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 カメラと写真
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2020.1.9

「永遠のソール・ライター」展
開催記念講演会


楽しみにしていたソール・ライターの写真展が
渋谷 Bunkamura ザ・ミュージアムで
今日から始まった。




ラッキーにも開催記念講演会のチケットを
手に入れたのだが、その講演会が、
写真展初日の本日に行われた。

講師は、ソール・ライター財団ディレクターの
マーギット・アーブ氏と彼女の夫でもある
ソール・ライター財団のマイケル・パリーロ氏。

講演は、展示室内の一室で、スライドで
作品を映し出しながら、進められた。
まずは、若いころのソールの写真が映し出され、
ソール・ライター(2013年に89歳で他界)とは
どんな人物であったかをソールの
アシスタントとして 18年(と言ったと思う)
仕事をした、マーギットが話し出した。

ソールは、ペンシルベニア州ピッツバーグの出身。
父親は、タルムード(ヘブライ語で書かれた
ユダヤ教の聖典)の学者で、ソールも、
ラビ(ユダヤ教の指導者・学者)を目指して
神学校に行くが、23歳でドロップアウト。
父親に逆らい、アーティスト(画家)を
目指してニューヨークに出た。

おいおい、待てよ。
似たような話をどこかで聞いたぞ。
そう、ゴッホだ。

ただし、ゴッホの場合は、牧師、伝道師に
なりたかったけど、なれなかったのであって、
自分からやめたわけではないし、
父親に逆らったというのも、
牧師である父の信仰に反感を抱いたのだけどね。
それにしても、何か共通していると思ってゾクゾクっときた。

写真で有名になったが、ソールは画家でもある。
というより、マーギットは「ソールは70年間
画家だった」と言った。
写真は、食うために始めた仕事で、
カメラは、ユージン・スミスにもらったものらしい。
50〜60年代にファッションカメラマンとして
活躍するが、ファッション誌のディレクターに
注文を付けられるのに耐えられなくなり、
一切のファッションの仕事を辞めてしまう。
食えなくてもイヤな仕事はしなかったという点も
ゴッホに共通しているが、
画家として 70年間 描き続けたが、
ほとんど売れた絵はない、
というのもゴッホと共通している。
(売らなかったのかも知れないけど。)

幸い、ソールは晩年といえども生きている間に
脚光を浴びることが出来た点は、
ゴッホと大きく違うけどね。

しっかりと準備されてきた講演で、
貴重な話がたくさん聴けた。
1時間あまり2人が話した(もちろん
通訳付きね)あと、質疑応答に移った。

私は、ソールの写真を見てから、
写真に対する概念が変わってしまったので、
思わず手を挙げて訊いた。

「ソールが、自身の写真の中で
『これは失敗だ』などと言ったのを
聞いたことがありますか?
もし、聞いたことがないのなら、
彼がどう思っていたと思いますか?」

ソール・ライターを知ったとき、
その写真にインスパイアされたのは
私なら作品として選ばないだろう
(一見 失敗作に見える)写真が、
作品として選ばれていたことも大きい。
もしかしたら、ソールは「失敗作なんてない」と
思っていたのではないか、と思っての
質問だった。

マイケルは、「いい質問だ」と言って答えてくれた。
ソールは、自分の作品について語るのを
嫌ったらしい。
説明も作品の意図も何も言いたがらなかった。
全ては、「作品を見て判断してくれ」と
いうことだったようだ。

マイケルは続けた。
ソールが亡くなってから、彼の膨大な数の
写真を整理し続けているが、
失敗だなと思うような写真は、ほとんどないのだという。
今のようにデジタルで、撮った写真が
すぐに確認できる時代では なかったのに、
ソールは、一つのモチーフを2〜3枚撮って
終わっている。
2〜3枚で、もう「撮れた」という実感が
あったということなんだろう。
保険のために、もうちょっと撮っておこうなんて、
姑息なことはしない。
もちろん、フィルムが高かったということも
多少はあるかもしれないけど。

今回の展示には、コンタクトプリント(ベタ焼き)も
数枚 展示されていたのだが、確かにソールは、
2〜3枚で次のモチーフに移っていた。
中には、8〜10枚ほど撮っているもの
あるらしいが、いずれにしろ、
かなりの確率で、撮影に成功していたことになる。

私だったら、失敗作にしてしまうだろう写真を
作品として発表していることに、最初は
新鮮な驚きを覚え、影響を受けたのは間違いない。
しかし、今日は次のレベルのことを掴んだ。
私が言っていたのは、「数多く撮った写真の
中の失敗作だと思っていたものの中にも、
見ようによっては、使えるものがあるかも知れない」
ということだった。
ソールは、違う。
私が「これオレやったら失敗と思うな」という
構図や被写体ブレを、初めから意図して
撮っているのだ。
だから、意図に反して
「ブレたけど、ええ感じな」写真が撮れたのとは、
確率も、質も全く違うのだ。
「たくさん撮ったら、1枚ぐらいええのあるで」
という撮り方ではなく、初めからその写真を
意図して撮っていたということだ。
まあ、私と比べること自体 おこがまし過ぎるのだけど。

今回の写真展は、世界初公開の作品も
あるようで、規模も過去最大らしい。
写真、絵画の他、スライドショーのブースもあった。

今日は、講演会のあと20分ほどしか
時間がなかったので、さーっと流して見た。
それでも、思わず唸らされる写真が何枚もあったよ。

図録(今回の写真展に関連して
出版された写真集)も買ったけど、
近いうちにもう一度行って、ゆっくり
観ようと思う。
スライドもゆっくり観たい。

Bunkamuraの書店では、見たことのない
ソールの写真集(外国製)も売っていたけど、
どれもこれも高くて、悩ましい。
ミュージアムの中の売店で売っていた、
写真(6枚で1万円ほど)は欲しいな〜。



ニューヨークが生んだ伝説の写真家
永遠のソール・ライター』



[ 関連エントリー ]
2017.5.28 写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと
2017.6.4 ニューヨークが生んだ伝説 写真家 ソール・ライター展
2017.6.21 ソールがくれたもの
2018.7.23 Early Color / Saul Leiter と Amazon.com での買い物
2018.7.25 Early Color / Saul Leiter

