2016年 9月
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2016.9.1
笑福亭仁智
深川独演会〈東京公演〉
〜文化庁芸術祭優秀賞記念公演第二弾〜
昨年3月、新作落語の会で初めて高座を観て
爆笑した、上方落語の笑福亭仁智。
顔は見覚えがあったので、
きっと子供の頃とかテレビで観たことが
あったんだろう。
今日はその仁智師匠の独演会。
昨年、文化庁芸術祭優秀賞を受賞した
その記念公演全3回の2回目だった。
ゲストは、一之輔。
なんか、スゴイ組み合わせである。
仁智師匠の1席目は「多事争論」。
皆さんは、目玉焼きに何をかけて食べる?
ちなみに私は、ウスター・ソース派、
もしくはケチャップ。
妻に訊くと、醤油、もしくは塩コショーという
答えが返ってきた。
この演目は、大阪人の夫が、
目玉焼きにソースをかけようとすると、
「ソースが切れているので、醤油で食べて」と、
東京出身の(でもなぜか大阪弁の)妻が言ったことから
夫婦喧嘩になり、家主や隣人を巻き込んで
裁判に発展するという爆笑傑作。
大阪人って、基本ソースなのですよ。
落語にも出てきたけど、
私も豚まんもソースだし、
天ぷらだって、ソースで食べられる。
で、裁判のシーンで、
「ではここで裁判員の意見を聞きましょう」と、
客席にふるのだが、し〜んとしてしまった。
大阪なら、ここで客席から、
いろんな声が飛び交うらしい。
今日は、師匠に催促されてやっと
ひとりが「ハチミツ!」って言ってた。
そして、一之輔。
登場するなり、
「私は目玉焼きにサワークリーム」。
なんでも、ヨーロッパ公演に行っていたらしく、
フィンランドでは、何にでもサワークリームが
付いていたらしい。
演目は、「欠伸指南」。
もう、ナマで聴くの3回目だが、
今日も 完全一之輔ワールド でした。
休憩を挟んで、仁智師匠の2席目は「いくじい」。
ヤクザを引退したおじいちゃんが、
孫を教育するという噺。
昨年聴いた「源太と兄貴」の兄貴が、
年老いてからの物語ということで、
同じ登場人物が出てくることで、
親しみが沸くのが不思議だ。
時々、噛んだり間違ったりするのは、
大変惜しいが、それを差し引いても面白い、
東京にはない落語の世界で、
大阪人の私としては、是非とも
もっと東京で演って欲しいと思うのであった。
【 演 目 】
「饅頭こわい」 瀧川あまぐ鯉(前座)
「多事争論」 笑福亭仁智
「欠伸指南」 春風亭一之輔
〜 仲入り 〜
「いくじい」 笑福亭仁智
@ 深川江戸資料館 小劇場
2016.9.3
15th TOKYO JAZZ FESTIVAL
JAZZ SUPREME
Sep. 3 (Sat) Evening Open 16:30 / Start 17:30
今年で15回目となる "TOKYO JAZZ FESTIVAL"。
今までに、2005年(第4回)、2007年(第6回)、
そして、2009年(第8回)からは毎年、
観に行くようになった。
ホール(2006年からは東京国際フォーラム)では、
2日にわたり、昼夜合計4公演が行われる。
今年は、今日の夜の部と
明日の昼夜両方を鑑賞することにした。
2日間どっぷりとジャズ漬けというわけだ。
まず、"JAZZ SUPREME" と名付けられれた
今日の夜の部。
目当ては、パット・メセニー&クリスチャン・マクブライド。
5月にブルーノートで観たアントニオ・サンチェスらとの
公演があまりにも素晴らしかった上、
クリスチャン・マクブライドとのデュオなんて、
そうそう観られるものではないだろうと思い、
楽しみにしていたのだが、なんと2曲目
"Gentle Rain" でまさかの激睡魔!
その後、ほとんど夢心地というか気絶状態。
アンコールでやっと目が覚めた。
全部で70分以上演ったと思うのだが、
1時間は、まともに聴けなかったということか。
なんちゅうことや。
しかし、幸いにも明後日のブルーノート単独公演も
チケットを取っているのだ〜。
パットのギターは、たぶん5月と同じだと思う。
チャーリー・クリスチャン・ ピックアップが
一発ついたフルアコ。
かなりアコースティックな音色に感じた。
ヘッドの形状は、ギブソンそのものだが、
ヘッドにチューナーを取り付けており、
そのグリップ部分が、ヘッドのロゴを
隠してしまっていて、確認ができなかった。
そのフルアコ以外にオベイションのエレ・ガット、
スチール弦のエレ・アコ(メーカー不明)を使用。
写真は、開演前のステージ上のその3本。
2番手、アロルド・ロペス・ヌッサ のことは、
知らなかったが、キューバの若手ピアニストで、
Buena Vista Social Club のボーカリスト
Omara Portuondo のツアーにも
参加していたことがあるようだ。
ピアノ・トリオだったが、いわゆるジャズっぽくなくて、
キューバだけにラテン的で時にはロックのようでもあり、
ダンサブルで、とても楽しめた。
ベースの アルネ・ワデ は、アフリカのセネガル出身。
ボディに「conbe」と書かれた5弦ベースを弾いていたが、
指がめちゃくちゃ長い。
他の2人が汗だくなのに、この人だけ
ほとんど汗をかいていなかった。
長袖着ているのに不思議なほど。
ドラムの ルイ・アドリアン・ロペス・ヌッサ は、
アロルドの弟。
確かに顔も似ている。
途中、兄貴とピアノの連弾を1曲。
ピアノの腕もかなりと見た。
聴きながら、キューバに行ってみたくなった。
このトリオなら、是非、クラブでも観たいな。
そしてトリは、ナベサダ、83歳。
7月4日にブルーノート公演を観たが、
今日も変わらず元気そうで、楽しそうに吹いていた。
"BEBOP NIGHT" ということだったが、
このメンバーは、今夜だけのようだ。
ピアノの ビリー・チャイルズ とは、
昨日、初対面だったそうな。
60分弱だっただろうか、ちょっと短い感じ。
もう少し聴きたかったな。
[ 出 演 ]
1. Pat Metheny & Christian McBride
パット・メセニー(g)
クリスチャン・マクブライド(b)
2. Harold Lopez Nussa
アロルド・ロペス・ヌッサ(p)、
ルイ・アドリアン・ロペス・ヌッサ(ds)、
アルネ・ワデ(b, vo)
3. 渡辺貞夫 BEBOP NIGHT
featuring
ウォレス・ルーニー (tp)
ビリー・チャイルズ (p)
ジェフ“テイン”ワッツ (ds)
ベン・ウィリアムス (b)
@ 東京国際フォーラム HALL A
2016.9.4
15th TOKYO JAZZ FESTIVAL
CELEBRATION
Sep. 4 (Sun) Daytime Open 11:30 / Start 12:30
TOKYO JAZZ、2日目 昼の部のテーマは、
"CELEBRATION"。
石若駿、寺久保エレナ、大林武司、粟谷巧の
10年ぶりとなるカルテット再結成、
渡辺香津美のデビュー45周年、
「セルジオ・メンデス & ブラジル’66」そして
「マシュ・ケ・ナダ」の世界的大ヒットから
50年目ということで、"CELEBRATION"。
今日は1日通し券なので、
夜の部も同じ席なのだが、
11列目の中央というええ席だった。
トップ・バッターは、
今年6月に Kurt Rosenwinkel(g)との
共演で素晴らしいドラミングを体験した
石若駿(ds)のカルテット。
そこにヒノテルが特別参加だ。
このカルテットは、10年前に結成したグループ、
「カルテット67」の再結成で、「67」というのは、
結成当時の4人の年齢の合計だという。
平均、16.75歳でっせ。
当時、石若はまだ13歳!
1曲目は、石若の "Cleanup"。
2曲目、ピアノの大林武司のオリジナルに続いて、
サックスの寺久保エレナをフューチャーして
"My Ideal"。
サックスのソロは、この曲が一番良かったが、
もうちょっと はち切れてもええと思ったな。
続いて、日野皓正の登場。
流石の存在感です。
曲は、ヒノテルの作曲による "Erena" と "Syun"。
4人とももちろん上手いのだが、
やはり、石若のドラミングが一番光っており、
24歳にして、自分のリーダーバンドで、
東京JAZZ 出演も納得の腕前だった。
そして次は、ギター・デュオでは今一番面白い、
渡辺香津美 & 沖仁。
まず、ギター2人にパーカッション2人の
4人での演奏。
パーカッショニストは、ヤヒロトモヒロ と
スペシャル・ゲストとして、
ミノ・シネル(Mino Cinelu)。
ミノ・シネルは、フランス出身で、
マイルス・デイビスやウェザー・リポートと
演っていた人。
見た目がカッコ良いです。
曲は、"Havana"、"地中海の舞踏" に続いて、
ミノ・シネルのパーカッション・ソロ。
続いて "Scarborough Fair"。
キーボード 笹路正徳、ベース 高水健司 が登場し、
6人で "Milestones"。
ラストは、"Unicorn" をルンバで。
香津美のギターは、PRS のセミアコと
カオル・ギター。
PRS の音は、ちょっとウォームすぎるかな。
Collings の方が、合ってるような気がした。
このデュオは、入れてもパーカッションまでで、
バンドで演らない方が、より面白いと思った。
やっぱり、バンドで演るとなると
決め事が増えるからだろうかね。
昼の部 最後は、初体験のセルジオ・メンデス。
私が生まれる前から、活動している
75歳のブラジルの大物。
死ぬまでに観ておきたいアーティストの一人。
代表曲「マシュ・ケ・ナダ(Mas Que Nada)」は、
誰でも聞いたことがあるだろう。
(オリジナルは、ジョルジ・ベンという人らしい。)
曲は、"Waters of March"、"She's A Carioca"、
"The Girl From Ipanema "、"The Look of Love"、
"One-Note Samba"、"Agua De Beber"、
"The Fool On The Hill" など、
ヒット・パレードのようだった。
アンコールで "Mas que Nada"。
ここでやっとお客さんが立ったけど、
ブラジルやったら1曲目から踊ってるんやろなぁ。
もう1曲アンコールがあって、その時には、
ミノ・シネルも登場し、パーカッションを叩いた。
なんか、最後には感動してしもた。
バンドは、セルジオを入れて 総勢9人。
ブラジル人ばかりではなく、
アメリカ人も数人含まれていた。
数曲でアメリカ人ラッパーが登場したが、
私としては、純粋なブラジル音楽を聴きたいので
ラッパーは余計に感じたのは、残念。
[ 出 演 ]
1. 石若駿 PROJECT 67
石若駿(ds)
粟谷巧(b)
大林武司(p)
寺久保エレナ(sax)
日野皓正(tp)
2. 渡辺香津美 & 沖仁
渡辺香津美(g)
沖仁(g)
KW45 TOKYO JAZZ SPECIAL BAND
笹路正徳(key)
高水健司(b)
ヤヒロトモヒロ(perc)
スペシャルゲスト:ミノ・シネル(perc)
3. Sergio Mendes
セルジオ・メンデス(vo, key)
グラシーナ・レポラス(vo)
ケイティー・ハンプトン(vo)
エイチツーオー(rapper)
スコット・マヨ(key, sax, fl)
クレベール・ホルヘ(g)
アンドレ・デ・サンタナ(b)
ギビ(perc)
レオナード・コスタ(dr)
@ 東京国際フォーラム HALL A
15th TOKYO JAZZ FESTIVAL
JAZZ IS HERE
Sep. 4 (Sun) Evening Open 16:30 / Start 17:30
さて、夜の部。
トップは、「fox capture plan」という日本人
ピアノ・トリオ。
紹介文に「現代版ジャズ・ロックをコンセプトとして
結成」とあったのだが、あんまりジャズっぽくなく、
インスト・ミュージックという印象だった。
昨日はこの時間に激睡魔に襲われたが、
今日もどういうわけか、
昨日ほどではなかったけど、眠気が・・・。
そのせいもあるのかもしれないけど、
激しい演奏の割には、聴いていて
なぜか熱くなれなかった。
演奏が熱いというよりは、
音量だけが上がっているような印象で、
私にはピンと来なかった。
ベースは、ウッドのサイレントを使ってたけど、
音楽的にはエレベの方が合ってると思うな。
続いて、Kenny Barron のピアノ・トリオ。
おんなじ楽器編成でも、こんなにちゃうかと
思うほど別世界。
ケニーは、昨年6月のナベサダ以来2度目。
"Shuffle Boil"、"Bud Like" とニューアルバムから
2曲演ったあと、3曲目で
グレッチェン・パーラト(Vo)が登場。
この人の声が、また優しい。
歌入りを2曲演ったあと、
"Nightfall" という切ないバラードを。
最後にグレッチェンを交えて "Cook's Bay"。
ドラマーのジョナサン・ブレイクは、
その見かけによらず(失礼)、繊細でありながら
自由で歌心のあるプレイ。
ケニー・バロンは、音色が美しい。
ベースは、NY 在住の日本人、北川潔。
良質で上品でジェントルなジャズを
聴いたという体験だった。
今度は、クラブで聴きたい。
さて、今年の東京JAZZ、
最後は Michel Camilo × Hiromi Uehara。
当初の予定では、
上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト だったのだが、
残念ながら、アンソニー・ジャクソンと
