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つつみしんやのひとりごと 2011年 映画・演劇・舞台 etc
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2011.1.6

SP 野望篇

先日 (1/4)、京都駅前の映画館で 時間つぶしに観たのだが、

普段でも 映画を安く観る工夫を している私としては、

この映画に1800円は、きつかった。

テレビドラマの 劇場版だということさえ知らずに観たのだが、

正直、意味が分からなかった。

その上、2部作の前編だということで、後編 (SP 革命篇) の

予告編のような終わり方もあり、非常に不完全燃焼。

映画というからには、TV を観ていなくても、

劇場版はそれだけで楽しめるように 作っていただかないと、困る。

そして、別に続きを観たいとも思わなかった。

(観るかも知れんけど。)


ジャニーズのアイドルが 映画に出ているのを観て、

良いと思ったのは少ないが、岡田准一 は、

『おと・な・り』 を観て、良いと思った。

本作でも、岡田は悪くない。

出演者に不満はない分、製作者側に対し不満がある。

でも、相変らず、香川照之 は、やや出すぎの感あり。


★★☆☆☆





2011.1.9

トイレット

荻上直子 監督の映画 『トイレット』 を観てきた。

昨年の8月公開の作品だ。

数年前観た、荻上監督の 『かもめ食堂』 が良かったもので

その前の作品 『バーバー吉野』 も、次の作品の 『めがね』 も

観たが、私は 『かもめ食堂』 が一番だった。

本作は、『めがね』 以来 3年振りとなる荻上監督の新作。

私的には、『かもめ食堂』 は越えなかったものの面白い作品だった。

舞台は、北米 (撮影はカナダ、トロント)。

おばあちゃん役の もたいまさこ 以外は、全員外人で セリフも英語。

もうこれは、邦画なのか洋画なのか分からない。

しかも、もたいまさこは、セリフがほとんどない。

ふたことだけ。

英語の話せないおばあちゃんと 孫3人の物語で、

ハートフル・コメディ といったところ。

コメディと言っても、直接笑いを取りにくる感じではない。

荻上監督のゆったりとした間の取り方は、相変らず。

ラスト・シーンも良いし、

途中 出てくる餃子があまりにもうまそうで、帰りに餃子食ったよ。

あと、バス停に座っていた謎の女性が 『西の魔女が死んだ』 の

サチ・パーカー だったとは、気がつかなかった。


(以下、ややネタバレ)

印象に残ったセリフがある。

主人公のレイが、自分が兄弟と血がつながっていないことを

知り、さほど仲も良くない同僚に打ち明ける。

その時のその同僚のセリフが良い。

(正確には覚えてないが大体こんな感じ)

「僕は、家族と血がつながっていなかったんだ。」

「それで?」

「それでって、僕は、本当の家族じゃなかったんだよ。」

「今まで血がつながっていなかったことにも気づかないくらい、
本当の家族だったんだろう?」


★★★★☆





2011.1.15

おとうと

最近は本当に邦画を良く観るようになった。

本日の2本立ても邦画 (@目黒シネマ)。

まず、1本目は 『おとうと』。

山田洋次監督、吉永小百合、笑福亭鶴瓶 主演。

吉永小百合と鶴瓶が姉弟。

この弟、酒を飲んでは騒ぎを起こすし、仕事はうまくいかないし、

博打はするし、金にルーズで、いわゆる出来が悪い弟。

姉は、だんなが亡くなった後、薬局を経営しながら、

女手ひとつで一人娘 (蒼井優) を育て、

姑と一緒に暮らしている、まじめで聡明な人。

そんな姉と弟の物語。

山田監督作品なので 当然、必涙 だろうと思って観たが、

やはり。

良い作品だったが、鶴瓶が鶴瓶にしか見えないのが残念。

『ディア・ドクター』 ではそんなことなかったのだが、

本作では、役柄と鶴瓶自身が重なって見えるせいだろうか。

後半の病気のシーンのために15キロも痩せたというから、

その点は凄い。

でもやっぱり、映画は普段バラエティー番組など

テレビにあんまり出ていない役者さんの方がいいな。

途中、ちょい役でスマップの中居君が登場するが、

(あ、中居くん) って思ってしまう。

役者さんだと そういう 白け方ないねんけど。

あと、大阪が舞台のシーンは、出てくる人全員大阪弁にすべき!

たった数人しか登場せえへんのに、医者と施設の社長と

ふたりも東京弁やった。

大阪人からすると、ちょっとリアリティないな。

もちろん、大阪にも東京弁しゃべる人おるやろけど、

ホンマ少ないで。

その代わり、本来大阪出身で東京住まいの長い吟子

(吉永小百合) が、時々大阪弁になるのは、

ええ演出やなと思た。

そして、やっぱりきれいやね、吉永小百合は。

映画全般を通しては、昭和な印象を受けた。

これは、古臭いという意味ではなく、

懐かしいということでもなく、うまく表現できないが、

「安心して観ていられる」 とでも言うか。

私が昭和の人間ということやろけど。

平成生まれの人が観たら、たぶん違う感想だろう。

あと、蒼井優の恋人役で 加瀬亮が出てるが、

思わず2人の関係を応援したくなる感じで良かった。


★★★★☆




スープオペラ

阿川佐和子の原作。

阿川さんって小説やエッセイも書くんやな。

知らんかった。

映画は、坂井真紀主演。

ほかに 加賀まりこ、藤竜也、西島隆弘、萩原聖人、

余貴美子らの出演。

大人のファンタジーという感じの物語。

坂井真紀、藤竜也が良かった。

特に藤竜也は (年とってもカッコいいな) と思った。

BGMが 物語と関係なく演奏シーンから始まり、

物語に戻るという手法だった。

これは面白いし、より本作のファンタジー性を

強める効果があったと思う。

ただ、途中まで面白かったのに、

最後があの終わり方では、なんとなく消化不良な感じ。

残念。

終わり方で ★ひとつ減点。

でもあのスープは飲んでみたい。


★★★☆☆





2011.1.16

パピヨン

小学生の頃、スティーヴ・マックィーンが好きだった。

外国人俳優なんてほとんど知らないのに。

たぶん、テレビで 『大脱走』 か 『荒野の七人』 を観て

かっこいいと思ったんだろう。

彼の作品をテレビでやると必ず観たし、

映画館へも足を運んだ。

小学6年生の時観た 『タワーリング・インフェルノ』 が

唯一、ロードショーで観た作品だが、大阪の千日前に

中学生当時、400円ぐらいで観れる映画館があって、

そこでは、ちょっと古いのを上映していた。

その映画館では、『ゲッタウェイ』 『栄光のル・マン』

『栄光のライダー』 を観た覚えがある。

残念ながら彼は、『タワーリング・インフェルノ』 の後、

数年仕事を休み、復帰するがヒットはしていない。

そして、1980年肺がんで50歳で亡くなった。

昨年は没後30年ということで 『パピヨン』 の

特別愛蔵版DVD が出た。

それを購入していたのだが、今日やっと観た。

本編151分と映像特典77分、全部。

『パピヨン』 は好きな映画のひとつで

子供のときから 今までに テレビやビデオで、3〜4回は

観ているだろう。

アンリ・シャリエールという実在の人物が、

1931年、南米フランス領ギアナに無実の罪で投獄され、

何度も脱獄を繰り返し、投獄から13年後、ついに脱獄に成功し、

自由の身になったという物語で、原作は世界で

1000万部を超えるベストセラーになっている。

パピヨンとは、胸に蝶の刺青があることから、彼に付いた

愛称だ。

簡単に言うと、脱走ものなのだが、主人公パピヨンの

自由への執着、けっして諦めない、希望を捨てない精神には、

これが実話だと思うと感動せざるを得ない。

また映画のスケールも大きく、囚人間で芽生える友情もグッとくる。

マックィーンは、10代のとき、かなりのワルだったようで

少年院にも入っており、本当に脱走を試みたようだ。

また、『大脱走』 でも何度も脱走しては捕まる、

懲りない米軍大尉を演じている。

映画の撮影時には、アンリ・シャリエール本人も立会い、

アドバイスをしたようだ。


特典映像を観て知ったのだが、マックィーンの

映画デビューは ちょい役で、ポール・ニューマン主演の

『傷だらけの栄光』 (1956年) だった。

そのポール・ニューマンと1974年 『タワーリング・インフェルノ』 で、

肩を並べて共演する。

元奥さんの 「彼はポール・ニューマンを意識していた」 という

証言から考えると、マックィーンのピークが、

1974年 『タワーリング・インフェルノ』 だというのは、

(ポール・ニューマンに追いついて、燃え尽きたんやろか)

などと考えてしまったのであった。





2011.1.17

映画音楽

昨日は、映画 『パピヨン』 のことを書いたが、

公開当時 (1974年3月)、私は小学5年から6年に上がる頃で、

映画館では観ていない。

初めて観たのは、それから数年後のテレビで放映されたときだが、

公開当時、近所の3歳上の まあちゃん が 映画館で、

一日に2回だったか3回だったか、観たという話を聞いた覚えがある。

今のように入れ替え性の映画館などなく、一度映画館に入れば、

その日一日、同じ映画を 続けて 何度でも観れた時代だ。

(今でも入れ替え制の映画館でなければ観れるけど。)

