2017年 2月
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2017.2.2
松元ヒロ&立川志らく 二人会
松元ヒロは「談志まつり 2014」で、
立川志らくは「渋谷に福きたる SPECIAL 2014」で
それぞれ一度ずつ観ているが、両方とも
面白かったと記憶に残る芸で、
機会があれば、また観たいと思っていた。
今日は、そんな二人の会。
開演時刻19時ちょうどに松元ヒロがステージの登場。
松元ヒロは、落語ではなく
「スタンダップコメディ」と呼ばれるいわば漫談。
以前は、コントグループ「ザ・ニュースペーパー」に
いた人だと今日初めて知った。
テレビに出ることはない。
というのも、政府批判や憲法、皇室などを
ネタにしているので、テレビでは放映できないらしい。
テレビで観られない芸が観られるというので、
テレビ局関係者が、ライヴを観に来るのだという。
今日も、トランプ大統領や安倍総理を
バサバサと切っては、笑いを取っていた。
ワンマン・ライヴにも行ってみたい。
松元ヒロのあと、15分の休憩をはさみ
志らくの落語。
演目は「紺屋高尾」。
もう、何人もの口演を聴いた噺だが、
素晴らしかった。
上手い。
ちょっと泣いてしもたもん。
花魁(おいらん)高尾太夫に恋をした
紺屋の職人 久蔵が、高尾に会いたい一心で、
3年間必死に金を貯めて、吉原へ行く。
紺屋の職人では、高尾に会えないというので、
醤油問屋の若旦那と偽って。
高尾には会えたものの、翌朝、高尾に
「今度はいつ来てくれる?」と問われ、
正直に事情を話すと、その久蔵の心に打たれた高尾は、
「来年の3月15日に年季が明けるから、
その時女房にしてくれるか」という。
そして、3月15日になって、
本当に高尾がやってくる、という噺。
今日の志らくヴァージョンでは、
数か所で独自の演出がされていた上、
多くの場合、「久蔵と高尾が夫婦(めおと)に
なって、始めた紺屋は大繁盛したとさ、
めでたしめでたし」っていう感じで終わるのだが、
夫婦になった後のエピソードが加えられていて、
それがまた、きれいなオチにつながっていた。
志らくの落語は、ほぼ3年ぶりだったので
「面白かった」という記憶しかなかったのだが、
あらためて聴いて感じたのは、談志の DNA。
それほど、談志を聴いていない私でさえ、
そう感じたのだから、やっぱり師匠は凄かったんやろな。
落語は「紺屋高尾」一席のみ。
前座は なし。
出演者は2人だけで、それぞれ50分弱の口演。
休憩を入れても2時間弱で終了という、
コンパクトなプログラムは、平日の夜にはありがたい。
【 演 目 】
スタンダップコメディ 松元ヒロ
〜 仲入り 〜
「紺屋高尾」 立川志らく
@ 渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール
2017.2.3
傾 城
「傾城(けいせい)」という言葉は、
落語を聴くようになってから知った。
昨日、志らくで聴いた落語、
「紺屋高尾」や ほとんど同じストーリーの
「幾代餅(いくよもち)」などでは、
大体「傾城に誠なしとは誰(た)が言うた」
という文が引用される。
落語を聴き始めた頃は、
全く意味が分からなかったが、
今では少しは分かるようになった。
「傾城に誠なし」の「傾城」は、
遊女のことで、「遊女には誠意がない」と
いう意味。
この「傾城」だが、
なぜ「城」が「傾く」と書くのか。
大名が吉原の花魁に入れ込んで、
お金をつぎ込み過ぎて、城が傾く、
というところから来ているのだという。
大名というのは、落語の世界に合わせてのことで、
実際はこの言葉は、古い中国の言葉のようなので
大昔から、男は遊女に金をつぎ込んできたんだろう。
調べていると、同じような意味で
「傾国」という言葉もあったよ。
「傾城に誠無しとは誰が言うた、
誠あるほど通いもせずに、
ふられて帰る野暮なお客の憎手口」
なるほどね。
春風亭昇太35周年落語会
「夜道に月あかり冴えて」
2月 1日から 7日まで、下北沢の本多劇場で
春風亭昇太プロデュース『下北沢演芸祭2017』が
開催されている。
そのうち 1〜3日は、春風亭昇太35周年記念落語会
として「夜道に月あかり冴えて」。
今日は、その 3日目最終日だ。
幕が開くと高座の横に、2畳ほどの畳が敷かれ、
ちゃぶ台、茶だんすが置かれている。
そこに昇太が横になっていて、
「夢を見た。桶狭間の戦いの夢を見た」と
飛び起きるところから始まった。
昇太は現在、NHK の大河ドラマ『おんな城主 直虎』に
今川義元の役で出演中なので、それに引っかけた
ネタのようだ。
その畳の部屋は、楽屋のようでもあり、
自宅のようでもある空間で、
ひとり言のように色んなことを言っては、
高座に上がり落語をし、降りてきては、
またそこで話をするという趣向で、
ちょっとオフなマクラといった感じだ。
落語は、師匠(春風亭柳昇)に習った、
たった2つの演目のうちの1つ「牛ほめ」、
昇太の若い頃の新作「悲しみにてやんでい」、
古典落語から「寝床」、
仲入りをはさんで「オヤジの王国」という4席。
前座やゲストはなく、
休憩をはさんで、2時間25分ほど
たっぷり昇太を堪能できる独演会だった。
自虐的なギャグもあったが、
自分を客観的に観た上で、ネタにしている感じ。
35年間には、色々なことがあったのだろうなと
思ったけど、ご本人は自分はラッキーだと
思っているようで(実際そうだろうけど)、
それがこの人の明るさと強さの基なんだろうなと感じた。
35周年落語会「夜道に月あかり冴えて」
出演:春風亭昇太
【 演 目 】
「牛ほめ」
「悲しみにてやんでい」
「寝床」
〜 仲入り 〜
「オヤジの王国」
@ 本多劇場(下北沢)
2017.2.4
アスファルト
ASPHALTE / MACADAM STORIES
2回目
昨年、劇場で観た80数本の映画の中で、
一番印象に残った映画「アスファルト」。
もう一度 観たいと思いながら
機会を逃してしまったが、
今日から、飯田橋のギンレイホールでの
上映が始まったので、早速観てきた。
昨年 観たときのエントリーを読むと、
可笑しくないところで笑う観客に反応している
自分がいるが、今日のお客さんは、
そんなことはなかった。
観る人たちによって、劇場の空気が違うのだな。
物語は、3組の男女の出会いを描いている。
中年男と看護師、
ティーン・エイジャーとちょっと落ち目な女優、
NASA の宇宙飛行士と移民の女性。
3つのストーリーが同時に別々に進行していくが、
よくあるように最後に繋がったりはしない。
同じ団地を舞台にしてはいるけど、最後まで別々。
そして、前回観たとき、ラストに衝撃を受け、
「意味不明の涙が溢れ出した」と書いたけど、
やはり、ラストはじ〜んときたね。
1回目ほどではなかったけど。
今回も泣けてくるのが、なぜかよく分からなかった。
不思議な感覚です。
そして、今回の観終えての感想は、
「6人の登場人物のことをもっと知りたい。」
マダム・ハミダ(アルジェリアからの移民のおばさん)の
息子はなぜ刑務所に入っているの?
