2022年11月
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2022.11.1
眼と風の記憶
写真をめぐるエセー
鬼海弘雄 著
鬼海弘雄(きかいひろお)は、
写真家。(1945−2020)
今年の春、近所のピッツェリアで
写真集『東京ポートレイト』の表紙が
偶然 目に入り鬼海のことを知った。
その写真集は、浅草の人々のポートレイト集で、
とても興味深いものであった。
その鬼海著の『眼と風の記憶』。
サブタイトルに『写真をめぐるエセー』とあった。
「エッセイ」ではなく「エセー」。フランス語だ。
いわゆるフォトエッセイかと思って購入したら、
写真は少なくて、小さくて、
紙質と印刷のせいでちょっと見にくく、
本文と直接関係ないような写真が多かった。
そこは期待が外れたけど、エセーは良かった。
ほとんど写真や撮影のことには触れていないのだけど、
ホントにとても良かった。
収録されたエセーは、2006年から2012年まで
山形新聞に掲載されたもの。
鬼海は、山形県寒河江市の出身だ。
文章が何というか、とてもゆっくりなんだ。
現代人が失ってしまったんじゃないかと思う
時間の流れ方を感じる。
内容は、どうということはない、
鬼海の日常や、子供の頃の回顧が
ほとんどなのだけど、読んでいると、
とてもゆっくり時間が流れる感じがするんだ。
例えばこんな風。
「炬燵(こたつ)に入って、普段よりは数倍に
膨らんだ新聞を読んでいた。ベランダで洗濯物を
干していた妻が、今朝も指先がかじかむほど
寒いと言って部屋に戻ってきた。
『ハイ』と声がしたので振り向くとぽいとミカンを
放り投げてきた。受けたミカンは、箱ごと外に
置かれていたせいで、雪合戦の珠のように
冷たかった。」(130p)
炬燵に入っていて、もらったミカンが冷たい。
似たような体験が、私の子供の頃にあったんだろう、
絵が浮かぶというより、心の中の何かが共振する。
何とはいうことのない風景なのに、
懐かしさに似た何とも言えぬ心持ちと
安堵のようなものを覚える。
鬼海は、1945年生まれ。
高度成長の日本と共に大人になった世代だ。
家に、白黒テレビが届いた日のことや、
牛に代わって、初めて小型耕運機が田んぼを
耕した日のことを覚えているという。
私よりは、17歳も年上なのだけど、
昭和30年代生まれの私には、ギリギリ、
何か感じ取れるものがあるのかもしれない。
9月に開催した写真展のタイトルを「僥倖」と
したことは、ここにも書いた。
「僥倖」という言葉を初めに知ったのは、
池田晶子の著書だったのだが、その本の次に
読み始めたこの本の2行目に「僥倖」という
言葉が出てきたんだ。
それは、もう何カ月も前のことだったので、
この本を読み終えるのにもずい分と
ゆっくりの時間をかけたことになる。
激しく情報が交差する世界に住んでいると、
心は、デジタルの欠片もない、このエセーのような
ゆっくり流れる世界を求めているのかも知れない。
★★★★▲
[ 関連エントリー ]
2022.4.29 『東京ポートレイト』鬼海弘雄
歳を取ると
もうすぐ87歳になる母は、
時々、不思議なことを言うようになった。
正月だったか、実家にいる時、テレビを
観ているとペットフードのCMが流れた。
TV 「ちゅ〜る ちゅ〜る チャオちゅ〜る、
ちゅ〜る ちゅ〜る チャオちゅ〜る、
いなばチャオちゅ〜る!」
母 「おいしそぅ!」
ペットフードを「おいしそう」というのも
可笑しいが、そのタイミングが
あまりにも絶妙だったので、大笑いした。
先日のこと。
電車の優先席に座る老夫婦らしき二人。
駅に停車中、婦人がスマホを口元に近づけて
小声で何か囁いている。
車内なので、周りを気にしてのことだろう。
電話をしているのかな、と思ったら
次の瞬間、スマホが結構な大音量で
「恵比寿から〇〇駅に行くには〜〜」と
自動音声で案内を始めた。
どうやら、囁いていたのは、スマホに
乗換案内を訊いていたようだった。
私は彼女の前に立っていたので、
その音量に少し驚いたのだけど、
ご本人はその音量に全く動じた様子はなく、
自動音声の案内を最後まで聞いていた。
おそらく耳が遠いので、スピーカーの
音量はそれなりに設定されているのだろう。
周りを気にして、スマホに小声で話していたことと
なんだかバランスが取れず、滑稽に見えた。
歳を取るとなんだかチグハグになるんだなぁ。
明日は、我が身だ。
2022.11.2
Vivian Maier:The Color Work
ヴィヴィアン・マイヤー:カラー・ワーク
2016年にアメリカの写真家、
ヴィヴィアン・マイヤーのことを知って、
写真集『Street Photographer』を購入し、
ドキュメンタリー映画『ヴィヴィアン・マイヤーを
探して』をDVD で観た。
その時に買った『Street Photographer』は、
モノクロの写真集だったので、このたび
『The Color Work』という写真集を購入した。
カラー写真は、断然ソール・ライターが好きなのだけど、
モノクロのヴィヴィアンの写真が好きだったので、
どんな写真か観たくなったのだ。
円高だったら、アメリカのアマゾンで買った方が
安いんだけど、今は円安(1ドル140円台後半)
なので、送料を入れるとそんなに変わらない。
以前、アメリカから取り寄せた写真集の
角が折れていたことがあったので、日本で
買う方が安心だし、日本のアマゾンで購入した。
2018年に発行された写真集で、
240頁ある立派な装丁の大型本。
50年代から80年代に撮られた(70年代が多い)
主にシカゴの人物、街の風景などの写真。
中には、ロケーションやデータが不明のものも含まれる。
モノクロの方にもあったけど、ヴィヴィアン自身を
写した「セルフ・ポートレイト」も数枚含まれている。
鏡に映った自分や、自分の影など、
ユニークなものが多い。
生涯で15万枚以上もの写真を撮り、
誰にも見せないことを選択したヴィヴィアン。
ヴィヴィアンは、死んでから写真が発見され
有名になった謎の多い人だ。
この約150枚のカラー写真は、
スライドで見つかったものらしい。
ソールもそうだったけど、インターネットや
コンピューターが普及していなかったあの時代、
スライドというのは、ひとつのツールだったんだな。
まあ、ヴィヴィアンの場合、発表していないけど。
自分ひとりでスライド観ていたんだろうか。
街の景色は、ソールとは違った切り取り方で、
写真家としてのタイプの違いを感じる。
ソールの方が、絵画的だ。(彼は画家でもあった。)
窓越しに撮った写真や、ガラスの反射を利用した
写真なんかは、共通するテイストのものもあったけど。
総じて、カラーは、ソールの方が好き、
モノクロは、ヴィヴィアンの方が好きだな。
[ 関連エントリー ]
2016.9.16 Vivian Maier
[ 参考 ]
VIVIAN MAIER - THE COLOR WORK
ヴィヴィアンの写真を「70年代の写メ」と
書いている上原京平さんという方の意見が面白い。
↓
