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つつみしんやのひとりごと
2013年 映画・演劇・舞台 etc

    
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2013.1.3

2012年のベスト映画

本来なら、年末に書きたいネタなのだが、

年を越してしまった。

2012年は、映画館で 65本の映画を観た。

これは、私の新記録だ。

作年、この 「ひとりごと」 に感想を書き、

★5つをつけた作品は、11本もあった。

その中で、記憶に残り続けるであろう 作品は、

『灼熱の魂』 と 『最強のふたり』 の2作品。

両作品とも、劇場で 2回鑑賞した。

それ以外の★5つ作品は、

『50/50』 『おとなのけんか』 『(500)日のサマー』

『珈琲とエンピツ』 『わが母の記』 『宇宙兄弟』

『ソウル・サーファー』 『メン・イン・ブラック 3』

『幸せへのキセキ』 。

残念だった作品は、トム・ハンクスとジュリア・ロバーツの

『幸せの教室』、リドリー・スコット監督の 『プロメテウス』、

そして、草刈民代&役所広司主演、周防正行監督の

『終の信託』 あたりだな。


今年もたくさん良い作品に出会えますように!





2013.1.4

レ・ミゼラブル

一昨日、大ヒット・ミュージカルを映画にした、

ヒュー・ジャックマン主演の 「レ・ミゼラブル」 を観てきた。

ヒュー・ジャックマンの他、ラッセル・クロウ、アン・ハサウェイら、

皆、歌上手い!

私はミュージカルは、あまり好きではないが、

本作は予告編を観て、ぜひ観たいと思った。

ミュージカルといっても、普通の映画のようにセリフを喋り、

時々歌ったり踊ったりするんだろうと思っていたら、

大間違い。

98%は、歌だったな。

それでも、皆、歌が上手いし、余計なダンスは なかったので、

私が好きじゃないミュージカルっぽさは なかった。

途中、強烈な睡魔に襲われ、数分間 気絶したが、

ストーリーはしっかり分かった。

(睡魔は、映画が面白くないからではなく、観る前に

食事をして満腹だったのと、ビールを1杯飲んだため。)

このミュージカルは、世界43カ国、21ヶ国語で上演され、

27年間で6千万人を超える人が観たというからスゴイ大ヒットだ。

そんな大ヒット作でも、舞台で観ることはないだろうから、

映画で観られて、ストーリーを知ることができて良かった。

観たかった理由は、アン・ハサウェイが出演しているからと

いうのもあったが、彼女の出番はあんまり多くなかった。

ラッセル・クロウは、もうちょっと痩せた方がええな。

ストーリーは、ドラマチックで素晴らしいので、

今度は、ミュージカルではない映画で観てみたい。


★★★▲☆





2013.1.16

007 スカイフォール

知らんかったけど、『007』 って第1作が、

1962年やってんな。

そう、昨年で50周年。

私と同じ歳だったのだ。

で、その生誕50周年記念作、シリーズ23作目となる

『007 スカイフォール』 を観てきた。

映画館で 『007』 を観るのは、

前々作、2006年の 『007 カジノロワイヤル』 以来、

(たぶん) これが2作目。

古いのは、テレビで、いくつか観たけどね。

なんとなく、「『007』 は、面白いもの」 という

先入観があって観たのだが、残念ながら、

期待したほどではなかった。

出だしのバイク・チェイスでは、(おっ〜!) っと

思ってんけどな。

こういう作品では、突っ込んではいけないのだけど、

(なんでスパイのプロフェッショナルが、

そこでドア閉め忘れんの?) とか、

いくつか、突っ込みたくなってしまいました。

あと悪役の ハビエル・バルデム も、

ちょっと迫力足らずで いささか中途半端な感じを否めない。

『ノーカントリー』 の方が、断然怖かった。

まあ、143分は長く感じなかったぐらいだから、

そこそこ面白かってんけど。

あと、オープニングのアデルの歌は良かった。


★★★▲☆


帰ってきて、テレビをつけたらちょうど、

ロンドンの英対外情報部 (MI6) 本部近くにヘリコプターが

墜落し、当初はテロかと思われたというニュースを

やっていた。

奇しくも 映画の中では、MI6 本部が爆破されるのだ。

なんか、ちょっとシンクロ。





2013.1.18

テッド

予告編とテレビCM を観て、

(これは絶対におもろいぞ) と思い、

公開初日の今日、観てきた。

友達のできない8歳の男の子ジョンが、

クリスマス・プレゼントにもらったテディベアに

命が宿り、親友になるところから映画は始まる。

そして、27年後。

ジョンは、35歳 (マーク・ウォールバーグ)。

テッド (テディベアの名前) も中年のおっさんに

なっている。

本作、R15+指定 (15歳未満入場禁止)という

ことからも分かるとおり、“大人向け” のドタバタ・コメディ。

下品で毒舌。

結構、笑った。

下品すぎて一部の女性は、眉をしかめるかも。

テディベアのイメージから、かわいいファンタジーを

期待して観たら後悔するで。

ストーリーは王道なのだが、なにしろ、テッドの

ギャグがおもろい!

色んな映画のネタも出てきて、映画好きなら、

きっと笑える。

分からないネタもあったのが残念やけど、

全部分かったら、かなりおもろいはず。

特に 『フラッシュゴードン』 を観ていたら、

面白かったやろな。

ジョンの恋人役は、ミラ・クニス。

(どこで見たっけ) と思っていたら、

『ブラックスワン』 に出ていた人。

途中、コンサートのシーンでは、なんと、

ノラ・ジョーンズが本人役で出演!

これは知らんかったけど、音楽ファンには、

うれしいね。

しかも、ムスタング (ギターの名前) 弾きながら、

『Come Away With Me』 歌ってたよ!

それにしても、テクノロジーの進歩はスゴイね。

ぬいぐるみが完全に生きてるように見えたもんね。

抱腹絶倒、大爆笑というわけではないのだが、

これぐらい楽しめれば、コメディとしては、大成功やな。

事実、アメリカでは大ヒットしたみたい。

そして、(分かりきった展開なのに) ちょっと感動もある。

字幕版で観たのだが、ぜひ、吹替え版 (テッドの吹替えを

有吉弘行) も観てみたい。


★★★★★





2013.1.26

今日は、久しぶりに 映画2本立てを観てきた。

今日の2本は、どちらも実話をベースにした社会派もので

テーマは重いが、素晴らしい作品だった。



声をかくす人

1本目は、『声をかくす人』。

原題は、『THE CONSPIRATOR』 で、「共謀者」 という意味だ。

監督は、ロバート・レッドフォード。

南北戦争後、リンカーン大統領暗殺事件で、

犯人グループの1人として逮捕され、

アメリカで 女性として、初めて死刑になったメアリー・サラットと

彼女の弁護士を務めたフレデリック・エイキンという実在の

人物の物語。

メアリー・サラットは民間人でありながら、

軍法会議にかけられる。

その裁判の内容が、理不尽極まりない。

弁護士のエイキンは、元々北軍の兵士で、

いわば、敵方の弁護をするはめになった。

最初は気乗りのしないエイキンも、そのめちゃくちゃな

裁判に怒りを覚える。

圧力に屈することなく、闘う姿は、素晴らしい。

ああ、あの時代のアメリカの弁護士でなくて良かった。

私にはできない、と思ってしまう。(なんやそれ)

奇しくも昨夜、『朝まで生テレビ』 で、

憲法改正の議論を観て、自分の無知さを痛感した

ばかりであったが、憲法を守ることの重要さと

難しさを 今さらながら、感じたのだった。

現代の民主主義や司法のしくみは、多くの過ち、

犠牲の上に築かれているのだと 、

改めて、そのありがたさが身にしみる。

映画は、理不尽で救いのないようにも観えるが、

その歴史は、けして無駄になっていないことが、

唯一の救いである。


エイキンを演じる、ジェームズ・マカヴォイ が良い。

邦題の 『声をかくす人』 の意味が良く分からなかった私は、

何か大事なことを見落としたかな?

ていうか、『声をかくす人』 ってどうなん?


ロバート・レッドフォード監督作品って、

観てこなかったけど、他の作品も観た方がええな、と思た。


★★★★▲


声をかくす人 Official Site




The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛

2本目は、リンカーン大統領暗殺よりは、

私にもリアリティのある、アウンサンスーチーの

物語だ。

(原語では姓名の区別なく 「アウンサンスーチー」 と

一語で表記するらしい)

リアリティがあるといったって、国際情勢や政治社会に

疎い私のことだ、せいぜいが彼女の名前と、

長年軟禁されていたということぐらいしか知らず、

その歴史的・政治的背景は皆目無知だ。

そんな予備知識のない私にも、本作は強烈で、

感動的だった。

もう、これが実話だと思うと、なんというか・・・

言葉がない。

本作、公開前にテレビでちょっと紹介していた覚えは

あるが、上映する劇場が少ないためか、

宣伝する予算がないためか、いつ公開されたのかも

知らんかった。(昨年7月21日に全国で 公開)

マスコミは もっとこういう映画を紹介して欲しいもんやな。

本作は、フランスの制作で 監督はリュック・ベッソン!

(あの 『レオン』 や 『フィフス・エレメント』 の監督ね。)

原題は 『The Lady』。

邦題については、サブタイトル (?) の 「ひき裂かれた愛」 は

余計やな。

『The Lady アウンサンスーチー』 で良かったやろ、と思う。

まあ、タイトルのことは、さておき。

以下、ちょっとネタバレなので、ご注意。


イギリスで平和に家族で過ごしていた、

ビルマ独立の父、アウンサン将軍の娘、

アウンサンスーチー。

ビルマで民主化を訴える学生が虐殺された時期に、

その母親の危篤を聞き、祖国に帰る。

彼女は、政治的指導者でも何でもなかったのに、

アウンサン将軍を敬愛する民衆は、彼女に

指導者として、立ってくれと懇願する。

まず、このあたりが凄かったね。

暗殺されたアウンサン将軍の血が流れているとは言え、

彼女を求める民衆と、それに答えられずには

いられない、人前で喋ったこともない女性が、

指導者になっていく姿は、圧巻だ。

いえいえ、彼女は指導者に 「なっていく」 のではない。

生まれながら、指導者なのだ。

その後の軍による、自宅軟禁、イギリスに住む、

家族 (夫と2人の息子) とも会わせず、

「心を折ろう」 とする軍の仕打ちは、

全くもって酷い。

しかし、彼女と彼女の家族は、

負けない。

不幸中の最大の幸いは、彼女が殺されなかったことだろう。

その背景も映画を観れば分かる。

途中、銃を向ける兵に素手で立ち向かっていくシーンが

ある。

ああ、ビルマの指導者でなくて良かった。

私にはできない、と思ってしもた。(なんやそれ)

自宅軟禁は、3回 合計約14年9ヶ月に及ぶというから、

それに屈しなかった精神力たるや、想像を絶する。

彼女を支えた夫も素晴らしい。


アウンサンスーチーを演じる、ミシェル・ヨーが、

素晴らしい。

1962年生まれとあるから、私と同じ歳。

(そんなんどうでもええがな)

マレーシア出身の女優だが、彼女しかこの役は、

出来ないだろうと思うえるほどの はまり役。

アウンサンスーチーについて、もっと知りたくなる

映画だった。


ラストに出てくる、彼女のメッセージが、強烈です。


そして、『声をかくす人』 で書いたことともダブルが、

日本の民主主義、20歳になったら参政権があることは、

けっして当たり前のことではなく、そこに至るまでに

多くの血が流された結果であることを

忘れてはならない、と思ったのでした。


★★★★★


The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛 Official Site





2013.1.28

東京家族

81歳の山田洋次監督の監督 81作目に当たる、

映画 『東京家族』 を観てきた。

昨日、日曜日の 20:40の回ということもあってか、

ガラガラだった。

金券ショップで、前売り券を700円で売っていたので、

購入したが、一体、どういうことやろか。

さて、感想はというと、残念ながら、期待したほどではなかった。

どこにでもありそうな “家族” を描いた、良い作品だとは、

思うのだが、146分は、やや長いと思ってしまったのと、

観ていて 気になることがいくつかあって、入り込めなかった。

瀬戸内海の小島から、年老いた両親が、

東京に住む子供たちに会いに出てくるという設定。

その両親に、橋爪功 と 吉行和子。

その長男を西村雅彦が演じているのだが、

母親は68歳という設定なので、ちょっとその長男は、

年を取りすぎている。

もしかしたら、40代半ばという設定かも知れないけど、

どう見ても50過ぎてるでしょ。西村雅彦って。

逆に母親を70代半ばということにしてしまえば、

気にならなかったのに。

予告編かテレビCM で、西村雅彦が、

「お父さんお母さん、いらっしゃい」 という場面があるが、

あれを見て私は、西村演じる男性の義理の父母だと

思っていた。

実の両親に対する挨拶にしては、いささか他人行儀な印象を

受けたのだが、私だけだろうか。

他にも次男 (妻夫木聡) の彼女 (蒼井優) が、

目上の人に向かって、「ありがとう」 という場面が、

2回あったが、(そこは普通 「ありがとうございます」 って

言うだろ) って思ったり、エキストラの演技が、

トゥーマッチだったり、不必要、不自然なやりとりがあったり、

何度か違和感を覚える場面があったのだ。

不必要、不自然だと感じた部分は、

山田監督の遊び心なのかもしれないが、

時々、邪魔だったね。

ネットのレビューを覘いてみると、その違和感は、

私だけではなく、多くの人が感じているようだった。

(もちろん、絶賛している人たちもいるけど。)

せっかくの良い作品が、そういう細かいことで

台無しになっているような印象受け、残念だった。

素晴らしかったのは、妻夫木聡 と 蒼井優。

それに、両親役の 橋爪功 と 吉行和子、長女役の

中嶋朋子。

ただ、妻夫木が一番良い演技を見せる場面も、

蒼井優が一番良い演技を見せる場面も、

予告編に使われてしまっている。

あれらを映画で初めて観たなら、もっと感動的で、

もっと良かったのにな、と思う。

それに、「母さん、死んじゃったぞ」 というセリフを

予告編やテレビCM に使っているので、

観客は、母親が死ぬことを分かっていて、

映画を観始めることになる。

それは、ないやろ。

いくら、『東京物語』 をモチーフにした作品だからと

言って、本作を観る全ての人が、『東京物語』 を

観ているわけじゃない。

映画は、予備知識がないほど、面白く、感動し、

衝撃を受けるものだと、私は思うのだが、

肝心なストーリーを予告編やCMのあのひと言で、

バラしているのだ。

予告編やテレビCM を作るのは、難しいのだろうが、

こういう体験は、初めてではないので、

映画関係者は、ホンマ考えて欲しいもんやね。


本作、 『東京物語』 をモチーフに制作されたと書いたが、

『東京物語』 は、1953年の小津安二郎監督作品で、

2012年、英国映画協会発行の 「サイト・アンド・サウンド」 誌が

発表した世界の映画監督358人が投票で決める、

最も優れた映画に選ばれた。

(同誌は10年ごとに映画50選を発表しているらしい。)

そちらも、ぜひ観てみたい。


★★★▲☆





2013.2.2

東京物語

上映中の山田洋次監督映画 『東京家族』 は、

小津安二郎監督の1953年の作品 『東京物語』 を

モチーフに制作されたらしい。

その 『東京物語』 は世界的にも評価の高い作品で、

『東京家族』 が、残念な感想だったので、

ぜひとも その元となった 『東京物語』 を観てみようと

DVD を購入した。

レンタルでも良かったのだが、アマゾンを覘くと、

新品が680円だったのだ。

(届いた商品は、「日本名作映画集」 というシリーズのもので

1800円 と書いてあった。)


