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2020年 映画・演劇・舞台 etc

    
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2020.1.5

ヴァン・ゴッホ 〜最期の70日〜
VAN GOGH


1991年製作のフランス映画
『ヴァン・ゴッホ〜最期の70日〜』
(原題 "Van Gogh")を DVD で鑑賞。

映画監督になる前は画家でもあったという、
モーリス・ピアラ監督作品。
日本では劇場公開されなかったようだ。

邦題にあるように、ゴッホが人生の最期を
過ごした北フランスのオーヴェル=シュル=オワーズ
という村での70日間を描いている。

その前には、ゴッホは南フランスのアルルという街で
耳切事件などを起こし、アルル市立病院に入院。
その後、約1年間サン=レミの療養所
(精神病院)に入所する。
サンレミ時代に描かれた絵には『アイリス』
『星月夜』『糸杉』シリーズなどの代表作も多い。

サン=レミの療養所を退所後、
1890年 5月20日に
オーヴェル=シュル=オワーズに汽車で
到着したシーンから映画は始まる。

観終えた感想は、
私が思い描いているゴッホとイメージが
違いすぎて、良かったとは言い難い。
この70日間にゴッホは、約70点の
油彩作品を残しているのだが、映画では
あまりにものんびりしているように見えるのだ。
もっと、何かに取りつかれたように
創作に集中していたんじゃないのか。
人を笑わせるためにおどけたり、
ダンスを踊ったりというのもイメージと違う。
まあ、実際はどうだったのかは、
今となっては謎だし、100人いれば
100通りのゴッホが存在するのは、
分かるけど、私のゴッホ像とは
かけ離れていたのだ。
切ったはずの耳もちゃんとあるし。

後半、少しゴッホの苦悩が分かるようにも
描かれているが、それでも、感情移入には
至らない。
精神が不安定なのだからと言われてしまえば
それまでだが。
日本とフランスの文化や国民性の違いも
あるだろうし、字幕の限界も大いにあるだろう。
字幕で鑑賞するには、観る側に
より想像力を要求される作品かも知れない。

本作ではない別の何か(本か映画か忘れた)で、
ガシェ医師は娘マルグリットとゴッホの関係を
快く思っておらず、2人が会うことを
禁じたというものがあった。
マルグリットとゴッホに何らかの交流があったのは、
彼女の肖像画が残っていることからも
間違いないだろうが、本作では、ゴッホと
マルグリットは、完全に男女の関係であったと
描かれている。
が、このラヴストーリーも、私には
どうも中途半端な感を否めないのだった。

自殺(ピストルを撃つ)のシーンもなく、
テオ(ゴッホの弟)が駆けつけても、
ゴッホから自殺の説明もない。
テオが「なぜそんなことをしたんだ?」と
問うシーンさえない。
どうせなら、監督の解釈の自死の理由を
語らせてほしかった。

と、本作もやはり、今まで観たゴッホ関連映画
同様、スッキリしないのだった。

そんなわけで、もし、ゴッホのことをよく知らない時に
この映画を観ていたら、ゴッホの絵を
観に行こうとは思えなかったかも知れないな。

とはいえ、オーヴェルの風景や、
当時の人々の暮らしを感じられるのは、良かった。


★★▲☆☆





[ キャスト ]
ジャック・デュトロン(ゴッホ)
アレクサンドラ・ロンドン(マルグリット)
ベルナール・ル・コク(テオ)
ジェラール・セティ(ガシェ)
[ スタッフ ]
モーリス・ピアラ 監督





2020.1.6

シーモアさんと、大人のための人生入門
SEYMOUR : AN INTRODUCTION


2016年10月に観たドキュメンタリー映画
『シーモアさんと、大人のための人生入門』は、
とてもインスパイアリングで、
素晴らしい映画だったと記憶している。
しかし、情けないことに内容は覚えていない。
ふと、もう一度観てみようと思って、
DVD を借りて観てみた。

今読んでいる『エフォートレス・マスタリー』とも
重なることもあり、非常に興味深く観た。
観終えてから、このひとりごとに書いた
2016年の自分の感想を読んでみた。
「ああ、そうか、そんなことを感じたんだな」と
思いながら、読んだのだが
「DVD 出たら買うよ」と書いたことは、
すっかり忘れていた。

確かに、これは時々で良いから、
繰り返し観た方が良いと思った。

特に印象に残った言葉を。

音楽は一音たりとも 妥協を許さず
言い訳や ごまかしも 受け付けない。
そして 中途半端な努力も。
音楽は我々を映す鏡と言える。
音楽は我々に完璧を目指す力が
備わっていると 教えてくれる。