作品を観ていないのに私は、『パピヨンのテーマ』 の

シングル盤 (レコード) を持っていた。

たぶん、ラジオで聴いて欲しくなって買ったんだと思う。

『パピヨンのテーマ』 は、なんとも哀愁のあるメロディーで

今でも好きな曲だ。

映画のサントラのシングル盤というのが、なんとも昭和っぽいが、

他にも 『夕陽のガンマン』 『ロミオとジュリエット』 なんかの

シングル盤を持っていた覚えがあるから、

結構、映画音楽好きだったわけだ。

中学〜高校時代は、吹奏楽部で 「大脱走のテーマ」 や

「スター・ウォーズ」 なんかも演奏してた。

確かに映画音楽には、名曲が多い。

『ピノキオ』 の 「When You Wish Upon A Star (星に願いを)」

『オズの魔法使い』 の 「Over the Rainbow (虹の彼方に)」

『モダンタイムス』 の 「Smile」

など、元々映画音楽でそのままスタンダードになっているものも多い。





2011.1.20

25時

恵比寿ガーデンシネマ が、1月29日で休館する。

年に数回、観に行っていた映画館なので残念だ。

閉館ではなく、休館となっているので、

改装してまたオープンするのかも知れないが、

どこにもそういうことは書かれていない。

休館までの2週間、17年間 恵比寿ガーデンシネマで

上映された約240本の作品から、選ばれた16作品を

1日3〜4本ずつ上映している。

1000円で。

その中に数本観たいものがあったのだが、

今日は その中の1本 『25時』 という映画を観てきた。

これは、2002年の作品。

主演は、エドワード・ノートン。

それから、フィリップ・シーモア・ホフマン、バリー・ペッパーと

渋い配役。

E・ノートンを知ったのは、リチャード・ギアの 『真実の行方』。

もう、10年以上前にビデオで観たのだが、

あまりの凄さにくらった強烈なインパクトを忘れられない。

観てない人は、是非観てください。

さて、『25時』 は麻薬の売人だったモンティ (E・ノートン) が

7年の刑で収監される前の25時間を描いた作品。

悪いことをしたのだから、刑務所に行くのは自業自得というのは、

もっともな話だが、もし、それが自分の息子や恋人、親友だったら、

それだけでは済まされないだろう。

彼を取り巻く 恋人、友人、父親の葛藤がイタイ。

特に悪事を止めなかった親友の後悔。

そして、本人の後悔。

また、刑務所の話がひどい。

あんな話聞いたら、(ホンマに刑務所行きたない) と思う。

ラストの10分は泣かされ、最後にドンと現実に引き戻される。

胸ぐらをつかまれ 揺さぶられるような感じ。

よく分からへんけど、もう一回観たい。

監督はスパイク・リー。


★★★★☆





2011.1.22

時計じかけのオレンジ

昨日は、赤坂 ACT シアターで 小栗旬主演の

『時計じかけのオレンジ』 を観てきた。

『時計じかけのオレンジ』 といえば、

スタンリー・キューブリックの1971年の映画が有名だ。

もうずい分前にビデオで観たような気がするのだが、

ストーリーは全く覚えておらず、なんとなく不可解だったという

印象しか残っていない。

さて今回の舞台、私は演劇だと思っていたのだが、

行ってみると ミュージカルだった。

「行きたい」 と言い出した妻本人も本番が始まるまで、

ミュージカルだとは、知らなかったようだ。

観客の95%が女性だったので、おそらく小栗旬ファンなのだろう。

途中休憩時にすれ違った女性 2人組みが、

「セリフ、覚えてしまうよね〜」 と 話していたから、

何度も観に来ているのだろうな。

私は、何本かミュージカルを観て、自分には合わないと

思っていたのだが、本作も然り。

合唱時の歌詞が聞き取れないし、

本作は趣味の良い内容とも言えず、

演出や脚本も私には良さが分からず、

小栗旬の魅力も分からないまま、終わってしまった。

20分の休憩中、舞台にひとり残された小栗が

叫び続けるのも、あまり気持ちよくなかった。

演じている本人は、大変やろけど。

残念。


★▲☆☆☆




が〜まるちょば

今日は、池袋サンシャイン劇場で

「が〜まるちょばプロジェクト第1回公演 『a Go Go』」 を

観てきた。

「が〜まるちょば」 の公演は、2007年の12月に

初めて観て以来、今回で4度目。

何度観ても素晴らしい。

彼らは、サイレントコメディといって、

言葉を使わず、表情と身体の動きだけで表現する2人組み。

いわゆるパントマイムなのだが、

そんなことも表現できるのか、と驚いてしまう。

今回は、「が〜まるちょばプロジェクト第1回公演 」 ということで

彼らのほかにも 「GABEZ」 と 「織り姫」 という2組も出演。

でも、やっぱり 「が〜まるちょば」 は凄い。

今日の演目は、一度観たことのある 『街の灯』 だったが、

より研ぎ澄まされているように感じた。

ぜひ、ライヴを観ていただきたい。

どういうわけか 彼らの公演は毎回良い席が取れる。

今回も、前から4列目中央という良席だった。


★★★★▲





2011.1.27

バーレスク

クリスティーナ・アギレラ 主演の映画 『バーレスク』 を

観てきた。

私は、ミュージカルも ミュージカル映画も 好きではないが、

ミュージカル映画の中でも音楽は音楽として

使われている作品は別だ。

例えば、『Ray』 とか 『アクロス・ザ・ユニバース』 とかね。

今回の 『バーレスク』 もそっち系のミュージカル。

歌手を目指して田舎から ロスに出てきたアリ (アギレラ) が、

バーレスク・クラブという大人のエンタテーメント・クラブで

働き、やがてその店の舞台の主役になっていくという

サクセス・ムービー。

といっても、感動するのはそのストーリーではなく、

そのショー (歌と踊り) だ。

ストーリーは、特にどうっていうことはなく、

アリは、大した苦労もなく、主役を勝ち取ってしまう。

(元々、才能のある役だからね。)

クラブが存続の危機になったり、ちょっとラヴ・ストーリーも

あったりするが、基本はエンタテイメント。

それがこの作品の魅力であり、売りであることに間違いない。

アギレラのことは、良く知らなかったが、

中々の迫力の歌声である。

本作鑑賞中、数回、

(この映画、日本で作るとしたら、誰がアリの役、できるんやろ)

と考えたが、思いつかない。

アギレラは、演じ、踊り、歌い、そして作品中の曲も書いているという。

しかも、かわいいのに あの迫力の歌だ。

こういうの日本人には作られへんなぁ、と思うのは、劣等感か?

いや、日本人の作るものは、アメリカ人には作られへんわけだから、

文化の違いだな。

パーティで DJ がかけた曲を、登場人物が、

「(あのDJ) いいセンスしてるよ」 と褒めるシーンがある。

その時、かかっていた曲が、

ボストンの 『モア・ザン・ア・フィーリング』。

私も好きな曲なので、そこでかかったのはうれしいが、

アメリカの若者の中で 「センスいい」 と表現されていたことが、

ちょっと驚きだった。


本作は、「あきらめるな!」 「積極的に!」 「夢はかなう!」

といったメッセージバリバリで、

見終えたら 何かやりたくなる (元気の出る) 映画。

私は、タンタン麺と餃子食べました。


あと、クラブのオーナー役のシェールの歌も聴きどころ。


★★★★☆





2011.2.4

THE SOCIAL NETWORK

映画 『ソーシャル・ネットワーク』 を観てきた。

ハーバード大学の学生 マーク が、後に世界最大となる

ソーシャル・ネットワーク・サービス “Facebook” を

立ち上げるまでの話と、立ち上げた後の訴訟の話。

訴訟は、同じハーバードの学生3人組が マークにサイトのアイディアを

盗まれた というものと、共同創立者で親友だった エドゥアルド から

権利を返せというのと 2つあって、マークは 2つとも被告。

彼は、“Facebook” で、世界最年少の億万長者になったらしい。

多少、フィクションの部分も含まれているようだが、

基本的には実話のようだ。

感想。

革新的なことを生み出したり、世界を変えたりするのって、

今までの常識とか道徳に捕われていない人が、

実現するんやな、と思った。

マークはいわゆるオタクなのだが、他人がどう思うかは、

関係なく自分の思いを曲げない。

そのため、後から訴えられてしまうのだが、

本人は、おそらく人を裏切ったなんて意識はなく、

自分が出来る最高をやっただけなんだと思う。

そういう意味では、アイディアを持っていても実現できなかった

(アイディアを盗まれたと訴える) 3人組の負けのような気がする。

結局、実行・実現した者が一番、強い。

世界で5億人以上の会員を抱えるという “Facebook”。

5億人を結びつけたけれど、親友 エドゥアルド に訴えられ、

マークは孤独だったかも知れない。

そんなとんでもない “Facebook” を作るきっかけが、

大儲けをしたいからではなく、彼女に振られたから、というのは、

天才でもちょっと普通っぽくて良い。

マークは、けして人付き合いの上手は人ではないし、

人の心も その場の空気も読めないが、

彼の行動力や行動へのスピード、人のことを気にせず

突き進む姿には、ちょっと憧れる。


あと、ハーバードの学長さんは、さすが。

アイディアを盗まれた3人組みのうちの2人 (双子) が、

普通は会えない学長にコネを使って会いに行く。

その2人の訴えに学長は、

「退屈だ」 「何か創造したらどうだ」 と言う。

2人はそれでも 「善悪の問題です」 と食い下がる。

学長が秘書に 「このアポは、誰が取った?」 と聞くと、

秘書が言う。

「彼らの父親 (有力者) です」

すると学長、

「コネで会いに来ることが 悪 だ。特別扱いはしない。」

ちょっと スカッ! とするシーンだった。


本作、アカデミー賞に作品賞、監督賞ほか 8部門ノミネートされ、

ゴールデン・グローブ賞を作品賞、監督賞ほか 4部門で

受賞したそうだが、残念ながら、それほど面白いとは思えず。

実話としては凄いけどね。


★★★▲☆





2011.2.5

人のレビューを読んで
  THE SOCIAL NETWORK -2


私は、映画を観た後、Yahoo!映画 で、

ユーザー・レビューを読むことが多い。

他の人が同じ作品で どんな感想を持ったのかを読むのは、

とても面白い。

自分の気が付かなかったことに気付かせてくれたりして、

作品への理解が深まる。

また、そういう解釈もあるのか、と他人と自分の

観点の違いも見えて興味深い。

自分が言葉に出来なかった感動を

上手に書いてくれていたりすると、もの凄く共感したり、

自分が、良かったと思う作品をボロカスに書いている

レビューを読むと、腹が立ったり、

そのレビュアーに対し まじで 嫌悪感を感じたり、

たかが映画の感想に 自分の反応も一喜一憂。

私は、このユーザーレビューを 「役立ち度順」 に並び替え、

多くの人が、「役に立った」 としているレビューから順に読む。

そうすると、確かに内容のあるレビューを効率的に読めるので、

おススメ。

便利な機能なので、お試しいただきたい。

さて、ここまでは前置き。

昨日、『ソーシャル・ネットワーク』 の感想をここにアップした後、

その Yahoo!映画、ユーザー・レビュー で、

本作のレビューを読んでいたら、

だんだん、観た映画の印象が変わってきてしまった。

昨日は、

 本作、アカデミー賞に作品賞、監督賞ほか 8部門ノミネートされ、
 ゴールデン・グローブ賞を作品賞、監督賞ほか 4部門で
 受賞したそうだが、残念ながら、それほど面白いとは思えず。
 実話としては凄いけどね。

 ★★★▲☆


と書いたのだが、

「実はこの作品、めちゃくちゃ深いんちゃうの!」

と、自分の浅はかな感想を思い知らされ、

なるほど それなら、 (ノミネートや受賞も分かる)

っちゅうことにまで なってしまったのだ。

なので、星は1つプラスして 「★★★★▲」 に訂正。

ああ、他人の意見に影響を受けやすい自分やなぁ。

映画の冒頭、彼女と会話がかみ合わない場面から、

フェイスブックの会員が100万人を超えるまで、いや超えても

主人公のマークの表情は、変わらなかったのに。

成功しても彼は、全く浮かれていなかったのに、

「フェイスブックは、完成しない、進化し続ける、

だからクールなんだ」 と一途だったのに、

たった、いくつかのレビューを読んだだけで、

易々と自分の意見を変えてしまう私に

天才と凡人の差を見るのであった。


本作、主人公のマークは非常に早口である。

字幕版で観たため、セリフの情報はかなりカットされているだろうから、

もし、2回目観るなら、吹替え版だな。

東京23区内では、本日現在、

新宿バルト9 で1日1回のみ 吹替え版を上映している。

少な。


監督は、デヴィッド・フィンチャー 。

『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』、『ゲーム』、『セブン』 など

面白い作品を撮る監督。

1962年生まれで、私と同じ歳である。

自分の同級生がこれらの映画の監督だと思うと、

なんか凄い。





2011.2.14

毎日かあさん

小泉今日子主演 映画 『毎日かあさん』 を観てきた。

私は知らなかったのだが、西原理恵子 (さいばらりえこ) という

漫画家の自伝的 ベストセラー・コミック の実写映画化だそうだ。

原作は、毎日新聞に 2002年から連載、2007年からは、

テレビでアニメ放送されるなど、人気の作品のようだ。

その西原役を 小泉今日子、

西原の夫役を小泉の元夫、永瀬正敏が演じている。

数日前、たまたま 西原理恵子 ご本人が

テレビに出ているのを観た。

1964年生まれだから、妻と同じ歳で 私も同年代。

その番組で本人の口から語られた

波乱万丈な人生と彼女の生き方に興味を持った。

小泉今日子は割と好きなので、本作もそのテレビ番組を

観なかったとしても、観に行ったと思うけど、

何も知らないで観るより、本人の話を聞いてから観た方が、

よりリアルに感じられたような気がする。(実話だからね)