時代はもちろん、家族構成などの設定も

『東京家族』 とは、違っている。

『東京家族』 で、妻夫木聡 演じた次男 (独身) は、

『東京物語』 では、戦死しており、残された嫁が、

重要な役となっている。

その嫁役の 原節子が、非常に良い。

夫が戦死して 8年も経っているにも関わらず、

その義父義母への尽くし方は、実の子以上というわけだ。

終わりの方で、笠智衆 演じる父親が、

「実の子よりも、あんたの方が、優しくしてくれた」

みたいなことを言う。

葬式が終わると早々に東京へ、戻ってしまう息子や娘達を、

私は、果たして、冷たいと言えるのか、

自分への問いかけを残さずにはいられない。

あるいは、その行為は冷たいのかどうかも。


古い映画ということで、蒸気機関車、屋根の上の物干し台、

電報、蚊取り線香、また、うちわの使い方など、

子供の頃の記憶を呼び起こすものも満載。

若々しい山村総 (長男役) も 見どころ。

当然ながら、『東京家族』 で感じた 違和感は、

ここにはない。


テレビで、山田監督が、

「『東京物語』 は、素晴らしい作品なので、

いくら真似をしたって構わない」 というようなことを、

言っていたのを聞いたが、確かにたくさんのシーンで、

『東京物語』 へのオマージュを感じた。

でも、

(そんなことせずに、自分流に作ればよかったのに) と

いうのが正直な感想だ。

山田監督の小津監督への思い入れや尊敬など、

何も分かってないのを承知の上で。





2013.2.4

拝啓、愛しています

評価が高く、良さそうな映画なので気になっていた

韓国映画 『拝啓、愛しています』 を観てきた。

月曜日の夜だからか、封切されてひと月以上経つからか、

観客は私を入れて4人だった。

『拝啓、愛しています』 という邦題のベタさ加減は、

どうなんだろう。

韓国語の原題は意味が分からないが、

英語の原題は、『LATE BLOSSOM』 とある。

直訳すれば 「遅い花」 だ。

原作は韓国の人気コミックらしい。

物語は、2組の年老いた男女を描く、

言ってみれば老人のメルヘンであり、ラブ・ストーリーだ。

これが、泣ける。

かなり、泣いた。

たぶん、二十歳そこそこで独身で観たなら、

こんなにも泣けはしないだろう。

良い映画だったが、少しだけ、腑に落ちないところが

あったのが残念。

というのは、ヒロインの女性がある選択をするのだが、

それがどうしても納得できなかった。

その後の展開も。

それと、途中流れる音楽の1曲の

ギターのフィンガー・ノイズの酷さが気になった。

全体的に音楽も良かったのに。

その2点を除けば、★5つだったのにな。

それにしても、こういう良い映画が東京でも

2つの映画館でしか、上映されないというのは、

哀しいな。


★★★★▲+


シネスイッチ銀座で今週金曜日まで。





2013.2.10

二郎は鮨の夢を見る
JIRO DREAMS OF SUSHI


予告編を観て、鮨大好きの私としては、

(これは観なきゃ!) と思ったドキュメンタリー映画、

『二郎は鮨の夢を見る』 を観てきた。

銀座の鮨店 『すきやばし次郎』 は、

『ミシュランガイド東京』 で5年連続、

最高の3つ星を受けている。

その店主、小野二郎 (87歳)さんは、世界最高齢の

料理人としてギネス認定も受けているという。

映画は、二郎さんと2人の息子、弟子たち、

築地の仲買人や、料理評論家の語る言葉で構成されており、

ドキュメンタリーによくあるナレーションや字幕はない。

(字幕は、人物、握り鮨の名前だけ)

ところで、この映画、アメリカ人のデヴィッド・ゲルブという人が

監督したものなのだ。

しかも、彼は、まだ20代の若者だ。

アメリカでは、昨年3月に公開され、興行収入250万ドル超

という ドキュメンタリーとしては、異例の大ヒットを遂げたらしい。

当初、日本での公開は未定だったが、約1年遅れで、

日本での公開となった。(2月2日公開)

映画の感想は、まず、美しいね。

特にクラシック音楽と鮨を握る映像の

コンビネーション。

鮨とクラシックという一見、合いそうにもないものが、

見事に調和していることに驚いた。


『すきやばし次郎』 のメニューは、お任せコースしかない。

握りが20貫で、3万円から (日によって値段が

変わるようだ)。

お酒を飲んだり、つまみを食べたりするタイプの

鮨店ではなく、純粋に握りだけを出す店のようだ。

なので、早い人はその20貫を 15分ぐらいで食べてしまうらしい。

15分で3万円・・・。

う〜む、勇気がいるのぅ。

しかし、映画を観ると一度は二郎さんの握った鮨を

食べてみたいと思わせられる。

彼の妥協なき姿勢、終わりなき挑戦には、

ただただ頭が下がる。

87歳にして、(どうしたらもっと美味しく出来るか)

そればかりを追求されているのだ。

7歳で、料理店に奉公に出たというから、

この道80年 (!) の大ベテランなのだ。

以前、テレビで 『すきやばし次郎』 のことを

やっていたのを観たことがある。

弟子が仕込んだ しめ鯖に二郎さんは NGを出し、

そのしめ鯖は、お客さんに出されることはなく、

まかないになっていた。

そりゃ、高くなるわな。

元々、最高級のネタを仕入れた上に、

納得しなければ、出さないのだから。

映画でも弟子が玉子焼きにOKをもらうのに、

半年ほどかかり、200枚失敗したという

エピソードが語られる。

あきらめない弟子もえらいね。

すぐに逃げ出す人もいっぱいいるらしいが、

そうだろうと思う。

あそこで修行したとなれば、

一流と認めてもらえるわけだが、

ただし、そのためには10年以上かかる。


次男が六本木に店を出し、独立する時、

「お前は (失敗しても) もう帰ってくるところはない」 と

送り出した。

もちろん、二郎さんは次男が独立してやっていける

力があると見込んでやらせたのだが、

彼は、その言葉を7歳の時に言われたという。

帰るところがないのだから、つらい事にも

耐えたという。

今どきの親は、「ダメだったら、いつでも帰っておいで」 と

子供を送り出す。

「そんなのは、ろくなもんにならない」 と言い切る。

一流になるには、覚悟と実践なのだな。


映画の中では触れられないが、二郎さんは通勤時、

夏でも手袋をしている。

映画でも8月に故郷の浜松に帰るシーンがあるが、

その時も手袋をされている。

手は大切な商売道具であり、傷つけると

仕事に支障をきたすからだ。

そこまで、ストイックな二郎さんなのに

一点、腑に落ちなかったのは、以前は、

タバコを吸っていたということ。

あんなに味に厳しい人なのに。

身体を壊して、70歳の時 (?) に止められたようだが、

どうも、二郎さんにタバコは似合わない気がした。


映画は、二郎さんの笑顔で終わる。

その笑顔が非常に印象的で素晴らしい。


★★★★☆


予告編



二郎は鮨の夢を見る 公式サイト





2013.2.13

ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日

その映像が美しいと評判の映画、

『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』 を

観てきた。

予告編を観て、これは3Dで観た方が良さそうだなと

思っていたが、時間が合わず 2Dで鑑賞。

2Dでも十分、オープニングからすぐ、

美しいと思ったが、漂流中のシーンは、

3D ならもっと迫力が あっただろうなと思う。

その美しい映像たちは、どこまでが本当に

撮影したもので、どこからが 作成された映像が

見分けがつかず、魅了された。

ちょっとやりすぎで 人工的な感じがしたところも

あったけどね。


さて、映画の中身はサブタイトルにあるように、

227日間、トラと太平洋を漂流する話だが、

原題は、『LIFE OF PI』 だけだ。

PI (パイ) というのは、主人公の少年のことで、

つまり 『パイの命』 という意味だ。

(映画を観れば分かるが、「LIFE」 は 「人生」 ではなく、

「命・生命」 と訳した方がピンとくる。)

邦題には、『トラと漂流した227日』 と付いているため、

トラと少年の漂流の映画だと思ってしまっていたが、

実際は、漂流が始まるまでに、結構時間がある。

まず、パイの生い立ちや、人間性を説明する必要が

あるからだ。

その背景があってこそ、漂流中の彼の行動が

理解できるという風になっている。


少々、ネタバレになるが、

漂流中にトラとの間に友情が芽生えるのかと、

想像していたら、とんでもない。

猛獣は、とことん猛獣で、そこにはメルヘンや

ファンタジーはない。

生きることの厳しさと希望を失わないことの

大切さを説いているかのようで、それだけでは、

ない深さが、この映画にはあるようだ。

そのことを宗教的背景云々と書いている人もいるし、

形而上のことと書いている人もいて、

どうも私は分かっていないようなので、

もう一度観た方が良いのかもしれない。

ただ、1箇所だけ、「ゲゲッ!」 と思ったところがあり、

一瞬で次の場面に変わってしまったので、

確信がないのだが、そこだけでも、もう一度観て確かめたい。

ちょっと現実的でないところもあるが、

フィクションとしては面白い、と思って観ていたら、

最後にちょっとした仕掛けがある。

(これ、いらんやん) と思ったが、後から考えると

そのことで深みを増しているようにも思える。


遭難した貨物船は、日本の船という設定で、

船が沈んだ原因を調べる日本人が二人登場する。

確かに少し日本語も話すが、日本人から見て、

胡散臭い日本人というのがちょっと残念だ。

あと、映画の出来とは直接関係ないのかも知れないが、

インド人の物語なのに登場人物が英語を話すというのは、

世界の人は気にならないのだろうか。

先日観た 『レ・ミゼラブル』 もフランスの物語でありながら、

英語だった。

例えば、日本の時代劇なのに言葉が英語や中国語だったら、

めちゃくちゃ違和感あると思うのだが。

ま、吹替え版というのが存在しているぐらいだから、

違和感を感じるのは、その舞台が母国の人だけかも

知れないね。


★★★★☆


アカデミー賞11部門ノミネート
ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 オフィシャルサイト


トラの名前は、リチャード・パーカーというのだが、
こんな元ネタがある。





2013.2.19

桐島、部活やめるってよ

アカデミー賞優秀賞を受賞した映画、

『桐島、部活やめるってよ』 を観てきた。

評判が良いのは知っていたので、興味はあったが、

劇場での上映は、既に終了していた。

先週末から一週間、品川プリンスシネマで、

日本アカデミー賞優秀賞作品上映会という企画

(一律1000円!) をやっていたので、観ることができた。

ちなみに、本年の優秀賞作品は、下記の5本。

 『あなたへ』
 『北のカナリアたち』
 『桐島、部活やめるってよ』
 『のぼうの城』
 『わが母の記』

この中で、あと観ていないのは 『のぼうの城』。

これまた評価は高いのを知っていたが、

なんとなく観そびれてしまった作品。

賞を取る作品を、必ずしも良いと思うわけでは

ないのだが、どうせなら5本とも観て、

自分の最優秀作品賞を決めたいものだ。

その他、主要部門受賞作品 (アニメを除く) で

観ていないのは、森山未來が、優秀主演男優賞を

受賞した 『苦役列車』 と、沢尻エリカが、

優秀主演女優賞を受賞した 『ヘルタースケルター』。

その2本も観てみたい。

森山は、『北のカナリアたち』 で助演男優賞も受賞

している。

確かにあれはかなり良かった。


さて、『桐島、部活やめるってよ』 に話を戻そう。

舞台は、高校2年生の2学期、マフラーを巻いている

生徒もいたので、12月だろうか。

高2の2学期といえば、(私の場合) 学生時代を通して、

一番楽しかった頃だ。

その、そろそろ進路のことも考えなければならない、

2学期後半、桐島という男子バレー部のエースが、

部活をやめるという噂が広がる。

説明くさいところは、一切なしに、

色んな生徒の視点から、物語を見せることで、

登場人物の人間性、人間関係、力関係、

桐島という生徒の存在感などが、伝わってくる。

そして、あるシーンで映画は最高潮を迎える。

私はその場面で、思わず拍手しそうになった。

素晴らしい。

エンディングは、観終わってから

ゆっくり染み込んで来る感じなのだが、

その最高潮に比べると、ちょっと

もの足りなかったかな。

情熱、嫉妬、羨望、意地悪、憧れ、友情、恋心、努力、

根性、あきらめ、理想、現実、閉塞感、自己顕示、

持って行き場のないどうして良いか分からない思い、

など、色んなものを感じることが出来る、

正にこれは青春映画だ。

若い出演者も全員良い。


★★★★▲





2013.2.20

桐島、部活やめるってよ その2

昨日観た映画 『桐島、部活やめるってよ』 は、

高校2年生の物語。

中心人物の一人、神木隆之介 演じる前田涼也は、

映画部の部員。

ダサい、オタクっぽい、パッとしない生徒として

描かれていて、非常にええ味を出している。


高校では、どうしても運動部の方が、華やかで、

もてて、文化部はダサい、という同意があるようで、

「スクール・カースト」 という言葉まであるようだ。

ちなみにウィキペディアによると、スクール・カーストの

一般的なイメージは、下記のようになる。

 恋愛・性愛経験 - 豊富なほど上位
 容姿 - 恵まれているほど上位
 ファッションセンス - 優れているほど上位
 場の空気 - 読めたり支配できたりするほど上位
 部活 - 運動系は上位、文化系は下位
 趣味・文化圏 - ヤンキー・ギャル系は上位、オタク系は下位
 自己像 - 自分探し系は上位、引きこもり系は下位


イケメンで、スポーツ万能で、女にモテて、彼女もいて、

おしゃれで、リーダーシップがあって、優しいのに、

ちょっとワル。

おまけに話が面白くて、成績優秀やったら、王様やのぅ。


さて、昨日、映画のあるシーンで、「拍手しそうになった」 と

書いたが、それは、その映画部の前田が、

学校の屋上で ゾンビ映画を撮影するシーンだ。

そのシーンに吹奏楽部の演奏するワーグナーの歌劇が

かぶさっているのだが、それはそれは素晴らしい。

かなり、心を つかまれました。

ネットのレビューを読んでいると、そのシーンで、

泣いてしまった人もいるほど。


私は高校時代、イケメンで、おしゃれで、モテモテで、

運動万能だった (嘘) が、登場人物の中では、

この前田に一番感情移入も できたし、理解もできた。

まあ、私も文化部だったからね。

アンサンブル部という名の器楽合奏部と、

ギターを弾いてバンドをやっていた軽音楽部に

所属していた。

そして、昨日、この映画を観て思い出したのだが、

もう一つ、1年生のときには、

映画研究部 (略して映研) にも所属していた。

1年生のときのクラスメート、H に誘われて

入部したような覚えがある。

1年生の夏には、H の監督する映画に出演したよ。

刑事役で。

今、観たら、イタイし、サムイやろな。

中学時代から、映画を観るのは割りと好きやったけど、

そんなにたくさん観ていたわけではないし、

マニアックに好きなわけでもなかったし、

映画を撮りたかったわけでも、出たかったわけでもない。

映画館から、前売り券を預かってきて、

学校内で何枚か売って、その売上と売れ残り券を

映画館に返しに行くときに、そこで上映している映画を

タダで観られる、というのが入部の動機だったような

気がする。(汗)

もしかしたら、それを誘い文句に部員を

集めていたのかも知れない。

仲間がいないと、映画なんか作られへんからね。

話が、『桐島、部活やめるってよ』 から それてしまったが、

実はそれていない。

本作、そんな自分の高校時代を思い出さすにはいられない、

大人の青春映画なのだった。


そして、テレビのバラエティ番組に出ているような、

アイドルが出てこないことも本作の良さとして

付け加えておきたい。

これは、重要。

『告白』 に出ていた女の子もいるが、

ほとんどは知らない役者で、皆、素晴らしい。

あと、予告編を観た覚えがないことも、良かった。





2013.2.21

つやのよる
ある愛に関わった、女たちの物語


予告編を観た時には、(これ、観よう) って思うのだが、

実際に公開されると、なんとなく観に行かない映画がある。

『つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語』

(長いぞ、タイトル) も そんな一本で、

1月26日に公開されて、そろそろ上映を終える劇場が

出てきている。

で、やっぱり観ておこうと思い、明日で終了という

劇場で観てきた。

主役は、阿部寛。

女優陣が、大竹しのぶ、風吹ジュン、小泉今日子、

真木よう子、野波麻帆、忽那汐里ら。

阿部寛の出演作は、最近よく観ていて、

昨年だけでも 5本も観ている。

(『聯合艦隊司令長官 山本五十六』 『ステキな金縛り』

『麒麟の翼』 『テルマエ・ロマエ』 『カラスの親指』)

色んな役を演じているわけだが、

本作は、私の阿部寛イメージには、ない役柄で、

中々の怪演だったと思う。

予告編を観て勝手に、阿部寛が複数の女性と

関係があるんだろうと想像していたら、

全然違った。

阿部演じる松尾は、妻と子供を捨てて、

女と駆け落ちして結婚し、大島に住み着いた。

その最愛の妻が病気になり、昏睡状態が続いている。

もう、いつ死んでもおかしくない状況だ。

松尾は毎日、自転車で病院へ通う。

その、自転車をこいでいる、後姿がスゴイ。

冒頭のその後姿で、恐ろしいと思った。

阿部は、この役のために10キロほど痩せたらしい。

ひょうひょうとした阿部ではなく、追い詰められた

ギリギリの男を演じている。

その妻、艶 (つや) は、松尾との結婚後も、

男性関係が、明らかに病的だった。

松尾は、その奔放な妻を許し、愛し続けてきた。

私ならそんな妻はイヤだが、そこまで、

好きになってしまうというのも、分からないではない。

女優陣の中では、小泉今日子の、

夫の愛人とのケンカのシーンが良かった。

(ネタバレ)
 ↓
松尾の元妻が、艶の病室を訪れ、艶の着衣を

はだけて、胸を見るシーンがある。

その乳房には、はっきりと歯形がついているのだ。

それを見て、元妻は涙を流す。

もう、このあたりは、お子様の私には、

どう解釈して良いか、わかりましぇん。


映画の宣伝文句に

「2013年、愛の常識が変わる」 とあったが、

そこまで強烈ではないにしろ、私は割と好きだな。

劇中に流れる (フライド・プライドの) Shiho の

歌も雰囲気があって良い。

ただし、エンディングに流れる クレイジーケンバンドの曲は、

だめでしょ。

ラストシーンを台無しにしている。

ケンさんの歌がダメなのではないよ。

曲調が合ってないし、そもそも、

クレイジーケンバンドはこの映画に合わないでしょ。

残念。


★★★★☆





2013.3.3

昨日は、勝手に 「アカデミー賞祭り」 と称して、

アメリカの第85回アカデミー賞受賞作、ノミネート作を

合わせて3本鑑賞した。

映画館を2軒ハシゴすることは、たまにあるが、

3軒ハシゴは、久しぶりだ。

50歳になって、夫婦50割 (ひとり1000円)で

観られるようになったので、妻と観に行くときは

毎回が映画の日のようでうれしい。

昨日 鑑賞した作品は下記の3本。

『フライト』
 主演男優賞など 2部門にノミネート

『世界にひとつのプレイブック』
 作品賞・監督賞・主演男優賞・主演女優賞・
 助演男優賞・助演女優賞など 8部門でノミネート
 ジェニファー・ローレンスが、主演女優賞受賞

