけど、デビューに至らなかった。
ちょっと破天荒な人だったなぁ。
元気にしてるかなぁ。
ヴィクター・ウッテン
Victor Wooten
大好きな ヴィクター・ウッテン のライヴ。
昨年2月の「Victor Wooten featuring
Dennis Chambers & Bob Franceschini」以来。
今回は、ウッテン兄弟を中心としたメンバー。
いやいや、素晴らしかった〜。
ヴィクターに "Teacher" と紹介された
ビッグ・ブラザー2人。
ヴィクターに音楽を教えたのは、
兄貴たちなのだ。
ギターのレジーは、SQUIER(Fenderの
廉価版ブランド)のストラトキャスターで、
変態プレイを炸裂。
子供の頃から一緒に演奏していたわけだし、
ウッテン・ブラザーズ・バンドとして
デビューしたわけだから、最強だわな。
ヴィクターは、ホンマに魔法のような演奏をする。
神業です。
ルーパーを使ったソロ・コーナーで
余りに素晴らし過ぎて泣けてきたよ。
後半、テナーサックスの今井晴萌(はるも)が
ゲストで登場。
この人のこと知らなかったけど、
渡米してヴィクターに師事していたことも
あるらしい。
20歳くらいかなと思ったら、
調べてみると今年26歳だ。
このバンドをバックに演奏するなんて、
気持ええやろなぁ。
YouTube では観たことがあったけど、
ナマで初めて "I Saw God" が聴けて嬉しかった。
ファイナルショーということもあったのか、
約90分たっぷりと、演ってくれた。
アンコールは、"Sex Machine" (James Brown) だ〜!
[ MEMBERS ]
ヴィクター・ウッテン / Victor Wooten (B, Vo)
ジョセフ・ウッテン / Joseph Wooten (Key, Vos)
レジー・ウッテン / Regi Wooten (Gt, Vo)
デリコ・ワトソン / Derico Watson (Dr, Vo)
@ Billboard LIVE Tokyo
2nd show
メンバー紹介の時、ヴィクターが
「My name is Marcus Miller」って言って
マーカスの曲を弾き出した。
場内爆笑。
2019.3.30
COUNTRY MUSIC ASSOCIATION
presents "INTRODUCING NASHVILLE"
featuring BRANDY CLARK, LINDSAY ELL
& DEVIN DAWSON
"INTRODUCING NASHVILLE"
(ナッシュビルの音楽を紹介)という
ライヴに行ってきた。
ナッシュビルといえば、
カントリーミュージック。
普段はカントリーを聴くことはあまりないけど
たまに聴くと「いいなぁ」と思うことも多い。
もう、34年も前のことだけど、
アメリカの田舎を車で走らせたとき、
カー・ラジオから流れる音楽で
カントリーが一番ピッタリだった。
出演は、ブランディー・クラーク、
デヴィン・ドーソン、リンジー・エルの3人。
3人がステージに並び、それぞれ1曲ずつ
交代で歌っていく。
音楽は、リンジー・エルが
一番ロックっぽくて私の好み。
ちゃんとブルースの血も感じられ、
美人の上に ギターも上手い。
ルーパーの使い方も素晴らしい。
ブランディー・クラークは、3人の中で
もっともオーソドックスなカントリーという印象。
デヴィン・ドーソンは、その間ぐらいで、
やはり今風なテイストもある。
1曲ずつ交代で4周、
つまり3人が4曲ずつ歌った。
最後に3人で「テネシーワルツ」とか
3人で演るのかなと思ったら、
アンコールはなし。
1st ショーだったからかもしれないけど。
きっとナッシュビルに行けば、
いっぱいシンガーソングライターが
いるのだろうけど、
“アメリカ・カントリーミュージック協会” が
選んだ人達だけあって、3人とも素晴らしかった。
ライヴを聴きながら、「ナッシュビルに
行きたいなぁ」と思ったので、
"INTRODUCING NASHVILLE" という
目的は、充分に果たしているだろう。
ギターは、ブランディー・クラークが