シャルリ(ティーン・エイジャー)って
どういう人なの?
母親はどんな人なの?
好きな女の子は、どんな子なの?
ジャンヌ・メイヤーは、どうしてこの団地に
引っ越してきたの?
看護師は、どういう人物なの?
等々。
あまりにそれぞれの背景が描かれていないがために、
この人たちのことをもっと知りたいと
思ってしまったのだ。
でも、それは映画としては成功なんだろうな。
★★★★▲
2017.2.5
ライヴのお知らせ
先月、渋谷のカフェ MUD SPPOT で4曲だけ
デュオを演った アンドリューとのライヴが決まった。
彼は、日本に来て6年になるアメリカ人で
ある程度 日本語は通じるものの、
日本語での十分なコミュニケーションは難しい。
私の英語は、彼の日本語以下だ。
そんなわけで、(ちゃんと通じているだろうか)という
不安を抱えながら、昨日、日本語と英語を混ぜながら、
曲やリハーサルの日時等の打合せを進めた。
もう、20年近く前、私を含む日本人2人と
黒人(米国人)3人とで一度ライヴを演ったことがある。
その時は、もう一人の日本人が、
英語の話せる人だったので、
通訳がいたわけだが、今回はそうはいかない。
でも、昨日は ちゃんと約束の時間に
約束の場所で会えたし、
演りたい曲を持ってきてね、とメールしてたら、
準備してきていたので、なんとかなるだろうと
楽観視している。
曲は、当然 洋楽ばかりで、
ROCK、SOUL、POPS のカヴァー。
ご予約頂ければ、お席を確保しますので
メールをください。
3月4日(土)
Open 18:30
1st show 19:00〜
2nd show 20:00ごろ〜
Music Charge 無料 <チップ制>
@ bar dAZE(原宿)
[Members]
Andrew Wright(vo)
Shin223(gt)
2017.2.6
甘〜い匂い
渋谷のカフェにて。
隣席の若いオネエちゃん2人組の会話が
耳に入ってきた。
「甘い香りのする人って
糖尿病じゃない?」
前後の話は、分からない。
どういうわけか、そこだけハッキリ聞こえてきたのだ。
冗談じゃない、そんなわけないやろ。
うちは、両親とも糖尿病だったが、
そんな匂いかいだことないぞ。
と思いつつ、念のため
「糖尿病 甘い匂い」とググって驚いた。
33,000件ヒット!
実際に「甘いに匂いがする」との記事がある。
体臭が甘い匂いになるだの、
オシッコが甘い匂いがするだのと書いてある。
私が知らなかっただけのようだ。
そして、病気が進行すると
尿や体が甘酸っぱい匂いになるという。
う〜む。
「甘酸っぱい」のイメージが破壊されるような話だ。
2017.2.7
ランチと神社
恵比寿の新しいオフィスに越してきて約2週間。
ようやく落ち着いてきた感があるが、
住所変更手続きなどは、まだ全部終わっていない。
前のオフィスでは、近所にスーパーが数軒あり、
パン屋さんなどランチを買って帰るお店に
不自由しなかったので、買ってきてオフィスで
食べることも多かった。
痛風対策としては、サラダだけとか
サラダとお惣菜一品というメニューで
済ますことも多かったのだが、
新しいオフィスの周辺は住宅街なので、
少し歩かないと、売っているところがない。
恵比寿駅前まで行くと、アトレの中などに
たくさんあるのだけど。
それで今のところ、毎日、ランチは近くの
お店の開拓をしている。
これはこれで、楽しい。
昨日は、近くの和食屋「魚竹」で
特選海鮮丼を食したが、これが超ハイコスパ。
実は、数日前に初めて入った時、
隣のお客さんが食べているのを見て、
どうしても食べてみたかったのだ。
数種類の魚やイカ、ウニに加え、
大きな生のエビや牡蠣、温泉卵が乗っかていて、
その上に だぁ〜っとイクラをかける。
カウンター席なので、作っているのが
目の前で見えるのだ。
2,500円といわれても疑わないような
内容でなんと 1,200円!
ご飯はやや少なめだったが、
サラダ、小鉢、みそ汁も付いているので
十分に満足だ。
今日は、明治通りを渋谷方面にぶらぶら歩いてみた。
見つけたお店は、氷川神社の鳥居の前の
サンドウィッチの専門店
「グレイン ブレッド アンド ブリュー」。
入ってみると、若いお客さんばかり。
「ドライカレーとミートボールのピタサンド」と
コーヒー(アメリカーナ)を注文。
オープン・キッチンで調理の様子が伺える。
注文を受けてから、作っているので
少し時間はかかるが、丁寧な仕事のようだ。
他のサンドも食べてみたい。
コーヒーにもこだわりがあるようだが、
私にはちょっと酸味がきつかった。
この辺は好みだからな。
せっかくなので氷川神社をお参り。
渋谷界隈では最古の神社らしい。
鳥居
拝殿
あばら骨の浮き出た狛犬
2017.2.8
鳥山雄司 feat. PYRAMID
LIVE 3×5
Special Guest: 安藤正容
「PYRAMID」は、鳥山雄司(G)、
神保彰(Dr)、和泉宏隆(Key)のベテラン3人
(慶応大学時代のバンド仲間らしい)が、
組んだバンドで、今までに3枚の CD を
リリースしている。
「PYRAMID」のライヴは、以前に一度 観たことが
あったので、いつだったかなと記録を見てみると、
なんと 2006年7月25日(@SHIBUYA-AX)。
えぇ〜10年以上も前?