サイモン・フィリップスが健康上の理由により
キャンセルとなり、8月10日の時点で、
代替え公演の発表があった。
ザ・トリオ・プロジェクトを観たかったので、
残念ではあるが、一番辛いのは、上原本人だろう。
ミシェルとのデュオは、2014年の
東京JAZZ で観ているが、
ザ・トリオ・プロジェクトとは違う
聴き応えのあるプロジェクトだ。
ステージには、YAMAHAのピアノ2台が、
向い合わせに置かれ、見つめ合うように
演奏が始まった。
曲が始まるまでのイントロ部分は、
おそらく即興だろう。
ミシェルが語りかけると、上原が答える。
2人のフレーズが途切れなくつながると、
1人で弾いているかのように錯覚しそうだが、
注意深く耳を傾けると、
2人の音色には、微妙に違いがある。
上原のコロコロ転がるような丸い音色に比べ、
ミシェルは心もち硬い、乾いた男性的なトーンだ。
曲は、"Caravan"、"Take the A Train" など。
2人の超絶技巧で奏でられた
極上のピアノ・ミュージックは、
スタンディング・オベイションで幕を閉じた。
これ、DVD にしたらええのにな。
ミシェル・カミロは、今日のこの1時間ほどの
デュオのためだけに来日。
それはそれでスゴイことやと思う。
東京JAZZ としては、今夜は「JAZZ IS HERE」と
称して、3組のタイプの異なるピアノ・トリオを
登場させたかったんやな。
12月の東京フォーラム公演には、
アンソニーとサイモンが復活していることを祈ろう。
1日通しで鑑賞したのは、初めてだった。
もっと疲れるかと思ったけど、
あっという間に終わったし、疲れもない。
まあ、座って音楽聴いてるだけやねんから、
疲れるわけないわな。
夏の野外フェスなんかだと、陽に当たって
体力消耗するかもしれんけど、
空調の効いた屋内コンサートやからな。
考えたら、疲れるわけないやん。
こんな感じやったら、来年は出場者によっては、
2日間とも1日通しもありかな、と思ったのでした。
来年の東京JAZZは、渋谷で開催ということだが、
どのホールでやるんやろな。
[ 出 演 ]
1. fox capture plan
岸本亮(p)
カワイヒデヒロ(b)
井上司(ds)
2. Kenny Barron Trio with special guest Gretchen Parlato
ケニー・バロン(p)
グレッチェン・パーラト(vo)
北川潔(b)
ジョナサン・ブレイク(ds)
3. Michel Camilo × Hiromi Uehara
ミシェル・カミロ(p)
上原ひろみ(p)
@ 東京国際フォーラム HALL A
2016.9.7
映りまへん
家のコンピューターの調子が悪い。
一昨日の夜、「ひとりごと」を更新しようと
電源を入れると、モニターに何も映らない。
実は、10日ほど前にも同じことが起こった。
その時は、強制的に電源を入れ直したら、
なんとか復旧したのだが、
一昨日は、何度試みても何も映らない。
モニターとPCをつなぐケーブルの抜き差しも
試したがダメだ。
昨日も試してみたがダメだった。
最初、PCの故障だと思ったが、
電源を入れると PC 本体は、
音を立てて動いているようにも見える。
そうなると、モニターの故障か。
出張修理を呼ぶしかないかとも思ったが、
その前に、思いついたことがあった。
会社に使っていないモニターがあるので、
それをつないでみたらどうだろう。
もし、それで映れば、モニターの故障と
いうことになるし、それでも映らなければ、
PC の問題ということだ。
で、今日、そのモニターを持って帰ってきて、
つないで「映りますように」と
祈りながら、PC の電源を入れてみた。
が、何も映らない・・・。
このモニター、もう何年も使ってなかったから、
あかんのかなと、念のため、
妻の Vaio をつないでみると、ちゃんと映る。
そうかぁ、モニターの問題ちゃうかったかぁ、
モニターやったら買い換えたらええと思たけど、
PC の故障となると、ちと面倒やなぁ、
などと思いながら、キーボードを叩いたり、
マウスを動かしてみたり、色々してると、
あらら、映った。
なんやろこれ、接触不良みたいなもんかね。
というわけで、今は見えているのですが、
今夜、電源を切ったあと、次に映るかどうか
分からないので、今度映らなかったら、
いよいよ修理を呼ぶしかないと思てます。
そうなったら、また数日、
「ひとりごと」を更新できないかもしれません。
電源を切らない、という方法もあるけど、
スリープ状態のあと、戻ってくるかどうか
分からんしな。
困ったもんや。
Pat Metheny
& Christian McBride
土曜日、TOKYO JAZZ FES. で激睡魔に襲われ、
ほとんどまともに聴けなかった、
Pat Metheny & Christian McBride のデュオ。
月曜日(9月5日)は、そのブルーノート公演に
気合を入れて行ってきた。
彼らは、土曜日に TOKYO JAZZ FES. で演奏し、
日曜月曜の2日間4公演だけ、
ブルーノートに出演ということで、
当然ソールドアウトだった。
このデュオなら、1週間やったって
ソールドアウトだろう。
その2日目の 2nd Show、
つまりは最終公演を観てきたのだ。
やはり、東京国際フォーラムの A ホールの
ような大きな会場より、200〜300人クラスの
ジャズ・クラブで観る方が断然良い。
チケット代は、高くなるけど仕方がない。
ギターは、TOKYO JAZZ FES. と同じ3本。
曲は、聞いたことのある曲もあったけど、
タイトルは、"Gentle Rain" ぐらいしか言えない。
そういえば、TOKYO JAZZ FES. では、
"JAMES" を演ったのだけど、
この日は、演らなかった。
パットは、下を向いて一心にギターを弾く感じで、
演奏中、クリスチャンとアイコンタクトを
とるような場面はなかった。
あのレベルになると、顔を見合わせる必要も
ないということか。
素晴らしい演奏で、なんというか、
贅沢で特別な時間という感じだった。
ライヴ CD 出れば良いのになぁ。
[ MEMBERS ]
Pat Metheny (g)
Christian McBride (b)
@ Blue Note Tokyo
2nd Show
2016.9.8
後妻業の女
大竹しのぶ、豊川悦司主演の映画
『後妻業の女』。
原作は未読だが、黒川博行の「後妻業」。
「後妻」は「女」と決まっているのだから、
タイトルの「の女」は余計だと
ネットに書いていた人がいた。
確かにそう思うが映画のタイトルとしては、
「の女」がある方が語呂が良いんちゃうやろか。
金持ちじいさんの後妻に入り、
財産を奪う女に大竹しのぶ。
そのビジネス(?)パートナーで、
結婚相談所の所長に豊川悦司。
そのほか、尾野真千子、永瀬正敏、
笑福亭鶴瓶、水川あさみなど。
ちょい役で、余貴美子、笑福亭鶴光、
伊武雅人、柄本明、津川雅彦、森本レオなど。
さて本作、下品だという声もあるようだが、
この程度の下品さは下品に入らないな。
もちろん上品ではないし、
家族団らんで観られる映画ではないけどな。
面白くないわけではないけど、
何かが中途半端な感じ。
ドラマの終結の仕方もイマイチ、
ピンと来ないまま終わってしもた感がある。
2、3箇所、全然おもろない、
くだらないシーンもあった。
そして、ネイティヴ大阪人として
イヤなのは、役者の変な大阪弁。
トヨエツは大阪出身、尾野真千子は奈良出身なので
問題ないが、関西出身でない役者の大阪弁は、
残念ながらあきまへんねん。
大竹しのぶは、かなり頑張ってる方なんやろうけど、
それでも、違うねんな。
大阪の人は、そんなイントネーションで喋れへんねん。
その違いは大阪の人にしか分かれへんのかもしれんけど、
どうせやったら、全員関西出身の役者で
作って欲しいな。
それでなければ、大阪舞台という設定を止めるかや。
映画作る人、そのへん、本気でリアルに
作って欲しいな。
あと、鶴瓶の使い方ももったいない。
★★★▲☆
2016.9.9
アスファルト
ASPHALTE / MACADAM STORIES
フランス郊外の寂れた団地を舞台にした映画
『アスファルト』。
原題も『ASPHALTE』だが、
並んで書かれている『MACADAM STORIES』の
「MACADAM」は、「舗装道路」の意味なので、
やはりアスファルトと似たような意味だろうか。
本作、コメディ映画との紹介されているが、
私はあまり笑えなかった。
例えば、車椅子に乗った男性が、
団地の入口のスロープを上るのに
苦労するシーンがある。
ここで、観客からクスクスと笑い声が聞こえる。
何が面白いのだろう。
笑うシーンだろうか。
役者が、コミカルに演じているわけでもないのだ。
他にもそういう(ここ、笑うとこか?)と思うシーンで
クスクス笑い声が聞こえるのは不思議だった。
映画は、車いすの中年男と看護師、
女優と親が留守がちなティーン・エイジャー、
フランス語が話せない NASA の宇宙飛行士と
英語が話せない移民の女性、
そんな3組の男女の出会いを描いた物語で、
3つのストーリーが同時に進んでいく。
ラスト・シーンの後、画面が暗転するまで、
この映画で泣くなんて思えなかった。
ところが、画面が暗転した途端、
不覚にも意味不明の涙が溢れ出した。
何の涙か分からない。
ただ、泣けた。
う〜ん、新しい体験だ。
本作は、ハマる人には最高、
ワケの分からに人には、
「何がええの?」という映画だろう。
泣いてしまった私にも何が良いのか分からない。
でも、良かった。
間違いなく、良かった。
ラストのあの感じを味わうために、
もう一度観たいと思うほど。
音楽も良い。
★★★★★
刑務所にいる息子に母親が面会に行くシーンがある。
タバコとコーヒーを差し入れ、
「他に欲しいものは?」と訊くと、
息子が「オランジーナ」と答える。
フランスの国民的ドリンクという
CM があったけど、ホンマやねんな。
志の輔の背丈
先日、発売されたばかりの
立川志の輔著『志の輔の背丈』。
新しく書き下ろされた本ではなく、
毎日新聞に18年間連載された
「ピーピングしのすけのふしあなから世間」という
コラムから抜粋されたベスト版コラム集。
古いものでは1996年から、
2013年のコラムまで。
毎日、寝る前に1つだけ読もうと読み始めると、
中々やめられなくて、結局、数日で読み終えてしまった。
印象的な話。
今年1月「志の輔らくご in PARCO」で聴いた
「大河への道」という新作落語。
伊能忠敬の偉業を落語に仕立てた、
壮大な噺だったが、2007年の11月30日の
コラムでは、伊能忠敬のことを落語にしようと
していて「頓挫しています」と書いている。
9年も前に。
この一行だけで、あの落語が出来上がるまでの
志の輔師匠の苦労と苦悩が胸に
迫り来るようであった。
また、キューバ、ロシア、北朝鮮への旅の話や、
311の被災地での落語会、
師匠談志の思い出話など、
盛りだくさんだ。
★★★★▲
2016.9.10
君の名は。
現在公開中の中では、『シン・ゴジラ』を抜いて、
最も高評価の映画『君の名は。』。
予告編を観た時には、アニメだし、
あまり食指は動かなかったのだが、
ここまで高評価だと興味がわいてきた。
でも、『シン・ゴジラ』の例もあるので、
あまり期待しないで観てきた。
私は アニメ・ファンではないので、
新海誠 監督作品は、初めて。
ボイス・キャストは、神木隆之介、
上白石萌音(かみしらいしもね)、
長澤まさみ、市原悦子ら。
田舎に住む女子高校生と、
東京住まいの男子高校生が、
夢の中で入れ替わってる、ということ以外、
何も知らずに観たのだが、
これが、大人でも十分に楽しめる大作だった。
本作は、実写よりむしろアニメの方が
良かっただろうと思えるほど、
アニメが素晴らしかった。
感心したのは、アニメなのに
まるでカメラで撮った実写のように、
ボケまで表現しているところ。
そういう細かい描写に
海外で評価を受ける日本のアニメの
レベルの高さを感じた。
ストーリーについては、
何も知らずに観たおかげで、
先の展開が読めず、一度も中だるみすることなく、
物語に引き込まれた。
土曜日の18:20からの回ということもあってか、
満席だったが、まわりを見渡すと、
若いお客さんが多かった。
でも、50代のおじさんにもグッときたよ。
もう一度、ストーリーを分かった上で、
細かい点に注意を払いながら、
観てみたいと思った。
昭和生まれには、なんとなく古臭いイメージの
タイトルに似合わず、現代的な壮大なファンタジーで、
大ヒットも納得。
★★★★★
黒白写真 暗室基礎講座
5〜6月に参加したニコン・カレッジの
講座での発表作にモノクロ写真を
持って行ったところ、先生に
「白黒が好きならフィルムやりましょう」と
言われ、ずっと気になっていた、
「黒白写真 暗室基礎講座」というものに
参加してきた。
10:00〜17:00、お昼休憩を挟んで、
7時間。
この講座は、ニコンではなく、
JCII というところの主催で、
講師は、そのニコンの講座でお世話になった
池本さやか先生。
暗室の実習で、モノクロ・フィルムの現像から
プリントまで、2日間かけておこなわれる。
(2日目は来週。)
そのためにまずは、モノクロの写真を
撮らなければならないので、数日前、
10数年ぶりにフィルムの
コンパクト・カメラ(オリンパス)を取り出した。
ちゃんと動くかなと心配だったが、
驚いたことに、電池も生きていて、
ちゃんと動いたよ。
ビバ・メイド・イン・ジャパン!