2019.12.17 永遠のソール・ライター





2020.1.10

Saul Leiter/ Paul Auster
It Don’t Mean a Thing


昨日、渋谷 Bunkamura ザ・ミュージアムへ
ソール・ライターの写真展 と
写真展開催記念講演会へ行った。
Bunkamura の書店では、ソールの
写真集や50年代ニューヨークに関する
書物の特集コーナーが組まれていた。

私は、数枚のソールのポストカードや
クリアファイルとともにこの写真展に
合わせて出版された写真集
『永遠のソール・ライター』ともう1冊、
『スイングしなけりゃ意味がない』という
タイトルの写真集を買った。





『スイングしなけりゃ意味がない』は、
デューク・エリントンの代表作のタイトル。
"It Don’t Mean a Thing (If It Ain’t Got
That Swing)" の邦題。
写真集の存在は、知っていたけど
手に取るのは初めてだった。

意外に薄い写真集なのに
5,000円以上したので迷ったけど、
この機会に買うことにした。

調べてみると、この写真集は、
ザ・グールド・コレクションの
2冊目として2017年に刊行され、
たちまち限定500部が完売となったものを
昨年、装丁をシンプルにして再版されたもの。
初版は、税別8,000円だったようだ。

ザ・グールド・コレクションというのは、
45歳で他界したフランス人写真集コレクター、
クリストフ・クリゾン氏を偲んで企画された
写真集シリーズで、ソール・ライターの写真と
ポール・オースターという作家の短編(6頁)が
収録されている。

この短編が、何ということのない内容なのだが、
世界の、人生の不思議な偶然を
題材に書かれており、とても良い。
『スイングしなけりゃ意味がない』は、
ある偶然として、この短編に登場する。

不思議なことに この本は、
現在、アマゾンでは取り扱いがない。

書店には、もう1冊私が興味を持ったソールの
写真集『Retrospective』があったのだけど、
1万円ぐらいしたので、昨日は購入を見送った。



今日、アマゾンで見てみると、なんと5,159円で
売っていたので、思わずポチってしまった。
米国の本屋から送られてくる。
レビューを見ると、梱包が甘いので
角が折れていたという書き込みが目立つ。
私も経験済みだ。
もちろん問題なく届いているケースもあるようだけど。
結構大きな本なのに、米国からの配送料が
257円というのは、不安。
3週間ほどかかるが、とにかく良い状態で
届くことを祈ろう。


一昨年、米国の Amazon へ注文し、
届くまでに1年以上かかった、
ソールの写真集『Early Color』。



昨日の講演会で、この本は、
企画から出版まで8年もかかったことを聞いた。
この『Early Color』が、80歳を過ぎた
ソールを世界中で有名にしたのだ。
『Early Color』にどの作品を収録するかについて、
ソールは口を出さなかったのだという。
ソール・ライター財団ディレクターの
マーギット・アーブによると、
表紙は決まっていたが、誰が決めたのかは、
分からないということだった。

この写真集を出版するにあたり、
ソールが注文を付けたのは、
その大きさだけだったらしい。
縦横がおよそ 21cm。
ハードカバーの写真集としては、小さい。
写真家であれば、大きな写真集を出したいと
思うような気がするが、
ソールは、自分のベッドの脇に置いてある
小さなテーブルの上に乗るように、
この大きさにしてくれと言ったのだという。
なんとも、彼の人柄が垣間見えるエピソードだ。





2020.1.11

写真家ソール・ライター
急がない人生で見つけた13のこと

In No Great Hurry: 13 Lessons in Life with Saul Leiter


先日、始まった写真展
『ニューヨークが生んだ伝説の写真家
永遠のソール・ライター』に合わせて
映画『写真家ソール・ライター
急がない人生で見つけた13のこと』が
渋谷のルシネマで特別上映されている。

2017年の写真展のときにも上映されたので、
私はそのときに劇場で鑑賞したし、
観たければレンタルでいつでも観ることが
できるのだけど、やはり、劇場で観たいと思い、
観に行ってきた。

やや睡眠不足で、映画館に行く前から、
今日は眠くなりそうやなぁと思ったので、
ドラッグストアで眠気覚ましを
1本飲んで臨んだが、やはり、途中で
10〜15分くらい気絶してしまった。
悔しい。

先日、開催記念講演会で講師を
務めたソール・ライター財団ディレクターの
マーギット・アーブ氏が、出演していたので、
この映画にもグッと親近感がわいたよ。

ソールが公園のベンチに座る若い女性の
足を隠し撮りのように撮るシーンがある。
撮った写真を(映画の)カメラマンに
見せながら、
「じいさんにこんな破廉恥なことを
させてるって、彼女たちは知ってるのかね」
というようなことを言う。
2017年に観たときは
「やばいな、これ盗撮やん」と、
きわどいシーンに見えたのを
覚えているのだが、不思議なことに
今日はその若いネーチャンの太ももを
撮った写真さえもが、全くいやらしくなく、
素晴らしい作品に見えた。
面白いなぁ。

そして、ソールの何気ない言葉の中に、
いくつもの宝物が隠されているように聞こえてきた。
彼の作品がなぜ素晴らしいと感じるのか、
この映画だけでなく、他の書物も合わせてだけど
ひとつひとつ、解き明かされるたびに
ますますソールの作品が好きになっていく。

これは、時々観直した方がいいなぁ。


★★★★★








2020.2.1

永遠のソール・ライター
Forever Saul Leiter




渋谷 Bunkamura で開催中の写真展
『永遠のソール・ライター』に行ってきた。
開催初日(1月9日)に続いて2回目。

今日は、前回よりモノクロのデボラ(妹)と
ソールのパートナーであったソームズ・バントリーの
写真が、なんというか入ってきたなぁ。

ソームズが若いモデルだった頃に
ソールとソームズは、出会っている。
ソールにとっては、良い被写体であっただろうし、
彼女も画家だったので、
絵画のことでも話が弾んだんだろう。
写真とソールの短い文章から、
ソールがソームズを愛していたことが伝わってくる。