写真集レビュー【 Vivian Maier : The Color Work 】
ヴィヴィアン・マイヤー × カラー写真の魅力とは
2022.11.3
Norah Jones
NY,USA 2022
先月14日、武道館公演を観たノラ・ジョーンズ。
素晴らしかった記憶も新しいのだが、
そのノラのライヴ DVD(ブートレグ)を観た。
「史上最高のデビュー作」とも言われる
ノラのデビュー作『COME AWAY WITH ME』の
20周年のスーパー・デラックス・エディションが
今年 発売されたが、その記念に
配信ライヴが行われたようだ。
ライヴといっても、ホールやクラブに観客を
入れてのそれではなく、コテージのような
一室での演奏だ。
その配信ライヴのブートレグ DVD を入手した。
昨年、エリック・クラプトンが
『ロックダウン・セッションズ』と称して、
無観客のライヴ盤を発表したが、
それに近いイメージだ。
エリックが、バンドのメンバーだけで
演奏していたのに対し、こちらは、
スタッフも室内におり、曲が終わると、
スタッフの拍手が聞こえる。
観始めるまで、ギターがビル・フリーゼルだとは、
知らなかったので驚いた。
これは、嬉しかったね。
ノラとビルが一緒に演っているなんて
知らなかったんだ。
でも、考えてみたら、この組み合わせは、
全く違和感がない。
曲中、ビルはノラの反応を確かめるように
弾いているのだけど、ノラもちゃんとビルの
音に反応して笑顔を送る。
曲が終わる度の、ビルの(うまいこといったなぁ〜的な)
笑顔も良い。
ビルのギターは、J.W.Black の Bigsby 付きの
テレキャスタータイプと、ギブソンのアコギ。
あれは、J-45 かな。
先月のツアーのギター、ダン・アイードも良かったけど、
このメンバーのライヴをナマで観たかったなぁ。
ドラムは、来日メンバーでもあったブライアン・ブレイド。
ベースは、トニー・シェール。
『Fragile』では、アコギを演奏。
この曲の出だしは、ビルとトニーのギター2本による
伴奏で始まったのだけど、とても良かった。
ジェシー・ハリスが、アコギで『Shoot The Moon』に参加。
曲は、アルバム『COME AWAY WITH ME』に収録の
14曲に加えて、スーパー・デラックス・エディションに
収録されていた『A Little At A Time』『Fragile』
『What Would I Do (Without You)』の3曲。
アルバムの最後の曲『The Nearness of You』に
始まって、1曲目の『Don't Know Why』で
終わるという、逆順のセットリスト。
その中に前述の3曲が混ぜられているのだ。
(全部で77分)
それぞれの曲は、この20年の間に育ってきた
感があり、成熟とも呼べるような変化を感じる。
それは、ノラの歌にもアレンジにも。
全く素晴らしい。
元々が配信のためのものなので、
ブートの中でもいわゆるプロショットと呼ばれるもの。
映像も音もとてもきれいで、これはオフィシャルで
販売しても良いのではないかと思うクオリティ。
オフィシャル版なら、3〜4千円はするだろうけど
入手したブートレグは、1,386円という驚きの価格でした。
2022.11.4
アカサカ・トリオ
AKASAKA TRIO First Edition Live
昨年 “T-SQUARE” を脱退したギターの
安藤さんの新しいユニット、アカサカ・トリオの
ライヴを観てきた。
トリオのメンバーは、安藤正容、
則竹裕之、須藤満 という THE SQUARE
(T-SQUARE)の卒業生の3人。
大体入替制のライヴを観に行くときは、
2nd show を観ることが多い。
1st show だと時間の制約があるので、
アンコールがなかったり、曲数が少なかったり
することがあるからだ。
今日は、珍しく 1st show を観た。
というのも、チケットを取ろうと思った時には、
2nd show はソールド・アウトだったんだ。
1st show でもあまり良い席は、
残っていなかったらしく、ステージを真横から
観る席だった。
私は、基本的にステージにいる人間だけで
演奏して欲しいと思っているので、
バック・トラックを流してそれに合わせて
演奏するのを聴くのを好まない。
なんか「カラオケに合わせて」演奏している
ような気がするからだ。
そんなことするぐらいなら、アレンジを工夫するとか
例え音がスカスカになっても、ステージにいる人間だけで
演奏してくれた方が魅力があると思っている。
今日のアカサカ・トリオの場合、
バック・トラックを流して演奏するのは、
知っていて聴きに行っているから、
それほど抵抗はなかったけど、それでも
ステージにいないシンセサイザーの音が
聞こえてくるのは、やはり なんだかなぁと思ってしまった。
バックトラックなしにやった曲があったのだけど、
断然、それで十分だと思ったね。
安藤さんのインタビューを読んだが、
あれだけのプロであっても、
トリオで演ったことがない人にとっては、
やはり不安なんだな、と思った。
まあ、ずっとキーボードがいるバンドにいたら、
そうなるのかも知れないな。
それなら、サポートでいいから、
キーボードをひとり入れたらいいのにな。
そのことはさておき、演奏は3人とも素晴らしかった。
出だしで、コンピュータに不調があり、音が出ず、
ほんの数分 スタートが遅れたけど、
やはり、ジャズクラブで間近に観るといいね。
昨年の安藤さんの脱退ライヴは、大きな会場
(LINE CUBE SHIBUYA)だったので、
今日は、余計にそう感じたな。
安藤さんは、非常にきれいな、丁寧な弾き方を
する人で、雑なところが全くない。
不要なタッチノイズとか出さない。
ギターは、Paul Reed Smith の Silver Sky が
メインで、数曲で Gibson ES-335
(1962年製らしい)を使用。
2本ともええ音してたけど、特に PRS ね。
ステージには、控えで Fender Custom Shop の
Michael Landau 57 Stratocaster も
置いてあったけど、弾かず。
則竹さんは、ドラム・ソロで爆発してた。
須藤さんは、ベースがフューチャーされた
曲のプレイが素晴らしかったな。
私は、数曲しか THE SQUARE(T-SQUARE)の
曲を知らないので、よく分からないのだが、
何曲か「懐かしい曲を」と言って、演奏されたので
それらは、古いスクエアやソロ・アルバムの
曲だったのかも知れない。
アンコール入れて、80分ぐらい。
ぜひ、バックトラックなしのギタートリオで
またはキーボードを入れて、ライヴやって欲しい。
絶対良いと思うねんけどなぁ。
[ MEMBERS ]
安藤正容 (g)
則竹裕之 (ds)
須藤満 (b)
@ Cotton Club
1st show
[ 関連エントリー ]
2021.8.7 安藤正容 Farewell Tour T-SQUARE Music Festival
2022.11.7
何の写真でしょう?