『アルゴ』
 作品賞・助演男優賞・脚色賞・編集賞など
 7部門でノミネート
 作品賞、脚色賞、編集賞 3部門を受賞




フライト

デンゼル・ワシントンが アカデミー賞主演男優賞に

ノミネートされた作品。

監督は、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』、

『フォレスト・ガンプ』 などの ロバート・ゼメキス。


飛行機が高度3万フィート (約9000メートル) で

制御不能に陥り急降下。

あわや墜落という場面で、機長 ウィップ・ウィトカー

(デンゼル・ワシントン) の奇跡の操縦で、

墜落をまぬがれ、不時着する。

乗客乗員合わせて102人中、生存者は96人だった。

ウィップは、多くの命を救った英雄になるはずだったが、

墜落直後の検査で彼の血液中から、

アルコールが検出される。

飛行機が制御不能になったのは、

部品に原因があったということが分かり、

あの状況で不時着させるのは、ウィップ以外に

不可能だったということも立証されるのだが、

ここでウィップが酔っぱらっていたことになると、

彼は、刑務所行きだ。

犠牲者4人 (乗務員2人は条件が違う) の

過失致死を問われれば、終身刑なのだ。

パイロットの組合は、有能な弁護士を雇い、

ウィップ機長のアルコール検査の結果を

もみ消しにかかる。


いやいや、結構ドキドキハラハラしたね。

見所は2つ。

飛行機が制御不能になってから、

不時着するまでの緊張感!

ああ、パイロットになんて ならなくて良かったと、

心から思ったね。

そして、もう一つは、事故調査委員会の公聴会。

さて、ウィップは上手に嘘をつけるのか!?

138分を全く長く感じさせず、観る者を集中させる、

娯楽映画としては、十分に面白い作品であると同時に、

人間の弱さと強さ、勇気と尊厳といったものを

テーマにしているようにもみえる。

デンゼル・ワシントンは、主演男優賞にノミネートされるに

ふさわしい好演だと思った。

ラスト・シーンも好きだ。

ちょっと突っ込みたいところがないではないが、

全体の面白さで大目に見よう。


正直であることは、人を自由にするのだ。


★★★★★




世界にひとつのプレイブック

アカデミー賞で8部門ノミネート、

ジェニファー・ローレンスが主演女優賞受賞というと、

当然期待も高まってしまうのだが、やや期待はずれだった。


妻の浮気をきっかけに心のバランスを崩したパット

(ブラッドリー・クーパー) と、夫の死で心に傷を負った

ティファニー (ジェニファー・ローレンス) の

立ち直りの物語。

心に問題がある主人公の2人以外の登場人物も、

どうも変な人達に見えてしまい、誰にも感情移入が

できなかった。

ラストシーンのパットのセリフにあるように、

私たちは誰しもクレイジーな部分を持っているという

視点から観ると さもありなんって感じ。

役者さんは、皆良かった。

久しぶりに ロバート・デニーロ (パットの父親役)

を観れてうれしかった。

それにしても、最近、心や精神に問題がある人に

焦点を当てた映画が多い。

『フライト』 もある意味、そうだったし。

それだけ、実際に多いということだろうけど。


★★★★☆




アルゴ

アカデミー賞で、7部門にノミネートされ、

作品賞、脚色賞、編集賞の3部門を受賞した作品。

監督は、主演も兼ねるベン・アフレック。

これは、納得の作品賞やなぁ。

といっても、ノミネート9作品中 4つしか観てないけど。


本作、実話だというから驚き。

1979年にイランでアメリカ大使館人質事件が起きた。

アメリカに対する不満を爆発させたイランの過激派が、

アメリカ大使館を占拠し、52人を人質にした。

彼らの要求は、アメリカにいる前国王パーレビの引き渡しだ。

その占拠の際、大使館から6人のアメリカ人が、

脱出し、カナダ大使の私邸に かくまわれていた。

もし、過激派に見つかったら、処刑されるかも知れない。

アメリカは、なんとかその6人を救出させなければならないのだ。

そんな中、CIA のトニー・メンデス (ベン・アフレック) が

思いついた案が、6人をニセ映画のロケハンに来たカナダ人

映画クルーに仕立てて出国させるという作戦だ。

  ここから先は、ネタバレも含むので、
  観たい人は観てから読んでね。

なんとこの荒唐無稽な救出作戦が、実際に行われ、

6人は無事救出された。

当時、カーター大統領は、この作戦のことを発表すると、

残りの人質の命も危ぶまれることから、

作戦のことを一切封印し、カナダが6人を救ったことにした。

その時にそのことを発表した方が、

カーターにとっては、(政治的に) 有利だったにも

関わらず、極秘にしたのだ。

そして、1997年に この極秘が解除され、

事実が発表された。


何よりも、「実話」 というのは強いね。

これ、「フィクションです」 っていう映画だったら、

「そんなアホな〜」 「そんな、うまいこと行くかいな〜」 と

思っただろうが、事実は小説より奇なり。

ホンマに外交官にも CIAにもならんで 良かったと思ったよ。

私は、その事件の記憶はないけれども、

なんとなく、人質は助かったのだろうと

勝手に思い込んで観ていた。

なので、途中、(もしかしたら、これ、助かれへんの?) と

思うほど、ドキドキハラハラした。

いや、助かることを知っていたとしても、

ドキドキハラハラするよ、これは。


イランに、文字通り命を賭けて乗り込んでいる、

トニー・メンデスのもとに、出国前夜、アメリカ本国より

作戦の中止の決定が言い渡される。

「6人の救出は他でやるから、お前一人で帰って来い」 と

いうわけだ。

一晩 考え抜いた末、トニーは命令に背き、

作戦決行を決断する。

これ、事実なん?

こんなんスパイ映画やで。

007やで。

緊張感バリバリの中、空港で最後の関門を

通り抜ける。

過激派側は、その脱出した6人の情報を、

今、まさにつかもうとしている。

その情報をつかまれたら、飛行機には乗れない。

6人、いやトニーも含んで、7人とも拘束されてしまう。

飛行機が離陸するギリギリまで、その緊張は続く。

スリリングこの上ない。

いやぁ、素晴らしいね。


しかし、イランから観ると、これは反イラン的な映画で、

アメリカのプロパガンダだということになる。

で、この事件を イラン側から描いた映画も制作されることに

なったらしい。

そちらも是非 観てみたい。

当然、イラン人から観ると全然違う世界なのだろうから。


観終わった時、ふと 北朝鮮の拉致問題も

いつか映画になれば良いなぁと思った。

なぜなら、その時は きっと全ての拉致問題が

解決された時だろうから。

早く、その時が来れば良いと願う。


『アルゴ』 に話を戻そう。

最後におまけのように、トニーが別居中の息子に会いに行く

シーンがある。

『フライト』 でも、ウィップ (デンゼル・ワシントン) が、

最後に息子との関係を取り戻す。

『世界にひとつのプレイブック』 も家族のつながりが

重要な要素だし、アメリカって、家族を描くのが

ホンマに好きなんやなぁ、と思う。

特に、父と子ね。

これは、「アメリカは強い父である」 とか

なんか象徴的なことなのかなぁ。


★★★★★


そうそう、3作品とも音楽 (挿入歌) も良かったよ。

『フライト』 では、Dave Mason、Marvin Gaye、

Jeff Beck Group、Joe Cocker、The Rolling Stones、

Traffic、John Lee Hooker など。

『世界にひとつのプレイブック』 では、

Stevie Wonder、Les Paul & Mary Ford など。

『アルゴ』 では、Booker T and the MG's、

Dire Straits、The Rolling Stones、Van Halen など。





2013.3.9

日本アカデミー賞

昨日、「第36回日本アカデミー賞」 の授賞式が

行われた。

主な受賞は、下記のとおり。

最優秀作品賞  『桐島、部活やめるってよ』
最優秀監督賞  吉田大八 (桐島、部活やめるってよ)
最優秀脚本賞  内田けんじ (鍵泥棒のメソッド)
最優秀主演男優賞  阿部寛(テルマエ・ロマエ)
最優秀主演女優賞  樹木希林(わが母の記)
最優秀助演男優賞  大滝秀治(あなたへ)
最優秀助演女優賞  余貴美子(あなたへ)

上記の作品は、全て観たので、

(そうか〜) って感じ。

作品賞、監督賞、主演女優賞は、同意。

助演男優賞は、私的には 『北のカナリアたち』 の

森山未來やねんけどな。


授賞式で、樹木希林が 「全身がんです」 と

告白したらしい。

報道では、深刻な事態というわけでなく、

本人は、余裕の表情とあった。

まだまだ元気で素晴らしい演技を見せて欲しい。





2013.3.11

昨日は、映画を2本鑑賞。

たまたま時間の合ったものを観たが、

奇しくもどちらも 独身女性たちの物語。

アメリカのコメディと、日本のヒューマンドラマという

対比になり、面白かった。




バチェロレッテ あの子が結婚するなんて!

高校時代の仲間、独身女性 4人の物語。

4人のうち、一番結婚しそうになかった、

太ったベッキーの結婚が決まり、

ショックを受ける3人。

結婚前夜のパーティで大はしゃぎし、

新婦のドレスを破ってしまう。

さて、式まで数時間しかない。

さあ、どーする?

という、ドタバタ喜劇。

それなりに笑えたが、R15指定とある通り、

ちょっとエゲツナイ表現もあり、ドラッグの使用もあり、

何より下品。

少し前に観た 『テッド』 も下品だったが、

『テッド』 は、主役が男なので笑えた。

女性の下品さは、笑えるところもあるが、

ちょっと引いてしまうところもある。

これは、男女差別か。

それにしても、アメリカ人って、本当に結婚前夜、

あんな風にバカ騒ぎするんだろうか。


★★★☆☆




すーちゃん まいちゃん さわ子さん

益田ミリという人の 4コマ漫画が原作らしいが、

知らなかった。

すーちゃん、まいちゃん、さわ子さんという3人は、

かつて アルバイト先で知り合って以来の友人。

その3人を 柴咲コウ、真木よう子、寺島しのぶが

演じる。

完全に女性目線の映画で、登場する男性は、

無神経な男、身勝手な男、ハッキリしない男など、

どれもイマイチ。

でも、女性から見ると実際そうなのかも知れない。

普通の独身女性の普通の日常を描いた物語で、

心の中のつぶやきが、笑える。

笑えるというのは、自分にも覚えがあるからだろう。

そういう意味では、性別を超えた共感を呼ぶかもしれない。

あるいは、私が中性的なのか。

その心の中のつぶやきも、前半と後半とでは

違ってくる。

何気ない日常こそが人生で、

その中にこそ、喜怒哀楽があり、幸福もある。

そして、普通や平凡と言われるものの一つ一つの

人生は、どれ一つ、誰一人として同じものはなく、

「普通」 などというものは、ないのだと思う。

ドラマチックな事件などなくてもね。


すーちゃん、まいちゃん、さわ子さん3人とも素晴らしく、

キャスティングの時点でこの作品は成功している。

特に 柴咲コウ、真木よう子の2人が良い。

(寺島しのぶは、出番が少ない。)

真木よう子は、最近よく見るようになったが、

ちょっと冷めた強がりな感じの中に、

独特の魅力があり、好きだな。


3人とも幸せにね。


★★★★★





2013.3.19

王になった男

イ・ビョンホン主演の映画 『王になった男』 を

観てきた。

朝鮮の時代劇と聞くと、あまり興味が沸かないのだが、

韓国のアカデミー賞にあたる大鐘賞で、

史上最多の15部門で受賞し、日本でも

評価が高いので気になっていたのだ。

舞台は、17世紀の朝鮮。

実在した朝鮮15代目の王・光海 (ヘグン) の

影武者の物語。

影武者は、フィクションだろうけど。

イ・ビョンホンは、この王と影武者の二役をこなしている。

朝鮮王朝の歴史を知らなくても 131分、

全く長く感じることなく楽しめた。

前半は、かなり笑えたし、後半は、泣けたね。

そして、役者が皆良い。

何よりもイ・ビョンホン。

本物の王と偽者の王を演じ分けるのは、

難しいだろうが、見事だった。

脇役の人たちも素晴らしい。

ストーリーは、ベタだといえばそれまでだが、

偽者が本当の王のあり方を見せてくれるあたりは、

素晴らしい描き方だった。

登場人物の名前が覚えられず、

細かい点が分かりにくかったのが、残念。

それがなければ、間違いなく★5つなのだが、

ちょっとマイナスだ。

少しでも予習していたら、きっと違っただろう。

これからご覧になる方は、この人物相関図だけでも

見てからにしてください。
   ↓
人物相関図


★★★★▲





2013.3.20

中村勘九郎襲名記念
赤坂大歌舞伎


一度は、観てみたいと思っていた歌舞伎を

初めて観てきた。



赤坂ACTシアターで、中村勘九郎襲名記念として

上演されている 『怪談乳房榎 (かいだんちぶさのえのき)』 だ。

3月8日から24日までの公演、全席売切れのようで、

今日は、立ち見も結構いた。

早めに購入していたので、前から15列目と

まあまあの席。

出演は、中村勘九郎、中村七之助、中村獅童ら。

歌舞伎というと、料金もそこそこ高いし、

古典芸能、伝統芸能というイメージで、

何だか難しそうに思っていたが、

全然そんなことなかった。

もし、話が理解できなかったらもったいないと思い、

イヤホンガイド (650円) を借りて鑑賞したこともあり、

とても分かりやすかった。

イヤホンガイドなしでも、8〜9割理解できると思うが、

昔の言葉遣いなどの解説があったおかげで、

より分かりやすかった。

結構、笑えて面白かったし、歌舞伎はとても大衆的な

エンタテイメントなんだと、認識を改めた。


『怪談乳房榎』 は、勘九郎、七之助の父、

亡き勘三郎が何度も上演した演目らしい。

勘九郎が、3役を早替わりで演じるのが見所で、

本当にビックリするほどのスピードで着替えて

出てくる。

見事だ。

そして、キャラクターが全く違う3人を演じ分けるのも

素晴らしかった。

私は、元々歌舞伎に興味がなかったので、

勘九郎のことも、2009年に観た映画 『禅 ZEN』 で

知った。

映画で 道元禅師を演じた勘九郎 (当時は勘太郎) の

立ち振る舞いの美しさが、彼が歌舞伎役者であるからだと

知り、歌舞伎ってすごいんやと思った覚えがある。

その勘九郎の (しかも襲名記念) 公演を

ようやく観ることが出来たわけだ。

勘九郎は、素顔を見るより、メイクした顔、演技中の顔を見ると、

お父さん (勘三郎) によく似ていると思った。

あと、中村獅童は、テレビドラマで見るより、

断然 歌舞伎の方が良いと思った。


そうそう、あの 「中村屋!」 とか言う掛け声も

初めて聞けた。

ホンマに言うねんな。

終演後、席を立って会場を出口向いて歩いていたら、

前を歩いていた3人組が、

「○×さんは、中村屋より 木村屋の方が、好きなんでしょ?」

と話していた。

何気なく聞いてたら、

あんぱんの話やった。








2013.3.28

ひまわりと子犬の7日間

特に嫌いなジャンルの映画でもないし、

堺雅人と中谷美紀が、出ているのだ。

映画好きの私なら 観たいと思うだろうが、

この映画 『ひまわりと子犬の7日間』 のことを

知った時、正直、観たいと思わなかった。

それは、この映画が保健所で殺処分にされる

ペット (犬) にまつわる映画だからだ。

以前にも書いたが、私は、子供の頃に

犬の飼育放棄をし、殺処分にした苦い思い出がある。

もう38年も前のことなのに、

いまだに時々思い出すし、後悔とか罪悪感とか、

簡単に言い表すことのできない、複雑な思いを持ったままだ。

そんなわけで、目をそむけたくなる映画だったわけだな。

でも、何度か予告編やCM を観るうちに、

自分がこの映画から逃げていることに気付き、

これは観なければならない、と思うに至った。

そうなると もう義務感のようになってしまい、

楽しい映画鑑賞ではないのだが、

「とにかく観なあかん」 ということになってしまったのだ。


さて、いつ観に行こうかと考えていた数日前のこと、

ある人の紹介で、S さんという人と会うことになった。

S さんは、今は会社勤めをされている、

40代前半の男性で、ペットの殺処分

(犬猫あわせて年間20万頭、使われる税金は

年間57億円) の現状をなんとかしようと、

会社を辞めて、殺処分になるペットを減らすための

社団法人を立ち上げようと、準備中だった。

その資金集めのために色んな人と

会われているようだった。

何の話か知らずに S さんと会った私は、

件の映画 を観なきゃと 思っていた矢先だったので、

ペットの殺処分を減らすと聞いて、

その絶妙な タイミングに ちょっと驚いた。

S さんの話を聴き、すごく純粋な情熱を感じたが、

私は、彼に協力する気にはならなかった。

その理由は、うまく書けないけど。


ペットが殺処分される理由、保健所に

持ち込まれたり、引き取られる理由の1位は、

飼育放棄だそうだ。(46%)

