LAGUNA MOON MELLOW FLAVOR  LIVE GUITAR  LINK LYRICS



落語 2022-23年
    感想・ご意見は→ shinya◇shin223.com
    メールをくださる方は、上記アドレスの◇を@に変えて送ってください。(スパムメール対策)



2022.1.17

志の輔らくご in PARCO 2022
伊能図完成 200+1年記念
『大河への道』




志の輔師匠の創作落語『大河への道』。
パルコ(渋谷)の建て直し前、2016年の
正月公演「志の輔らくご in PARCO 2016」で、
一度だけ聴いた噺だ。
初めて日本地図を測量して完成させた
伊能忠敬の偉業と偉大さを伝える、
一大スペクタクル巨編。
その落語に感銘を受け、その年の3月には、
千葉県佐原(現 香取市)の伊能忠敬記念館
まで出かけたほどだった。

実は、昨年の「志の輔らくご in PARCO」で、
聴ける予定で チケットも取れていたのだが、
コロナのせいで公演は残念なことに中止になった。

今年は、なんとか開催された。
1月5日から 31日まで、全20公演。
今日は、その10日目だった。

さて、6年ぶり二度目の鑑賞となった『大河への道』。
伊能忠敬が、地図の完成を見ずに死んだということと、
落語が、とにかく素晴らしかったということ以外、
6年前のことは何も覚えていなかったが、
今回も落涙するほどの感動だった。

落語の中でも語られるのだが、あの時代、
黒船が来るよりも前に、西洋の測量道具を
一切使わず、日本中を17年もかけて
「歩いて」測量した伊能忠敬。
その業績と人物は、
「日本地図を初めて作った人」なんて
簡単なひと言で片付けられるものではない。

50歳を過ぎてから、20歳ほど年下の
江戸の天文学の先生に弟子入りしたのだが、
その動機が、ステキ極まりない。
それは、「地球の大きさを知りたい」。
あの時代、もしかしたら、西洋でもまだ地球が
丸いことを知らなかった人たちがいただろう時代にだ。
なんて大きなスケールだろう。

全く、夢とロマンと情熱と男の物語なのだ。
ところが、面白いことに この落語には、
伊能忠敬が登場しない!
というこれまた乙な噺なのだ。

それだけ素晴らしい落語に仕上がっているので、
『大河への道』は、なんと映画化された。
中井貴一、松山ケンイチ、北川景子の出演で
5月20日にロードショーの予定だ。

『大河への道』オフィシャルサイト

そして、3月には河出文庫から
書籍『大河への道』も出版される。
映画・書籍共に楽しみだ。

タイトルの「伊能図完成 200+1年記念」は、
昨年が、伊能図完成から200年の年で、
その記念公演ともいえるパルコ公演が
中止になったので、今年このタイトルになったんだろう。

『大河への道』のエンディングは、
サディスティック・ミカ・バンドの『黒船』をバックに
今の日本地図と伊能図が重ね合わせられる。
感動的な演出だ。

その他の演目「はんどたおる」「ガラガラ」も
以前に聴いた噺から、少しアレンジされていた。
30分弱の休憩を挟んで3時間。
大満足の落語会でした。
最後は、山下達郎の
『ラヴィアンローズ(バラ色の人生)』!


【演目】
「はんどたおる」 立川志の輔
「ガラガラ」 立川志の輔
〜 仲入り 〜
「大河への道」 立川志の輔

@ PARCO 劇場 (渋谷)


[ 関連エントリー ]
2016.1.24 志の輔らくご in PARCO 2016
2016.3.14 週末一泊旅行 佐原〜銚子





2022.1.30

桂雀々 桃月庵白酒 二人会



江戸東京博物館へは、2〜3度行ったことが
あったけど、こんなホールがあったとは知らなかった。
最近では、落語会の開催も多いらしい。

今日は、桂雀々 桃月庵白酒 二人会。
雀々は、芸暦40周年記念公演以来、
ほとんど5年ぶり。
白酒は、昨年4月以来だ。

コロナの新規感染者数の記録が更新される中、
中止になるかも知れないとも思っていたけど、
国からも都からもそういう要請は出ていないのだな。
自主的に中止にすることは、あるのかもしれないけど。

さて、まずはふたりのオープニングトークから始まった
今日の落語会。
何でも明日朝から大阪でメディア(TV?)の
収録があるらしく、雀々は終演後、大阪へ
行くということを雀々が東京で一番好きだという
白酒にいじられながらのトーク。

落語の方は、白酒のずうずう弁が凄い「新版三十石」。
続いて、師匠・枝雀を思わせる雀々の「上燗屋」。
休憩を挟んで、「運まわし」。
元々、上方落語の演目だが、雀々以外で
聞いたことがない。
最後は、白酒の「笠碁」。
仲良しの旦那ふたりが、碁でケンカになるが、
最後には仲直りするという噺で、誰の口演だったか
最後の仲直りで泣きそうになったこともある演目だ。
まあ、2人とも笑わせてくれて、
満足な落語会でした。


【 演 目 】
オープニング・トーク(桂雀々・桃月庵白酒)
「新版三十石」 桃月庵白酒
「上燗屋」 桂雀々
〜 仲入り 〜
「運まわし」 桂雀々
「笠碁」 桃月庵白酒

@ 江戸東京博物館 大ホール





2022.4.30

桂米朝一門会



米朝師匠が亡くなって、丸7年が経った。
久しぶりの「桂米朝一門会」。
新型コロナの感染予防対策のための
座席の制限などはなくなってきたようで
両隣に人が座っていると、ちょっと
息苦しいというか、密な感じが否めない。

今日は、米朝一門の噺家5人が登場したけど
5人とも面白かった。
初めて聴いた吉の丞(吉朝の弟子)は、
これまた初めて聴く「ふぐ鍋」という噺だった。
米團治の「一文笛」、南天の「野崎詣り」も
珍しい演目だ。