問題です。
これらは何の写真でしょう?
先日から「街中で見つけた諸行無常・生生流転」
というテーマで、毎日インスタグラムに
アップし始めた。
上の4枚の写真は、昨日アップした
いわば組写真なのだけど、おそらく、
観た人は何の写真なのか分からないだろうと思う。
インスタには「錆」と書いたので、
錆であることは分かるだろうけど。
この「ひとりごと」をお読みの人だけに
何の写真なのかネタ晴らしをしよう。
ちなみに、上の写真は画質を落としているので、
あまり鮮やかな色ではないが、インスタに
アップした写真は、もっとビビッドで美しい色です。
ぜひ、インスタで見てね。
答え。
↓
看板の剥がれている部分のアップの写真。
アップで撮って、少し色を強調しただけで
とても不思議な絵の写真が撮れたのでした。
2022.11.12
付和雷同と温故知新
先日、夢の中で「『絶望』は『舌望』である」という
メッセージ(?)を受け取ったことは、ここに書いた。
昨日は、夢の中で突然「付和雷同」という
言葉が出てきて、目が覚めた。
見ていた夢のストーリーは、
全く覚えていないのだけど、あいかわらず
不思議なストーリーだったような気がする。
そして、そのストーリーとは、脈絡なく突然
どこかから「付和雷同!」と聞こえてきて、
夢の中で夢を見ている自分が、
「あ、またなんかお告げや」と思ったら
目が覚めてしまった。
「付和雷同」って、普段使えへんやん。
意味何やったか忘れてたから、
起きてから、辞書で調べたよ。
付和雷同:
主義主張を持たず、軽々しく他人の説に同調すること
どういうことやねん。
今朝もストーリー覚えてないねんけど、
夢の中で突然、言葉がやってきた。
今朝の言葉は「温故知新!」
なんやねん、この四文字熟語シリーズ。
「温故知新」が出てきた夢とは
たぶん違う夢やったと思うねんけど、
英語を喋る夢も見た。
外国の駅みたいな構内の中で、
係員らしき女性に声をかけられる。
「イエス様を知っていますか?」
相手は、英語で話しかけてくてるねんけど、
私はちゃんと理解できる。
ヨーロッパの人でちょっとなまった英語やった。
宗教の勧誘やと思った私は、
「I'm not christian」と答えた。
彼女は、少し困ったような顔をしたので、
「話は聞いてもいいよ」と英語で答えた。
(何と言ったか覚えてない)
彼女 「Do you know who is he?」
私 「Little bit」
彼女に(英語で)「どんなことを知っているの?」と
聞かれ、さて英語で何と言えば良いかと
考えている所で目が覚めた。
変な夢。
2022.11.13
丹治思郷 生誕百年 記念展
書家の丹治思郷の「生誕百年記念展」に
行ってきた。
丹治先生は、2015年に91歳で逝去された。
私の大阪時代からの友人T君が、
丹治先生の弟子であったことで、
以前の書展で、先生にお会いしたこともあった。
書のことは、皆目分からないのだけど。
今回の「生誕百年 記念展」も
T君が手伝いに来ているというので、
観に行ってきたのだ。
会場は、東京銀座画廊。
今月8日に始まって、今日が最終日だった。
60点の書が、展示されていたが、
そのどれもがとてもダイナミックで、
生命力というか躍動力にあふれた作品だった。
草書なので、何が書いてるか読めないのだけど、
「一心不乱」「心郷」「北斗七星」だけは読めた。
読むんじゃなくて、感じるものだと言われるのだけど。
中でも なんだか心に染み入ってきたのはこれ。
平和
実物見ないと全然素晴らしさが
伝わらないと思うけど。
[ 関連エントリー ]
2009.11.6 書
2011.11.5 無記
没後30年 松村健三郎 展
10日ほど前だったか、テレビをつけたら
「わたしの芸術劇場」という番組で、
東京都立川市にある、たましん美術館で
開催されている松村健三郎展の特集を
やっていた。
なんだかとても惹かれたので、
たましん美術館まで観に行ってきた。
松村健三郎(1901-1992)は、
「生命即美術」(いいねえ)と捉え、
油絵、パステル画、書から彫刻まで、
色んな手法で作品を残した芸術家。
中でも1961年に 国立市に住居
「湛寂庵(たんじゃくあん)」を構えてからは
「SOUL GARDEN」シリーズと称して
自分ちの庭を描き続けた。
松村は絵を描くためにどこかまで
出かける必要などなかったのだ。
なんだか、ソール・ライターの
「神秘的なことは身近な所で起きている。
なにも、世界の裏側まで行く必要はないんだ」
という言葉を思い出した。
これは「残雪」と題された作品。
この作品のキャプションには、
「1976年2月、1972年1月20日、
1974年2月13日、1975年1月25日」
と書かれていた。
つまり、何年もかけて同じ時期に、
何度も上から塗り重ねるのだという。
新しく描くのではなくね。
だから、絵具は結構な厚みになっている。
松村の絵画作品には、午前中に観た
丹治思郷の作品に通じる、生命力と
ダイナミックスを感じた。
紫陽花
向日葵
でも、松村の書は、丹治のそれとは
もう全く違う世界でなんだか興味深かった。
2022.11.14
穐吉敏子 ソロ
Guest:Monday満ちる
初めて 穐吉(あきよし)敏子さんのライヴを聴いてきた。
1929年生まれであるから、なんと92歳である。
この来日(帰国?)が「日本ラスト公演」という
記述も観たので、これが最後かもしれない。
92歳と言えば、2016年に観たシャルル・アズナヴールが、
当時92歳だった。
(彼は、2016年を「最後の来日」と銘打っておきながら
2018年に94歳で、来日しコンサートを行ったが、
それが彼の最後のコンサートとなった。)
さて、穐吉敏子さん。
彼女がバークリー音楽院で初めて学んだ日本人だ。
1956年、26歳で単身渡米。
1956年というと、まだ戦後11年目。
渡辺貞夫さんの留学が、
1962年だからその凄さが分かる。
それからはアメリカ在住で、国際的に活動して来られた。
少しはジャズを聴くリスナーとして、