2位は、飼い主の高齢化で、

急速に増えているらしい。(42%)

飼いたいから、飼い始めたのに、

面倒見切れないからと言って、飼育放棄するのも、

それを引取り手がないからといって

殺してしまうのも 人間のエゴだ。

そして、そもそも、動物をペットとして飼うことも

人間のエゴだ。

育てる人がいて、捨てる人がいて、

殺す人がいて、可哀想と言う人がいて、

仕方ないだろと言う人がいて。

全部、人間が勝手にやっていると思うと、

一体、私たちは何をしているんだろうと、

いう気がしてきた。

そんな思いを抱いたまま、昨日、

映画 『ひまわりと子犬の7日間』 を観てきた。


映画は、私が考えたこともない観点から

描かれていた。

それは、殺処分をする保健所の職員と

その子供という視点で、

命のことを扱っていたのだ。

私は、映画を観るまで、殺処分が事務処理のように

行われるかの印象を持っており、その職務に就く人の

苦悩など想像すらしたことがなかった。

堺雅人演じる保健所職員の彰司は、

なんとか、殺処分になる犬を救おうと、

里親を探すが、保健所で預かれる期間は、

7日間と決められており、その間に里親が

見つからない場合は、殺処分となる。

彼は勝手に期間を延長し、たびたび上司に

叱られている。

父親の仕事が、犬を殺すことだとは知らない、

彰司の11歳の娘は、ある日、彰司に

「里親が見つからなかった犬はどうなるの?」 と

質問する。

ついに、この日が来たかと覚悟した彰司は、

本当のことを娘に話す。

娘は、自分の父親が犬を殺しているということを、

とうてい受け入れられない。

そんな感じで物語りは展開していくのだが、

最後は、ハッピーエンドとなっている。

実話を基にしているとのことだが、

どこまでが実際にあったことなのか、

原作を読んでみないと分からない。

映画は、ハッピーエンドだが、

現実は、やはり殺処分は後を絶たないわけで、

そこには ハッピーなどない。


この彰司のモデルになった保健所職員の方が、

テレビに出ていたのをチラッと見たが、

「飼育を放棄した飼い主は、殺処分に立ち会って

欲しい」 と話されていた。

もし、12歳の私が、自分が飼っていた犬が

今から目の前で殺される、という現場に立ち会ったなら、

心を入れ替えて、飼い続けることにしたのだろうか、

それとも、他人や環境のせいにして、

やっぱり飼えないと、最期を見届けたのだろうか。

耐え切れず、その場から逃げ出しただろうか。

命のことも生死のことも ろくに分かっていなかった子供に、

命の重さと自分の甘さを、目の前の現実で 教え込む、

最高の機会だったかもしれない。

いっそのこと、小学校の社会見学にしたらどうだろうかと思う。

反対する人、多いやろけど。


考えてみると、私のその犬が本当に殺処分になったか

どうかは、分からない。

限りなく可能性は低いが、もしかしたら、

引取り手が見つかったのかもしれない。

例えそうだったとしても、私が、殺処分を許可したことには、

変わりない。

その犬の前にも飼っていた犬がいたのだが、

数ヶ月飼ったある日、逃げ出して帰ってこなかった。

あいつも、もしかしたら捕らえられて、

処分されたのかもしれないと、今ごろになって、

気がついた。


★★★★☆





2013.4.2

クラウド アトラス

予告編を観て、

(これは観たいけど、期待したらあかんな) と

思った映画 『クラウドアトラス』。

何で、(期待したらあかん) と思ったかというと、

予告編のコピーに

「今、<人生の謎>が解けようとしている。」

という言葉があったからだ。

その言葉から、昨年観てがっかりだった、

『プロメテウス』 の 「<人類の起源>云々」 を

連想してしまったのだ。

なので期待せず、昨日、観てきた。

(期待せずに観れば、良いかもしれない) という期待が

秘かにあったことは、否定しないけど。


172分という長さを感じないほど、

引き込まれたが、感想はひとことで言うと、

「もう1回観な」。

なんか、私のキャパに収まりきれず、

色んなものがこぼれ落ちているような体験なのだ。

本当に理解するには、4〜5回観ないと

いけないのかも知れない。

と言っても、難解なわけではない。

19世紀から 24世紀への6つの異なる時代の

物語が平行して進むので、最初は繋がりが分からず、

ちょっと混乱しながら観ていたが、いつのまにか、

その混乱は消えていた。

といっても、よくよく理解できたわけではない。

そして、終わり間近のあるシーンで、

訳も分からず泣けてきたのだ。

何か、重要なメッセージを、受け損なったような

気がして、もう一度観ないと、と思っている。

ただ、もう一度観るには、(172分なので) ちょっと

覚悟がいるだけ。


「クラウドアトラス」 というのは、劇中で作曲される、

6重奏。

6つの物語とかけているわけだ。

トム・ハンクス、ハル・ベリー、ヒュー・グラント、

スーザン・サランドンら出演者のほとんどが、

複数の役を演じており、エンド・クレジットで、

誰が誰を演じていたか流れるのだが、

中には全く気が付かなかったものもあり、

それを見るだけでも楽しい。

もう一度観たら、★の数が増えるかもしれないけど、

今のところは。
  ↓

★★★★☆





2013.4.10

シュガーマン 奇跡に愛された男

アメリカでは、全く売れなかったのに、

南アフリカでは、ローリング・ストーンズや

ボブ・ディランより有名だという、歌手ロドリゲスの

ドキュメンタリー映画。

アカデミー賞 長編ドキュメンタリー賞など、

世界で たくさんの賞を受賞した作品。

実は、先週、観に行ったのだが、

映画が始まって、10分ほどで強烈な睡魔に

襲われ、ほとんど気絶状態で (たぶん) 40〜50分。

85分の短い映画なので、半分以上、

見逃したことになる。

で、やっぱり、ちゃんと観たいので、

今日、再び観に行ってきた。

す、すると、やはり始まって10分ほどで、

同じように強烈な睡魔が・・・。

参ったね。

すごく観たいのに、観ていられないって。

こういうこと、1年に1回あるかないかなのだが、

2回続けてとは、ホンマに参った。

今日は、先週より早く復活したものの、

やはり30分以上は、見逃した感じ。

肝心なところを観ていない気がする。

う〜む。

もうそろそろ、上映は終わってしまうのだが、

どうしたものか。

ちゃんと観たい。


シュガーマン 奇跡に愛された男 公式サイト





2013.4.13

ライジング・ドラゴン

ジャッキー・チェン主演、最後のアクション大作。

19:00からの回を渋谷の劇場で観たが、

公開初日の割には、空いていたな。

もう、来年で還暦なのだから、

そろそろアクションからは、退いた方が良いのだろう。

といっても、本作でも相変らずの体当たり演技は、

健在で、ラストは映画ではなく、ジャッキーの

コミットというか心意気に感動してウルウルしてしまった。

誤解のないように書くが、映画は感動するような

内容ではなく、あくまでも娯楽作品。

ちょっと、歴史を皮肉っているようにも取れるけど。

まあ、それにしてもスゴイ人だ。

若い頃のアクションと比べて、なんだかんだ

書いている人もいるが、比べたらあかんやろ。

来年還暦なのだから。

58歳でこの撮影に挑んでいるだけで、十分でしょ。

ということで、★ひとつ分は、ジャッキーに。


★★★★▲





2013.4.16

君と歩く世界

予告編を観て良さそうだなと思い、昨日、

フランス映画 『君と歩く世界』 を観てきた。

感想は・・・。

う〜〜ん、だな。

予告編が 素晴らしすぎて、だまされたな、

って感じ。

国民性の違いでしょうか、共感できないところが、

いくつかあって、(なんで、そこでそうなるの?) と

ささいなことやけど 疑問がわいてしまった。

事故で両足を失くしたシャチの調教師ステファニーと、

5歳の子供を抱えるシングル・ファーザー、

アリの物語。

このアリっちゅう男が、どうも自分勝手に見えて

しょうがない。

足を失くしたステファニーに、なんの躊躇もなく、

「(海で) 泳ぐ?」 って訊いてしまえるあたりは、

障害者を全く差別せず、(良い意味で) 気を

遣いもしない、『最高のふたり』 のドリスを

思い浮かべないでもないが、ディスコで女ひっかけて、

ステファニーを置いていく様を見たり、

気にいらないからと、犬を蹴飛ばしたり

するところを見ると、アリの場合、ただの無神経か

思いやりがないだけに見えてしまう。


ステファニーを 『エディット・ピアフ』 の

マリオン・コティヤール演じているので

期待したが、少々肩透かしでした。

予告編を観て、多くの人が足を失くしたステファニーの

再生の物語と思ってしまったようだが、

主役は、ストリート・ファイター、アリだった。

原題 『DE ROUILLE ET D'OS』 は、

「錆と骨」 という意味だそうだ。

これは、ボクシング用語で、パンチを受けて

唇が切れた時の味のことらしい。

『君と歩く世界』 なんて、とんでもない、

イタイお話なのだった。


音楽は、良かったよ。


★★★☆☆





2013.4.18

のぼうの城

今年の日本アカデミー賞、優秀作品賞、

優秀監督賞 受賞作のうち、ただ1本、

見逃していた 『のぼうの城』 を 昨日、やっと観てきた。

まあまあ、面白かったとは言え、あまりリアリティはない。

いくら 戦とは言え、人の首をはねたり、

焼き殺したりして、あんなに軽いはずがないだろう。

史実を基に作られたとのことだが、

そういう意味では、完全に娯楽作品。

結構、コミカル。

本作、2011年9月に公開予定だったが、

「水攻め」 のシーンがあり、これが津波のようなので

東日本大震災による被害に配慮し、1年以上、

公開を延期し、2012年11月に公開されたとのこと。

確かに、そのシーンでは、ちょっと ドキッ としたな。

出演は、野村萬斎、佐藤浩市、榮倉奈々、

山口智充、成宮寛貴、上地雄輔、山田孝之 ら。

ほとんどの出演者が素晴らしかったが、

私は、どうも、石田三成を演じる上地雄輔が、

気になった。

悪くはないのだが、何かがイマイチ。

で、気がついたのだが、彼はバラエティ番組に出て、

バカキャラを演じたため、その印象がぬぐい切れず、

2万を率いる軍の総大将としては、

貫禄・威厳といったものに 欠けるのだな。

ああ、やっぱり、役者はバラエティになんぞ、

出るものではない。

と、思った後で 気がついたのだが、

柴崎和泉守 (しばさき いずみのかみ) という

武士を演じる 山口智充は、お笑い芸人なのに、

そのバラエティくささというか、軽さがないのだ。

出てきた最初には、ぐっさん と気がつかないほど。

戦闘シーンも結構な迫力。

何でしょう、この違い。

あと、残念ながら、成宮寛貴も、あの役には、

ちょっと あってなかったな。

なんか、軽い。

一方、主役、成田長親 (なりた ながちか) を演じる、

野村萬斎、正木丹波守利英 (まさき たんばのかみ

としひで) を演じる、佐藤浩市は素晴らしいね。

あと、甲斐姫を演じる、榮倉奈々も。

物語は、戦国持代、わずか500人の兵隊で

2万人もの敵に戦いを挑んだ “のぼう様” こと、

成田長親の実話。

といっても、かなり創作が含まれている印象。

冒頭部分のセリフがほとんど聞き取りにくかったのは、

なぜだろう。

何言うてるか、ほとんど分からんかったのが、悔しい。


★★★★☆





2013.4.21

今日は、人間の心・精神を扱った、

シリアスなヒューマンドラマを2本鑑賞。



偽りなき者

カンヌ国際映画祭で、マッツ・ミケルセンが、

主演男優賞を受賞した、デンマークの映画、

偽りなき者』。

ひとことで言うなら、「怖い」 映画だ。

デンマークの田舎町、言ってみれば閉鎖的な、

コミュニティの中でそれは起こる。

幼稚園に勤めるルーカスは、親友テオの娘クララ

(5〜6歳) の作り話で、少女への性的虐待の

犯人にされてしまう。

クララが、なぜそんな嘘をついたのか、

そこまでの話の展開は、非常に丁寧で分かりやすい。

その作り話を聞いた、幼稚園の園長は、

クララを信じてしまう。

幼稚園としては、大問題だ。

とたんに、村中にその噂は広がり、ルーカスは、

変質者の烙印を押されてしまう。

デンマークには、

「子供と酔っ払いは、嘘をつかない」 という諺が

あるらしい。

また、実際に 1997年に男性の幼稚園教諭が、

20名に及ぶ幼稚園児に対する性的な虐待で

逮捕されるという事件があったらしい。

原題の 「JAGTEN」 は、英語の 「HUNT」、

つまり 「狩り」 のことだ。

村の男たちは、鹿を狩りに行く。

その狩りと、変質者ルーカスを魔女狩りのように

差別することをかけているんだろう。

村人たちが、ルーカスを差別し始める。

彼に暴力をふるい、飼い犬を殺す者まで出てくる。

冒頭に 「怖い」 と書いたのは、

その集団ヒステリーの発展の仕方。

あっという間に、変質者にされてしまい、

差別を受けることになる。

田舎の小さな村、共同体で、助け合って、

生きている人たちは、そこに異分子というか、

危険な人間が現れると、徹底的に排除しようと

するのだろう。

スーパーでの買い物も出来なくなる。

ルーカス本人だけではなく、その息子さえも。

観るべきは、そんな差別の中にあっても、

毅然とした態度を続けるルーカスの強さ。

私だったら、早々にどこかに引っ越してしまいそうだ。

そして、その嘘をついた少女までをも、

赦す大きさだ。


ここから、ネタバレ注意。

1年後、疑いが晴れたのか、時間が解決したのか、

ルーカスは、村人との関係を取り戻している。

そこで、ルーカスがクララを抱き上げるシーンがある。

私は、ドキドキしてしまった。

そんなところを村人に見られたら、何を言われるか、

分かったもんじゃない。

私なら、クララには近づかないようにするだろう。

でも、ルーカスは違った。

全く、大きな人なのだ。

彼の心には、一点のやましさもない。


ラスト・シーン、狩りに出たルーカスは、

何者かに撃たれる。(弾ははずれるけど)

そのことを、実際にルーカスを赦していない、

村人の仕業だという解釈と、ルーカスの妄想だと

する解釈と分かれているようだ。

私は、後者。

ルーカスの受けた、差別、人権侵害があまりにも

酷かったので、トラウマになっており、

銃声を聞いた瞬間、自分が誰かに

撃たれたんじゃないかと反応したように感じた。

そんな風になるぐらい、許しがたい、

大人のイジメを受けたのだ。


救いは、村人に差別を受ける中、

100%ルーカスのことを信じる友人と息子が

いること。

親友のテオが、和解の手を差し伸べてくること。


前半は良かったが、後半、あまりにも話が飛び、

よく分からなかったのが残念。

でも、自分が登場人物それぞれの立場だったら、

どうだろうと思うと、考えさせられる映画だ。


★★★★☆




ザ・マスター

戦争から帰還した、フレディは アルコール依存症。

カメラマンとして仕事をするが、時に暴力的で、

うまくいかず、やめてしまう。

そんな時、偶然 「ザ・コーズ」 という団体 (教団?) の

マスターに出会い、惹かれていく。

同時にマスターも、フレディに惹かれていく。

マスターは、フレディの治療を試みるが・・・。

そんなお話。


ちょっと期待が大きかったのか、

何が言いたい映画か、よう分からんかった、

というのが感想。

途中、何回か (なんで?) という疑問が

あった。

マスター役の フィリップ・シーモア・ホフマン は、

割と好きな役者やけど、ちょっとカリスマ性には、

欠けるような気がしたな。

フレディ役のホアキン・フェニックスの

プロフィールを見ると、子供の頃、「両親が宗教団体の

活動家だったため各地を転々とする」 という

文言があったのは興味深い。

ホアキンは、どこかで見たような気がするけど、

思い出せなかった。

調べてみたら、『サイン』 とか 『ヴィレッジ』 とか

出演作を数本観ていた。


本作では、ゴールデングローブ賞の

主演男優賞 (ホアキン・フェニックス)、

助演男優賞 (フィリップ・シーモア・ホフマン)、

助演女優賞 (エイミー・アダムス) を受賞。

同3部門では、アカデミー賞にもノミネートされたし、

ヴェネチア国際映画祭では、銀獅子賞(監督賞)、

W主演賞 (ホアキン・フェニックス、フィリップ・

シーモア・ホフマン) も受賞しているので、

専門家の評価は高いということか。


公式サイトによると、

新興宗教 サイエントロジー にインスパイアされた

作品とのことだが、やっていることが、

催眠療法 (に見える) だったり、

ある種のワーク・セッションだったりするので、

私には宗教っぽく、感じられなった。


★★★☆☆





2013.4.27

イタリア映画祭

連休中 (4月27日〜29日、5月3日〜6日)、

有楽町朝日ホールで、「イタリア映画祭」 が開催される。

この映画祭は、2001年に始まり、

今年で13年目だという。(全然知らんかった)