漫画にもなっているし、本人もテレビでストーリーを

しゃべっていたので、ネタバレ無視で書く。

西原は漫画家で、仕事をしながら 6歳と4歳の子供を

育てている。

夫は、元戦場カメラマンで 今は仕事もせず アル中。

酒で身体を悪くしているが、やめられない。

ついには、妻から離婚を言い渡され、ようやく本気で

リハビリに取り組む。

家族ともう一度暮らしたい一心で。

そして、完治して病院から出てきたときには、

今度は、癌に侵されていた・・・。

そこまで書くと、結末は予想がつくと思うが、

予想通り、夫は死ぬ。

が、これは癌の闘病の映画ではないし、

人の生き死にを描いた作品でもない。

ひたすら家族、そして家族の絆を描いた作品だ。

原作がマンガだけあって、笑うところもたくさんあり、

泣くところもある。

リハビリで苦しんだり、努力するシーンがないことや、

夫が死ぬくだりを あまりヘヴィにせずに

あっさり描いているあたりに本作のテーマと

西原の生き方が、象徴されているような気がする。

小泉は、ちょっと物足りないシーンもあったけど、

今まで観たキョンキョンとは違う 強い母親役は良かった。

情けない父親、癌で死んでゆくシーンのために

12キロ減量した永瀬も良かった。

あと、子役がいい! 2人とも。

原作も読みたくなった。


★★★★☆





2011.2.23

ヒアアフター

マット・デイモン主演、クリント・イーストウッド監督、

スティーヴン・スピルバーグ総指揮、

映画 『ヒアアフター』 を 観てきた。

『HEREAFTER』、映画では 「来世」 と訳されていたけど、

この映画の場合、生まれ変わりの話ではないので

「あの世」、「死後の世界」 の方が良かったと思う。

それはさておき、本作、賛否・好き嫌いが分かれるだろうが、

私は良かった。

始まってすぐの津波のシーン、もう観てて 溺れるかと思たぐらい

凄い迫力。

でも、それから以降は、非常に静かな物語。

あの世や死後の世界の存在は、

人によって意見の分かれるところだろうが、

私は、あると思っている。

というか、あると思っている方が、楽しみだし、

生きていることにも より意味が生まれると思っている。

実際は、分からないのだ。

でも、ないという証拠もない。

本作、死者の声を聞ける マット 演じる霊能者、

津波に遭い、臨死体験した女性ジャーナリスト、

死に別れた双子の兄と話したい少年の物語。

でも、それらをエキセントリックに描くのではなく

淡々と静かに描いている。

予告編を観ると サイコの映画かと思うが、

結局、クリント・イーストウッドの描きたかったのは、

あの世ではなく この世で、来世でなく 今で、

死ではなく 生きることなのだと思う。

ただ、もの凄く観客にゆだねているので、

かなり解釈が分かれるだろうが、

そこが監督の狙いでもあるのだろうな。

サントラ買おかなと思うぐらい音楽が素晴らしい、と

思っていたら、監督ご自身でした。

監督、今年81歳というから、アメイジング!

『グラントリノ』 のように 静かに ジワ〜 っとくる作品だ。


★★★★▲





2011.2.26

太平洋の奇跡 - フォックスと呼ばれた男 -

ラストシーンでは、ただただ、

「戦争が終わって良かった・・・。

大場大尉 (主人公) が間違った選択をしなくて良かった。」

と思った。

本作は、太平洋戦争中、サイパンで米軍から

「フォックス」 という異名をとり、怖れられたという

日本陸軍、大場栄 大尉の実話を映画化したもの。

彼は、米軍のサイパン占領後も生き残った兵士と

約200人の民間人を守り抜いた。

原作は、元米軍海兵隊隊員 ドン・ジョーンズ という人で、

作品中もアメリカ側から描いている部分もあり、

双方の立場が分かりやすく、バランスが取れている。

タイトルに 「奇跡」 とつくのを理解するには、

少々、太平洋戦争について知識が要るかもしれない。

何が奇跡なのか、どこが奇跡なのか。

ネット・レビューを読むと、戦争映画として、またヒーロー者として

不満を感じる若者がいるようだが、

これは娯楽映画ではない。

激しい戦闘シーンは、前半の総攻撃だけで充分だ。

映画だと分かっていても戦闘シーンは気持ちの良いものではない。

また、大場大尉が死なずにいたからこそ、素晴らしいのだと思う。

(それも奇跡の一つ)


それにしても、忠臣蔵といい、戦中の日本兵といい、

現代日本人 (私) にこれほどの 「忠誠」 があるのか疑問だ。

それは一つの洗脳だとの批判も可能だが、

何かしらの美学と憧れを感じざるを得ないのは、

私が日本人だからか。

以前、「戦中の日本兵は、捕虜になることを徹底的に拒むのに

いざ、捕虜になると簡単に秘密をしゃべったりする」 と

聞いたことがあり、その矛盾がずっと疑問だったが、

この映画では、見事にその疑問が解明された。

なるほど、そういうことか。

謎が解けた。


主役の竹野内豊以外にも、唐沢寿明、井上真央、山田孝之、

阿部サダヲ 等々出演陣も豪華。

唐沢寿明演じる 堀内今朝松 一等兵 にも生きていて欲しかった。


もうひとつ最後に。

実話を基にした映画では、よく最後にテロップで

「○○は、その後、〜〜〜し、19○○年に死去」 という風な

主人公のその後が語られたり、本人の写真が出てきたりする。

が、本作にはそういうのはない。

それが、何故か分からないが、関係者 (遺族?) が

断ったのかな、と思った。

「私はこの島で褒められるようなことを何一つしていない」 と

大場大尉が投降後 米軍将校に言うシーンがあるが、

そこから考えれば、それもなんとなく分かる。


ウィキペデアよると

ご本人は帰国後、会社役員を務められ、

1992年に79歳で亡くなっている。

投降後1945年12月に撮影された写真も掲載されている。


★★★★☆





2011.3.3

洋菓子店コアンドル

蒼井優 ・ 江口洋介 主演 映画 『洋菓子店コアンドル』 を

観てきた。

鹿児島から彼氏を追って出てきた なつめ (蒼井優) が、

東京の有名店 「洋菓子店コアンドル」 で働き出し、

パティシエ を目指すというお話。

感想は、ひと言、「惜しいな〜」。

このストーリーなら、

(もっと、ええ終わり方あるんちゃうの?) って

思ってしまった。(具体的には言われへんねんけど)

それに途中 (えっ? なんで?) って思うところが、

何回かあって、それプラス、あの終わり方やったから、

非常に残念。

ま、(えっ? なんで?) って思ったのは、

私の理解力不足かも知れんけど。

蒼井優は、(私が思う) 非常に蒼井優らしい役で、

良かったと思う。

強くて まっすぐで、ガッツがあって、そして・・・、鈍い。

あんなに鈍い人が、繊細な おいしいケーキを作れるのだろうか、

と疑問もわくが、まあそこは映画なので、

これは言ってみればメルヘンだと思うことにしよう。

蒼井優の演技に関しては、満足。

そして、コアンドルのシェフ 戸田恵子も、

ちょっとイヤな先輩 江口のりこも、

お店の常連さん 加賀まりこも良い。

伝説のパティシエ 江口洋介はちょっと物足りなかったけど、

暗い重い過去を引きずっている役なので、

あれで良いのだろう。

つまり、役者はいいのだが、演出&脚本がイマイチということか。

演出と言えば、本当のパティシエに怒られるようなシーンもあって

ちょい不思議。

泣かされるシーンもあり、笑わせてくれるシーンもあり、

楽しめただけに、やっぱり 惜しい。


★★★▲☆





2011.3.4

人を幸せにするケーキ

昨日観た映画 『洋菓子店コアンドル』 について

もうひとこと書き加えたい。 (ネタバレ注意)

ラストが違う終わり方で 終わって欲しかった、と

書いたが、もう一つ重要なことを。

江口洋介演じる 十村遼太郎 が なぜ 「伝説のパティシエ」 と

呼ばれるのか、主人公の 蒼井優 演じる なつめが、

戸田恵子 演じる シェフ 依子に尋ねるシーンがある。

依子は、「十村のケーキは、人を幸せにするの」 と答える。

十村は、事情があってパティシエを辞めていたのだが、

なつめに心を動かされ、怪我で仕事が出来なくなった依子の

代わりに晩餐会のデザート作りを引き受ける。

晩餐会の出席者 (フランス人?) の名簿に子供が含まれており、

十村は、「難しいな」 とつぶやく。

子供は、晩餐会中 つまらなそうに食事をしている。

当然、最後は十村のケーキを食べた子供が

そのおいしさに笑顔 (幸せ) になるものと、

観ていたら、なんと、ケーキの味ではなく、

ガレット・デ・ロワ というケーキの中に人形が

入っていて、それに喜んで笑顔になるのだ。

「えっー!ケーキの味で幸せにするんとちゃうやん!」 って

突っ込みたかった。


参考:ガレット・デ・ロワ
    陶器の人形が入っている一切れを引き当てれば
    1年間幸運がもたされるというケーキ。






2011.3.8

ウォール・ストリート

前作 『ウォール街』 の23年越しの続編、

オリバー・ストーン監督 & マイケル・ダグラス主演

映画 『ウォール・ストリート』 を観てきた。

金融・経済に疎い私には、分からない言葉だらけ。

そもそも前作 『ウォール街』 も観た覚えがない。

そんな私が なぜ 『ウォール・ストリート』 を

観たかというと、妻のリクエスト。

彼女は、20代の頃、外資系証券会社に勤めていたらしく、

前作も観ており、こういうのに 興味があるそうだ。

私は、睡眠不足と満腹感により、冒頭25分ほど気絶。

目覚めたときは、かなり話が進んでおり、

どうしたもんか、と思ったが、

金融業界の話はさっぱりの私でも、

人間ドラマの部分は充分理解できた。

金融業界のことが分かれば、もっと面白かったのだろうけど。


途中、ちょこっと チャーリー・シーン が登場する。

妻の話によると、前作にも チャーリー・シーン は出演していたらしい。

以下、その時の妻との会話。

妻 「『ウォール街』 には、チャーリー・シーンのお父さんも

   一緒に出てたよ。お父さんの名前、何 シーン やったっけ?」

私 「チャーリー・シーンのお父さん? 知らんなぁ」

妻 「あ、分かった。 チャーリー・ジェット・シーンや!

   あ、違うわ、それプロレスラーや」

私 「それは、タイガー・ジェット・シンや!」

妻 「あ、分かった! チャーリー・シーンや!」

私 「それは、本人や!」


なお、調べたところ、正解は マーティン・シーン です。


(今回は、寝てしもたため ★評価なしです。)





2011.4.11

SOMEWHERE

震災以来、映画館もレイトショーは自粛していたようだが、

ようやく通常通りの営業を始めたようだ。

(全ての映画館がどうかは分からないけど。)

節電も大事だが、経済活動・消費活動を停滞させないことも大事。

ほとんどのサービス業は、電気を使うだろうから

難しいところやろな。


さて 昨日、約ひと月ぶりに映画を観た。

スティーヴン・ドーフ、エル・ファニング 主演、

ソフィア・コッポラ (フランシス・コッポラの娘) 監督、

『SOMEWHERE』。

予告編を何度か観ていて、良さそうだったので

観に行ったのだが、どうも私には難しい映画だった。

ホテル暮らしのハリウッド・スター、ジョニー・マルコ

(スティーヴン・ドーフ) と その11歳の娘 クレオ (エル・ファニング)

の物語なのだが、何が言いたいのか良く分からんかった。

「お金があっても、スターになって有名になっても、

幸せじゃないですよ」

そんなこととはちゃうやろし。

たぶん、「自分は誰であるか」 というような、

深いテーマなんやろうけど、

残念ながら、ハリウッド・スターという設定のためか、

主人公に共感できなかった。

でも、娘役 エル・ファニング はすごく良かった。

彼女、『バベル』 や 『ベンジャミンバトン』 にも出ていたようだが、

印象に残っていない。

間違いなく本作が最高だ。(今回は主演やからね。)

まあ、なんとかわいいこと。

彼女、ダコタ・ファニングの妹なのだが、お姉ちゃんよりいいな。

父親が女といるときの表情とか素晴らしい。

タイプは違うけど、『レオン』 の ナタリー・ポートマン を

思い浮かべてしまった。

将来、有望!