この偉大なピアニストを一度は観ておかなくては
ならないと思った。
今日の公演は、彼女の娘である、
マンデイ満ちるさんがゲスト。
月曜日のブルーノートは、満席だ。
いつものお客さんと少し違う感じがする。
何がって言えないのだけど。
ステージに上がった穐好さんを観て、
樹木希林と数年前に観たヘレン・メリルが
思い出された。
1曲目、マンデイ満ちるが歌詞をつけたという
『Long Yellow Road』。
穐好さんが渡米した1956年のアメリカは、
今よりももっと人種差別が激しかった。
『Long Yellow Road』は、イエロー(日本人)の
ジャズの道は長いという意味で付けたそうだ。
2〜4曲目は、ピアノソロで
『It Was A Very Good Year』
『Tempus Fugue-It』 (Bud Powell) など。
再び、マンデイ満ちるをステージに招いてデュオ。
ブルースと、マンディがフルートを吹いた曲
(2曲タイトル不明)と、
アルトフルートで『Yellow Is Mellow』。
このタイトルについて穐好さんは、
「White Is Right、Black Is Beautiful、
ときて、Yellow Is Mellow だ」と言ってました。
続いてピアノソロで『木更津甚句』。
マンデイ満ちると1曲演って、
本編ラストはデュオで日本語の歌詞が
付けられた『Hope』。
これは、広島のために書かれた曲だそうだ。
そして、アンコールは、『月の砂漠』。
全部で65分ぐらいだったかな。
1曲1曲がわりとコンパクトで、
MCもたっぷり聴けた。
渡辺貞夫さんのMCもそうだけど、
この年代のミュージシャンから聴ける話は
貴重で面白い。
私の席が最前列だったので、穐好さんの表情も
良く見えた。
さすがに92歳ともなると、思い通りの演奏が
難しいのだろうか。
表情を観ていると時々、演奏が上手くいって
ないんだろうと分かったけど、そういうことを
超越したレベルの演奏だった。
座席から撮影。手前左のカメラは配信用。
[ MEMBERS ]
穐吉敏子(pf)
Guest:Monday満ちる(vo, fl)
@ BLUE NOTE TOKYO
2nd show
(2022.12.6 追記)
Blue Note の LIVE REPORTS より
[ SETLIST ] 2nd show
1. Long Yellow Road
2. It Was A Very Good Year
3. I Know Who Loves Me
4. Tempus Fugit
5. I Ain’t Gonna Ask No More
6. The First Night
7. Yellow Is Mellow
8. The Village
9. Warning!! Success Maybe Hazardous To Your Health
10. Hope
EC. 月の砂漠
2022.11.15
小島良喜
Piano Solo 2022 Last
昨日に続いて今日もピアノ!
今年三度目となる、小島さんのソロ・ピアノ・ライヴ。
4月の Char さん(@中野サンプラザ)、
7月の Namico さん (vo)、八木のぶおさん (vo) との
トリオ(@ブルースアレイ・ジャパン)も入れると、
今年5度目の小島さんのライヴだ。
東京での今年最後のソロ・ピアノ・ライヴ。
1部の1曲目は、2018年11月14日に
逝去されたジャズ・ピアニスト 佐山雅弘 氏と
一緒に演っていたという曲。
このデュオは、一度だけ聴きに行ったことがある。
曲名を言ってくれなかったのだけど、
ゴスペル調の曲で素晴らしい演奏だった。
それから、『Waltz In Sorrow』
『In A Mellow Tone』、メドレーで
『A Hard Day's Night』から
『Put It Where You Want It』。
(これは、もっと他の曲も混ざっていたかもしれない)
そして『赤とんぼ』からの『My Foolish Heart』。
短い休憩の後、2部。
家で作ったというループを流して、
エレキ・ピアノの演奏。(曲名不明)
路面電車でウトウトする様が目に浮かぶ
『Nap In The Trolly』、
美しい『Truth In My Eyes』や
ニューアルバムに収録したという
これまた美しい『Family』など。
ラストは『Waltz For Flower』(と言ったと思う。)
アンコールは、有名なジャズのスタンダードだったけど
曲名が出てこない(やばい)。
休憩挟んで全部で2時間半ぐらい。
毎度たっぷり聴かせてくれはります。
以前から話されていた CD の発売が
いよいよ決まったらしい。
12月21日を予定しているとのことで、
なんと2枚組になるそうだ。
楽しみ。
2部の1曲目、エレピの演奏中
[ MEMBERS ]
小島良喜 (pf)
@ Blues Alley Japan (目黒)
Char
公演中止と1976年ライヴ
今週の金曜土曜(11月 18日、19日)は、
Char さんのデビュー45周年記念ライヴ2Days、
1日目「Johnny, Louis & Char Session」、
2日目「PINK CLOUD Session」が、
昭和女子大学人見記念講堂にて予定されていた。
ゲストは、1日目が金子マリ、
2日目がミッキー吉野。
これは、行っとかなあかんやろと思い、
2日間通し券を購入して楽しみにしていた。
が、今日、ファンクラブからメッセージが届いた。
(私は、ファンクラブに登録している。)
12日にChar さん本人が発熱等体調の異変を感じ
PCR検査を行ったところ、13日に陽性と判明した
とのことで 公演は中止だという。
ご本人の容態は安定しているとのことで
心配はなさそうだが、「PCR検査」とあるものの
どこにも「コロナ」という言葉が見つからず、
何の陽性だったのかが分からない。
「インフルエンザ」ということもあり得るのだろうか。
振替公演を実施する方向だとのことだが