信じられへん。
そらぁ、年取るなぁ・・・しみじみ。
3枚目の CD が出たのが2011年で、しばらく
活動している風ではなかったと思うのだが、
今日のライヴは、「鳥山 feat. PYRAMID」と
なっていた。
表題にある「3×5」は昨年発売された
鳥山さんのソロ・アルバムのタイトル。
CD リリース記念ライヴということで、
ニュー・アルバムの曲を PYRAMID の面子で
演奏するという趣向だった。
そのアルバムは聴かずにライヴに臨んだのだが、
ちょっと上品というか、お行儀の良い演奏で、
スリルには欠けた印象。
鳥山さんのギターは、Sadowsky の
(たぶん)Jimmy Bruno モデル。
ガット・ギターを弾いた、
ラテンな "Louisa" という曲と
弾きながら泣きそうになると本人が言っていた
"Solitaire" が良かった。
その他、ニュー・アルバムから
"Thank you 36"、"Etude for over 50's" など。
後半、スペシャル・ゲストとして、
T-SQUARE の安藤正容 登場。
安藤さんを観るのは初めてとちゃうかな。
SQUARE も T-SQUARE になってからも
ライヴを観たことがない。
ちょっとポップすぎる曲調が、
あまり好みに合わず、聴いてこなかった。
そんなわけで たくさん知らないのだけど、
安藤さんの書いたギターの曲には、
好きな曲もある。
高校3年生の頃(1980年)、放映された
三浦友和主演のテレビドラマ『突然の明日』の
テーマ曲、"Tomorrow's Affair"。
ドラマは、毎週観ていたわけではないが、
偶然耳にしたそのメロディが気に入り、
シングル盤を買ったような気がする。
閑話休題。
安藤さんが入ると、演奏がスリリングに
なったような気がした。
安藤さんは、クリーム色のストラト。
1曲、安藤さんの曲を と演った
"Blues For Monk" が良かったな。
安藤さんは、2曲で引っ込んだ。
本編最後は、PYRAMID の "Tornado"。
ここでやっと神保さんの技が炸裂。
ちょっとだけやけど。
アンコールは、ガットギターのソロを1曲
演ったあと、全員で PYRAMID の "Sun Goddess"。
鳥山さんは、後半数曲でジェームス・タイラーの
(たぶん)シグネチャーモデルを使用。
鳥山さん 57歳、神保さん 57歳、
安藤さん 62歳。
3人ともスリム。
お腹出てない。
和泉さん(58歳)は、ややぽっちゃりな感じ。
安藤さんのソロ・ライヴがあれば行きたいな。
[ MEMBERS ]
鳥山雄司(Gt)
神保彰(Drs)
和泉宏隆(Pf, Key)
大島俊一(Key, S.Sax)
鳥越啓介(B)
Special Guest: 安藤正容(Gt)
@ Billboard Live 東京
2017.2.10
朱 鷺
「朱鷺」。
読めますか?
恥ずかしいけど、
私は読めなかった。
今日は、数カ月に一度5人で集まる飲み会。
メンバーの一人から、
事前にお店の連絡(メール)があった。
湯島にある「郷土料理 朱鷺」という、
東京新潟県人会館の地下にある、
新潟郷土料理のお店だ。
で、その連絡メールに
「湯島『郷土料理 朱鷺』新潟県人会が
愛用する飲み屋で ― Syupo [シュポ] ―」
という文言があった。
「朱鷺」という漢字が読めなかった私は、
「シュポ」がその読み方だと勘違いした。
(へぇ〜「しゅぽ」って読むんかぁ、変わった名前)
と思いながら、「朱」が「シュ」と読めるので
疑わなかったのだ。
実は、上記の文言の後に、
「酒場めぐりマガジン」と続いていたのだが、
気が付かなかった。
2〜3日前になって、場所を確認しようと
検索して初めて気づいた。
「シュポ(Syupo)」は、ネットで飲食店などを
紹介するサービスの名前だった。
それで やっと、「朱鷺」を「とき」と読むと知った。
普段は、初めての店に行くときは、
地図をプリントアウトして、
ちゃんと準備して行くのだが、
今日は会社を出るまでバタバタしていたので、
「銀座線 上野広小路下車」ということだけ
チェックして出かけた。
上野広小路の駅について、
スマホで検索しようと思って
(お店の名前なんやったかなぁ)と
思い出そうとした。
手帳を開けば、ちゃんと書いてあるのだが、
(ひらがな二文字の鳥の名前やったなぁ)
と思った私は、「さぎ」だと思い、
検索してみた。
が、出てこない。
当然だ。
「さぎ」ではない、「とき」なのだから。
困った私は、「上野広小路 郷土料理」と
入れてみて、やっと「朱鷺」にたどり着いたのでした。
我ながら、情けない。
料理は、鮭を酒に浸した「鮭びたし」、
お店の人気ナンバー1だという「栃尾の油揚げ」、
「貝ひもの天ぷら」、タレに浸した「タレかつ」など。
どれも美味しかったが、中でも
「ニシンのカルパッチョ」は珍しかった。
ナマのニシンは、あんまり食べる機会がない。
もしかしたら、初めてだったかも。
梅ソースのかかったカルパッチョで、
ニシンはそんなに旨い魚ではないと思っていたけど、
ソースとの相性も良く、結構旨かった。
2017.2.11
恋妻家宮本
出来ちゃった婚から27年、
一人息子が結婚し、家を出ていき、
夫婦二人きりになった50歳夫婦の物語(映画)。
その夫婦役に阿部寛と天海祐希。
その他の出演は、菅野美穂、相武紗季、富司純子ら。
予告編を観て、コメディだとは思っていたが、
予想を大きく裏切られ、ずい分泣いてしまった。
まさか、こんな作品だとは思っていなかったが、
エンドロールで、原作が重松清の小説だと知り納得。
数年前、この人の『その日のまえに』を読んで、
めちゃくちゃ泣いた覚えがあるからだ。
原作は『ファミレス』というタイトル。
映画でも何度も「デニーズ」の場面が出てくる。
阿部寛 演じる宮本陽平は、
人生に正解を求める、優柔不断な中学教師。
人生に正解などないのだけど。
「正しい」より大切なことを
メッセージとしている、
ただのコメディに終わらない秀作だった。
『海よりもまだ深く』にも通じる部分があるが、
阿部寛は、こういうちょっとダメな男役がよく似合う。
天海祐希は、ただのおばちゃんには
なり切れないなぁ。
映画配給会社にひとこと。
陽平が駅のホームで、向かいのホームにいる
妻に何か言おうとして、大事なところで
電車が通過するというシーンが予告編に
使われているが、これは予告編で見せてほしくなかった。
「電車が通過します」という構内アナウンスが
流れるので予想の着く展開なのだが、
予告編で観てしまっているために、
面白さが半減する。
こういう予告編、邦画に多いのだけど、
ホンマやめて欲しい。
映画館での楽しみを奪っていると思う。
★★★★★
マリアンヌ
ALLIED
今日は、久しぶりに映画を3本観たのだが、
『恋妻家宮本』に続いて、2本目も夫婦の物語。
これまた、予想以上にめちゃくちゃ良かった。
主演は、ブラッド・ピットとマリオン・コティヤール。
第二次世界大戦中。
ブラッド・ピット演じる極秘諜報員マックスと
マリオン・コティヤール演じるフランスのレジスタンス
マリアンヌは、カサブランカで偽の夫婦を演じて、
一緒にドイツ大使の暗殺を行った。
もちろん、命懸けの作戦だった。
そして、2人は、その作戦を縁に結婚する。
子供も生まれ、夫婦は上手くいっていたのだが、
マリアンヌがドイツのスパイだという
疑いがかけられる・・・。
緊張感たっぷりで、ドキドキハラハラする場面も
たくさんある上、ラストはもう悲しくて悲しくて。
ブラッド・ピットとマリオン・コティヤール、
2人ともめちゃくちゃ良いです。
監督は、ロバート・ゼメキス。
上手い!