[ 演目 ]
「道具屋」 桂米輝
「ふぐ鍋」 桂吉の丞
「一文笛」 桂米團治
〜 仲入り 〜
「野崎詣り」 桂南天
「素人浄瑠璃」 桂南光

@ 紀伊國屋ホール





2022.5.2

第一回 立川生志の番



一昨日は上方落語を聴いたけど、
昨日は、立川流の落語会。
ずいぶん久しぶり(5年半ぶり)の立川生志。

冒頭、生志が私服で挨拶。
この「立川生志の番」の始った背景の説明など。
そして、トップの演者は立川雲水。
この人は、初めて聴いた。
大阪の出身で「立川流ではあるが上方落語を
演ずる」ということで演目は「青菜」。
今では東京の人もよく演るが、
もとは上方落語の演目だ。

続いて志の輔の新作落語「ハナコ」。
初めて聴いた噺で、面白かった〜。

休憩を挟んで、ゲストのテツ and トモ。
テレビで観るとそんなに面白いとは
思わないのだけど、ナマで観ると楽しい。
「なんでだろう〜」の手の動きを
レクチャーしてくれて、500人の会場全員が
「なんでだろう〜」に合わせて、その動きを
一緒にやるというシュールな世界がくり広げられた。

そして、トリは生志。
長講一席ということで「柳田格之進」。
たっぷり50分ぐらい。
今まで聴いた「柳田格之進」とは違う
さげで、「おぅ〜、そう来たか」という感じ。
こういうひとひねりしてあるのは、また楽しい。


[ 演目 ]
「青菜」 立川雲水
「ハナコ」 立川志の輔(ゲスト)
〜 仲入り 〜
「コミカルソング」 テツ and トモ(ゲスト)
「柳田格之進」 立川生志

@イイノホール





2022.7.2

らくごDE全国ツアー Vol.10
春風亭一之輔のドッサりまわるぜ 2022




ちょっと久しぶりの一之輔の独演会。
Vol.10 とあるが、このツアーは
2013年にスタートして、10年目だという。
今年は、過去最多の33公演を廻るらしいが、
今日はその9日目。

このツアーでは、いつも冒頭に一之輔が私服で
登場し、10〜15分程度のトークをする。
落語のマクラにも近いけど、もっと砕けた感じ。
まあ、一之輔のマクラはかなり砕けているけれど。
(鶴瓶になると、このフリートークを2時間
やってしまうのだけど、彼は特別だ。)

フリートークの後、昨年二つ目に昇進した
一之輔の二番弟子による「金明竹」。
去年聴いた時も上手いと思ったけど、
今後を期待できる人だと思う。
今日は、マクラでやや滑りな感じもしたけどね。

一之輔は、たっぷりのマクラのあと、
「加賀の千代」、そして高座を下りず
続けてまたマクラを振った後、「反対俥」。
「加賀の千代」は、甚兵衛さんとご隠居の
関係が、以前より発展しているようで面白い。
「反対俥」は、私の知っている古典落語の
「反対俥」ではなく初めて聴いた噺。
創作だろうか。
今日は演目が貼り出されていなかったので、
確認していないのだけど、ネットで調べたところ、
どうやら、これが一之輔の「反対俥」のようだ。
50年ぶりに人力車を引く老人と客のやり取りで、
かなりぶっ飛びな話で面白かった。
おじいさんが、ちょっと志村けんのようだった。

仲入りを挟んで「百年目」。
この噺、私は結構好きな演目。
固くて遊びを知らない、真面目だと
思われているが、実は隠れて遊んでいるという
番頭が、花見で酔っぱらって羽目を外して
いるところで、お店(たな)の旦那と
バッタリ会ってしまう。
番頭は、「これで暇を出されてしまう、
自分の人生終わった〜」と恐恐としているところを
旦那に呼び出される。
というような内容で、人の上に立つものの
了見を考えさせられるええ噺。
今日も旦那が番頭に話すシーンで
泣いてしまった。

最近は、落語を聴きに行く回数も減って
しまったけど、やっぱり一之輔はいいねぇ。
まだ44歳なのだけど、出てくるワードが、
めちゃくちゃ昭和。
落語は、全体的にお客さんの年齢層が
高いので、そのために勉強しているんだろうか。
単にそういうカルチャーが好きなんだろうか。
例えば、「浦辺粂子」だったり、
「スチュワーデス物語の片平なぎさ」
(めちゃピンポイント)だったり
そういうのが、自然に出てくる感じ。


[ 演目 ]
「金明竹」 春風亭与一
「加賀の千代」 春風亭一之輔
「反対俥」 春風亭一之輔
〜 仲入り 〜
「百年目」 春風亭一之輔

@ 有楽町よみうりホール


このツアーの東京公演は、ずっとよみうりホール
だったようで、そういえば数回このホールで
観た覚えがある。

よみうりホールは、有楽町駅前の
ビックカメラの7階にある。
私などは、ビックカメラのビルという印象だが、
このビルは、読売会館と言う名前で
2000年までは、そごうが入っていた。
私は、1995年の12月に東京へ出てきたので
2000年なら そごう時代を知っていそうだが、
その頃は、有楽町や銀座に出かけることは
なかったので、そごうだった時代は一度も
入ったことがない。

読売会館は、来年改装工事を行うようで、
来年の「ドッサりまわるぜ」は、
違う会場になるだろうとのこと。
割と見やすい会場だけど、座席が引っ付き
過ぎなので もうちょっとゆったりなるといいなぁ。





2022.7.24

盛夏吉例 圓朝祭 2022



落語を聴いていると、必ず
「三遊亭圓朝(えんちょう)」という人に
出会うことになる。
1900年没というから、もう120年以上も
前に亡くなった人だが、落語の名人の中でも
別格扱いで、噺家にとっては神様のような
存在らしい。
幕末から明治にかけて活躍した人で、
残念ながら、その音声は残っておらず
速記本が残されているのみだ。

今日は、その圓朝の噺だけを演る圓朝祭。
出演者が豪華。
三遊亭志う歌は初めてだったけど、
志う歌作の「大圓朝一代記」で、
圓朝の天才ぶりと人となりが語られた。
どこまでが本当の話しかは分からないけど、
かなりスゴイ人だったことが伝わってきた。
続く、一之輔が「知らない話ばかりでした」と
言っていたけど、かなり調べて作ったんだろうな。