詳細は未定だ。
Char さんは、1976年21歳のデビューで
前述の通り(昨年で)デビュー45周年だった。
昨年から、「45th anniversary concert」が続いており、
私は、昨年4月10日の日比谷野外大音楽堂、
10月1日のビルボードライヴ(これはニューCD
リリース・ライヴ)12月11日の武道館、
今年3月6日の中野サンプラザ、と観てきて、
今回の「Johnny, Louis & Char Session」、
「PINK CLOUD Session」だった。
楽しみにしていただけに残念だが、仕方がない。
先月には、CD “CHAR LIVE 1976” が
リリースされた。
これは、1976年の1st アルバム『Char』の
レコ―ディング・メンバーによる、
1976年12月13日に行われた新宿 LOFTと、
1976年11月26日に行われた
金沢観光会館でのライヴ盤だ。
どちらも レコード用に録音されたものではなく、
カセットテープに録音されたもので、
最近までこのテープの存在を Char 自身
知らなかったらしい。
カセットテープの録音なので、音はけっして
良くないけど、内容は一聴に値する。
何よりも、21歳の Char の凄さ。
メンバーも全員20歳過ぎなのだが、
エネルギーの高さ、テクニックに感動する。
Char 自信、聴く前はもっと酷かっただろうと
思っていたらしい。
音質が悪くてもファンなら聴きたいだろうし、
リリースしてくれて嬉しい。
メンバーは、次の通り。
Char(vo、gt)
ロバート・ブリル(d)
ジェリー・マーゴシアン(vo、k)
ジョージ・マステッチ(b)
佐藤準(k)
なお、金沢の方のライヴは、初回限定盤だ。
DVDもセットになっていて、こちらは
Char さんと キーボードの 佐藤準さんとの対談。
これまた、知らない話満載で興味深い内容だった。
Char さんはこの数年は時々、ロバート・ブリルや
佐藤準とは、共演しているが、ジョージと
ジェリーはすでに他界してしまったらしく、
残念だが、再結成の可能性はない。
ビザの問題などもあり、非常に短命に終わった
バンドであったわけだけど、続いていたら
どうなっていたんだろうと Charさん自身が
時々思うというのも、演奏を聴くと
分かるような気がする。
ちなみに 新宿 LOFT のカセットは、
ジョージの遺品にあったらしい。
阿久悠作詞の『気絶するほど悩ましい』で、Char さんが
お茶の間で有名になるのは、デビューの翌年1977年のこと。
つまり、1976年はそれほど売れていなかったわけで、
それがこのバンドが短命であった理由の一つでもあるようだ。
『気絶するほど悩ましい』が Char のデビュー曲だと
思っている人がいるかも知れないが、
デビューシングルは『Navy Blue』。
作曲は Char で、作詞は NSP の天野滋。
『Navy Blue』は、後にアン・ルイスがカヴァーしている。
2022.11.16
何の写真でしょう?(その2)
問題です。
これらは何の写真でしょう?
こちらは、昨日 インスタグラムにアップした写真。
「街中で見つけた諸行無常・生生流転」
というテーマで毎日連続で、アップし始めて
昨日で 21日目だった。
観た人は、おそらく何の写真か分からないと思うから、
前回 同様、ここだけでネタばらしね。
これは、会社の近くのビルの植え込みの
大きな葉っぱの写真のアップ。
全体はこんな風だ。
植物の名前は、分からないけど、
直径は、30センチぐらいある。
葉全体の写真は2枚だが、
問題の方の3枚の写真の色が微妙に違うのは、
3枚別々の葉だからだ。
2枚目の葉脈がはっきり写っているものは、
葉だと分かるかもしれないけど、
それ以外は、なんだか緑色のペンキが垂れて
固まったように見えなくもない。
なんとも自然は不思議なのでした。
いや、人間が勝手に不思議に見ているだけなのだけど。
ぜひ、インスタもフォーローしてね。
2022.11.17
夫源病(ふげんびょう)
定年退職後、仕事も趣味も仲間もなく、
妻に頼りきって離れようとしない男のことを
以前は、「ぬれ落ち葉」なんて呼んでいた。
調べてみると、「平成元年(1989)ごろの
流行語」とあったので、最近は使わないのかも知れない。
「ぬれ落ち葉」は、妻にべたべた引っ付いて
離れない夫を、ぬれた落ち葉が地面に
貼り付いて取れない様子に例えた言葉で、
どう考えても夫への誉め言葉ではないし、
そんな夫を妻が喜んでいるわけでもない。
明らかに妻が、夫を面倒に思っている様が
目に浮かぶ。
しかし「ぬれ落ち葉」と呼ばれ、
めんどくさがられているぐらいなら
まだかわいいもんで、
最近は「夫源病」というのがあるらしい。
これは、夫の言動が原因で妻がストレスを感じ
妻の心身に不調が現れるというもの。
医学的な病名ではないらしいが、
離婚の原因にもなっているようだ。
似ているものに、夫が家にいると
妻の体調やメンタルが悪化する、
「主人在宅ストレス症候群」というのもあるらしい。
男尊女卑的な考えやモラハラなど、妻を理解しない、
ひどい場合は妻の人格を認めないような、
夫の言動がその原因になっているようだ。
問題の根深さは、夫の側に自覚がないこと。
例えば、自分は家族のために仕事をしている、
妻のためを思って言っている、
などの正当化があるため、
家事を全部妻に押し付けていることや、
相手の人格を否定していることに
全く自覚がないのだな。
すると ある日突然、
「私はあなたの家政婦じゃありません!」と
妻から離婚を言い渡されたりする。
その状態に行くまで、妻の気持ちやストレスなど
気付きもしないし、考えたこともないわけだ。
それにしても「夫源病」。
夫が源(みなもと)の病気って、
その命名が凄いよな。
でも、世の夫たち、安心して。
ちゃんと「妻源病」もあるから。
妻が近くにいると、めまい、動悸・息切れ、
頭痛、腹痛、不眠、食欲不振などが
現れるんだって。
「夫源病」にしろ「妻源病」にしろ、