原題の "ALLIED" は、「同盟している」
「〜と結びついて」「同類の」「同属の」
などという意味で、"the Allied Forces" では
「連合軍」という意味になるようだ。
以下、余談。
名詞の "ally" は、「同盟・味方」という意味。
例えば、A さんが、B さんに C さんの情報を
流すことで、B さんが、C さんを嫌いになったり、
避けたりするようになるように仕向けたとする。
この場合の A さんと B さんを "ally" と呼ぶと、
以前 習ったことがある。
A さんと B さんが同盟を組み、
C さんを共通の敵にするというわけだ。
なので、"ally" ってあんまり良い意味ではないのかと
思っていたのだが、そういうわけではなさそうだ。
★★★★★
サバイバルファミリー
『恋妻家宮本』と『マリアンヌ』、
2本続けて、当たりの作品で、
たっぷり泣いたので、もうええかなと思ったけど、
ちょうど時間が合ったので、もう1本続けて観た。
脚本・監督は、『スウィングガールズ 』や
『ハッピーフライト』などの矢口史靖。
ある日、停電が起きる。
電気が止まっただけではなく、
電池も使えなくなり、車のエンジンもかからない。
時計も止まり、ガスも使えない。
そういう状況で、4人家族がお母さんの実家、
鹿児島を自転車で目指す。
出演は、父親に小日向文世、母親に深津絵里、
息子に泉澤祐希、娘に葵わかな。
魚もさばけない母親、
スマホを手放せない息子と娘、
子供らに信頼されていない父親。
ちょっとバラバラだった家族が、
このサバイバル生活を通じて、
一つになっていく・・・といった物語。
異常な停電は荒唐無稽だが、
そこはファンタジーなので良い。
デジカメは使えないけど、
機械式のカメラは使えたり、
電車や飛行機は動かないけど、
蒸気機関車は走ったりする。
つまり、新しいテクノロジーほど
電気に頼っているのだ。
現代の私たちが、
電気というものに依存しすぎた生活を
送っていて、電気や道具がなければ、
火さえ起こせないんだということは、
考えさせられることであった。
でも、家族の再生や、
命(生き物)を食すことへの
厳しさと感謝といったことも
描こうとしていたのかも知れないが、
残念ながら、いずれもやや弱いというか
ちょっと中途半端な印象でした。
★★★▲☆
2017.2.12
沈黙 −サイレンス−
SILENCE
遠藤周作 原作、
マーティン・スコセッシ 監督の映画『沈黙』。
これは、重厚で 難しいテーマやなぁ。
もう宗教というより、哲学や。
何を書いても薄っぺらくなりそうやけど
何か書かないわけにはいかない。
17世紀(江戸時代)、キリシタンへの弾圧が
激しかった長崎が舞台。
中学や高校の歴史で、軽〜く習ったことのある、
「キリシタン弾圧」「踏み絵」。
映画観たら、軽〜く教える内容とちゃうやん。
(歴史の授業にこの映画を使ってはどうでしょう。
中学生には刺激が強いでしょうか。)
日本へ布教に渡った宣教師のフェレイラが、
捕まって棄教したと聞いた、
弟子のロドリゴとガルペは、
殉教を覚悟で日本へ渡る。
彼らは、フェレイラが棄教などするはずがないと
信じており、その真意を確かめたかった。
長崎に渡った2人は、隠れキリシタンの人たちと
出会うが、幕府の弾圧の激しさに衝撃を受ける。
その拷問がひどい。
しかし、一方で当時の幕府の
「キリスト教は日本には必要がない」という
言い分も分からないではない。
前半は、英語を話せる日本人の多さに
ひっかかってしまった。
百姓も侍も英語話すねん。
それも、そこそこ話すねん。
そんなわけないやろが。
と、その不自然さに慣れるのに
時間がかかってしまった。
でも、リアルに言葉が通じないような
映画にしてしもたら、話が進まんよなぁ、
これは、作品にする段階での必要な創作なんやと
観終えてから考えた。
英語のことは、作品の本質とは関係ないので、
置いておいて。
罪もない人たちの拷問を
宣教師に見せつけ、棄教しろと迫る。
棄教すれば、拷問を止めるというのだ。
宣教師は、何も出来ずにただ祈る。
しかし、祈れば祈るほど、拷問は長引く。
宣教師は、苦しむ。
神に助けを教えを乞う。
だが、神は何も言わない。
沈黙だ。
自分が、キリストの絵を踏めば、
彼らは助かる。
「キリスト教を捨てた」と言えば、
彼らは助かる。
自分自身が信念を通すために、
絵を踏まずに殺されるのは、いいだろう。
もっとも私には、そんな強い信念も信仰も
ないので理解に苦しむが。
しかし、わざわざ布教にやってきた地で
自分が広めた信仰のために
人々が拷問され、殺される。
何のために?