その一之輔は、「死神」。
一之輔の高座は、100席以上聴いているが
初めての「死神」。
当然、一之輔ならではのアレンジ満載で
面白かった。
この演目は、演者によって微妙にオチが
アレンジされている。
さて、一之輔は、どんな風に落とすのかと
期待したが、意外にもあまりひねりがなかったなぁ。

続いて、兼好。
明るい毒(?)を持っている、好きな噺家だ。
イヤな毒の噺家もいるからね。
演目は、「文七元結」。
兼好の演る女性は、いいなぁ。

休憩の後、喬太郎。
開口一番「お腹いっぱいじゃないですか?」。
すでに開演から2時間以上を経過しており、
普通の落語会では「死神」「文七元結」の
両方が演じられることはない。
どちらもトリの一席の演目だ。
なので、そんな風に言ったのだろうが、
喬太郎の噺ならまだ聴けるよ。
演目は「錦の舞衣(にしきのまいぎぬ)」という、
初めて聴く噺。
圓朝の噺は『 真景累ヶ淵』や
『牡丹灯籠』など、長いものもあるが、
この噺も長いようで、今日は前半のみ。
「え〜っ?続き 聴きたいやん!」というところで終わった。

休憩を挟んでたっぷり3時間の落語会でした。


【 演 目 】
「大圓朝一代記」 三遊亭志う歌
「死神」 春風亭一之輔
「文七元結」 三遊亭兼好
〜 仲入り 〜
「錦の舞衣(上)」 柳家喬太郎

@ 銀座ブロッサム





2022.8.20

らくごDE全国ツアーvol.10
春風亭一之輔のドッサりまわるぜ 2022


先月もこのツアーの有楽町よみうりホールでの
公演を観に行ったのだけど、今日は妻も
一緒に横浜、関内ホールに行ってきた。
33公演の21公演目。チケットは、完売だ。
33公演と書いたけど、先月、一之輔が
コロナに罹り、2公演(沖縄・那覇、
埼玉・志木公演)は、中止になったようだ。

一之輔による 短めのトークのあと、
今日の開口一番は、春風亭かけ橋。
この人は、もともと春風亭ではなく、
柳家三三の弟子で「小かじ」という名で、
二つ目まで昇進していた。
何があったのかは知らないけれど、
三三のもとを離れ、
2018年に春風亭柳橋に入門し直して、
先月、二つ目に昇進したという。
二つ目に昇進したてとはいえ、そういう
経歴なので、キャリアは10年。
演目は、初めて聴く「馬大家」。
かなりの落語を聴いてきたけど、
いまだに初めての演目に出会えるのは嬉しい。

一之輔の一席目「初天神」は、今日は
団子のくだりまで。
これだと古典のままで、演目は「初天神」で良いだろな。
続けて、団子屋がお奉行様に訴え出るくだりまで行くと
「団子屋政談」となるんだろう。
落語は、いつでもどこでも終われるという、スゴイ話芸。

二席目は、久しぶりの「蛙茶番」。
一之輔曰く、「品がない、関内ホールで演る
ネタじゃない」。
まあ、やや下ネタなので、大ホール向きではないな。

休憩を挟んで、「明烏」。
吉原など遊郭をネタにした落語を
廓噺(くるわばなし)という。
「明烏」は、あまりに堅い 20歳の息子を
そんなんじゃ世間知らずで商売ができないと、
親父が吉原に行かせるという噺。
行きたくない若旦那を、町の札付き達が
騙して吉原へ連れて行く。
一之輔が演じる、この若旦那がいいんだな。
本当に堅い、真面目過ぎる、全く世の中を
知らない若旦那が見えてくる。
親父は、世の中には裏と表があって、
むしろ裏の方が大きんだと、なんとか
堅すぎる息子に遊びを教えたいんだ。

そんなのは、落語の中の話かと言えばそうでもない。
自分の息子が高校生の時にソープランドへ
行かせた親父を知っている。
息子が堅すぎたわけじゃないだろうけど。


[ 演目 ]
「馬大家」 春風亭かけ橋
「初天神」 春風亭一之輔
「蛙茶番」 春風亭一之輔
〜 仲入り 〜
「明烏」 春風亭一之輔

@ 関内ホール 大ホール(横浜)





2022.10.5

六代目 三遊亭円楽


先週、落語家の円楽さんが亡くなった。
病気だったことは、知っていたけど、
72歳は、早すぎるなぁ。

肺がん、脳腫瘍、脳梗塞、肺炎と、
この数年病気が続いて、
ご本人もつらかったことと思う。

円楽師匠の高座は、過去に4〜5回
観たけれど、最後に観たのは、2016年なので
もう6年も前だった。
初めて観た高座は、2013年9月25日、
円楽師匠の独演会で、ゲストが歌丸師匠という
今となっては、スペシャルな落語会だった。

合掌。





2022.10.30

2022 落語・一之輔
〜三昼夜ファイナル〜 第三夜




春風亭一之輔の独演会、昼夜3日間6公演の第三夜。

この時期の一之輔の「よみうり大手町ホール」公演は、
2014年に「一夜」に始まって「二夜」「三夜」と毎年、
増えていき、2018年に「五夜」まで行き、
2019年は「七夜」になった。
そして、2020年からは「三昼夜」になった。
昨年もこの「三昼夜」公演は観たのだが、
「ファイナル」と付いているところを見ると、
今年でいったん終わりにするということだろうと
思っていたら、今日の話では、来年は
「三夜」でやるそうだ。

一之輔の落語会は、大体満席で、
この3日間もチケットを取るのは大変だったようだ。
今日、開口一番で上がった 与いち も、
両親がチケットを取れなかったと言っていた。
私の今日の席は、後から2列目の一番右端。
まあ、大きな会場ではないので、それでも
十分楽しめるけどね。

さて、一之輔の二番弟子の与いち。
昨年、二つ目に昇進したが、まだ24歳
マクラもかなり自由で、面白くなってきた。
これからが楽しみだね。

一之輔は、「加賀の千代」「掛取万歳」ときて、
最後はこの会恒例のネタ下ろしかと
期待していたら、今日は違った。
「子別れ」の中と下をたっぷり。
あれ?そういえば一之輔の「掛取万歳」は
初めてだった。
もしかしたらあれがネタ下ろしだったのかな。
三席とも夫婦の会話から始まる噺だった。

