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 カメラと写真
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2020.1.9

「永遠のソール・ライター」展
開催記念講演会


楽しみにしていたソール・ライターの写真展が
渋谷 Bunkamura ザ・ミュージアムで
今日から始まった。




ラッキーにも開催記念講演会のチケットを
手に入れたのだが、その講演会が、
写真展初日の本日に行われた。

講師は、ソール・ライター財団ディレクターの
マーギット・アーブ氏と彼女の夫でもある
ソール・ライター財団のマイケル・パリーロ氏。

講演は、展示室内の一室で、スライドで
作品を映し出しながら、進められた。
まずは、若いころのソールの写真が映し出され、
ソール・ライター(2013年に89歳で他界)とは
どんな人物であったかをソールの
アシスタントとして 18年(と言ったと思う)
仕事をした、マーギットが話し出した。

ソールは、ペンシルベニア州ピッツバーグの出身。
父親は、タルムード(ヘブライ語で書かれた
ユダヤ教の聖典)の学者で、ソールも、
ラビ(ユダヤ教の指導者・学者)を目指して
神学校に行くが、23歳でドロップアウト。
父親に逆らい、アーティスト(画家)を
目指してニューヨークに出た。

おいおい、待てよ。
似たような話をどこかで聞いたぞ。
そう、ゴッホだ。

ただし、ゴッホの場合は、牧師、伝道師に
なりたかったけど、なれなかったのであって、
自分からやめたわけではないし、
父親に逆らったというのも、
牧師である父の信仰に反感を抱いたのだけどね。
それにしても、何か共通していると思ってゾクゾクっときた。

写真で有名になったが、ソールは画家でもある。
というより、マーギットは「ソールは70年間
画家だった」と言った。
写真は、食うために始めた仕事で、
カメラは、ユージン・スミスにもらったものらしい。
50〜60年代にファッションカメラマンとして
活躍するが、ファッション誌のディレクターに
注文を付けられるのに耐えられなくなり、
一切のファッションの仕事を辞めてしまう。
食えなくてもイヤな仕事はしなかったという点も
ゴッホに共通しているが、
画家として 70年間 描き続けたが、
ほとんど売れた絵はない、
というのもゴッホと共通している。
(売らなかったのかも知れないけど。)

幸い、ソールは晩年といえども生きている間に
脚光を浴びることが出来た点は、
ゴッホと大きく違うけどね。

しっかりと準備されてきた講演で、
貴重な話がたくさん聴けた。
1時間あまり2人が話した(もちろん
通訳付きね)あと、質疑応答に移った。

私は、ソールの写真を見てから、
写真に対する概念が変わってしまったので、
思わず手を挙げて訊いた。

「ソールが、自身の写真の中で
『これは失敗だ』などと言ったのを
聞いたことがありますか?
もし、聞いたことがないのなら、
彼がどう思っていたと思いますか?」

ソール・ライターを知ったとき、
その写真にインスパイアされたのは
私なら作品として選ばないだろう
(一見 失敗作に見える)写真が、
作品として選ばれていたことも大きい。
もしかしたら、ソールは「失敗作なんてない」と
思っていたのではないか、と思っての
質問だった。

マイケルは、「いい質問だ」と言って答えてくれた。
ソールは、自分の作品について語るのを
嫌ったらしい。
説明も作品の意図も何も言いたがらなかった。
全ては、「作品を見て判断してくれ」と
いうことだったようだ。

マイケルは続けた。
ソールが亡くなってから、彼の膨大な数の
写真を整理し続けているが、
失敗だなと思うような写真は、ほとんどないのだという。
今のようにデジタルで、撮った写真が
すぐに確認できる時代では なかったのに、
ソールは、一つのモチーフを2〜3枚撮って
終わっている。
2〜3枚で、もう「撮れた」という実感が
あったということなんだろう。
保険のために、もうちょっと撮っておこうなんて、
姑息なことはしない。
もちろん、フィルムが高かったということも
多少はあるかもしれないけど。

今回の展示には、コンタクトプリント(ベタ焼き)も
数枚 展示されていたのだが、確かにソールは、
2〜3枚で次のモチーフに移っていた。
中には、8〜10枚ほど撮っているもの
あるらしいが、いずれにしろ、
かなりの確率で、撮影に成功していたことになる。

私だったら、失敗作にしてしまうだろう写真を
作品として発表していることに、最初は
新鮮な驚きを覚え、影響を受けたのは間違いない。
しかし、今日は次のレベルのことを掴んだ。
私が言っていたのは、「数多く撮った写真の
中の失敗作だと思っていたものの中にも、
見ようによっては、使えるものがあるかも知れない」
ということだった。
ソールは、違う。
私が「これオレやったら失敗と思うな」という
構図や被写体ブレを、初めから意図して
撮っているのだ。
だから、意図に反して
「ブレたけど、ええ感じな」写真が撮れたのとは、
確率も、質も全く違うのだ。
「たくさん撮ったら、1枚ぐらいええのあるで」
という撮り方ではなく、初めからその写真を
意図して撮っていたということだ。
まあ、私と比べること自体 おこがまし過ぎるのだけど。