と思ったら、カメラには
「ASSEMBLED IN HONG KONG
PARTS MADE IN JAPAN」と書かれていた。
講座に申し込んだのが、10日ほど前で、
中々ゆっくりと撮影の時間を
取れなかったのだが、
数日に分けて、なんとか24枚撮り2本、
48枚を写した。
デジカメなら数時間で200〜300枚撮れるのに、
フィルムだと極端にシャッターの回数が
減るのには、自分でも驚いた。
そして、デジカメなら、撮るたびに
モニターで写り具合を確認するが、
フィルムの場合、どんな風に写っているのか、
ピントが合っているのか、そもそも、
撮れているのかさえ、分からないのだ。
そんなことは、当たり前の当たり前なのに、
デジカメに慣れてしまった今となっては、
新鮮で刺激的な撮影でもあった。
さて、講座では まず現像を習う。
人生で初めての、フィルムのケースから、
フィルムを引っ張り出す作業。
引っ張り出したフィルムを
特殊なリールに巻き付ける。
この作業を光の入らないダークバック(黒い袋)の
中で、手探りで行うために、明るいところで、
目で確認しながら数回練習。
リールに巻くにはちょっと慣れが必要だ。
フィルムを巻いたリールは、
ダークパックの中でタンクと呼ばれる蓋つきの缶に
入れ、ダークパックから取出し、
現像液、定着液、停止液に順に浸けていく。
それぞれ浸す時間が決まっており、
タイマーと睨めっこしながら、
タンクを上下にひっくり返す、
攪拌という作業をやる。
午前中は、この現像作業だけで、
あっという間に2時間以上が過ぎた。
午後は、現像したネガ・フィルムをいよいよ
プリントするのだが、その前準備として
試し焼きをする。
テスト用の小さめの印画紙の上にネガを置き、
光の当てる時間を例えば、2秒4秒8秒などと
試しに焼いてみて、最適な露光時間を
割り出す作業だ。
ハッキリ言って、地味で根気のいる作業だ。
デジタルなら、一瞬で分かることに
いちいち、10分近くの時間を費やす。
そして、露光時間が決まったら、
ベタ焼き。
これがベタ焼き。
言ってればインデックスのようなものだ。
その中から、大きくプリントしたい
写真を選ぶ。
大きくプリントする際も、
何度も試し焼きを行う。
そのために慣れてきても、
1枚焼くのに1時間程度かかるようだ。
今日は、午後の3時間半で
2枚しか焼けなかった。
そのうちの1枚をスキャンしたものがこれ。
クリックで拡大
初めての作業で、興味津々というか
適度な緊張感と集中とともに
あっという間に時間が過ぎた。
印画紙に自分の写した絵が
浮かび上がってくる瞬間は、
何とも言えない感があって嬉しいのだが、
前述したように地味で根気のいる作業で、
これは、ホンマに好きやないと
でけへんなと思った。
今のところ、フィルムを今後も続けるかどうかは、
分からないが、やはりフィルムで撮った写真には、
デジタルにはない味がある。
それは大変に魅力的なので、この地味な作業を
楽しめるかどうかがキモになりそうだ。
2016.9.11
年下の男の子
数ヶ月前に買ったオムニバス CD に
原田知世が歌う "Don't Know Why" が
収録されていた。
作者の Jesse Harris とデュエットしており、
これが良い。
今まで、原田知世の歌をまともに聴いたことは
なかったが、この "Don't Know Why" の入っている
原田知世のオリジナル・アルバム『恋愛小説』を
聴いてみたら、中々良いではないか。
洋楽のカヴァー・アルバムなのだが、
歌声も選曲もアレンジも良い。
プロデュース、アレンジは、伊藤ゴロー。
この人の名前、よく見かけるようになったなぁ。
それで、今年発売されたカヴァー・アルバム第2弾、
『恋愛小説2~若葉のころ』を聴いてみた。
今度は、J-POP のカヴァーだ。
10曲全部、知っている曲。
今度は、アレンジにちょっと好き嫌いが別れた。
文句なしに秀逸だと思ったのは、
キャンディーズの『年下の男の子』。
これは、ええなぁ〜。
虚を突かれたっちゅう感じ。
それから、竹内まりやの『September』や
ユーミンの『やさしさに包まれたなら』も
好きやなぁ。
このへんは、割と素直なアレンジやけど。
残念だったのは、
太田裕美の『木綿のハンカチーフ』、
山口百恵の『夢先案内人』、
松田聖子の『SWEET MEMORIES』。
特に『夢先案内人』は、好きな曲でも
あるのだが、原曲の良さが失われているように
感じ残念(個人の感想です)。
時に、やっつけ仕事のようなカヴァー・アルバムも
耳にしたことがある中では、
十分にええアルバムやと思うけど、
カヴァーというのは、原曲の良さを生かしつつ、
そこにオリジナリティを打ち出していかな
あかんから、難しいのは難しいねんな。
『恋愛小説2~若葉のころ』収録曲
01. September (竹内まりや)
02. やさしさに包まれたなら (荒井由実)
03. 秘密の花園 (松田聖子)
04. 木綿のハンカチーフ (太田裕美)
05. キャンディ (原田真二)
06. 年下の男の子 (キャンディーズ)
07. 異邦人 (久保田早紀)
08. 夏に恋する女たち (大貫妙子)
09. 夢先案内人 (山口百恵)
10. SWEET MEMORIES (松田聖子)
痛風物語 20
6月1日に3度目、20日に4度目の痛風を
続けて発症した。
昨年7月の尿酸値は、7.4 だったのだが、
今年4月の健康診断では、
尿酸値は 8.3 に上がっていた。
昨年5月の2度目の発症から時間が経ち、
油断とともに尿酸値も上昇したのだろう。
4月の時点では
「8.3 に戻っても再発症せえへんやん」と
ますます、なめてしまった。
そのせいで、6月の連続発症へとつながったのだと思う。
6月の発症から、また気をつけるようにし、
8月22日に二次検査を受けてみた。
その結果が届いたのだが、尿酸値は、7.7。
4月の 8.3 からは、0.6 下がっているので、
努力の成果は現れているが、
まだまだ足りない。
尿酸値は、7.0 を超えていると
高尿酸値症なのだ。
痛風発症直後は、その痛みの激しさゆえに、
アルコール類を飲もうとは思わないし、
肉や魚への食欲も半減するのだが、
ひと月ふた月と経つうちに
だんだんと麻痺してくるのが分かる。
食欲が戻り、酒も飲みたくなり、
(これぐらいええやろ)が始まるのだ。
う〜ん、こんな調子では、
そのうちに5度目の痛風になりかねない。
痛風は痛いだけだが、合併症が怖い。
年下だけど痛風先輩の T ちゃんは、
数年前から痛風外来に通っている。
彼は尿酸値を下げる薬を飲んでいるのだが、
彼の話によると、尿酸値を下げる薬は、
利尿作用のためらしい。
尿酸は、おしっこで出ていくのだが、
痛風になる人は、その排出力が弱い。
なので、利尿作用を使って、
尿酸を排出するらしい。
薬を飲んでいると、かなり楽なようなので、
魅力的なのだが、その話を聞いて、
水も飲むけど、お茶も飲むようにしている。
コレステロール値も異常なので、
「コレステロールを下げる」と宣伝している
特保のお茶やトマトジュースだ。
飲み始めて間がなかったためか、
今回の検査では、そちらの成果は現れなかったが、
しばらく続けて様子を見てみようと思う。
尿酸代謝、血液脂質、両方に働くと良いのだが。
[ 尿酸値&痛風 記録 ]
2011/06/04 尿酸値 9.7
2013/09/04 尿酸値 8.0
2014/05/26 尿酸値 8.2
(2014/10/18 痛風発症 1回目)
2014/10/18 尿酸値 8.2
2015/02/01 尿酸値 8.3
(2015/05/16 痛風発症 2回目)
2015/07/02 尿酸値 8.4
2015/07/17 尿酸値 7.4
(2016/06/01 痛風発症 3回目)
(2016/06/20 痛風発症 4回目)
2016/04/25 尿酸値 8.3
2016/08/22 尿酸値 7.7
2011年6月の尿酸値は、
「9.7」とえげつない数値だが、
翌7月から 2012年の2月までかけて
ダイエットに取り組み、
15キロの減量に成功した。
この頃の検査結果がないのだが、
おそらく減量とともに尿酸値も下がり、
そのおかげで、9.7という数値まで
上がっていたにも関わらず、
発症しなかったのではないかと思う。
その後、じわじわと体重が上がり、
2013年には尿酸値が、8.0を超えたのだと思う。
2016.9.11
911 から 15年
2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件から
15年が過ぎた。
事件から、しばらくして在日米国人から、
「あれは陰謀だ」という話を聞いた。
にわかには信じられない話だが、
確かにビルの崩れ落ち方など、
不思議な点はあった。
WTCが崩壊する映像を見ながら、
(えっ?こんな風に崩れるの?)と
思ったことは覚えている。
とはいえ、素人。
「ジェット機の燃料が・・・」
などと言われると
そういうもんなのか、とも思った。
今でも、陰謀説はあるようだけど、
本当のところはどうなんでしょう。
いつか真相が暴かれるんでしょうか。
永遠に闇なんでしょうか。
WTCのテロの被害者数は、
ウィキペディアによると、2,749人とある。
日本人も含まれている。
テロにしろ、何者かの陰謀にしろ、
何の関係もない人々が
被害に遭ったことには違いない。
こういった悲劇が繰り返されないよう祈るとともに
被害に遭われた方々への哀悼の意を表します。
写真は、私のアメリカ一人旅(1985年)の
思い出です。
見上げたWTC
WTC展望台からの景色
2016.9.12
LEE RITENOUR
リー・リトナー
もう10年以上、ほとんど毎年観に行っている
リー・リトナー。
昨年は イヴァン・リンス(vo,key)、
一昨年は 神保彰 (ds)、寺井尚子(vln)、
その前の年は 渡辺香津美(gt)と、
この3年はゲストを向かえての公演だった。
今年は、昨日、
" SIX STRING THEORY COMPETITION " と
いうことで、コンペティション を勝ち抜いた、
世界から集まった若いミュージシャンと
リーとの公演が行われ、今日から3日間は、
リー名義のリーダー・ライヴが行われる。
今日からのメンバーは、キーボードに
ベネズエラ出身のオトマロ・ルイーズ。
初めて聴く人だったが、本人のピアノの作品を
聴いてみたいと思う演奏だった。
ベースは、アドリアン・フェロー。
フランス人。
5弦ベースを2フィンガーはもちろん、
4フィンガーでも弾く。
めちゃ早い。
一部では「ジャコの再来」とまで
言われているようだ。
ドラムスは、昨年同様リーの息子、
ウェスリー・リトナー。
昨年「数曲でドラムがちょっとうるさく感じた」と
書いているけど、今回もまず1曲目で
「ドラム、やかましい!」と思ってしまった。
2曲目はそうでもなかったけど、3曲目以降も
曲によって、所々でうるさく感じた。
音量か、音色か、タイムか、なんや分からんけど、
うるさく感じた。
他のお客さんに
「ドラム、うるさくないですか?」って
聞いてみたいほど。
でも、もしバンドメンバーを含む全員が、
あのプレイをうるさいと感じるなら、
彼はきっと採用されないだろうから、
私との相性が悪いんやろな。
それにしても、今まで色んなドラマーを
聴いているけど、珍しい現象や。
来年も、ウェスリーを連れて来るんやったら、