う〜む。


★★★★▲








2020.1.11

写真家ソール・ライター
急がない人生で見つけた13のこと

In No Great Hurry: 13 Lessons in Life with Saul Leiter


先日、始まった写真展
『ニューヨークが生んだ伝説の写真家
永遠のソール・ライター』に合わせて
映画『写真家ソール・ライター
急がない人生で見つけた13のこと』が
渋谷のルシネマで特別上映されている。

2017年の写真展のときにも上映されたので、
私はそのときに劇場で鑑賞したし、
観たければレンタルでいつでも観ることが
できるのだけど、やはり、劇場で観たいと思い、
観に行ってきた。

やや睡眠不足で、映画館に行く前から、
今日は眠くなりそうやなぁと思ったので、
ドラッグストアで眠気覚ましを
1本飲んで臨んだが、やはり、途中で
10〜15分くらい気絶してしまった。
悔しい。

先日、開催記念講演会で講師を
務めたソール・ライター財団ディレクターの
マーギット・アーブ氏が、出演していたので、
この映画にもグッと親近感がわいたよ。

ソールが公園のベンチに座る若い女性の
足を隠し撮りのように撮るシーンがある。
撮った写真を(映画の)カメラマンに
見せながら、
「じいさんにこんな破廉恥なことを
させてるって、彼女たちは知ってるのかね」
というようなことを言う。
2017年に観たときは
「やばいな、これ盗撮やん」と、
きわどいシーンに見えたのを
覚えているのだが、不思議なことに
今日はその若いネーチャンの太ももを
撮った写真さえもが、全くいやらしくなく、
素晴らしい作品に見えた。
面白いなぁ。

そして、ソールが何気ない言葉の中に、
いくつもの宝物が隠されているように聞こえてきた。
彼の作品がなぜ素晴らしいと感じるのか、
この映画だけでなく、他の書物も合わせてだけど
ひとつひとつ、解き明かされるたびに
ますますソールの作品が好きになっていく。

これは、時々観直した方がいいなぁ。


★★★★★








2020.1.13

パラサイト 半地下の家族
PARASITE


カンヌ国際映画祭で『万引き家族』の翌年
(2019年)パルムドールを受賞した、
韓国映画『パラサイト 半地下の家族』。
中々の高評価で公開中だ。

ネタバレになるといけないので、
詳しく書けないけど、
「起承転結」でいえば「起承」までは
ドキドキもしたし、ストーリーも読めないし、
もの凄く面白かった。

しかし、観終えてみると、後半の展開に
ちょっと強引さが否めず、消化不良の感ありだな。
意味不明のシーンもいくつかあったし。
前半が、面白かっただけに惜しい。
たとえて言うなら、ホラー映画で
一人で行ったらあかんと分かっている所に
わざわざ一人で行くような設定だ。
そうするしか、展開できなかったのかも知れないし、
意味不明のシーンは、分かる人には
分かる暗示なのかも知れないけどね。

チラシや公式ウェブサイトには
「アカデミー賞最有力」とあるけど、
私にはそれほどではなかったな。
面白いか面白くないかと言われれば
面白いのだけど。


★★★★☆








2020.1.14

炎の人 ゴッホ
Lust for Life


ゴッホ関連の映画を順次観ているのだが、
いよいよその代表作ともいえる
『炎の人ゴッホ』を DVD で観た。
原題は、"Lust for Life"。
「生きる意欲」「生きるための欲望」と
いう意味だろうか。
「炎の人 ゴッホ」はいい邦題だと思う。

主演は、本作でアカデミー賞主演男優賞に
ノミネートされた カーク・ダグラス。
ゴーギャン役のアンソニー・クインは、
さほど出番は多くないものの本作で
アカデミー賞助演男優賞を獲っている。

1956年製作のアメリカ映画で、
往年のハリウッド映画らしい音楽が良い。
オランダ、フランスが舞台だが、
ゴッホを含め全員が英語で話す。

映画は、ゴッホが画家になる前、
聖職者の試験を落ちるシーンから始まり、
伝道師として失敗し、画家を目指し
オーヴェルで自ら命を絶つまでの
約12年間を描いている。

見所は、アルルでのシーン。
ゴーギャンとの共同生活では、
寂しがり屋のくせに、人とうまくやれない
ゴッホが観ていてしんどい。

芸術には、正解がないので、
意見や感想を聞くのは良いとしても
自分の考えと違う人と意見を
闘わせることには意味がない。
しかし、多くの人が「自分が正しい」という
落とし穴に落ちてしまう。
ゴーギャンもマイペースな人だったようで、
あまり協調性のある人のようには描かれていない。
まあ、芸術家なんてみんな個性的で、
わがままなものかもしれないけど。