(たぶん)マーティン、
デヴィン・ドーソンがギブソン、
リンジー・エルがフェンダーと、
アメリカを代表する三大メーカーの
ギターを使っているのも面白い。
リンジーのフェンダーは、
今年発売されたテレキャスタータイプの
エレアコとエレキの新しい
ハイブリッド・ギター(AMERICAN ACOUSTASONIC
TELECASTER)で、YouTube では
結構動画を観たけど、ナマで聴くのは初めて。
今までもエレアコとエレキの
融合機は何度も試されてきたけど、
どうも中途半端感がぬぐえなかった。
この新しいフェンダーは、
ちょっと違う次元に入ったような感じで
興味がある。
Fender AMERICAN ACOUSTASONIC TELECASTER
[ MEMBERS ]
Brandy Clark / ブランディー・クラーク (vo,g)
Lindsay Ell / リンジー・エル (vo,g)
Devin Dawson / デヴィン・ドーソン (vo,g)
@ Blue Note Tokyo
1st show
(2019.4.2 追記)
ブルーノートの 「LIVE REPORTS」に
セットリストがアップされたので転記しておく。
[ SETLIST ] -1st show-
1. CASTLE (Lindsay Ell)
2. ALL ON ME (Devin Dawson)
3. MAMA'S BROKEN HEART (Brandy Clark)
4. BROKE (Lindsay Ell)
5. SECONDHAND HURT (Devin Dawson)
6. WHO YOU THOUGHT I WAS (Brandy Clark)
7. SPACE (Lindsay Ell)
8. WHATEVER FOREVER IS (Devin Dawson)
9. CAN WE BE STRANGERS (Brandy Clark)
10. CRIMINAL (Lindsay Ell)
11. DARK HORSE (Devin Dawson)
12. HOLD MY HAND (Brandy Clark)
2019.3.31
うらさだ
さだまさしと ゆかいな仲間たち
2月25日の武道館落語公演に
出演した さだまさし を観て、
さださんのことに興味がわき、
ついには、6月のコンサートの
チケットまで買ってしまった。
以前、グレープ時代のさださんの曲
『フレディもしくは三教街』について
書いたことがあったが、私はさださんの
ファンと言えるほど彼の音楽を
聴いてきていない。
だが、ここにきて、彼の音楽というより、
さだまさしという人間に興味を持ってしまった。
コンサート回数は日本一の4300回超だとか
歌手としてだけではなく、作詞作曲家、
小説家としての活動もあれば、
35億円の借金を背負い、返済したという
経歴もある。
とにかく稀有な存在であることは違いない。
『うらさだ』は、さださんを知る14人が
それぞれの視点から人間さだまさしを
語るという企画の書籍。
さださんを知る14人とは、
笑福亭鶴瓶、立川談春、高見沢俊彦、
鎌田實、小林幸子、ナオト・インティライミ、
カズレーザー、泉谷しげる、レキシ、
若旦那、堀江貴文、井上知幸(放送作家)、
飯塚英寿(NHKプロデューサー)。
ここに案内人の寺岡呼人が加わる。
今日、読み終えたのだが、
奇しくも昨夜たまたま点けた TV で
『今夜も生でさだまさし』を
やっていた。
年度末のスペシャルだったらしく、
「平成最後のさだ祭り」ということで
24時過ぎから4時まで生放送。
途中からだったけど、ゲストも豪華で
結局最後まで観てしまった。
『うらさだ』で読んだことと
『生さだ』を観て感じたことを合わせ
分かったことは、さださんの
行動力、柔軟性、視野の広さ、信念の強さ、
優しさ、強さ、そういったものだ。
柔軟でありながら、ぶれないというのは、
ありそうで中々に難しいのではないか。
そういう面が、人を惹きつけて
止まないのではないか、と思ったのでした。
その姿勢に見習うべきことも多い。
コンサートが楽しみだ。
★★★★☆