★★▲☆☆



Elle Fanning & Stephen Dorff





2011.4.12

TITANIC

数日前、DVD を借りて、『タイタニック』 を観た。

1997年公開当時、映画館へ2回観に行った覚えがある作品だ。

3時間以上あるが、さすがに大ヒット作品だけあって、

今回も 途中で飽きることなく楽しめた。

本作、同じジェームズ・キャメロン監督の 『アバター』 が破るまで、

映画史上最高の世界興行収入を記録していた。

それも、3時間以上の作品なので、1日の上映回数が少なくての

記録樹立だから、本当に凄かったんだな。

さて、なんで今さら 『タイタニック』 かというと、

先週、Martin Taylor & Ulf Wakenius のライヴについて

 彼らの演奏を聴きながら
 これから日本がどうなっていくのか分からないが、
 いつもタイタニック号の音楽家たちのような自分でいたい、と
 思ったのだった。

と書いた。

で、急にその音楽家たちを観たくなったのだ。

映画では、弦楽四重奏者4人 (最初5人いたような気もする) が、

船客がパニックにならないようにと甲板で演奏し始める。

でもすでに、皆パニックで 誰も聴いていない。

メンバーの一人が、「誰も聴いてないじゃないか」 というと、

リーダーらしき人が、

「食堂で演奏していても誰も聴いていなかったよ」 という。

彼らは、数曲演奏し終えて、「無事を祈る」 と解散する。

リーダーらしき ヴァイオリンが一人残って演奏し始めると、

行きかけた皆が戻ってきて 再び一緒に演奏を始める。

その美しい曲 『Nearer My God to Thee』 をBGMに

船と運命をともにすることを決めた人達と、

パニックになりながら 逃惑う人達が映し出される。

もう甲板にも浸水していて、今にも船は沈みそうだ。

曲が終わり、リーダーがこう言う。

「君らと一緒に演奏できたことを光栄に思う」

そして、その後、彼らは登場しない。


私が 「彼らのようでありたい」 と思うのは、

あの死ぬか生きるかの状況で、冷静に演奏できる精神、

ジタバタしない精神にあこがれるからだ。

あんな目には遭いたくないけど、あんな風になりたい。





2011.5.2

阪急電車 片道15分の奇跡

中谷美紀が 出演しているということ以外、

何も知らずに 鑑賞して来た、映画 「阪急電車」。

タイトルの通り、阪急電車 (今津線) 内のシーンが多い。

サブタイトルに 「片道15分の奇跡」 とあるが、

この映画の奇跡は、"不治の病が治る" といった類いではない。

もっと日常的な出来事なのに、奇跡なのだ。

ストーリーもあるような ないような、断片的なのに

全部つながっているような、不思議な作品。

笑えるところもあるし、大したことではないのに

グッとくるシーンも多い。

それは、原作や脚本の素晴らしさもあるのだろうが、

出演者の素晴らしさに由るところが多いように思う。

主演の中谷は、さすが オスカー女優。

もう 無条件に良い。

宮本信子、 戸田恵梨香、その他のキャスト、皆良い。

とても良い作品です。


★★★★▲





2011.5.11

八日目の蝉

昨夜、レイトショー (20:40〜) で鑑賞。

終わって時計を見たら、23:20 になっていてビックリした。

本編は、147分もあったのだが、全然長いと感じなかった。

それぐらい物語に完全に引き込まれた。

“優しかったお母さんは、私を誘拐した人でした” というコピーが

印象的なこの作品。

永作博美 演じる 野々宮希和子 が、

愛人、秋山丈博 (田中哲司) の子供、恵理菜 を誘拐し、

4年間逃げながら育て、逮捕される。

映画は、冒頭、その裁判のシーンから始まる。

希和子は誘拐犯なので、けっして同情すべきではないのに、

子供と引き裂かれるシーンは、「捕まって良かった」 とは、

思えず、なんとかふたりで 逃げ延びて欲しいと願ってしまう。

あまりにも母子ふたりは、幸せだったから。

そして、実の母親の元に戻った恵理菜は、つらい人生を

歩むことになる。

大人になった恵理菜を演じる 井上真央、

誘拐犯の 永作博美 が、素晴らしい。

このふたり、本当の親子のように似てないか?

井上真央の出演作は、『僕の初恋をキミに捧ぐ』

『太平洋の奇跡 -フォックスと呼ばれた男-』 に続き、

これで 3本観たが、ただかわいいだけじゃない、

(役柄のせいもあるだろうけど) 強さを感じる、

これからも楽しみな女優。

そして、子供時代の恵理菜を演じる子役、渡邉このみが素晴らしい。

小池栄子の (悪いけど) ちょっと気持ち悪いキャラも良かった。

井上真央の恋人役が、劇団ひとり というのは、なんかイヤやった。

シリアスな作品なので 芸人じゃなくて役者使ってほしい。

ラスト、どうなって終わるのか見当もつかなかったが、

希望を見出して終わって良かった。

タイトルの 「八日目の蝉」 の意味は、作品中に語られるので、

ぜひ観て確かめて欲しい。

考えさせられる作品だ。


★★★★☆





2011.5.29

昨日は、4ヶ月ぶりの映画2本立て。

久しぶりの 飯田橋ギンレイホールにて。



愛する人

原題が、「MOTHER AND CHILD」。

邦題 「愛する人」 は ちょっと安易というか イマイチ。

でも、映画は良かった。

原題どおり、母と子の関係について考えさせられる。

この映画では、父親は、あんまり重要でない。

男の私が観ても泣ける作品なので、

これは、女性、特に娘を持つ母が観たら、

かなり グッとくる母性の物語だろう。

14歳で子供を生み、すぐに養子に出し、37年間、

その会ったことのない娘を思い続ける母 カレン役に

アネット・ベニング。

気難しい人なのだが、だんだんかわいくなってゆく。

気難しいときは、ホントにイヤなおばはんなのに、

別人のようにきれいになってゆくのがすごい。

そして、養子に出された娘 エリザベス役に ナオミ・ワッツ。

全く別の養子を求める夫婦の話が同時に進行していて、

(どこでつながるんやろ?) と思てたら、終わり間近に

バシッとつながる。

人間って、哀しく、素晴らしい。


★★★★☆




君を想って海をゆく

これ、邦題ダサすぎ。

原題が 「Welcome」 で、そのままでは日本人向けではないし、

適当なものが思いつかず、妥協して決めたんちゃうか、

というような邦題。

まあ、良い邦題つけるの、難しいと思うけどね。

映画の方は、エンディングで (久しぶりに フランス映画観た) って思った。

イラクからのクルド難民が フランス最北端の町に

たくさんやってくる。

17歳のビラルもクルド難民。

イラクから何ヶ月もかけて歩いてやって来た。

そして、家族とロンドンへ移住した彼女に会うために、

イギリスへ密航しようとするが失敗して捕まってしまう。

それで ビラルは、ドーヴァー海峡を泳いで渡ろうと水泳を習い始める。

その水泳のコーチが、主人公シモン。

シモンが ビラルに水泳を教えていくうちにだんだんと

変わっていく。

ロンドンに渡った彼女は、家族のために

無理やり 嫌な結婚をさせられようとする。

一刻も早く、ロンドンへ行きたいビラル。

ドーヴァー海峡を10時間泳いで渡ろうとする、

17歳の命がけの恋の行方は・・・。


この映画を観て、以前観た 「扉をたたく人」 を思い出した。

本作も同様に 不法入国者の問題を描いている。

「扉を〜」 では、ニューヨークで シリア人が不法滞在で捕まったが、

本作、フランスでは、クルド人を捕まえるでもなく (捕まえても

すぐ釈放している)、祖国が戦争中のため、送還するでもなく、

そして、他国 (イギリス) へ出国させるでもない。

そのくせ、クルド人の世話をするフランス人を取り締まるという、

なんとも矛盾だらけの状態なのだ。

何かがおかしいが、どうしようもないということなのだろうか。


途中、「Welcome」 という文字が、映し出されるシーンがある。

それを観て、原題 「Welcome」 は、皮肉に感じた。

フランス人役者は、あんまり知らないが、

主役 シモン役の ヴァンサン・ランドン、

その別居中の妻 マリオン役の オドレイ・ダナ が良かった。


★★★▲☆





2011.6.4

ブラック・スワン

主演のナタリー・ポートマンは素晴らしい。

アカデミー賞 主演女優賞受賞だもんな。

でも、作品としてどうなのかと問われると、

正直、良く分からんかった。

バレリーナが 主演に抜擢され、プレッシャーから

精神が壊れていくということなんだろうが、

なんとなく、私の周波数には 合わなかった。

(あれだけ大きな劇場でバレーを踊るのに、

メイクさんもいないの?) とか、本筋と関係ないところが

気になった。

ちょっと残念。


★★★☆☆





2011.6.5

手塚治虫のブッダ

あんまり評判のよろしくない映画、

『手塚治虫のブッダ』 を観てきた。

10日ぐらい前かな、金券ショップで 1000円の前売り券を

700円で売っていたので買ったのだ。

最近では、その前売り券が 200円とか300円で

売られているという情報もある。

つまり、それぐらい評価が低いのだ。


私の感想を ひとことでまとめると、

「タイトルから 『手塚治虫の』 を取るべき」。

原作は、10年ぐらい前に読み、大変感動した覚えがある。

しかし、これは別の作品だ。

タイトルに 「手塚治虫の」 と付けたのは、あきらかに客寄せのためだと

思われても仕方ない内容。

手塚治虫が生きていたら、怒るんちゃうか。

まず、絵がイマイチ。

雑だとは言わないが、なんか魂がこもってないというか、

ていねいに描かれていない。

ちょっと手抜き感があると言ってもいい。

何かの付録DVDの解説アニメみたいな印象。

そして、どういうわけか、面白くない。

何がダメなんやろ?

演出? 脚本?

素晴らしい原作でも こんな風になるということに ショック。

映画の途中で 「もう出よかな」 と思ったの久しぶりだった。

前半は、ずっと説明くさくて、全く引き込まれることなく、

退屈だった。

後半、少しだけ引き込まれるところもあったけど、それもほんの少し。

ブッダの映画なのにブッダが生まれるまでに

30分ぐらい経過していた。

それまで、チャプラという少年の話なのだ。

(映画は2時間しかないねんから、話をブッダ一本に

絞った方が良かったのに) と、思って観ていた。

観終えてから、ネットで初めて知ったのだが、

これって、3部作の第1部らしい。

なるほど、続きがあるのなら あの終わり方も分かる。

原作どおり、チャプラの話から始まるのも分かる。

でも、「赤い砂漠よ! 美しく」 というよく分からんサブタイトルは

付いてるけど、これが3部作だとは、どこにも謳ってない。

公式サイトを見たけど、それらしいことは書いていない。

どっかにあるのかも知れないけど、少なくとも

トップページ、イントロダクションのページにはない。

Yahoo!映画の解説には、「3部作の第1部となる本作では〜」 と

書かれているんやけど。

もし、3部作の第1部なら、それを予め観客に分かるように

告知するのが、制作者の義務だと思うのだがどうか。

観たあとに (えっ?続きがあるの?) って思うのと、

最初から知っているのとでは、違うでしょ。

声優は、吉永小百合、堺雅人、吉岡秀隆 と豪華だが、

シッダールタの父、スッドーダナ王の声優が、

なんかえらい人のようやけど、セリフ棒読みで

聞いてられへんかった。

どういうわけで、この人を選んだのか、訊いてみたい。

いずれにしろ、たぶん、2部、3部は観ないだろう。

それなら、ゆっくり原作を読み直す方が良さそうだ。

(監督や演出が変われば続きも観てみたいけどね。)

最後に流れる主題歌 (X−JAPAN) も、イマイチ。

全体的に ヒジョーに 残念でした。


★▲☆☆☆



ところで、皆さんは 「ブッダ」 と聞くと、

何を連想されるのだろうか?