救いに来たのではなかったのか。
正解はない。
神は、何も応えてくれない。
昨日観た『恋妻家宮本』とは、
あまりに作品の重厚さに差があるが、
『恋妻家宮本』で、「正しい」と「優しい」に
言及するシーンがあった。
本作でも宣教師は(自分の)正しさを
貫こうとするのだが、それは民に対して、
全く優しくない。
「信仰」とは何だ。
こういうのを観ると、
私のように特定の宗教に帰依していない者は、
むしろ幸福なのではないかとも思う。
ひとつの考え、価値観に縛られずに済むからね。
(というのもひとつの考えなのだろうが。)
特定の宗教を持っていなくても、
スピリテュアリティがないわけではない。
自分の価値観で、ちゃんとあるしね。
キリスト教のことはよく分からないけど、
「愛」だとか「赦し」だとかいうのなら、
本物の神は、人を救うためなら踏み絵を踏んでも、
棄教しても、何をしても赦して下さるだろう。
そして、そのことを神を裏切ったと言うのなら、
神を裏切った自分を赦すのは、
神ではなく、自分しかいないのだと思う。
出演は、アンドリュー・ガーフィールド、
リーアム・ニーソン、アダム・ドライヴァー。
日本からは、イッセー尾形、浅野忠信、
窪塚洋介 ら。
ハリウッドが描く「変な日本」はなかったと思うが、
風景が、(これ、日本ちゃうな)と思うシーンは
いくつかあった。
どうも南国に見えたら、ロケは台湾で行われたようだ。
165分と内容とともに時間も重量級だが、
長いとは感じなかった。
ただ、面白い映画ではない。
★★★★☆
2017.2.13
ドメイン更新
このサイトのドメイン「shin223.com」は、
2007年 5月に取得した。
5年ごとに更新するプランを選択しているので、
その更新のお知らせメールが届いた。
つまり、このサイトを始めて、
もうすぐ10年になるのだ。
10年・・・早いなぁ・・・。
「shin223.com」は、
私の名前「しんや」の「shin(しん)」と
苗字の「つつみ」を「223(ツーツーミ)」に
置き換えて作ったもの。
「223」は「ふじさん」とも読めるので、
静岡県の条例で、2月23日は「富士山の日」と
定められていたり、富士山グッズを売っている
「223shop(富士山ショップ)」というお店が
あったりする。
「223」は「つつみ」であり、
「ふじさん」でもあるのだ。
2017.2.14
粋歌の新作コレクション
2017 バレンタインスペシャル
バレンタインに落語。
乙な組み合わせである。
昨年1月にも聴きに行った
「粋歌の新作コレクション」。
結構面白かった覚えがあるのと、
今日はゲストが一之輔だったこともあって
聴きに行くことにした。
粋歌はまだ真打ではなく
二つ目ということもあってか、
チケットが 2,800円とお安いのも嬉しい。
席は、最前列の中央という良席。
前座の後、粋歌の一席目は「すぶや」。
何のことかと思うが「渋谷」が、
ズーズー弁で訛って「すぶや」。
田舎町の高校生カップルの彼女が、
東京の大学に進学しようとするのを
東京なんかに行くと、変わってしまうと、
心配する彼氏。
これは、面白かった。
二席目は、三遊亭天どん作の
「初めての確定申告」。
確定申告のため税務署を訪れた人の
職業が「殺し屋」というシュールな噺。
そして 一之輔の「千早振る」。
最近、白酒で聴いた演目だが、
全く違う噺だった。
相変らず面白かったけど、
時々、暴走しすぎるきらいがあるのね。
何事もええ塩梅にせんとね。
一之輔には、今、NHKの「プロフェッショナル」の
取材が張り付いていて、
舞台袖から撮影しているカメラが見えた。
そして最後は、昨年「渋谷らくご創作大賞」を
受賞したという「プロフェッショナル」。
奇しくも一之輔に取材が張り付いているが、
粋歌のこの演目の方が先だ。
これが涙が流れるほど笑った。
新入社員の成長を描いたストーリーで
面白い上に、そこそこええ話。
これは賞を取っても不思議ではない。
女流噺家には、ご隠居や熊五郎、八五郎を
演じるのは難しいと思うが、
粋歌のように新作で来ると
全く違和感なく聴ける。
昨年聴いた「とんがりコーン、そのまま食べるか?
指にはめてから食べるか?」や今日の
「すぶや」「プロフェッショナル」のように
日常的で身近なエピソードを
これからもネタにしていって欲しい。
【 演 目 】
「芋俵」 春風亭きいち(開口一番)
「すぶや」 三遊亭粋歌
「初めての確定申告」 三遊亭粋歌
「千早振る」 春風亭一之輔
〜 仲入り 〜
「プロフェッショナル」 三遊亭粋歌
@ 内幸町ホール
2017.2.16
ハズレ
またハズレた。
山下達郎のコンサートのチケット抽選。
東京公演だけでは、当たりそうにないので、
地方の公演にも申し込んでみたりして、
この2〜3年で、ハズレたの15回目ぐらいかな。
今回ハズレたのは、3/18 (土) の市川市文化会館(千葉県)。
達郎のコンサートチケットは、
転売を防ごうと どんどん厳しくなってきていて、
2枚購入する場合、とうとう同行者の氏名まで
入力することになった。
チケットに印字されるのである。
当日は、顔写真付の身分証明書が必要で、
確認できない場合は、入場できないという
徹底ぶりだ。
2枚買っておいて、あとで誰かを誘おうなんて
適当な買い方はできないのである。
もし、一緒に行く予定だった人が、
行けなくなった場合は、どうするんだろうか。
何かとトラブルに発展しそうな
システムだが、転売する人が増えたため、
仕方がない選択なのだろう。
とりあえず、3/18 (土) 市川市文化会館の
2次発売(抽選)が始まったので、
もう一度申し込んでみよう。
2017.2.17
ERIC BENET
エリック・ベネイ
私は、ブルーノートの Jam Session会員 に
なっている。
Jam Session会員 は、一般発売の前に
先行予約が出来たり、曜日によって
割引があったり、7回行くと1回、
ミュージック・チャージが無料になったりと
特典が付いている。
先日、ポイントがたまったので