ゴッホのストーリーは、大体知ってしまったので、
それらをどう描いているか、どう解釈しているか
という見方になってしまう。
本作でも、ピストルはどこで手に入れたのかは
語られておらず、何かに苦悩しているのは
分かるものの、何がそんなに苦しいのかは、
明確に描かれていない。
上手くいかない人生、いくら描いても売れない絵、
孤独、弟テオへの罪悪感、そういうことの
寄せ集めなんだろうか。
精神の病気だったので、想像しても
分かりようがないのかもしれないけど、
ゴッホの絵を実際に観ると、
命を使い切ったと言われれば、
そうかもしれないと思う。

伝道師の頃のエピソードを見れば、
不器用なほどに純粋で生真面目。
そんな真面目な人だったから
あんな絵が描けたのかもしれない。


★★★▲☆



バンパイアのように見えてしまうのは、私だけ?





2020.1.23

リチャード・ジュエル
RICHARD JEWELL


今年90歳になる、クリント・イーストウッド大先生
監督の最新作『リチャード・ジュエル』。
監督の創作意欲、バイタリティ、エネルギーは、
もう神の域だと思う。

1996年、アトランタオリンピックの際、
爆発物を発見し、多くの人を救ったのだが、
第一発見者ということで FBI に犯人扱いされた、
実在の警備員、リチャード・ジュエルの物語。

冤罪ものといえば、痴漢冤罪を描いた
『それでもボクはやってない』を思い出す。
あれも怖い映画だったけど、本作は、
痴漢ではなく、死者まで出た爆弾テロ犯と
疑われるのだから、たまったもんじゃない。
リチャードが、闘わなければならなかったのは、
合衆国、FBI なのだが、
実話だと思ってみるとなおさら恐ろしい。

FBI が、リチャードが犯人ではないかと
疑い始める根拠、理由があまりにも単純。
え〜っ?それだけで、疑われるの?
と思うのだが、そういう目で見ると、
色んな事が証拠のように見えてくるというのが、
人間の厄介なところでもある。

以下ネタバレ含みます。

FBI が水面下でリチャードの捜査を進めている時、
アホな捜査官が、スクープが欲しい、
女性新聞記者のエロ仕掛けに負けて、
「FBI はリチャードを疑っている」と漏らしてしまう。
翌日、そのことが大きく新聞に載り、
爆弾から多くの人を救ったと英雄扱いだった
リチャードの生活は、一気に転落する。
この女性新聞記者がまぁひどい。
この記者も実在した人(故人)だが
彼女のセックスと引き換えに情報を
引き出そうとする描写は、真実ではないという
反発もあり、問題になったようだ。
映画の中では、後半、リチャードが無実だと
分かると、反省した風にも描かれているけど。

リチャードは、知り合いの弁護士
ワトソン・ブライアントに弁護を依頼し、
2人で闘い、やがて嫌疑を晴らす。
捜査開始から88日もかかってしまう。
もともと無実なのだから、どんなに調べても
証拠は出てこないのだけど、
ひとつ間違ったら、有罪にされてしまう
恐ろしい状況だ。

リチャードが、FBI に出向いて
事情聴取を受けるシーンの
彼の実直さ、ピュアさが溢れた
トークが感動的で素晴らしい。
その実直さが、疑われた一つの要因にも
なっているというのが、皮肉だ。

映画は、クリント・イーストウッドらしく
派手ではないけど、じわ〜っと
感動が広がる作品だ。
所々に クリント節 を感じる。
そして、最後には、涙が流れる。

リチャード・ジュエルを演じるのは、
ポール・ウォルター・ハウザー。
弁護士にサム・ロックウェル。
サム・ロックウェルは、『グリーンマイル』の
時はイヤな奴だったけど、
『スリー・ビルボード』といい、本作といい
だんだん好きになってきたよ。
リチャードの母親役にキャシー・ベイツ。
アカデミー賞助演女優賞にノミネートされとります。
好演です。


★★★★★








2020.1.25

フォード VS フェラーリ
FORD V FERRARI/LE MANS '66




いやぁー予想以上に良かった。
アカデミー賞4部門ノミネートも納得の作品。
作品賞以外の主要な賞にノミネートされて
いないのが不思議なぐらい良かった。
150分以上あるけど、長く感じなかった。

これはカーレースの映画ではない。
もちろんレースシーンは、大迫力で楽しめるけど、
車に興味のない人でも観る価値のある
ヒューマンドラマだ。

フランスのル・マンで行われる「ル・マン24時間レース」。
24時間でサーキットを何周周れるかを競う
耐久レースだ。
タイトルの通り、フォードが王者フェラーリに
勝負を挑むのだが、まず、フォードが
ル・マンに出るまでのストーリーがゴキゲン。