今日は演目のせいもあると思うけど、
一時期のような、やり過ぎ感はなく、
以前より、弟子の話をする時の師匠感(?)も
増し、一層 貫禄が出てきたように思う。
上からでごめん。

「加賀の千代」のご隠居と甚兵衛さんの
やり取りは、何度聴いても大好き。


[ 演 目 ]
春風亭与いち 「権助魚」
春風亭一之輔 「加賀の千代」
春風亭一之輔 「掛取万歳」
〜仲入り〜
春風亭一之輔 「子別れ」中・下

@ よみうり大手町ホール








2022.12.4

台所おさん師匠と「個の発展」
落語の会




妻の仕事の関連会社 CS iDOBATA のイベントで、
噺家さんを招いての落語の会があった。
出演は、台所おさん師匠。
なんとスタッフのYさんの叔父さんという
ご縁で今日の会となった。
おさん師匠は、柳家花緑師匠の弟子。
結構たくさんの落語家さんを聴いてきたとは、
思うのだけど、おさん師匠は、初めてだった。

そのYさんが司会をしたのだけど、
これが中々面白いトークで、その流れで、
おさん師匠の登場となった。
たっぷり目のマクラのあと、「子ほめ」、
続けて「真田小僧」。
休憩を挟んで「愛宕山」という演目。

観客は、スタッフも合わせて 23名という、
贅沢な空間だった。
あれだけ距離が近いと、普段 ホールで
落語を聴くことが多い私には、
なんだか新鮮な印象が沸き起こった。
臨場感というのかな。
ホールなんて所ではなく、こういう感じで
聴くのが本来の落語だったんだろうな、と思った。

観客には「落語を生で聴くのは、初めて」と
いう方も多かった。
結構、笑いが起こっていたので、
これを機会に落語ファンが増えるといいな。


[ 演目 ]
「子ほめ」 台所おさん
「真田小僧」 台所おさん
- 仲入り -
「愛宕山」 台所おさん


@est3(恵比寿)





2022.12.13

立川談春独演会
「いままでの芝浜、これからの芝浜」
〜 これからの芝浜編 〜




久しぶりの談春の落語。
「いままでの芝浜、これからの芝浜」という
タイトルで、先週2日間、昼の部と夜の部
計4公演と、今日と明日4公演、
2週続けて 合計8公演。
実は、今日「いままでの芝浜」と
「これからの芝浜」の両方を聴けると
勘違いしていたのだけど、先週は、
「いままでの芝浜編」で、今日と明日は
「これからの芝浜編」だった。

談春の「(いままでの)芝浜」を聴いたことが
なかったので、これも聴いてみたいのだけど、
今日は「これからの芝浜」を聴けた。
これが素晴らしかった。

談春自身が、「いままでの芝浜」に違和感を
感じ始め、もう一度練り直したという
「これからの芝浜」。

登場人物もあらすじも変わらないのだけど、
ディテールを見直すことによって、
まるで別の噺のように仕上がっていた。
「芝浜」は、夫婦の噺だとは思っていたけど、
より深く夫婦愛を描くと同時に、何とも言えぬ
人間の滑稽さもふんだんに語られる。
約75分、全く中だるみすることもなく、
素晴らしい口演だった。

仲入り前の「除夜の雪」も、素晴らしかった。
この噺は、もともと上方の落語で、
米朝の CD 以外で聴いたことがなかった。
初めてナマで、しかも江戸落語で聴いたよ。

開口一番は、来年5月、真打昇進が
発表されている、談春の一番弟子の
立川小春の「だくだく」。
この噺、今までに何度も聴いていて、
ずっと、なぜ「だくだく」というタイトルなんだろうと
不思議に思いながら、調べずにいたのだけど、
今日初めて、「だくだく」の意味が分ったよ。

立川小春は、真打昇進と共に
「小春志(こしゅんじ)」に改名予定。
本人は、自分の今までの名前「小春」、
師匠の談春の「春」、大師匠の談志の「志」が
入った良い名前だと、喜んでいました。

落語家の修業は厳しいが、その中でも
談春は厳しいだろうと想像がつく。
真打に昇進する談春の弟子は、小春が初めて。
現在、小春ともうひとり前座(春次郎)が
いるだけで、すでに10人の弟子が、やめている。
しかし、その理不尽な、矛盾した修行の
向こうにしか あんな芸はないんだと思う。


[ 演 目 ]
「だくだく」 立川小春
「除夜の雪」 立川談春
〜 仲入り 〜
「芝浜」 立川談春

@有楽町朝日ホール





2022.12.17

浅草演芸ホール



友人のT男に「落語は、座布団の上が宇宙だ。
瞬間で時空を超えるよ」と話したら、急に興味を
持ったみたいで、「落語を観たい」と言い出した。

初めて観る落語で、落語が好きになるかどうか
決まるような気がして、出来れば、
ハズレのない落語会を勧めたい。
自分の好みの落語家を勧めて、
それでダメなら仕方ないと思えるけど、
そんなにお勧めの落語会がすぐにあるわけでもない。

せっかちなT男は、すぐにも落語を聴きたいらしい。
「寄席に行ってみたい」というので、
出演者をチェックしてみて、浅草演芸ホールの
中席、昼の部を選んだ。
これが、隅田川馬石、春風亭一之輔、
柳亭市馬など結構 強力なメンバーなのだ。

寄席は新宿の末廣亭に一度行ったことがあるが、
私は、好きな落語家をたっぷり聴きたいので、
いつも落語会に行っている。
なので、浅草演芸ホールも初めてだった。

昼の部は、11時40分開演だけど、
はなからいることもないだろうと、
久しぶりにもんじゃ焼きを食べ、
一杯飲んで、13時頃 演芸ホールに入った。

ステージでは、ちょうど「すず風にゃん子・金魚」
によるシュールな漫才が展開されていた。
昼の部の主任(トリ)の柳亭市馬まで、
落語や色物、計15組約3時間20分を観たけど
かなり面白かった。
一之輔や市馬はもちろん、初めて観た
噺家数人も良かった。
印象に残ったのは、柳家甚語楼、柳家小ゑん。

今日で、ちょっと寄席に対する印象が変わったよ。
たっぷり聴いて、3千円。
また行きたいね。


[ 演目(観たものだけ) ]