今年は、2011年以降に製作された、

新作13本を上映する。

2〜3週間前だったと思うが、

偶然、この映画祭のことを知り、

面白そうなものを2本選び、

チケットを購入した 。(今日と明日)

今日は、その映画祭 初日。

12時、15時と上映があり、

私が観に行ったのは、18時からの回だったが、

上映の前に 映画祭の開会式があった。

イタリア駐日大使やイタリア文化会館館長らの

挨拶があり、その後、今回の13本の映画のうち、

7人の監督が登場。



私は、開会式があるのを知らず、

たまたま、この回のチケットを買って行っただけなので

少々ビックリ。

7人の監督の挨拶の後、いよいよ映画が始まった。




素晴らしき存在

監督は、開会式にも登場した、トルコ出身、

イタリア在住のフェルザン・オズペテク。

一昨年に観た 『あしたのパスタはアルデンテ』 の

監督だ。

イタリア映画祭で上映されたのがきっかけで、

その後日本で封切されることになる作品も

少なくないらしく、『あしたのパスタ〜』 も

2011年の映画祭上映作品。

さて、『素晴らしき存在』。

エリオ・ジェルマーノという役者 (すごく良い) が、

主役。

エリオ演じる、主人公のピエトロは、

役者を目指すパン職人。

ローマに上京してきて、住みだしたアパートは、

古くて手入れも必要だが、ピエトロは気に入った。

ところが、住み始めると・・・、

(ここからは、ちょっとネタバレ。)

その部屋には、亡霊が数人住んでいるのだ。

そして、その亡霊は、ピエトロにしか見えない。

最初は、亡霊に向かって 「出て行け」 と言う

ピエトロだが、だんだん彼らと打ち解けていく。

そして、彼らが (成仏せずに?) その部屋に

いるのには、あるわけがあったのだった。

亡霊が出てきても、ホラーではなく、

どちらかといえば、コメディ。


外国映画は、1回では理解できないもんだけど、

途中、ちょっと分かりにくいところがいくつか

あったのが、残念。

でも、泣けるシーンもあったし、笑えるシーンも

多い。

ゲイかどうか分からない登場人物まで、

ゲイに見えてしまうのはなぜだろうと思っていたら、

(関係あるかないか分からないが) この監督が

ゲイのようだ。

そういえば、前作 『あしたのパスタ〜』 もゲイの

話だった。


映画終了後、再び オズペテク監督が登場し、

質疑応答のコーナー。

質問する人は、皆、コアなイタリア映画ファンのようで、

マニアックな言葉が連発だった。

会場には、イタリア人らしき外国人もチラホラ。

映画祭での映画鑑賞は、初めてだったけど、

監督の話を直接聞けるというのは いいね。

明日は、『それは息子だった』 という作品を観ます。


★★★▲☆





2013.4.28

それは息子だった

昨日に引き続き、イタリア映画祭での映画鑑賞。

今日の作品は、『それは息子だった』。

監督は、昨日の開会式にも登場した、

ダニエーレ・チプリで、今日も上映前に挨拶に登場し、

上映後には 質疑応答の時間があった。


質疑応答中  左から進行役、通訳、ダニエーレ・チプリ監督

映画祭上映作 13本中、2本しか観ないのに、

その2本の監督が2人とも 映画祭に来日しており、

直接、話を聞くことができたって、

(別にそれを求めていたわけではないけど)

スゴイよな。


さて、『それは息子だった』。

どうも原題の直訳のようだ。

タイトルだけ聞くと、色んな内容を想像しそうだな。

上映前の監督ご自身の話では、本作は、

実際にあった話を基にしているとのこと。

シチリア島に住む、けして裕福とはいえない

6人家族の物語。

その家族の子供が、マフィアの抗争の流れ弾で

死んでしまう。

マフィアによる死亡は、国から金銭的に

賠償されることを知り、家族はその申請をする。

中々、お金は出ないのだが、色々あって、

ようやく手にしたお金を何に使うか。

彼らが選択したのは、高級車を買うことだった。

そこから、悲劇が始まる。

いや、娘を殺された時点で悲劇は、始まっているのだが。


観終わっての感想は、「ふぅ〜ん」 って感じだったが、

上映後の質疑応答の監督の回答を聞いているうちに

だんだん深い映画に思えてきた。

貧困と、家族を護るための少々の犠牲はいとわない、

そんな、イタリアの陰の部分を描いているのだ。

ヴェネチア国際映画祭で新人俳優賞と撮影賞を受賞とのこと。

シチリアの景色、町並みは、好きやな。


★★★▲☆





2013.4.29

ヒッチコック

数々の名作を生み出した映画監督、

アルフレッド・ヒッチコックを 名優アンソニー・

ホプキンスが演じる映画 『ヒッチコック』 を観てきた。

ヒッチコックといえば、子供の頃、

テレビで観た 『鳥』 を思い出す。

家族で観たのだが、まだ小学生だった私には、

強烈なインパクトだった。

しかし、それ以外の作品は観た覚えがない。

『めまい』 は、なんとなく観たような気がするが、

確かではない。

本作、『サイコ』 製作時のことを描いているのだが、

私は 『サイコ』 を 観ていない。

映画が始まって、すぐ、

(ああ、これは、『サイコ』 を観てから観るべきだった) と

後悔したがすでに遅い。

『サイコ』 以外のヒッチコック作品も観ていたら、

きっともっと楽しめたに違いない。

でも、ヒッチコック作品を観ていなくても、

彼の作品への妥協なき態度、

観客を驚かせよう、喜ばせようという執念は、

十分に伝わってくる。

そして、ヒッチコックの妻、

アルマ・レヴィル (ヘレン・ミレン) の存在の

大きさと 夫婦関係の素晴らしさも。

ヒッチコック作品の陰には、アルマの素晴らしい

サポートがあったのだ。


これを機に、『サイコ』 や

ほかのヒッチコック作品も観てみたい。


★★★★☆





2013.5.1

舟を編む

松田龍平&宮崎あおい主演の映画、

『舟を編む』 を観てきた。

知らんかったけど、原作は2012年の本屋大賞

第1位に輝いたベストセラーらしい。(三浦しをん 著)

出版社の辞書編集部が舞台。

辞書作りというと地味なことで、こんなに感動するとは

思わなかった。

実際、辞書作りの作業は、気が遠くなるような

地味な作業の連続。

映画の中では、辞書の完成に15年を費やす。

これは、好きでないと絶対勤まらない職業のひとつやろな。


松田龍平が良い。

『誰も守ってくれない』 と 『探偵はBARにいる』 の

龍平も良かったが、本作は、これまた地味なキャラを

見事に演じている。

最初は、頼りない感じなのだが、13年後に飛ぶと、

主任になっていて、ちょっと頼りがいが出て来るあたりは

見事だ。

宮崎あおい、オダギリジョー、小林薫、加藤剛、

八千草薫ら、他の出演者も全員良かった。

作品全体は素晴らしかったが、強いて苦言を呈するなら、

27歳から40〜42歳になった、宮崎あおいが

全然年を取っていない。

男優たちは、それなりに年取った感があるのだが、

宮崎は、どうみても40歳には、見えなかったな。

それと、葬式から帰ってきて喪服のまま、

そばを食うシーンがあるのだが、

(普通、帰ったらすぐ喪服脱ぐやろ) と

思ってしまった。

しかも、嫁はんがそば出して 「待たせたね」

言みたいなことをうということは、着替えるぐらいの時間は、

あったっちゅうことやからな。

それとも、着替える気にもならない、という演出かな?

それやったら、そばも食えへんやろ。

まあ、そういう細かい突っ込み所をふまえても、

それに勝るええ映画でした。

結構、泣いて、笑いました。

音楽も良かった。

ほんで、なんやよう分からんけど、

「辞書」 好きになるで。


★★★★★





2013.5.2

名作劇場−1 『道』

先日、イタリア映画祭に行って、

急にイタリア映画に興味が出てきた。

それで、古い名作と呼ばれるイタリア映画の

DVD を数本レンタルした。

今時は、レンタルもずい分安くなったのもだ。

ツタヤ・ディスカスでは、(作品によるのだろうが)

1本100円だった。

4本借りて、往復の送料合わせて、689円!

やすぅ〜!

しかも、1ヶ月レンタルやで!


まず、1本目に観たのは、1954年の 『道』。

1956年のアカデミー外国語映画賞を

受賞したフェデリコ・フェリーニ監督作品。

身勝手な男の悲しい物語。

ニーノ・ロータ作曲の主題歌が、美しい。

ジュゼッペ・トルナトーレ監督の 『明日を夢見て』 を

思い出した。

ちなみに 私は、トルナトーレは代表作と言われる

『ニュー・シネマ・パラダイス』 より、

『明日を夢見て』 の方が好きだ。





2013.5.6

藁の楯 わらのたて

ゴールデンウィーク最終日は、邦画の2本立て。

1本目は、大沢たかお、松嶋菜々子、藤原竜也、

岸谷五朗らの出演する映画 『藁の楯』。

7歳の孫娘を殺された、資産家の大物、

蜷川 (山崎努) は、犯人、清丸国秀 (藤原竜也)

を殺した者に10億円支払うと、

新聞に全面広告を出す。

身の危険を感じた清丸は、福岡で自首する。

その清丸を東京まで護送することになった SP を

大沢たかおと松嶋菜々子が演じる。


いやぁ〜、中々緊張感のある映画だった。

大沢たかおも良かったし、女を感じさせない、

松嶋菜々子も 良かった。

犯人役の藤原竜也のキレっぷりも中々。

実際に10億円のためにあんなに犯人を

殺そうとする者が現れるかどうかは疑問だが、

大沢たかおの演じる SP 銘苅 (めかり) の立場は、

考えさせられる。

生かして、東京まで連れて行っても

死刑になるだろう犯人を護るために、

警官が殺され、関係のない人までもを

巻き込むのだ。

さて、凶悪な少女殺人犯 (被害者2人) を

護ることに命をかける必要があるのか?

それとも、殺して (殺させて) しまってもいいのか?

さあ、あなたはどう考える?

と問いかけられる作品だ。


少々、現実離れしているが、

エンタテイメントとしては、面白く、

また考えさせられる面もある、

観応えのある作品だった。

ただ、エンディングソング (氷室京介) は、

映画に合っていない。

楽曲が悪いわけではないが、

もっと、映画の余韻にひたれるような、

音楽の方が、作品の印象が良くなるのに、

と思った。

そこは、残念。


★★★★▲




図書館戦争

2本目は、岡田准一&榮倉奈々 主演の

『図書館戦争』。

こういうのも SF というのだろうか。

昭和の後、「平成」 ではなく、「正化」 という

元号になった、別の日本の近未来が舞台。

『メディア良化法』 という法律の図書検閲に

対抗する図書館の自衛組織・図書隊の物語。

その図書隊が軍隊のような装備を持っているという

荒唐無稽なお話だ。

戦闘シーンなど (なんでそんなことする必要が

あるのかな?) という疑問も頭をよぎるが、

よくよく考えてみれば、日本が現代の言論・表現の

自由を獲得するまでには、たくさんの犠牲が

あったわけだ。

今日に至っても、自由に表現できない国は、

すぐ近くにもある。

そう考えると、あの戦闘シーンは、

あながちナンセンスではないようにも思える。

でも、本作の見所は、岡田准一だろう。

カッコよい。

劇中も 「チビ」 と言われるが、

あれでもうちょっと背が高ければ、

言うことないのにな。

でも、その身長のことを差し引いても

カッコよい。

ジャニーズの中で、映画に出ても許せる

唯一の人だな。(主演作を4本も観ている)

実際に格闘技をやっているらしいが、

アクションシーンは、かなりサマになっている。

それから、榮倉奈々。

『のぼうの城』 でも快活な姫を演じていたが、

この人は、本作のような 天真爛漫で能天気な

役柄がとても合っている。

笑えるところも結構あって楽しめる作品だが、

途中、戦闘シーンはちょっと長く感じたな。

しかも、本当の戦争映画のような、

緊迫感には少々欠ける。

ああいうのって、作っている側は楽しいんやろな。

観ている方は、飽きてくるけど。

こちらは、エンディングテーマも映画の流れを

損なわずグッド。


★★★★☆





2013.5.14

探偵はBARにいる 2 ススキノ大交差点

大泉洋 と 松田龍平 が、札幌・ススキノを舞台に

探偵を演じる映画の第2弾。

2年前の一作目は、結構面白く、楽しめた。

その時、「シリーズ化して欲しい」 と思った覚えもあり、

この2作目を 楽しみに観に行った。

が、やや、期待はずれだった。

ちょっとドタバタ過ぎるというか、

ふざけすぎな印象と、脚本・ストーリーの

甘さが印象に残った。

大泉がスキージャンプするシーンなどは、

もうマンガ過ぎて、笑えない。

私はこのシリーズを おちゃらけにして欲しくないのだ。

ちょっとエッチで、笑いも取りつつ、

ハードボイルドに攻めてほしい。

もう一つ、主役は 大泉だというのは 分かっているが

松田龍平をもっと活躍させて欲しいな。

次回作に期待。


★★★▲☆





2013.5.19

中学生円山

宮藤官九郎 監督・脚本の映画 『中学生円山』 を

観てきた。

あんまり良く知らないけど、

この人、役者、声優、脚本家、監督と

多才な人のようだ。

予告編を観て (なんか面白そう) とは、

思っていたものの、スマップの草なぎ剛 出演というのが、

私には微妙だった。

草なぎファンには悪いけど。

でも、結局、観ることに。


中学2年生の男子が、自分のちんちんを自分で

なめたい一心から、自主トレと呼ぶ 柔軟体操を

毎日行う。

その柔軟体操の最中に、妄想の世界へと

トリップしてしまう。

そんな男子の住む団地に謎の子連れの

おっさん (草なぎ) が引っ越してくる。

男子は、おっさんが殺し屋ではないかと、

妄想する・・・。

そんなお話。

中2男子 克也に、平岡拓真。

けつを出して、ちんちんをなめようとする

体当たりの演技には好感がもてる。

バカバカしいと思うなかれ。

中学生男子なら、誰もが一度くらいは、

試そうとしたはずだ。

ちょうど、中2の頃、自分のをなめられるかどうか、

マジで話題になった覚えがある。

実現した話は、聞いたことがないが。


映画の中では、草なぎ演じるおっさんが、

実現したと話す。

その時の感想を克也に求められて、

答えた内容に、克也は、「深い・・・」 と

感動する。

なんて答えたかは、映画を観てのお楽しみ。

中々の答えだ。


基本、コメディなのでそれなりに面白いのだが、

ちょい笑いが何度もある程度で、爆笑はなかったな。

爆笑させてくれたら、良かったのにと思う。

克也の両親に、仲村トオルと坂井真紀。

仲村は、なかなか良いと思える作品に出会わないが、

本作は、そんなに違和感なかった。

この人、真面目な役よりコメディの方が いいのかも。

坂井は、韓国人とのやり取りが笑える。

遠藤賢司が、徘徊老人役で出演。

ギターを持って歌も歌う。


★★★☆☆





2013.5.30

シュガーマン 奇跡に愛された男

4月の上旬に2回観に行ったが、

2回とも強烈な睡魔に襲われ、

途中で数十分間寝てしまった、

ドキュメンタリー映画、

『シュガーマン 奇跡に愛された男』 を

またまた 観てきた。

(2回も寝てしまうということは、

この映画とは縁がないんちゃうか)

という思いと、

(いやいや、これだけ気になんねんから、

これは観なあかんやろ)

という思いがあって、

どうしようか ずい分迷ったが、

3月16日公開の映画なので、そろそろ上映も

終わりそうなこと、今日は上映している映画館、

渋谷シネパレスが、男性1000円の日であることも

手伝って、やっぱり観に行くことにした。


映画は、こんな話だ。

1970年代、アメリカでレコード・デビューし、

LPを2枚出したけど、全く売れず、レコード会社から

契約を切られ、名前も全然知られなかった、

シンガーソングライターがいた。

彼は、音楽では食えなかったので、

日雇いの肉体労働をして生計を立てていた。

しかし、70年代から、南アフリカでは、

彼の音楽が大ヒットしていた。

正規のビジネスではなく、いわゆる海賊盤での

大ヒットなので、本人に印税は入らない。

誰かが儲けたのだ。

そして、そのことをアメリカにいる本人も

レコード会社も知らなかった。

インターネットもない時代、

南アフリカでは、そのシンガーの情報は、

全くなく、ステージで自殺したという噂だけが、

拡がっていた。

南アフリカでは、エルビス・プレスリーよりも

ローリング・ストーンズよりも人気があり、

有名だったという。

その人気は、南アフリカの反アパルトヘイトという

時代背景があった。

彼の音楽は、革命のシンボルとなったのだ。


90年代になって、南アフリカのある人達が、

そのシンガーについて、調べだす。

すると、死んだと思っていたそのシンガーが

生きていることが分かり、ついには、本人に

たどり着く。

そして、

南アフリカでのコンサートが実現する・・・。


いや〜、スゴイ話やった。

これは、寝ずにちゃんと 観なあかん作品や。

当たり前か。

前半と後半は3回目なのだが、

肝心な真ん中を しっかり起きて観た今回は、

すでに2回観た後半が全く違うように観えたよ。

やっぱり、物事は文脈が大切やな。

こんなに感動的やったんか、って感じ。

ミステリー仕立てなことも、やっと分かった。

映画は、そのシンガーが、本当は生きてるのか、

死んでるのか分からないように、進んでいく。

そして、とうとう本人が登場する。

ああ、このシーンは、こういう流れやったんかぁ!