招待券を頂いたのだが、期間が決められており、
その期間中に使わないと無効になる。
その期間内なら、クリス・ボッティ(tp) やな、
と思い、予約の電話をかけたところ、
クリス・ボッティの公演は、招待の対象外だという。
招待の対象は、ミュージック・チャージが
¥10,800 以下と決められており、
件の公演は、ミュージック・チャージが
¥12,800 だったのだ。
「差額を払うので」と食い下がったが、
認めてもらえず、それならと、
エリック・ベネイの公演に行くことにした。
エリック・ベネイは、何年も前に1枚だけ、
TOTO の "Georgy Porgy" のカヴァーが
収録されている CD を買ったことがあるが
それ以外は知らなかった。
予習のために数枚 CD をレンタルして聴いてみたが、
ええ感じのソウル・ミュージックだ。
エリック・ベネイは、Blue Note 東京 で
3日間、Cotton Club で1日、合計4日間8公演も
演るのだから、結構人気があるようだ。
今日が予約した公演日だったのだが、
満席やったんちゃうかな。
会場が暗くなると、バンド・メンバーの3人が
登場し、そのあとちょっと長めの SE というか
紹介アナウンス。
ご本人が登場し、曲が始まったが、
ステージ上には、4人しかいないのに、
それ以上の人数の音がする。
コーラスや、いてないギターの音までする。
つまりは、トラック(カラオケ)に合わせて
演奏し、歌っているようなもんである。
これは、私はあまり好きではないので、
ちょっとガッカリ。
音が薄くなろうと、ステージにいる、
ナマの人間による、ナマの演奏を聴かせて欲しい。
3〜4曲そんな感じで進み、
メンバー紹介から、トラックなしの
リアル・メンバーのみによる
"Feel Like Makin' Love" 。
これが良かった。
ほら、やっぱり生身の人間だけで
演る方がええやんか、と
エリックに言ってやりたいぐらい。
もう1曲、トラックなしでやったかな。
そこからは、流れが変わったのか、
トラックが流れてもさほど気にならなくなった。
"Sunshine" なんて、いきなり
いてないギターのアルペジオから
始まるんやけど。
エリックは、この "Sunshine" のような
ファルセットのバラードが良い。
クラシックなスタイルのソウル・バラード
"Sometimes I Cry" も良かった。
あと、Prince の "How Come U Don'T Call Me Anymore?"も。
アンコールは、"Georgy Porgy"。
半ばディスコと化したブルーノートでした。
バンドは、キーボード・トリオだったが、
3人ともかなりのツワモノと観た。
次に観る時は、コーラスに2人ぐらいと、
ギターも連れてきてほしいな。
[ MEMBERS ]
Eric Benet (vo)
Afton Johnson (b, cho)
John "Stixx" McVicker (ds)
Jonathan Richmond (key, cho)
@ Blue Note Tokyo
2nd Show
2017.2.19
モノクロで楽しむスナップ写真の魅力
数カ月ぶりにニコンの(写真)講座に
参加することにした。
講師は、秋山華子先生。
今回のテーマは、
「モノクロで楽しむスナップ写真」。
そう、モノクロをもっと極めたいのです。
5回の講座で、第1回の今日は、
カメラの設定や撮影に臨む心構えのようなお話。
私のカメラは、Nikon D7000。
触ったことのない設定もまだまだあり、
まだ使いこなしているとは、言い難いのだが、
なんとなく撮れるので、そのままになっていた。
今日は(ほぅ〜、そういうことも出来るんか)と
知らなかった設定方法を知ることが出来たね。
勉強不足痛感。
って勉強しに行ってるんやけど。
参加者は、20人弱でほとんどおっさん。
先生が若い(30代前半)女性ということでは
なかろうが、なぜかおっさんが多い。
次回(来週)は、撮影実習。
神楽坂を撮る。
雨天決行なんやけど、晴れてくれよ。
雨の日は会えない、晴れた日は君を想う
DEMOLITION
ジェイク・ギレンホール主演の映画
『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』。
う〜ん、どうにかならんか、この邦題。
原題 "DEMOLITION" は、
「解体・取り壊し・破壊」といった意味で、
これは映画を観ればよく分かる。
「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」も
映画の中に登場する言葉なのだが、
「解体」や「破壊」では キツイので、
苦肉の策で決めたような気がしてならない。
毎度、邦題を決めるのは難しいとは思うが、
頑張って欲しいな、配給会社の人。
交通事故で突然妻を亡くした
ディヴィス(ジェイク・ギレンホール)の
再生の物語なのだが、デイヴィスは、
妻を亡くした後、泣くことも出来ず、
妻を「愛してなかった」とまで言う。
ところが、精神に異常をきたしているのは、
間違いがなく、仕事上のボスでもある、
義父に「修理(再生)するためには、
一度分解しなければならない。
人間でも同じだ」と言われてから、
色んな物を分解し始めるが、
分解というより、破壊になっていく。
私は、『ムーンライト・マイル』で、
ジェイク・ギレンホールが好きになった。
あの映画も、結婚前の彼女が突然
死んでしまう物語だった。
彼の出演作を全部みているわけではないが、
映画の出来云々より、この人が出ているだけで、
OK というようなところがある。
ロバート・デニーロなんかもそういうところが
あるのだけど、私にとっては、
そういう数少ない俳優。
本作では、妻が死んでしまう悲しさより、
ディヴィスの壊れ方が、痛々しい。
その他の出演は、ナオミ・ワッツ、
クリス・クーパー。
ナオミ・ワッツの息子(15歳)役の
ジュダ・ルイスがとても良い。
今後 注目。
★★★★☆
ママ、ごはんまだ?