私は、人間 ブッダ と仏教は、全く別に捉えているのだが、

本作のレビューをネットで読むと、

「ブッダ」 と聞くだけで、「宗教的」 という反応を

持つ方が、少なからず いるようだ。

「手塚のブッダ」 は、宗教とは関係ない。

元々、ブッダ本人も宗教とは関係ない、と

私は思っている。

別に宗教が悪いと言っているのではないが、

「宗教的」 という枠に ブッダのことを入れると

せっかくの大切なメッセージを見落としそうで、

もったいないと思うのだ。





2011.6.22

さや侍

松本人志 脚本・監督の映画 『さや侍』 を観てきた。

本作は松本の 長編映画として 3本目になるが、

私は、1作目 2作目を観ていない。

どちらかというと、松本の笑いは好きな方だが、

どうも、映画になると がっかりしそうな気がして、

今まで (DVD でも) 観なかったのだ。

数日前、たまたまテレビで松本が 『さや侍』 について

語るのをチラッと観た。

それで、(ほう、面白そうやな) と思い 今回は観ることにした。

何が面白そうかと思ったかというと、

主役のおっさん (素人) に、主役だと知らせずに、

松本の撮る映画だとも知らせずに、撮影を進めたというのだ。

そんな映画撮影、ないだろう、普通。

それでも、どこかで微妙な感じだろうな、と勝手に想像していた。

前半、そんな予想は的中し、全くと言っていほど面白くない。

ナンセンス過ぎて、下らなさ過ぎて笑えない。

(えっ〜? これで最後までいくんとちゃうやろな) と

思っていたら、後半、思いも寄らぬ展開に・・・。

そして、あるシーンで不覚にも落涙してしまった。

(それ、ずるいな) って感じ。

賛否両論あるようだが、ストーリーや登場人物のキャラに

まともに反応して、批評する作品ではないだろう。

撮っているのが、松本だと忘れてはならない。

だが 私には、コメディではなかった。

だから、同じことを違う設定で表現して欲しかったな。

出演陣は、娘役の 熊田聖亜 が良かった。


私の見間違いでなければ、最後の最後に松本本人が、

チラッと登場する (ように見えた)。

誰か確かめてきて。

あと、勝手な想像だが、彼も父親になったからこそ、

撮れた作品ではないかと思った。


★★★▲☆





2011.6.26

SUPER 8

「『ET』 以来の最高傑作」 とか宣伝してる

スピルバーグ製作 『スーパー8』 を観てきた。

期待はずれ。

予告編観て、(ちょっと面白そうかな) と思ってたけど、

残念でした。

数日前の朝、テレビで、冒頭の列車事故のシーンを10数分、

ノーカットで流してた。

(なんで、こんなことするんやろ? もしかしたら・・・) と

思ってたら、やっぱりって感じ。

前半、謎が多く 面白い分、後半、(なんだかなぁ) って感じ。

YAHOO!映画の解説には、

「観客の度肝を抜くような衝撃的な展開に期待」 と

あったが、こんなんで 度肝なんか抜かれへんで。

でも、最後におまけで流れる 8ミリ映画は面白かった。

あと、エル・ファニング はやっぱり良かった。


★★★☆☆





2011.6.29

ゲンスブールと女たち

昨日は、映画 『ゲンスブールと女たち』 を観てきた。

上映映画館 (渋谷 Bunkamura の ル・シネマ) の

1000円の日 (火曜日 1000円) だったせいか、満席だった。

見渡したところ、観客の80、いや90%が 女性だ。

本作は、女性に人気のようだ。

さて、『ゲンスブールと女たち』 は、実在した フランスの

天才 作詞作曲家、セルジュ・ゲンスブール の物語。

私は、フレンチ・ポップスには明るくなく、ゲンスブールのことも

知らなかった。

1ヶ月ほど前、偶然ある雑誌でこの写真を見た。
                      ↓


あまりに素晴らしい写真で、大きくしたポスターが欲しいと

思ったほど。

そのあと、これが映画の1シーンだと知った。

それで、(この映画は是非観たい) と思っていたのだ。

上映が 今週いっぱいなので、ようやく昨日、観て来たというわけ。

物語は、ユダヤ人で あんまりイケメンでない、

全くパッとしない ゲンスブールが、作曲家として成功し、

次から次へと女にモテるという、カリスマ的アーティストの

波乱に満ちた人生 (実話)。

その女性の中には、ブリジット・バルドーや、

3人目の奥さんになるジェーン・バーキンや、フランスの

有名な歌手など、とにかくモテモテ。

面白いのは、ゲンスブールも、バルドーも本人そっくりの

役者が演じている。

上の写真は、バルドーにせがまれ、ゲンスブールが自作の曲を

彼女に聴かせているシーンだ。

監督は、ジョアン・スファール という ゲンスブール を

敬愛するフランスの漫画家。

漫画家らしく、ユニークな演出だ。

オープニングで アニメが登場するが、

これが味のある絵で大変良い。

一番、面白かったシーンは、ゲンスブールがバルドーと

恋仲だと知ったときの、ゲンスブールの父親の喜びよう。

声出して笑ってしもた。

惜しかったな、と思うのは、パッとしなかったゲンスブールが

どうしてもてるようになっていったのか、あんまり描かれていない。

ある日、突然、モテ出してしまうのだ。

でも、面白いことにだんだん渋い男に見えてくるから不思議。

あと、難しい部分もあったので、きっと 時代背景やフランスのこと、

もっと詳しければ、楽しめるんだろうな、と思う。


余談だが、作品中、ゲンスブールが 裸で眠っているシーンと、

お風呂に入っているシーンと 2度、彼のチン○が映る。

一昔前なら、ぼかしが入っていただろうが、

最近は ぼかさなくなったようで、そのまま映っていた。

その方がいい。

ぼかすと、余計にそこが目立って いやらしくなるのだ。

映倫も進歩しているのだな。


ゲンスブールと女たち 公式サイト


★★★▲☆





2011.6.30

127 時間

いやぁ、凄かった。

久しぶりに 心を揺さぶられる 映画だった。

今年、アカデミー賞に 6部門 ノミネートされていながら、

残念ながら、受賞はなかったのだが、

私としては、本年 No.1 は、ほぼ決定でしょう。

(今年後半、よほどの映画に出逢わない限り。)

どれくらい、凄かったかというと、映画を観終えた帰り道、

映画を観る前と 違う自分になっているかのように

錯覚したほど。

いや、ホントに違う自分になっているのかもしれない。


登山中に岩に腕を挟まれ、

身動きできなくなった アーロン・ラルストン の物語。

誰にも行き先を告げずに一人で来たもんだから、

当然、助けなんか来ない。

水も食料もすぐに底をつく。

さて、どうするのか。

これ、実話なのだ。

予告編で 「究極の〈決断〉」 という言葉が使われていたので、

(ってことは、もしかしたら・・・) と 思っていたら、

その “ もしかしたら ” でした。

あらすじを聞いただけで、(彼は助かったんだろうな) と

いうことは、想像がつくと思うので、多少ネタバレになるかも

知れないが書かせていただく。

私は後半のあるシーンで、突然、涙が止まらなくなり、

嗚咽をこらえるのが大変だった。

それまでも スクリーンに釘付けだったのだが、観ながら、

(これ、感動する映画とは違うんや) と思うほど、

淡々と進んでいたのだ。

そのシーンは、彼が岩に挟まれていた所から

脱出した後に訪れる。

つまり、(ああ、こうして助かったんやな) ということが

分かったあとに来るのだ。

もう (映画も) 終わりだと思っていたのに、

そのシーンで 急に何かが、変わってしまった。


監督は、『スラムドッグ $ ミリオネア』 で

アカデミー賞を 受賞したダニー・ボイル。

主役 アーロンを演じるのは、ジェームズ・フランコ。

どっかで見たことあるけど 思い出せず、調べてみたら、

スパイダーマンの友人役の人だ。

全然、印象が違う。

主演男優賞 ノミネートも分かる迫真の演技。

そして、最後に アーロン・ラルストン ご本人の映像もあり、

「これは、実話なのだ」 と改めて突きつけられる。


人生は、あの岩のように思い通りでない。

しかし、あきらめない、意志の強さに 道は開ける。


★★★★★


127 Hours 公式サイト





2011.7.17

海洋天堂

『127時間』 を観に行った時に、予告編を観て、

興味を持った作品、『海洋天堂』 を 昨日 観てきた。

7月9日に公開された、この映画、ジェット・リー という

メジャーな役者が出演しているにも関わらず、

本日時点で、東京・大阪・兵庫の各1映画館、

計3館でしか上映していない。

(これから徐々に各地で上映される予定。)

日本では公開の予定がなかったのに、関係者の努力で

公開にこぎつけた、という記述も読んだ。


さて、物語は、21歳の自閉症の息子ターフー (ウェン・ジャン) と、

その父親 シンチョン (ジェット・リー) の物語。

母親は、ターフーが7歳のときに亡くなっており、

シンチョンがひとりでターフーを育ててきた。

そのシンチョンが、末期癌で余命3ヶ月と診断される。

息子をひとりおいて逝くことを案じた彼は、心中を図る。

映画は、その心中シーンから始まる。

ここで2人が死んでしまったら、話にならないので、

お分かりいただけると思うが、2人とも助かるのだ。

いや、助かってしまうのだ。

そして、シンチョンは、ターフーがひとりでも生きていけるように、

教育を始める。


「心中」「自閉症」「癌」「余命3ヶ月」と、ヘビーな言葉が並んだが、

作品は、淡々としており、観ようによっては、あっさりしているとも言える。

この題材なら、もっと感動的に作ることも出来たのだろうが、

製作者の意図は、そこにはなかったんだろう。

ヘビーとも取れる状況でありながら、

作品を観ていると、ターフーからヘビーさは感じない。

また、シンチョンに 「自身の死の恐れ」 はなく、あるのは、

「息子への愛と責任」 だけだ。

これらが、本作を 「淡々と」 と感じさせているのだろう。

映画の最後に

「平凡にして偉大なるすべての父と母へ」 とテロップが出る。

親の子供への愛、その大きさ、深さと、

ターフーの父親なしで、人生をスタートさせる無垢な強さ、

それらが、じわじわ、ゆっくり、心にしみ込んでくんるような作品だ。

(うまいこと書かれへんけど。)


ジェット・リーはもちろん、息子、ターフー役のウェン・ジャンが

素晴らしい。

途中、カメラワークの効果もあって、ドキュメンタリーかと

勘違いするほど。

ジェット・リーは、脚本を読んで感動し、即、出演を決めたという。

彼の初の ノー・アクション作品。

そして、ノー・ギャラ作品。

なんでも、彼は、スマトラ沖大地震に遭遇した後、

慈善活動に取り組んでいるらしく、本作にノー・ギャラで出演したらしい。

監督 シュエ・シャオルー も14年間、自閉症の方たちと接し、

ボランティア活動を続けてきた人。

彼女は、自閉症支援施設の現状に理解を深めて欲しいという思いから、

本作の脚本を執筆、監督した。

そういう人達が作った映画なので、どこまでも優しいのかも知れない。

本作の公開後、中国では自閉症の子供たちの基金が

3本設立されたらしい。


『海洋天堂 (OCEAN HEAVEN)』 オフィシャルサイト


★★★★☆





2011.8.4

劇団一の会 「坂口さんの秘密の小部屋」

昨年の9月に観て以来の 劇団一の会 の公演に行ってきた。

一の会の公演はこれで4度目。

友人の K彦が、劇団員の熊谷ニーナさんと

知り合いで、その関係で 観させていただいている。

今日の演目は、「坂口さんの秘密の小部屋」 というタイトルで、

ちょっと奇想天外なストーリーなのだが、

面白くて、ちょっと泣ける、素晴らしい作品だった。

映画 「スタンド・バイ・ミー」 と 「未知との遭遇」 を

合わせたようなお話、と言えば分かるだろうか。

(分からんよな。)

4回観に行った中では、最高傑作だと思う。

帰り道、K彦と 演劇について、

「本気ではやれないけど、やってみたいよな。

劇団作ろか。」

なんて、無責任に盛り上がったのでした。





2011.8.6

明日、8月7日は私の49歳の誕生日。

今日は 1日早いが 私の誕生祝いということで、

妻のプロデュース (何それ?) で、

ランチは 五反田 「リストランテ アンジェロ」 (イタリアン)、

ディナーは 六本木 「けやき坂」 (鉄板焼き) と超豪華。

どっちも おいしかったなぁ〜。

ダイエット中なのに、腹いっぱい食べた。

今週も順調に減量できたし、誕生日に免じて許そう。

そして今日は、映画を2本鑑賞。

ロードショーのハシゴは、久しぶりだ。

では、映画のレビューを。




人生、ここにあり!