って感じ。


ホンマに奇跡の話。

インターネットが普及した今では

絶対起こりえない話。

何よりも、そのシンガー、ロドリゲスは、

今もつつましい暮らしを送っているというのが

何といって良いか分からないが、

心を揺さぶられる。


そして、今回、改めて観ると、本作、

映像が美しい。

1回目2回目は、そういうことにも気付いてないので、

何を観てたんでしょね。


★★★★▲





2013.6.2

旅立ちの島唄 十五の春

南大東島。

なんとなく、聞いた覚えはある島の名前だが、

どこにあるのか、何県に属するのかは、

この映画を観るまでは、知らなかった。

『旅立ちの島唄 十五の春』 は、

そんな、沖縄県南大東島を舞台にした、

15歳の少女の青春と、その家族の物語。

主演は、三吉彩花。

本作が、映画初主演作らしいが、

凛としていて、美しい女優さんだ。

三線や島唄も 立派にこなしている。

その両親役に、小林薫 と 大竹しのぶ。


南大東島には、高校がない。

中学を卒業したら、高校に進学する者は、

島を出なければならない。

多くが、沖縄本島の高校に進学するようだが、

物語は、主役・優奈の中学3年生の1年間を

描いている。

こんな環境にいたら、15歳でも大人に

ならざるを得ないだろうなと、

離島の厳しさをしみじみ感じた。

そして、なんでしょね。

悲しい映画ではないのに、泣ける作品。

特に、父親役の小林薫を見ていて

涙が止まらないシーンがあった。

若いときに観たら、違う感想を持ったかも

知れんけど、年とると こういうのに弱いね。

ちょっとセリフが聴き取れない箇所があったのと、

一部、間延びした感があったけど、

とても良い作品で、お薦めです。


この映画は、予告編を観たこともなかった。

(何かええ映画ないか) とネットで 探していて、

たどり着くまで知らなかった。

しかも、東京で一つの劇場でしか上映していない。

こういう良い作品こそ、もっとたくさんの劇場で

やるべきだと思うな。

(6月1日 シネスイッチ銀座にて 鑑賞)


★★★★▲





2013.6.16

殺人の告白

今日は、アジアの映画を2本鑑賞。

まず、韓国映画 『殺人の告白』。

連続殺人事件から15年、時効成立後に

自ら犯人だという男が名乗り出て、

事件の詳細を記した本を出版し、

ベストセラーになる。

この男、えらいイケメンで、

世の人気者になってしまう。

もちろん、批判の声もあるのだが。

彼は、何のために名乗り出たのか。

金か、売名か、罪の意識からか。

そんな時、自分が真犯人だという男が、

現れる。


出演は、刑事役にチョン・ジェヨン。

名乗り出た犯人役にパク・シフ。

どう見ても、チョン・ジェヨンが主役だと思うのだが、

ポスターは、パク・シフのアップ。

パクの方が、人気があるのだろう。

映画館の壁には、映画を観た人が、

パク様宛のメッセージを書けるようになっていた。

どうも、日本では、本作がパクの

スクリーン・デビューのようだった。

ちなみに 私は、韓国映画は数本観てきたが、

役者は、ほとんど (まず名前が) 覚えられない。

ここに書いた、本作出演の2人の名前も、

明日、訊かれたら、間違いなく 答えられない。

そんなこと、キッパリ言う必要ないけど。


さて、映画は、冒頭からガッツリと観客を引き付ける。

そして、あるからくりが隠されているのだが、

これが劇中後半で 暴露されるまで、全然見抜けず、

中々、面白かった。


★★★★▲




きっと、うまくいく

2本目は、インド映画 『きっと、うまくいく』。

2010年インドアカデミー賞で作品賞・監督賞など

16部門を受賞したヒット作。

世界各地でリメイクが決定しているという。

170分の長編だが、全く長く感じない、

優れた作品だ。

原題は、『3 IDIOTS』。

「3バカトリオ」 という意味らしい。

エンジニアになるためのエリート大学で、

知り合った3人の友情の物語。

涙あり、笑いあり、インド映画お約束の

突然の踊りありのエンターテイメント作品。

また、成績ばかり追いかける教育や、競争社会、

親のエゴで子供の進路を決めることへの

批判など、社会的なメッセージも感じる。

エリート大学へ進学することが、

今のインドの民に、いかに価値のあることなのか、

その背景も浮かび上がってきて、興味深い。

ストーリーは、これでもかというぐらい、

色んなエピソードが、盛り込まれ、盛りだくさん。


新宿の小さな映画館で観たけど、

立ち見、出てました。


★★★★★





2013.7.2

奇跡のリンゴ

阿部サダヲ×菅野美穂 主演の映画、

『奇跡のリンゴ』 を観てきた。

絶対不可能だと言われた、無農薬による

リンゴ栽培に成功した、青森県の木村さんという方の実話。


農薬散布の日に、妻・美栄子 (菅野美穂) の具合が

悪くなることをきっかけに、木村秋則 (阿部サダヲ) は、

無農薬栽培を決意する。

しかし、やれどもやれども、結果は出ず、

収入はなくなり、しまいには周囲から、村八分にされる。

「自分があきらめたら、人類があきらめることになる」 と

何があっても、あきらめなかった秋則も、

極貧生活の中、とうとう力が尽きる。

しかし、最後の最後に、無農薬栽培の可能に触れる。

神は、見放さなかった。


成功するまで、11年。

周囲は、皆、「やめろ」 という。

しかし、彼を応援し続けた者もいる。

妻、娘たち、そして、畑を提供してくれる義父だ。

リンゴの木が、無農薬でも害虫や病気にやられないためには、

雑草や虫が必要だという。

リンゴの木は、リンゴの木だけで生きているのではない。

人もまた然り。

ひとりで生きているのではない。

生かされているのだ。


本作に限らず、実話を基にした映画は、力強い。

秋則のあきらめない心もスゴイが、やはり、

何と言っても、妻・美栄子のサポートが素晴らしい。

こんな女性も中々おれへんで。

そして、その美栄子の父親 (山崎努) が、これまた、

素晴らしい。


監督は、中村義洋。

数本観ているが、割と好きな監督。

音楽は、久石譲。

そして、本作では、菅野美穂が良い。

かなり、良い。

彼女の演技で何度も泣かされてしもたね。

もっと映画に出て欲しいな。


ぜひ、その奇跡のリンゴを食べてみたいが、

毎年、あっという間に売り切れてしまうそうだ。

そうやろな。


★★★★★





2013.7.3

お笑いライヴ

渋谷の 「GAME」 という、普段はロックの

ライヴを演っているハコで、お笑いのライヴを

演っているというので、急遽、観に行くことに。

14組出演していたが、途中からだったので、

観たのは、7〜8組かな。

まだあんまり売れていない芸人たちと

聞いていたので、期待せずに行ったら、

予想以上に面白かった。

入場料1000円なら、十分満足。

テレビで観たことのある芸人は、1組だけだったが、

印象に残ったのは、「レオちゃん」、「火災報知機」

「ライオンヘッド」、「ズドン」。

お客さんは、10人ぐらいだったろうか・・・。

今、テレビで活躍している芸人たちも、

こういうところを通って来ているんだろうな。

ライヴなので、テレビではやれないようなネタもあり、

面白かった。





2013.7.7

真夏の方程式

『容疑者Xの献身』 から、5年ぶりの劇場版、

『真夏の方程式』 を観てきた。

天才物理学者・湯川学 (福山雅治) の活躍を描く、

東野圭吾原作の人気シリーズだ。

監督は、『容疑者Xの献身』 と同じく 西谷弘。

『容疑者Xの献身』 が 素晴らしかったので、

期待していたが、ちょっと前作には及ばず、という感じ。

解き明かされていくトリックが、

あんまり大したことないのと、

ある殺人が、キーになっているのだが、

その殺人の動機が、イマイチ理解できなかったことが

作品のパワー不足と感じた。

もしかしたら、その辺は原作を読めば、もっと

違う印象なのかもしれない。

2時間ほどの尺に入れるには、無理があるのかも。

東野圭吾作品らしく、ミステリー仕立てだが、

ヒューマンドラマ的な要素も大きい。

前作では、女性刑事が 柴咲コウ だったが、

本作では、吉高由里子に替わっている。

杏、子役の山崎光が良かった。


舞台となる 「玻璃ヶ浦 (はりがうら)」 は、

架空の地名のようだが、ロケは伊豆で行われたようだ。

架空であっても、行ってみたいと思わされる、

ところだった。


★★★▲☆





2013.7.28

さよなら渓谷

昨日は、久しぶりに映画を 2本鑑賞した。

まず1本目は、真木よう子が出ているので

観たいと思っていた 『さよなら渓谷』。

原作は 『悪人』 の吉田修一。

脚本・監督は、 大森立嗣で、この人の作品は、

初めて。

本作は、「R15+」 指定で、大人の映画だ。

「R15+」 というのは、15歳未満は観覧禁止という、

映倫が決めた年齢制限だが、この作品を

15〜16歳で観て分かるのか甚だ疑問。

幼児殺害事件の容疑者の隣人夫婦の物語。

妻に真木よう子、夫役に大西信満。

夫役の大西は、あまり見ない役者だと思っていたら、

『キャタピラー』 で、四肢を失った復員兵を

演じていた人だった。

そして、週刊誌の記者に大森南朋。


感動的なストーリーではないし、

見終えて、スッキリする類の話でもない。

過去のレイプ事件の被害者も加害者も

つらい人生を送るという、きつい話。

まったく反省のない、加害者も出てきて、

その人生の違いを考えさせられる。


エンドロールで流れる、上手いとは言えない、

真木よう子のたどたどしい歌が、ええ味を出している。


モスクワ国際映画祭、
コンペティション部門審査員特別賞受賞作。


★★★▲☆




風立ちぬ

2本目は、宮崎駿監督の 『崖の上のポニョ』 以来の

話題作 『風立ちぬ』。

まず、映像が美しい。

これは、日本人にしかできないだろうと

思える仕事だ。

そして、音響も素晴らしい。

虫の声、蝉の声、風の音、畳の上を歩く足音、

靴を履いて土の上を歩く足音など、本当に

細かい仕事が丁寧になされているのが分かる。

が、しかし、主役の二郎の声がいけない。

緊張感なし、臨場感なし。

棒読みと言われても仕方がないだろう。

庵野秀明という、アニメの監督で、声優でもない人が

演じているのだが、監督はなぜこの人を

主役に選んだんだろう。

まったく理解に苦しむ。

映像の臨場感を、この人の抑揚のないセリフが

台無しにしている。

鑑賞中、このヘタクソなセリフがストレスで、

作品に集中することができなかったほど。

一緒に観た妻も同じ感想だったし、

ネットのレビューを見ても、少なからず

そういう感想が見受けられる。

中にはあれが良かったという人もいるので、

それはそれで またビックリだが。

そして、物語全体としても、何かインパクトに欠ける。

ただただ、美しい飛行機を作りたいという、

夢に生きる青年を描きたかったのか、

その夢が、兵器開発につながっていく、

時代の狂気、理不尽さ、青年の苦悩を

描きたかったのか、はたまた、病に侵された

妻と夫の恋物語なのか、どれも中途半端な感じ。

期待しすぎた、ということは否めないが、

それを差し引いても、どうもぼやけた印象だった。

「生きねば」 というキャッチコピーも

まったくピンと来なかった。

残念。

音楽 (久石譲) も素晴らしかったのに。


★★▲☆☆





2013.7.28

終戦のエンペラー

今日は、昨日公開されたばかりの映画

『終戦のエンペラー』 を観てきた。

アメリカ人が映画の中に描く日本人には、

何度となく違和感を持ち、失望さえしてきたが、

いよいよ、そういう時代は終わったのかも知れない。

本作 (原題:EMPEROR) は、終戦後の日本が舞台。

1945年8月30日、GHQ 最高司令官マッカーサー元帥の

来日から、9月27日、昭和天皇がマッカーサーを

訪問するまでの間の物語。

主人公は、マッカーサーの命令で、

天皇の戦争責任の調査を命じられた、

ボナー・フェラーズ准将 (じゅんしょう)。

フェラーズは、戦前、日本人女性と恋に落ちており、

日本文化にも詳しい。

物語は、彼の回想シーンを含め、進んでいく。

マッカーサー元帥を演じるのは、トミー・リー・ジョーンズ。

厚木に着き、飛行機を降りる直前、

サングラスをかけ、パイプをくわえる姿が、

めちゃくちゃ、カッコいい。

映画では、それさえも日本人にインパクトを

与えるための演出のように描かれているが、

本当だろうか。

そして、ボナー・フェラーズ准将に、マシュー・フォックス。

あの人気ドラマ 『LOST』 の人だ。

日本からは、西田敏行、火野正平、中村雅俊、夏八木勲、

桃井かおり、伊武雅刀ら、豪華俳優陣が共演。


これは、学校の授業では、けっして教えてくれない歴史。

我々日本人でさえ、終戦の前後に何があったのか、

誰が戦争を終結させたのか、

天皇は、なぜ戦犯にならなかったのか、

そんなこと、ほとんどの人が知らないだろう。

本作に描かれていることが全て事実だと

受けとめることは、早計だと思うが、

私は、天皇のマッカーサーへの言葉に

感動した。

そして、マッカーサーの言葉にも。


監督のインタビューに

「終戦直後の早い時期に決断したことが、

今の平和と繁栄に大きく関係しています」

という言葉があった。

あの頃、米国民は天皇の処刑を望んでいたという。

もし、調査を命じられた部下が日本に理解のない

者だったとしたら、また、マッカーサーが違う

決断を下していたら、歴史は、今とは違うものに

なったかもしれない。


本作のプロデューサーのひとり、奈良橋陽子

(『ラスト・サムライ』 『バベル』 などの

キャスティング・ディレクター) は、劇中に登場する、

関屋宮内次官の孫だという。

なんとも、不思議な話だ。

その関谷を演じた、夏八木勲は、今年5月に亡くなった。

劇中で、素晴らしい うたを披露している。


数日前、自衛隊に海兵隊の機能を持たせる云々という

報道を見た。

本当の世界平和を望む。


★★★★★





2013.8.16

31年目の夫婦げんか

トミー・リー・ジョーンズ と メリル・ストリープという、

大ベテラン2人が、夫婦を演じる映画、

『31年目の夫婦げんか』 を観てきた。

なんとなく、コメディのような期待を持って

観に行ったら、結構シリアス。

笑えるところもあるが、それは、

シリアスであるがゆえの人間の滑稽さだ。

(怖いな) と思ったのは、夫は何の疑問も

持っていない結婚生活に、妻は不満を溜めこんで

いる点。

不満の対象は、夫の態度。

目を見て話さない、身体に触れない、セックスしない、

寝室も別、ゴルフ番組ばかり観る、もらってうれしい物を

プレゼントしてくれない (ex.湯沸かし器)、などなど。

これでは、2人の労働者が同居してるだけで、

結婚生活ではない、という妻。

一方で、夫の方は妻に不満がない (ように見える)。

結婚生活を見直したい妻は、

夫婦でカウンセリングを受けたいと言い出す。

いやいや、カウンセリングに付き合う夫。

夫婦は、どうなる?