フォードは、最高のレーシングカーを作るため、
ル・マンで優勝経験を持つキャロル・シェルビーを
雇い入れる。
シェルビーは、天才的なイギリス人レーサー、
ケン・マイルズを誘い、2人はチームになる。
そして、フェラーリを倒すべく、最高のマシーン
作っていく。

キャロル・シェルビーを演じるのはマット・デイモン。
ケン・マイルズにクリスチャン・ベイル。
2人ともとても良いです。

フォードとフェラーリの闘いを描いているようで、
実はそれは表面的なことで、きっかけに過ぎない。
単純な話ではなく、もうちょっと深い。
いわゆる大人の事情が絡んでくると
ことは複雑になる。
映画を観ていると、誰が一番勝負に勝ちたい
人か明確だが、チームに、勝ち負け以外に
興味のある奴が混ざると
足を引っ張られることになるのだな。
シェルビーとケンの友情の物語でもあり、
2人と巨大企業との闘いの物語とも言える。

レースシーンはどれも大迫力だが、
特に後半のル・マンでのレースは、
結末を知らずに観たこと手伝って、
ドキドキもんだった。
これは、ぜひ劇場で大画面で観て欲しい。

そういえば、中学生の時、スティーブ・マックイーンが
好きで、彼が出演してる『栄光のル・マン』を
映画館で観た覚えがある。
ほとんどがレースシーンで、当時の私には
あまり面白くなかった覚えがある。
『フォード VS フェラーリ』では、
レーサーを辞めて車のセールスマンを
やっているシェルビーが、マックイーンから
注文を取ったというシーンがあったよ。

あと、シェルビーが、フォード会長を
車に乗せて走るシーンは、痛快!
フォードの言葉が感動的。


★★★★★


余談だが、ウィキペディアによると
日本のメーカーは過去に ル・マンで
トヨタが2回(2018年2019年)、
マツダが1回(1991年)優勝している。
ニッサンも何度か出場していたが、
優勝はしておらず、2000年に当時の
CEO(今話題の)カルロス・ゴーンに
撤退を余儀なくされたらしい。





2020.1.27

神韻芸術団(SHEN YUN)


半年ほど前に YouTube の広告で初めて見た
神韻芸術団の公演に行ってきた。
これは、素晴らしそうだと思い、
広告を見てすぐにチケットを取ったおかげで、
前から4列目の中央付近という
凄く良い席で鑑賞することができた。

「神韻」というのは、音楽と舞踊を使って、
天上の光景、古代伝説など
中国五千年の伝統文化を表現する舞台。

勝手に、中国版シルクドソレイユみたいな、
アクロバティックな演目を想像していたのだが、
中国古典舞踊、民族・民謡舞踊が、
中心でちょっと思っていたのと違った。
面白くなかったわけではないし、
一糸乱れぬ舞踏は、素晴らしかったし、
中国らしく、太極拳のような動きであったり、
民族衣装のようなステージ衣装も美しかったし、
音楽はオーケストラの生演奏だし、
バックのスクリーンに映し出される映像と
ステージの演技が上手くシンクロしていたり
見所も多かったが、それでもやっぱり
期待していたものとは違った。

神韻芸術団はニューヨークを拠点として
活動している。
驚いたことに、この舞踏は、
今の中国では鑑賞できないのだという。
というのも、その公演を中国共産党が
許可しないらしい。
観ればわかるが、これは中国共産党は
OKしなだろうなと思う。
純粋な芸能の部分と同時に、
明らかに政治的、思想的なメッセージがある。
それは、抑えつけられているからこその
メッセージなのかもしれないけど。
ラストの演出は、ちょっと新興宗教の
イベントみたいと思ったら、
やはり法輪功という宗教を母体としていた。

中国共産党政権は、この数十年、
政治的に中国の伝統文化を廃絶しようとしてきた。
中国共産党と神は、相容れないからである。
その結果、当の中国人は「神韻」を海外で
鑑賞するしかないという現実がある。
裕福な中国人しか鑑賞できないわけだ。

中国共産党が、なぜ「神韻」を迫害するかは、
「中国共産党が神韻を恐れる理由」という記事に
書かれているが、ちょっと「ホンマかいな」と思う
恐ろしいことまで書かれている。

中国共産党が神韻を恐れる理由

こうなってくると、ただ単にエンタテイメントとして
云々という話ではなくなってきて、
大変難しい問題になってくるのでした。


@ 文京シビックホール 大ホール



神韻芸術団 公式サイト





2020.2.1

ゴッホとヘレーネの森
クレラー=ミュラー美術館の至宝
VAN GOGH:TRA IL GRANO E IL CIELO



ドキュメンタリー映画
『ゴッホとヘレーネの森
クレラー=ミュラー美術館の至宝』。
昨年10月の公開だったが、東京では
新宿武蔵野館のみ上映だったようで、
見損ねていた。
今日から一週間、下高井戸シネマで
上映されているので観てきた。