イタリア映画。

原題は、『SI PUO FARE』。

イタリア語は分からんが、(たぶん) 意味は 『やればできる』 の

ようだ。

精神病院が廃止されたイタリアで起こった実話を元にした

ヒューマン・ドラマ。

『127時間』 を観に行ったときに予告編を見て、

(ぜひ、観たい) とその日に前売り券を購入していたのだ。

2008年の作品で、イタリアでは54週のロングラン・ヒットをしたらしい。

舞台は、1983年のミラノ。

労働組合員のネッロが、異動させられたのは、

法律の改定で廃止した精神病院を出され、

行き場のない元患者たちの集まる協同組合だった。

そこで、ネッロは彼らに、収入になる、普通の仕事をさせようと

改革を始める。

言ってみれば、自立支援だな。

少しずつ彼らが変化していく様、才能を発揮していく様は

感動的だ。

コメディ仕立てなのだが、扱っている問題はシリアス。

当然、何もかもがうまく行くわけではない。

途中、大きな事件が起こり、(この先どうなるんだろう) と

心配になる。

でも、観終ったあと、すがすがしい気持ちになれる、

希望のある素晴らしい作品だ。

お薦めできる映画だが、

東京は、シネスイッチ銀座の単館上映。

これから、地方で順次公開されていくようだが、

今日の時点では、東京の一館のみ。

全国各地で観られるわけではない。

こんなに良い作品、もっと たくさんの映画館で

やればいいのにな、と思うけど、色々事情があるんやろな。

笑えて泣ける、期待を裏切らない作品だ。

人生、ここにあり! オフィシャルサイト


★★★★★




アンダルシア 女神の報復

2本目は、『アンダルシア 女神の報復』。

『アマルフィ 女神の報酬』 に続く、外交官・黒田康作シリーズの

劇場版2作目。

観終えたあと、正直、前作の方が良かったと思ってしまったのは残念。

黒田を演じる織田裕二も前作の方が、かっこ良かったような気がする。

ドキドキ、ハラハラ感もそれほどなくて、

黒木メイサと伊藤英明も、ちょっと何かが物足りないかな。

黒木メイサは、最近どんどん良くなってるけどね。

そして前作同様、福山雅治出演の意味が分からん。

残念。


★★★☆☆





2011.8.7

BIUTIFUL ビューティフル

本日、49歳の誕生日に選んだ映画は、

ハビエル・バルデム主演のスペイン映画、

『BIUTIFUL ビューティフル』。

ハビエル・バルデムは、本作で アカデミー賞主演男優賞の

ノミネート、カンヌ国際映画祭 主演男優賞を受賞した。

この人、特別好きなわけでもないのだが、

『海を飛ぶ夢』 『ノーカントリー』 『コレラの時代の愛』

『食べて、祈って、恋をして』 と、出演作は割と観ている。

さて、本作の感想を。

舞台は、バルセロナ。

結構、闇の世界を描いているもんだから、

バルセロナのイメージは、悪くなるね、これ。

(フィクションなんだろうけど、ちょっとリアルなので。)

ハビエル・バルデム演じる主人公、ウスバルが癌のため、

余命2ヶ月を宣告され、残りの人生をどう生きるか、という物語。

そう聞くと、よくありそうな物語をイメージしそうだが、

これは、ちょっと違った。

148分という上映時間のせいもあるが、

ちょっと疲れるというか、沈むというか、へこむというか、

けして、希望のある映画ではない。

人生ってつらいんや。

残り2ヶ月の命でも、容赦なく大変な出来事が起こってくる。

自分の余命を知っても、人生の最後の整理ができる人なんて、

ほんの少数かも知れない。

重たい映画だが、感動とかそういうのではなく、

何かがジーンとくるのも確か。

監督は、『バベル』 のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ 。

そういえば、『バベル』 も重厚で難解だった。

本作、タイトルに反して 「ビューティフル」 な作品ではない。

何が、「ビューティフル」 なのか、いまだに不明。

「ビューティフル」 のスペルが違うのは、スペイン語のスペルかと

思っていたら、どうも違うようだ。

間違ったスペルなのだな。

確かにそれを示唆するシーンがあった。

何か、深い哲学的な意味があるのかも。


★★★▲☆


BIUTIFUL ビューティフル オフィシャルサイト





2011.8.14

山形より戻った。

美味い蕎麦屋や、ダリア園のことなど、

写真付でレポートしたいことがあるのだが、

それらは、明日以降にするとして、

今日は、観てきた映画のことを書くことにする。




コクリコ坂から

宮崎吾朗監督のジブリ作品。

彼の前作 『ゲド戦記』 は観ていないので、前作との比較なしで、

親父 (宮崎駿) が監督した作品との比較もなく感想を書きたい。

(ちなみに本作、企画・脚本は宮崎駿)

舞台は、1963年、東京オリンピック前の横浜。

主人公、高校2年生の少女と3年生の少年との

恋愛をさわやかに描いている。

特別、感動的ではないが、まあ、良かったかな。

ただ、主役の少女の声 (長澤まさみ) が、下手で

ちょっとどうかな、と思うシーンも少しだがあった。

声優は俳優陣を起用し豪華だ。

長澤のほかに、岡田准一、 竹下景子、石田ゆり子、

風吹ジュン、内藤剛志、大森南朋、香川照之。

こんなんでは、声優専門の人の仕事がなくなるのでは、

と余計な心配をしてしまう。

音楽 (武部聡志) は、ノスタルジックで良かった。

歌 (手嶌葵) も。


私は、1962年生まれなので、この設定が ど真ん中に

懐かしかったわけではないが、それでも 昔の洗濯機なんかが

出てきて、あの時代を感じることが出来た。

ちょっと違和感があったのは、

少年は自分の家のことを貧乏だと言うのだけれど、

「1963年現在で、家にテレビがあって、高校 (舞台になる高校は、

私学にしか見えない) に通っているなんて、貧乏とちゃうやん」

と思ってしまった。

しかも、国立に限られるとはいえ、大学に進学しようとしてるもんな。

この少年と同じ年代の私の叔父たちは、

働きながら夜間高校を出るのが精一杯だったようだから。

まあ、そんなこと本作には重要ではないのだけれど。

なお、本作、アニメと言っても、夏休みの子供向けではございません。


★★★☆☆





2011.8.15

英国王のスピーチ

今年のアカデミー賞では、最多となる12部門で

ノミネートされ、4部門 (作品賞、監督賞、主演男優賞、

脚本賞) で受賞を果たした作品 『英国王のスピーチ』。

原題は、『The King's Speech』。

ロードショーでは観そびれてしまっていたが、

目黒シネマで上映していたので、観てきた。

アカデミー賞以外にも たくさんの賞を取った作品だが、

それもうなずける素晴らしい映画だった。

実話をベースにしているということで、なおさら感動的。

舞台は、1920〜30年代。

吃音 (きつおん/どもり) に悩んでいた英国王ジョージ6世

(現在のエリザベス女王のお父さん) の物語。

彼は、次男だし 吃音のこともあって、王になんて

なりたくなかったのに、なんだかんだあって、国王に。

(吃音症になった背景も王族だからというのが、悲しい。)

国王と言えば、様々な場面でのスピーチがつきもの。

いや、国王にならなくても王子なら、スピーチの機会もある。

彼は、いろんな治療を試すが、効果が上がらない。

そして、言語聴覚士ライオネル・ローグ と出会う。

国王ジョージ6世 (王になる前はアルバート王子) も

素晴らしい人だが、この ライオネル・ローグ が素晴らしい。

医者でもなく、なんの資格もないのに経験だけで、

成果をあげてきた人なのだ。

最初は、ローグの治療に抵抗を示す王子も やがて、

彼に信頼を寄せ、王になる頃には ローグは、

なくてはならない存在になっていく。

国王といえども、人間だ。

人前で自分の欠点をさらけ出すのはイヤだっただろう。

しかも、国民が自分に注目しているのだ。

だが、彼にはその欠点を克服するしか選択肢がなかった。

その勇気とチャレンジが、感動的。

そして、本作では撮影というのか、カメラワーク、構図が

素晴らしいと思った。

何度も見とれるほど。

これは最近、私が写真を撮っているので、

そういう見方をするようになったのかも知れないけど。

良い映画でした。


★★★★★





2011.9.9

あしたのパスタはアルデンテ

約4週間ぶりの映画は、イタリア映画、

『あしたのパスタはアルデンテ』。

いわゆる、ハートフル・コメディ というのだろうけど、

もうちょっと良い映画に仕上げられたんじゃないかと思える、

残念な、不完全燃焼な感じが残った。

パスタ会社社長の息子トンマーゾは、会社を継ぐのではなく、

小説家になりたいと思っている。

そして、そのことも、自分がゲイだということも隠していた。

思い切って、そのことを家族に打ち明けようと 決心し、

まず、兄に話す。

そして、いよいよ皆に告白しようとした矢先・・・

その矢先、あることが起こるのだが、

その 「あること」 が、予告編を見ると分かってしまう。

もし、そのことを知らずに見たなら、その部分は

もっと 驚きで、もっと 楽しめたような気がする。

つまり、予告編が ネタばらしなのだ。

で、それ以上の驚きは、本編にはない。

こりゃいかんな。

本作には何やら、深いメッセージもあるのかもしれないが

分かりにくい。

そこそこ、笑えるシーンもあるので、惜しいと思う。


原題は、『Mine Vaganti』 で、

直訳すると 「浮遊機雷」 という意味らしい。

『あしたのパスタはアルデンテ』 という、

この邦題のセンスは、どうなんだろうな。


★★★☆☆





2011.9.15

ゲット・ラウド

これは、マニアックな、マニアックな、ドキュメンタリー映画。

このひとりごとをお読みの皆さんのなかで、

この映画に興味がある人は、いるのだろうか。

今日、六本木のTOHOシネマズで、21:25からの上映を

ひとりで 観たが、観客は12〜13人ほどだった。

U2 の ジ・エッジ、レッド・ツェッペリン の ジミー・ペイジ、

ザ・ホワイト・ストライプス の ジャック・ホワイト という

ギター弾き 3人が、ギターと音楽について語り、

一夜限りのセッションをするという内容。

ちなみに私は この 3人のファンではない。

レッド・ツェッペリン も U2 も、聴かないし、

ジャック・ホワイト に至っては、この映画で

初めて知ったほどだ。

それでも、「エレキ・ギターの映画」 と聞けば、

観ないわけにはいかない。

それぐらい、「エレキ・ギター」 が好きだ。


映画は最後に、世代も出身も違う、この 3人がアコギで、

ザ・バンドの 『ザ・ウェイト』 を演奏して終わる。

(あれ? エレキ・ギターの映画ちゃうの?

なんで、アコギ?)