という、物語。


原題は、『HOPE SPRINGS』。

2人がカウンセリングに向かうのが、

メーン州のグレート・ホープ・スプリングスという、

海辺の小さな町だ。

「ホープ」 という言葉が入っているので、

何か別の意味もあるのかもな。


先日観た、『終戦のエンペラー』 では、

渋くマッカーサーを演じていた、

トミー・リー・ジョーンズ が、根はやさしくて、

ちょっと情けないけど、こういう人、多いんだろうなと

思わせる夫を好演。

メリル・ストリープは、ダンナのことが好きで好きで

たまらないのに、満たされていない、かわいい妻を好演。

作品は、まあ、考えさせられる面もあるが、

夫婦は、千差万別だし、

いったん、仲直りしたからと言って、

一生安泰なわけでもないだろう。

そういう意味では、あんまり刺激や発見はなかった。


夫は何の疑問も持っていない結婚生活に、

妻は不満を溜めこんでいるのは、(男として)

怖い、と書いたが、一緒に観た妻に言わすと、

「だから、熟年離婚が増えていて、退職金半分持って

行くのよ」 とのこと。

世のお父さんは、気をつけよう。


エンドロールでおまけの映像がついているが、

これはちょっと感動する。


★★★▲☆





2013.9.1

少年H

昨日、映画 『少年H』 を観てきた。

神戸生まれの 妹尾 河童(せのお かっぱ) の

自伝的小説で、登場人物の 妹尾 肇 (はじめ) が、

妹尾 河童 本人だ。

といっても、私は、妹尾 河童のことを

何も知らんのだが。

少年Hの 「H」 は、肇 (はじめ) のイニシャル。

Hは、1930年生まれだから、私の父親と同じ年。

その H の父親役に水谷豊、母親役に伊藤蘭。

実際の夫婦である水谷豊と伊藤蘭の共演は

28年ぶりらしい。

さて、物語は昭和16年の開戦前から、始まり、

終戦後まで続く。

H の父親、妹尾盛夫(水谷豊)は、高級洋服の仕立て屋。

戦争が始まると、外国人と付き合いがあったというだけで、

スパイの容疑をかけられる。

付き合いのあった外国人は、ただのお客さんなのに。

また、妹尾家はキリスト教信者だった。

H は、アメリカに帰った宣教師からもらった、

エンパイア・ステイト・ビルの絵葉書を持っていただけで、

学校で 「スパイ」 だと イジメ (?) にあう。

日本国全体が狂っていた。

自分が、「おかしい」 と思ったことを口にしただけで、

非国民扱いされたり、逮捕されてしまうような時代だ。

原作には、批判もあったようだが、

私は素晴らしい作品だと思った。

反戦の意図はあるだろうが、

おしつけがましくない。

ただ、少年の目を通して見た、戦争と戦後。

その大人たちの変貌を淡々と描いているようにさえ

感じた。

焼夷弾を爆撃される、空襲のシーンは結構な迫力。

実際は、もっとすさまじいのだろうけど、

いったい、何のために民間人が、あんな空襲を

受けなければならないのか。

戦争の無意味さ、愚かさを改めて痛感。

そして、敗戦。

全てを失い、戦争の意味も分からなくなったところからの

日本人の再生。

映画は、フェニックス (不死鳥) の絵で象徴的に終わる。

私たち日本人は、必ず立ち直るという

強いメッセージに感じた。


大阪生まれの私としては、水谷豊と伊藤蘭の

関西弁には、100点を付けられないのだが、

作品自体は、素晴らしいと思うので、★5つだ。

細かいことは、突っ込むまい。


★★★★★





2013.9.27

凶 悪

山田孝之主演の映画 『凶悪』 を観てきた。

原作は、ノンフィクションということだが、

平和に生きている私には、こんな狂気なバイオレンスな

人たちが実在するとは、中々信じがたい。

というか、信じたくないが、実際にはいるんだろうな。

現実に、殺人事件は起こっているし、

死体は埋められたりしているし、

放火事件も、レイプ事件もあるからね。

共演は、リリー・フランキー、ピエール瀧。

リリー・フランキーが良い。

『ぐるりのこと。』 のような役柄が似合うと

思っていたが、こんな狂ったオヤジも似合うとは。


物語は、死刑囚 (ピエール瀧) が、

未解決の殺人事件を告発するというもの。

その取材をする、雑誌 『明朝24』 の記者役に

山田孝之。

リリー・フランキーは、殺人を犯しながらも、

塀の外でのうのうと生きていると、告発される

悪人役。

その殺人・暴力のシーンが、エグい。

グロテスクで、痛々しい。

救いのある映画ではないが、

ただのバイオレンスものに終わらず、

結構深いテーマがあると観た。

タイトルの「凶悪」 の対極にあるものは、

「正義」 だと思うが、常軌を逸すると、

正義も凶悪と同じ要素があるのだな。

エグすぎて、あんまり原作を読みたいとは思わない物語。


★★★★☆





2013.9.28

許されざる者

映画 『許されざる者』 を観てきた。

クリント・イーストウッド監督が監督し、

アカデミー賞で作品賞など4部門を受賞した作品の

日本リメイク版だ。

出演は、主演の渡辺謙、佐藤浩市、柄本明、

柳楽優弥、忽那汐里、小池栄子、國村隼、ほか。

『誰も知らない』『星になった少年』の柳楽優弥が

ずいぶんと大人になっていて、見たことあるような

気がしたけど、誰か分からんかった。

さて、感想はというと。

これだけの俳優を揃えておきながら、

残念ながら、大きく期待はずれだった。

登場人物の誰にも感情移入できない。

物語に飽きることはなかったが、

最後まで感動もなく終わってしまった。

オリジナル版は観ていないが、

名作と言われているので素晴らしいのだろう。

西部劇で、ガンマンの話だったものが、

本作では明治の日本が舞台で、

武器はガンではなく、刀になっている。

何か設定に無理があったのか。

ヒューマンドラマという割には、

訴えてくるものが乏しかったし、

説得力にも欠け、

いっぱい突っ込みたくなった。

残念。


★★★☆☆





2013.10.17

そして父になる

6年間育ててきた息子が、実は、

病院で取り違えられた他人の子供だったという

ストーリーの映画 『そして父になる』 を

観てきた。

主演は、福山雅治。

その妻に尾野真千子。

そして、もう一方の、子供を取り違えられた夫婦が、

リリーフランキーと真木よう子。


自分の子供ではなかったからといって、

「じゃあ、取り替えましょう」 と簡単に行く話ではない。

かといって、今まで通りで良いかというと、

そういうわけでもない。

出口のない迷路のようなものだが、

どうするのか、選択をしなければならない。

取り違えた病院を責めて、

被害者になってばかりいても

道は開けない。

慰謝料をもらっても解決しない。

本当に頭の痛い問題だ。

そして、この赤ちゃんの取り違えは、

昭和30〜40年代あたりには、

実際に起こっていたようで、特集番組を

テレビで観た覚えもある。

そんな時代なら、まだしも、

この21世紀にどうしてそんなことが

起こってしまったのか。

映画では、その理由も解き明かされるのだが、

それはネタバレになるのでここでは控えよう。


さて、子供を取り違えられた二組の夫婦。

その対比が興味深い。

4人とも、それなりに癖がある人たちだが、

どこにでも いそうな普通の人々。

福山は、ちょっとイヤな男として描かれているが、

後半、挽回する。

リリーは、相変わらず自然。

この人、何しても自然やね。

タイトルは、『そして父になる』。

なるほど、母は子供を産んだ時から母だが、

父は、徐々に父になっていくんやな。

子役の2人が素晴らしかったが、

1人が関西弁だったのが、ちょっと気になった。

監督は、是枝裕和。

是枝監督作品は、全て観たわけではないが、

私的には、同じように家族を描いた

『歩いても 歩いても』 が一番印象に残っている。

本作は、それには ちょっと及ばなかったな。

でも、もし子供がいたら、評価が全然変わるかもね。


★★★★☆





2013.10.26

今日は、久しぶりに映画を2本鑑賞。

タイピスト!

1950年代のフランスを舞台にした物語。

主演は、デボラ・フランソワ と ロマン・デュリス。

ヒロイン、デボラが、魅力的。

「現代のオードリー・ヘプバーン」 と

言われるのも分かる気がする。

実際、場面によってはちょっと似ているような気もした。

ぱっと見は全然違うけど。

一方、デボラの上司役を演じるロマンは、

背も低いし、それほどのイケメンでもない。

ストーリーは、こんな感じ。

田舎から出てきたローズ (デボラ・フランソワ) が

保険会社の秘書になる。

ボスのルイ (ロマン・デュリス) は、

ローズにタイプの早打ちの才能があると見抜き、

タイプ早打ち大会に出場させる。

そのうち、二人の間に恋が芽生え・・・。

という、王道のラブ・ストーリー。

エンディングもご想像されるままの

ハッピーエンド。

実話を基にしているというので、

もっと感動するヒューマンドラマかと

勝手な期待を抱いて観たので、

ちょっと期待はずれだった。

でも、オープニングのポップさ、

50年代の雰囲気などは良い。

時代背景のせいか、ちょっと、登場人物が

タバコを吸いすぎな感じがしたな。


★★★★☆




潔く柔く

2本目は、長澤まさみ・岡田将生 主演の

『潔く柔く』。

「潔く柔く」、これ、読める?

「いさぎよく やわらかく」 と読んでしまいそうやけど、

「きよく やわく」 と読む。

映画館でチケット買うとき、

「いさぎよく・・・」 と言って、

カウンターのお姉ちゃんに笑われてしもた。

「やわらかく」 は 「柔らかく」 と書くから、

「柔く」 は、「やわく」 としか読めないねんけど、

「潔く」 は、「いさぎよく」 であって、

「きよく」 とは読まないだろう。

実際、変換されないし。

で、よく見ると映画のタイトルには、

「きよくやわく」 と読み仮名がふってあるね。

この 「きよく」 は、原作者の当て字なんやろな。

さて、前書きが長くなった。

物語は、心に傷を持った男女の再生のお話。

再生というか、過去を過去として受け入れることが

メインかな。

観るのも恥ずかしい、若者のラブ・ストーリーかと

思っていたら、結構、その心の傷が重たくて、

ヒューマンドラマ的な要素もあった。

でも、途中、(それは、出来すぎやろ) という

場面があって、そこは、減点やなと思っていたら、

実は、これ原作が少女漫画だったのね。

何も知らずに観たんやけど、

コミックが原作なら仕方ない。

「観るのも恥ずかしい」 と思うんやったら、

なんで観るねん?とツッコまれそうやけど、

これは、たまたま時間が合ったからでしかない。


長澤まさみが可愛いくて良いのだが、

いくらなんでも15歳のシーンは、無理があったな。

18歳ぐらいの設定なら、ギリギリいけたかもしれんけど。

15歳はなぁ。

彼女、今年で26歳やからなぁ。


★★★★☆





2013.11.1

今日は、映画の日なので、平日なのに2本鑑賞。



2ガンズ

1本目は、本日公開の 『2ガンズ』。

デンゼル・ワシントン&マーク・ウォールバーグ主演の

ドタバタ・アクション。

麻薬取締局 (DEA) と 海軍情報部と

CIA と マフィアが からむ物語。

荒唐無稽なのはいいが、たとえ映画でも

あんな風に描かれて、CIA や海軍は、

黙っているのだろうか。

そうだとしたら、寛大やなぁ。

デンゼル・ワシントンは相変わらず渋いし、

なんとなく垢抜けない マーク・ウォールバーグも

好きやな。

あんまり、深みはないけど楽しめる、

エンタテイメント作品です。


★★★★☆




謝罪の王様

2本目は、『人類資金』 と迷ったのだが、

面白そうかなと期待のあった 『謝罪の王様』 を観た。

残念ながら、期待はずれ。

主演の 阿部サダヲ はいつも通りだし、

井上真央 も良かった。

でも、全体的にナンセンス。

ナンセンスを通り越して、くだらない。

途中、笑えるところもいくつかあったけど、

後半失速し、最後のオチは、ちょっと笑えない。

後ろの席の女性が、面白くない場面で

笑うのが ますます 私を冷めさせた。

しかもその笑い方が、心の底から笑っている風ではなく、

一緒に観に来た友達 (女性) の手前、

付き合いで笑っているような笑い声で、

興ざめだった。

PV風のエンドクレジットも微妙。

岡田将生、竹野内豊、松雪泰子らを

使っているのにもったいない。

脚本は宮藤官九郎。

どうなんでしょうね、クドカン。


★★★☆☆





2013.11.8

地獄でなぜ悪い

鬼才・異才と言われている 園子温 (その しおん) 監督の

映画 『地獄でなぜ悪い』 を観てきた。

園監督の作品は、これが初めて。

だいぶん前に予告編を観た覚えがあるが、

(なんか面白そうやな) とは思ったものの

ぜひ観たいとは、思わなかった。

割と評判が良いようなので、

渋谷の映画館で 今日までだし、

観てみるることにした。

感想は、シュールで バカバカしいが、

そこそこ笑えて 面白かった。

ヤクザの抗争を映画に撮ろうという発想も

ハチャメチャで、内容もハチャメチャ。

いっぱい血や肉が飛ぶが、全然 グロくなく、

気持ち悪くならないどころか、笑えるというのが凄いね。

出演は、國村隼、二階堂ふみ、堤真一、長谷川博己、

友近ら。

なんかね、中学生の時、クラスメートと映画撮ったのを

思い出した。

その時、ウンコを食べる役を皆が嫌がるので、

「ほな、オレがやる」 と買ってでた覚えがある。

ウンコは、カレーのルーで、

そのまま口に入れると結構強烈だった。

その場のノリでやったものの、撮影後、

クラスの女子や、クラブの後輩 女子 が

その映画を観ることを思うと、後悔した覚えがある。

でも、実際に上映した覚えはない。

どうだったんだろう。

話がそれたが、なんかそんな中学生ノリを

大人が大々的に作品にしましたって感じの映画。


★★★▲☆





2013.11.11

苦役列車

4〜5年前、インターネットをテレビにつないで、

映画や音楽番組を観られるサービスを

申し込んだことがあるが、結局、月額利用料

(1980円だったような気がするが覚えていない)ほど

使うこともなく、これなら、ツタヤに借りに行った方が

よほど経済的だと、1年で解約した。

今では、インターネットを使って、

1本から有料で視聴できるサービスがあり、

何か映画 (ビデオ) でも観たいな、と思った時に、

わざわざツタヤまで行かなくても済む。

そういうザービスがあることは、知っていたが、

利用したことはなかった。

映画は基本的に 映画館で観るのが好きなので、

DVDをレンタルすることは あんまりないのだが、

見損ねた作品や古い作品を観るときには、

やはりレンタルになる。

で、昨夜、急に何か観たくなり、試しに "ツタヤTV" で、

森山未來主演の映画 『苦役列車』 を観てみた。

1本400円。(作品によっては100円のものもある)

確かにこれは簡単で便利だ。


さて、『苦役列車』 は、森山が今年のアカデミー賞で、

優秀主演男優賞に選ばれた作品。

また、森山は今年 『北のカナリアたち』 で

優秀助演男優賞も受賞している。

その 『北のカナリアたち』 の森山が素晴らしかったので、

『苦役列車』 も観てみたかったのだ。

しかし、期待はずれだった。

森山の演技自体は良いのだが、作品としては、

感動も共感もなかった。

原作は、西村賢太 著。

未読だが 芥川龍之介賞を受賞したぐらいだから

面白いのかもしれない。

ウィキペディアには、原作者 西村が この映画を

批判したことが書いてあり、興味深い。


★★★☆☆





2013.11.14

清須会議

三谷幸喜、原作・脚本・監督の映画、

『清須会議』 を観てきた。

いつもの三谷映画同様 、出演陣は、あいかわらず豪華。

役所広司、大泉洋、佐藤浩市、小日向文世、中谷美紀、

妻夫木聡、鈴木京香、剛力彩芽、浅野忠信、寺島進などなど。

チョイ役で、西田敏行、松山ケンイチ、天海祐希という贅沢。

役所広司、大泉洋、佐藤浩市、この3人は、

文句なしに素晴らしい。

特に後の豊臣秀吉・羽柴秀吉を演じる大泉洋と、

池田恒興を演じる佐藤浩市が素晴らしい。

CM でご覧になった方も多いと思うが、

大泉洋演じる秀吉は、あのコミカルなキャラでありながら、

最後にはカッコよく見えてしまったほどだ。

世の中を変え、天下統一を目指すその姿には、

感動さえあった。

また、佐藤浩市が上手い。

優柔不断な様を目を泳がせて演じている。

それから、浅野忠信も印象深かった。


ストーリーは、日本史に疎い私でも、

秀吉が織田信長の家来であったこと、

信長は明智光秀の裏切りにあって、

本能寺で殺されたことぐらい知っていれば、

ついていける。

どこまでが史実に基づいており、

どのへんが創作かは よくわからないが、

歴史に詳しければ、もっと楽しめるようだ。

大笑いするコメディではないが、

約140分、中だるみすることなく、楽しめる。


★★★★▲


知らずに行ったのだが、TOHOシネマズでは、

毎月14日は 「TOHOシネマズデイ」 として、

映画が1000円だった。

「1 (とう) 4 (フォー) 」 というわけだな。





2013.11.15

42 世界を変えた男

予告編を観ただけでウルウルしてしまった映画

『42 世界を変えた男 (原題:42)』 を観てきた。

これは、メジャーリーグ・ベースボール史上初の黒人選手、

ジャッキー・ロビンソンの実話だ。

いつから黒人が メジャーでプレイ出来るように

なったのかなんて、考えてみたこともなかったが、

1946年当時、メジャーに黒人選手は、

一人もいなかったという。

選手全員が白人で、黒人選手は二グロリーグという

黒人だけのリーグでしかプレイできなかった。

それほど 人種差別がひどかったのだ。

誰もが触れなかったその世界へ、

ブルックリン・ドジャースのGM、

ブランチ・リッキー (ハリソン・フォード) は、

メスを入れる。

黒人選手をドジャースに入れたのだ。

(ここからは、ネタバレ含みます。)