歌手一青窈の姉である、一青妙(たえ)の
エッセイを基にした映画『ママ、ごはんまだ?』。
最後にエッセイを基にした「フィクションです」
と出たけど、本当の話のような印象。
まあ、細かいところで創作があるのかもね。
一青窈が日本人と台湾人のハーフだというのは、
知っていたけど、「一青(ひとと)」という姓が、
日本の苗字だとは、知らなかった。
変わった姓なので、中国の苗字だと思っていた。
考えてみれば中国人の姓は、
「周」「王」「毛」といった一文字ばかりだ。
台湾に住んでいた一家は、姉妹が子供の頃、
日本に移住する。
間もなく、台湾人の父が亡くなり、
日本で暮らしやすいようにと、
母親の旧姓 一青 に変えたのだという。
母親は、能登の出身で、
能登には「一青」という地名があるようだ。
物語は、母親の思い出をたどる。
母は、日本人だが台湾人の父に見初められ、
結婚して台湾へ渡る。
言葉の分からない台湾で、
台湾の家族に溶け込むために
一生懸命、台湾料理を覚えた。
姉妹は、母が作った大根餅、豚足、
チマキなどの台湾料理で育てられた。
日本で育っても、台湾料理が
おふくろの味なのだ。
オフィシャルサイトにあるメッセージに
一青妙はこう綴っている。
「原作は私が書き、主題歌は妹が歌います。
この映画そのものが、早くに亡くなった
両親に果たせなかった親孝行になればと思っています。」
ラストに流れる主題歌、一青窈の「空音(そらね)」が良い。
改めて、この人の歌、説得力あるなぁと感じた。
出演は、木南晴夏(一青妙)、藤本泉(一青窈)、
河合美智子(母)。
一青妙ご本人も出演している。
ひとつ、不思議に感じたこと。
この映画、食事のシーンが結構多い。
最近の傾向として、食事のシーンは、
凄く美味しそうで、映画館を出ると
それを食べたくなるような、
そんな演出(撮影?)が多いように思うのだが、
本作では、どういうわけか、
あんまり美味しそうでなかった。
いや、まずそうだったわけではないよ。
でも、唾をゴクリと飲み込むような、
そんな食欲をそそられるシーンがなかったのだ。
まあ豚足は、私はそんなに好きではないと
いうこともあるけれど。
それが、意図的なのかどうなのかは分からないが、
一緒に観た妻に訊いてみると同様の感想だった。
チマキは食べてみたい思ったけど。
この映画を観ようと思った時に、
『ママ、ごはんまだ?』って 誰かが、
関わってるって言うてたなぁと気になっていた。
思い出せなかったので、
観たら分かるやろと思っていた。
始まってみると、音楽が印象的だったので、
(ああ、ミュージシャンか。
エンドロールを見たら誰か分かるな)と
思っていたのだが、後半、ある人の登場で、
思い出した。
その人は、春風亭昇太。
先日、昇太の独演会に行ったときに
出演していると、聞いたのだ。
「真面目な役です」と言っていたように、
確かに真面目な役だった。
ちなみに音楽担当は、妹尾武。
★★★★☆
2017.2.23
ネイザン・イースト
Nathan East
今年、ニューアルバム "Reverence" を
発表したネイザン・イーストの
ライヴに行ってきた。
ネイザンはエリック・クラプトンのバックや
Fourplay、TOTO など色んなアーティストと
来日しているが、自身の名義では、
2014年に続いて2度目の来日(だと思う)。
その2014年の公演も素晴らしかった
記憶があるが、今日のライヴも素晴らしかった。
前半、良く言えば上品、悪く言えばワイルドさに
欠ける演奏に感じたが、ショーが進むにつれて、
気にならなくなった。
終始、調和のある演奏で、
ネイザンの人柄を感じた。
私の印象だが、ネイザン・イーストという人は、
元来 上品でスピリチュアルな人だと思う。
ニューアルバムのタイトル "Reverence" の
意味は「畏敬の念・敬意・敬い」。
ライブの冒頭、動画でネイザンの
「今の世の中、もっと "Reverence" を
持っても良いんじゃないか」
というようなメッセージが流れた。
アルバムのジャケットは、ネイザンが目を閉じて
合掌している東洋的(仏教的?)な写真。
名前は「NATHAN 東 EAST」と記されている。
メンバーは、前回の来日時と同じ。
ギターが、Michael Thompson と
Jack Lee の2人なのだが、
私の好みは、断然 Michael Thompson だった。
Jack Lee のギターは、最近、プロで使う人が
増えている渋谷ウォーキンの Westville。
ハコものということもあるのか、
クリーンで弾き続けるのに対し、
Michael Thompson は歪みも使う。
やはり曲調によっては、歪ませた方が
良い時もあるわけで、私には Michael の方に
職人らしい仕事を感じた。
Michael のギターは、ハムバッキン2つの
ストラトタイプ(メーカー不明)。
ネイザンのベースは、前回同様、
日の丸の付いた YAMAHA の6弦。
前回は、TOKU がゲストとして登場したけど、
今日はスペシャル・ゲストとして
アンコールで佐藤竹善が登場。
(ちなみに明日も公演があって、明日の
ゲストは平原綾香。)
曲は、小田和正が書いた "Finally Home"。
小田さんは『mata-ne』というタイトルで
レコーディングしている。
1番をネイザンが英語で歌い、
2番を竹善が日本語で歌った。
アンコールは、もう1曲 "101 Eastbound" を
演った後、East Brothers による
ベース・デュオのバラードで幕を閉じた。
[ MEMBERS ]
Nathan East(Vo, B)
Kaleb James(Key)
Michael Thompson(Gt)
James East(B)
Jack Lee(Gt)
Steve Ferrone(Drs)
Norihito Sumitomo(EWI, Sax, Key)
Special Guest:佐藤竹善(Vo)
@ Billboard LIVE Tokyo
2nd Show
2017.2.24
ついに当選!
ついに山下達郎のコンサートチケットが当選した。
数年にわたり15回以上、抽選に申し込むも
落選し続けていたのだが、ようやくの当選だ。
先日、3/18 (土) の市川市文化会館(千葉県)の
公演に落選し、2次抽選に申し込んだのだが、
その時、ベイシア文化ホール(群馬県民会館)の
公演にも申し込んだ。
両方ハズレることはあっても、
両方当選することはないだろうと思ってのことだ。
万が一、両方当たれば両方とも行ったっていい。
さて、当選したのは両方ではなく、遠い方。
つまり群馬県。
会場へのアクセスを調べてみると、
前橋駅から徒歩20分。
前橋駅までは、電車なら2時間ほどで行けるので、
まあ軽い旅気分で行ってこよう。
3月26日だ。
2017.2.25
モノクロで楽しむスナップ写真の魅力 2
撮影実習 ― 神楽坂
今日は、写真講座の第2回、撮影実習だ。
撮影場所は、神楽坂界隈。
神楽坂へは何度も行っているが、
用があっていくだけで、あまり探索したことはなかった。
今日は、裏道も結構 歩いたけど、いいねえ。
入ってみたいお店、いっぱいあった。
ちょっと大人な街かと思いきや、
ランチに若い女性が並んでいるレストランも