映画は、オーヴェル=シュール=オワーズの
教会から始まる。
映画のナビゲートを務めるのは、
フランスの女優、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ。

オランダ有数の資産家であった
ヘレーネ・クレラー=ミュラー は、
ゴッホの死後、ゴッホに惚れ込み
コレクションをはじめた。
そして、資材を投じて美術館まで
作ってしまった。
2人は同じ時代に生きていたが、
会ってはいない。

ヘレーネは、ゴッホの魂に触れてしまい、
ゴッホの作品を守り、後世に伝え、
残さねばと思ったのだろうが、
ゴッホだけではなく、芸術にかけるその
情熱は、命がけだ。
肖像画や写真が出てくるが、
聡明な人だったのだろう。
鋭い目つきなのに美人で優しそうだ。

1938年にクレラー=ミュラー美術館は
開館する。
ヘレーネの集めた美術品は、
彼女の死後、評価されたという。
まるでゴッホだ。

映画は、途中からゴッホの絵の解説が
中心になった印象。
もう少しヘレーネ自身のこと、
ヘレーネとゴッホの関係を知りたかったな。

クレラ=ミュラー美術館には、
ゴッホ美術館に次ぐ最多のゴッホの作品が
所蔵されている。


★★★▲☆


(2020.2.2 追記)
音楽は、Remo Anzovino(レモ・アンツォヴィーノ)と
いうイタリア人で、サントラが欲しいと思うぐらいに
とっても素晴らしかった。
ただ一点、ゴッホが日本の影響を受けたという
くだりのBGM が、どうにも中華なメロディだったのは、
残念だった。
日本と中国のメロディの違いなんて、
欧州の人には分かりにくいんだろうなぁ。





2020.2.7

ミッドナイト・イン・パリ
MIDNIGHT IN PARIS




ポスターの一部に
ゴッホの絵『星月夜』が使われているので、
気になっていた2011年の映画
『ミッドナイト・イン・パリ』をビデオで鑑賞した。

パリに来たアメリカ人のギルが
夜中に1920年代のパリにタイムスリップし、
フィッツジェラルド、ヘミングウェイ、
コール・ポーター、ピカソ、ダリなどなどに
会うというファンタジー。
脚本監督は、ウッディ・アレン。
ゴールデングローブ賞とアカデミー賞の
脚本賞をW受賞、それぞれ
その他3部門でもノミネートされた作品。

ギルは、1920年から1880年にも
タイムスリップする。
1880年ならゴッホも生きていたけど、
残念ながら出てこない。
ゴーギャンは出てくるんやけどな。

なのでなぜ、ゴッホの絵が使われたのか、
分からない。
でも、主人公ギルがセーヌ川沿いを
歩くシーンでは、あきらかに
ゴッホの『ローヌ川の星月夜』を
連想させる光景が出てくるので、
ウッディ・アレンには、何かゴッホへの
思いがあるのかもしれないな。

以下、ネタバレ。
ギルは1920年代のパリに憧れている。
夜のパリで迷子になったギルは、
1920年にタイムスリップする。
1920年に行くとピカソの愛人
アドリアナは、1880年がパリの
黄金時代だという。
1880年に行くと、ゴーギャンは、
「ルネッサンスの時代に生まれたかった」という。
それを聞いて、ギルは過去への憧れは
幻想だと気づくという、
大人向けのメッセージのあるファンタジー。

ギルを演じるのは、オーウェン・ウィルソン。
ええ味出してます。
ギルの婚約者イネスにレイチェル・マクアダムス。
とっても美人でセクシーだけど、
だんだんイヤな女に見えてくる。
そして、1920年のアドリアナに
マリオン・コティヤール。
これまた美しい。
あと、キャシー・ベイツも出てます。


★★★★☆





2020.2.9

ジョジョ・ラビット
JOJO RABBIT


今日は、映画を4本観たよ。
3本は何度もあるけど、
4本は初めてかも知れない。
まずは、アカデミー賞作品賞ほか6部門に
ノミネートされている『ジョジョ・ラビット』。



第二次大戦中のドイツの少年の物語だけど、
コミカルに風刺が効いていて素晴らしかった。
主役の少年ジョジョを演じる、
ローマン・グリフィン・デイヴィスが素晴らしい。
ジョジョの母親役のスカーレット・ヨハンソンは、
アカデミー賞助演女優賞にノミネートされている。
ドイツ軍の大尉役に『リチャード・ジュエル』にも
出ていたサム・ロックウェル。
完全にこの人のこと好きになってしもたよ。