観に行くの考えよっと思ったほどでした。
演奏曲は、”Wes Bound" "Fatback"
"Lay It Down" 等の他(曲名は言えないけど)
毎度のリーのレパートリーで、
聞いた事のないのは、1曲だけだった。
ギターは、いつもの Gibson L-5 リトナー・モデルと、
Gibson レスポール、チェリー・サンバースト。
このレスポールは、何度見ても
惚れ惚れするほど美しい。
芸術的。
70分ほどで本編を終了し、メンバーが楽屋にはけた。
通常、ブルーノートでは、アンコールがある場合、
モニターに映像は映し出されないが、
今日はスグに映像が映し出された。
あれ?今日はアンコールなし?と思ったけど、
お客さんが熱心だったので、拍手は鳴り止まず、
指笛も結構 鳴っていたこともあってか、
再度登場し1曲アンコール演奏があった。
[ MEMBERS ]
Lee Ritenour / リー・リトナー (g)
Otmaro Ruiz / オトマロ・ルイーズ (p,key)
Hadrien Feraud / アドリアン・フェロー (b)
Wesley Ritenour/ ウェスリー・リトナー (ds)
@ Blue Note Tokyo
2nd Show
(2016.9.18 追記)
Blue Note のサイトに セットリストが
発表された。
2016 9.12 MON. 2nd Show Set List
1. THE VILLAGE
2. WALTZ FOR CARMEN
3. WES BOUND
4. IMPROVISATION
5. STONE FLOWER
6. OOH YEAH
7. LAY IT DOWN
EC. A LITTLE BIT OF THIS
私が書いた "Fatback" がない。
私の思い違いか。
2016.9.13
新装版 土門拳 自選作品集
先月の誕生日に妻にプレゼントしてもらった、
土門拳 自選作品集。
1977年に全3巻で発売されたものを
1冊にまとめ、2009年に
生誕100周年記念として
発売された復刻版だ。
元は、3巻だったものを1冊に
まとめたわけだから、分厚い。
ちょうど昔の百科事典ぐらいの
大きさと厚さだ。
タイトルにあるように本書は、
土門拳自身が選んだ、447点が
収録されており、大変に見がいのある
写真集だが、ちょっと軽い気持ちで
パラパラというわけにはいかない。
なんというか、覚悟がいるのだ。
生半可な気持ちで開けると、
写真に負けてしまい、
すぐに閉じてしまうことになる。
特に、傷痍軍人や広島の被爆者の
写真は、胸に迫り来るものがあり、
鑑賞する方にも本気が求められる。
それらは、被写体に重要な意味を
見出すからかもしれないが、
人形や仏像などにも
「怖い」とさえ思わせるものがある。
土門が被写体に対峙したほんの
なん十分の一かもしれないが、
写真に向き合うためには
真剣さを求められる。
そんな写真集。
土門が、なぜそれぞれの写真をこの自選集に
入れたかったのか、
1枚1枚ゆっくり味わいながら、
考えながら観ている。
パリ・ドアノー
ロベール・ドアノー写真集
土門拳は 1909年生まれで、
ロベール・ドアノーは 1912年生まれなので、
2人は同年代の写真家だ。
ドアノーはフランスの写真家。
今年5月にライカ銀座店のギャラリーで
開催された写真展を観てから、
写真集を買おうと思っていたのだが、
大体、写真集というのは、ええ値段しているので
中々買えずにいたが、1600円(税別)で売っている
写真集があったので、買ってみた。
大きさは、A5 を少し大きくしたサイズで、
中々ええ感じだ。
表紙ではなく、ケースというかカバーの
写真「ノートル・ダムの怪獣」も良い。
なんかの映画のシーンを思い出すな。
有名な「パリ市庁舎前のキス」や
5月に写真展で見た「流しのピエレット・ドリオン」
(アコーディオンを弾く女性の写真)も
収録されていた。
土門とドアノーは、全く同じ時代の
日本とパリを撮っているのだが、
非常に興味深いものがある。
土門が撮った1950年代前半の東京の子供達は、
ちゃんばら、メンコ、コマ回しに
おしくらまんじゅうで遊んでいる。
それに対し、ドアノーが撮った1949年の
パリの子供達は、なんとローラースケートで、
遊んでいるのだ。
また1945年といえば、終戦の年で
東京は焼け野原だったわけだが、
パリはドイツ軍による破壊を免れたおかげか、
エッフェル塔近くのイエナ橋から
飛び込みを楽しむ若者達の写真があり、
ちょっと驚いた。
2016.9.14
昭和歌謡ブーム
先日、原田知世がカヴァーしたキャンディーズの
『年下の男の子』が素晴らしいと書いた。
2〜3日前、テレビの朝のワイドショーでやっていたのだが
この頃は、「昭和歌謡ブーム」らしい。
若者や子供が昭和歌謡を聴いているというのだ。
その理由が、「今時の歌より歌詞が伝わってくる」
「メロディが歌いやすい」「癒される」などと色々だ。
『いい日旅立ち』(山口百恵)や
『上を向いて歩こう』(坂本久)などのように
タイトルは明るいのに曲調には、哀愁があるというのも
最近の曲にはない要素かもしれない、と
興味深いコメントもあった。
今では、昭和歌謡専門のCD・レコード店まで
出現したようだ。
私は、1996年から99年までの3年数ヶ月、
日本の懐メロを専門に流すバーで働いた。
そこでは、本格的なオーディオ・スピーカーで
70年代80年代の歌謡曲、フォーク、
ニューミュージック、日本のロックを
中心に流していた。
オープンからしばらくはヒマだったが、
急に爆発的に売上が増えた。
最初の5ヶ月月間は、目標売上額の300万円に
届くことがなかったのだが、
6ヶ月目で突然、450万円を超えたのだ。
商売というのは、徐々に成功するのではなく、
ある時点で突破(Breakthrough)するのだということを
身を持って知った体験だった。
閑話休題。
その懐メロ・バー(店名もナッツ・バーだった)では、
客席で、イントロ当てクイズで盛り上がる
光景が良く見られた。
客の世代的にも特に「ザ・ベスト10」や
「夜のヒットスタジオ」で聴きなれた、
1980年前後のヒット曲が特に盛り上がっていた。
私は、日本の音楽も聴いていたけど、
どちらかというと洋楽派で歌謡曲、
それも特にアイドル物は、どこかで
音楽的にバカにしていた時代があったのだが、
この懐メロバー時代に改めて、
歌謡曲をじっくりと聴き直し、
その認識を改めることになった。
カッコ良いのである。
キャンディーズだって、山口百恵だって、
松田聖子だって、すごく良くできていて、
メロディもアレンジも素晴らしいということに、
気が付いたのだった。
そして、1984〜85年ぐらいを境に日本の
歌謡曲は、ちょっとつまらなくなる。
それは、技術の進歩の表れでもあるのだが、
いわゆる「打ち込み」という、
機械にドラムのパターンをプログラムする
手法の始まりとともに、
歌謡曲は、面白くなくなった。
というのが、私の自論なのだがどうだろう。
現代の「打ち込み」は、それはそれで、
音楽的な表現もできるようになったが、
当時は人間味のない、味気ない演奏に
なることを否めなかった。
でも、生身のドラマーに叩かせるより、
機械でやってしまった方が、
大幅に予算の節約になることと、
やはり、そういう世界の人たちは、
新しいテクノロジーを使いたいということも
打ち込みが多かった理由ではないだろうか。
今、ブームとなっている昭和歌謡は、
その歌謡曲が面白くなくなる前の、
黄金時代の歌謡曲なのではないかと
勝手な分析をしている。
それらは、おそらく、J-ポップスの
クラシックとなっていくのだろう。
2016.9.15
アンリ・カルティエ=ブレッソン 瞬間の記憶
[DVD]
今年に入って、プロの写真家の写真を観たくなり、
まず最初に買ってみたのが、
土門拳、木村伊兵衛、そして、
アンリ・カルティエ=ブレッソン、
この3人の写真集だった。
ブレッソンも、土門拳、木村伊兵衛同様、
20世紀を代表する写真家。
どいうわけか、私の興味に引っかかってきた
外国人写真家は、ブレッソン、ロベール・ドアノー、
ジャック=アンリ・ラルティーグと
フランス人が続く。
先日、ブレッソンのドキュメンタリー映画が
あることを発見した。
『アンリ・カルティエ=ブレッソン 瞬間の記憶』。
2003年の映画で、日本では2006年に
公開されている。
早速、レンタルして観てみた。
ブレッソンは、あまり自分のことを語って
こなかった人らしく、自分の作品についてや
人生を語る映像は、貴重なドキュメンタリーのようだ。
93歳の時の映像で、見た目は
じいさんなのだが、なんというか
目つきが若いと思った。
本人だけではなく、数人のインタビューで
構成されているのだが、その中に
フランス人女優が登場した。
それが、先日観てすごく良かったと
ここに書いた映画『アスファルト』の
イザベル・ユペールだった。
気が付いていなかったが、
私が買ったブレッソンのポートレイト集にも
イザベル・ユペールの写真は、
収録されていた。
また、数日前、妻とサルトルの話をしたのだが、
映画の中で、ブレッソンが撮った
サルトルのポートレイトが登場した。
そんな、シンクロニシティな
ドキュメンタリー映画だった。
大した偶然ではないのだが、
私には何か意味があるように感じた。
何の意味か分からんねんけど。
彼の代表作、"The Decisive Moment"
『決定的瞬間』を欲しくなってしもた。
ブレッソンは、2004年8月3日
95歳で亡くなっている。
★★★★☆
高座
橘蓮二 写真集
11月14日に行われる、
「橘蓮二『夢になるといけねぇ』出版記念の会」
というイベントの案内を見た。
落語ファンならば
「夢になるといけねぇ」というのは、
「芝浜」という演目のサゲの言葉だと
すぐに分かる。
私は、橘蓮二 という人を知らなかったので、
落語に関する書籍の出版記念の会かと思った。
出演者の中に、
立川志の輔師匠の名前があったので、
気になって調べてみると、
橘蓮二というのは、
落語など演芸を中心に撮っている写真家だった。
へぇ、そんな写真家がいたのか。
それなら、好きな写真と落語
両方楽しめるんやないかと、
すでに出版されている写真集を
アマゾンでチェックしてみた。
文庫になっている「高座のそでから」という
写真集の中古本が、
300〜600円ぐらいで 売られていた。
新品は、売られていないので絶版なのかもしれない。
もう1冊、「高座」という写真集が、
こちらは新品だがバーゲン(自由価格本)で、
1,807円で出ていた。
ほかにもあったが、
とりあえず この2冊を注文してみた。
写真を見て気に入ったら、
その出版記念の会にも行ってみるかと思ったのだ。
すでに2冊とも届いたのだが、
文庫本の「高座のそでから」は、
表紙カバーにすれがあったけど
中古なので仕方がない。
驚いたのは、「高座」。
ちゃんと見てみると、
もともとの値段は 5,832円(税込)。
ハードカバーの大型本で、
プラスチックのケースまで付いている
立派な本だった。
5,000円以上出しては、
買わなかっただろうから、
1,807円はラッキーだ。
アマゾンのバーゲン本としては、
最後の1冊だったようで、もう新品は、
1,807円では売られていない。
(中古本なら、もっと安く出てるけど。)
ちなみに出版社のサイトを見てみてると