漫才 すず風にゃん子・金魚
落語「たらちね」 隅田川馬石
落語「猫と金魚」 柳家甚語楼
紙切り 林家楽一
落語「初天神」 入船亭扇橋
落語「鮑のし」 春風亭一之輔
曲芸 鏡味仙志郎
落語「 ? 」 柳家小袁治
落語「 ? 」 鈴々舎馬風
落語「雑俳」 柳亭市童
漫才 ホンキートンク
落語「鉄の男」 柳家小ゑん
落語「悋気の火の玉」 春風亭正朝
浮世節 立花家橘之助
落語「掛取万歳」 柳亭市馬(昼の部主任)

@浅草演芸ホール





2023.1.5

白酒 兼好 二人会

昨日は、今年の初落語「白酒・兼好 二人会」。
桃月庵白酒、三遊亭兼好、
ふたりとも聞いていてイヤな感じのしない、
軽い毒を吐きながら、笑わせてくれるので、
好きな噺家さんだ。

開口一番は、兼好の弟子、三遊亭けろよん。
この名前、どうよ。
まあ、一度聞いたら忘れないだろうけど。
演目は『桃太郎』。
けろよんは、初めて聴いたけど、中々良い。

お目当てのひとり、兼好の一席目は『権助魚』。
兼好ならではのくすぐりが面白い。
兼好の演じる、おかみさんは好きだな。

そして、白酒。
たっぷりのマクラのあと、『笠碁』。
以前、誰だったかの『笠碁』を聴いて、
泣いてしまった覚えがある。
些細なことでケンカしたおっさんふたりが
仲直りする噺で、泣くようなストーリーでも
ないねんけど。

休憩を挟んで、続けて白酒。
二席目はなぜか軽めの『長屋の算術』。
初めて聴いた噺だった。
調べてみると、明治生まれの
五代目 柳亭燕路(りゅうてい えんじ)と
いう人の創作らしく、志ん生が持ちネタと
していたらしい。
これは、もっと多くの人がやっても良いのにな。

トリは、兼好の『茶の湯』。
バカバカしいわりに、あんまり面白くない、
というのがこの噺の私の感想。
茶の湯を扱った噺に
『荒大名の茶の湯(荒茶)』という
加藤清正ら戦国武将が登場する落語もある。
以前、春風亭小朝の口演を聴いたことがあるが、
こちらは面白かった覚えがある。


[ 演 目 ]
「桃太郎」 三遊亭けろよん(前座)
「権助魚」 三遊亭兼好
「笠碁」 桃月庵白酒
〜 仲入り 〜
「長屋の算術」 桃月庵白酒
「茶の湯」 三遊亭兼好

@ 北とぴあ つつじホール





2023.1.9

志の輔らくご
in PARCO 2023




中々チケットを取るのが難しい、
恒例のパルコ劇場の志の輔らくご。
今回も発売から数分で売り切れた感じだったけど、
なんとか取ることが出来たよ。

今年は、1月5日から 31日まで
休演日もあるので、全20公演。
後から3列目というあまり良い席では
なかったけど、新しいパルコ劇場は、
さすがに観やすく作られている。

「志の輔らくご」に限らず、志の輔師匠の
独演会は、前座やゲストはなく、
おひとりで数席、演じられる。

今日の一席目は「まさか」。
これは、初めて聴いた新作落語。
「まさか」という言葉は、使い方によっては
相手を不快にさせる。
落語の後、映像でパルコ近くに実際にある
「間坂(まさか)」という坂を紹介していた。
LOFTの前の坂ね。
平成元年、LOFT が一般公募により
命名したらしい。
「渋谷駅と公園通りとの間」、
「ビルとビルの間」、
「『まさか』という語呂のよさ」、
「『間』という漢字が人と人との関わり合いを
イメージする」との理由だそう。

二席目は、「狂言長屋」。
途中で、狂言師までが登場する
大がかりな落語(?)だ。
これ、観たことあるぞと思ったら、
「志の輔らくご in PARCO」の DVD に
収録されてました。
狂言師は、茂山逸平さん。
さすがは狂言師。声の通りが素晴らしい。
ちょっと関西弁のアクセントだと思ったら、
フロム京都でした。

休憩を挟んで、三席目は「百年目」。
落語を聴き始めてちょうど10年。
凝り性の私は、かなりの数の落語を聴いた。
おかげで、とうとう落語が始まって 10秒20秒で、
演目が何か分かるものも出てきたが、これもその一つ。

真面目、堅いと思われている番頭が、
酔っぱらって羽目を外しているところを
お店(たな)の旦那に見つかってしまう。
それはそれはおおきなしくじりで、
絶対、暇を出されるだろうと思っていたら、
そうではなかったという、結構好きな演目。
志の輔師匠のは、初めて聴いた。

この噺、以前、立川生志さんや春風亭一之輔さんの
口演を聴いて、旦那の番頭への承認があまりに
素晴らしく、思わず泣いてしまった覚えがある。
今日もじわっとは来たのだけど、
それほどの感動ではなかったなぁ。
思うに、今日は旦那の番頭への承認よりも
「やめないでくれ」と頼むあたりが、
やや冗長だったような気がする。
旦那のキャラを作り込みすぎたかなとも思う。
えらそうですが。

いつもいつも大満足の志の輔師匠の落語だが、
今日は珍しく、全体的になぜか、
少し もの足りなかったなぁ。
一緒に行った妻も同様の感想だったので、
いつもと何かが違ったのかな。


[ 演 目 ]
「まさか」 立川志の輔
「狂言長屋」 立川志の輔
〜 仲入り 〜
「百年目」 立川志の輔

@ PARCO劇場





2023.1.13

肖 像 画

写真は先日の志の輔らくご in PARCO で
ロビーに展示されていた志の輔師匠の肖像画。
(撮影する私の腕が、ガラスに反射しているけど。)



一目見て、描いたのは
ヤマザキマリさんだと分かった。
私がヤマザキさんのファンだと
いうわけではない。
昨年発売された、山下達郎さんの
ニューアルバム、『SOFTLY』のジャケットが、
ヤマザキさんの手によるもので、
一目でそのタッチが同じであること、
それに加えて、達郎氏と志の輔師匠は
繋がりがあることを知っていたので、
すぐにそうだろうと思ったのだ。