ドイツ人なのに全員英語を話しているというのは、
映画の冒頭、ちょっと引っ掛かってしまうのだけど、
アメリカ製作の映画では、よくあることだ。

戦争はイヤだし、悲しいこともあるのだけど、
観終わった時、世界って素晴らしい、と
思える作品。


★★★★★




音 楽
ON-GAKU: OUR SOUND




10年前に友人が大橋裕之 (著) の
『音楽と漫画』というコミックを
プレゼントしてくれた。
表紙を見て、買わずにはいられなかったらしい。
その時のエントリー

その大橋裕之の原作を基に、
岩井澤健治監督が約7年もかけて
ほぼ個人制作で作り上げたという
アニメーション映画『音楽』。

71分と短いが、オタワ国際アニメーション
映画祭では、長編部門グランプリを獲った作品。
インディーズっぽい作りが逆に新鮮。

他校生とのケンカに明け暮れる
楽器を演奏したことのない不良3人が
バンドを結成し、町のロックフェスティバルに
出演するという物語。
初めてバンドで音を出した時の感動が良い。

岡村靖幸も声で出演。


★★★▲☆




ザ・ピーナッツバター・ファルコン
The Peanut Butter Falco
n



施設を脱走したダウン症の青年ザックと
社会のはみ出し者漁師タイラーの
ロード・ムービー。
ザックを演じるのは、実際のダウン症の
役者ザック・ゴッサーゲン。
タイラーにシャイア・ラブーフ、
ザックを探す施設のスタッフにダコタ・ジョンソン。

ネットでの評価も高く、
『リトル・ミス・サンシャイン』のプロデューサーが
贈る最新作、ということもあって、
ちょっとハードルを上げて観てしまった。

面白くなかったわけではないが、
ラスト近くのわざとらしい演出に疑問があり、
私的にはそこでちょっと減点だな。
他にも突っ込み所はあるけど、
それはさほど気にならなかったのだけどね。


★★★★☆




前田建設ファンタジー営業部




坂上忍が テレビ番組の中で、
漫才コンビ「おぎやはぎ」の 小木博明 のことを
「来年の助演男優賞だ」とまで絶賛していた上に
映画も高評価なので、これは観てみたいと
思っていた映画『前田建設ファンタジー営業部』。

前田建設ファンタジー営業部」は実存する組織。
アニメなどに登場する架空の建造物を
実際に作ったら、どれくらいの工期、費用で
できるのかということを真面目に積算する、
大人の遊びのようなプロジェクト。

2003年に「マジンガーZ」の格納庫の建設を
検証することから始まり、いまだに続いているようだ。
本作はその「マジンガーZ」格納庫の物語。
実際には作らないで、ウェブで公開するためだけに
設計図を出し、工期を立て、見積もり書を
完成させる。
なんとも意味にあるような、ないようなことを
大の大人たちが本気で取り組む。
アニメの世界のことなので、
実際の建造など前提にされていないので、
問題は山積み。
さあ、どうやってクリアしていくのか、
という プロジェクトX 的な作品でもある。

当初、やる気のなかったメンバーが、
少しづつプロジェクトに燃えていき、
自分の会社に誇りを持ち、
力を合わせて乗り越えていくというのは、
ありがちな話だが、『陽はまた昇る』
(VHSの開発の物語)のような
真面目なタッチではなく、
コミカルに描かれているので、
観る方も割り切って楽しめた。

出演は、前述の小木のほか、
高杉真宙、上地雄輔、岸井ゆきの、
六角精児ら。
確かに小木は、役者としても良いけど
助演男優賞は大げさかな。


★★★★☆





2020.2.10

ジョジョ・ラビット


昨日観た映画『ジョジョ・ラビット』のことを
もう少し書こう。
今日のアカデミー賞授賞式で、
タイカ・ワイティティ監督が脚色賞を受賞した。
映画には、主役のジョジョ少年の空想の友人として、
アドルフ・ヒトラーが登場する。
このヒトラーが、あまり似ていない。
似ている役者はいくらでもいるだろうに、
ちょび髭だけ合わせていて、中途半端な
ヒトラー感も皮肉な演出の一部かと思っていたら、
タイカ・ワイティティ監督自身だった。