結婚生活がストレスというのは、
人生しんどいなぁ。
私も 気をつけよう。
って、気をつけられるのか?(自覚ないのに)
でも、まあ「夫源病」も「妻源病」も、
病気は自分が源なんやと思った方が
未来があると思うけどね。
2022.11.18
カレーはスポーツだ! #48
牡蠣カレー煮込みうどん / 千吉(恵比寿)
★★★★▲
以前、表参道店を何度か利用したことがある、
カレーうどんの「千吉」が、恵比寿にオープンした。
これからの寒い季節には嬉しいね。
今日は、季節メニューの
「牡蠣カレー煮込みうどん」注文。
940円なり。
小さな土鍋で煮込まれており、出てきた時には、
まだグツグツと煮えたぎっていた。
私は、それなりに汗をかいたけど、
カレーはそれほど辛くはなく、旨い。
ルーにとろみはなく、スープタイプ。
カキは、5つ入っていた。
カキの味は、カレーに負けないね。
麺は、無料で全粒粉麺に
チェンジできるというので、試してみた。
麺の味は、カレーうどんだと分からなかったので、
栄養価が高いのなら、全粒粉麺の方が
良いのではないかと思う。
次回は、50円アップして、
旨辛バージョンを食べてみたい。
絶対旨いやろと思う。
ただ、恥ずかしいほど汗をかくことになるけど。
ところで、ざっと店内を見渡したところ、
半数以上の人がご飯付きのカレーうどんを食べていた。
大阪人が、お好み焼きや焼きそばを
ご飯のおかずにすると、「炭水化物に炭水化物?」と
ちょくちょくツッコミが入るが、なんだ、東京の人だって、
うどんでご飯食べてるやないか、と思った。
ま、その人たちは、大阪人かも知れんけど。
それと、この店では、うどんを食べた後に
残ったカレーにご飯を入れて、雑煮風にして
食べることをお勧めしているので、
そのせいもあるかも知れんけど。
なお、私はうどんだけで十分なので、ご飯は食べなかったよ。
いらんか、その報告。
2022.11.19
ピカソとその時代
ベルリン国立ベルクグリューン美術館展
表題の展覧会を観に、
上野にある国立西洋美術館に行ってきた。
30分ごとの時間制でチケットを
売っていたけれど、結構、混んでました。
ドイツにあるベルクグリューン美術館は、
もともとは、ハインツ・ベルクグリューン(1914ー2007)
という個人が集めたコレクションから始まったらしい。
2000年に主要作品をドイツ政府が購入し、
現在は、ベルリン国立美術館群ナショナル
ギャラリーに属するとのこと。
ベルクグリューンはユダヤ人で、第二次大戦中は、
ナチスに迫害され、一時はアメリカに住んでいたこともある。
ベルクグリューン美術館の改修を機に
今回の日本での展覧会が可能になったらしく、
やってきた97点のうち76点が日本初公開だという。
その約半数がピカソ。(日本初公開は35点)
私は、ずっとピカソの絵の良さがわからなかったのだけど、
ひと月ほど前にピカソの画集を観て、
少し印象が変わっていたところに、
妻がこの展覧会に行きたいと言い出した。
展示物は、ピカソのほかに、パウル・クレー、
アンリ・マティス、アルベルト・ジャコメッティなど。
点数も多かったけど、ピカソが一番印象的だった。
ピカソというと、あの独特の作風が有名だけど
それ以外にもかなり色んなスタイルの作品があり、
いわば常に進化し続けていたアーティストだったんだな。
音声ガイド(声は俳優の長谷川博己)を
利用したおかげで、ピカソの作風が
何を意図し、どんな風に進化していったのか
大雑把ではあるけれど、知ることが出来た。
展示物は、一部を除いて撮影OKだったので、
いくつか紹介。
ギター好きだけに、ギターを題材にしたものを。
「ギターと新聞」(1916年)
「グラス、花束、ギター、瓶のある静物」(1919年)
「青いギターのある静物」(1924年)
「ギターを持つアルルカン」(1918年)
そして、今回の展覧会のチラシやポスターにも
なっているこの絵。
「緑色のマニキュアをつけたドラ・マール」(1936年)
ドラ・マールというのは、ピカソの彼女だった女性。
ドラ・マールはピカソからこの絵を贈られ、
別れたあとも大切に飾っていたという。
これは、インパクト大。
ピカソのコーナーの最後に展示されていたのがこれ。
「闘牛士と裸婦」(1970年)
なんと、ピカソ89歳のときの作品だ。
パウル・クレーは、作品を観て、なんとなく以前
展覧会に行った、オットー・ネーベルを思い出した。
調べてみると、パウル・クレー(1879ー1940、
スイス人)とオットー・ネーベル(1892ー1973、
ドイツ人、1933年スイスに亡命)は、
親交があったとのこと。
もしかしたら、互いに刺激があったのかも知れないな。
アンリ・マティスの有名な切り紙の作品は、
あまり魅力を感じなかったけど、
この頃の作風は好きだな。
「青いポートフォリオ」(1945年)
「ニースのアトリエ」(1929年)
ベルクグリューンは、額にもこだわっていたらしいが、
上の「ニースのアトリエ」の額なんて凄いよね。
こうなると額も作品の一部になってくるわな。
常設展も観たけど、たくさんあった19世紀の
宗教画は、あんまり良さが分からないなぁ。
ゴッホが1枚だけ(ばら)あった。
展覧会公式サイト
2022.11.20
YouTube
そろそろ ソロ・ギター No.32
"What a Wonderful World"(Louis Armstrong)
1967年のサッチモ (Louis Armstrong) の名曲に挑戦。
たくさんの人に愛されカヴァーされている名曲です。
作者でありプロデューサーのボブ・シール
(当時のペンネームは ジョージ・ダグラス)は、
ベトナム戦争の最中、平和な世界を夢見て、
この曲を書いたらしい。
メロディも良いけど、歌詞も良いよね。
ギターの音をライン録りしたのは、
今回で3回目なのだけど、どうもうまく行かない。
まだ試行錯誤中です。
そろそろ ソロ・ギター "What a Wonderful World"
2022.11.20
どうして何も壊れてないのに直そうとするの?