写真展は、3月8日までなので
もう一度行きたいな。





2020.2.14

CP+2020 開催中止

毎年、パシフィコ横浜で開催される、
カメラと写真の総合イベント「CP+」。
毎年行こう行こうと思いながら、
中々行かず昨年初めて行ったのだが、
とても面白かったので、今年も行こうと
思っていたが、本日、中止が発表された。

中止の理由は、昨日、国内初の死者が出て
いまだに収束の気配を見せない、
新型コロナウイルスだ。
2週間前に迫った4日間の大型イベントの
中止は、大きな損失だろうし、
関係者には苦渋の決断だろう。

今回のコロナウイルスの件については、
あまり身近に感じたことがなかったが、
こうやって自分に直接影響があると、
とたんに身近になり、リアリティを持つ。
対岸の火事とはよく言ったものだ。

観に行く予定ではなかったけど、
4月に予定されていたビリー・コブハムの
公演が中止になった。
アジアツアーが中止となっているので
もしかしたら、コロナウイルスが
関係しているのだろうか。
なぜ中止になったかは見当たらないのだけど。

とにかく、一日も早い収束を祈る。





2020.2.16

日曜美術館
「写真家ソール・ライター
いつもの毎日でみつけた宝物」


現在、渋谷 Bunkamura では、
写真展「永遠のソール・ライター」が
開催中だ。
先週、NHK Eテレで放送され、
録画しておいた「日曜美術館
『写真家ソール・ライター
いつもの毎日でみつけた宝物』」を観た。

ソール・ライターの写真を紹介しながら、
なぜ、ソールの写真が日本人に人気が
あるのか、ソールの写真の魅力は何か、
などを解いてい行く。

須藤蓮(俳優)のコメントが、
興味深かった。
この人のことは、知らなかったけど、
若いのにとても深いコメントに聞こえた。

ソール・ライター風の写真の
フォトコンテストが行われるほどの人気で、
好きな人は、ソール風に写真を撮りたく
なるものだが(私も何枚か撮った)、
ソールの写真と、ソール風の写真は、
当然ながら違う。

映画『写真家ソール・ライター
急がない人生で見つけた13のこと』の
字幕翻訳を担当された、柴田元幸さんの
言葉と須藤蓮の言葉を重ね合わせると、
ソールの写真と、ソール風の写真の違いは
より明確になった。

ソール風の写真を撮れたとしても、
ソールになれるわけではない。
影響を受けたら、自分の血肉にしなければ
オリジナルは生まれない。
そのための正解はない。
探求と模索、試行錯誤しかないのだろうな。

そもそも「奇をてらっていない」
「狙った感じがしない」
「作為的な感じがない」写真を
"意図的" に撮るなんて、出来るのか。
その瞬間に「狙った」「作為的な」写真に
なってしまう。
そんなパラドクスの中から、
「自分らしさ」を見つけるしかないのだろうな。








2020.3.22

花見桜撮影

今日は、文京区本駒込にある六義園に行ってきた。
「六義園」とかいて「りくぎえん」と読む。
元々は、江戸時代に大名(川越藩主・
柳澤吉保)が造った日本庭園らしい。

14:30頃に到着したら、入り口に
20〜30人の行列が出来ていたので、
(コロナのせいでまさか入園規制?)と
思ったけど、入園券を買う人の列で、
ほんの数分並んだだけで入れた。
入園料は、300円。

おそらく多くの人の目当ては、しだれ桜だろう。
まあ素晴らしい大木だ。



桜の写真は、毎年撮っているが、
中々気に入ったものが撮れずにいる。
たくさんの失敗を重ねてきたおかげで、
ようやく少しだけ撮り方が分かってきた。
せっかく先日、PLフィルター(色彩が
鮮やかになるフィルター)を買ったのに
持っていくのを忘れた。
ちょっと失敗。
でも、200枚近く撮ったよ。









それにしても、世界でコロナの感染者が
30満員を超えたとか、イタリアでは1日で
死者が793人も増えたとか、米国では
カリフォルニア州やニューヨーク州が、
外出禁止令を出したとか、結構、
大変な感じなのだけど、今日の東京は、
マスクこそしている人が目立つものの、
人はたくさん、外に出ていたように見えたね。
天気も良かったからな。
まあ私も外出した一人だけど。





2020.5.26

NICHOLAS NIXON
LAS HERMANAS BROWN 1975-2017


たまたまネットで見て興味を持った写真集。



米国のニコラス・ニクソンという写真家が、
4人の姉妹を1975年から2017年まで
42年間撮り続けたというものだ。
タイトルの「LAS HERMANAS BROWN」は、
スペイン語で「ブラウン姉妹」の意。

Amazon で購入したものだが、
出品者は、スペインの書店だった。
4月6日に注文して、すぐ発送され
4月18日配送予定と連絡が来たものの
4月の終わりになっても届かなかったので、
問い合せてみた。

英語の回答を自動翻訳にかけると、要は
「出荷済みではあるけどコロナの影響で
送れている」という内容だった。
一時的に郵便の受け入れが、ストップした
国や地域もあるようなので、これはいたし方ない。

気長に待つしかなかろうと思っていたら、
ようやく昨日届いたよ。
1ヵ月以上、何処かで足止めを
食っていたんやな。

新型コロナの被害が大きいスペインから
届いたと思うと、言葉に出来ない感慨がある。
なんて思っていたら、封筒には差出国が
スイスと書かれたシールが貼ってあった。
封筒に印刷された住所や差出人の
住所はスペイン、マドリード郊外なのだけど、
国際郵便は、いったんスイスに行くのだろうか。
よく分からない。



海外からの梱包は、日本のそれより
雑なことが多いので、心配だったが、
厚手の段ボールの封筒に入っており、
届いた写真集は、痛みもなく無事だった。
作りが、多くの日本の本より
頑丈なこともあるかもな。

さて、写真集。
4人の姉妹を42年間も撮り続けたわけだが、
初めて出版されたわけではなく、何度か
出版されてきたようだ。
購入したものは、タイトルも本文もスペイン語
なのでスペインで出版されたものだろう。
2018年以降も撮り続けているなら、
45年間、50年間のものが、今後、
出版されるのかも知れない。

4人の姉妹のひとり、べべは、
写真家ニコラスの奥さん。
なるほど、奥さんなら撮り続けることも
あり得るとは思うけど、奥さんだけでなく、
3人の姉妹も一緒にとなると、
中々難しいこともあったのではないかと思う。