原作小説をワイティティ監督に勧めたのは、
ユダヤ人である実母だったというのも興味深い。
記事




第92回 アカデミー賞


作品賞と監督賞に、韓国映画
『パラサイト 半地下の家族』。
英語以外の作品は、史上初だという快挙。
私的に作品賞は(ノミネート作品を全ては
観ていないけど観た中では)、『ジョーカー』、
『フォードvsフェラーリ』、『ジョジョ・ラビット』の
いずれかで、米国人が選ぶのだから、
『アイリッシュマン』や『ワンス・アポン・ア・タイム・
イン・ハリウッド』でもおかしくないと思っていた。
『パラサイト 半地下の家族』は、面白かったけど
途中から失速した感があって、まさか受賞するとは
思っていなかった。
でも、英語以外の作品が受賞したということは
日本映画にも可能性があるわけだし、
ハリウッドも変わってきたということだ。
新しい時代の到来なのかもしれないな。

--- 受賞結果(★印が受賞)---

【作品賞】
★『パラサイト 半地下の家族』
『フォードvsフェラーリ』
『アイリッシュマン』
『ジョジョ・ラビット』
『ジョーカー』
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
『マリッジ・ストーリー』
『1917 命をかけた伝令』
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』


【監督賞】
★ポン・ジュノ(パラサイト 半地下の家族)
マーティン・スコセッシ(アイリッシュマン)
トッド・フィリップス(ジョーカー)
サム・メンデス(1917 命をかけた伝令)
クエンティン・タランティーノ(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド)


【主演男優賞】
★ホアキン・フェニックス(ジョーカー)
アントニオ・バンデラス(ペイン・アンド・グローリー)
レオナルド・ディカプリオ(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド)
アダム・ドライヴァー(マリッジ・ストーリー)
ジョナサン・プライス(2人のローマ教皇)


【主演女優賞】
★レニー・ゼルウィガー(ジュディ 虹の彼方に)
シンシア・エリヴォ(ハリエット)
スカーレット・ヨハンソン(マリッジ・ストーリー)
シアーシャ・ローナン(ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語)
シャーリーズ・セロン(スキャンダル)


【助演男優賞】
★ブラッド・ピット(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド)
トム・ハンクス(ア・ビューティフル・デイ・イン・ザ・ネイバーフッド)
アンソニー・ホプキンス(2人のローマ教皇)
アル・パチーノ(アイリッシュマン)
ジョー・ペシ(アイリッシュマン)


【助演女優賞】
★ローラ・ダーン(マリッジ・ストーリー)
キャシー・ベイツ(リチャード・ジュエル)
スカーレット・ヨハンソン(ジョジョ・ラビット)
フローレンス・ピュー(ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語)
マーゴット・ロビー(スキャンダル)


【脚本賞】
★『パラサイト 半地下の家族』
『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』
『マリッジ・ストーリー』<Netflix作品>
『1917 命をかけた伝令』
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
『パラサイト 半地下の家族』


【脚色賞】
★『ジョジョ・ラビット』
『アイリッシュマン』
『ジョーカー』
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
『2人のローマ教皇』



女優賞の2本は観ていないので何も言えないけど、
男優賞は、主演、助演ともに納得。





2020.2.15

ラストレター



岩井俊二監督の映画最新作。
松たか子、広瀬すず、福山雅治、神木隆之介、
森七菜をメインに、庵野秀明、中山美穂、
豊川悦司らが脇を固める。

以下、ネタバレ含みます。
姉(美咲)の死を伝えるために、
妹(裕里)は、姉の高校の同窓会に
向かうのだが、会場で裕里は同窓生から、
美咲と間違えられてしまう。
おいおい、それはないやろ。
いくら似てたとしても(高校時代の
シーンもあるがそんなに似ていないし)、
25年ぶりやいうても、高校時代3年間
一緒に過ごしたんやから 本人か妹か分かるで、
と一発目の違和感。

間違えられた裕里は、間違えられたまま、
姉になりすまし(姉が生徒会長だったので)
壇上に上がり挨拶までする始末。
そして、会の途中で逃げるように帰ってしまう。
いやいや、あかんやろ、そんなことしたら、
っていうか、そんな奴おらんやろ。
と、二発目の強力な違和感。
あまりにもリアリティがない。

「これ、もしかしたら原作は少女マンガ?
それならええけど」などと思いつつ
話が進んでいくと、そんな違和感は
ぶっ飛んでしまった。

裕里の口から、「(姉の死を伝えに行ったけど)
とても言える雰囲気ではなかった」という
言い訳があったこともあるけど、
そもそもこの違和感を抱く設定がないと
この物語が成立しないねんな。
そして、物語の展開が、同窓会部分の
違和感を超えてきよった。

タイトルや予告編から、
昔送ったラブレターにまつわる、
薄っぺらいラブストーリーかと(失礼)
思っていたのだけど、適度にヘビーさもあり、
甘酸っぱさもあり、結局、結構泣きました。