今回の写真展は、世界初公開の作品も
あるようで、規模も過去最大らしい。
写真、絵画の他、スライドショーのブースもあった。

今日は、講演会のあと20分ほどしか
時間がなかったので、さーっと流して見た。
それでも、思わず唸らされる写真が何枚もあったよ。

図録(今回の写真展に関連して
出版された写真集)も買ったけど、
近いうちにもう一度行って、ゆっくり
観ようと思う。
スライドもゆっくり観たい。

Bunkamuraの書店では、見たことのない
ソールの写真集(外国製)も売っていたけど、
どれもこれも高くて、悩ましい。
ミュージアムの中の売店で売っていた、
写真(6枚で1万円ほど)は欲しいな〜。



ニューヨークが生んだ伝説の写真家
永遠のソール・ライター』



[ 関連エントリー ]
2017.5.28 写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと
2017.6.4 ニューヨークが生んだ伝説 写真家 ソール・ライター展
2017.6.21 ソールがくれたもの
2018.7.23 Early Color / Saul Leiter と Amazon.com での買い物
2018.7.25 Early Color / Saul Leiter

2019.12.17 永遠のソール・ライター





2020.1.10

Saul Leiter/ Paul Auster
It Don’t Mean a Thing


昨日、渋谷 Bunkamura ザ・ミュージアムへ
ソール・ライターの写真展 と
写真展開催記念講演会へ行った。
Bunkamura の書店では、ソールの
写真集や50年代ニューヨークに関する
書物の特集コーナーが組まれていた。

私は、数枚のソールのポストカードや
クリアファイルとともにこの写真展に
合わせて出版された写真集
『永遠のソール・ライター』ともう1冊、
『スイングしなけりゃ意味がない』という
タイトルの写真集を買った。





『スイングしなけりゃ意味がない』は、
デューク・エリントンの代表作のタイトル。
"It Don’t Mean a Thing (If It Ain’t Got
That Swing)" の邦題。
写真集の存在は、知っていたけど
手に取るのは初めてだった。

意外に薄い写真集なのに
5,000円以上したので迷ったけど、
この機会に買うことにした。

調べてみると、この写真集は、
ザ・グールド・コレクションの
2冊目として2017年に刊行され、
たちまち限定500部が完売となったものを
昨年、装丁をシンプルにして再版されたもの。
初版は、税別8,000円だったようだ。

ザ・グールド・コレクションというのは、
45歳で他界したフランス人写真集コレクター、
クリストフ・クリゾン氏を偲んで企画された
写真集シリーズで、ソール・ライターの写真と
ポール・オースターという作家の短編(6頁)が
収録されている。

この短編が、何ということのない内容なのだが、
世界の、人生の不思議な偶然を
題材に書かれており、とても良い。
『スイングしなけりゃ意味がない』は、
ある偶然として、この短編に登場する。

不思議なことに この本は、
現在、アマゾンでは取り扱いがない。

書店には、もう1冊私が興味を持ったソールの
写真集『Retrospective』があったのだけど、
1万円ぐらいしたので、昨日は購入を見送った。



今日、アマゾンで見てみると、なんと5,159円で
売っていたので、思わずポチってしまった。
米国の本屋から送られてくる。
レビューを見ると、梱包が甘いので
角が折れていたという書き込みが目立つ。
私も経験済みだ。
もちろん問題なく届いているケースもあるようだけど。
結構大きな本なのに、米国からの配送料が
257円というのは、不安。
3週間ほどかかるが、とにかく良い状態で
届くことを祈ろう。


一昨年、米国の Amazon へ注文し、
届くまでに1年以上かかった、
ソールの写真集『Early Color』。



昨日の講演会で、この本は、
企画から出版まで8年もかかったことを聞いた。
この『Early Color』が、80歳を過ぎた
ソールを世界中で有名にしたのだ。
『Early Color』にどの作品を収録するかについて、
ソールは口を出さなかったのだという。
ソール・ライター財団ディレクターの
マーギット・アーブによると、
表紙は決まっていたが、誰が決めたのかは、
分からないということだった。

この写真集を出版するにあたり、
ソールが注文を付けたのは、
その大きさだけだったらしい。
縦横がおよそ 21cm。
ハードカバーの写真集としては、小さい。
写真家であれば、大きな写真集を出したいと
思うような気がするが、
ソールは、自分のベッドの脇に置いてある
小さなテーブルの上に乗るように、
この大きさにしてくれと言ったのだという。
なんとも、彼の人柄が垣間見えるエピソードだ。





2020.1.11

写真家ソール・ライター
急がない人生で見つけた13のこと

In No Great Hurry: 13 Lessons in Life with Saul Leiter


先日、始まった写真展
『ニューヨークが生んだ伝説の写真家
永遠のソール・ライター』に合わせて
映画『写真家ソール・ライター
急がない人生で見つけた13のこと』が
渋谷のルシネマで特別上映されている。