「品切・重版未定」とある。
2冊の写真集を見てみてみると、
いいなぁ、自分も撮影したいなぁ、と
思うような写真たちだった。
ミュージシャンのステージ写真もそうだが、
撮影自体が特別なことで、
誰もが許されることではない。
そういう瞬間をカメラに収めることは、
貴重で楽しいに違いない。
でも、2〜3回知人友人のライヴを
撮影したことがあるけど、
撮影に夢中になると、
演奏を聴いていられないのが悩ましい。
2つのことが同時にできない質(たち)なのだ。
きっと、落語でもそうだろう。
音楽以上に聴くのに集中せなあかんもんな。
写真は、カラーと白黒が混在しているが、
断然白黒が良い。
写真にもよるが、カラーには不必要な
情報も含まれているような気がする。
白黒の方が、シンプルに「その人自身」に
迫っているような印象を受けた。
そんなこんなで、11月の出版記念の会には
行ってみることにした。
チケット代に新刊『夢になるといけねぇ』代も
含まれていて、当日もらえるようだ。
一つ前のエントリーに書いた、フランスの写真家
アンリ・カルティエ=ブレッソンが、
1952年に出版した写真集のタイトルは、
原題の直訳では「逃げ去るイメージ」だったが
日本では『決定的瞬間』と訳された。
そのせいもあってかブレッソンは、
決定的瞬間をカメラに捉えた写真家という風に
扱われてきたようである。
橘蓮二は、ブレッソンの『決定的瞬間』を
引き合いに出し、写真集「高座」のあとがきに
こう書いている。
私も学生時代にこの写真集(「決定的瞬間」のこと)に
影響を受け、カメラを持って、私の決定的瞬間を
探しに街に出て、写真を撮り続けていました。
その後、写真の仕事を始め、さまざまな
撮影をしてきましたが、どんな時にも、
決定的瞬間を撮りたいという思いは
消えずにいました。
(中略)
しかしここ数年、私の中にある変化が生まれ、
その思いは徐々に大きくなり、最近では
確信に近いものになってきました。
それは、私には決定的瞬間は存在せず、
自分の中からも生み出せないということでした。
これは決して悪い意味ではなく、
逆に言えば、この世界は決定的瞬間に溢れていて、
もうすべては既にあり続けているのです。
そして自分の中から決定的瞬間を
生み出すのではなく、この空間の中から
自分というレンズを使って
取り出していくことが、私の撮影の
やり方なのだと思うようになったのです。
ブレッソンのドキュメンタリー映画『瞬間の記憶』を
観た翌日に届いた、日本人の落語家を撮った写真集に、
ブレッソンのことが出てくる。
もちろん、ブレッソンはそれだけの影響力を持ち、
ビッグネームなので、不思議ではないのだが、
私にすれば、こうなると、シンクロ二シティの
数珠つなぎのようで、興味深い。
そして、
「この世界は決定的瞬間に溢れていて、
もうすべては既にあり続けている」。
なんて素敵な言葉だろうか。
2016.9.16
上田正樹 と 山岸潤史
めっちゃくちゃ久しぶりに
高円寺の ジロキチ に行ってきた。
ジロキチは、40年以上の歴史のある
ライヴハウスだ。
今日は、キー坊(上田正樹)と山岸さんのライヴ。
この共演を観るのは、昨年7月22日の
「有山岸 feat.上田正樹」以来。
大好きなギタリストと大好きなシンガーの
共演なので、悪かろうはずがないが、
やっぱり良かったなぁ。
2〜3曲、山岸さん抜きの4人で演った後、
山岸さんの登場。
Parliament-Funkadelic のTシャツに
ギターは Xotic の白いテレキャスター・タイプ。
"In the Midnight Hour"(Wilson Pickett)、
"Take These Chains From My Heart"
(Ray Charles)、
"Soul Shadows"(Joe Sample)、
"I'm So Glad I'm Standing Here Today"
(Joe Sample)、
" My Old Kentucky Home"、
"I've Been Working on the Railroad"、
"River Side Blues" などの他、
キー坊のオリジナルも数曲。
特に "I'm So Glad I'm Standing Here Today" は、
素晴らしかった。
途中でキー坊が構成を間違ったらしく、
バタバタする場面があったのだが、
それもライヴならではだし、
そんなことを含めても、
本日のベスト・テイクだった。
山岸さんのジョー・サンプルの思い出話や、
レイ・チャールズがリハーサルの時に
演奏を止めて、ギターの3弦の
チューニングが狂っていることを指摘した話、
"Take These Chains From My Heart" が、
『愛さずにはいられない』に続いて
『泣かずにはいられない』という邦題だっという
話など、いつまでも聞いていたいような
音楽よもやま話と演奏、そんなライヴだった。
山岸さんのギター・ソロは、
唸らされるほどの素晴らしさだったし、
ピアノの羽仁さん(ライヴを観るのは3年ぶり)の
ブルースも素晴らしかった。
そして、この5年ほどは、毎年キー坊の歌を
ナマで聴いているが、この人の歌は、
やっぱり、ナマで聴かなあかんと
あらためて思ったのだった。
満席で立ち見もいたけど、
ギリギリ席が取れて座って観ることができた。
珍しく休憩なしの1ステージというのも
良かった。
アンコールを含めて、2時間あまり。
山岸さんは、ニューオリンズ在住なので、
そうちょくちょくは演れないだろうけど、
また演って欲しい。
[ MEMBERS ]
上田正樹(vo)
山岸潤史(g)
樋沢達彦(b)
羽仁知治(key)
Yoshie.N(cho,vo)
@ JIROKICHI(高円寺)
2016.9.16
Vivian Maier
ヴィヴィアン・マイヤー
先日、アンリ・カルティエ=ブレッソンの
ドキュメンタリー映画について書いたとき、
「どいうわけか、私の興味に引っかかってきた
外国人写真家は、ブレッソン、ロベール・ドアノー、
ジャック=アンリ・ラルティーグと
フランス人が続く」と書いたが、
いよいよアメリカ人の登場だ。
数日前、偶然、ヴィヴィアン・マイヤーという
写真家のことを知った。
昨年、彼女のドキュメンタリー映画が、
公開されている。
『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』。
なんとなくタイトルに聞き覚えがあったので、
どこかでチラシか何かを見たのかもしれない。
もし、予告編を観ていたら、
興味を持ったはずなので、
観ていないのだろう。
オフィシャル・サイトで
公開されているたくさんの写真を見て、迷わず
写真集 ”Vivian Maier: Street photographer” を
注文し、映画の DVD もレンタルした。
写真集は・・・
素晴らしすぎる。
今まで知った数人の写真家の中では、
間違いなく一番だ。
ちょっと色がセピア調なのは、
私の好みではないので、
もっと白黒だったら良かったのだけど。
ヴィヴィアン・マイヤーは、2009年に
有名になる前に亡くなっている。
職業はナニー(乳母)で、
15万枚以上の作品を残しながら、
生前1枚も公表することがなかった。
全く無名で、1枚も写真を発表していない
アマチュア写真家だったのだ。
2007年にシカゴ在住の青年が、資料として
古いシカゴの街並みの写真を探していて、
たまたま大量の古い写真のネガを
オークションで手に入れた。
その写真の一部をネットにアップすると、
熱狂的な賛辞が次々と寄せられた。
青年が、最初にヴィヴィアンのことを
インターネットで検索した時は、
1件もヒットしなかったのだが、
次に検索した時、ヒットしたのは、
ヴィヴィアンの死亡記事だった。
青年は、彼女の写真の素晴らしさに気づき、
ヴィヴィアン・マイヤーという女性のことを
調べることにし、
その記録を映画にすることにしたのだ。
彼は、ヴィヴィアンを知る人を探し出し、
インタビューし、ヴィヴィアンがどんな人だったのか、
なぜ誰にも見せない写真を撮り続けたのか、
その謎に迫った。
「変人」。
ひと言で言うとそうなってしまうのかも知れない。
彼女の変人ぶり、偏狂ぶりが彼女を知る人の
証言で明らかにされていく。
ヴィヴィアンは、幸せだったのだろうか。
今、こんなに写真を認められて、
喜んでいるのだろうか。
写真を認められるのは、嬉しいかもしれないけど、
人格をとやかく言われるのは、嫌だろうな。
でも、
なにしろ、
写真は素晴らしいと思う。
ヴィヴィアンの写真は、
彼女を発掘した青年ジョン・マルーフの
運営するオフィシャル・サイトで
観ることができる。
ぜひ、見てみてください。
↓
Vivian Maier ー Official Site
映画『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』Official Site
★★★★☆
「Capture the MOMENT!」というサイトに
ヴィヴィアンのことをまとめた記事があったので、
興味のある方は、どうぞ。
↓
これが天才か!
ヴィヴィアン・マイヤーの写真集
”Vivian Maier: Street photographer”がオススメ!
2016.9.18
東京ライヴツアーとT氏の思い出
一昨日、キー坊と山岸さんの
ライヴを観に行った高円寺のジロキチ。
40年以上の歴史のある、
ライヴハウスの老舗だが、
30年ぐらい前に一度だけ、
出演したことがある。
大阪でバンドをやっていた時代、
東京ツアーと称して、
高円寺のジロキチと
原宿のクロコダイルに出演した。
多分、1987年の12月だったと思う。
確か、東京ではお客さんは呼べないので、
リーダーT氏のコネでブルース・ハープの
妹尾隆一郎さんのバンドとタイバンだった。
妹尾さんは、日本のブルース・ハープの
第一人者。
その時のただ1枚の貴重なショット。
これは、ジロキチではなく
クロコダイルだ。
誰が撮ってくれたのかも覚えてないが、
確かライヴ本編終了後、
セッションに突入した時の写真で
ギターは、妹尾さんのバンドのギターの方の
テレキャスターを借りた。
写真を見たら、弦が太くて
弾きづらかったことを思い出した。
妹尾さんには、大阪でのライヴでも
ゲストとして出ていただいた覚えもある。
そのバンドでは、憂歌団の前座も
させていただいた。
全てバンドのリーダーT氏の力によるもので、
その後もT氏は大阪のライヴシーンで、
重要な仕事をされている。
私が東京にきて、バー勤めをしている時に、
突然訪ねて来てくれたこともあった。
たまたま、そのバーのお客さんが、
大阪出身の業界人で、T氏と付き合いがあり、
私のことを話してくれていたのだった。
その数年後、東京である外タレのライヴに行くと、
受付にT氏がいて、驚いたこともあった。
主催に関わっていたとか いうことだった。
あ、もっとスゴイことを思い出した。
21〜22歳の時(32年前)、
私はT氏のバンドに入る前に
別のバンドをやっており、
T氏とは、バンド・コンテストの楽屋で、
知り合いになった。
T氏は、新聞の勧誘の仕事をやりながら、
バンド活動をしていたのだが、
知り合いになってしばらくして、
私が当時の彼女の部屋にいたところ、
そこに偶然、新聞の勧誘にやってきたのだった。
もちろん、お互いビックリ!