1975年、妻の実家に行ったときに
ふと思いついた気まぐれで撮り始めたらしい。
その時は、まさか42年も撮り続けることに
なるとは夢にも思わなかっただろう。

1975年から1枚1枚 丁寧に眺めながら、
ページをめくる。
数年分見たところで、笑顔がないことに気づく。
時折 穏やかな表情のものもあるが、ほとんどが
口を一文字に結び、真面目というか、
厳しい表情をしている。

1988年にようやくほんの少し笑みを
浮かべたように見える写真が登場。
その後も、厳しいとも思える表情のものが
多く、明らかに笑っている写真は1枚もない。
もちろん意図的なんだろうけど。

写真を眺めていると、30数年を過ぎた頃、
2000年代後半あたりから、
どういうわけか泣けてきた。
外国の知らない若いオネエチャン4人が、
ページをめくるたびに1歳ずつ年を取り、
しわくちゃのオバチャンになっていく、
ただそれだけの写真なのになぜか泣けてくるのだ。
説明不能。

ネットで写真をある程度見てから、
写真集を買ったのだけど、
モニターで見るのと、紙に印刷されたものを
見るのは全然違う。
出来れば、写真集で見ていただきたいけど、
ここに40年分(1975-2014)あるので
興味のある人は見てください。
 ↓
40 Years of the Brown Sisters


(追記)
上にリンクを張った記事のソースとなっていた
ニューヨークタイムスの記事を日本語訳にして
読むと、私がこの写真集に感動したわけが
なんとなくだけど分かった。
 ↓
Forty Portraits in Forty Years
(The New York Times Magazine)






2020.8.29

アンコール開催
「永遠のソール・ライター」


今日は、ソール・ライターの
アンコール開催 写真展に行ってきた。

東京・渋谷の Bunkamura ザ・ミュージアムで、
今年の1月9日から3月8日まで、
開催予定だった写真展「永遠のソール・ライター」。
その初日の開催記念講演会のチケットが
抽選で当選し、復習の意味を込めて
リバイバル上映された映画
『写真家ソール・ライター
急がない人生で見つけた13のこと』を
劇場で鑑賞し、2月にもう一度、
写真展を観にザ・ミュージアムへ足を運んだ。
我ながら、凝り性なもんだと思うが、
それぐらいソールの写真が好きなのだ。

写真展は、3月8日の最終日を待つことなく、
2月27日で終わってしまった。
2月から3月に向けて、新型コロナウイルス
感染拡大防止のために色んなイベントが
中止になり始めた。
その一つだった。

先月だったか、「永遠のソール・ライター」の
アンコール開催が決まったとメールが届いた。
コロナのせいで途中で開催中止になったことも
主催者側には残念だっただろうが、
中止になったところで、コロナのせいで、
写真をニューヨークに送り返すことも
できなかったようで、それならばと、
このアンコール開催に至ったようだ。

アンコール開催は、7月22日〜9月28日。
展示される写真は、1〜3月の写真展と同じだが、
構成は一部変更されているようで、確かに
スライドコーナーの場所は変わっていたように思った。

オフィシャルサイトには、
「映像コンテンツ『スライド・プロジェクション』の
上映はございませんが、スライド作品は
形を変更してお楽しみいただきます」とある。
もしかしたら、今日観たのは、純粋な
スライドの上映でなく、スライドっぽくビデオに
編集されたものだったのかも知れない。
言われなければ気付かないよ。

さて、これほどまでに、写真展に足を運び、
写真集もすでに数万円分購入した、
ソール・ライターの魅力とはなんぞや。

今日、写真展でみたものは、
全て以前に見たことのあるもので、
初めて観た写真はないわけだが、
それでもやはり魅了された。
泣くような写真ではないのに、
泣きそうになってしまうものもあった。

今日のお気に入りの1枚は、1947年に撮られた
妹デボラの写真の中の1枚。
デボラの写真は、たくさん展示されていたが、
これが一番好き。



ソールから学んだことは本当に多い。

・視点を変えろ。
・写真にならないものはない。
・失敗はない。
・撮ってはいけないものはない。

そして、この言葉。

I think that mysterious things happen in familiar places.
We don’t always need to run to the other end of the world.
神秘的なことは身近な所で起きている。
なにも、世界の裏側まで行く必要はないんだ。


ソールの写真を観ると、写真を撮りたくなる。





2020.9.1

コンデジ 買換

デジタル一眼レフカメラは、
ニコンD3000でデビューし、D7000にグレードアップした。
そして昨年、ついにフルサイズ、
ソニーのミラーレス α7 III へと乗り換えてきた。

コンパクトデジカメは、2013年にニコンの
COOLPIX P300 から、ソニーの RX100 に乗り換えた。
2015年にリコーの GR も購入した。
RX100 と GR では、全然キャラクターが違うので、
どちらか一つで良いというわけではないのだけど、
コンデジの撮影枚数は、断然 RX100 が多い。
それぐらい、RX100 は、使い勝手が良いカメラだ。
何より7年も使い続けたのがその証拠だ。
7年は、今まで使ったカメラの最長期間だ。

私が買ったのは、初代の RX100 モデルだが、
その後、後継機種が発売され続け、
昨年8月に発売された一番新しい機種は、
7代目(RX100 M7)となる。

この RX100 シリーズの凄さは、
2012年に発売された初代 RX100
(私の持っているやつね)が、今でも
現役モデルとして、販売中であることだ
価格.com によると、今でも平均価格が
4万円を切っていない。
こんなことは、他のカメラでは中々ない。

さて、今まで後継機種が出ても
それほど触手が動かなかったのだけど、
7年も使ったのでいよいよ買い替えてみようかと
いう気になった。

最新型 M7 と ひとつ前の M6 を比べてみて、
1万円以上差があるけど、私にとっては、
M6 で十分だという結論にたどり着いた。
で、購入。

この世界の数年分の進化の度合いはスゴイ。
ほとんど同じ大きさなのに(35mm伴換算で)
28-100mm から、24-200mm に大きく進化。
瞳オートフォーカスも装備。
その他、スペック面では多々進化が見える。