数軒見かけた。
土曜日だったので、観光客も多かったのかも。
撮影の方は、スタート時に
シャッターが下りないというトラブルが発生。
結局、レンズの不具合だったようだ。
18-105mm の望遠で撮るつもりで
いたのだが、予備のつもりで持って行った
35mm の単焦点に交換し、撮影した。
替えのレンズを持っていて良かった。
しかし、どうも撮影にイマイチ乗り切れなかった。
何を撮って良いのか分からない、というか
撮りたいものがないというか・・・。
撮影実習に行くと自分の天邪鬼さがあらわになる。
皆が撮りそうなものは、撮りたくないと思う。
どこかで見たことのある写真は、
撮りたくないと思う。
そのくせ、独創的な被写体の見方などできない。
困ったもんだ。
一応、「光と影」というテーマだったので、
影の写真を何枚か撮った。
来週は、講評会なので2枚選んで持っていく。
まだ決めてないけど、たとえばこんなんです。
2017.2.26
素晴らしきかな、人生
COLLATERAL BEAUTY
ウィル・スミス主演の映画
『素晴らしきかな、人生』。
この邦題は、賛否両論のようだが、
私にはピンとこないな。
原題『Collateral Beauty』は、
直訳すると「二次的な(付帯的な)美しさ」
ということになるのだろうが、
劇中では「幸せのオマケ」と訳されていた。
広告代理店の代表として成功していた
ハワード(ウィル・スミス)は、
6歳の娘を亡くし、ふさぎ込んでしまい、
仕事も私生活もめちゃくちゃ。
エドワード・ノートン演じる共同経営者や
仕事仲間(ケイト・ウィンスレット、
マイケル・ペーニャ)たちが
なんとか彼を立ち直らせようとするが、
全く効き目がない。
そのうち、会社の経営も危うくなってくる。
家族を亡くした人のよくある再生の物語かと
思いきや、一ひねりも二ひねりもあるストーリーで
ちょっとファンタジーっぽいところもあるが、
よい映画だった。
結構、深い映画で一度観ただけでは
とても十分に理解したとは言えないと感じた。
前述の「Collateral Beauty」のことでさえ、
掴んだとは言い難い。
日本人には難しい概念なのかなぁ。
ウィル・スミスも年取ったな。
調べてみたら、48歳だ。
それから、エドワード・ノートン。
『真実の行方』(1996年)で受けた
衝撃は忘れられない。
主役のリチャード・ギアを食ってると
思ったもんね。
その後の『アメリカン・ヒストリーX』も
印象的やったな。
最近は『グランド・ブダペスト・ホテル』や
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」
にも出ていたけど、そんなにインパクトなかった。
本作では、結構普通のおじさんを演じていて、
これまた、年取ったなぁって思ってしまった。
調べてみると47歳。
「年取った」って、彼らだけが年取ってんちゃうけど。
その他、ヘレン・ミレン、ナオミ・ハリスも
ええ味出してました。
娘を亡くした話というだけで、
涙は避けられないが、
子供のいない私には、
子供を失った悲しみなんて、
想像すらできない。
★★★★▲
スノーデン
SNOWDEN
ジョセフ・ゴードン=レヴィット主演、
オリヴァー・ストーン監督作『スノーデン』。
ジョセフ・ゴードン=レヴィットが出てるのと、
「スノーデン事件」の映画ということで
気になっていたのだが やっと観てきた。
「スノーデン事件」については、
そんなに詳しくは知らないけど、
2013年に日本でもずい分ニュースになったので、
概要ぐらいは知ってた。
元CIA および NSA(アメリカ国家安全保障局)の
職員エドワード・スノーデンが、
アメリカ政府が世界中の人を監視していると
内部告発したあの事件だ。
実話ということだが、
ホンマやろかと思うような内容。
実際のニュース映像もおり込まれ、
最後には、スノーデン本人も登場します。
本人役で。
映画を信じるなら、スノーデンは愛国者だ。
もともと軍人だったぐらい。
ルールは破ったかもしれないけど、
そもそもルールを破っていたのは、
アメリカ政府の方だろうしね。
今では、モスクワで暮らしているというが、
二度とアメリカへは戻れないのだろうな。
いや、何十年か経って時代が変われば、
アメリカの土を踏む日が来るのかもしれないけど。
映画の中で、離れ離れになった恋人も
今ではモスクワで一緒に暮らしているという。
信念を貫き、告発を達成し、
牢屋にも入れられず、恋人も失わなかった。
アメリカ国籍は失ったかもしれないけど、
ある意味、ハッピーエンドにも感じた。
彼の行動がきっかけで、色んなことが
明るみに出て、世界が見直すことになったのだし。
それにしても、システムに疑問を抱いても普通は
あんな行動には出ない人がほとんどだろう。
間違いなく重罪だからね。
そういう意味でも、スノーデンは、
本気で国を憂いていたんだと思う。
賛否はあるだろうが、命を懸けた
勇気ある行動には違いない。
こういう映画を作ってしまうアメリカは、
毎度のことながら、自由の国だと思う。
が、この映画作るのに、CIA や NSA は、
協力したんやろか。
★★★★▲
2017.2.27
アカデミー賞
米国アカデミー賞の受賞結果発表があった。
14部門にノミネートされていた『ラ・ラ・ランド』が
不手際により、間違って作品賞を受賞したと
発表されるという前代未聞のハプニングが
あったようだが、一映画ファンとしては、
受賞作は1本もまだ観ていないので、
これからが楽しみだ。
第89回 米国アカデミー賞受賞結果
作品賞:「ムーンライト」
監督賞:デイミアン・チャゼル「ラ・ラ・ランド」
主演男優賞:ケイシー・アフレック
「マンチェスター・バイ・ザ・シー」
主演女優賞:エマ・ストーン「ラ・ラ・ランド」
助演男優賞:マハーシャラ・アリ「ムーンライト」
助演女優賞:ビオラ・デイビス「Fences」
脚本賞:ケネス・ロナーガン
「マンチェスター・バイ・ザ・シー」
脚色賞:バリー・ジェンキンス、
タレル・アルビン・マクレイニー「ムーンライト」
視覚効果賞:「ジャングル・ブック」
美術賞:「ラ・ラ・ランド」
撮影賞:リヌス・サンドグレン「ラ・ラ・ランド」
衣装デザイン賞:
「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」
長編ドキュメンタリー賞:
「O.J.:メイド・イン・アメリカ(原題)」
短編ドキュメンタリー賞:
「ホワイト・ヘルメット シリア民間防衛隊」
編集賞:「ハクソー・リッジ」
外国語映画賞:「セールスマン」(イラン)
音響編集賞:「メッセージ」
録音賞:「ハクソー・リッジ」
メイクアップ&ヘアスタイリング賞:「スーサイド・スクワッド」
作曲賞:ジャスティン・ハーウィッツ「ラ・ラ・ランド」
主題歌賞:“City of Stars”「ラ・ラ・ランド」
長編アニメーション賞:「ズートピア」
短編アニメーション賞:「ひな鳥の冒険」
短編実写映画賞:「合唱」
2017.2.28
モノクロで楽しむスナップ写真の魅力 3
先日、神楽坂での撮影実習で撮った写真から
数枚のRAWデータを現像してみた。
(クリックで拡大。)
この中から2枚、次回の講座で発表し
講評を受ける。