と 思ったら、私の思い違いで、

別に 「エレキ・ギターの映画」 というわけではない。

これは、ギターと音楽と人生のドキュメンタリー。

(演奏シーンのほとんどは、エレキギターやけど。)


マーティ・フリードマン は、本作を

「ギター・マニアのファンにはこれはエロビデオじゃん!」

と言っているが、私はジミー・ペイジより、エリック・クラプトン や

ジェフ・ベック の方が好きということもあってか、

残念ながら、それほど楽しめなかった。

でも、ジミー・ペイジが セッション・ギタリスト

(スタジオ・ミュージシャン) として、成功していたのに、

創作的でない仕事に嫌気がさして、自分の音楽を始める話や、

古いレコードをかけて、子供のようにうれしそうに語る姿は、

良かった。


★★★☆☆


ゲット・ラウド  オフィシャルサイト





2011.9.18

今日は、ロードショー邦画の二本立てだ。



うさぎドロップ

松山ケンイチと最近超売れっ子の子役、

芦田愛菜 主演のヒューマン・ドラマ。

原作は、人気コミックということだが、私は知らない。

27歳独身のダイキチ (松山ケンイチ) は、

亡くなった祖父の隠し子の6歳の少女りん (芦田愛菜) が

施設に入れられそうになるのを見ていられず、

自分が引き取ると 言ってしまう。

あとは、想像通りのドタバタあり、笑いあり、涙ありの物語。

残念なのは、演出・脚本の悪さか、(それはないやろ) という

白々しいシーンがあった。

あのシーンは 要らんし、やるならもっと上手く見せて欲しいな。

芦田愛菜はテレビや映画で 観ているが、

本当にかわいらしいし、演技も上手い。

本作は、原作ファン、アニメファン (テレビでやっているようだ) には、

評価が低いようだが、私は 先入観なく観たので

それほど悪くはなかった。


★★★★☆




探偵はBARにいる

札幌・ススキノを舞台に、大泉洋 と 松田龍平 が

演じる探偵のお話。

「傷だらけの天使」 や 「俺たちの勲章」 とか、

なんとなく、昭和の匂いを感じる作品。

あの時代だったら、大泉の演じる探偵は、

間違いなく 松田優作 だな、などと思いながら鑑賞。

そんな作品に優作の息子が出演しているのも面白い。

大泉洋 と 松田龍平 のインタビューでは、インタビュアーが、

「実は、『探偵物語』 と本作には、同じにおいを感じました」 と

言っている。

私は、『探偵物語』 を 観ていなかったので、分からないが、

たぶん、「昭和の匂い」 ということは、そういうことでもあるんだろう。

展開が最後まで読めず、(たぶんこういうことだろう) という

推測も、いったんは当たるのだが、その後、ひっくり返されたりと

ストーリーも 中々こっている。

アクションも スタントは、ほとんどなしで撮影したらしいが、

これも見所だ。

娯楽作品としては、充分楽しめるのだが、

暴力のシーンも多く、ちょっと痛い。

でも、シリーズ化して欲しいな。

大泉も、松田もとても良い。

そして、あんまり好きじゃない 高嶋政伸 が、

悪役で出演してるのだけど、初めて良いと思った。

この人、こういう悪人役の方が良い。

あと、カルメン・マキが 歌手役で出演してたのに ビックリ。


★★★★☆





2011.9.25

MISERY

昨夜は、珍しく DVD (映画) をレンタルして 観た。

先日、ある人と話していて、たまたま話題に出た 『ミザリー』 だ。

スティーヴン・キング原作で、1990年の作品。

20年位前、友人宅で 数人と ビデオで 観たのだが、

何の予備知識もなく観たせいもあってか、

もの凄く怖かった覚えがある。

なので、出来れば、まだ観ていない人は、

これを読まずに DVD をレンタルして観て欲しいのだが、

そうわけにもいかないので、ネタバレのないように書こう。

先日、その話が出たときに、「怖かった」 ことは、

良く覚えているのだが、細かい部分は、

ほとんど覚えていないので、もう一度観ようと思ったのだった。

さすがに、昨日は初めて観た時ほど怖くはなかったが、

それでも、結構ハラハラしたね。

本作は、ホラー映画ではないが、怖いのだ。

何が 怖いって、キャシー・ベイツ演じる アニー という女。

キャシー・ベイツは、本作で、アカデミー主演女優賞を受賞し、

ハリウッドの仲間入り。

それまで、彼女は舞台女優だったらしい。

昨日、観ていて、途中 気になったところがあった。

保安官が、ある本を読んでいて、その本の中の

一節をメモるのだが、そのメモが、後に大事な役目をする。

何の脈略もなく、メモしたように見えたので、

(そんなうまいこと、その文章だけ、メモするかぁ?) って

思いながら観ていた。

本編鑑賞後、監督や脚本家、出演者のトークの

特典映像を観ていたら、保安官は、その文章をどこかで

読んだことを覚えていたので、メモをとったと 話していた。

保安官は、いちいち説明しないキャラの設定だったのでね。

なるほど、それなら良く分かる。

たまたま、特典映像まで観たから分かったけど、

(ああ、注意深く観てないと、分かってないんやな) と

思ったのでした。





2011.10.4

DOG×POLICE 純白の絆

昨日は レイトショーで、市原隼人 主演の映画

『DOG×POLICE 純白の絆』 を鑑賞。

9時過ぎの上映だったせいか、お客さんは10人もいなかった。

テレビの CM を観ただけで、大体どんな映画か

想像のつくような、ベタな 本作を観ようと思ったわけは、

妻があまりに私のことを 「市原隼人に似ている」 と言うので・・・

・・・・


というのは、嘘です。

ただ単に、観たかっただけ。

いやぁ、市原君 良かったよ。

予想通り、熱い男を演じていたね。

あんなにまっすぐで、純粋で、正義感が強く、

ちょっと不器用で、しかもキリッとしたまなざしが

さわやかな男がそばにいたら、たいていの乙女は、

いかれちまうだろうな、って感じ。

あの熱さが、ちょっと トゥーマッチだという意見もあるけどね。

共演の 戸田恵梨香 も良かった。

『阪急電車 片道15分の奇跡』 では良かったけど、

『アンダルシア 女神の報復』 ではイマイチだったので、

本作で挽回やな。


映画自体は、前半、かなり良かったんやけど、

惜しいことに 最後の20〜30分、ちょっと失速したな。

ラストは、まあ あの終わり方でも、良いと思うけど、

クライマックスが な〜んかイマイチ。

原因は、いくつかあるやろうけど、

そのひとつに予告編やテレビCMがいかん。

市原のあの 「お前は俺のバディだ」 っていうセリフ、

物語の中で非常に意味のある言葉なのに、

予告編やテレビで知っていたがために、あのシーンの手前で、

(ああ、ここであのセリフ言うねんな) と ばれてしまい、

感動が半減するのだ。

たぶん、知らんかったら、もうちょっとグッときたんちゃうかな。

先日も 『あしたのパスタはアルデンテ』 で似たようなこと

書いた。

映画会社は、予告編やCMの作り方を考えてほしいもんだ。

それと、細かいところで、突っ込みたいところがいくつかあった。

例えば、

(犬、大きなんのどんだけ早いねん!)

(なんで、ここ警備してないねん!)

(なんで、いつもパンツ一丁やねん!)

(この状態で、市民 避難させへんのかい!)

(そんなんの下敷きになったら、死ぬで!)

(普通、1本ずつ どけるやろ!)

(そんなんで その鉄骨動けへんで!)

(もう、とっくに時間過ぎたで!)

(そんな爆発したら、えらいことやで! いっぱい死ぬで!)

(いつのまに、恋、芽生えてん!)

でもまあそれらは、市原君の熱さに免じて許してあげよう。

えらそうに。


ところで本作に出てくる犬、「警察犬」 だと思っていたら、違った。

「警備犬」 というのだ。

「警備犬」 っていう犬がいることも知らんかった。

「警察犬」 と 「警備犬」 の違いは、劇場で!


★★★▲☆





2011.10.7

劇団一の会 「ひまわり」

8月に公演を観に行った 「劇団一の会」。

その秋公演 「ひまわり」 を観てきた。

劇団一の会の公演は、これで 5回目だ。

前回の 「坂口さんの秘密の小部屋」 は、

とても面白かったのだが、今回の作品は、

ちょっと難しかったな。

どうも、シェイクスピアの 「リア王」 が下地に

あったようなので、「リア王」 を知っている人には

楽しめたのかもしれない。

でも、前半、何がなんだか分からない状態から、

少しずつ 背景を観客に理解させていく展開は、

良かった。





2011.10.10

はやぶさ

小惑星探査機 “はやぶさ” の奇跡の帰還を

映画にした 『はやぶさ』 を観てきた。

主演は、竹内結子、西田敏行。

佐野史郎、高嶋政宏、山本耕史、鶴見辰吾 らが、

脇を固めている。

本作は、実話を基にしているので、結末は分かっている。

それなのに、はやぶさが地球に帰ってきたシーンは

感動的。

ミッションの達成のため、はやぶさ自身は大気圏で焼けて

なくなってしまう。

その姿が、涙を誘う。

ニュースでの断片的な知識しかなかったが、

はやぶさの成したことがいかに偉業か、本作を観て

良く分かった。

また、宇宙を舞台にした実話ものでは、『アポロ13』 もそうだったが、

「あきらめない」 ことの凄さ、チームワークの素晴らしさ、

人間の可能性の大きさを教えてくれる。

来年公開予定の 『はやぶさ 遥かなる帰還』 (渡辺 謙 主演) も

楽しみだ。


★★★★☆





2011.10.12

ツレがうつになりまして。

堺雅人、宮崎あおい 主演の

『ツレがうつになりまして。』 を観てきた。

原作は、細川貂々のベストセラー・コミックエッセイ。

2009年には、テレビドラマ化もされているが、

原作は未読、テレビドラマも知らなかった。

うつになったサラリーマンの夫、通称ツレ (堺雅人) と

その妻、晴子 (宮崎あおい) 物語。

似たような設定では、妻が うつ になる、

2008年の映画 『ぐるりのこと』 があったが、

本作は、だんなが うつ になる。

『ぐるりのこと』 のことは、シリアスな映画だった印象があるが、

本作は、原作がコミックエッセイということもあってか、

それほど深刻ではなく、どことなく ゆるい雰囲気だ。

それでも、ホロリとくるシーンもある。

特に うつ を乗り越えてからの夫婦の姿が良い。

そして、知らなかった うつ について知れたことも良かった。

最後のファンタジーっぽい演出は、微妙。


★★★★☆





2011.10.26

ランゴ

あるサイトで、

「新感覚 エモーション・ピクチャー・アニメーション」 と、

紹介されていた、映画 『ランゴ』 を観てきた。

(なんのこっちゃ、分からんがな)

先週の土曜日公開で、品川プリンスシネマでは、

今日は水曜日で、女性1000円の日にも関わらず、

思ったより、ガラガラだった。 (19:10〜の回)

本作、フルCGなのだが、役者が実際に演じたものを

モーション・キャプチャーという手法でアニメにしているらしい。

アニメとは、思えないほどリアルで、所々実写ではないか、

と思うほど。

そして、登場人物 (?) がカメレオン、カエル、蛇、亀、

ねずみなどで、リアルすぎてやや気持ち悪いところもあった。

ジョニー・デップが主役のランゴを演じていることが、

最大の宣伝文句のようだが、正直、誰が演じていても

同じような気がした。

声は、ジョニー・デップだけどね。

これ、吹替え版で観たら、全然、ジョニー・デップの

映画じゃなくなってしまうな。


ストーリーは、ベタな西部劇で、どうってことないが、

少しだけ、哲学的な部分もあって、そこは良かった。

絵は、見てると面白いが、映画としては (もうちょっと) って感じ。

フクロウのバンドの楽器演奏シーンは、細かく作られていて

中々良い。

★ひとつは、CG の素晴らしさに付けた。


★★★★☆


主役のランゴ





親愛なるきみへ

『ランゴ』 にあまり満足できなかったので、

続けて、21:25からの 『親愛なるきみへ』 を鑑賞。

こちらの方がやや混んでた。

しかも女性が多かった。

以下、ネタバレ注意。

舞台は、2001年のアメリカ。

2週間の休暇で帰省中の軍人 ジョン (チャニング・テイタム) が

女子大生のサヴァナ (アマンダ・サイフリッド) と恋に落ちる。

ジョンは、1年で軍を除隊すると約束するが、

9.11の アメリカ同時多発テロが起こり、彼は、

任務の延長を申し出る。

その間にサヴァナは、他の男と結婚してしまう。

まあ、よくありそうな話なのだが、このサヴァナの結婚に

共感できる人と できない人とに 別れるようだ。

私は、男だからか 全く共感できず。

ひどい言い方をすると、女のわがままにしか思えなかった。

一応、結婚に至る事情があるのだが、

それでも、(ほかの選択肢もあるんちゃうの?) と

突っ込みたかった。

最後には、結ばれて終わるので、ハッピー・エンドと

言いたいが、結婚した旦那が癌で死んだおかげで、

結ばれることができたので、これまた 手放しで

喜べないような複雑な気持ち。

なんとなく、釈然としない。


ジョンの父親役に 『扉をたたくひと』 のリチャード・ジェンキンス。

エエ味 出してました。

タイトルの 『親愛なるきみへ』 は、ジョンが サヴァナへ

宛てた言葉だと、勝手に解釈していたのだが、

原題は、「DEAR JOHN」 。

サヴァナから、ジョンへ宛てた言葉だったんだ。

映画の冒頭にジョンが戦場で、被弾したとき、

「意識が遠のいていく中、最後に想ったのは・・・」

というセリフがある。

当然、最後に想ったのは彼女のことなんだろうな、

と思って観ていたら、後半に お父さんにそのことを

告白するシーンがある。

ジョンは、「最後に想ったのは・・・」 と言って泣いてしまい、

最後まで言わないのだが、どうみても、

「最後に想ったのは、お父さんのことだった」 としか

思えなかった。

ジョンのお母さんは、彼が小さい頃に出て行っており、

父親一人に育てられたという背景もあって。

アメリカ映画によくある、恋愛映画なのに親子のことも

描いている、というやつかな。

(えっ? 彼女のことちゃうの?) って、ちょっと戸惑ってしまった。


★★★▲☆





2011.11.9

1911

辛亥革命100周年記念、

ジャッキー・チェン映画出演100本記念の歴史巨編、

『1911』 を観て来た。

私は、世界史が苦手で、(というよりも嫌いで)