2〜3ヶ月前の深夜。
もう最終電車も行ってしまったのではないかという
時間だったと思う。
近所の居酒屋で飲んで、ええ気分で帰っていたら、
駅前で若い女性が何かチラシを配っていた。
しらふだったら、シャイな私は素通りしていたかも
知れないが、なにしろええ感じで出来上がっていたので、
「こんな時間に何してるの?」と声をかけた。
彼女は「劇団やりたかった」の人で、
公演のチラシを配っていたのだった。
なんでも、自転車であちこち周っていて、
その日は、不動前の駅前に来たらしい。
確か三鷹まで帰ると言ってたような気がする。
その日は、チラシを受け取って帰った。
後日、なんとなく気になるので調べてみたら、
面白そうだったのでチケットを買った。
それから、しばらくして また夜遅く、
同じ居酒屋の帰り道に また 彼女がいた。
私のことを覚えていてくれていて、
「チケット買ったよ」と伝えると、
とても喜んでくれた。
彼女は、手売りのチケットを そんな風に
駅前に立って、200数十枚売っていた。
(公演は、14日間 20公演ある。)
どうせなら、彼女の手売りの分から
買ってあげれば良かったと思った。
前書きが長くなったけど、その演劇
「どうして何も壊れてないのに
直そうとするの?」を観てきた。
ハコは、参宮橋 TRANCEMISSION。
参宮橋駅って、初めて降りたよ。
良い所やね。
ストーリー。
希子の婚約相手、慎吾の元カノが男であったことが分かる。
元カノが男性であったことが受け入れられない希子は、
その元カノ(男)を呼び出す。
元カノは、慎吾の小2からの親友でもあり、
現在の親友でもあった。
それだけでも希子にとっては、大変なのに
慎吾の両親は離婚しており、
母子家庭であること判明する。
希子の家族は、離婚や母子家庭であることを
快く思わない人たち。
両方の家族の顔合わせの日が近い。
さて、どうする?
前半の設定、展開は面白かったのだけど、
途中から、ちょっと飛躍し過ぎな感が出てきて、
最後には、「結局、何が言いたかったんだろう」
という疑問が残った。
タイトルの「どうして何も壊れてないのに
直そうとするの?」という言葉は 登場人物の
セリフとして、途中で語られるが、
場面にあまりフィットしていないような、
取ってつけたような言葉に感じた。
LGBT、離婚、家柄の違いなどによる、
分断や差別に一石投じたいのかもしれない。
何かメッセージがあるのかも知れないけど、
私には分かりにくかった。
登場人物の誰にも感情移入できなかったことが
分かりにくさの一因かもしれない。
全体にセリフが早口だったことや、
暗転が多かったことも気になった。
頑張っているのは、分かるのだけど、
演劇は、色んな意味で難しいなぁと思ったのでした。
ある男
映画『ある男』を観てきた。
原作は、『マチネの終わりに』の平野啓一郎の小説。
出演は、妻夫木聡、安藤サクラ、、窪田正孝、
眞島秀和、仲野太賀、真木よう子、柄本明など。
谷口里枝の夫、大祐が事故で亡くなる。
法事の際、大祐の兄・恭一が遺影を見て
「これは大祐ではない」と言い出す。
では、一体彼は誰で何者だったのか。
里枝の依頼を受けて、弁護士の城戸が調査を始める。
サスペンスタッチで、徐々に謎が解き明かされていく
展開は、面白くて良かったが、感動的ではない。
観終えて、スッキリしたり、ハッピーになる作品ではない。
あまり現実味はなく、フィクションの域を出ないように
感じたが、「自分は何者か」ということに、
名前や国籍、戸籍、出自が与える影響が
大きいのは残念ながら事実だろう。
しかし、その上で(名前や戸籍ではなく)
「自分は誰か」を創り出さなければならないんだろう。
「自分ではない誰かになりたい」
私は、そんな願望を本気で持ったことはないけど、
そんな風に思う人たちがいるのも事実だろうな。
妻夫木聡、安藤サクラ、窪田正孝が良い。
柄本明は相変らず素晴らしい。
大阪弁もかなり上手かったけど、
時々惜しかったな。
本作がデビューだという、中学生役の
坂元愛登も素晴らしかった。
この手の作品は、原作を読むと
きっと印象も変わるんだろうと思う。
★★★★☆
2022.11.21
YouTube の視聴回数が!
昨年の5月18日に始めた YouTube。
ソロギターの演奏をボチボチ、アップしていて、
現在 32本(曲)の動画がある。
視聴回数は、32本合計で 26,000回を
越えたのだが、この数日ちょっと異変が起きている。
先日まで1日の視聴回数の記録は、
YouTube を始めた初日(2021年5月18日)が、
(たった1本の動画に関わらず)178回で最高だった。
それからは、動画数が増えても合計視聴回数が
100回を超えたのは約1年半の間、先月までは、
たったの2回だけで、少ない日は10数回、
多くても70〜80回程度で推移してきた。
ところが、11月6、7日と連続で100回を超えた。
何が起こったのか、11月11日に 新記録238回を
叩き出すと、17、18、19日と3日連続で
200回を越え、ついに昨日 20日には、
380回という記録を出した。
---視聴回数---
11月11日 238回
11月12日 137回
11月13日 92回
11月14日 65回
11月15日 75回
11月16日 104回
11月17日 284回
11月18日 224回
11月19日 293回
11月20日 380回
それまで、1,000回達成するのにひと月かかって
いたのに、なんと1週間で1,400回を数えた。
チャンネル登録者数も1週間で7人増えた。
(現在137人)
どの動画がそんなに再生されているのかと
アナリティクスをみてみると、"Tears in Heaven" だ。
14日から20日の1週間で 1,077回も再生されている。
(合計6,900回を越えた)
やはりエリック・クラプトンというか
"Tears in Heaven" はスゴイね。
この程度では、まだまだバズったとは
言わないだろうけど、身に覚えがないので
なんだか不思議な感じだ。
何がきっかけなんだろう?
誰が観てくれてるんやろね?