当初、ドジャースの選手達さえもが、

反対するが、リッキーの決意は本物だった。

そして、そのリッキーのコミットに、

ジャッキーも応える。

どんなに野次を飛ばされても罵倒されても、

彼は負けなかった。

チームメイトも変わっていく。

最初、「ニガーをドジャースに入れるな」 と

チーム全体で嘆願書まで作っていた選手たちが、

周囲のあまりにひどいジャッキーの扱いに

怒りを覚え、それでも怒らないジャッキーの

ひたむきさに心を打たれ、変わっていく。

観客の心無い野次に対し、ジャッキーの肩を組む

チームメイト。

もう、このあたりで私の感動は絶頂。

どんな理不尽な差別にも自制心を

失わなかったジャッキーはもちろん素晴らしいが、

世界を変えようと、ジャッキーを支えた、

ブランチ・リッキーも この奇跡の主人公だ。

リッキーがいなかったら、黒人のメジャーデビューは

何年も遅れたかもしれない。


1947年4月15日、ジャッキーはメジャーにデビューし、

1956年に引退し、1972年に他界した。

今では、ジャッキーの背番号42は、全球団共通の永久欠番となり、

毎年4月15日を 「ジャッキー・ロビンソン・デー」 とし、

選手全員が背番号42を付けて試合に出場するという。

実話は、やはり力がある。

そして、世界を変える人たちには、凡人には見えない

未来が見えているのだ。


★★★★★


42 世界を変えた男 公式サイト

興味のある方は、
監督が語るハリソン・フォード出演の経緯もどうぞ。
ええ話です。





2013.11.29

許されざる者

9月に日本リメイク版を観た映画 「許されざる者」 の

観ていなかったオリジナル版を DVD をレンタルして観た。

日本版は イマイチだったので、オリジナルは

どんなんだろうと興味があったが、

(ああ、これはオリジナルを越えられへんわ)

というのが感想だ。

やはり、明治の日本を舞台にした背景に無理があったのかも

知れないし、日本版は登場人物をうまく描ききれていないという印象だ。

オリジナル版は、クリント・イーストウッド監督&主演だが、

観終えたあとにちゃんとイーストウッドイズムみたいなものが

じわ〜っと残る。

日本版は、後半までかなりオリジナル版に忠実な

ストーリーなのだが、終わりの方がちょっと違った。

オリジナル版の方が自然で、日本版には無理があるように感じた。

つまりは、オリジナル版の方が断然良かった。





2013.12.1

CAPTAIN PHILLIPS

昨日、トム・ハンクス主演の映画

『キャプテン・フィリップス』 を 観てきた。

土曜日の14:50からの回で、公開2日目だし

(混んでいるのかな) と思っていたら、

意外と空いていた。

さて、本作、2009年にソマリア海域で

実際に起きた、海賊に人質にされたアメリカの

コンテナ船船長リチャード・フィリップスの物語。

アカデミー賞有力候補とも言われているだけあって、

とても力強い作品で、最後には助かると分かっていても、

ドキドキハラハラだった。

フィリップス船長を演じるトム・ハンクスがホントに素晴らしい。

観ている最中は、人質を助けに向かう海軍や特殊部隊SEAL が

頼もしく思えた。

普段は、「世界中から軍隊がなくなれば

戦争もなくなるんじゃないか」 ぐらいに

安易に考えているだけど。

でも、本作は アメリカ万歳的な見方を

するものではないと思う。

海賊を退治してもスッキリしないのは、

海賊には海賊をしなければならないような背景が

あるからだろう。

アメリカが、たった一人のアメリカ国民を救うために

軍隊を動かすのは、スゴイと思う。

でも、その一人のアメリカ国民を救うために、

犯人3人は (簡単に?) 射殺される。

その中には、10代の少年もいる。

彼は、裸足だ。

靴もサンダルも履いていない。

もちろん、海賊の要求通りのお金を渡していたら、

もっと海賊が増えるかもしれないし、

そんなことでは何も解決しないのは分かる。

犯人は、射殺されるかもしれないことも

覚悟の上だろうことも。

でも彼らには、海賊でもやらなければならない

背景がある。

最初の方で、海賊のメンバーを募り、リーダー格の男が

メンバーを選ぶシーンがある。

若者は皆、そのメンバーになりたがる。

問題は、根深く複雑だ。


監督が言ったという、

「最も危険なことは、生きる目的のない若者に銃を与えることだ」

という言葉と、トム・ハンクスの

「彼らの悪事を許すわけでないが、複雑な背景を描くことに意義がある」

という言葉が表している通り、考えさせられる作品だ。


★★★★★





2013.12.2

南極料理人

目黒シネマでは、<俳優:堺雅人 倍返し祭り> と称し、

今週は 「南極料理人」 と 「クヒオ大佐」、

来週は 「鍵泥棒のメソッド」 と 「ジェネラル・ルージュの凱旋」 を

それぞれ2本立てで上映している。

TV ドラマ 「半沢直樹」 の大ヒットのおかげで

急に TV コマーシャルでもよく見かけるようになった

堺だが、一ファンとしてはあんまり嬉しくない。

どちらかというと、映画だけに出ていて欲しいと思うのは、

勝手なファン心理だろうけど。

堺雅人のことは 「アフタースクール」 や

「クライマーズハイ」 あたりで好きになりだし、

数えてみたら、この6年ほどで 出演作10本を観ている。

その中でも私は 「南極料理人」 の堺が一番好きだ。

そういうわけで、この機会に 2009年に

劇場 (その時も目黒シネマ) で観た 「南極料理人」 を

もう一度観てきたのだ。

前回観てから、4年も経つ上、そんなにドラマティックな

ストーリーでもないので 内容はほとんど覚えていなかった。

ただ、観たことも忘れてしまう映画が多い中、

「良かった」 という感想と、あるシーンの堺の表情に

泣かされてしまったことだけは覚えていた。

やはり、そのシーンは良かったな。

非日常も 実は日常、そんな映画だ。


★★★★▲





2013.12.7

ネルソン・マンデラ元大統領 死去

ニュースでご存知だとは思うが、

5日夜 (日本時間6日未明) に死去したと発表があった。

95歳だった。

私は国際情勢に疎いが、マンデラ氏のことは

映画を通じだが少し知っている。

2008年に観た 「マンデラの名もなき看守」

2010年に観た 「インビクタス / 負けざる者たち」 だ。

米国では11月29日に、

マンデラ氏の伝記映画 「マンデラ-自由への長い道」 が、

公開されたところだったらしい。

日本での公開が待ち遠しい。

前述の2本も もう一度観たいと思う。


マンデラ氏然り、ガンジー然り、アウンサンスーチー然り、

凡人には不可能だと思う偉業を成し得た偉人のことを知ると、

自分も同じ人間だと力が湧いてくる。

限界は自分が設けているだけだと。


合掌。


「マンデラ-自由への長い道」予告編(英語版)






2013.12.8

かぐや姫の物語

公式サイトには、こう書かれている。

製作期間8年、制作費50億円の超娯楽大作。
ジブリヒロイン史上、最高の "絶世の美女" が誕生。


その 「かぐや姫の物語」 を観てきた。

製作期間が何年とか、制作費がいくらかかったとかは、

映画の出来には関係ない。

改めてそう感じた。

ちょっと期待し過ぎたのかも知れない。

全く、グッとくるシーンはなかったし、

感動もなかった。

竹取物語をちゃんと読んだことのない私は、

この映画がどこまで原作に忠実で、

どの辺が創作なのか分からない。


「姫の犯した罪と罰」 とサブタイトルのように

書かれているが、この映画を観ると、

罪を犯したのは、姫の心を知ろうともしなかった翁だ。

翁はまんまと月の仕掛けた罠に引っかかったのだ。

というのが、私の感想。

作品自体は、私にはイマイチだったけど

(賛否両論あるものの世間の評判は良いようだ)

絵は、良かった。

いくらでも、精密にリアルに描けるこの時代に

あえてああいう手法を使ったのは、面白いと思う。

予告編でも使われている、かぐや姫が

駆け抜けるシーンの躍動感は素晴らしいと思った。

でも、途中で一回、間延びしたし、

137分は、ちと長く感じた。


一番嫌だったのは、

かぐや姫に不倫を匂わせたこと。

(それも原作にあるんかな?)

それは、あかんやろ、捨丸 (すてまる) 兄ちゃん!


本作は、プリレコーディングという、セリフを先に録音し、

それに合わせてアニメーションを作るという手法を

取っている。

そのため、翁の声は、地井武男が体調を壊す前に

録音したということだ。


★★★☆☆





2013.12.21

永遠の 0

映画 『永遠の0』 が本日いよいよ公開となった。

テレビでガンガン、CM しているし、

初日だから混んでいるかなと思ったが、

思っていたより空いていた。

(品川プリンスシネマで 18:20 からの回)


百田尚樹著の原作は、今年1月に読んだ。

映画は素晴らしかったが、原作の感動には

及ばなかった。

映画でも結構泣いたけど、

泣け方は 原作の方が、強烈でした。

文庫本で590ページもある作品を

2時間程度 (144分)の映画にまとめると

何かが失われるのは、仕方ないだろう。

でも、もし原作を読まずに (結末を知らずに)

映画を先に観ていたら、もっと感動しただろうと思う。

ネット上のレビューを見ると、

「あまりに全てが薄っぺらい作品」 と書いていた

人がいた。

読んでみると、原作を読んでいないとのことだった。

原作を読めば、薄っぺらい作品ではないことが

分かるだろうけど、

あの映画を観て そんな風に感じる人もいるんだな。


さて、映画の方は、まず VFX が素晴しい。

本物のニュース映像かと思うぐらい、リアル。

もう一昔前からは、考えられへんね。

子供の頃に観た日本映画の戦闘シーンって、

飛行機 (模型) 吊ってる糸が見えたりしてたもんな。

それに比べたら、迫力満点。


それから、役者陣が素晴らしい。

特に凄腕零戦パイロット 宮部久蔵を

演じる 岡田准一 が カッコいい。

『図書館戦争』 の時もカッコいいと書いたが、

今回も 悔しい(なんで?) が、カッコいい。

印象的なのは、景浦という元パイロットを

演じる 田中泯。

この景浦は、原作でも非常に印象的。

田中泯って、『たそがれ清兵衛』 とか 『メゾン・ド・ヒミコ』

とかでもそうやったけど、記憶に残る演技するなぁ。

今年5月に逝去した夏八木勲も素晴らしい。

その他の出演は、井上真央、三浦春馬、

吹石一恵、風吹ジュン、山本學、橋爪功、

濱田岳、新井浩文、平幹二朗 ら。

皆、良かったけど、

ただ一人、染谷将太の、あるシーンだけは、

ちょっと白々しくて冷めてしまったのが残念。


ここでは、ストーリーには触れないけど、

映画か原作か、どちらか一方は、

体験して欲しい作品だ。


★★★★★





2013.12.24

ゼロ・グラビティ

話題の宇宙映画 「ゼロ・グラビティ」 を

3D で観てきた。

3D での映画鑑賞は、なんと2009年の

「アバター」 以来の2度目。

あんまり 3D に興味ないのだけど、

この映画は、どうせなら 3D で観たかったのだ。

主演は、サンドラ・ブロックとジョージ・クルーニー。

最初の方で、他の宇宙飛行士もちらっと出てくるが、

出演は、ほぼこの二人のみ。

そして、(たぶん) 半分以上の場面は、サンドラ 一人。

ストーリー自体は、なんてことない。

宇宙で作業中に事故が発生。

宇宙に放り出されてしまうという話。

3D で観たこともあって、映画というより、

遊園地のアトラクションのようだった。

しかも めちゃくちゃリアルな。

結構、ハラハラドキドキで身体に力入ったね。

どうやって、撮影したんやろ と思うほどリアル。

宇宙で酸素がなくなっていくという部分で見ると

パニック映画的でもある。

結構、怖い。

でも、なぜか途中で泣けるんだな、これが。


テレビで 「観終わったら、身体に不思議なことが

起こります」 と言っていたので、どうなるんだろうと

思っていたら、確かに不思議なことが起こりました。

たぶん、90分間無重力を疑似体験した結果だと

思うけど、これは、面白い。

興味のある方は、ぜひ劇場で 3D でご覧ください。

一緒に観た妻も同様の体験をしているので、

たぶん誰にでも起こるんだろうけど、

観終わってから、自分の身体を観察しないと、

気がつかない人もいるかも。

(2D でも同じことが起こるのかどうかは、

分かりません。)


ここから、ちょっとネタバレ。

後半、サンドラ・ブロック演じるライアンが、

助かるのが なんとなく 分かってしまう。

そのせいか、不思議とラストにはそれほどの

感動がなかった。

「キャプテン・フィリップス」 も最後には、

助かるのが分かっていたけど、最後に感動があったのにな。

本作はラストより、途中の方がハイライトのように感じた。

ライアンのセリフは、哲学的で、力強く、印象的。

実際の宇宙飛行士って、ホンマにあんなに冷静なんやろか、

と思ったが、何万何十万人(?) の中から選ばれた、

超エリートが、厳しい厳しい訓練の上、宇宙に

行ってるわけだから、きっとパニック状態でも

冷静な判断ができるんでしょね。


ところで、原題は 「Gravity」 で、「重力・引力」 と

いう意味。

なんで、邦題に 「ゼロ」 を付けたんだろう?

これは、無重力の話のようで、それだけではない。

ラストシーンを観れば、それは明白だ。

多くの人が同様の感想を持っているようだが、

私も 「グラビティ」 だけの方が、良かったのにと思う。


ヒューストン (NASA) と交信するのだが、

その声が 「アポロ13」 で 実在の主席飛行管制官を

演じた エド・ハリス というのもニクイ。


★★★★▲





2013.12.29

武士の献立

上戸彩、高良健吾 主演の時代劇、

「武士の献立」 を観てきた。

以前は思わなかったけど、

最近の上戸彩はいいなぁ。

本作でも、ちょっと気の強い、芯の通った

姉さん女房役を素晴らしく演じている。

高良健吾は、数本その出演作を観ているが、

本作が一番良かったな。

その他、西田敏行、夏川結衣、余貴美子、

緒形直人、鹿賀丈史など、ベテラン勢が脇を固める。


物語は、江戸時代の加賀藩が舞台。

その台所を切り盛りする包丁侍の家へ嫁いだ

春 (上戸彩) とその亭主で、料理があまり好きでない、

舟木安信 (高良健吾) の物語。

基本的に、悪い人は出てこない。


タイトルの 「武士の献立」 は、

もちろん包丁侍から来ているんだろうけど、

本当の主役は、安信ではなく、その妻、春 。

でも、出てくる料理はみな素晴らしい。

饗応料理という、言ってみれば接待用フルコース

みたいな料理が出てくるが、それはそれは豪華。

オフィシャルサイトの、その全てが

写真付きで見られるという計らいも中々のもの。


高良健吾演じる舟木安信も、

その父、舟木伝内 (西田敏行)も

加賀藩に実在した包丁侍だという。


映画は、素晴らしく良かった。

クライマックスで流れるアイリッシュぽい

メロディが日本の時代劇に違和感のないことに

驚いていると、最後の最後に流れる、

Chara の歌う主題歌が、全く物語に合っていなくて、

そこだけはガッカリだった。

あれは、あかんで。

でも、本編は良かったので★5つ。


★★★★★



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