これだけのスペックなら当然だろうが、
少し分厚くなり(6.9mm)、
少し重くなった(61g)。
このレベルの60グラムは結構ズッシリくる。
いつもカバンに入れて置くのに60グラム増は
辛いけどこれも仕方ない。
今まで使っていたケースに入らなくなったのは
想定外だがこれも仕方がない。

写真の方は、まだ試し撮りレベルだが、
中々良い。
まだ、十分に機能を理解していないけど、
今後が楽しみだ。
このサイズで 24-200mm はありがたいね。


左が RX100、右がこの度購入した RX100 M6。











2021.2.28

写真家 ドアノー / 音楽 / パリ
Robert Doisneau La Musique Paris




渋谷 Bunkamura The Museum で開催中の
「写真家 ドアノー / 音楽 / パリ」という
写真展に行ってきた。

フランス人写真家のロベール・ドアノーの
写真の中から、パリで撮影された、
音楽にまつわる写真、約200点からなる展覧会だ。

ドアノーに関しては、小さな写真展に行ったり、
写真集を買ったり、ドキュメンタリー映画を観たり
してきたが、本格的な写真展は、初めて。

ドアノーは、作品を撮る、というタイプではなく、
そのほとんどが、発注があって撮影した、
いわば商業写真なのだという。
そのことと関係あるのかどうか分からないけど、
一部に奇をてらった印象を受けるものや、
作り込まれた感じがするものもある。
個人的には、たとえそうであっても、
そう感じさせない写真の方が好きだな。
有名な「パリ市庁舎前のキス」などは、
偶然こんな写真撮れるわけないやろ、と
言われるかもしれないけど、
偶然撮れてしまったような感じもあって好きだな。

今日の1枚は、1947年に撮られた
ジュリエット・グレコ(歌手)。



ポスターで観たときは、何とも思わなかったけど、
なんか良かったなぁ。
この写真が、ポスターに選ばれたわけが
なんとなくわかったような気がした。


[ 関連エントリー ]
2016.5.15 ロベール・ドアノー 写真展
2016.9.13 パリ・ドアノー ロベール・ドアノー写真集
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2021.3.27

サ ク ラ

あんまり花見には興味がなかったのだけど、
この数年、写真を撮るようになって、
桜の見方が変わってきた。
咲き具合や花びらの色、大きさなど、
以前は気にしたことのなかったことが、
それぞれ違っていることに気付くようになった。

昨日の夕方、洗足池の前を通ったので、
車を止めて写真を撮った。
初めて行ったのだけど、洗足池公園の桜は、
期待以上に素晴らしかった。

ミラーレス α7 III を持って行けば良かったと
後悔したが仕方がない。
持っていたコンデジ(RX-100 M6)で撮影。

桜に限らず、花の撮影は本当に難しい。
かなり作り込まないと、美しい写真は撮れない。
撮っても撮っても、つまらない写真しか撮れない。
見た目の桜の美しさと迫力はカメラに収まらない。
しかし、行き詰ってくると新たなアイディアが浮かぶんやな。
花の裏側を撮ってみる。





昨日は、夕暮れだったことが幸いして
こんな写真も撮れたよ。






拡大写真はこちら。





2021.5.15

ソニー アルファ・アカデミー
ポートレート写真ステップアップのための講評講座


久しぶりに写真の講座に参加して来た。
SONYが主催している αアカデミー。
今回のテーマは、ポートレート。
撮影実習ではなく、参加者が作品を
5枚程度持ち寄り、講師の講評と
皆の感想を聞くという講座。
講師は、ポートレートに関する書籍も
出されている 萩原和幸 先生。

もともとは、人物を撮りたくて
写真を始めたわけではなかったのだが、
10年前に一眼レフを買って以来、結局
一番多く撮っているのが、人物だった。

主にイベントの記録用か、被写体に
なってくれた人にプレゼントする程度で、
コンテストに応募したことはない。
公開といえば、このサイトに少し上げているぐらい。

自分としては、良く撮れているんじゃないかと
思うものを選び、プロのカメラマンがどんな
講評を下さるのか、自分の課題と改善点が
見つかれば良いと思い、参加を決めた。

コロナのこともあってか、参加者は5人だった。
上級者向け講座ということで、
5人中3人が、モデルさんを撮影した
写真を持って来ていた。
一見すると、プロではないかと思うような
写真もあった。

私は、さんざん迷った挙句、
姪とKさんの子供2人の写真を
計5枚選んで持って行った。

講座のポイントのひとつに組み写真の選び方と
いうこともあったのだが、いまいち組み写真と
いうものを理解しておらず、そのことは考えずに選んだ。

組み写真について、ただ、同じ時に撮った
写真(または同じテーマで撮った写真)を
数枚選ぶというぐらいの知識しかなかったが、
参加した結果、どういうものかようやくその輪郭が見えてきた。

私の作品5枚については、講師から
思っていた以上の好評をいただき、
大いに自信につながった。

どうしても、もっと良いものが撮れるんじゃないかと、
考えてしまい、中々自分に(または自分の作品に)
OK を出せないでいるのだが、(ギター演奏でも
全く同じ)もっと自信を持って良いと思えたのだ。

他の参加者の写真を観ると、
それらを私は撮れないと思うし、
私の写真は、他の人には撮れないだろう。

そう考えると、十分に自分の個性が
写真に表れていると言える。
もともと正誤のない世界、今の自分のやり方、
方向性で全く良いと思えたのでした。
萩原先生が、「ねばならない」がなく、
ネガティヴな指摘もしない講師であったことも
良かったと思う。

いくつか、今後の役に立ちそうなアイディアを得た。
一番印象に残ったのは、
「(子供に近づき)屈託のない表情が撮れるのは
(撮影者の)特権」という言葉。
確かに赤の他人の子供を撮りたくても、
このご時世面倒なことが多い。
そして、友人知人の子供だからといって、
誰もが警戒のない笑顔をくれるわけではない。
それは、カメラマンの腕でもあるんだけど、
「特権」というのは、魅力的でパワーのある言葉だ。