ちなみに 先日 YouTube のハンドル名
「shin223」を取得したので、私のチャンネルの
URL は下記でも OKとなった。
↓
https://www.youtube.com/@shin223
なんかうれしい。
2022.11.22
カレーはスポーツだ! #49
旨キーマカレー / FUJICO DELI(恵比寿)
★★★★☆
ランチのみ間借り営業している、
フジコデリ(恵比寿)の旨キーマカレー。
サラダバーが付いて、税込み1,200円なり。
メニューに「やみつきスパイシー」と書いてあったが、
そんなにからくはなくて、適度にパンチがある感じ。
カレーは、不思議な食べ物で、
一口目より半分ぐらい食べた時の方が、
旨いと感じることが時々ある。
今日のカレーも然り。
食べているうちにおいしくなっていく感じ。
不思議だなぁ。
ライスは、雑穀米入り。
ケールなどの生野菜サラダが食べ放題というのは
嬉しいが、意外とそんなに食べられないねんな。
ほかにも2種類のカレーがあったので、試してみたい。
この店は、夜はダイニングバーのようだ。
ソファ席でくつろげるよ。
2022.11.25
YouTube
そろそろ ソロ・ギター No.33
(Sittin' On) The Dock Of The Bay (Otis Redding)
今回のお題は、オーティス・レディングの『ドック・オブ・ザ・ベイ』。
曲は、オーティスとスティーヴ・クロッパーとの共作。
オーティスは、この曲を録音した3日後に
飛行機事故でこの世を去ってしまった。
1967年12月10日、まだ26歳、
あまりにも早すぎる死だった。
(この3年前、1964年12月11日には、
オーティスの憧れでもあった サム・クックが
銃に打たれ、33歳で 亡くなっている。)
若い頃は、もっとディープなR&Bに魅力を感じて、
この曲の良さがあんまり分からなかった。
オーティスは、十分ディープなんだけど、
この曲は、なぜかライトな感じがしたんだ。
でも今なら、この曲の良さが分かる。
出だしの波の音も、歌詞も、バンドの演奏も
(特にスティーヴ・クロッパーのギター)今は心に沁みる。
最後の口笛は、オーティスのアドリブだったらしい。
この曲も多くの人にカヴァーされているが、
オリジナル以外で、私が特に好きなのは、
ジョー・サンプルがニルス・ラングレンと作った
『Creole Love Call』というアルバム(2006年)に
入っているカヴァー・バージョン。
レイ・パーカーJr も一緒に歌っとります。
さて、ソロ・ギター。
この曲は、ソロ・ギターに取り組み始めて比較的
初期に取り組んだ曲で、割とすぐに形になったのだけど、
サビのところが、どうも気に入らなかったので、
今までアップしなかった。
そのサビも改善したので、録音してみた。
まだ、発展の余地がありだけど。
そろそろ ソロ・ギター
(Sittin' On) The Dock Of The Bay
[ おすすめ ]
Joe Sample, Nils Landgren、Ray Parker Jr.
[Sittin' On The] Dock of the Bay
こちらがオリジナル
Otis Redding - (Sittin' On) The Dock Of The Bay
2022.11.28
THE DOOBIE BROTHERS
来日公演決定!
ドゥービー・ブラザーズ 結成50周年リユニオン・ツアー、
来年4月の日本公演が発表された。
前回のドゥービーの来日は、2017年だったから、
6年ぶりの来日ということになるが、
前回と大きく違うことがある。
今回はなんと、マイケル・マクドナルドが参加するのだ。
これで、前回聴けなった "What A Fool Believes" や
"Minute By Minute" が聴けるに違いない。
6年前のチケット代が 11,000円 で、
今回が 17,000円 と諸事情によるであろう、
大幅な値上がりがつらいところだが、
このご時世、これは仕方ないよなぁ。
東京は、武道館が1公演のみだ。
横浜が1公演あるけどね。
【ドゥービー・ブラザーズ ジャパン・ツアー】
4/15(土) 盛岡 岩手県民会館
4/17(月) 東京 日本武道館
4/18(火) 横浜 パシフィコ横浜国立大ホール
4/20(木) 名古屋 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
4/22(土) 金沢 金沢歌劇座
4/24(月) 大阪 フェスティバルホール
4/25(火) 大阪 フェスティバルホール
4/27(木) 広島 広島上野学園ホール
2022.11.29
私が独身だったらな
こんな Eメールが届いた。
--------------------------------
こんにちは、私は相手を探しています27歳です
私は誠実な女性で、責任感があり、
孝行心があります。
普段の余暇は旅行、読書、写真、運働が好きです。
私は自分の時計店を持っています。っていて
私のパートナーには、向上心があって、礼儀正しく、
真剣にコミュニケーションできる男性がほしい!
年上なら離婚して配偶者を亡くしてもいい。
あなたも独身なら、私のプライベートなlineを追加してください
--------------------------------
「私は自分の時計店を持っています。っていて」は、
原文のまま。
そして、LINEのIDとともに女性の写真が添付されていた。
私は、向上心があって(たぶん)、
礼儀正しく(おそらく)
真剣にコミュニケーションできる(きっと)男性だ。
私が独身だったらな〜、
って、あほかぁ!
2022.11.30
Three Base Hit
コントラバス3人による「Three Base Hit」。
前回観たのが、2019年7月だったので、
なんと3年以上も前のことだった。ビックリ。
私は3度目だけど、以前とはメンバーが入れ替わり、
よっしー(古賀圭侑)の師匠、安ヵ川大樹さんが
加わっており、大きく進化を遂げていた。
安ヵ川さんが加わったこともあるだろうけど、
若手二人の進化も大きいと思う。
曲は、『Blue Monk』、『Nuovo Cinema Paradiso』、
『Bluesette』、『In My Life』、『I Remember Clifford』、
『All The Things You Are』、『月光(ベートーベン)』、
『プレリュード(ショスタコーヴィチ)』
『Spring Can Really Hang You Up The Most』
『ギレアデの乳香』、『Mack the Knife』など、
ジャズあり、ビートルズあり、映画音楽あり、
クラシック、黒人霊歌、クリスマスソングありと
たいへん盛沢山。
明らかに、普段彼らが演っているジャズより、
カチッとアレンジされている部分が多く、
緊張感のある演奏で、
個人的には、『ギレアデの乳香』という
ニグロ・スピリチュアル(黒人霊歌)が良かった。
この曲とアンコールで演ったクリスマス・ソング3曲の
うち2曲は、3人ともアルコ奏法による演奏だった。
アルコ3本によるハーモニーは、リッチで美しく、
そして厳かでもある。
お客さんの入りはもったいないことに
やや空き気味だったのだが、ほとんどのお客さんが
ご婦人(この言い方、良いでしょう?
古今亭志ん朝風です)で、何と男性客は、
見渡したところ、私ともうひとりだけだったよ。
すごいね。
女性は低音好きなのかな。
いや、イケメン・ベーシストの人気かもな。
赤坂ビーフラットは、ライブではないけど、
以前通っていたジャズギター道場の
発表会と何かのセッションで
ステージに立ったことがある。
9月にマスターが、急逝されたとかで、
年内の営業は決まっているけれど、
今後の営業がどうなるか未定みたいだ。
[ MEMBERS ]
安ヵ川大樹 (b)
須長和広 (b)
古賀圭侑 (b)
@ ビーフラット(赤坂)
終演後の1枚
[ 関連エントリー ]
2018.3.21 安ヵ川大樹 コントラバス ソロ&DUOライブ
2019.5.9 Three Bass Hit
2019.7.26 Three Bass Hit
以前のエントリーには「Three Bass Hit」と
書いていたけど「Three Base Hit」だったわ。