そんな奇跡的な出来事のあったT氏。
しばらくお会いしていないが、先日購入した、
石やんの『The Best Of Ishiyan』に
「Special Thanks」でT氏の名前を見つけた。
大阪で元気に活躍されているようだ。
黒白写真 暗室基礎講座
DAY 2
この1週間に観た 写真家に関する2本のDVD、
『アンリ・カルティエ=ブレッソン 瞬間の記憶』
と『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』には、
両方とも写真の現像や暗室での
プリントの作業場面があったが、
偶然にも1週間前の土曜日に、
それらの作業を初体験したところだった。
昨日はその「黒白写真 暗室基礎講座」2日目で、
先週 現像したネガ 50枚の中から、
何枚かを6つ切りサイズに
プリントする作業をした。
6つ切りサイズというのは、
A4 より一回り小さく B5 よりは大きいサイズ。
10時から17時まで、お昼の休憩を入れて、
7時間もあるので、7〜8枚はプリントできるだろうと
思っていたのだが、午前中に2時間半かけて
やっと1枚目が終わった。
選ぶネガにもよるのだが、
写真の中に明るい部分と暗い部分があると、
適正な露出を決めるに何度も何度も
テストが必要となる。
印画紙に光を当てる時間は、
0.1秒単位で設定できる。
機械(名前知らない)の絞り値や、
フィルターを使うか使わないかなど、
たくさんの選択肢の中から、
自分の欲しい絵を作っていくのだ。
デジタルなら、次々と設定を変えながら、
簡単に短時間で決めていくことができるが、
ネガのプリントの場合には、
1回のテストに10分ぐらいかかる。
途中で失敗していても、
現像液に付けて数十秒経つまで、
失敗に気付くこともできない。
根気のいる地味な作業だ。
初心者の私には、テストをしても判断ができない。
明るすぎるや暗すぎるというのなら
分かるけど、微妙な違いになると
決められないので、先生に意見を聞く。
言われた通りにやってみると、
少しずつ良くなっていく。
それの繰り返し。
多い時には、テストと本番合わせて、
7〜8回やってみてようやく完成となる。
もちろん、熟練してくれば、
もっと早くこなせるようになるのだろうけど。
やっている時には、集中しているので
あっという間に時間が経った。
でも、これをずっとやりたいかと
問われると、考えてしまう。
「フィルムをやるなら、現像・プリントも
自分でやらなければ」という考えは、
分からないでもないが、
アンリ・カルティエ=ブレッソンは、
現像やプリントは苦手だと言って、
専門の人に任せていたようだし、
ヴィヴィアン・マイヤーの作品は、
本人が現像・プリントしたものではない。
だからといって、ヴィヴィアンの写真の
価値が下がるわけではない。
まあ、ブレッソンやヴィヴィアンと
自分を並べるのはどうかと思うのだが、
フィルム写真の魅力は捨てきれないけど、
現像・プリントに関しては、
あんまり私には向いていないような
気がするのだった。
テスト
5cm × 10cm 程度の印画紙にまずは 2秒、4秒、8秒と
露光時間を変えてプリントしてみる。
長い時間光を当てた方が、濃度が濃くなる。
2時間以上かけてようやく出来たプリントを
スキャンしたもの。
クリックで拡大
写真は、丸の内にある、1934年竣工の明治生命館。
重要文化財。
2016.9.18
MARCUS MILLER
マーカス・ミラー
1年7ヶ月ぶりのマーカス・ミラー。
今回は、昨日、横浜赤レンガ倉庫の
野外ステージで行われた
"Blue Note JAZZ FESTIVAL" への
出演がメインだったようで、
クラブ公演は、今日の2ステージのみ。
どうも東京以外の公演はないようだ。
"Blue Note JAZZ FESTIVAL" は、
マーカス以外、ジョージ・ベンソン、
アース・ウィンド&ファイアーも
出演していたのだが、
S席が 26,000円とちょっとお高いので、
どうしたもんかと思っていたが、
マーカスのクラブ公演が発表されたので、
FES の方は、今年は見送ることにした。
一夜だけということで、当然ソールド・アウト。
満員のお客さんだった。
1曲目は、"Run For Cover" でご機嫌にスタート。
最新アルバムから、"Hylife"、"B's River"、
"Papa was A Rolling Stone" と続く。
その次の曲は、マーカスがバスクラを
吹いたので、"Preacher's Kid" だったかも
しれないけど、ちょっと自信がない。
本編ラストは、"Blast" で大盛り上り。
アンコールは、大サービスの2曲。
"Tutu"、そして "Come Together"。
2ndステージということもあってか、
2時間近いステージで、たっぷり堪能できた。
ええライヴやったなぁ。
バンドは、サックスのアレックス以外、
新しいメンバーやったけど、
このメンバーが全員良かった。
ドラムのアレックス・ベイリーも良かったし、
トランペットのマーキス・ヒルは、
メロディアスなソロを吹く人でグッド。
このメンバーで、ライヴ・アルバムを
出して欲しいと思ったね。
アンコールで、もう一人キーボードが入った。
マーカスが、なんとかのキーボードと
紹介したけど、聞き取れず。
今日のマーカスの MC は、
全体的に聞きやすく、
かなり聞き取れたんやけど。
終演後のステージのベース。
一番右は、"B's River" で使ったゲンブリという
北アフリカの弦楽器。
マーカス、あい変わらず カッコ良いです。
「See You Soon」と言っていたので、
またの来日をお待ちしてまっせ。
[ MEMBERS ]
Marcus Miller / マーカス・ミラー (b,bcl,vo)
Alex Han / アレックス・ハン (sax)
Marquis Hill / マーキス・ヒル (tp)
Alex Bailey / アレックス・ベイリー (ds)
Caleb McCampbell / カレブ・マッキャンベル (key)
@ Blue Note Tokyo
2nd Show
2016.9.19
超高速!参勤交代 リターンズ
前作(2014年)が面白かった覚えがある
映画『超高速!参勤交代』の続編。
出演は、前作同様、藩主・内藤に佐々木蔵之介。
そのほか、西村雅彦、寺脇康文、上地雄輔、
六角精児、深田恭子、伊原剛志、古田新太、
富田靖子、陣内孝則、石橋蓮司、市川猿之助ら
前作のキャストが再結集。。
前作の細かいことを覚えていないので、
どうかなと思っていたのだけど、
全く問題なく楽しめた。
基本、コメディだが、
忠誠とか人を想い信じることという
テーマも感じたし、
ちゃんばらシーンは、
そこそこの緊張感 臨場感があって、
これまた良かった。
老中 松平信祝(のぶとき)を演じる
陣内孝則がいやらしくて良いが、
青いアイシャドウはいただけない。
奉行 大岡越前を演じる古田新太は、
意外にハマっていて、新鮮に感じたね。
八代将軍徳川吉宗を演じる
市川猿之助は流石の貫禄。
★★★★☆
怒 り
映画『悪人』『さよなら渓谷』の原作者、
吉田修一の筆による『怒り』。
監督は『フラガール』そして、
これまた『悪人』の李相日。
前作 『許されざる者』(2013年) は、
イマイチだったけど、本作はどうか。
予告編では、期待が持てたが。
出演は、渡辺謙、森山未來、松山ケンイチ、
綾野剛、妻夫木聡、広瀬すず、ピエール瀧、
池脇千鶴、宮崎あおい、原日出子、
高畠充希、三浦貴大と豪華。
鑑賞後の感想。
重厚なテーマだったが、
イマイチ犯人の「怒り」が何なのか
残念ながら、映画からは読み取れなかった。
これは、原作を読んで検証したい。
今日の映画界を代表する役者陣の共演は
見所だった。
綾野剛は今年観た
『リップヴァンウィンクルの花嫁』
『64 -ロクヨン- 前編/後編』
『日本で一番悪い奴ら』のどれでもない
キャラの演技にその幅を感じた。
森山未來の偏狂ぶりや危なさも
良かった。
松山ケンイチは、あまり自分を表現しない
役だったので、印象的には薄いが、
その分、難しい役だったかもしれない。
妻夫木聡は、流石。
彼の泣きには、いつもやられる。
ゲイの役も真に迫ってる。
渡辺謙は、もちろんの安定感。
宮崎あおいの不安定感も良い。
広瀬すずは、やっぱり可愛すぎ。
物語は、夫婦殺人犯かと思わされる、
3人の男を囲む人達の3つのストーリー。
本当の犯人は、一人なのだが、
見終えればなるほど奴が犯人だろうと
思えるのだが、途中では、
誰が犯人か中々決めかねるような
うまい作りだ。
でもでも。
原作を読んでみないと
分からないけれど、
犯人はなぜ、整形した時に
ホクロを取らなかったのか。
直人は、なぜ優馬に本当のことを
話さなかったのか、
そのへんが解せなかった。
テーマは、人を信じることの難しさか。
沖縄の基地問題にも触れている。
★★★★☆
2016.9.20
ジレッタント
DILETTANTE
ギターに関しても、写真に関しても、
何に関しても、
私は習うことがあまり好きではない。
ちょこっと、表面的にヒントを得ては、
我流でやろうとする。
だから、どの分野にも絶対的師匠を持っていない。
先日の「黒白写真 暗室基礎講座」に
参加をしていて、
自分を観察せざるを得なかった。
習うことが面倒なのだ。
ちょっとやると「もうええやん」
「どっちでもええ」と基本を学ぶことに飽き、
自分流にやりたくなるのだ。
「守破離(しゅはり)」という言葉がある。
調べると「日本での茶道、武道、芸術等における
師弟関係のあり方の一つ」とある。
「守」
まず師匠に言われたこと、型を
「守る」ことから修行は始まる。
「破」
その型を守ることで習得したら、
次はその型を「破る」ことで
個性を発展させる。
「離」
その流派から「離れ」、独自の新しいものを
確立させる段階。
私の場合、「守」が欠如していて
いきなり「破」なので、
独自のものを確立する「離」までに
至らない。
こういう人のことを「ジレッタント」と
呼ぶらしい。
「趣味で学問・芸術を楽しむ人」
「好事家(こうずか)」
「芸術や哲学などの学問が大好きだけれども
芸術家や学者ではないという、その道のアマチュア」
ということのようだが、
「本気の意志もなく活動を行い、
心得があるふりをする素人」
とか
「素人のくせに知識をひけらかして偉そうにしている人」
のようにあまり良い意味では使われないようだ。
簡単に言うと、
「浅く広く、深みがない」ということか。
でも、そういう自分なので、
どうしようもない。
開き直りと取られても仕方がないが、
改める気もないのである。
そういう自分なりに
それなりに精進していくしかない。
2016.9.21
小曽根真ワークショップ
「自分で見つける音楽 Vol.4」
一昨年、昨年に続き3回目の
小曽根真ワークショップ
「自分で見つける音楽」。
毎回、安いチケット代(¥1500)で
大変貴重な興味深いお話を聴ける機会だ。
この安いチケット代の意味は、
もしかしたら、
若いミュージシャンのためであって、
50過ぎたおっさんのためでは
ないのかもしれない、と思ったけど、
子供や学生らしき若者より、
おっさんやおばちゃんが圧倒的に多かった。
毎回、楽しいトークと目からウロコな
貴重な話が、お値打ちなこのイベント。
昨年、一昨年と同じ話が出てきても、
私の理解のレベルが深まっているのか、
以前は分かっていなかったのか、
いずれにしろ、ますます興味深い。
今日は、リハーモナイズや、
リズムの取り方などのデモンストレーションを
交えながら、おそらく楽器を演奏しない人でも
興味深く聴ける話だったのではないかと思う。
中でも、後半の質疑応答で、
ピアノを弾くというお客さんの
「綺麗な音で弾きたいのに弾けない。
どうしたら良いですか」という質問の
回答が素晴らしかった。
そのお客さん(若い女性)をステージに上げ、
小曽根さんが「なんでもいいから弾いてごらん」と
言うと彼女は、『アメイジング・グレイス』を
弾き始めた。
4小節ほどで演奏を止めた小曽根さん。
「どんな音で弾きたいか、イメージがあった?」
彼女は「ないです」と答えた。
小曽根さんは、
「弾きたい音をイメージして、
この辺(ピアノのハンマーと弦の辺り)を
見ながら、鳴っている音をよく聴いて
右手だけで弾いてごらん」と言った。
ひと呼吸おいた彼女が、
弾き始めた音を聴いて、
ぶったまげた。
とても、同じ人が、同じ楽器で弾いた
演奏とは思えないほど、"音楽的" に
豊かになっているのだ。
誰が聴いても分かるレベルで。
これには、会場から拍手が沸き起こった。
たった、あれだけのアドバイスで、
こんなにも演奏が変わるものなのか。
続いて、低音部の左手。
「左手の音のイメージは、
オーケストラで言うと、チェロなどの弦?