2017年の写真展のときにも上映されたので、
私はそのときに劇場で鑑賞したし、
観たければレンタルでいつでも観ることが
できるのだけど、やはり、劇場で観たいと思い、
観に行ってきた。

やや睡眠不足で、映画館に行く前から、
今日は眠くなりそうやなぁと思ったので、
ドラッグストアで眠気覚ましを
1本飲んで臨んだが、やはり、途中で
10〜15分くらい気絶してしまった。
悔しい。

先日、開催記念講演会で講師を
務めたソール・ライター財団ディレクターの
マーギット・アーブ氏が、出演していたので、
この映画にもグッと親近感がわいたよ。

ソールが公園のベンチに座る若い女性の
足を隠し撮りのように撮るシーンがある。
撮った写真を(映画の)カメラマンに
見せながら、
「じいさんにこんな破廉恥なことを
させてるって、彼女たちは知ってるのかね」
というようなことを言う。
2017年に観たときは
「やばいな、これ盗撮やん」と、
きわどいシーンに見えたのを
覚えているのだが、不思議なことに
今日はその若いネーチャンの太ももを
撮った写真さえもが、全くいやらしくなく、
素晴らしい作品に見えた。
面白いなぁ。

そして、ソールの何気ない言葉の中に、
いくつもの宝物が隠されているように聞こえてきた。
彼の作品がなぜ素晴らしいと感じるのか、
この映画だけでなく、他の書物も合わせてだけど
ひとつひとつ、解き明かされるたびに
ますますソールの作品が好きになっていく。

これは、時々観直した方がいいなぁ。


★★★★★








2020.2.1

永遠のソール・ライター
Forever Saul Leiter




渋谷 Bunkamura で開催中の写真展
『永遠のソール・ライター』に行ってきた。
開催初日(1月9日)に続いて2回目。

今日は、前回よりモノクロのデボラ(妹)と
ソールのパートナーであったソームズ・バントリーの
写真が、なんというか入ってきたなぁ。

ソームズが若いモデルだった頃に
ソールとソームズは、出会っている。
ソールにとっては、良い被写体であっただろうし、
彼女も画家だったので、
絵画のことでも話が弾んだんだろう。
写真とソールの短い文章から、
ソールがソームズを愛していたことが伝わってくる。

写真展は、3月8日までなので
もう一度行きたいな。





2020.2.14

CP+2020 開催中止

毎年、パシフィコ横浜で開催される、
カメラと写真の総合イベント「CP+」。
毎年行こう行こうと思いながら、
中々行かず昨年初めて行ったのだが、
とても面白かったので、今年も行こうと
思っていたが、本日、中止が発表された。

中止の理由は、昨日、国内初の死者が出て
いまだに収束の気配を見せない、
新型コロナウイルスだ。
2週間前に迫った4日間の大型イベントの
中止は、大きな損失だろうし、
関係者には苦渋の決断だろう。

今回のコロナウイルスの件については、
あまり身近に感じたことがなかったが、
こうやって自分に直接影響があると、
とたんに身近になり、リアリティを持つ。
対岸の火事とはよく言ったものだ。

観に行く予定ではなかったけど、
4月に予定されていたビリー・コブハムの
公演が中止になった。
アジアツアーが中止となっているので
もしかしたら、コロナウイルスが
関係しているのだろうか。
なぜ中止になったかは見当たらないのだけど。

とにかく、一日も早い収束を祈る。





2020.2.16

日曜美術館
「写真家ソール・ライター
いつもの毎日でみつけた宝物」


現在、渋谷 Bunkamura では、
写真展「永遠のソール・ライター」が
開催中だ。
先週、NHK Eテレで放送され、
録画しておいた「日曜美術館
『写真家ソール・ライター
いつもの毎日でみつけた宝物』」を観た。

ソール・ライターの写真を紹介しながら、
なぜ、ソールの写真が日本人に人気が
あるのか、ソールの写真の魅力は何か、
などを解いてい行く。

須藤蓮(俳優)のコメントが、
興味深かった。
この人のことは、知らなかったけど、
若いのにとても深いコメントに聞こえた。

ソール・ライター風の写真の
フォトコンテストが行われるほどの人気で、
好きな人は、ソール風に写真を撮りたく
なるものだが(私も何枚か撮った)、
ソールの写真と、ソール風の写真は、
当然ながら違う。

映画『写真家ソール・ライター
急がない人生で見つけた13のこと』の
字幕翻訳を担当された、柴田元幸さんの
言葉と須藤蓮の言葉を重ね合わせると、
ソールの写真と、ソール風の写真の違いは
より明確になった。

ソール風の写真を撮れたとしても、
ソールになれるわけではない。
影響を受けたら、自分の血肉にしなければ
オリジナルは生まれない。
そのための正解はない。
探求と模索、試行錯誤しかないのだろうな。

そもそも「奇をてらっていない」
「狙った感じがしない」
「作為的な感じがない」写真を
"意図的" に撮るなんて、出来るのか。
その瞬間に「狙った」「作為的な」写真に
なってしまう。
そんなパラドクスの中から、
「自分らしさ」を見つけるしかないのだろうな。









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