SOFTLYのジャケット


実は、私はこのジャケットがあまり好きではない。
なんとなく達郎の音楽と合わないような気がするんだ。
ジャケットとしてではなく、肖像画として
この絵と出会っていたら、違った印象を
持ったんじゃないかとも思う。
もちろん、CD の音楽は素晴らしいので、
ジャケットの好き嫌いなど重要ではないのだけど。

しかし、志の輔師匠の肖像画は良いと思った。
同じように写実的に描かれているのに
何が違うんだろう。
達郎の方は、微かに微笑んでいるようで
ありながら、何となく暗い印象を
受けたことは否めない。
それは、達郎自身の世界への憂いの
現れなのかも知れないとも思うけど。

ヤマザキマリさんは、『テルマエ・ロマエ』で
有名だけど、若い頃、イタリア、フィレンツェに
留学していた。
国立アカデミア美術学院で
美術史・油絵を専攻していた人だ。
漫画家というだけではなく、
本格的な美術の人なんだな。


志の輔肖像画のアップ








2023.2.6

笑点 新メンバー

「笑点」の新メンバーは、
春風亭一之輔に決まった。
う〜ん、ちょっと複雑だな。
嬉しいようなそうでもないような。

私は2013年に落語にハマり、
2014年に一之輔の「雛鍔(ひなつば)」を
聴いて好きになり、それから一之輔の高座を
この9年間で 50回以上観に行っており、
ナマで聴いた落語は 100席をゆうに超える。
ええ、ええ、凝り性です。

そんなファンとしては、笑点のメンバーに
なることは喜ばしいはずなのに、
なぜか手放しで喜べない部分もあるんだ。
それが何なのか、よく分からないでいる。

自分の内面を観察するに、
お手軽にお茶の間で一之輔の芸に
触れて欲しくない、そんな嫉妬に似た
想いのように思う。
もちろん、笑点では大喜利のメンバーとして
出演するので、落語をするわけではない。
笑点を観て 一之輔を知り、落語会や寄席に
足を運ぶ人が増えたら、それはそれで
落語界にとっては、とても良いことなんだけどね。

そうすると、一之輔の落語会、
もっとチケットが取りにくくなるなぁ。
でも、なんだかんだ言っても、笑点を観るのが
楽しみになったことには違いない。


初収録後のインタビュー

インタビューでも やっぱり おもろい。





2023.3.21

春風亭昇也
真打昇進披露興行 FAINAL




何度か真打昇進披露や
襲名披露興行を観たことがある。
それらは、普段の落語会では聞けない
面白い話が聞ける貴重な機会だった。
昨日は、お笑い芸人から春風亭昇太に入門し、
落語家に転身した春風亭昇也の
真打昇進披露興行を観てきた。
タイトルに「FINAL」とある。
真打に昇進したのは、昨年5月のことで
もうその披露興行も終わりということだろう。
結構、長い間演っていたのか、コロナの
影響で実は回数は少なかったのかは、分からないけど。

出演者が豪華だった。
今や笑点のレギュラーとなった、
桂宮治、春風亭一之輔に笑点の司会者を
務める、昇也の師匠である昇太。
会場はほぼ満席に見えた。

開口一番は、昇太の十番弟子だという
昇ちくによる「子ほめ」。
続いて宮治の「棒鱈(ぼうだら)」。
この人を始めて観たのは、2014年だったから
もう9年も前。
当時、彼はまだ二つ目で、面白さよりも
そのテンションの高さが鼻につく感じで
あまり好きになれなかったが、
今では、笑点のレギュラーの座も得て、
テンションの高さはそのまま、面白さはそのままに
いい感じに角が取れたというか、
歳を重ねてきていると思う。
全く上から目線で、申し訳ないけど。
マクラでも十分に笑いを取っていたよ。

師匠である昇太は新作落語の
「オヤジの王国」。
お父さんの悲哀を爆笑にして、昇華。

休憩を挟んで、口上。
司会は宮治。
宮治と昇也は同期なのだという。
まあ、このメンバーなので、厳かさのかけらもなく、
爆笑で終わったよ。

そして、一之輔は「加賀の千代」。
もう5回ぐらい高座で聴いているけど、
ご隠居さんの甚兵衛さん愛が
突き抜けていて好きだな。

そして、いよいよ昇也。
演目は「子は鎹(かすがい)」。
「子別れ」とも言う。
酒でしくじって、3年前に女房と息子を
追い出した大工の熊さん。
心を入れ替え、酒もやめ仕事に励むある日、
別れた息子、亀とばったり出会い、
女房ともよりを戻すという人情話。
今まで、色んな噺家の口演で聴いてきたけど、
昇也バージョンは、隠された演出があった。
出入り先の番頭さんに木場へ誘われ、
その道でばったり亀と会うのだが、
実は、番頭さんが亀と会うように
意図的に仕組んだことだったんだ。
熊さんが、ひとり身で何かと苦労しているし、
寂しいだろう、おみつさん(前のおかみさん)は、
良い人だった、なんとかよりが戻らないものかと
思ってのことだったんだな。
もしかしたら、今まで聞いた中にも
そういう背景で語られていたものも
あったのかも知れないけど、
初めて気付いたよ。
こういう新しい発見があるのも嬉しい。

昇也はあまり観た覚えがなかったが、
記録を見てみると、なんと2013年3月25日、
ちょうど10年前に一度だけ観ていた。
それは、「桂歌丸独演会」(@関内ホール)で、
私が落語にハマるきっかけとなった、
始めて行った落語会だったのだ。
そこで歌丸師匠の芸に感銘を受け、
落語会に通うようになったのだ。

昇也は、昇太が才能があると認めるだけある芸だった。
しかし、才能があっても常に向上心を持たないと、
ダメになっていく世界、そういう人をたくさん
見てきたとも昇太が言っていた。
確かに。
何の世界でもそうだろうが、
特にエンタテイメントの世界は厳しいだろうな。