それともトロンボーンやユーフォニウムのような
金管楽器?」と小曽根さん。
彼女が「金管楽器です」と答えると、
「じゃあ、そのイメージで、弾いてみてください」
今度の左手も、素晴らしい。
ところが、3小節目で彼女がミスった。
ミスった途端、その素晴らしい音色が
消えた。
間違ったことで、イメージを失ったためだ。
これもまた興味深い。
最後に、右手と左手、
合わせての演奏。
う〜む。
最初に弾いたのとは別人の演奏だ。
自分が出したい音のイメージがあるのと
ないのとで、こんなにも違うものなのか。
「思い」とか「意図」といった、
技術と関係なさそうなところで、
こんなにも表現に違いが出るとはね。
もちろん、「気持ちを込めて」とか
演奏時に言うけれど、
あらためて「思い」の表現力を
目の当たりにした体験だった。
何十年も楽器を演奏していながら、
今更やけど。
ピアノ演奏は、3曲。
最後に演った "Where do we go from here" が
特に素晴らしかった。
@ 東京文化会館 小ホール
2016.9.22
ある天文学者の恋文
CORRISPONDENZA
ジュゼッペ・トルナトーレ監督の新作映画
『ある天文学者の恋文』。
本日公開初日ということもあってか、
14:25からの回は、売り切れだった。
昨夜、チケットを取っておいて良かった。
前作『鑑定士と顔のない依頼人』(2013年)は、
面白かった覚えがあるが、
本作、公開前の評価はあまり高くないので、
ちょっと不安もありつつ観てきた。
原題の「CORRISPONDENZA」は、
「対応」という意味のようだが、
この場合、「文通、通信」というような
意味に使われているようだ。
教授(著名な天文学者)エドと、
その生徒のエイミーの恋愛(不倫です)の物語。
亡くなったエドからも、
メールや手紙が届き続けるという
ミステリー仕立てのラヴ・ストーリー。
家族を悲しませた不倫については
置いておいて、大人のファンタジーとしては、
良かったと思う。
自分が死んだあとも、愛する人が
寂しくないよう、手紙やプレゼントを
手配してから死ぬというのは、
ある意味、ただのエゴにしか過ぎないと思うが、
それでも、この映画に
美しさと切なさを感じるのは、
人間の儚さと悲しさを表現しているからだと思う。
エンニオ・モリコーネの音楽が素晴らしい。
トレモロの効いたエレキ・ギターの
トーンがまたええねん。
モリコーネって、今年88歳ですぜ。
★★★★★
好楽ちゃん祭り
〜 芸暦50周年&古希記念落語会 〜
(夜の部)
テレビ番組「笑点」のメンバーとして
お馴染みの三遊亭好楽。
息子の三遊亭王楽は、
高座を聴いたことがあったが、
お父ちゃんの好楽は、今日が初めて。
「芸暦50周年&古希記念落語会」ということで
出演者は、超豪華オール・スターズ。
6人も噺家が出るのだから、
休憩を入れると3時間近くになるだろうと
思っていたけど、トップ・バッターの
息子の王楽は、5分(小噺のみ)、
志の輔、小朝は、15分と、
サクサク進み、終わってみると
終演予定時間(2時間30分)の2分前だった。
こういう記念落語会とか
特別な落語会の面白さは、
口上やマクラを含めて、
ふだん聞けないようなエピソードを
聞けること。
今日も面白い話が聞けた。
落語の方は、珍しいことに古典はなし。
全部、新作だった。
【 演 目 】
「モンキードライバー」 三遊亭王楽
「こぶ取り爺さん」 立川志の輔
「妻の手紙」 春風亭小朝
「誕生日」 桂文枝
〜 仲入り 〜
口上 (立川志の輔、春風亭小朝、三遊亭好楽、
桂文枝、春風亭昇太、三遊亭王楽)
「人生が二度あれば」 春風亭昇太
「優しい言葉」(桂文枝作) 三遊亭好楽
2016.9.23
Q U E E N
+ Adam Lambert
1979年以来、37年ぶりの QUEEN のコンサート。
今年は、フレディ・マーキュリー生誕70年、
没後25年となる年。
そして、武道館公演は、31年ぶりらしい。
フレディの死後、QUEEN は終わったと
思っていたのだけれど、
アダム・ランバートの歌を YouTube で聴いて、
今日のコンサートに行くことにしたのだった。
武道館3日間公演の最終日だ。
オリジナルメンバー、
ブライアン・メイ(Gt)(69歳)と
ロジャー・テイラー(Drs)(67歳)の
2人に加えて、アダム・ランバート(Vo)(34歳)。
そして、サポートにベース、キーボード、
パーカッション&ドラムの3人。
このパーカッション&ドラムは、
ロジャー・テイラーの息子、
ルーファス・タイガー・テイラー。
親子ドラム・バトルもあった。
席は、2階ほぼ正面の
前から4列目というめちゃええ席。
ステージ中央が客席に出っ張っているため
先端まで来るとかなり近くに感じた。
おまけにステージ左右と中央に
モニターがあるおかげで、
オペラグラスは不要だった。
始まってしばらくは、アダムの歌に圧倒され、
まるでクィーンの2人が、
アダムのバックバンドを演っているかのように
錯覚しそうな瞬間があったほど。
アダムは、期待通りに素晴らしいシンガーだった。
本人は、「クィーンと演れて、
アイドルのフレディの歌を唄えて幸せ」
というようなことを言っていたけど、
このコラボは奇跡やなと思った。
そして、物凄くエンタテイメントなショー。
レコード通りに演奏するのではなく、
曲が、ドラマチックにアレンジされている。
これは、ライヴならでは。
特にアダムは、お客さんを楽しませることに
徹底しているように感じた。
帽子を変えたり、メガネを変えたり、
衣装を変えたり、見た目も楽しませるだけでなく、
お茶目な面を見せたり、
小道具を使った演出もあって、
飽きさせない。
そして、何より、声、歌がスゴイ。
ほんで、「華」がある。
ある種のカリスマ性とも言える。
声は、フレディより凄いんちゃうかな。
比べる必要ないねんけど。
途中、ブライアンの弾き語りコーナーや、
ロジャーのソロ・コーナーもあって
盛りだくさん。
曲によっては、フレディ・マーキュリーの
映像が映し出され、生演奏とフレディの
ビデオが共演するという演出もあった。
アンコールを入れて、130分ほど。
終わって会場を出るときに、あちこちから
「良かったぁ〜」という声が聞こえた。
私は、Queen のことをずっと好きで
追いかけてきたわけではないのだが、
本当に大好きなファンがいっぱい来ていて、
めちゃくちゃファンに愛されているんやな
ということを実感したコンサートだった。
早速、セットリストがネットに
アップされていたので、記しておこう。
1. Seven Seas of Rhye
2. Hammer to Fall
3. Stone Cold Crazy
4. Fat Bottomed Girls
5. Don't Stop Me Now
6. Killer Queen
7. Somebody to Love
8. Love of My Life
(Acoustic; Brian May on vocals)
9. Teo Torriatte (Let Us Cling Together)
(Acoustic; Brian May on vocals)
10. These Are the Days of Our Lives
(Roger Taylor on vocals)
11. Drum Battle
(Roger Taylor vs. Rufus Taylor)
12. Under Pressure
13. Crazy Little Thing Called Love
14. Another One Bites the Dust
15. I Want It All
16. Who Wants to Live Forever
17. Guitar Solo
18. Last Horizon
19. Tie Your Mother Down
20. I Want to Break Free
21. I Was Born to Love You
22. Bohemian Rhapsody
23. Radio Ga Ga
Encore:
24. We Will Rock You
25. We Are the Champions
God Save the Queen (Tape)
最後に金の紙吹雪が舞い、
感動的に幕を閉じた。
ブライアンのギターは、もちろん、
あのブライアン・メイ・モデルで、
途中色違い(濃いグリーンに見えた)も登場。
弾き語りコーナーでは、ギルド(?)の
12弦のエレアコ。
"Crazy Little Thing Called Love" では、
変わった形のエレアコ(?)を使用。
今日は、武道館の12回目だったらしい。
ブライアンが日本語で
「ジューニカイメ」って言うてた。
開演直前
[ MEMBERS ]
Brian May (Gt, Vo)
Roger Taylor (Drs, Vo)
Adam Lambert (Vo)
Spike Edney (Key)
Neil Fairclough (B)
Rufus Tiger Taylor (Perc, Drs)
(Key と B は多分です。)
@ 日本武道館
何度観ても素晴らしい。
↓
Queen + Adam Lambert - Somebody To Love
関連エントリー(2016.6.28)
2016.9.24
運動会
初めての一眼レフカメラ(Nikon D3000)を
購入したのが、ちょうど6年前の今頃だった。
当時1歳だったH君は、
私の撮影の恰好の練習材料だった。
今もことあるごとに撮影をしているので、
この6年間で撮影した被写体の中で、
一番多いのは、H君だろう。
さて、そのH君も今年小学生になった。
今日は、小学校初めての運動会。
その撮影に行ってきた。
怪しい天候のため、当日朝になって
プログラムの順番に変更があった。
そういう連絡は、今では朝早くに
保護者にメールで知らされる。
順番の変更?
何の意味があるんやろ、と思ったけど、
それは後々に分かった。
さて、毎度のことながら
運動会の撮影は難しい。
ターゲットがじっとしていない。
皆同じ格好をしているので、
見失うと探すのに時間がかかる。
観覧する他の保護者が邪魔。
(これはお互い様だが。)
ほかの生徒が邪魔。
先生や係員も邪魔。
と、邪魔者だらけの撮影だ。
今日もなんとか撮影のポジションを
確保し、撮影に臨んでいると、
私とターゲットのちょうど間に、
カメラを構えた記録係の人が
立ちはだかる。
なんで、ここに来んねん!
と、腹を立ててもしょうがない。
移動しようにも人ごみの中では
思うように動けない。
動いたとしても、次に撮影できるポイントを
見つけた頃には、演技は終わってるだろう。
そんな、格闘の撮影なのです。
ちょっと大げさやけど。
なのでなおさら、H君の自然な笑顔や、
素晴らしい表情が撮れたときは、
満足と達成があるのだった。
天気予報では「午後は雨」となっていた通り、
お昼休憩に入るころにポツポツと
降り出し、お弁当を食べていると
やがて本降りになった。
「午後のプログラムは、火曜日の午前中に
延期します」と、校内放送が流れる。
ここで、ようやくプログラムの順番変更の
意味が分かった。
午前中に、団体競技・演技を済ませ、
個人競技である「かけっこ」や「短距離走」は
午後に持ってきたのだ。
おそらく、練習を積んだ団体演技を
今日、見てもらおうという意図なのではないか。
火曜日には、来られない保護者も多いだろうから。
「かけっこ」「短距離走」と書いた。
同じことだと思うが、プログラムを見ると、
1〜4年生は「かけっこ」、
5、6年生は「短距離走」とある。
全部「短距離走」あるいは「徒競走」で
良いような気がするが、
分ける必要があるのか 聞いてみたい。
そういうわけで、午後は中止(延期)になり、
「かけっこ」の撮影は、出来ずでした。
開会前のトラック。
5〜6年生による鼓笛隊。
敬称略
父兄に配られた小学校運動会のプログラムに
「かけっこ」の出場者表が載っていた。
父兄としては、自分の子や孫が何番目に走るのか
前もって知りたいだろうから、
そのための表だと思われる。
そこには、レースのナンバーと、
児童の名前が書かれていあるのだが、
その表の上に「敬称略」とあった。
それ、要るかなぁ?
それとも「我が子を呼び捨てにした」と
クレームを付けるモンスター・ペアレンツが
いるのだろうか。
そう言えば。
「父兄」と書いたけど、その表記も問題があり、
最近は使われなくなったと、何かで読んだ。
確かに保護者は、「父」「兄」だけではなく、
「母」も「姉」もいるからね。
なので、最近では「父兄会」などとは言わず、
「保護者会」と呼ぶようだ。
両親がいなくて祖父母に育てられている
子供もいるので、「父母会」だと、
具合が悪いことがあるらしい。
「父兄」の中に、母親は含まれていなかったわけでは
ないと思うが、時代とともに表記が問題になって
きたんやろな。
「男尊女卑の名残」という人もいるようだが、
それはちょっと考えすぎちゃうのと思う私は、
ぬるいのでしょうか。
いずれにしろ「父兄」という言葉は、
ほぼ死語になりつつあるということか。
2016.9.25
ザ・ビートルズ
EIGHT DAYS A WEEK
The Touring Years
予告編を観た時から、
これは、マストやなと思っていた
ビートルズのドキュメンタリー映画。
まず驚いたのは、映像と音声の良さ。
現代のテクノロジーを駆使してのことだろうが、
半世紀以上前のものである。
新しく撮られたポールやリンゴの
インタビューとジョンやジョージの
古いインタビューが続けて出てきても、
何ら遜色がない。
本作は、タイトルに「ツアー・イヤーズ」と
あるように1963年から1966年までの
ビートルズが巨大になっていく
ツアーの日々を中心に描かれている。
当時、今のような音響システムがなかった時代に
世界で初めて野球場でコンサートを
行ったのがビートルズであったこと。
米国南部の黒人差別がまだまだ強かった時代、
黒人席と白人席を分けるなら、
コンサートをやらないと宣言し、
そのシステムを撤廃させたこと。
ジョンが「ビートルズはキリストより有名」と
発言したことで、アメリカでは、
ビートルズのボイコット運動が起こり、
コンサート会場に爆弾を仕掛けたと
脅迫事件まで起きたこと。
などなど、知らなかったエピソードが
満載で、あっという間に時間が過ぎた。
日本では50年前の1966年に武道館で
コンサートが行われた。
武道館は武道のための神聖な場所であるから、