* * * * *

会場は、銀座校(ソニーストア銀座)。
始まる前、午前11時ごろの銀座は、土曜日にしては、
道行く人も少なく、コロナによる緊急事態宣言下で
あることを思わずにはいられなかったが、
講座が終わって、食事をした後、
14時ごろには、それなりの人が歩いていたよ。

三越(デパート)に入った。
入り口に今 店内に何人のお客さんが
入っているかが表示されている。
11時前は500人台だったけど、
14時台は1500人を超えていたから、結構な人数だ。
それでも、店内が混んでいるというほどではないのだけど。





2021.10.2

MINAMATA ― ミナマタ ―




ジョニー・デップ主演の映画『ミナマタ』。
舞台は1970年代前半の熊本県水俣。
こちらも期待していたが、期待通りの作品でした。

アルコールにおぼれ落ち目になっていた
写真家ユージン・スミスに、日本人と米国人の
ハーフのアイリーンが、日本の企業が有毒な
排水を海に垂れ流し、病気で苦しんでいる人が
いることを写真に撮って、世界に伝えて欲しいと訴える。

水俣の現状を知ったユージンは、
水俣へ行き、その現状の写真を撮るのだが、
これが様々な抵抗に合うことになる。
しかし、ユージンの写真が LIFE 誌に掲載された
(=世界に知らしめた)ことで事態は動く。

この映画について誰かが書いていた。
これは、日本人が作るべき映画だったが、
日本人には作れなかっただろうと。
だから、日本人は外国のその国の人が
作れない映画を作らなきゃいけないと。
なるほど、日本人は自国の恥部(?)を
映画にするのは、アメリカ人に比べると、
あまり得意ではないように思う。

さて、本作のジョニー・デップは、
まるでユージン・スミスが乗り移っているかの
ようで、ジョニー・デップは見えなかったよ。

ユージン・スミスは、太平洋戦争中に、
サイパン、沖縄、硫黄島などへ
カメラマンとして派遣されていたのだから、
命がけで写真を撮り続けてきた人だ。
沖縄では負傷し、映画の中でも
戦場のトラウマが描かれているが、
水俣でも危険な目に遭うことが描かれており、
その時受けた暴行の後遺症で、その後、
写真を撮ることができなくなったという。

エンドロールでは、世界中の多くの
公害問題が映し出される。
おそらくその多くは(いや全てだろう)、
いまだに苦しんでいる人たちがいる。
私の年代ならば、子供の頃、ニュースになっていた
水俣病のことを詳しくはないにしろ、少しは
知っているが、もしかしたら、今の若い人たちは、
その名前さえ知らないかも知れない。

そういう意味でも本作が、ユージンが水俣へ
移り住んだ年から、50年目の今になって、
公開されることは意義深いと思う。

音楽にもパワーがあるなぁと思ったら、坂本龍一。
日本人キャストは、真田広之、國村隼、美波、
加瀬亮、浅野忠信ら。
真田広之は特に真に迫っております。

写真集『MINAMATA』英語版が出版されたのは、
1975年だが、日本語版『写真集 水俣』が
出版されたのは、1980年、ユージンの死後だったという。


★★★★★


一昨年、東京都写真美術館で開催されていた
「イメージを読む 場所をめぐる4つの物語」という
写真展でユージン・スミスの写真を何点か観た。
写真集も一冊持っているのだが、
土門拳がありのままの写真を写し出すとしたら、
ユージンの写真には、ただリアルなだけではなく、
芸術作品のような美しさのようなもがあるように思う。


[ 参考(映画を観てから読むと理解が深まります)]
公害の悲惨さと人間の美しさと 写真家ユージン・スミスの妻、
アイリーンさんが水俣で共に感じた鼓動






2021.10.10

ハービー・山口 写真展
HOPE 2020-
変わらない日常と明日への言葉


久しぶりにハービー山口さんのお話し。



ハービーさんの新しいフォトエッセイ、
「HOPE 2020- 変わらない日常と明日への言葉」
の発売を記念して、新宿の北村写真機店の
イベント・スペースで、写真展が
開催されているので、観に行ってきた。

新しいフォトエッセイは、コロナ禍になってからの
写真がほとんどで、その中でも希望を感じさせる
写真が満載だ。

写真展は、そのフォトエッセイの中から、
20数枚が展示されていた。
やはり、本で観るのと実際の写真を観るのは、
毎度のことながら全然違う。

コロナ禍の写真ということで、
写っている多くの人がマスクを着けている。
私は、コロナ禍になってから、写真を撮る時、
どうもマスクが邪魔だと思っていたのだが、
展示されたハービーさんのマスクを着けた人々の
写真を観ていると、数枚あったマスクをしていない
人の写真に何か物足りなさを
感じてしまっている自分に驚いた。

マスクを着けた若い男女が見つめ合っている、
そんな写真は、今しか撮れない写真だろう。

これらの写真は、ライカのモノクロ専用機で
撮影したという。

ご本人の生い立ちもあるのだろうけど、
ハービーさんは、徹底的に「HOPE/希望」を
写真で表現し続けている。
世の中の報道写真家の中には、
世界の悲惨な、絶望的な現実を伝えようと
シャッターを押し続けている人もいる。
だから、ハービーさんは「世界が10 あるなら、
自分は、1か2しか撮っていない」という。
それが、自分(の役割)だと、しっかり
自覚・理解されているからこそ、あれだけの
優しい写真を撮り続けられるのであろう。

10月3日(日)に行われ、ライヴで配信された
トークイベントを(リアルタイムではないけど)観た。
そこで、語られる話を聴いて、
ハービーさんの存在自体が人々に世界に
希望・未来を与えるものだと思った。
残念ながら、ハービーさんとゲストとの音量差が激しく、
聞きづらいのだが、興味のある人はどうぞ。
(1時間以上あります)

ハービー・山口 発売記念トークイベント


HOPE 2020- 変わらない日常と明日への言葉



[ 関連エントリー ]
2019.8.25 未来への世界地図





2021.12.30

カメラはじめます!
こいしゆうか 著




最初の一眼レフカメラを買ったのは、
2010年9月のことで、もう11年も経つ。
もっと撮影したいと思っているけど、
まだまだ私の撮影数は少なく、
おそらく、この11年でコンデジを合わせて
10万枚撮ったかどうかという程度だと思う。