高校2年生だったか3年生だったかのテストで、

4点を取ったことがある。

(もちろん100点満点で。

0点かも、と思っていたのに、適当に書いた答えが

合っていたので良く覚えている。)

そんなわけで、日本の時代劇は別として、

歴史モノはあんまり観ないのだが、

本作は、予告編を観て興味を持ったのだった。

ジャッキーの前作 『ベスト・キッド』 が良かったこともある。

ところが、「辛亥革命」 とあっても、読み方も分からない私には、

やはり、少々難しかった。

もっと、ジャッキー演じる黄興 (コウコウ) 個人のことを

描いている映画かと思っていたのだが、

革命全体を描いている作品で、革命の背景や、

中国の歴史にある程度 明るくないと、

あんまり良く分からないし、感情移入も起こらない感じ。

日本語吹替え版で観たのだが、もし字幕版で観ていたら、

もっとチンプンカンプンだっただろう。

かろうじて、袁世凱 (えんせいがい) は、

『坂の上の雲』 (これもがんばって読んだなぁ) に出てきたので、

知ってる名前だったけど、どういう人だったかは、

もう覚えてなかった。

力作なのは、伝わってくるけど、

ちょっと描く範囲が広すぎて、残念ながら、

テレビの特番的な印象を否めない。


革命は成功し、皇帝は退位するのだが、

革命の指導者、孫文の理想の民主主義 (?) は、

今の中国で実現されているようには思えない。

なのに、こんな映画が作られることが興味深い。

いや、

だから作られたのかな。


★★★☆☆





2011.11.16

しあわせのパン

来年、『しあわせのパン』 という映画が公開される。

原田知世と大泉洋の主演だ。

2人は夫婦で、北海道・洞爺湖のほとりにある

小さな町で パン屋&カフェを営んでいる。

その店を訪れる人たちの人生を描くというもので、

良さそうな映画だ。

公式サイトで予告編が観られるので、

興味のある方は、チェックしていただきたい。

Panetteria ARIETTA は、この映画のサポーター店として、

現在店頭にポスターを掲示中。

近日中には、『しあわせのパン』 公式ブログにて

サポーター店として紹介される予定だ。

何よりもタイトルがええよな。



1月21日 北海道先行ロードショー
1月28日 全国ロードショー



公式サイトは、アクセスするたびに写真が変わるという

楽しい しかけだ。





2011.11.19

アントキノイノチ

岡田将生、榮倉奈々 主演の

映画 『アントキノイノチ』 を観てきた。

タイトルは 何やらコミカルだが、

ストーリーはいたってマジメ。

重たいお話。

原作は、さだまさし。

予告編を観て、良さそうだと思って観た。

悪くはなかったし、結構 泣けたが、「う〜ん」 って感じ。


岡田演じる 杏平、榮倉 演じる ゆき は、

遺品整理業の会社に勤めている。

2人とも高校時代の事件で心に傷を負っている。

で、その2人に何があったかが、

徐々に解明されていき、再生の道を歩むという話だ。

でも、そこより、遺品整理業ら話を広げた方が、

良い映画になったんじゃないかと思った。

ま、そうすると、『おくりびと』 の二番煎じと言われるかも

知れないけど、遺品整理業も凄い仕事だ。

知らなかったけど。


(以下、ネタバレ注意)

前半、(ちょっと失敗したかな) と思うほど、

作品に入り込めなかったが、後半、「再生」 が

キーになるあたりから、良い場面が増えてきた。

ただ、最後にヒロインが死んでしまうのは、

(そんなことしたら、みんな泣くでしょ) って感じで、

ただ、泣かせるための展開のような気が

しないわけでもない。

せっかく、生きる気になったんだから、

生かせてやれよって感じ。

まあ、彼女が子供を助けて犠牲になるということに、

意味があるのかも知れないけど。

それでも、違う終わり方は なかったのかな、と思う。

あと、突っ込みたいところも結構あった。

高校の山岳部の登山で、生徒だけで、

あんな危険なところに行かすわけないでしょとか、

同級生に殺されかかったイジメっ子が、

イジメをやめない、そんな根性悪いやつおるか、とか

(おるかもしれんけど)、あと、

冒頭の岡田君のヌードは、何の意味があったんやろ、

とかね。

原作どおりなのかどうか分からんけど、

もうちょっとリアリティ持たせて欲しかったな。

でも、役者さんたちは良かった。

岡田も 榮倉も 難しい役を熱演していた。

榮倉の映画は、初めて観たけど、いいね。

彼らの上司役、ネプチューンの原田泰造も良かった。

私は、基本的に芸人が映画に出てくるのを

好まないが、本作の泰造は良かったね。

それと、ちょっとだけ登場する柄本明。

いつものことながら、やっぱり、上手いな〜。

あんなちょっとだけの役で、泣かせてくれるねんもん。

凄いわ。

そんなわけで、作品としては惜しいです。


★★★▲☆





2011.11.20

が〜まるちょば JAPAN TOUR 2011

今日は、「が〜まるちょば」 の公演に行ってきた。

(@天王洲銀河劇場)

10日ほど前、仕事関係の方から、チケットを頂いたのだ。

その人は、が〜まるちょばが好きで、ご家族で何度も

観に行ってるようだ。

私たち夫婦も、が〜まるちょばが好きで、

今までに4回観に行っている。

その人は、そうとは知らずに 「面白いものがあるよ」 と下さったのだが、

今回は、チケットを取っていなかったでの超ラッキーだった。

行ってみると前から2列目の中央付近という、

最高の席だった。

が〜まるちょばは、言葉を一切使わないサイレント・コメディ。

4年前に知って、観に行くようになった。

今日は、今まで以上に観客を巻き込んでの 「が〜まるSHOW」 と

新作の 「マジシャン」、メインの出し物も 「Hello Goodbye」

という新作。

「Hello Goodbye」 を観ながら、

ある意味、コメディという枠を越えて、芸術になりつつあると感じた。

ステージ上は、2人で演じているため、着替えなどの時間がかかり、

また、言葉で説明しない分、どうしても間延びしてしまうときがある。

それだけが残念だが、芸は一流で、大人でも子供でも楽しめるので、

知らない人は、ぜひナマで観てほしい。

たまにテレビに出てるけど、舞台を観ないと彼らの凄さは、

分からない。

休憩をはさんで、2時間15分、たっぷりやるからね。


言葉がないので世界中で通じるのだ。
  ↓
が〜まるちょば





2011.12.5

しあわせのパン

先月も ここ に書いたが、原田知世と大泉洋の主演の映画

『しあわせのパン』 が来年、公開される。

Panetteria ARIETTA が、その映画のサポーター店として

ブログに紹介された。
 ↓
【サポーター店NO.26】 パネッテリア アリエッタ





2011.12.8

マネーボール

公開日 (11月11日) より、ずい分前に前売り券を

購入していた ブラッド・ピット主演の映画 『マネーボール』。

今日で、上映を終了するという渋谷のシネパレスで

やっと観ることができた。

『マネーボール』 は、アメリカ・メジャーリーグの貧乏球団、

オークランド・アスレチックス を「マネーボール理論」 で

常勝チームに導いたブラピ演じる GM (ゼネラル・マネージャー)

ビリー・ビーンの物語。

一部、フィクションもあるようだが、基本的には実話。

ほとんど野球を観ない私でも充分楽しめて、感動できる作品だった。

ビリーの目的達成のためのあきらめない精神、実行力、

自分を信じる力が素晴らしい。

ただし、どちらかというと、彼はヒーローという風には

描かれていない。

自身、選手として大きな期待をされプロになるが、

成績を残せず、数年で 裏方にまわったという

いわば挫折の経歴がある。

そして、一瞬で仕事を失うプロ選手のシビアな世界、

解雇やトレードを選手に告げるストレートな会話など、

(ああぁ、私には無理) と思うことも多いが、刺激的だし、

学ぶことが多い。

それらが実話ということが感動的。

ビリーの娘 (12歳) がギターで弾き語る曲がこれまた泣ける。

あと、開幕試合でアメリカ国家を ジョー・サトリアーニが

(ギターで) 弾いていてビックリ。

惜しかったのは、エンドロールの時の音楽が、もうちょっと

違う方が良かったな。

でも、良い映画でした。


★★★★▲


ちなみにウィキペディアで、ビリーご本人の写真が見られる。

なんと、1962年生まれで、私と同じ年だ。





2011.12.11

ミッション:8ミニッツ

ジェイク・ギレンホール主演の映画 『ミッション:8ミニッツ』 を

観てきた。

列車爆破事故の8分前に、犯人を見つけるために

事故の犠牲者の意識に入り込むというSF。

爆弾と犯人を見つけるために何度も何度も

爆発8分前の列車へ 「転送」 されるわけだが、

少しずつ、謎が解き明かされていく。

爆発事故そのものは過去のことで防ぐことは出来ないのだが、

犯人が企てている次の爆破を防ぐことが目的。

だが、ジェイク演じるスティーヴンスは、

乗客を救えるんじゃないかと、思い始める。

正直、アクション&サスペンスものだと思っていたら、

なんと途中、えらい泣いてしまった。

ただのSFでは、ない。

設定などは、考えると混乱するので、

あんまり深く考えないが、パラレル・ワールドと考えた方が

良いのだろうな。

前半、全然良いと思わなかった、ミシェル・モナハン 演じる

クリスティーナが、最後にはめちゃくちゃ愛おしくなってしまった。

それにジェイクは、やっぱりいい。

彼の出演作は、『ムーンライト・マイル』『マイ・ブラザー』が好きだが、

本作もGOOD。

ハラハラドキドキした面白い、そして ぐっとくる良い映画でした。

ただ、「ここで終わったら良いのに」 というところで終わらず、

少し続きがあった。

その部分が、深い意味を持つという意見もあるようだが、

私には不要で、その前の感動的なシーンで終わって欲しかった。

そこで終わっていたら、★5つだったのにな。


★★★★▲ (実際は、4.8ぐらいね)


余談。

グッドウィン大尉 (ヴェラ・ファーミガ) が、

どうも 田中万紀子に見えて仕方なかった。

監督の ダンカン・ジョーンズ は、あのデビッド・ボウイの息子。

本作が2作目なのだが、1作目の 『月に囚われた男』 も

興味があったのに見損なってしまった。

DVD レンタルで観るか。



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