【 演 目 】
「子ほめ」 春風亭昇ちく
「棒鱈」 桂宮治
「オヤジの王国」 春風亭昇太
 ― 仲入り ―
口 上 (昇太・昇也・一之輔・宮治)
「加賀の千代」 春風亭一之輔
「子は鎹(かすがい)」 春風亭昇也

@ 銀座ブロッサム





2023.6.4

落語ドマーニ ひるの会



100キロ・ウォークに申し込む前に
チケットを取っていた落語会。
リセールに出したけど、1週間前になっても
売れずで、誰かにあげようと思ったけど、
行ける人もいなかったので、無駄になるかと
思っていたけど、100キロ・ウォークが
中止になったおかげで、結局 行くことが出来た。

タイトルになっているドマーニ(domani)は、
イタリア語で「明日」の意味。
さしずめ「落語の明日」という意味の会かな。

前座を入れて、今日は四席とも当たりだった。
開口一番は、三遊亭まんとの「寿限無」。

続いて、マクラで岸田総理の息子の件で
かなりキワドイ笑いを取った、
白酒の「化物使い」。

雀々のマクラは、若い頃にやらされた
散々な仕事のエピソード。
演目は、「夢八」。
初めて聴いた演目で、まだまだ知らない
落語があることが嬉しい。

仲入りのあと、喬太郎。
高座に見台がセットされていたので、
どうしてかなと思っていたら、喬太郎は
足が悪くて正座が出来ないらしい。
立ち食い蕎麦やウインナーの話しで
たっぷり笑いを取ったあとの演目は
とても渋い「錦木検校」。
演じるのは難しそうだし、笑いのない噺だけど、
ちゃんとくすぐりを入れてくるのが喬太郎の上手さだな。

一緒に行った友人(落語4〜5回目かな)も
大満足の落語会だったよ。


【 演 目 】
「寿限無」 三遊亭まんと(前座)
「化物使い」 桃月庵白酒
「夢八」桂雀々
― 仲入り ―
「錦木検校」 柳家喬太郎

@ 大手町三井ホール

(チラシに兼好がいるが、彼は夜の部の出演)





2023.7.9

浅草演芸ホール

久しぶりの寄席、浅草演芸ホールへ行って来た。
友人の息子、現在アメリカ留学中の大学生の
K君が、夏休み帰国中で、先日会ったおりに
落語の話になり、一度もナマで落語を聴いたことが
ないというので、今日の企画となった。

私も若い頃は、落研の友人の落語しか
聴いたことがなく、本物の落語をナマで聴いたのは、
50歳を過ぎてからだ。
アメリカ留学しているなら、尚更この日本独自の
古典芸能を知って欲しいと思ったのは、老婆心か。

今日寄席に行くことは、決まっていたけど、
どの寄席に行こうかと調べていると、
浅草演芸ホールの夜の部の出演者がスゴイことを発見。
隅田川馬石、古今亭菊之丞、柳家喬太郎、
古今亭志ん輔、春風亭一之輔、柳家三三、
柳亭市馬など、私にとっては、
こんな日があるのか、というラインナップだった。

K君のアルバイトの都合で、柳亭市馬、
トリの柳亭こみちが聴けなかったのは、
残念だったが、それでも十分に落語、
そして寄席の魅力は伝わったんじゃないかと思う。

そして、私的には今日も初めての演目が
あったことが嬉しい。「浮世根問」。
「鍋草履」もナマで聴くのは
初めてだったと思う。


【 出 演 】
桂枝平(前座) 「浮世根問」
柳家小はだ 「転失気」
柳家小八 「小言念仏」
のだゆき (音楽パフォーマンス)
古今亭菊之丞 「鍋草履」
隅田川馬石 「鮑のし」
ホンキートンク (漫才)
柳家喬太郎 「同棲したい」
柳亭燕路 「片棒」
翁家勝丸 (曲芸)
古今亭志ん輔 「紙入れ」
春風亭一之輔 「夏どろ」
柳家三三 「道灌」
林家楽一 (紙切り)

柳亭市馬と夜の部主任、
柳亭こみちは聴かず。

@浅草演芸ホール


それにしても、あれだけたくさん聴けて、
楽しめて、その気になれば、
9時間居れて、3,000円というのは安いね。





2023.7.22

≪噺小屋夏スペシャル!≫
桂米團治 独演会 - 米團治の吟醸噺




久しぶりの米團治独演会だ。
開口一番は、米團治初の
女性弟子だという米舞。
「米舞」と書いて「まいまい」と読む。
現在23歳らしいが、
まだ少し幼さが残っている印象。
演目は「桃太郎」。
どんな風に育って行くのか、
これからが楽しみだな。

米團治、一席目は「京の茶漬」。
本来「上方」(鎌倉時代に都を指して
出来た言葉らしい)は、京都、大阪を
指す言葉だったらしいが、最近は京都の人は
大阪との区別(差別?)する為、
上方という言葉を使わなくなったらしい。
例えば、「上方料理」とは言わず「京料理」という風に
大阪と区別して「京」をブランドにしたわけだ。
そこには、京都人の「京都は大阪とは違う」
というプライドが込められている(たぶん)。
そんな京都人をいじりつつ、大阪人の
バカさ加減も描いた落語が「京の茶漬」。

続いて、米輝の「イルカ売り」。
通常は、どんな演目が口演されるか
落語が始まるまで分からないことが多いのだが、
今日は、プログラムに演目が印刷されている
ネタ出しの落語会だった。
(事前に演る演目を発表することを
「ネタ出し」という。)

米輝曰く、夢で出番直前に自分が演ることに
なっている演目を見て、知らない演目であることに
気付き、焦って目が覚めることがあるという。
落語ではないが、私もライブで出だしのコード進行が
分からなくて、目が覚めたことがあるので、
それに近い怖さは分からないでもない。
で、「イルカ売り」は、そのまま、目が覚めずに
高座に上がるという噺。

プログラムに「イルカ売り」と印刷されていることに
出番直前に気付いた米輝は、師匠(米團治)に
「何かの間違いではないか?『イルカ売り』なんて
演目知らない」と言いに行く。
すると師匠に「何を言うてるのや、『イルカ売り』は、
米朝一門では最初に覚える噺やないか」と言われる。
そのまま出演の時が来て、高座に上がるが、
「イルカ売り」は話せない。
なんとか違うネタで、ごまかそうとするが、
観客から突っ込まれてしまう、という噺。
中々面白かったし、何よりも米輝が、
上手くなっているのが、よく分かった。