11年も経てば、カメラを十分使いこなせるように
なっていてもおかしくないが、実は
使いこなしているとは言い難い。
もちろん初心者ではないと思うけど、
結構、行き当たりばったりで撮影していて、
よく分かっていないことも多い。

原因は、絶対的な数の不足だと思っている。
一つのことを学んでも、それを自分の技術として
習得するにはそれなりの数をこなし、
自然に対応できるレベルになる必要があるが、
数が少ないと、一度分かっても忘れてしまい、
その技術を使いたい場面に出会っても
「どうだったっけ?」ということになり、その場で
適当に撮影して済ますということが少なくない。

もう一度、初心に戻り基本から学んだ方が
良いだろうと常々思っていたところ、
大変好評な入門書『カメラはじめます!』を
見つけたので、読んでみた。

ホントは、紙の本の方が好きだけど、
モノが多すぎるので、今回は
久しぶりに Kindle版 で購入。

『カメラはじめます!』は、漫画で、
主人公のこいしさん(著者)が、
カメラを買うところから始まり、
3つのことを覚えるだけで、
それなりの写真が撮れることを学んでいく。

確かにカメラの入門書には、
全くの初心者には、聞きなれない
専門用語が出てくることが多く、
挫折する方も多いのは想像がつく。

この本は、そういう超初心者向けなのだが、
読んでみると知っていそうで分かっていない
ことが、私にもいくつかあった。

もし、全くの初心者でカメラを
始めてみたいという方には、
1冊目の教材としてはお勧めです。





2022.1.27

人を幸せにする写真
幸せになれるかもしれないと思ったあの日のこと




写真家 ハービー・山口さんの新しい本が発売された。
昨日届いたばかりで、まだ読んでいないのだけど、
パラパラとめくっていると、一つの写真が目に留まった。

2019年8月25日に長野県の小海町高原美術館に
ハービーさんの写真展を観に行った。
その日が、写真展の最終日で、
会場にはハービーさんご自身の姿があった。
元々の予定にはなかったのに、
その数日前に来館が決まったらしい。

私たち夫婦は、ハービーさんと一緒に写真撮ってもらい、
ランチまで同席させていただくという幸運に恵まれた。
午後からは、90分ほどのギャラリートークもあった。
そして、そのあと、その場にいた者全員で
屋外に出て、ハービーさんに写真を撮ってもらったのだった。
その日のエントリーには、
「どこかで私の写っている写真が見られるかもしれない」
と書いたのだけど、このたび発売された本には、
その写真が収録されていたのだ。



間違いなく、私たちが写っている。
(一番左端のふたり)



この写真を観るたびに、あの日のことを
思い出すんやろな。
写真は、思い出を再創作させてくれるんやな。


[ 関連エントリー ]
2019.8.25 未来への世界地図 ハービー・山口 写真展






2022.4.2

桜の撮影

久しぶりに写真のエントリー。
花の撮影は、それほど好きではないのだけど、
桜は、毎年撮っている。
図鑑に載せるような写真を撮っても仕方ないし、
何かアートの匂いのするようなものを
撮りたいと試みるのだがこれが中々難しい。

昨年、大田区の洗足池公園の桜を撮った。
その場で新しいアイディアが湧いたりして、
とても良い所だったので、今年も行ってきた。
といっても、今日はすでに桜のピークを過ぎており、
残念ながら何割かは散ったあとだったけど。

桜って、ピンク色のイメージだが、
ソメイヨシノは、ほとんど白色。
頭の中のイメージに近づけようと、
無理やりピンクっぽく仕上げようとすると
汚くなる。
今日は、あえてモノクロで仕上げてみた。







3枚目は、ボートのふたりが
いちゃついているように見えてグッド。

これは桜ではないけど。



洗足池、良いですよ。
近くに勝海舟記念館や、勝海舟のお墓もあります。
東京にお住まいならぜひ。
近くには「千束」という地名もあるのだけど
なんで「洗足」かというと、ここで、
日蓮が足を洗ったんだって。(言い伝えね)
あ、足を洗ったというのは、文字通りで
堅気になったという意味ではないよ。

ちなみに今日の洗足池公園は結構な人出で、
大勢の人がお弁当を持ってきて、
花見を楽しんでいたよ。
コロナ対策大丈夫なのかしら。

こちらは、数日前の渋谷区恵比寿東公園の桜。





ソメイヨシノより、色がハッキリしている、
八重桜?河津桜?(未確認)
ちょっとハイキーに仕上げてます。






2022.4.27

Encampment, Wyoming
Selections From The Lora Webb Nichols Archive
1899-1948


先日、東京オペラシティに行った際、
施設内にある写真集や画集を売っている店に入った。
売られているのは、輸入本ばかり。
ある写真集の表紙の写真が目に留まった。
猫にエサをやる女性の写真。
猫がエサに食いつく決定的瞬間の写真だ。



表紙には『Encampment, Wyoming』とある。
聞いたことのない写真家だ。
パラパラとめくると、昔のアメリカらしい
ポートレイトが並んでいた。
(これ、欲しいな。
でも、荷物減らしている最中だし・・・)
と思いながら、とりあえず表紙を写メに取って
その場では買わずに帰った。
帰宅後も気になってしょうがないので、
ネットで検索したところ、
Amazon (Jp)で 7,424円(税込)だった。
件の店では7,040円(税込)だったので
買っておけば良かったと後悔した。
これなら、アメリカの Amazon で買った方が
安いかも、と調べてみると、75ドル。
う〜む、日本より 高い。

で、探していると「POST」というその手の
専門店で7,040円(送料無料)で発見した。
写真集が手元に届いてから、分かったことだけど、
この「POST]というお店、恵比寿にあった。
会社から歩いて行けるやん!