不良の音楽(?)を演るなんて、
冒涜だと問題になったというのは、
以前に何かで読んで知っていたけど、
コンサートを中止させようと右翼が
街頭演説を行っていたことまでは知らなかった。
この時は、もの凄い警備をしたようで、
それは映画の中でも当時、
メンバーが警備に驚いて発言している。
コンサートをしても、ファンは絶叫するばかりで、
音楽を聴こうとしない状況に疑問を持ち始めたこと、
また、警備の厳しさのあまりコンサートが終わると
ステージ袖から装甲車に乗せられるなど、
そんな状況に疑問を持ち始めた彼らは、
1966年8月29日のサンフランシスコ公演
(キャンドルスティック・パーク)を
最後にライヴ活動をやめる。
その後は、レコーディングに専念するのだ。
映画は、そのあと一度だけ行われたライヴ、
1969年1月30日のアップル・ビル屋上の
"Don't Let Me Down" まで収録されている。
インタビューに登場するのは、
メンバー4人の他、エルヴィス・コステロ、
シガニー・ウィ−ヴァー、
ウーピー・ゴールドバーグなど。
日本人は、武道館公演の写真を撮った浅井慎平。
映画は、あっという間に終わった感じがしたが、
あとでチェックすると 109分もあった。
エンドロールまであり一旦終わったあと、
続けて、1965年の NY シェイ・スタジアムの
コンサートの映像(31分)が始まった。
近くの席のおっさんが、ドキュメンタリーの
エンドロールが始まると席を立ったので、
コンサート映像は、観ずに帰った。
いや、エンドロールの途中にも
1963年(64年やったかな?)の
クリスマスのファンへのメッセージが
流れたので、おっさんはそれも見逃したわけだ。
映画は、絶対エンドロールが終わり、
場内の照明が点くまで席を立ってはいかんのだ。
(私も過去におまけ映像を見逃したことがある。)
話を戻そう。
そのコンサートが、世界初のスタジアム・ロック・
コンサートで、前座を入れて 50分だったらしい。
その時の模様をリマスターしてあるのだが、
どうやったら、こんなに聞こえるのだろうと
思うほどの音声。
まともな録音ではなかっただろうし、
とにかく観客の歓声がえげつなのだ。
パンフレットには、音楽プロデューサーの
ジャイルズ・マーティン(ジョージ・マーティンの
息子)の「正直に言ってしまうと、
当時のライブ会場にいて聴くよりも、この映画で
聴いたほうがちゃんと聞こえるというような
レベルまでたどりついてしまったと思う」
という言葉がある。
テクノロジーの進歩と、それを駆使する
人たちのおかげで、51年も前のコンサートを
クリアに観ることができたのだった。
そして、日本版は、日本公演関連の映像が
長めに収録されているらしい。
途中、ビートルズの偉大さを語るのに
モーツァルトを引き合いに出す場面があるが、
本作を観てあらためて、彼らは世界を変えたと
再認識したのだった。
監督は、『アポロ13』、
アカデミー賞最優秀監督賞受賞の
『ビューティフル・マインド』
『ダ・ヴィンチ・コード』
『ラッシュ/プライドと友情』
などのロン・ハワード。
映画は、実質1966年までを描いているが、
ぜひ、その後のドキュメンタリーも
作って欲しいな。
本作を観て、
ビートルズのアルバムを1枚目から全部、
ゆっくり聴き直そうと思った。
映画も もう1回観たい。
THE BEATLES: EIGHT DAYS A WEEK
★★★★★
ハドソン川の奇跡
SULLY
クリント・イーストウッド監督、
トム・ハンクス主演という強力コンビの
映画『ハドソン川の奇跡』。
原題は "SULLY"。
トムハンクス演じるサレンバーガー機長の
ニック・ネームだ。
2009年1月、ニューヨークで起こった、
旅客機のハドソン川不時着の実話の映画化だが、
不時着時のパニックを描いた映画ではなく
サリー機長を描いたヒューマンドラマ。
奇跡の不時着を成功させ、
乗員乗客155人を全員救った機長。
ヒーローと賞賛を浴びる裏側で
国家運輸安全委員会は、
空港に引き返せたんじゃないかと
調査を始める。
コンピューターのシュミレーションでは、
空港に引き返せたという結果が出て、
乗客を命の危険に晒したと追求される機長。
さて、結末はいかに。
国家運輸安全委員会というのが曲者で、
まるで誰かを悪者に仕立てあげたいかのように
見えてしまう。
多分だけど、航空会社や保険会社は、
人為的事故にした方が、何かと都合が
良いのだろう。
それにしても、酷いと思ってしまった。
まあ、「彼らは彼らの仕事をしている」という
サリー機長の言葉が、私の溜飲を
少し下げてくれたけど。
以下、ネタバレ。
結局、公聴会でシュミレーションを
やり直すと、機長の判断が正しかったと
立証される。
そのあと 公聴会では、
エンジンに鳥がぶつかり停止してから
不時着までの機長と副機長(アーロン・エッカート)の
会話の録音が流される。
その録音を聞いた後、サリー機長が、
副機長に尋ねる。
「どう思う?」
副機長が答えに詰まっていると、
機長が、言う。
「私が先に言おう。誇りに思う。」
私はてっきり、自分の判断が
間違っていなかったこと、
自分たちのチームワークで、
不時着に成功したことを誇りに思うと
言ったのだと思った。
機長は続ける。
「君は、あの状況でも全く冷静だった。」
そう、サリーが「誇りに思う」と言ったのは、
不時着の判断のことではなく、
緊急事態での副機長の冷静さだったのだ。
ここは、グッときたなぁ。
そして、国家運輸安全委員会が、
調査の不備を認め、
「機長のことを(シュミレーションの)
計算に入れていなかった。
あなたでなければ、乗客全員を
救えなかった」というシーン。
ここで機長は、クルーだけではなく、
フェリーや潜水士など救助に当たった人たち
皆をあげ、自分一人でやれたのではないと言う。
ここも美しい。
あと、機長が乗客が全員無事だったかを
気にかけていて、報告で
「生存者は155名」って聞くシーン。
ここも泣けます。
最後の副機長のセリフ(ジョーク)も良い。
96分と短めやけど、大変満足。
フィメール・ボイスの上品で厳かな
音楽も映画を静かに支え、非常に良い。
監督 クリント・イーストウッド、86歳。
どこまでいくねん、と思いますが、
まだまだやって欲しい。
★★★★★
ハドソン川の奇跡 オフィシャルサイト
本機には、日本人も2人乗り合わせていたとは
知らなかった。
↓
試写イベント・ニュース
2016.9.26
チルドレン
高校1年2年の担任だったK先生は、
強力に読書を勧める先生だった。
「週に1冊読め」というのが口癖で、
時々「堤は、今、何を読んでますか?」
なんて訊かれた。
私が「筒井康隆です」と答えると
先生は、ちょっと困った顔をしていた。
おそらくだけど、先生は筒井康隆を
1冊も読んでいなかったと思う。
なんせトルストイを読めというような
先生だったからな。
一時期は、よく読書していた時期もあったのだが、
最近は、あんまり本を読まなくなった。
読んでも、写真か音楽か落語に関する本が多く、
小説は年に数冊かな。
その、たくさん小説を読まない私が好きな
作家の一人が、伊坂幸太郎だ。
彼の小説は、11本が映画化されている。
映画人が、映画にしたくなるような
小説ということなのだろうと思う。
11本のうち、5本は観たのだが、
観ていなかった、というか
映画になっていることを知らなかった
『チルドレン』を読んだ。
解説に「短編集のふりをした長編小説」と
いう表現があるのだが、うまく言い表している。
5つの短編が収録されているのだが、
登場人物が共通していて、
数人の違う人の立場で書かれており、面白い。
1作1作も面白いが、5作全部読むと、
貫かれていることがあり、妙な共感がある。
妙なというのは、主要登場人物である、
陣内という男に対する共感だ。
陣内は、現実にいたら、
あんまり付き合いたくないなと思う一方で、
どこかで憧れを抱いてしまうような
面のある男だ。
映画にしたら面白いやろなと
思いながら読んだのだが、読後調べてみたら、
2006年に WOWOW でドラマ化され、
後に劇場公開されていたのだった。
その劇場公開作で、陣内の役をしたのは
大森南朋で、ちょっと私の持ったイメージとは
違うのだが、観てみたい。
★★★★☆
2016.9.27
フィルムとデジタル
先日、2週にわたって2日間
「黒白写真 暗室基礎講座」というものに
参加した。
その実習材料として十数年ぶりに
フィルムで写真を撮影した。
その撮影の際に、コンパクト・デジカメでも
撮影をしておいた。
あとから、フィルムとデジタルの違いを
確かめようと思ったのだ。
デジタルの方は、RAW でも保存してあるので、
いじれば、フィルムの仕上がりに
似せることもできるが、今日のところは、
トリミングぐらいで、露出やコントラストなどは、
一切触っていない。
撮影時のままだ。
ここで見てもらうものは フィルムといっても、
プリントしたものをスキャンしてあるので、
厳密には、両方ともデジタル・データに
なってしまっている。
本当なら、スキャンしていないプリントを
見比べるべきなのだが、
ここではそういうわけにもいかない。
さて、どちらがデジタルで、
どちらがフィルムかお分かりだろうか。
正解は、こちらをご覧下さい。
拡大したものが見られます。
ここに上げたものは、画質を下げているが、
フィルムの方には、かすかにザラつき感があって、
やはりそれが独特の風合いとなっている。
またデジタルの方は、スッキリ写りすぎている
感じがする。
絞り値が違うので、ボケ方が違い、
厳密な比較にはならず、
雰囲気だけの比較ですが。
見ての通り、どちらが優れているとか
いう問題ではなく、最終的には好みの問題だろう。
仕上がりは、フィルムもデジタルも、
いくらでも調整ができるので、
もっと好みの明るさ、濃淡、コントラストに
することができる。
ただ、フィルムの方は、現像するまで
写っているかどうか分からないという、
緊張感があるし、デジタルデータが
並んでいるのではなく、
物理的に写っているという点で、
魂がこもりやすいような、
そんな気がする。
結局、別物で、
両方やることになるんでしょかね。
フィルム現像は、自分でやらずに
業者に出すことにすると思うけど。
2016.9.29
Yamaha Guitars
50th Anniversary
日本が誇る世界屈指の楽器メーカー、ヤマハ。
そのヤマハがギターを作りだして
今年は50年目になるらしい。
私が高校合格の祝いに両親に買ってもらった
ギターは、ヤマハのフォーク・ギター。
珍しさからか、12弦ギターを選んでしまい、
結果的にはちょっと後悔したっけ。
(品番は、L5-12だったかな、自信ないけど。)
次に持ったヤマハは、18〜19歳の頃に
高中正義に憧れ買ったブルーの SG-800。
あれは良い色だったけど、
アメリカ旅行に行く時の資金作りのため
売ってしまった。
それから、知人に譲ってもらった FG-280、
粗大ごみで拾ってきた FG-130、
ネット・オークションで落札した中古の
SS300、SA-1200S、SA のカスタム・モデル、
GL-1(ギタレレ)、楽器店で購入した
中古の AES-1500、PACIFICA-1511MS、
新品の AEX-1500、SLG-100N(サイレント・ギター)
と今までにアコギ、エレキ合わせて、
12本のヤマハを所有したのだが、
今手元に残っているのは、
サイレント・ギターとギタレレだけだ。
ギタレレは全然弾いていないけど、
サイレント・ギターは今も重宝している。
分解して小さくなるので、
なにしろ持ち運び時に良い。
ギターを持って満員電車に乗ることほど、
嫌なことはないが、サイレント・ギターは
そのストレスがかなり低減される。
簡単に網棚に乗せてしまうこともできるからね。
ヤマハのギターは、デザインも割と好きで、
欲しくなるのだけど、
なぜか手放してしまうことになる。
こういうのは縁なのだろうかね。
ここ数年のヤマハは、エレキ・ギターの
種類が減ってちょっと寂しかった。
エレキ・ベースは、ネイザン・イースト、
ジョン・パティトゥッチ、ビリー・シーン、
エブラハム・ラボリエル、
クリス・ミン・ドーキーなど、
ジャズ・フュージョン系のベーシストが
安定して使っている印象だけど、
エレキ・ギターは、マイク・スターンと
高中正義ぐらいだろうか。
もちろん、私が知らないプロのギタリストに
ヤマハを使っている人は、たくさんいるだろうけど。
アコギ、エレアコ、サイレントになると、
沖人やリー・リトナー、ロドリーゴ・イ・ガブリエーラ
など、エレキより目にすることが多い感じがする。
マイク・スターンのように1本だけを弾くタイプ
以外のギタリストは、実際にはヤマハも使うし、
他のギターも使うという人も結構いるだろうけど。
高中だって、ヤマハも使うし、フェンダーも使う。
こないだ観た時は、ゼマティス 弾いてたしね。
最近のヤマハのエレキは、種類が減って
寂しかったと書いたけど、その50年目に出した
「REVSTAR」というモデルが
ちょっと気になっている。
実際に試奏はしていないけど、
見た目はちょっと重そうかなという印象。
P-90 タイプのピックアップを載せたものや
ビグズビー搭載のモノなどラインナップは豊富だ。
他にも欲しいギターいっぱいあって、
ホンマ 悩ましいなぁ。
ヤマハ・ギター 50周年記念スペシャルサイト
2016.9.30
呑んべいの会。
「呑んべいの会」という名で、
年に数回開催している飲み会がある。
メンバーは5人。
全員、高校(大阪です)の同窓生。
私とF君は同級生だが、残りの3人は、
一学年先輩という5人。
その高校の東京支部の
同窓会がきっかけで 何故かその5人の
飲み会が始まったのが、2009年。
今年でもう8年も続いているのだ。
今日はその会で、2009年5月の
第1回から数えて第27回だった。
この会の不思議さは、同級生のF君と私は、
高校時代、同じクラスになったことはなく、
一度も話したことさえなかった。
また、1学年先輩の3人とも高校時代に
面識はかった。
(先輩3人は、高校在学中から、
親交があったのかもしれない。)
そんな5人が、「同じ高校出身」という
キーワードだけで、年に数回集まり
飲んでいるのだ。
全く不思議な縁だと思う。
会が始まった時には、40代だった5人も
「還暦」「定年」「孫」といった
単語が出てくるようになってしまった。
そして、いつかこのメンバーが一人ずつ
欠けていくんやな、というような
意識が芽生えだした。
人生は、いよいよ後半に
差し掛かったのだなと思う。