25年 美咲を想い続けてきた乙坂(福山雅治)や、
美咲の娘の鮎美(広瀬すず)、
裕里(松たか子)の娘の颯香(森七菜)が、
人生の新たな一歩を踏み出すことで
希望と救いがある。
人の死には、周りの人の再生がなければね。

後悔もあるし、できればやり直したいことも
あるけど、どうにもならないのが人生。
人には、その人が生きてきた以外の
人生はないのだもの。

福山雅治が、ちょっとパッとしてない、
売れない小説家役で、
あんまり二枚目でないのがいい。
豊川悦司が、イヤな男の役で怪演。
出番は少ないけどインパクトを残します。

印象的なのは、乙坂が高校時代に、
美咲に恋に落ちる瞬間の描き方。
神木隆之介の表情がいい。

森七菜も可愛いけど、
広瀬すずは、可愛いというより美しいなぁ。
同級生でなくて良かったよ。(なんで?)

広瀬すずは、高校時代の美咲と
現代の美咲の娘・鮎美の二役。
森七菜は、高校時代の裕里と、
現代の裕里の娘・颯香の二役。
2人ともちゃんと演じ分けてたのも素晴らしい。

あと、見たことあるけど、
パッと誰だか分からない人が数人出てた。
エンドロールで名前(小室等、水越けいこ、
木内みどり、鈴木慶一)を見て、
ああーそうかと。
皆年取ったよな。(俺も)

以下、超ネタバレ。
ツッコミ所というか、
「それ、気づくやろ」と思ったこと。
死んだ美咲になりすまし、妹の裕里が
乙坂に手紙を書く。
(乙坂は、美咲ではなく裕里だと
最初から見抜いていたのだけど。)
その返事を乙坂は美咲の実家に送るもの
だから、美咲の娘・鮎美も美咲になりすまし、
乙坂に手紙を書着始める。
この時点で、乙坂は2人の美咲からの
手紙をもらうわけで、当然筆跡も違うだろうし、
話が微妙に噛み合わなくなってきているのだけど、
そのことには触れないのが、ちょっと不自然でした。

そんなこと以上に、ヤフー映画にボロクソに
書いてるレビューがあった。
普段は、自分が良かったと思った映画の
ネガティヴなレビューを読むと、あまり
良い気がしないのだけど、
その人のレビューは、全くそうだと同意できた。
だからといって、私の評価は変わらないのだけど、
こんなこと初めてだから、書いておく。
このレビュー


★★★★▲




1917 命をかけた伝令
1917




宣伝では、「驚愕の全編ワンカット映像」と
謳っているので、思わず三谷幸喜の
『大空港2013』を思い出した。
予習のために観る前にちょっとググると、
ワンカットに見えるが、実際は、
複数回の撮影を編集してあるとのこと。
なんじゃそら。

確かにワンカットのように観える映像だが、
完全に暗転するシーンもあり、
「全編ワンカット」は明らかに誇大広告だ。
ワンカットのように編集できたのは、
もの凄い編集技術の進歩があったかららしいが、
その編集も映画の演出の一部であって、
メインではないと思う。

さて、映画の方は1917年4月6日、
第一次世界大戦中のヨーロッパ(フランス?)。
若いイギリス兵士2人に重要な任務が
命じられる。
最前線にいる味方の部隊に、
作戦の中止の命令を伝令に行くのだ。
今から100年前だと、無線も発達しておらず、
電話線を切られると、命令は
兵士が手紙を持って直接届ける以外に
方法はなかった。
任務を受けた、スコフィールド (ジョージ・マッケイ) と
ブレイク (ディーン=チャールズ・チャップマン) は、
塹壕を出て、決死の覚悟で伝令へと向かう。

カメラワークのおかげもあって、
臨場感が凄い。
ちょっと『ダンケルク』を思い出した。

死体の臭いが臭ってきそうなぐらいの
リアリティ。
何が何でも伝令を届けなければならないという
使命が、スコフィールドを捨て身にさせます。
死んでしもたら、目的は達成できないけど、
死ぬのを怖がっていても、達成できない、
という究極の状態。

サム・メンデス監督が祖父から聞かされたという
話を元にしているそうで、もし本当にあったことなら、
スコフィールドの勇気は、
1,000人以上の味方を救ったことになる。

アカデミー賞10部門にノミネート。
残念ながら主要部門での受賞はなかったけど、
うち3部門で受賞(撮影賞、録音賞、視覚効果賞)。
英国アカデミー賞では、7部門受賞。
ゴールデングローブ賞ドラマ部門、作品賞、
監督賞受賞など、 53の賞、163部門で
受賞&ノミネートというのも頷ける仕上がりだ。。

IMAX で観た。
確かに迫力のある音声だが、
プラス 500円は、ちと高くないか。


★★★★▲







 ひとりごと