さて、この人どんな写真家だったのだろうと、
改めて「Encampment, Wyoming」と
ググってみると、アメリカのワイオミング州
カーボン郡にある エンキャンプメント
(Encampment)という町がヒットした。
そこで、ようやく本のタイトルが、この人口
400人ほどの小さな田舎町のことだと気付いた。

では、誰の写真なのか?
本の中表紙には、
「Encampment, Wyoming
Selections from the Lora Webb Nichols
Archive 1899-1948
Edited Nicole Jean Hill」
とある。
写真家の名は、ローラ・ウェブ・ニコルス
(Lora Webb Nichols)で、編集した人は
ニコル・ジーン・ヒル(Nicole Jean Hill)。

さらに調べていくと、ローラ・ウェブ・ニコルス は
女性で、写真家であり事業家でもあった人。
英語版のウィキペディアには
「photographer and diarist」とある。
「diarist」って「日記を書く人」という意味のようだが
それって、職業なんだろうか?

彼女のいくつかの事業のひとつが、
1920年代に エンキャンプメント で、
カメラを貸出すという事業だった。
彼女は、奇しくも私が生まれた年に
亡くなっている。(1883 ー 1962)

1920年代なんて、カメラは高級品で
珍しかっただろう。
だからこそ、貸出しというアイディアが
浮かんだのかも知れないけど。

この写真集には、ニコルス自身の写真はもちろん、
エンキャンプメント で、撮影された
アマチュア写真家の写真が収められているのだった。
写真のデータは、タイトルにあるように
1899年から1948年。
約50年の開きがあるのにその時間差を感じない。
大戦をはさんで、まさにアメリカの田舎町の
近代史のような写真集だ。







発行は、2020年。
編集のニコル・ジーン・ヒルは、現代の人。
こちらも女性。

Amazon.com の解説には下記のようにある。
(自動翻訳)

「『エンキャンプメント、ワイオミング:
ローラ・ウェッブ・ニコルズ・アーカイブ 1899-1948年
セレクション』は、ニコルズ自身の作品と、
ワイオミング州南部の写真仕上げ事業の
経営者として20世紀初頭に収集した
アマチュア写真家による画像を特集しています。
24,000枚以上の写真から集められたこの本は、
アメリカ西部開拓時代の社会的、国内的、
経済的側面へのダイナミックな視覚的窓を提供し、
友人、家族、見知らぬ人のこのコミュニティの画像を
通してとらえどころのない場所の感覚を捉えます。」

終わりの2行の文章の意味がイマイチ分からん。





2022.4.29

『東京ポートレイト』
鬼海弘雄


2カ月ほど前、山手通り沿いのピッツェリア、
「PIZZA CHECK」に初めて行ったとき、
店内に置いてあった写真集が、
私に何かを訴えてきた。
タイトルは『東京ポートレイト』。
パラパラと見ただけで、
(あ、これ買わなあかん)と思った。

調べてみると、撮影は 鬼海弘雄(きかいひろお)。
山形県出身の写真家だ。
2020年に75歳で亡くなっている。

『東京ポートレイト』は、2011年の発行で、
すでに絶版になっている。
中古で探して、まあまあ状態の良いものを
6,880円で入手した。
(現在は、Amazonで 9,800円〜
28,000円ほどで売られている。)

帯には「むき出しの存在感」という
コピーが書かれているが、まさにそんな写真ばかり。

この写真集には、1970年代から2000年代まで
30年以上に亘って、鬼海が撮った
ポートレイトが中心に収められている。
中には、15年後、18年後、21年後の
同じ人の写真も収められていて面白い。
写されているのは、浅草の人々。
1枚1枚にタイトルが付いているのだが、
そのタイトルがまたスゴイ。

・腕時計を買わないかという男
・人形に話しかけながら歩いていた男
・帰りの電車賃がないという男
・休み休み歩いて帰るという老人
・壁の角で背中を掻いていた男
・煙草をめぐんでくれ、という男
・なかなかシャッターを切らないことに、舌打ちする男
などなど。

そのタイトルと写真の中の人が、
あまりにもマッチしていて、
何度も吹き出してしまう。

一体、どうやったら、こんな写真が撮れるのだろう。
町を歩く人に「写真を撮らせてください」と
言うだけでは、こんな写真は撮れそうにない。
ハービー(山口)さんとは、全く違うポートレイトの数々。
それにしても、浅草は強烈な人が多い!

鬼海のことは、この写真集で知ったのだけど、
ほかの写真も観てみたい。



表紙の写真のタイトルは、
「皮装束の男」(1985年)。

ほかにここで数枚観ることが出来ます。

2011年の東京都写真美術館での写真展のサイト


また写真展やらないかなぁ。






2020.5.4

安房小湊 写真編

今回の旅行で撮った写真を数枚披露。

夕焼け


ハンガー


誕生寺 松


誕生寺 太田稲荷堂の彫刻


内浦湾 内浦海水浴場






手袋







2022.5.5

人を幸せにする写真
幸せになれるかもしれないと思ったあの日のこと




今年1月に発売されてすぐに買ったけど、
読んでいなかったハービー山口さんの
フォト・エッセイ『人を幸せにする写真』を読んだ。
収録されている写真の1枚に、
私たち夫婦が写っていることは、ここに書いた
(小さくて見えないけど。)

この本を読んでいて、自分の写真に足りないものというか、
ハービーさんと自分の決定的な違いを発見した。

ハービーさんは、シャッターを切る時、
被写体になってくれた方の幸せを祈る。
そして、その写真を観た人が、
優しい気持ちになれるよう、
希望を持てるよう、
幸せな気持ちになれるようにと
50年以上、写真を撮り続けている。

私は、レンズの向こうの人のためでもなく
写真を観る人のためでもなく、
自分のために写真を撮っている。

もちろん、私の撮った写真を観た人が、
幸せな気持ちになってくれたら、嬉しい。
でも、目的はそのためではなく、自分のエゴが、
「良い写真を撮れた」と満足するがために
撮っているような気がするんだ。

この目的の違いは、結果に大きな違いを
もたらせるだろう。

見えないどこまでを見ているか、
それが将来に大きな違いを生むんだと思う。
それは、人にかける言葉の一つ一つや
態度でもそうなんだけど、日頃、私は、
そんな影響を考えずに ぼぉ〜っと生きているのでした。

そして、写真に写っている人の表情は、
写真を撮っている人の反映なのだと思う。
相手が、つまらない表情しかしないのなら、
それは自分の責任なんだ。


★★★★▲




ひとりごと LAGUNA MOON MELLOW FLAVOR  LIVE GUITAR  LINK LYRICS