そして、再び米團治で「らくだ」。
米團治で聴くのは初めて。
残念ながら、途中で急激な睡魔に襲われて、
くず屋が大家んちや漬物屋の所に
行く件を聞き逃した。

休憩を挟んで、米團治の「蛸芝居」。
マクラで最近大阪で演ったという「勧進帳」
(歌舞伎)の一部を披露。
素晴らしいのだが、歌舞伎ファンでないと、
本当の良さは分からないかな。
今日の会場が、銀座ブロッサムだったので、
反応を観て「さすがは銀座のお客さんです」と
米團治は言ってだけど。
「蛸芝居」も、芝居好きでないと
その良さは分からないだろう、マニアックなネタ。

今日はね、米團治が米朝に似てきたなぁ、
って思ったね。
やっぱり、師匠だし親子だからね。


[ 演 目 ]
「桃太郎」 桂米舞
「京の茶漬」 桂米團治
「イルカ売り」 桂米輝
「らくだ」 桂米團治
--- 仲入り ---
「蛸芝居」 桂米團治

@ 銀座ブロッサム中央会館ホール





2023.9.18

井戸端 落語会

昨年12月に続いて2回目となる
コミュニティサロン iDOBATA主催の落語会が、
昨日 開催された。
出演は、前回と同じく台所おさん師匠。

演目は、「金明竹」、「猫と金魚」、
そして「明烏」。
主催者側から、「何か登場人物が
自分の壁を破るような噺はないですか?」と
打ち合わせの段階で訊かれ
「人情話ならあります」と答えたそうだが、
おさん師匠は、いわゆる人情話と言うのは
演らないそうで、滑稽話にそういう演目は
ないかと考えたところ、「明烏」を思い着いたらしい。

明烏(あけがらす)。
本ばかり読んでいる、超真面目な息子・時次郎を
父親が町内の札付きに、「吉原に連れて
行ってやってくれ」と頼む。
札付きふたりは、「お稲荷さんにお参りに行く」と
時次郎をだまして連れて行く。
最初は吉原に着いても気が付かないほどの
初心な時次郎だけど、ついに気が付いて、
「帰る」と言い出すが・・・。

結局、時次郎は、嫌っていた知らない世界を
知ることになるんだ。
そういう意味で殻を破ったと言えるね。

この演目は「内容が卑俗的で低級である」
として警察が上演を禁止していた時期もあったらしい。
(昭和15年)

昭和33年売春防止法により、吉原の火は消えた。
もう落語家の中でも、本当に吉原を知っている人は、
ほんの少しで、みんなおじいさんだ。
そのうち、完全に歴史上の話になるんだろうな。
いや、もうすでにそうか。

昨日の観客は、普段 落語を聴きに行く人は、
ほとんどいなかったので、
これを機会に落語を好きになる人が
増えると良いなというのが、
落語ファンでもある私の願い。
自分から、寄席や落語会に行く人って、
私の周りを見渡しても中々いないんだ。
誘うと行く人もいるけどね。


[ 演目 ]
「金明竹」 台所おさん
「猫と金魚」 台所おさん
- 仲入り -
「明烏」 台所おさん

@コルソ(五反田)





2023.10.28

こはる改メ 立川小春志
真打昇進披露興行




立川談春の一番弟子こはるが、
今年5月に真打に昇進し、
小春志(こしゅんじ)に改名した。
今日から5日間昼夜 10公演ある
その真打披露興行、初日の夜の部に
行ってきた。



二つ目のこはるを初めて聴いたのは、
2014年の「目黒のさんま」だった。
それから数回観ているが、
ついに真打に昇進したんだ。

女性の噺家はまだまだ少ない。
彼女は中性的で、大師匠の談志が
弟子入り後1年近く男性だと思って
いたというエピソードがあるほど。

真打披露興行というと、たくさんの
ゲストを招いて、口上の時にも
7〜8人並んでいることも珍しくない。
でも、師匠(談春)と小春志、
そして、ゲストの柳亭市馬の3人のみと
いうのが、なんとも談春らしいと思った。
ゲストは、毎公演替わるのだけど、
全部このスタイルで演るんだろう。

トップバッターは、師匠である談春。
マクラは、ゲストの市馬との関係など。
演目は「黄金の大黒」。
私にはやや地味な演目の印象。

続いて、柳亭市馬。
小春志は、談春に弟子入りしたばかりに
いらぬ苦労をしたと愛のあるディスり。
演目はやや渋めの印象の「三十石」。

休憩を挟んで、口上。
ほとんどトークショー。
でも、最後にはきっちり、市馬師匠、
談春師匠ともに締めてくれたね。

トリは、小春志の「子は鎹」。
真打になって、どんな心境なのかとか、
聴きたかったけど、マクラなしで、本編に突入した。
熊五郎の男っぽさを出そうとしてか、
セリフの荒っぽさが、心なしか雑に聞こえたのは私だけかな。

まだ41歳。
これからが楽しみだね。


[ 演 目 ]
「黄金の大黒」 立川談春
「三十石」 柳亭市馬
--- 仲入り ---
御披露(口上) 談春、市馬、小春志
「子は鎹」 立川小春志




真打認定書
立川こはるを
真打と認め
昇進を機に
立川小春志と
改名させる
女性に
共感を得る
芸を望む
令和五年五月
立川談春


「こはる改メ 立川小春志 真打昇進披露」
10月28日(土)〜11月01日(水)
昼の部 開演 13:00(12:30 開場)
夜の部 開演 18:00(17:30 開場)
出演:こはる改メ 立川小春志 立川談春
@有楽町朝日ホール
ゲスト:
10/28(土)昼:柳家三三
10/28(土)夜:柳亭市馬
10/29(日)昼:柳家喬太郎
10/29(日)夜:さだまさし
10/30(月)昼:立川志の輔
10/30(月)夜:春風亭一之輔
10/31(火)昼:立川志らく
10/31(火)夜:桂宮治
11/01(水)昼:笑福亭鶴瓶
11/01(水)夜:春風亭昇太







ひとりごと